説明

乗客コンベアの乗降部床装置

【課題】乗降板に荷重がかかってもきしみ音が生じにくい乗客コンベアの乗降部床装置を提供する。
【解決手段】乗客コンベアの乗降部に並設された複数の乗降板12,16,22を備えた乗客コンベアの乗降部床装置において、互いに隣接する一対の乗降板12,16において対向する一対の対向縁部13a,17aの少なくとも一方の対向縁部17aは、他方の対向縁部13aへ向けて突出し他方の対向縁部13aに当接する当接部26を備え、一対の対向縁部13a,17aの間に間隙33を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの乗降部床装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの乗降部床装置は、機械室を覆う蓋として乗客コンベアの乗降部に設けられ、保守作業の便宜を図るため、作業者が搬出できる大きさや重さになるように分割された複数の板状部品を備える場合がある。
【0003】
図12に例示するように、乗客コンベアの乗降部床装置100は、乗客コンベア110の乗降部112に設置されるものであり、複数(例えば、3枚)の乗降板101、102、103が乗客コンベア110の踏段104の移動方向Xに並べて設けられている。
【0004】
乗降板101、102、103は、両端部がトラス構造物105に支持されたはり状になっているため、複数の人が乗ったり強く踏みつけたりした場合などのように、乗降板101、102、103に荷重がかかるとたわみ、そのときに、隣接する乗降板101、102、103同士が擦れ合いきしみ音が生じることがあるという問題がある(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−162484
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を考慮してなされたもので、乗降板に荷重がかかってもきしみ音が生じにくい乗客コンベアの乗降部床装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の乗客コンベアの乗降部床装置は、乗客コンベアの乗降部に並設された複数の乗降板を備えた乗客コンベアの乗降部床装置において、隣接する一対の前記乗降板において対向する一対の対向縁部の少なくとも一方は、他方の前記対向縁部へ向けて突出し他方の前記対向縁部に当接する当接部を備え、隣接する一対の前記乗降板の間に間隙が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる乗降部床装置が適用された乗客コンベアを示す側面図である。
【図2】図1に示す乗客コンベアの乗降部の平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる乗降部床装置の平面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかる乗降部床装置を分解した状態を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる乗降部床装置の平面図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態にかかる乗降部床装置を分解した状態を示す平面図である。
【図10】図9の要部拡大図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】従来の乗客コンベアの乗降部床装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に例示する乗客コンベア1は、本発明の第1の実施形態にかかる乗降部床装置10が適用されるエスカレータである。なお、本実施形態では、乗降部床装置10を適用する乗客コンベアとしてエスカレータの場合について説明するが、動く歩道に乗降部床装置10を適用することもできる。
【0011】
この乗客コンベア1は、建物等の設置構造物の上階と下階との間にわたって据え付けられるトラス2を有している。トラス2内には、駆動機構により駆動されて上階と下階との間を循環移動する無端状の踏段チェーン(不図示)が設置されている。踏段チェーンには複数の踏段3が連結され、踏段3は踏段チェーンと共に上階と下階との間を循環移動する。トラス2の上部には、踏段3の移動方向Xに沿った両側に位置する一対の欄干4が固定されている。欄干4の外周部には無端状の手摺ベルト5が設置され、手摺ベルト5は踏段3と同期して循環移動する。
【0012】
トラス2の長手方向両端部には、踏段チェーンを循環移動させるための駆動装置やスプロケットなどを配設する機械室7が設けられている。機械室7の上面は、複数の乗降部床装置10により閉塞され、乗客コンベア1に乗り降りするための乗降部6を構成する。
【0013】
乗降部床装置10は、図2〜図4に示すように、複数の乗降板、例えば、本実施形態では、第1乗降板12と、第2乗降板16と、第3乗降板22とを備える。複数の乗降板12,16,20は、乗客コンベア1の幅方向Wに細長い板状をなしており、踏段3の移動方向Xに並べて乗降部6に設けられている。各乗降板12,16,20の長手方向の両端部は、乗客コンベア1の幅方向Wに間隔をあけて配されたトラス2の上部梁2aの上方に載置固定される。つまり、本実施形態では、上部梁2aが、各乗降板12,16,22を下方から支持する支持部となる。
【0014】
第1乗降板12は、複数の乗降板12,16,22のうち最も踏段3に近接して配置されものであり、天板13と、天板13の裏面側に固定され天板13を支持する支持板14とを有している。天板13における踏段3側の縁部には、コム9が固定されており、循環移動する踏段3の踏み面に対して微小な空間をもって対向している。
【0015】
第2乗降板16は、第1乗降板12に隣接して配置されるものであり、天板17と、天板17の裏面側に固定され天板17を支持する支持板18とを有している。
【0016】
第3乗降板22は、第2乗降板16に隣接して配置されるものであり、天板23と、天板23の裏面側に固定され天板23を支持する支持板24とを有している。
【0017】
そして、第1乗降板12の天板13に対向する第2乗降板16の天板17の対向縁部17aには、当接部26と凹部28とが形成されている(図3,図4参照)。なお、図面においては凹部を誇張して描いている。
【0018】
当接部26は、対向縁部17aに対向する第1乗降板12の天板13の対向縁部13aへ向けて突出している。このような当接部26は、例えば、各乗降板12,16,22を下方から支持するトラス2の上部梁2a付近、あるいは、上部梁2aの上方に配置され、本実施形態では、第2乗降板16の長手方向両端部に設けられている。
【0019】
凹部28は、当接部26の先端より所定量だけ第1乗降板12の天板13から離隔する方向へ後退するように形成されており、本実施形態では、天板17における乗客コンベア1の幅方向中央部に形成されている。
【0020】
また、第3乗降板22の天板23に対向する第2乗降板16の天板17の対向縁部17bにも、対向縁部17aに設けられた当接部26および凹部28と同様、トラス2の上部梁2aの上に第3乗降板22の天板23の対向縁部23aへ向けて突出する当接部30が設けられるとともに、乗客コンベア1の幅方向中央部に当接部30の先端から所定量だけ離隔するように後退する凹部32とが設けられている。
【0021】
ここで、凹部28、32の後退量は、例えば、0.5mm以下に設定することができ、好ましくは0.1〜0.3mmに設定することができる。
【0022】
このような構成の乗降部床装置10では、第1乗降板12、第2乗降板16、および第3乗降板22を踏段3の移動方向Xに並べて乗降部6に配設した状態で、第2乗降板16に設けられた当接部26が第1乗降板12の天板13の対向縁部13aに当接し、第2乗降板16に設けられた当接部30が第3乗降板22の天板23の対向縁部23aに当接する。
【0023】
そして、第2乗降板16の天板17と第1乗降板12の天板13との間には、凹部28が形成された位置に間隙33が形成され、第2乗降板16の天板17と第3乗降板22の天板23との間には、凹部32が形成された位置に間隙34が形成される。
【0024】
以上のように本実施形態の乗降部床装置10では、第2乗降板16の天板17に凹部28、32が形成され、凹部28,32の位置において隣接する乗降板12、16、22の天板13、17、23の間に所定量の間隙33、34が形成されている。
【0025】
そのため、乗降部床装置10の上に複数の人が乗ったり、強く踏みつけたりするなど、乗降板12、16、22に大きな荷重がかかり乗降板12、16、22が撓むことがあっても、隣接する乗降板12、16、22同士が擦れにくくなり、きしみ音の発生を抑えることができる。
【0026】
また、本実施形態では、凹部28、32が乗降板16における乗客コンベア1の幅方向中央部に設けられ、乗降板12,16,22が荷重を受けた際に撓みやすい位置に凹部28,32が設けられているため、より確実にきしみ音の発生を抑えることができる。
【0027】
また、本実施形態では、第2乗降板16の天板17には、隣接する乗降板12,22の天板13,23に当接する当接部26,30が設けられているため、各乗降板12,16,22が踏段3の移動方向Xへ位置ずれするのを抑えることができる。
【0028】
しかも、当接部26,30は、第2乗降板16を下方から支持するトラス2の上部梁2a付近に位置するように設けられている。そのため、当接部26,30が設けられた位置は、乗降板16の支持点に近く撓みにくいことから、第2乗降板16が当接部26、30において隣接する乗降板12,22の天板13,23に当接していても、きしみ音はほとんど発生することがない。
【0029】
また、本実施形態では、凹部28、32の後退量が0.5mm以下に設定され、天板17と天板13との間に形成される間隙33や、天板17と天板23との間に形成される間隙34は微小量であるため、乗降部床装置10の美観を損なうことがない。
【0030】
なお、本実施形態では、隣接する一対の乗降板のうち一方の乗降板16の対向縁部17a,17bのみに当接部26,30を設けたが、隣接する一対の乗降板の他方の乗降板12,22に当接部を設けてもよく、また隣接する一対の乗降板の両方の乗降板12,16,22に当接部を設けてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、当接部26,30を乗降板16における乗客コンベア1の幅方向両端部に設け、凹部28,32を幅方向中央部に設けたが、本発明はこれに限定されず、乗降板における乗客コンベア1の幅方向の任意の位置に設けることができる。
【0032】
また、本実施形態では、乗降板16の天板17に当接部26,30を設けたが、例えば、天板17を支持する支持板18に当接部を設け、支持板18に設けた当接部を乗降板16と対向する乗降板12,22の支持板14,24に当接させることで、天板17と天板13との間や天板17と天板23との間に間隙33,34を形成するように構成してもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、上記した第1の実施形態と同一又は対応する要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0034】
本実施形態と上記した第1の実施形態との相違点は、隣接する乗降板の縁部を下方から支持する受け部材が乗降板に設けられている点である。
【0035】
詳細には、図5に示すように、第1乗降板12の天板13には、複数(本実施形態では、例えば2つ)の受け部材15が乗客コンベア1の幅方向Wに所定間隔をあけて配設されている。受け部材15は、天板13から第2乗降板16へ向けて突出するように天板13の下面に取り付けられている。
【0036】
第2乗降板16の天板17の下面には、第1乗降板12へ向けて突出するように受け部材19が設けられ、第3乗降板22へ向けて突出するように受け部材20が設けられている。
【0037】
受け部材19は、第1乗降板12と第2乗降板16とを並べて設けた際に、第1乗降板12に設けられた受け部材15を避けた位置に配され、本実施形態では、例えば、乗客コンベア1の幅方向中央部に配設されている。受け部材20は、上記した第1乗降板12に設けられた受け部材15と同様、乗客コンベア1の幅方向Wに所定間隔をあけて配設されている。
【0038】
また、第3乗降板22の天板23の下面には、第2乗降板16へ向けて突出するように受け部材25が設けられている。受け部材25は、上記した第2乗降板16に設けられた受け部材19と同様、第2乗降板16と第3乗降板22とを並べて設けた際に、第2乗降板16に設けられた受け部材20を避けた位置に配され、本実施形態では、例えば、乗客コンベア1の幅方向中央部に配設されている。
【0039】
そして、第2乗降板16の天板17に対向する第1乗降板12の天板13の対向縁部13aには当接部40と凹部42とが形成されている。
【0040】
当接部40は、第2乗降板16の天板17へ向けて突出している。このような当接部40は、例えば、各乗降板12,16,22を下方から支持するトラス2の上部梁2a付近、あるいは、上部梁2aの上方に配置され、本実施形態では、第1乗降板12の長手方向両端部に設けられている。
【0041】
凹部42は、第2乗降板16の天板17に設けられた受け部材19と対向する位置に第2乗降板16の天板17から離隔する方向へ後退するように形成されている。
【0042】
第2乗降板16の天板17は、第1乗降板12の天板13に対向する対向縁部17aに当接部26と凹部28とが形成され、第3乗降板22の天板23に対向する対向縁部17bに当接部30と凹部32とが形成されている。
【0043】
当接部26は、第1乗降板12の天板13へ向けて突出している。当接部26は、例えば、各乗降板12,16,22を下方から支持するトラス2の上部梁2a付近、あるいは、上部梁2aの上方に配置され、本実施形態では、第2乗降板16の長手方向両端部に設けられている。
【0044】
凹部28は、第1乗降板12の天板13に設けられた受け部材15と対向する位置に第1乗降板12の天板13から離隔する方向へ後退するように形成されている。
【0045】
当接部30は、第3乗降板22の天板23へ向けて突出している。当接部30は、例えば、各乗降板12,16,22を下方から支持するトラス2の上部梁2a付近、あるいは、上部梁2aの上方に配置され、本実施形態では、第2乗降板16の長手方向両端部に設けられている。
【0046】
凹部32は、第3乗降板22の天板23に設けられた受け部材25と対向する位置に第3乗降板22の天板23から離隔する方向へ後退するように形成されている。
【0047】
第2乗降板16の天板17に対向する第3乗降板22の天板23の対向縁部23aには当接部44と凹部46とが形成されている。
【0048】
当接部44は、第2乗降板16の天板17へ向けて突出している。当接部44は、例えば、各乗降板12,16,22を下方から支持するトラス2の上部梁2a付近、あるいは、上部梁2aの上方に配置され、本実施形態では、第3乗降板22の長手方向両端部に設けられている。
【0049】
凹部46は、第2乗降板16の天板17に設けられた受け部材20と対向する位置に第2乗降板16の天板17から離隔する方向へ後退するように形成されている。
【0050】
このような構成の乗降部床装置10では、図6〜図8に示すように、第1乗降板12、第2乗降板16、および第3乗降板22を踏段3の移動方向Xに並べて乗降部6に配設した状態で、第2乗降板16に設けられた当接部26が第1乗降板12に設けられた当接部40に当接し、第2乗降板16に設けられた当接部30が第3乗降板22に設けられた当接部44に当接する。
【0051】
第2乗降板16に設けられた凹部28と第1乗降板12に設けられた凹部42とが連通して1つに繋がり、第2乗降板16の天板17と第1乗降板12の天板13との間には間隙33が形成され、第2乗降板16に設けられた凹部32と第2乗降板22に設けられた凹部46とが連通して1つに繋がり、第2乗降板16の天板17と第3乗降板22の天板23との間には間隙34が形成される。
【0052】
そして、第1乗降板12に設けられた受け部材15の上面には第2乗降板16の天板17が載置され、受け部材15が第2乗降板16を下方より支持し、第2乗降板16に設けられた受け部材19の上面には第1乗降板12の天板13が載置され、受け部材19が第1乗降板12を下方より支持する。
【0053】
また、第3乗降板22に設けられた受け部材25の上面には第2乗降板16の天板17が載置され、受け部材25が第2乗降板16を下方より支持し、第2乗降板16に設けられた受け部材20の上面には第2乗降板22の天板23が載置され、受け部材20が第3乗降板22を下方より支持する。
【0054】
以上のように本実施形態の乗降部床装置10では、各乗降板12,16,22に隣接する乗降板を下方より支持する受け部材15,19,20,25が配設されているため、複数の乗降板12,16,22のうち一の乗降板に荷重がかかっても隣接する他の乗降板へその荷重を分散して乗降板のたわみ量を小さくすることができる。しかも、隣接する他の乗降板も荷重を受けた乗降板と同調して撓むことから、隣接する乗降板12、16、22同士が擦れにくくなり、より一層、きしみ音の発生を抑えることができる。
【0055】
なお、上記した構成及び作用効果以外は第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0056】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、上記した第1の実施形態と同一又は対応する要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0057】
本実施形態と上記した第1の実施形態との相違点は、乗降板に設けられた当接部が乗降板の配列方向への突出量を調整可能に設けられている点である。
【0058】
詳細には、図9に示すように、第1乗降板12の天板13には、複数(本実施形態では、例えば2つ)の受け部材15が乗客コンベア1の幅方向Wに所定間隔をあけて配設されている。受け部材15は、天板13から第2乗降板16へ向けて突出するように天板13の下面に取り付けられている。
【0059】
第2乗降板16の天板17の下面には、第1乗降板12へ向けて突出するように受け部材19が設けられ、第3乗降板22へ向けて突出するように受け部材20が設けられている。
【0060】
受け部材19は、第1乗降板12と第2乗降板16とを並べて設けた際に、第1乗降板12に設けられた受け部材15を避けた位置に配され、本実施形態では、例えば、乗客コンベア1の幅方向中央部に配設されている。受け部材20は、上記した第1乗降板12に設けられた受け部材15と同様、乗客コンベア1の幅方向Wに所定間隔をあけて配設されている。
【0061】
また、第3乗降板22の天板23の下面には、第2乗降板16へ向けて突出するように受け部材25が設けられている。受け部材25は、上記した第2乗降板16に設けられた受け部材19と同様、第2乗降板16と第3乗降板22とを並べて設けた際に、第2乗降板16に設けられた受け部材20を避けた位置に配され、本実施形態では、例えば、乗客コンベア1の幅方向中央部に配設されている。
【0062】
そして、受け部材19には、図9〜図11に示すように、ジャッキボルト50が螺合されるとともにナット52によって受け部材19に固定されている。ジャッキボルト50の先端部は、第1乗降板12の支持板14において第2乗降板16に対向する対向縁部14aへ向けて突出しており、受け部材19より第1乗降板12側へ突出している。ジャッキボルト50は、受け部材19に対して螺進退させることでその突出量が調整可能に設けられている。
【0063】
また、受け部材20にも受け部材19と同様のジャッキボルト54が螺合されるとともにナット56によって受け部材20に対して固定されている。ジャッキボルト54の先端部は、第3乗降板22の支持板24において第2乗降板16に対向する対向縁部24aへ向けて突出しており、受け部材20より第3乗降板22側へ突出している。ジャッキボルト54は、受け部材20に対して螺進退させることでその突出量が調整可能に設けられている。
【0064】
このような構成の乗降部床装置10では、第1乗降板12、第2乗降板16、および第3乗降板22を踏段3の移動方向Xに並べて乗降部6に配設した状態で、図11に示すように、第2乗降板16の受け部材19に設けられたジャッキボルト50が、第1乗降板12が有する支持板14の対向縁部14aに当接し、受け部材20に設けられたジャッキボルト54が、第3乗降板22が有する支持板24の対向縁部24aに当接する。
【0065】
これにより、第1乗降板12の天板13と第2乗降板16の天板17との間には間隙33が形成され、第2乗降板22の天板23と第2乗降板16の天板17との間には間隙34が形成される。
【0066】
つまり、本実施形態において、ジャッキボルト50は、第1乗降板12の対向縁部14aへ向けて突出し該対向縁部14aに当接し、天板13と天板17との間に間隙33を形成する当接部となり、ジャッキボルト54は、第3乗降板22の対向縁部24aへ向けて突出し該対向縁部24aに当接し、天板17と天板23との間に間隙34を形成する当接部となる。
【0067】
なお、ジャッキボルト50,54の突出量は、間隙33および間隙34の大きさ(すなわち、隣接する乗降板の天板の間隔)が、例えば、0.5mm以下に、好ましくは0.1〜0.3mmになるように調節する。
【0068】
そして、第1乗降板12に設けられた受け部材15の上面には第2乗降板16の天板17が載置され、受け部材15が第2乗降板16を下方より支持し、第2乗降板16に設けられた受け部材19の上面には第1乗降板12の天板13が載置され、受け部材19が第1乗降板12を下方より支持する。
【0069】
また、第3乗降板22に設けられた受け部材25の上面には第2乗降板16の天板17が載置され、受け部材25が第2乗降板16を下方より支持し、第2乗降板16に設けられた受け部材20の上面には第2乗降板22の天板23が載置され、受け部材20が第3乗降板22を下方より支持する
以上のように本実施形態の乗降部床装置10では、隣接する乗降板12,22の対向縁部14a,24aへ向けて突出する当接部が、乗降板12,16,22の配列方向に沿って螺進退可能に設けられたジャッキボルト50,54で構成されている。そのため、各乗降板12,16,22を乗降部6に配設した際に天板13,17,23の間に形成される間隙33,34の大きさを微調整しやすくなることから、間隙33,34の大きさを乗降部床装置10の美観を損なうことなく、きしみ音の発生を抑えることができる適切な大きさに容易に設定することができる。
【0070】
本実施形態では、隣接する乗降板を下方より支持する受け部材19,20に隣接する乗降板12,22の対向縁部14a,24aへ向けて突出する当接部として機能するジャッキボルト50,54を設ける場合について説明したが、他の受け部材15,25にジャッキボルトを設けてもよく、また、受け部材と別個の部材にジャッキボルトを設けてもよい。
【0071】
なお、上記した構成及び作用効果以外は第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0072】
10…乗降部床装置
12…乗降板
13…天板
13a…対向縁部
14…支持板
16…乗降板
17…天板
17a…対向縁部
17b…対向縁部
18…支持板
22…乗降板
23…天板
23a…対向縁部
24…支持板
26…当接部
28…凹部
30…当接部
32…凹部
33…間隙
34…間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの乗降部に並設された複数の乗降板を備えた乗客コンベアの乗降部床装置において、
隣接する一対の前記乗降板において対向する一対の対向縁部の少なくとも一方は、他方の前記対向縁部へ向けて突出し他方の前記対向縁部に当接する当接部を備え、隣接する一対の前記乗降板の間に間隙が形成されていることを特徴とする乗客コンベアの乗降部床装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記乗降板の配列方向に沿って螺進退可能に設けられたボルトを備え、 前記ボルトの先端部が対向する前記対向縁部に当接することを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの乗降部床装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記乗降板を下方から支持する支持部の上方に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗客コンベアの乗降部床装置。
【請求項4】
前記間隙は、前記乗降板における乗客コンベアの幅方向中央部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗客コンベアの乗降部床装置。
【請求項5】
隣接する前記乗降板の少なくとも一方の前記乗降板には、他方の前記乗降板を下方より支持する受け部材が配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗客コンベアの乗降部床装置。
【請求項6】
隣接する前記乗降板の一方の前記乗降板には、他方の前記乗降板を下方より支持する受け部材が配設され、
他方の前記乗降板には、一方の乗降板の縁部を下方より支持する受け部材が配設されていることを特徴とする請求項5に記載の乗客コンベアの乗降部床装置。
【請求項7】
前記間隙の大きさが0.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の乗客コンベアの乗降部床装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−219228(P2011−219228A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90841(P2010−90841)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】