説明

乗客コンベアの保守方法

【課題】欄干を破損させず、容易かつ迅速にハンドレールガイドに係る保守を行うことができる乗客コンベアの保守方法の提供。
【解決手段】長さ調整装置5を取り外す第1手順と、上部乗降口7に設置されたハンドレールガイド3の設置位置と未設置位置の境界部11でハンドレール4の一部をハンドレールガイド3から取り外す第2手順と、引続いてハンドレール4を下部乗降口8に向けてハンドレール4を運転する第3手順と、取り外したハンドレール4を境界部11で再びハンドレールガイド3に嵌合させて所定範囲のみハンドレール4がハンドレールガイド3から離脱するハンドレール離脱部4aを形成するようにした第4手順とを含み、ハンドレール離脱部4aを、下部乗降口8に向けて踏段1が移動するようにハンドレール4を走行させ、順次ハンドレール離脱部4aに対向するハンドレールガイド部分3aの保守を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアに備えられたハンドレールを案内するハンドレールガイドを保守するのに好適な乗客コンベアの保守方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータの構成を示す側面図である。
【0003】
図6に示すように、乗客コンベア、例えばエスカレータは、無端状に連結されて循環移動する複数の踏段1と、これら踏段1の側部に立設された欄干2と、この欄干2の周縁部に設けられた無端状のハンドレール4と、このハンドレール4を案内するハンドレールガイド3と、このハンドレール4にテンションを掛けてハンドレール4の余長を調整する長さ調整装置5と、ハンドレール4を踏段1と共に循環移動させるハンドレール駆動装置6とを備えている。また、ハンドレール駆動装置6は、ハンドレール4の内側面に摺接する複数のローラ6aと、ハンドレール4の外側面に摺接する複数のローラ6bとを備え、これらのローラ6a,6bがそれぞれ回転することによって踏段1の移動と同一速度かつ同一方向へハンドレール4を循環移動させる。さらに、乗客コンベアの前方及び後方にはそれぞれ上部乗降口7及び下部乗降口8が設置されている。
【0004】
上述したエスカレータのハンドレール4はハンドレールガイド3に案内されることによってハンドレールガイド3との間に摺接摩擦が生じる。そのため、エスカレータが長期に渡って使用されると、この摺接摩擦によってハンドレールガイド3が摩耗するので、ハンドレールガイド3の摩耗量点検、交換及び摩耗粉の清掃等の保守を定期的に実施している。
【0005】
このようなエスカレータは、従来よりハンドレール4をハンドレールガイド3から取り外して行われるが、ハンドレール4をハンドレールガイド3から取り外す際に多大な労力を必要とする。そこで、ハンドレール4をハンドレールガイド3から簡単に取り外して乗客コンベアの保守を行う方法の従来技術の1つとして、特許文献1に示す乗客コンベアのハンドレール離脱方法が知られている。
【0006】
図7は従来の乗客コンベアのハンドレール離脱方法を説明する図である。
【0007】
特許文献1に開示された乗客コンベアのハンドレール離脱方法は、上部乗降口7に位置する図7示す欄干上部7Aに嵌合するハンドレール4の一部を持ち上げ、ハンドレール4の一部をハンドレールガイド3から離脱させる。そして、ハンドレール駆動装置6を駆動させることによってハンドレール4を踏段1と共に下降運転させるというものである。
【0008】
なお、特許文献1に開示された乗客コンベアのハンドレール離脱方法には表わされていないが、上述したように乗客コンベアには通常、長さ調整装置5及びハンドレール駆動装置6が設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−89686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図8は図7に示す乗客コンベアのハンドレール離脱方法における問題点を説明する図である。
【0011】
ところで、特許文献1に開示された乗客コンベアのハンドレール離脱方法では、図8に示すように、ハンドレール4をハンドレールガイド3から取り外す前の状態と取り外した後の状態で欄干上部7A及び欄干下部8Aにおけるハンドレール4の曲率半径が異なる。すなわち、欄干上部7A又は欄干下部8Aにおいて、ハンドレールガイド3から取り外す前の状態のハンドレール4の曲率半径をR2、ハンドレールガイド3から取り外した後の状態のハンドレール4の曲率半径をR3とすると、曲率半径R2より曲率半径R3のほうが大きくなる(R2<R3)。
【0012】
そのため、ハンドレール4の全長の長さが変わらないので、図7に示すようにハンドレール4の離脱した部分が欄干下部8Aで浮き上がる。そして、このハンドレール4の浮き上がりによってハンドレール駆動装置6が駆動不能を起こすので、これを防止するために欄干下部8Aの屈曲部分10に位置するハンドレール4に対して矢印A方向へ押圧力を加える。
【0013】
しかしながら、ハンドレール4に対して押圧力を加えることによってハンドレール駆動装置6の駆動不能を防止することはできるが、この押圧力に伴ってハンドレール4に過大な張力が発生する。そして、このハンドレール4に生じた張力によって欄干2に過大な負荷が掛かり、欄干2を破損させるという懸念がある。このような欄干2の破損が生じた場合には、新しい欄干2に交換する等の煩雑な作業が必要になる。
【0014】
また、特許文献1に開示された乗客コンベアのハンドレール離脱方法では、ハンドレール4の全周をハンドレールガイド3から取り外して乗客コンベアの保守を行うので、再度ハンドレール4の全周をハンドレールガイド3に取り付けなければならず、乗客コンベアを保守するのに多大な労力と時間を要し、保守作業の能率向上を見込めないという問題もある。
【0015】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、欄干を破損させることなく、容易かつ迅速にハンドレールガイドに係る保守を行うことができる乗客コンベアの保守方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の乗客コンベアの保守方法は、欄干の周縁部に設けられたハンドレールガイドに嵌合して走行し、かつ長さ調整装置により前記ハンドレールガイドの全長に対する余長が調整されるハンドレール部分を、前記ハンドレールガイドから取り外して行われる乗客コンベアの保守方法において、前記長さ調整装置を取り外す第1手順と、前記長さ調整装置の設置位置から遠い側の乗降口に設置された前記ハンドレールガイドの設置位置と未設置位置の境界部で前記ハンドレールの一部を前記ハンドレールガイドから取り外す第2手順と、引続いて前記ハンドレールを前記長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて踏段が移動するように前記ハンドレールを運転する第3手順と、前記取り外した前記ハンドレールを前記境界部で再び前記ハンドレールガイドに嵌合させて所定範囲のみ前記ハンドレールが前記ハンドレールガイドから離脱するハンドレール離脱部を形成するようにした第4手順とを含み、前記ハンドレール離脱部を、前記長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて踏段が移動するように前記ハンドレールを走行させ、順次前記ハンドレール離脱部に対向する前記ハンドレールガイド部分の保守を行うことを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、第1手順で長さ調整装置を取り外すことによって生じた余長を利用し、第2ないし第4手順で長さ調整装置の設置位置に遠い側の乗降口において形成されたハンドレール離脱部が、ハンドレールの走行に伴って長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて走行することにより、乗客コンベアの保守作業中に欄干上部及び欄干下部でハンドレールの曲率半径R2が変化することがないので、欄干下部の屈曲部分に位置するハンドレールに対して押圧力を加えることなくハンドレールの浮き上がりを予め防止することができる。そのため、ハンドレールに過大な張力が発生せず、欄干に負荷が掛かることがないので、ハンドレールの張力による欄干の破損を防止することができる。
【0018】
また、ハンドレールの走行に伴って長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて走行するハンドレール離脱部に対向するハンドレールガイド部分の保守を行うので、ハンドレールの全周をハンドレールガイドから取り外さずにハンドレールガイドの全周の保守を行うことができる。そのため、ハンドレールを再度ハンドレールガイドに取り付ける必要がなく、乗客コンベアの保守を容易かつ迅速に行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る乗客コンベアの保守方法は、前記乗客コンベアがエスカレータから成り、前記長さ調整装置が下階床の乗降口付近に設けられ、前記境界部が上階床の乗降口付近に位置し、前記第4手順で形成した前記ハンドレール離脱部を上階床の乗降口側から下階床の乗降口側に向けて移動させながら保守を行うことを特徴としている。このように構成すると、建設内等に配置されて多数の乗客に利用されるエスカレータにおいて有効に活用することができる。
【0020】
また、本発明に係る乗客コンベアの保守方法は、前記乗客コンベアがエスカレータから成り、前記長さ調整装置が上階床の乗降口付近に設けられ、前記境界部が下階床の乗降口付近に位置し、前記第4手順で形成した前記ハンドレール離脱部を下階床の乗降口側から上階床の乗降口側に向けて移動させながら保守を行うことを特徴としている。このように構成すると、エスカレータの内部構造において長さ調整装置が上階床の乗降口付近に設けられている場合にも有効に適用できる。
【0021】
また、本発明に係る乗客コンベアの保守方法は、前記乗客コンベアが動く歩道から成ることを特徴としている。このように構成すると、全長が長く設定されやすい動く歩道において従来に比べてより容易かつ迅速に保守することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の乗客コンベアの保守方法は、第1手順で長さ調整装置を取り外すことでハンドレール4に生じる余長を利用して、第2手順ないし第4手順で長さ調整装置の設置位置に遠い側の乗降口において形成されたハンドレール離脱部を、長さ調整位置の設置位置に近い側の乗降口に向けて踏段が移動するようにハンドレールを走行させてハンドレール離脱部に対向するハンドレールガイド部分の保守を行うことにより、乗客コンベアの保守作業中に欄干上部及び欄干下部でハンドレールの曲率半径R2が変化することがないので、欄干下部の屈曲部分に位置するハンドレールに対して押圧力を加えることなくハンドレールの浮き上がりを予め防止することができる。そのため、ハンドレールに過大な張力が発生せず、欄干に負荷が掛かることがないので、ハンドレールの張力による欄干の破損を防止することができる。これにより、乗客コンベアの耐久性を向上させることができる。
【0023】
また、ハンドレールを長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて走行させることにより、ハンドレール離脱部がハンドレールガイドの全周を移動するので、ハンドレールの全周をハンドレールガイドから取り外さずにハンドレールガイドの全周の保守を行うことができる。そのため、ハンドレールを再度ハンドレールガイドに取り付ける必要がなく、乗客コンベアの保守を容易かつ迅速に行うことができる。これにより、乗客コンベアの保守作業の作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態における第2手順を説明する図である。
【図2】本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態における第4手順を説明する図である。
【図3】本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態における第4手順後の動作を示す側面図である。
【図4】本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第2実施形態が適用される乗客コンベアの一例として挙げた動く歩道の構成を示す側面図である。
【図5】本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第2実施形態を説明する図である。
【図6】乗客コンベアの一例として挙げたエスカレータの構成を示す側面図である。
【図7】従来の乗客コンベアのハンドレール離脱方法を説明する図である。
【図8】図7に示す乗客コンベアのハンドレール離脱方法における問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る乗客コンベアの保守方法を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態における第2手順を説明する図、図2は本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態における第4手順を説明する図、図3は本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第4手順後の動作を示す側面図である。
【0027】
本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態は、乗客コンベア、例えば前述した図6〜図8に示すエスカレータに適用されるものであり、本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態が適用されるエスカレータの基本構成は、図6〜図8に示すエスカレータの構成と同じである。従って、図6〜図8に示すエスカレータと重複する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0028】
本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第1実施形態は、まず第1手順として、下部乗降口8付近に設置された長さ調整装置5を取り外す。
【0029】
次に、図1に示すように第2手順として、長さ調整装置5の設置位置から遠い側の乗降口、すなわち上部乗降口7に設置されたハンドレールガイド3の設置位置と未設置位置の境界部11でハンドレール4の一部をハンドレールガイド3から取り外す。
【0030】
そして、第3手順として、ハンドレール4を長さ調整装置5の設置位置に近い側の乗降口、すなわち下部乗降口8に向けて踏段1が移動するようにハンドレール駆動装置6を駆動させてハンドレール4を運転する。
【0031】
次に、図2に示すように第4手順として、取り外したハンドレール4を境界部11で再びハンドレールガイド3に嵌合させて所定範囲のみハンドレール4がハンドレールガイド3から離脱するハンドレール離脱部4aを形成する。
【0032】
最後に、図3に示すように、ハンドレール離脱部4aを、長さ調整装置5の設置位置に近い側の乗降口、すなわち下部乗降口8に向けて踏段1が移動するようにハンドレール4を走行させ、順次ハンドレール離脱部4aに対向するハンドレールガイド部分3aの保守を行う。
【0033】
このようにした本発明の第1実施形態によれば、第1手順で下部乗降口8付近に設置された長さ調整装置5を取り外すことでハンドレール4に余長が生じる。そして、この余長を利用し、第2手順ないし第4手順で上部乗降口7においてハンドレール離脱部4aを形成することによって、このハンドレール離脱部4aに対向するガイドレール部分3aが保守可能となる。この状態において下部乗降口8に向けて踏段1が移動するようにハンドレール4を走行させてハンドレールガイド部分3aの保守を行うことにより、乗客コンベアの保守作業中に欄干上部7A及び欄干下部8Aでハンドレールの曲率半径R2が変化することがないので、欄干下部8Aの屈曲部分10に位置するハンドレール4に対して押圧力を加えることなくハンドレール4の浮き上がりを予め防止することができる。そのため、ハンドレール4に過大な張力が発生せず、欄干2に負荷が掛かることがないので、ハンドレール4の張力による欄干2の破損を防止することができ、破損によって新しい欄干2に交換する等の煩雑な作業を要しない。これにより、乗客コンベアの耐久性を向上させることができる。
【0034】
また、ハンドレール4を下部乗降口8に向けて走行させることにより、ハンドレール離脱部4aがハンドレールガイド3の全周を移動するので、ハンドレールガイド3の一部分に限らず全周をも保守することができる。そのため、ハンドレールガイド3の全周を保守するためにハンドレール4全周の取り外し作業及び取り付け作業を必要としないので、乗客コンベアの保守を容易かつ迅速に行うことができる。これにより、作業員の労力を低減し、時間を節約することができ、乗客コンベアの保守作業の作業能率を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の第1実施形態は、乗客コンベアがエスカレータから成り、長さ調整装置5が下部乗降口8に設けられ、ハンドレールガイド3の設置位置と未設置位置の境界部11が上部乗降口7付近に位置し、第4手順で形成したハンドレール離脱部4aを上部乗降口7側から下部乗降口8側に向けて移動させながら保守を行うようにしたので、建設内等に配置されて多数の乗客に利用されるエスカレータにおいて有効に活用することができると共に、保守作業における利便性を高めることができる。
【0036】
なお、本発明の第1実施形態は、長さ調整装置5が下部乗降口8付近に設けられ、ハンドレールガイド3の設置位置と未設置位置の境界部11が上部乗降口7付近に位置し、第4手順で形成したハンドレール離脱部4aを上部乗降口7側から下部乗降口8側に向けて移動させながら保守を行うようにした場合について説明したが、長さ調整装置5が上部乗降口7付近に設けられ、境界部11が下部乗降口8付近に位置し、第4手順で形成したハンドレール離脱部4aを下部乗降口8側から上部乗降口7側に向けて移動させながら保守を行うようにしても良い。この場合、上述したのと同様な効果が得られる他、エスカレータの内部構造において長さ調整装置5が上部乗降口7付近に設けられている場合にも有効に適用できる。
【0037】
[第2実施形態]
図4は本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第2実施形態が適用される乗客コンベアの一例として挙げた動く歩道の構成を示す側面図、図5は本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第2実施形態を説明する図である。
【0038】
本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第2実施形態は、図4、図5に示すように、乗客コンベア、例えば動く歩道に適用されるものである。この第2実施形態が適用される動く歩道の基本構成は、欄干2の形状の相違を除いて図6〜図8に示すエスカレータの構成とほぼ同じである。従って、図6〜図8に示すエスカレータと対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。以下図4及び図5に示すように、図6〜図8に示す欄干2、上部乗降口7及び下部乗降口8は、本発明の第2実施形態が適用される動く歩道においてそれぞれ欄干15、第1の乗降口12及び第2の乗降口13としている。
【0039】
図4に示すように、本発明に係る乗客コンベアの保守方法の第2実施形態は、第1実施形態と同様に、まず第1手順として、第2の乗降口13付近に設置された長さ調整装置5を取り外す。
【0040】
次に、第2手順として、長さ調整装置5の設置位置から遠い側の乗降口、すなわち第1の乗降口12に設置されたハンドレールガイド3の設置位置と未設置位置の境界部11でハンドレール4の一部をハンドレールガイド3から取り外す。
【0041】
そして、第3手順として、ハンドレール4を長さ調整装置5の設置位置に近い側の乗降口、すなわち第2の乗降口13に向けて踏段1が移動するようにハンドレール駆動装置6を駆動させてハンドレール4を運転する。
【0042】
次に、第4手順として、取り外したハンドレール4を境界部11で再びハンドレールガイド3に嵌合させて所定範囲のみハンドレール4がハンドレールガイド3から離脱するハンドレール離脱部4aを形成する。
【0043】
最後に、図5に示すように、ハンドレール離脱部4aを、長さ調整装置5の設置位置に近い側の乗降口、すなわち第2の乗降口13に向けて踏段1が移動するようにハンドレール4を走行させ、順次ハンドレール離脱部4aに対向するハンドレールガイド部分3aの保守を行う。
【0044】
このようにした本発明の第2実施形態によれば、本発明の第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、全長が長く設定されやすく、エスカレータよりも広範な作業を要する動く歩道において従来に比べてより容易かつ迅速に保守することができ、作業員の労力を大幅に低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 踏段
2,15 欄干
3 ハンドレールガイド
3a ハンドレールガイド部分
4 ハンドレール
4a ハンドレール離脱部
5 長さ調整装置
6 ハンドレール駆動装置
6a,6b ローラ
7 上部乗降口
7A 欄干上部
8 下部乗降口
8A 欄干下部
10 屈曲部分
11 境界部
12 第1の乗降口
13 第2の乗降口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
欄干の周縁部に設けられたハンドレールガイドに嵌合して走行し、かつ長さ調整装置により前記ハンドレールガイドの全長に対する余長が調整されるハンドレールを、前記ハンドレールガイドから取り外して行われる乗客コンベアの保守方法において、
前記長さ調整装置を取り外す第1手順と、前記長さ調整装置の設置位置から遠い側の乗降口に設置された前記ハンドレールガイドの設置位置と未設置位置の境界部で前記ハンドレールの一部を前記ハンドレールガイドから取り外す第2手順と、引続いて前記ハンドレールを前記長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて踏段が移動するように前記ハンドレールを運転する第3手順と、前記取り外した前記ハンドレールを前記境界部で再び前記ハンドレールガイドに嵌合させて所定範囲のみ前記ハンドレールが前記ハンドレールガイドから離脱するハンドレール離脱部を形成するようにした第4手順とを含み、前記ハンドレール離脱部を、前記長さ調整装置の設置位置に近い側の乗降口に向けて踏段が移動するように前記ハンドレールを走行させ、順次前記ハンドレール離脱部に対向する前記ハンドレールガイド部分の保守を行うことを特徴とする乗客コンベアの保守方法。
【請求項2】
請求項1に記載の乗客コンベアの保守方法において、前記乗客コンベアがエスカレータから成り、前記長さ調整装置が下階床の乗降口付近に設けられ、前記境界部が上階床の乗降口付近に位置し、前記第4手順で形成した前記ハンドレール離脱部を上階床の乗降口側から下階床の乗降口側に向けて移動させながら保守を行うことを特徴とする乗客コンベアの保守方法。
【請求項3】
請求項1に記載の乗客コンベアの保守方法において、前記乗客コンベアがエスカレータから成り、前記長さ調整装置が上階床の乗降口付近に設けられ、前記境界部が下階床の乗降口付近に位置し、前記第4手順で形成した前記ハンドレール離脱部を下階床の乗降口側から上階床の乗降口側に向けて移動させながら保守を行うことを特徴とする乗客コンベアの保守方法。
【請求項4】
請求項1に記載の乗客コンベアの保守方法において、前記乗客コンベアが動く歩道から成ることを特徴とする乗客コンベアの保守方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−202336(P2010−202336A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49622(P2009−49622)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】