乗客コンベアの欄干、欄干ユニット運搬装置、及び欄干の据付け方法
【課題】欄干の据付けにかかる作業者の負担を軽減可能な乗客コンベアの欄干、欄干ユニット運搬装置、及び欄干の据付け方法を得ることを目的とする。
【解決手段】トラス2に配設された複数のユニット支持体30、及びそれぞれユニット支持体30に立設状態に支持された複数の欄干ユニット8からなる乗客コンベアの欄干7において、ユニット支持体30のそれぞれは、トラス2から突設された保持壁31a、保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト38aの回転により昇降自在に保持壁31aの上方に配置された受け部36aを有し、欄干ユニット8のそれぞれは、それぞれベースユニット10の下面に固定された台座20、及び隙間26a,26bが台座20の下部に形成されるように台座20に固定された隙間形成部材23A,23Bを有し、欄干ユニット8は、隙間26a,26bに受け部36aを挿入している。
【解決手段】トラス2に配設された複数のユニット支持体30、及びそれぞれユニット支持体30に立設状態に支持された複数の欄干ユニット8からなる乗客コンベアの欄干7において、ユニット支持体30のそれぞれは、トラス2から突設された保持壁31a、保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト38aの回転により昇降自在に保持壁31aの上方に配置された受け部36aを有し、欄干ユニット8のそれぞれは、それぞれベースユニット10の下面に固定された台座20、及び隙間26a,26bが台座20の下部に形成されるように台座20に固定された隙間形成部材23A,23Bを有し、欄干ユニット8は、隙間26a,26bに受け部36aを挿入している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は欄干の据付けにかかる負担を軽減する乗客コンベアの欄干、欄干ユニット運搬装置、及び欄干の据付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエスカレータ用運搬装置は、上部に運搬物を載置保持する積載台と、下部にステップの上面との滑走面を有したベース部と、このベース部の下部から下方へ突出可能に構成されてその突出時に傾斜部に位置するステップの上面に載置保持してベース部の滑落を防止する滑り止め部と、ベース部から下方へ突出可能に構成され、その下端部に車輪を有するキャスタ部と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、欄干部材を一体に組み上げた欄干ユニットを据付位置まで運搬するときには、まず、キャスタ部をベース部から突出させた状態で欄干ユニットを積載台に載置し、締結具により積載台と欄干ユニットとの間を締結し、積載台に欄干ユニットを載置保持する。次いで、キャスタ部の車輪を転動させてエスカレータの乗降口まで欄干ユニットを運搬する。そして、キャスタ部のベース部からの突出を解除した後、滑り止め部を突出させ、欄干ユニットを運転停止状態のエスカレータの所定位置まで引き上げ、滑り止め部を用いて欄干ユニットをステップ上に保持する。この状態からエスカレータを運転し、欄干ユニットが据付位置まで運搬されたところでエスカレータの運転を停止させる。これにより、欄干ユニットを据付位置まで運搬する際の作業者の負担が軽減されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−226165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、欄干ユニットの据付けについては具体的に記載されていないが、欄干ユニットは、その下端側をトラスに固定された欄干ブラケットに係合させた後トラスに固定するのが一般的である。このため、据付位置まで運搬した欄干ユニットを据付けるときは、欄干ブラケットと係合するように欄干ユニットを据付位置から移動させて、欄干ユニットと欄干ブラケットとの間を固定する必要がある。従来のエスカレータ用運搬装置は、欄干ユニットの欄干ブラケットへの移動については、何等考慮されておらず、欄干ユニットを欄干ブラケットに係合させる際の欄干ユニットの移動は、作業員が腕力で持ち上げて行う必要ある。この場合、欄干ユニットが重いので、作業員への負担が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、欄干の据付けにかかる作業者の負担を軽減可能な乗客コンベアの欄干、欄干ユニット運搬装置、及び欄干の据付け方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、無端状に連結されて乗り口と降り口との間を循環移動する複数の踏段のそれぞれの横幅方向の両側に相対するトラスの部位に、踏段の走行方向に互いに所定距離離間して配設された複数のユニット支持体、及びそれぞれユニット支持体に立設状態に支持され、踏段の横幅方向の両側で相対するように乗り口から降り口に至るように配列された複数の欄干ユニットからなる乗客コンベアの欄干において、ユニット支持体のそれぞれは、トラスの部位から踏段の横幅方向の踏段側に突設され、かつ、踏段の走行方向に所定の長さだけ延在する保持壁、保持壁に下方から挿通されて保持壁に軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト、及び第1ボルトの先端側に螺合され、第1ボルトの回転により昇降自在に保持壁の上方に配置された受け部を有し、欄干ユニットのそれぞれは、ベースユニット、ベースユニットの上面側に支持された欄干パネル、それぞれベースユニットの下面に踏段の走行方向に互いに所定距離離間して固定された少なくとも2つの台座、及び踏段の走行方向に相対するように開口する隙間が、台座の下部に踏段の横幅方向に貫通して形成されるように台座に固定された隙間形成部材を有し、欄干ユニットは、隙間に受け部を挿入し、ベースユニットが、固定部材により保持壁又はトラスに対して固定されて取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、受け部が昇降可能に保持壁の上方に配置され、さらに、欄干ユニットは、受け部と嵌合してユニット支持体に支持されるように構成されている。つまり、欄干の据付け時に踏段に乗せられてユニット支持体の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニットに対し、受け部の高さ位置を調整できる。さらに、欄干ユニットを受け部側にスライド移動させる装置を用い、欄干ユニットを受け部側にスライド移動すれば、ユニット支持体の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニットと受け部とを容易に嵌合させることができる。また、この状態から受け部の高さ位置を調整することにより、欄干ユニットを所定の設置高さ位置に配置させることができる。以上により、欄干の据付けにかかる作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る欄干が設置された乗客コンベアの模式図、図2は図1のII−II矢視部分断面図、図3は図2のB方向から見た要部正面図、図4はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの斜視図、図5はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの分解斜視図、図6はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースユニット、台座、及び隙間形成部材の分解斜視図、図7はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースプレートの一端部周辺の詳細図であり、図7の(a)は斜視図、図7の(b)は上面図、図7の(c)は側面図、図7の(d)は正面図をそれぞれ示している。図8はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの台座及び隙間形成部材の詳細図であり、図8の(a)は斜視図、図8の(b)は上面図、図8の(c)は側面図、図8の(d)は正面図をそれぞれ示している。図9はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け時に欄干ユニットを支持する受け板の詳細図であり、図9の(a)は受け板の上面図、図9の(b)は側面図をそれぞれ示している。図10はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け時に使用されるキャスタユニットの詳細図であり、図10の(a)は斜視図、図10の(b)は上面図、図10の(c)は側面図、図10の(d)は正面図をそれぞれ示している。図11はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットを支持するユニット支持体の詳細図であり、図11の(a)は正面図、図11の(b)は側面図をそれぞれ示している。図12は既設のエスカレータの既設の欄干を構成する既設の欄干ユニットの据付け構造を説明する断面図である。図13は既設のエスカレータの既設の欄干ブラケットの詳細図であり、図13の(a)は正面図、図13の(b)は側面図それぞれ示している。図14はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図、図15はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図である。図16はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを踏段に搭載する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。図17はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。図18はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。図19〜図24はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。図25はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを所定の設置高さ位置で支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【0010】
まず、乗客コンベアとしてのエスカレータ1の主要構成について図1を参照しつつ説明する。
エスカレータ1は、中空体に形成され、乗り口と降り口のそれぞれの下部の間に架設されたトラス2、無端状に連結されて乗り口と降り口との間を循環移動する踏段5、及び踏段5の横幅方向の両側のそれぞれに立設され、相対する一対の欄干7を有している。なお、図1では、踏段5の横幅方向の一方に立設されたた欄干7のみを図示している。そして、一対の欄干7のそれぞれは、それぞれ欄干パネル9を主要構成に有し、乗り口から降り口まで配列された欄干ユニット8と、トラス2に固定され、欄干ユニット8のそれぞれを支持する後述のユニット支持体30と、で構成されている。
【0011】
次いで、欄干ユニット8の構造について説明する。
図2及び図3において、欄干ユニット8のそれぞれは、欄干パネル9、上面側で欄干パネル9を支持するベースユニット10、ベースユニット10の下面側に固定される一対の台座20、台座20に固定された隙間形成部材23A,23B、及び欄干パネル9の内面に配設された内デッキ27、欄干パネル9の外面に配設された外デッキ28を有している。
【0012】
ベースユニット10は、図4〜図7に示されるように、長尺平板状のベースプレート11、及びベースプレート11の一面(上面)にベースプレート11の長手方向に所定距離離間して固定された2つのパネル保持手段12A,12Bを有している。
【0013】
そして、2つのパネル保持手段12A,12Bのそれぞれは一対の保持板13a,13bにより構成されている。パネル保持手段12Aの保持板13a,13bは、ベースプレート11の短手方向に所定の隙間をあけて相対するようにベースプレート11の一面の長手方向の一端側に突設されている。また、パネル保持手段12Bの保持板13a,13bは、ベースプレート11の短手方向に所定の隙間をあけて相対するようにベースプレート11の一面の長手方向の他端側に突設されている。なお、保持板13aが、保持板13bよりベースプレート11の短手方向の一端側に配設されている。
【0014】
また、一対の第1挿通穴14aのそれぞれが、保持板13bのそれぞれの長手方向両端近傍のベースプレート11の部位に、かつ、ベースプレート11の長手方向に所定距離離間して形成されている。このとき、一対の第1挿通穴14aは、保持板13bよりベースプレート11の短手方向の他端側の部位に位置している。
【0015】
一対の台座20は、図4〜図6に示されるように、ベースプレート11の他面(下面)側にベースプレート11の長手方向に所定距離離間して固定されている。
一対の台座20のそれぞれは、図8にも示されるように、矩形平板状の支持板21、及び一対の側壁22a,22bと底壁22cとを有するコ字状に形成され、コ字状の開口を支持板21の一面に向けて支持板21に固定された支持台22を有している。
【0016】
また、隙間形成部材23A,23Bが支持板21の側面にそれぞれ固定されている。
そして、支持台22と支持板21とで形成される調整穴25の延在方向は、図8に示されるように、支持板21の短手方向に一致し、当て壁24が、調整穴25の一方の開口を塞ぐように支持台22の内壁面に形成されている。
【0017】
また、隙間形成部材23A,23Bのそれぞれは、支持板21の短手方向に平行な側面のそれぞれに固定された取付辺23a、及び支持板21の他面との間に所定の隙間26a,26bを形成するように取付辺23aの一端から垂直に延出された隙間形成辺23bを有するL字状に形成されている。このとき、隙間26a,26bの互いの開口は、支持板21の長手方向に相対している。また、一対の第2挿通穴21aが、図8の(b)に示されるように、支持板21に形成されている。このとき、一対の第2挿通穴21aは、支持板21の長手方向に所定距離離間し、かつ、開口が底壁22cと相対している。
【0018】
そして、上記のように隙間形成部材23A,23Bが固定されたベースユニット10と台座20とは、図6に示されるように、支持台22の底壁22cの外壁面を、ベースプレート11の他面の長手方向両端側の部位に固着することにより連結されている。このとき、台座20は、調整穴25の延在方向がベースプレート11の短手方向に一致するように、また、当て壁24が、ベースプレート11の短手方向の一端側下部に位置するように配置されている。
【0019】
そして、欄干パネル9の下縁側が、図4及び図5に示されるように、保持板13a,13bの間に挿入されている。そして、詳細には図示しないが、保持板13aには、それぞれネジ穴が保持板13aの厚さ方向に形成されており、欄干パネル9はネジ穴に螺着されたボルトにより保持板13bに押し付けられて安定して保持されている。
【0020】
そして、パッキン19A,19Bが、図4及び図5に示されるように、欄干パネル9の両面それぞれの下縁側に、欄干パネル9の長手方向の両端間にわたって固定されている。
なお、欄干パネル9の長手方向は、ベースプレート11の長手方向に一致する。そして、内デッキ27は、その一方の縁部がパッキン19Aを介して欄干パネル9の内面に連結されている。つまり、コ字状に折り曲げられた嵌合部27aが内デッキ27の一方の縁部に形成され、凹部19aがパッキン19Aの欄干パネル9への取付面と反対側の面に形成されている。そして、嵌合部27aと凹部19aとが嵌合され、内デッキ27の一方の縁部がパッキン19Aに安定保持されている。
【0021】
また、外デッキ28は、その一方の縁部がパッキン19Bを介して欄干パネル9の外面に連結されている。つまり、コ字状に折り曲げられた嵌合部28aが外デッキ28の一方の縁部に形成され、凹部19bがパッキン19Bの欄干パネル9への取付面と反対側の面に形成されている。そして、嵌合部28aと凹部19bとが嵌合され、外デッキ28の一方の縁部がパッキン19Bに安定保持されている。
【0022】
次いで、トラス2について説明する。
図1〜図3において、トラス2は、踏段5の横幅方向の両側に踏段5から所定の距離をあけて乗り口から降り口まで踏段5の走行方向に沿って延設された断面L字状の一対の縁枠部3を有している。なお、図2及び図3では、踏段5の横幅方向の一側に配置された縁枠部3のみを図示している。
【0023】
次いで、踏段5の横幅方向の一側に配置された縁枠部3の詳細について説明する。縁枠部3は、踏段5の側面と平行、かつ、主要部が踏段5より上方に位置するブラケット取付部3aと、ブラケット取付部3aの上端から踏段5の横幅方向の他側に向かって垂直に延出された延出部3bと、を有している。なお、踏段5の横幅方向の他側に配置された縁枠部3は、一側に配置された縁枠部3と、踏段5の横幅方向の中心、かつ、踏段5の走行方向を含む鉛直面に対して対称に延設されている。つまり、ブラケット取付部3aが、踏段5の横幅方向の両側で相対している。
【0024】
そして、以下に説明する複数のユニット支持体30が、ブラケット取付部3aのそれぞれに縁枠部3の延設方向、言い換えれば、踏段5の走行方向に互いに所定距離離間して配設され、欄干ユニット8のそれぞれがユニット支持体30に支持されている。
以下、ユニット支持体30による欄干ユニット8の支持構造について説明する。
図2及び図3において、ユニット支持体30は、欄干ブラケット31、欄干ブラケット31に支持された第1ボルト38a、及び欄干ブラケット31に第1ボルト38aを介して連結された受け板36を有している。
【0025】
欄干ブラケット31は、矩形平板の両短辺を垂直に同方向に折り曲げて形成され、側壁31b,31cと底壁を形成する保持壁31aとを有するコ字状に形成されている。そして、欄干ブラケット31は、そのコ字状の開口を下方に向け、かつ、コ字状の溝の延在方向が、ブラケット取付部3aに直交するようにブラケット取付部3aに突設されている。このとき、保持壁31aの長手方向は、踏段5の走行方向に一致し、保持壁31aは、長手方向に所定の長さを有している。
【0026】
そして、一対の第3挿通穴32aが、保持壁31aの長手方向の両端近傍、かつ、縁枠部3からの突設方向の中間部に形成されている。このとき、一対の第3挿通穴32aは、ベースプレート11の一対の第1挿通穴14aの離間距離と同じ距離だけ保持壁31aの長さ方向に離間している。
また、一対の第4挿通穴32bが、保持壁31aの突出端側の部位、かつ、保持壁31aの長手方向に関し、第3挿通穴32a間の内側の保持壁31aの部位に形成されている。このとき、第4挿通穴32bは、支持板21の一対の第2挿通穴21aの離間距離と同じ距離だけ離間している。
【0027】
そして、一対の第1ボルト38aが、第4挿通穴32bのそれぞれに下方から挿入されている。また、ナット39aが、保持壁31aの上面の位置で螺合されて、第1ボルト38aが保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持されている。
【0028】
また、図示しないが、欄干ブラケット31は、欄干ユニット8を所定の据付け位置に配置したときの台座20の位置に対応するように、縁枠部3の延在方向に所定の間隔で複数配設されている。
そして、受け板36は、図9に示されるように、一方の長辺側の部位に長手方向に離間する一対のネジ穴36cが形成された矩形平板状の受け部36aと、受け部36aの他方の長辺から垂直に延出するスライド規制部36bと、を有するL字状に形成されている。なお、一対のネジ穴36cの間は、一対の第2挿通穴21aの離間距離及び一対の第4挿通穴32bの離間距離と同じ距離だけ離間している。
そして、受け板36は、図2及び図3に示されるように、受け部36aが保持壁31aと相対し、また、スライド規制部36bが受け部36aの上方に延出するように配置されている。
【0029】
さらに、欄干ユニット8のそれぞれは、長手方向が縁枠部3の延設方向に一致するように、かつ、台座20が下端にくるように配置されている。前述したように、隙間26a,26bの互いの開口は、支持板21の長手方向に相対している。即ち、隙間形成部材23A,23Bは、踏段5の走行方向に相対するように開口する隙間26a,26bが、台座20の下部に踏段5の横幅方向に貫通して形成されるように支持板21の側面に固定されている。
そして、受け部36aの両縁側が、台座20の下部の隙間26a,26bに挿入(嵌合)されている。このとき、一対の第1挿通穴14aが第3挿通穴32aに同軸に配置され、また、第2挿通穴21a、ネジ穴36c、及び第4挿通穴32bのそれぞれが同軸に配置されている。
【0030】
そして、保持壁31aに支持された一対の第1ボルト38aのそれぞれは、受け部36aの一対のネジ穴36cのそれぞれに螺合され、さらにネジ穴36cから延出した第1ボルト38aの先端側が、支持板21の第2挿通穴21aを貫通して、調整穴25内に位置している。これにより、後述するが、受け部36aは第1ボルト38aの回転に応じて、保持壁31aの上方で昇降自在となっている。
【0031】
また、ベースプレート11の第1挿通穴14aのそれぞれと、保持壁31aの第3挿通穴32aのそれぞれとが相対し、第2ボルト38bが、第3挿通穴32a及び第1挿通穴14aに下方から挿入されている。そして、第2ボルト38bは、第3挿通穴32aへの挿通部位で、保持壁31aの上方から螺着されたナット39bによって保持壁31aに固定されている。
【0032】
また、一対のナット39c,39dのそれぞれが、第2ボルト38bの第1挿通穴14aへの挿通部位で、ベースプレート11の両側からベースプレート11を挟持するように螺着され、ベースユニット10が、保持壁31aに対して安定した状態で固定される。つまり、第2ボルト38b、ナット39b〜39dが、ベースユニット10を欄干ブラケット31に固定させるための固定部材を構成している。
【0033】
また、図2において、一方の縁部がパッキン19Aを介して欄干パネル9に連結された内デッキ27は、その他方の縁部が欄干パネル9の内面から下方に傾斜するように延在し、踏段5の側面と隙間を保って配設されたスカートガード41の上端側に欄干パネル9の内側で連結されている。また、一方の縁部がパッキン19Bを介して欄干パネル9に連結された外デッキ28は、その他方の縁部が欄干パネル9の外方に延在し、欄干パネル9の外方、かつ、下部側に立設された外装板40に連結されている。
【0034】
次いで、欄干7の据付け時に欄干ユニット8を運搬する欄干ユニット運搬装置としてのキャスタユニット50のそれぞれについて図10を参照しつつ説明する。
【0035】
キャスタユニット50は、矩形平板状の台車ベース51、台車ベース51の一面にスペーサ52を介して配設された天板53、台車ベース51の一面に突設されたネジ座54、及び台車ベース51の他面に配設された一対のキャスタ55を有している。
このとき、ネジ座54は、台車ベース51の長手方向の一端側で、台車ベース51に突設されている。また、穴方向が台車ベース51の長手方向に一致するネジ穴54aがネジ座54に形成されている。
【0036】
また、スペーサ52が、所定の厚さを有する矩形平板状に形成され、長手方向を台車ベース51の長手方向に一致させて、かつ、厚さ方向を台車ベース51の一面に直交させて、台車ベース51に固定されている。このとき、スペーサ52の長手方向の一端側がネジ座54の台車ベース51の長手方向の他端側近傍に配置され、スペーサ52の長手方向の他端側は、台車ベース51から延出されている。
【0037】
さらに、矩形平板状の天板53が、その長手方向を台車ベースの長手方向に一致させてスペーサ52に固定されている。このとき、天板53は、その長手方向の中間部から一端側の領域が台車ベース51の一面(上面)とスペーサ52を介して相対し、長手方向の中間部から他端側は、台車ベース51の長手方向の他端から延出されている。また、天板53の両長辺の縁部は、スペーサ52の両長辺の縁部から延出されている。さらに、天板53は、隙間26a,26bに挿入可能な形状に構成されている。
【0038】
そして、一対のキャスタ55のそれぞれは、台車ベース51の他面(下面)の長手方向の両端近傍に配設されている。また、キャスタ55のそれぞれは、台車ベース51に突設された連結軸58まわりに回転自在に取り付けられている。さらに、ローラ56は、連結軸58に直交する軸回りに回転自在に取り付けられている。つまり、ローラ56の転動方向が任意に変更可能になっている。また、周知の技術であるので詳細には図示しないが、キャスタ55は、ローラ56の転動の規制及び解除を任意に切り替えるための可動操作部57aを有するストッパ機構57を備えている。可動操作部57aは、ローラ56の転動が規制される規制位置と、ローラ56の転動の規制を解除する解除位置との間を任意に変位可能になっている。可動操作部57aは、例えば足で踏み込んだり、引っ張ったりすることにより簡単に変位させることができるように構成されている。
【0039】
次いで、欄干7の据付け方法について説明する。
新規にエスカレータ1を設置する場合には、まず、トラス2及び踏段5を設置し、ユニット支持体30を縁枠部3に配設する。ユニット支持体30の縁枠部3への配設は、まず、図11に示されるように、欄干ブラケット31を縁枠部3の所定の位置に取り付ける。さらに、第1ボルト38aを保持壁31aの第4挿通穴32bの下方から挿入し、ナット39aを第1ボルト38aが保持壁31aから抜け落ちないように保持壁31aの上面の位置に螺合する。このとき、第1ボルト38aは、軸まわりに回転自在に保持壁31aに対して支持されている。次いで、第1ボルト38aを、その先端が受け部36aの上方に延出しないようにネジ穴36cに螺合することにより、受け板36を第1ボルト38aの先端で支持する。以上により、ユニット支持体30が縁枠部3に配設される。
【0040】
このとき、固定部材を構成する第2ボルト38b、ナット39b,39cをユニット支持体30に取り付ける。即ち、第2ボルト38bを保持壁31aの第3挿通穴32aの下方から挿入し、ナット39bを第2ボルト38bに螺合させて、保持壁31aの上面の位置まで移動する。このとき、第2ボルト38bの軸まわりの回転は規制されておらず、第2ボルト38bは、保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持される。また、ナット39cを第2ボルト38bに螺合し、ナット39bの近傍に配置しておく。
【0041】
また、既設の欄干を取り替える場合には、既設の欄干ユニットを撤去した後、以下の改造を行う。
ここで、既設の欄干ユニット71は、図12に示されるように、欄干ユニット8と比較して、台座20及び隙間形成部材23A,23Bが省略された構成となっている。このような既設の欄干ユニット71を支持する既設のユニット支持体72は、図13に示されるように、ユニット支持体30と比較して、受け板36が省略され、欄干ブラケット73のみで構成されている。さらに、欄干ブラケット73は、欄干ブラケット31の第4挿通穴32bに相当する穴が省略されている。
【0042】
そして、既設の欄干ユニット71の既設の欄干ブラケット73への据付けは、図12に示されるように、欄干ブラケット73の保持壁31aに直接載置された既設の欄干ユニット71のベースプレート11を、第1挿通穴14a及び第3挿通穴32aに挿通した第2ボルト38bとナット39bとの間に挟持して行われている。
【0043】
このように、既設のエスカレータ1は、第3挿通穴32aを有する既設の欄干ブラケット73が既に配設されているので、既設の欄干ブラケット73を利用して、新規の欄干ユニット8を据付ける場合、第4挿通穴32bを既設の欄干ブラケット73の保持壁31aに形成すれば、改造した欄干ブラケット73を欄干ブラケット31として利用できる。そして、改造した欄干ブラケット73に対し、新規の欄干ブラケット31に対するものと同様に受け板36を配設し、ユニット支持体30を構成する。
【0044】
以降の手順は、新規のエスカレータ1に対し欄干7を設置する場合も、既設のエスカレータ1を更新して欄干7を設置する場合も同様である。
【0045】
次いで、エスカレータ1の設置場所とは別の広いスペースで、欄干ユニット8を組み立てる。欄干ユニット8の組み立ては、図4及び図5に示されるように、ベースプレート11の二対の保持壁13a,13bのそれぞれの隙間に、欄干パネル9を挿入して、図示しないボルトにて安定して保持させる。さらに、パッキン19A,19Bを欄干パネル9に装着し、内デッキ27及び外デッキ28をパッキン19A及びパッキン19Bに連結して欄干ユニット8の組み立てを完了する。
【0046】
次いで、台座20とキャスタユニット50とを以下に説明するように連結し、ベースユニット10をキャスタユニット50に支持させる。キャスタユニット50は、予め欄干ユニット8の数の倍だけ用意しておく。
【0047】
そして、図14及び図15に示されるように、キャスタユニット50を欄干パネル9の内面側から外面側に向かうように移動させ、天板53の両縁部側を、隙間26a,26bに挿通させ、台座20とキャスタユニット50とを連結する。これにより、ベースユニット10は、天板53上をスライド可能にキャスタユニット50に支持される。ここでは、欄干ユニット8の組み立てが完了しているので、欄干ユニット8自体がキャスタユニット50に支持される。このとき、ネジ座54と当て壁24とが相対する。なお、欄干ユニット8の組み立て工程の前に、ベースユニット10をキャスタユニット50に支持させてもよい。
【0048】
以下、欄干ユニット8とキャスタユニット50との連結体を移動体ユニット59とする。次いで、キャスタ55の可動操作部57aのそれぞれを解除位置に移動し、ローラ56の転動を自在とする。そして、移動体ユニット59をエスカレータ1の乗り口まで運ぶ。ここでは、乗り口は下階である。このとき、欄干ユニット8の向きは、ベースプレート11の長手方向が、乗り口での踏段5の走行方向に一致するようにおおよそ調整する。また、天板53の隙間26a,26bからの延出端を、当該欄干ユニット8を支持させるユニット支持体30が配設された踏段5の横幅方向の一方の側に向ける。
【0049】
なお、以下の説明では、踏段5の進行方向前側に配置されたキャスタ55のローラ56を新たに前側ローラ56aとし、踏段5の進行方向後側に配置されたキャスタ55のローラ56を新たに後側ローラ56bとする。
次いで、図16に示されるように、走行が停止されている踏段5の踏み面に、前側ローラ56aが配置されるように前側ローラ56aを転動させた後、前側ローラ56aに対応する可動操作部57aを規制位置に移動し、前側ローラ56aの転動を規制する。
【0050】
次いで、踏段5の走行を開始させる。このとき、前側ローラ56aの転動は規制され、後側ローラ56bの転動の規制は解除されているので、前側ローラ56aは、安定した状態で踏段5の走行とともに降り口側に向かって上昇し、後側ローラ56bは、乗り口側を走行する踏段5の踏み面向かって転動する。そして、後側ローラ56bが、図17に示されるように踏段5の踏み面に乗ったところで踏段5の走行を停止し、後側ローラ56bの可動操作部57aを規制位置に移動し、後側ローラ56bの転動も規制する。次いで、踏段5の走行を再開し、図18に示されるように、欄干ユニット8の天板53が、欄干ユニット8の設置予定位置に配置されたユニット支持体30の受け部36aと相対する位置まで、欄干ユニット8を搬送して踏段5の走行を停止させる。このときの移動体ユニット59の位置を搬入位置とする。
【0051】
次いで、第1ボルト38aを回転させて、受け部36aを高さ方向に移動させ、天板53の高さ位置と受け部36aの高さ位置とを一致させる。
次いで、前側ローラ56a及び後側ローラ(図示せず)のそれぞれの可動操作部57aを解除位置に移動し、前側ローラ56a及び後側ローラ56bの転動の規制を解除する。そして、移動体ユニット59(キャスタユニット50)を、受け部36aの先端に天板53の先端が当接するように踏段5の横幅方向に移動させる。そして、図19に示されるように、天板53の延出端と受け部36aの先端とが当接したところで、可動操作部57aのそれぞれを規制位置に移動させ、前側ローラ56a及び後側ローラの転動を規制する。
【0052】
次いで、ステップ状に折り曲げられた押さえ部材61を用意する。押さえ部材61は、図20に示されるように、一端側が台車ベース51の一端側の一面に配置され、他端側がキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面に配置可能な形状を有している。
そして、押さえ部材61の両端を、台車ベース51とキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面に配置した後、押さえ部材61の他端側の上面に錘62を乗せる。なお、図20では、錘62が、前側ローラ56aが連結された台車ベース51と前側ローラ56aを有するキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面との間に配置された押さえ部材61に乗せられている状態を示している。同様に、前述の後側ローラ56bが連結された台車ベース51、及び後側ローラ56bを有するキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面のそれぞれに押さえ部材61の両端のそれぞれが配置され、錘62が、当該押さえ部材61に乗せられている。2つの錘62の合計の重さは、欄干ユニット8の重さより重くなっている。
【0053】
次いで、図21に示されるように、一対のキャスタユニット50のネジ座54のネジ穴54aに押圧ボルト60を螺合させ、さらに、押圧ボルト60の先端が当て壁24に接するまで押圧ボルト60をねじ込む。
【0054】
そして、ネジ座54のそれぞれに螺合した押圧ボルト60がネジ座54にねじ込まれる側に2人の作業員によって同時に回転させる。このとき、押圧ボルト60の回転力は、押圧ボルト60を軸方向へ移動させようとする力に変換されるので、図21に示されるように、当て壁24が押圧ボルト60により押されて欄干ユニット8が受け板36側にスライド移動する。なお、塗装が天板53及び隙間形成部材23A,23Bのそれぞれに施されて、それぞれの表面が滑らかになっており、ラチェットレンチ(図示せず)などの工具を用いて押圧ボルト60を回転させれば、台座20は容易に天板53上を摺動して欄干ユニット8が受け部36a側にスライド移動する。
【0055】
そして、図22に示されるように、一旦、押圧ボルト60を緩めて、押圧ボルト60を受け部36aと反対側に移動させ、ブロック63を台座20とネジ座54との間に配置させる。
そして、図23に示されるように、押圧ボルト60をねじ込んでブロック63を押圧してさらに欄干ユニット8をスライド移動させて、隙間26a,26bに受け部36aを挿入させ、欄干ユニット8を受け部36aに支持させる。このとき、欄干ユニット8は、ベースプレート11の第1挿通穴14a及び保持壁31aの第3挿通穴32a(図示せず)の穴中心が相対するまでブラケット取付部3a側にスライド移動させる。このとき、第2挿通穴21a(図示せず)と受け部36aのネジ穴36c(図示せず)の穴中心も相対する。
【0056】
そして、図24に示されるように、押圧ボルト60ごとキャスタユニット50をトラス2と反対側に引き抜き、キャスタユニット50を撤去する。なお、欄干ユニット8を間違ってさらに縁枠部3側に移動させてしまった場合には、スライド規制部36bと台座20が当接したところで、それ以上の欄干ユニット8の縁枠部3側へのスライド移動が規制され、欄干ユニット8が縁枠部3側に転落することが防止される。
【0057】
そして、一対の第1ボルト38aのそれぞれを、第1ボルト38aが受け部36aにねじ込まれる方向に同時に回転させて受け部36aを高さ方向の下方に移動させる。
【0058】
一対の第1ボルト38aに受け部36aが螺合されているので、第1ボルト38aのそれぞれの軸回りに受け板36を回転させようとする力が規制される。そして、第1ボルト38aの回転力は、第1ボルト38aの軸方向、言い換えれば高さ方向に受け板36を移動させる力に変換される。そして、第1ボルト38aの先端は調整穴25内に配置されるので、受け部36aは第1ボルト38aの回転に応じて自在に昇降する。そして、第1ボルト38aを受け部36aにねじ込まれるように回転させる場合、受け部36aに支持された欄干ユニット8は、受け部36aとともに保持壁31a側に移動する。このとき、予め保持壁31aに支持されていた第2ボルト38bの先端が、第1挿通穴14aに挿通する。
【0059】
そして、欄干パネル9が所定の設置高さ位置に配置されたところで、第1挿通穴14aからベースプレート11の上面側に延出した第2ボルト38bの先端にナット39dを螺合し、ナット39dと予め第2ボルト38bの保持壁31aに螺合させておいたナット39cとの間にベースプレート11が挟持されるようにそれぞれのナット39c,39dを締着する。さらに、ナット39aを締着する。即ち、ベースユニット10を保持壁31aに対して固定する。これにより、欄干ユニット8が、図25に示されるように所定の設置高さ位置で安定保持される。
そして、次の欄干ユニット8を乗り口から所定の搬入位置に運搬し欄干ユニット8を据え付ける工程を順次繰り返すことにより、一対の欄干7の据付けが完了する。
そして、スカートガード41と内デッキ27、外装板40と外デッキ28との連結が行い、トラス2の内外を遮断する。
【0060】
この実施の形態の乗客コンベアの欄干によれば、ユニット支持体30のそれぞれが、ブラケット取付部3aから踏段5の横幅方向の踏段5側に突設され、かつ、踏段5の走行方向に所定の長さだけ延在する保持壁31a、保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト38a、及び第1ボルト38aの先端側に螺合され、第1ボルト38aの回転により昇降自在に保持壁31aの上方に配置された受け部36aを有している。また、欄干ユニット8のそれぞれが、ベースユニット10、ベースユニット10の上面側に支持された欄干パネル9、それぞれベースユニット10の下面に踏段5の走行方向に互いに所定距離離間して固定された2つの台座20、及び踏段5の走行方向に相対するように開口する隙間26a,26bが、台座20の下部に踏段5の横幅方向に貫通して形成されるように台座20に固定された隙間形成部材23A,23Bを有している。そして、欄干ユニット8は、隙間に受け部36aを挿入し、ベースユニット10が、固定部材により保持壁31aに対して固定されている。
【0061】
このように、第1ボルト38aを回転させれば、受け部36aを自在に昇降させることができ、また、欄干ユニット8は、ユニット支持体30と嵌合してユニット支持体30に支持されるように構成されている。
つまり、欄干7の据付け時に踏段5に乗せられてユニット支持体30の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニット8に対し、受け部36aの高さ位置を調整できる。これにより、例えば、キャスタユニット50のように、欄干ユニット8を受け部36a側にスライド移動可能に支持する装置を用い、欄干ユニット8を受け部36a側にスライド移動すれば、ユニット支持体30の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニット8と受け部36aとを容易に嵌合させ、欄干ユニット8を受け部に支持させることができる。さらに、この状態から受け部36aの高さ位置を調整することにより、欄干ユニット8を所定の設置高さ位置に配置させることができる。つまり、欄干7の据付けにかかる作業者の負担を軽減することができる。
【0062】
また、キャスタユニット50は、台車ベース51と、台車ベース51の上部に台車ベース51から延出するように配設され、隙間26a,26bに挿通可能な形状に構成された天板53と、台車ベース51の下部に連結軸58まわりに回転自在に取り付けられたキャスタ55と、を有している。そして、天板53を隙間26a,26bに挿通させて、欄干ユニット8をスライド可能に天板53に支持することが可能となっている。
これにより、容易に欄干ユニット8を天板53に支持させたり、天板53上で欄干ユニット8をスライド移動させたりすることが可能となり、欄干ユニット8のユニット支持体30への据付けが効率よく行える。
【0063】
また、この実施の形態よる欄干7の据付け方法によれば、キャスタユニット50に支持された欄干ユニット8を搬入位置まで搬送した後、受け部36aを天板53の高さ位置に一致させて当接させ、台座20を押圧して欄干ユニット8をスライド移動させるだけで、台座20の下部の隙間26a,26bに受け部36aが挿入される。これにより、容易に天板53に代え、受け部36aで欄干ユニット8を支持させることができる。さらに、第1ボルト38aを回転させるだけで、欄干ユニット8を所定の設置高さ位置に配置させることができる。これにより、作業者は、欄干ユニットを腕力で持ち上げることなくユニット支持体30に移動させることができるので、欄干7の据付けにかかる作業者の負担が軽減される。
【0064】
なお、上記実施の形態では、一つの欄干ユニット8の据え付けが完了したのち、次の欄干ユニット8を搬入位置に運搬し、運搬した欄干ユニット8を据え付けるものとして説明したが、欄干ユニット8の搬入位置への運搬は、例えば、踏段5の横幅方向の長さが長いものなどでは、相対して配置させる一対の欄干ユニット8の両方を一度に踏段5に搭載して、搬入位置まで運搬してもよい。
【0065】
また、欄干ユニット8を押圧ボルト60で押し込む前に、錘62を踏段5の一端側が台車ベース51の一面に配置され、他端側が踏段5の踏み面に配置された押さえ部材61の他端側の上面に乗せるものとして説明した。しかし、例えば、ローラ56の転動がストッパ機構57により確実に規制され、かつ、互いに当接状態に配置された天板53及び受け部36aが有る程度の厚みを有しており、欄干ユニット8が移動したときに、ローラ56が、踏段5の踏み面から離れることがなければ押さえ部材61を配設する必要はない。
【0066】
また、欄干ユニット8を押圧ボルト60で押し込んで受け部36aに支持させる際、一旦、押圧ボルト60を緩めて、押圧ボルト60を受け部36aと反対側に移動させ、ブロック63を支持台22とネジ座54との間に配置させてから再度押圧ボルト60をねじ込んでブロック63を押圧して欄干ユニット8を移動させるものとして説明した。しかし、押圧ボルト60が、第1挿通穴14a及び第3挿通穴32aの穴中心が一致するまで欄干ユニット8を押し込み可能な長さを有していれば、特にブロック63を用いなくてもよい。
【0067】
また、ベースユニット10は、ベースユニット10と欄干ブラケット31の保持壁31aに固定部材を用いて固定させるものとして説明したが、ベースユニット10はトラス2に固定部材を用いて固定してもよい。
また、各欄干ユニット8には、ベースプレート11の裏面に台座20を2つ配設するものとして説明したが、台座20の配設数は2つであるものに限定されず、台座20は、欄干ユニット8をベースユニット10に支持可能なように少なくとも2つ以上配設されていればよい。
【0068】
また、乗客コンベアはエスカレータ1であるものとして説明したが、本発明は乗客コンベアとしての動く歩道にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の一実施の形態に係る欄干が設置された乗客コンベアの模式図である。
【図2】図1のII−II矢視部分断面図である。
【図3】図2のB方向から見た要部正面図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの斜視図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの分解斜視図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースユニット、台座、及び隙間形成部材の分解斜視図である。
【図7】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースプレートの一端部周辺の詳細図である。
【図8】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの台座及び隙間形成部材の詳細図である。
【図9】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付時に欄干ユニットを支持する受け板の詳細図である。
【図10】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け時に使用されるキャスタユニットの詳細図である。
【図11】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットを支持するユニット支持体の詳細図である。
【図12】既設のエスカレータの既設の欄干を構成する既設の欄干ユニットの据付け構造を説明する断面図である。
【図13】既設のエスカレータの既設の欄干ブラケットの詳細図である。
【図14】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図である。
【図15】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図である。
【図16】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを踏段に搭載する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。
【図17】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。
【図18】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図19】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図20】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図21】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図22】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図23】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図24】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図25】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを所定の設置高さ位置で支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 エスカレータ(乗客コンベア)、2 トラス、5 踏段、7 欄干、8 欄干ユニット、9 欄干パネル、10 ベースユニット、20 台座、23A,23B 隙間形成部材、26a,26b 隙間、30 ユニット支持体、31a 保持壁、38a 第1ボルト、38b 第2ボルト(固定部材)、39b〜39d ナット(固定部材)、36a 受け部、50 キャスタユニット(欄干ユニット運搬装置)、51 台車ベース、53 天板、55 キャスタ、58 連結軸。
【技術分野】
【0001】
この発明は欄干の据付けにかかる負担を軽減する乗客コンベアの欄干、欄干ユニット運搬装置、及び欄干の据付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエスカレータ用運搬装置は、上部に運搬物を載置保持する積載台と、下部にステップの上面との滑走面を有したベース部と、このベース部の下部から下方へ突出可能に構成されてその突出時に傾斜部に位置するステップの上面に載置保持してベース部の滑落を防止する滑り止め部と、ベース部から下方へ突出可能に構成され、その下端部に車輪を有するキャスタ部と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、欄干部材を一体に組み上げた欄干ユニットを据付位置まで運搬するときには、まず、キャスタ部をベース部から突出させた状態で欄干ユニットを積載台に載置し、締結具により積載台と欄干ユニットとの間を締結し、積載台に欄干ユニットを載置保持する。次いで、キャスタ部の車輪を転動させてエスカレータの乗降口まで欄干ユニットを運搬する。そして、キャスタ部のベース部からの突出を解除した後、滑り止め部を突出させ、欄干ユニットを運転停止状態のエスカレータの所定位置まで引き上げ、滑り止め部を用いて欄干ユニットをステップ上に保持する。この状態からエスカレータを運転し、欄干ユニットが据付位置まで運搬されたところでエスカレータの運転を停止させる。これにより、欄干ユニットを据付位置まで運搬する際の作業者の負担が軽減されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−226165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、欄干ユニットの据付けについては具体的に記載されていないが、欄干ユニットは、その下端側をトラスに固定された欄干ブラケットに係合させた後トラスに固定するのが一般的である。このため、据付位置まで運搬した欄干ユニットを据付けるときは、欄干ブラケットと係合するように欄干ユニットを据付位置から移動させて、欄干ユニットと欄干ブラケットとの間を固定する必要がある。従来のエスカレータ用運搬装置は、欄干ユニットの欄干ブラケットへの移動については、何等考慮されておらず、欄干ユニットを欄干ブラケットに係合させる際の欄干ユニットの移動は、作業員が腕力で持ち上げて行う必要ある。この場合、欄干ユニットが重いので、作業員への負担が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、欄干の据付けにかかる作業者の負担を軽減可能な乗客コンベアの欄干、欄干ユニット運搬装置、及び欄干の据付け方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、無端状に連結されて乗り口と降り口との間を循環移動する複数の踏段のそれぞれの横幅方向の両側に相対するトラスの部位に、踏段の走行方向に互いに所定距離離間して配設された複数のユニット支持体、及びそれぞれユニット支持体に立設状態に支持され、踏段の横幅方向の両側で相対するように乗り口から降り口に至るように配列された複数の欄干ユニットからなる乗客コンベアの欄干において、ユニット支持体のそれぞれは、トラスの部位から踏段の横幅方向の踏段側に突設され、かつ、踏段の走行方向に所定の長さだけ延在する保持壁、保持壁に下方から挿通されて保持壁に軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト、及び第1ボルトの先端側に螺合され、第1ボルトの回転により昇降自在に保持壁の上方に配置された受け部を有し、欄干ユニットのそれぞれは、ベースユニット、ベースユニットの上面側に支持された欄干パネル、それぞれベースユニットの下面に踏段の走行方向に互いに所定距離離間して固定された少なくとも2つの台座、及び踏段の走行方向に相対するように開口する隙間が、台座の下部に踏段の横幅方向に貫通して形成されるように台座に固定された隙間形成部材を有し、欄干ユニットは、隙間に受け部を挿入し、ベースユニットが、固定部材により保持壁又はトラスに対して固定されて取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、受け部が昇降可能に保持壁の上方に配置され、さらに、欄干ユニットは、受け部と嵌合してユニット支持体に支持されるように構成されている。つまり、欄干の据付け時に踏段に乗せられてユニット支持体の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニットに対し、受け部の高さ位置を調整できる。さらに、欄干ユニットを受け部側にスライド移動させる装置を用い、欄干ユニットを受け部側にスライド移動すれば、ユニット支持体の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニットと受け部とを容易に嵌合させることができる。また、この状態から受け部の高さ位置を調整することにより、欄干ユニットを所定の設置高さ位置に配置させることができる。以上により、欄干の据付けにかかる作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る欄干が設置された乗客コンベアの模式図、図2は図1のII−II矢視部分断面図、図3は図2のB方向から見た要部正面図、図4はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの斜視図、図5はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの分解斜視図、図6はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースユニット、台座、及び隙間形成部材の分解斜視図、図7はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースプレートの一端部周辺の詳細図であり、図7の(a)は斜視図、図7の(b)は上面図、図7の(c)は側面図、図7の(d)は正面図をそれぞれ示している。図8はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの台座及び隙間形成部材の詳細図であり、図8の(a)は斜視図、図8の(b)は上面図、図8の(c)は側面図、図8の(d)は正面図をそれぞれ示している。図9はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け時に欄干ユニットを支持する受け板の詳細図であり、図9の(a)は受け板の上面図、図9の(b)は側面図をそれぞれ示している。図10はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け時に使用されるキャスタユニットの詳細図であり、図10の(a)は斜視図、図10の(b)は上面図、図10の(c)は側面図、図10の(d)は正面図をそれぞれ示している。図11はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットを支持するユニット支持体の詳細図であり、図11の(a)は正面図、図11の(b)は側面図をそれぞれ示している。図12は既設のエスカレータの既設の欄干を構成する既設の欄干ユニットの据付け構造を説明する断面図である。図13は既設のエスカレータの既設の欄干ブラケットの詳細図であり、図13の(a)は正面図、図13の(b)は側面図それぞれ示している。図14はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図、図15はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図である。図16はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを踏段に搭載する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。図17はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。図18はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。図19〜図24はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。図25はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを所定の設置高さ位置で支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【0010】
まず、乗客コンベアとしてのエスカレータ1の主要構成について図1を参照しつつ説明する。
エスカレータ1は、中空体に形成され、乗り口と降り口のそれぞれの下部の間に架設されたトラス2、無端状に連結されて乗り口と降り口との間を循環移動する踏段5、及び踏段5の横幅方向の両側のそれぞれに立設され、相対する一対の欄干7を有している。なお、図1では、踏段5の横幅方向の一方に立設されたた欄干7のみを図示している。そして、一対の欄干7のそれぞれは、それぞれ欄干パネル9を主要構成に有し、乗り口から降り口まで配列された欄干ユニット8と、トラス2に固定され、欄干ユニット8のそれぞれを支持する後述のユニット支持体30と、で構成されている。
【0011】
次いで、欄干ユニット8の構造について説明する。
図2及び図3において、欄干ユニット8のそれぞれは、欄干パネル9、上面側で欄干パネル9を支持するベースユニット10、ベースユニット10の下面側に固定される一対の台座20、台座20に固定された隙間形成部材23A,23B、及び欄干パネル9の内面に配設された内デッキ27、欄干パネル9の外面に配設された外デッキ28を有している。
【0012】
ベースユニット10は、図4〜図7に示されるように、長尺平板状のベースプレート11、及びベースプレート11の一面(上面)にベースプレート11の長手方向に所定距離離間して固定された2つのパネル保持手段12A,12Bを有している。
【0013】
そして、2つのパネル保持手段12A,12Bのそれぞれは一対の保持板13a,13bにより構成されている。パネル保持手段12Aの保持板13a,13bは、ベースプレート11の短手方向に所定の隙間をあけて相対するようにベースプレート11の一面の長手方向の一端側に突設されている。また、パネル保持手段12Bの保持板13a,13bは、ベースプレート11の短手方向に所定の隙間をあけて相対するようにベースプレート11の一面の長手方向の他端側に突設されている。なお、保持板13aが、保持板13bよりベースプレート11の短手方向の一端側に配設されている。
【0014】
また、一対の第1挿通穴14aのそれぞれが、保持板13bのそれぞれの長手方向両端近傍のベースプレート11の部位に、かつ、ベースプレート11の長手方向に所定距離離間して形成されている。このとき、一対の第1挿通穴14aは、保持板13bよりベースプレート11の短手方向の他端側の部位に位置している。
【0015】
一対の台座20は、図4〜図6に示されるように、ベースプレート11の他面(下面)側にベースプレート11の長手方向に所定距離離間して固定されている。
一対の台座20のそれぞれは、図8にも示されるように、矩形平板状の支持板21、及び一対の側壁22a,22bと底壁22cとを有するコ字状に形成され、コ字状の開口を支持板21の一面に向けて支持板21に固定された支持台22を有している。
【0016】
また、隙間形成部材23A,23Bが支持板21の側面にそれぞれ固定されている。
そして、支持台22と支持板21とで形成される調整穴25の延在方向は、図8に示されるように、支持板21の短手方向に一致し、当て壁24が、調整穴25の一方の開口を塞ぐように支持台22の内壁面に形成されている。
【0017】
また、隙間形成部材23A,23Bのそれぞれは、支持板21の短手方向に平行な側面のそれぞれに固定された取付辺23a、及び支持板21の他面との間に所定の隙間26a,26bを形成するように取付辺23aの一端から垂直に延出された隙間形成辺23bを有するL字状に形成されている。このとき、隙間26a,26bの互いの開口は、支持板21の長手方向に相対している。また、一対の第2挿通穴21aが、図8の(b)に示されるように、支持板21に形成されている。このとき、一対の第2挿通穴21aは、支持板21の長手方向に所定距離離間し、かつ、開口が底壁22cと相対している。
【0018】
そして、上記のように隙間形成部材23A,23Bが固定されたベースユニット10と台座20とは、図6に示されるように、支持台22の底壁22cの外壁面を、ベースプレート11の他面の長手方向両端側の部位に固着することにより連結されている。このとき、台座20は、調整穴25の延在方向がベースプレート11の短手方向に一致するように、また、当て壁24が、ベースプレート11の短手方向の一端側下部に位置するように配置されている。
【0019】
そして、欄干パネル9の下縁側が、図4及び図5に示されるように、保持板13a,13bの間に挿入されている。そして、詳細には図示しないが、保持板13aには、それぞれネジ穴が保持板13aの厚さ方向に形成されており、欄干パネル9はネジ穴に螺着されたボルトにより保持板13bに押し付けられて安定して保持されている。
【0020】
そして、パッキン19A,19Bが、図4及び図5に示されるように、欄干パネル9の両面それぞれの下縁側に、欄干パネル9の長手方向の両端間にわたって固定されている。
なお、欄干パネル9の長手方向は、ベースプレート11の長手方向に一致する。そして、内デッキ27は、その一方の縁部がパッキン19Aを介して欄干パネル9の内面に連結されている。つまり、コ字状に折り曲げられた嵌合部27aが内デッキ27の一方の縁部に形成され、凹部19aがパッキン19Aの欄干パネル9への取付面と反対側の面に形成されている。そして、嵌合部27aと凹部19aとが嵌合され、内デッキ27の一方の縁部がパッキン19Aに安定保持されている。
【0021】
また、外デッキ28は、その一方の縁部がパッキン19Bを介して欄干パネル9の外面に連結されている。つまり、コ字状に折り曲げられた嵌合部28aが外デッキ28の一方の縁部に形成され、凹部19bがパッキン19Bの欄干パネル9への取付面と反対側の面に形成されている。そして、嵌合部28aと凹部19bとが嵌合され、外デッキ28の一方の縁部がパッキン19Bに安定保持されている。
【0022】
次いで、トラス2について説明する。
図1〜図3において、トラス2は、踏段5の横幅方向の両側に踏段5から所定の距離をあけて乗り口から降り口まで踏段5の走行方向に沿って延設された断面L字状の一対の縁枠部3を有している。なお、図2及び図3では、踏段5の横幅方向の一側に配置された縁枠部3のみを図示している。
【0023】
次いで、踏段5の横幅方向の一側に配置された縁枠部3の詳細について説明する。縁枠部3は、踏段5の側面と平行、かつ、主要部が踏段5より上方に位置するブラケット取付部3aと、ブラケット取付部3aの上端から踏段5の横幅方向の他側に向かって垂直に延出された延出部3bと、を有している。なお、踏段5の横幅方向の他側に配置された縁枠部3は、一側に配置された縁枠部3と、踏段5の横幅方向の中心、かつ、踏段5の走行方向を含む鉛直面に対して対称に延設されている。つまり、ブラケット取付部3aが、踏段5の横幅方向の両側で相対している。
【0024】
そして、以下に説明する複数のユニット支持体30が、ブラケット取付部3aのそれぞれに縁枠部3の延設方向、言い換えれば、踏段5の走行方向に互いに所定距離離間して配設され、欄干ユニット8のそれぞれがユニット支持体30に支持されている。
以下、ユニット支持体30による欄干ユニット8の支持構造について説明する。
図2及び図3において、ユニット支持体30は、欄干ブラケット31、欄干ブラケット31に支持された第1ボルト38a、及び欄干ブラケット31に第1ボルト38aを介して連結された受け板36を有している。
【0025】
欄干ブラケット31は、矩形平板の両短辺を垂直に同方向に折り曲げて形成され、側壁31b,31cと底壁を形成する保持壁31aとを有するコ字状に形成されている。そして、欄干ブラケット31は、そのコ字状の開口を下方に向け、かつ、コ字状の溝の延在方向が、ブラケット取付部3aに直交するようにブラケット取付部3aに突設されている。このとき、保持壁31aの長手方向は、踏段5の走行方向に一致し、保持壁31aは、長手方向に所定の長さを有している。
【0026】
そして、一対の第3挿通穴32aが、保持壁31aの長手方向の両端近傍、かつ、縁枠部3からの突設方向の中間部に形成されている。このとき、一対の第3挿通穴32aは、ベースプレート11の一対の第1挿通穴14aの離間距離と同じ距離だけ保持壁31aの長さ方向に離間している。
また、一対の第4挿通穴32bが、保持壁31aの突出端側の部位、かつ、保持壁31aの長手方向に関し、第3挿通穴32a間の内側の保持壁31aの部位に形成されている。このとき、第4挿通穴32bは、支持板21の一対の第2挿通穴21aの離間距離と同じ距離だけ離間している。
【0027】
そして、一対の第1ボルト38aが、第4挿通穴32bのそれぞれに下方から挿入されている。また、ナット39aが、保持壁31aの上面の位置で螺合されて、第1ボルト38aが保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持されている。
【0028】
また、図示しないが、欄干ブラケット31は、欄干ユニット8を所定の据付け位置に配置したときの台座20の位置に対応するように、縁枠部3の延在方向に所定の間隔で複数配設されている。
そして、受け板36は、図9に示されるように、一方の長辺側の部位に長手方向に離間する一対のネジ穴36cが形成された矩形平板状の受け部36aと、受け部36aの他方の長辺から垂直に延出するスライド規制部36bと、を有するL字状に形成されている。なお、一対のネジ穴36cの間は、一対の第2挿通穴21aの離間距離及び一対の第4挿通穴32bの離間距離と同じ距離だけ離間している。
そして、受け板36は、図2及び図3に示されるように、受け部36aが保持壁31aと相対し、また、スライド規制部36bが受け部36aの上方に延出するように配置されている。
【0029】
さらに、欄干ユニット8のそれぞれは、長手方向が縁枠部3の延設方向に一致するように、かつ、台座20が下端にくるように配置されている。前述したように、隙間26a,26bの互いの開口は、支持板21の長手方向に相対している。即ち、隙間形成部材23A,23Bは、踏段5の走行方向に相対するように開口する隙間26a,26bが、台座20の下部に踏段5の横幅方向に貫通して形成されるように支持板21の側面に固定されている。
そして、受け部36aの両縁側が、台座20の下部の隙間26a,26bに挿入(嵌合)されている。このとき、一対の第1挿通穴14aが第3挿通穴32aに同軸に配置され、また、第2挿通穴21a、ネジ穴36c、及び第4挿通穴32bのそれぞれが同軸に配置されている。
【0030】
そして、保持壁31aに支持された一対の第1ボルト38aのそれぞれは、受け部36aの一対のネジ穴36cのそれぞれに螺合され、さらにネジ穴36cから延出した第1ボルト38aの先端側が、支持板21の第2挿通穴21aを貫通して、調整穴25内に位置している。これにより、後述するが、受け部36aは第1ボルト38aの回転に応じて、保持壁31aの上方で昇降自在となっている。
【0031】
また、ベースプレート11の第1挿通穴14aのそれぞれと、保持壁31aの第3挿通穴32aのそれぞれとが相対し、第2ボルト38bが、第3挿通穴32a及び第1挿通穴14aに下方から挿入されている。そして、第2ボルト38bは、第3挿通穴32aへの挿通部位で、保持壁31aの上方から螺着されたナット39bによって保持壁31aに固定されている。
【0032】
また、一対のナット39c,39dのそれぞれが、第2ボルト38bの第1挿通穴14aへの挿通部位で、ベースプレート11の両側からベースプレート11を挟持するように螺着され、ベースユニット10が、保持壁31aに対して安定した状態で固定される。つまり、第2ボルト38b、ナット39b〜39dが、ベースユニット10を欄干ブラケット31に固定させるための固定部材を構成している。
【0033】
また、図2において、一方の縁部がパッキン19Aを介して欄干パネル9に連結された内デッキ27は、その他方の縁部が欄干パネル9の内面から下方に傾斜するように延在し、踏段5の側面と隙間を保って配設されたスカートガード41の上端側に欄干パネル9の内側で連結されている。また、一方の縁部がパッキン19Bを介して欄干パネル9に連結された外デッキ28は、その他方の縁部が欄干パネル9の外方に延在し、欄干パネル9の外方、かつ、下部側に立設された外装板40に連結されている。
【0034】
次いで、欄干7の据付け時に欄干ユニット8を運搬する欄干ユニット運搬装置としてのキャスタユニット50のそれぞれについて図10を参照しつつ説明する。
【0035】
キャスタユニット50は、矩形平板状の台車ベース51、台車ベース51の一面にスペーサ52を介して配設された天板53、台車ベース51の一面に突設されたネジ座54、及び台車ベース51の他面に配設された一対のキャスタ55を有している。
このとき、ネジ座54は、台車ベース51の長手方向の一端側で、台車ベース51に突設されている。また、穴方向が台車ベース51の長手方向に一致するネジ穴54aがネジ座54に形成されている。
【0036】
また、スペーサ52が、所定の厚さを有する矩形平板状に形成され、長手方向を台車ベース51の長手方向に一致させて、かつ、厚さ方向を台車ベース51の一面に直交させて、台車ベース51に固定されている。このとき、スペーサ52の長手方向の一端側がネジ座54の台車ベース51の長手方向の他端側近傍に配置され、スペーサ52の長手方向の他端側は、台車ベース51から延出されている。
【0037】
さらに、矩形平板状の天板53が、その長手方向を台車ベースの長手方向に一致させてスペーサ52に固定されている。このとき、天板53は、その長手方向の中間部から一端側の領域が台車ベース51の一面(上面)とスペーサ52を介して相対し、長手方向の中間部から他端側は、台車ベース51の長手方向の他端から延出されている。また、天板53の両長辺の縁部は、スペーサ52の両長辺の縁部から延出されている。さらに、天板53は、隙間26a,26bに挿入可能な形状に構成されている。
【0038】
そして、一対のキャスタ55のそれぞれは、台車ベース51の他面(下面)の長手方向の両端近傍に配設されている。また、キャスタ55のそれぞれは、台車ベース51に突設された連結軸58まわりに回転自在に取り付けられている。さらに、ローラ56は、連結軸58に直交する軸回りに回転自在に取り付けられている。つまり、ローラ56の転動方向が任意に変更可能になっている。また、周知の技術であるので詳細には図示しないが、キャスタ55は、ローラ56の転動の規制及び解除を任意に切り替えるための可動操作部57aを有するストッパ機構57を備えている。可動操作部57aは、ローラ56の転動が規制される規制位置と、ローラ56の転動の規制を解除する解除位置との間を任意に変位可能になっている。可動操作部57aは、例えば足で踏み込んだり、引っ張ったりすることにより簡単に変位させることができるように構成されている。
【0039】
次いで、欄干7の据付け方法について説明する。
新規にエスカレータ1を設置する場合には、まず、トラス2及び踏段5を設置し、ユニット支持体30を縁枠部3に配設する。ユニット支持体30の縁枠部3への配設は、まず、図11に示されるように、欄干ブラケット31を縁枠部3の所定の位置に取り付ける。さらに、第1ボルト38aを保持壁31aの第4挿通穴32bの下方から挿入し、ナット39aを第1ボルト38aが保持壁31aから抜け落ちないように保持壁31aの上面の位置に螺合する。このとき、第1ボルト38aは、軸まわりに回転自在に保持壁31aに対して支持されている。次いで、第1ボルト38aを、その先端が受け部36aの上方に延出しないようにネジ穴36cに螺合することにより、受け板36を第1ボルト38aの先端で支持する。以上により、ユニット支持体30が縁枠部3に配設される。
【0040】
このとき、固定部材を構成する第2ボルト38b、ナット39b,39cをユニット支持体30に取り付ける。即ち、第2ボルト38bを保持壁31aの第3挿通穴32aの下方から挿入し、ナット39bを第2ボルト38bに螺合させて、保持壁31aの上面の位置まで移動する。このとき、第2ボルト38bの軸まわりの回転は規制されておらず、第2ボルト38bは、保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持される。また、ナット39cを第2ボルト38bに螺合し、ナット39bの近傍に配置しておく。
【0041】
また、既設の欄干を取り替える場合には、既設の欄干ユニットを撤去した後、以下の改造を行う。
ここで、既設の欄干ユニット71は、図12に示されるように、欄干ユニット8と比較して、台座20及び隙間形成部材23A,23Bが省略された構成となっている。このような既設の欄干ユニット71を支持する既設のユニット支持体72は、図13に示されるように、ユニット支持体30と比較して、受け板36が省略され、欄干ブラケット73のみで構成されている。さらに、欄干ブラケット73は、欄干ブラケット31の第4挿通穴32bに相当する穴が省略されている。
【0042】
そして、既設の欄干ユニット71の既設の欄干ブラケット73への据付けは、図12に示されるように、欄干ブラケット73の保持壁31aに直接載置された既設の欄干ユニット71のベースプレート11を、第1挿通穴14a及び第3挿通穴32aに挿通した第2ボルト38bとナット39bとの間に挟持して行われている。
【0043】
このように、既設のエスカレータ1は、第3挿通穴32aを有する既設の欄干ブラケット73が既に配設されているので、既設の欄干ブラケット73を利用して、新規の欄干ユニット8を据付ける場合、第4挿通穴32bを既設の欄干ブラケット73の保持壁31aに形成すれば、改造した欄干ブラケット73を欄干ブラケット31として利用できる。そして、改造した欄干ブラケット73に対し、新規の欄干ブラケット31に対するものと同様に受け板36を配設し、ユニット支持体30を構成する。
【0044】
以降の手順は、新規のエスカレータ1に対し欄干7を設置する場合も、既設のエスカレータ1を更新して欄干7を設置する場合も同様である。
【0045】
次いで、エスカレータ1の設置場所とは別の広いスペースで、欄干ユニット8を組み立てる。欄干ユニット8の組み立ては、図4及び図5に示されるように、ベースプレート11の二対の保持壁13a,13bのそれぞれの隙間に、欄干パネル9を挿入して、図示しないボルトにて安定して保持させる。さらに、パッキン19A,19Bを欄干パネル9に装着し、内デッキ27及び外デッキ28をパッキン19A及びパッキン19Bに連結して欄干ユニット8の組み立てを完了する。
【0046】
次いで、台座20とキャスタユニット50とを以下に説明するように連結し、ベースユニット10をキャスタユニット50に支持させる。キャスタユニット50は、予め欄干ユニット8の数の倍だけ用意しておく。
【0047】
そして、図14及び図15に示されるように、キャスタユニット50を欄干パネル9の内面側から外面側に向かうように移動させ、天板53の両縁部側を、隙間26a,26bに挿通させ、台座20とキャスタユニット50とを連結する。これにより、ベースユニット10は、天板53上をスライド可能にキャスタユニット50に支持される。ここでは、欄干ユニット8の組み立てが完了しているので、欄干ユニット8自体がキャスタユニット50に支持される。このとき、ネジ座54と当て壁24とが相対する。なお、欄干ユニット8の組み立て工程の前に、ベースユニット10をキャスタユニット50に支持させてもよい。
【0048】
以下、欄干ユニット8とキャスタユニット50との連結体を移動体ユニット59とする。次いで、キャスタ55の可動操作部57aのそれぞれを解除位置に移動し、ローラ56の転動を自在とする。そして、移動体ユニット59をエスカレータ1の乗り口まで運ぶ。ここでは、乗り口は下階である。このとき、欄干ユニット8の向きは、ベースプレート11の長手方向が、乗り口での踏段5の走行方向に一致するようにおおよそ調整する。また、天板53の隙間26a,26bからの延出端を、当該欄干ユニット8を支持させるユニット支持体30が配設された踏段5の横幅方向の一方の側に向ける。
【0049】
なお、以下の説明では、踏段5の進行方向前側に配置されたキャスタ55のローラ56を新たに前側ローラ56aとし、踏段5の進行方向後側に配置されたキャスタ55のローラ56を新たに後側ローラ56bとする。
次いで、図16に示されるように、走行が停止されている踏段5の踏み面に、前側ローラ56aが配置されるように前側ローラ56aを転動させた後、前側ローラ56aに対応する可動操作部57aを規制位置に移動し、前側ローラ56aの転動を規制する。
【0050】
次いで、踏段5の走行を開始させる。このとき、前側ローラ56aの転動は規制され、後側ローラ56bの転動の規制は解除されているので、前側ローラ56aは、安定した状態で踏段5の走行とともに降り口側に向かって上昇し、後側ローラ56bは、乗り口側を走行する踏段5の踏み面向かって転動する。そして、後側ローラ56bが、図17に示されるように踏段5の踏み面に乗ったところで踏段5の走行を停止し、後側ローラ56bの可動操作部57aを規制位置に移動し、後側ローラ56bの転動も規制する。次いで、踏段5の走行を再開し、図18に示されるように、欄干ユニット8の天板53が、欄干ユニット8の設置予定位置に配置されたユニット支持体30の受け部36aと相対する位置まで、欄干ユニット8を搬送して踏段5の走行を停止させる。このときの移動体ユニット59の位置を搬入位置とする。
【0051】
次いで、第1ボルト38aを回転させて、受け部36aを高さ方向に移動させ、天板53の高さ位置と受け部36aの高さ位置とを一致させる。
次いで、前側ローラ56a及び後側ローラ(図示せず)のそれぞれの可動操作部57aを解除位置に移動し、前側ローラ56a及び後側ローラ56bの転動の規制を解除する。そして、移動体ユニット59(キャスタユニット50)を、受け部36aの先端に天板53の先端が当接するように踏段5の横幅方向に移動させる。そして、図19に示されるように、天板53の延出端と受け部36aの先端とが当接したところで、可動操作部57aのそれぞれを規制位置に移動させ、前側ローラ56a及び後側ローラの転動を規制する。
【0052】
次いで、ステップ状に折り曲げられた押さえ部材61を用意する。押さえ部材61は、図20に示されるように、一端側が台車ベース51の一端側の一面に配置され、他端側がキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面に配置可能な形状を有している。
そして、押さえ部材61の両端を、台車ベース51とキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面に配置した後、押さえ部材61の他端側の上面に錘62を乗せる。なお、図20では、錘62が、前側ローラ56aが連結された台車ベース51と前側ローラ56aを有するキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面との間に配置された押さえ部材61に乗せられている状態を示している。同様に、前述の後側ローラ56bが連結された台車ベース51、及び後側ローラ56bを有するキャスタ55が乗せられた踏段5の踏み面のそれぞれに押さえ部材61の両端のそれぞれが配置され、錘62が、当該押さえ部材61に乗せられている。2つの錘62の合計の重さは、欄干ユニット8の重さより重くなっている。
【0053】
次いで、図21に示されるように、一対のキャスタユニット50のネジ座54のネジ穴54aに押圧ボルト60を螺合させ、さらに、押圧ボルト60の先端が当て壁24に接するまで押圧ボルト60をねじ込む。
【0054】
そして、ネジ座54のそれぞれに螺合した押圧ボルト60がネジ座54にねじ込まれる側に2人の作業員によって同時に回転させる。このとき、押圧ボルト60の回転力は、押圧ボルト60を軸方向へ移動させようとする力に変換されるので、図21に示されるように、当て壁24が押圧ボルト60により押されて欄干ユニット8が受け板36側にスライド移動する。なお、塗装が天板53及び隙間形成部材23A,23Bのそれぞれに施されて、それぞれの表面が滑らかになっており、ラチェットレンチ(図示せず)などの工具を用いて押圧ボルト60を回転させれば、台座20は容易に天板53上を摺動して欄干ユニット8が受け部36a側にスライド移動する。
【0055】
そして、図22に示されるように、一旦、押圧ボルト60を緩めて、押圧ボルト60を受け部36aと反対側に移動させ、ブロック63を台座20とネジ座54との間に配置させる。
そして、図23に示されるように、押圧ボルト60をねじ込んでブロック63を押圧してさらに欄干ユニット8をスライド移動させて、隙間26a,26bに受け部36aを挿入させ、欄干ユニット8を受け部36aに支持させる。このとき、欄干ユニット8は、ベースプレート11の第1挿通穴14a及び保持壁31aの第3挿通穴32a(図示せず)の穴中心が相対するまでブラケット取付部3a側にスライド移動させる。このとき、第2挿通穴21a(図示せず)と受け部36aのネジ穴36c(図示せず)の穴中心も相対する。
【0056】
そして、図24に示されるように、押圧ボルト60ごとキャスタユニット50をトラス2と反対側に引き抜き、キャスタユニット50を撤去する。なお、欄干ユニット8を間違ってさらに縁枠部3側に移動させてしまった場合には、スライド規制部36bと台座20が当接したところで、それ以上の欄干ユニット8の縁枠部3側へのスライド移動が規制され、欄干ユニット8が縁枠部3側に転落することが防止される。
【0057】
そして、一対の第1ボルト38aのそれぞれを、第1ボルト38aが受け部36aにねじ込まれる方向に同時に回転させて受け部36aを高さ方向の下方に移動させる。
【0058】
一対の第1ボルト38aに受け部36aが螺合されているので、第1ボルト38aのそれぞれの軸回りに受け板36を回転させようとする力が規制される。そして、第1ボルト38aの回転力は、第1ボルト38aの軸方向、言い換えれば高さ方向に受け板36を移動させる力に変換される。そして、第1ボルト38aの先端は調整穴25内に配置されるので、受け部36aは第1ボルト38aの回転に応じて自在に昇降する。そして、第1ボルト38aを受け部36aにねじ込まれるように回転させる場合、受け部36aに支持された欄干ユニット8は、受け部36aとともに保持壁31a側に移動する。このとき、予め保持壁31aに支持されていた第2ボルト38bの先端が、第1挿通穴14aに挿通する。
【0059】
そして、欄干パネル9が所定の設置高さ位置に配置されたところで、第1挿通穴14aからベースプレート11の上面側に延出した第2ボルト38bの先端にナット39dを螺合し、ナット39dと予め第2ボルト38bの保持壁31aに螺合させておいたナット39cとの間にベースプレート11が挟持されるようにそれぞれのナット39c,39dを締着する。さらに、ナット39aを締着する。即ち、ベースユニット10を保持壁31aに対して固定する。これにより、欄干ユニット8が、図25に示されるように所定の設置高さ位置で安定保持される。
そして、次の欄干ユニット8を乗り口から所定の搬入位置に運搬し欄干ユニット8を据え付ける工程を順次繰り返すことにより、一対の欄干7の据付けが完了する。
そして、スカートガード41と内デッキ27、外装板40と外デッキ28との連結が行い、トラス2の内外を遮断する。
【0060】
この実施の形態の乗客コンベアの欄干によれば、ユニット支持体30のそれぞれが、ブラケット取付部3aから踏段5の横幅方向の踏段5側に突設され、かつ、踏段5の走行方向に所定の長さだけ延在する保持壁31a、保持壁31aに軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト38a、及び第1ボルト38aの先端側に螺合され、第1ボルト38aの回転により昇降自在に保持壁31aの上方に配置された受け部36aを有している。また、欄干ユニット8のそれぞれが、ベースユニット10、ベースユニット10の上面側に支持された欄干パネル9、それぞれベースユニット10の下面に踏段5の走行方向に互いに所定距離離間して固定された2つの台座20、及び踏段5の走行方向に相対するように開口する隙間26a,26bが、台座20の下部に踏段5の横幅方向に貫通して形成されるように台座20に固定された隙間形成部材23A,23Bを有している。そして、欄干ユニット8は、隙間に受け部36aを挿入し、ベースユニット10が、固定部材により保持壁31aに対して固定されている。
【0061】
このように、第1ボルト38aを回転させれば、受け部36aを自在に昇降させることができ、また、欄干ユニット8は、ユニット支持体30と嵌合してユニット支持体30に支持されるように構成されている。
つまり、欄干7の据付け時に踏段5に乗せられてユニット支持体30の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニット8に対し、受け部36aの高さ位置を調整できる。これにより、例えば、キャスタユニット50のように、欄干ユニット8を受け部36a側にスライド移動可能に支持する装置を用い、欄干ユニット8を受け部36a側にスライド移動すれば、ユニット支持体30の配設部位に対応する位置まで運搬された欄干ユニット8と受け部36aとを容易に嵌合させ、欄干ユニット8を受け部に支持させることができる。さらに、この状態から受け部36aの高さ位置を調整することにより、欄干ユニット8を所定の設置高さ位置に配置させることができる。つまり、欄干7の据付けにかかる作業者の負担を軽減することができる。
【0062】
また、キャスタユニット50は、台車ベース51と、台車ベース51の上部に台車ベース51から延出するように配設され、隙間26a,26bに挿通可能な形状に構成された天板53と、台車ベース51の下部に連結軸58まわりに回転自在に取り付けられたキャスタ55と、を有している。そして、天板53を隙間26a,26bに挿通させて、欄干ユニット8をスライド可能に天板53に支持することが可能となっている。
これにより、容易に欄干ユニット8を天板53に支持させたり、天板53上で欄干ユニット8をスライド移動させたりすることが可能となり、欄干ユニット8のユニット支持体30への据付けが効率よく行える。
【0063】
また、この実施の形態よる欄干7の据付け方法によれば、キャスタユニット50に支持された欄干ユニット8を搬入位置まで搬送した後、受け部36aを天板53の高さ位置に一致させて当接させ、台座20を押圧して欄干ユニット8をスライド移動させるだけで、台座20の下部の隙間26a,26bに受け部36aが挿入される。これにより、容易に天板53に代え、受け部36aで欄干ユニット8を支持させることができる。さらに、第1ボルト38aを回転させるだけで、欄干ユニット8を所定の設置高さ位置に配置させることができる。これにより、作業者は、欄干ユニットを腕力で持ち上げることなくユニット支持体30に移動させることができるので、欄干7の据付けにかかる作業者の負担が軽減される。
【0064】
なお、上記実施の形態では、一つの欄干ユニット8の据え付けが完了したのち、次の欄干ユニット8を搬入位置に運搬し、運搬した欄干ユニット8を据え付けるものとして説明したが、欄干ユニット8の搬入位置への運搬は、例えば、踏段5の横幅方向の長さが長いものなどでは、相対して配置させる一対の欄干ユニット8の両方を一度に踏段5に搭載して、搬入位置まで運搬してもよい。
【0065】
また、欄干ユニット8を押圧ボルト60で押し込む前に、錘62を踏段5の一端側が台車ベース51の一面に配置され、他端側が踏段5の踏み面に配置された押さえ部材61の他端側の上面に乗せるものとして説明した。しかし、例えば、ローラ56の転動がストッパ機構57により確実に規制され、かつ、互いに当接状態に配置された天板53及び受け部36aが有る程度の厚みを有しており、欄干ユニット8が移動したときに、ローラ56が、踏段5の踏み面から離れることがなければ押さえ部材61を配設する必要はない。
【0066】
また、欄干ユニット8を押圧ボルト60で押し込んで受け部36aに支持させる際、一旦、押圧ボルト60を緩めて、押圧ボルト60を受け部36aと反対側に移動させ、ブロック63を支持台22とネジ座54との間に配置させてから再度押圧ボルト60をねじ込んでブロック63を押圧して欄干ユニット8を移動させるものとして説明した。しかし、押圧ボルト60が、第1挿通穴14a及び第3挿通穴32aの穴中心が一致するまで欄干ユニット8を押し込み可能な長さを有していれば、特にブロック63を用いなくてもよい。
【0067】
また、ベースユニット10は、ベースユニット10と欄干ブラケット31の保持壁31aに固定部材を用いて固定させるものとして説明したが、ベースユニット10はトラス2に固定部材を用いて固定してもよい。
また、各欄干ユニット8には、ベースプレート11の裏面に台座20を2つ配設するものとして説明したが、台座20の配設数は2つであるものに限定されず、台座20は、欄干ユニット8をベースユニット10に支持可能なように少なくとも2つ以上配設されていればよい。
【0068】
また、乗客コンベアはエスカレータ1であるものとして説明したが、本発明は乗客コンベアとしての動く歩道にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の一実施の形態に係る欄干が設置された乗客コンベアの模式図である。
【図2】図1のII−II矢視部分断面図である。
【図3】図2のB方向から見た要部正面図である。
【図4】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの斜視図である。
【図5】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの分解斜視図である。
【図6】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースユニット、台座、及び隙間形成部材の分解斜視図である。
【図7】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットのベースプレートの一端部周辺の詳細図である。
【図8】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットの台座及び隙間形成部材の詳細図である。
【図9】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付時に欄干ユニットを支持する受け板の詳細図である。
【図10】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け時に使用されるキャスタユニットの詳細図である。
【図11】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干を構成する欄干ユニットを支持するユニット支持体の詳細図である。
【図12】既設のエスカレータの既設の欄干を構成する既設の欄干ユニットの据付け構造を説明する断面図である。
【図13】既設のエスカレータの既設の欄干ブラケットの詳細図である。
【図14】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図である。
【図15】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、キャスタユニットと欄干ユニットとの連結手順を説明する図である。
【図16】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを踏段に搭載する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。
【図17】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の横幅方向に垂直な断面図である。
【図18】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、移動体ユニットを搬入位置に運搬する手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図19】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図20】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図21】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図22】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図23】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図24】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを受け板に支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【図25】この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの欄干の据付け方法において、欄干ユニットを所定の設置高さ位置で支持させる手順を説明する踏段の走行方向に垂直な断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 エスカレータ(乗客コンベア)、2 トラス、5 踏段、7 欄干、8 欄干ユニット、9 欄干パネル、10 ベースユニット、20 台座、23A,23B 隙間形成部材、26a,26b 隙間、30 ユニット支持体、31a 保持壁、38a 第1ボルト、38b 第2ボルト(固定部材)、39b〜39d ナット(固定部材)、36a 受け部、50 キャスタユニット(欄干ユニット運搬装置)、51 台車ベース、53 天板、55 キャスタ、58 連結軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて乗り口と降り口との間を循環移動する複数の踏段のそれぞれの横幅方向の両側に相対するトラスの部位に、上記踏段の走行方向に互いに所定距離離間して配設された複数のユニット支持体、及びそれぞれ上記ユニット支持体に立設状態に支持され、上記踏段の横幅方向の両側で相対するように上記乗り口から上記降り口に至るように配列された複数の欄干ユニットからなる乗客コンベアの欄干において、
上記ユニット支持体のそれぞれは、上記トラスの部位から上記踏段の横幅方向の踏段側に突設され、かつ、上記踏段の走行方向に所定の長さだけ延在する保持壁、上記保持壁に下方から挿通されて該保持壁に軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト、及び上記第1ボルトの先端側に螺合され、該第1ボルトの回転により昇降自在に上記保持壁の上方に配置された受け部を有し、
上記欄干ユニットのそれぞれは、ベースユニット、該ベースユニットの上面側に支持された欄干パネル、それぞれ上記ベースユニットの下面に上記踏段の走行方向に互いに所定距離離間して固定された少なくとも2つの台座、及び上記踏段の走行方向に相対するように開口する隙間が、上記台座の下部に上記踏段の横幅方向に貫通して形成されるように上記台座に固定された隙間形成部材を有し、
上記欄干ユニットは、上記隙間に上記受け部を挿入し、上記ベースユニットが、固定部材により上記保持壁又は上記トラスに対して固定されて取り付けられていることを特徴とする乗客コンベアの欄干。
【請求項2】
請求項1記載の乗客コンベアの欄干を構成する上記欄干ユニットを運搬する欄干ユニット運搬装置であって、
台車ベースと、
上記台車ベースの上部に該台車ベースから延出するように配設され、上記隙間に挿通可能な形状に構成された天板と、
上記台車ベースの下部に連結軸まわりに回転自在に取り付けられたキャスタと、を有し、
上記天板を上記隙間に挿通させて、上記欄干ユニットをスライド可能に該天板に支持することを特徴とする欄干ユニット運搬装置。
【請求項3】
請求項2記載の欄干ユニット運搬装置を用いた上記請求項1記載の乗客コンベアの欄干の据付け方法であって、
上記ユニット支持体のそれぞれを上記トラスの部位に配設する工程と、
上記ベースユニットに固定された少なくとも2つの上記台座のそれぞれの下部に形成された上記隙間のそれぞれに上記天板を挿入し、少なくとも2つの上記欄干ユニット運搬装置に上記ベースユニットを支持させる工程と、
上記欄干ユニット運搬装置に上記ベースユニットを支持させる工程の前後いずれかで上記欄干ユニットを組み立てる工程と、
上記欄干ユニット運搬装置に支持された上記欄干ユニットを上記乗り口まで運搬し、上記天板の上記隙間からの延出端を、上記欄干ユニットを支持させる上記ユニット支持体が配設された踏段の横幅方向の一方の側に向け、上記キャスタを上記踏段に順次乗せ、上記踏段を走行させ、上記天板が対応する上記ユニット支持体の受け部と相対する位置まで上記欄干ユニット運搬装置とともに上記欄干ユニットを搬送する工程と、
上記第1ボルトを回転させて上記受け部を高さ方向に移動させ、上記天板の高さ位置と上記受け部の高さ位置とを一致させる工程と、
上記受け部に上記天板が当接するように上記欄干ユニット運搬装置を踏段の横幅方向に移動する工程と、
上記台座を上記受け部側に押し込んで上記欄干ユニットをスライド移動させ、上記隙間に上記受け部を挿入させて、上記欄干ユニットを上記受け部に支持させる工程と、
上記第1ボルトを回転させて上記受け部を高さ方向に移動させ、上記欄干ユニットを所定の設置高さ位置に配置させる工程と、
上記固定部材にて上記ベースユニットを上記保持壁又は上記トラスに対して固定する工程と、
を備えることを特徴とする欄干の据付け方法。
【請求項1】
無端状に連結されて乗り口と降り口との間を循環移動する複数の踏段のそれぞれの横幅方向の両側に相対するトラスの部位に、上記踏段の走行方向に互いに所定距離離間して配設された複数のユニット支持体、及びそれぞれ上記ユニット支持体に立設状態に支持され、上記踏段の横幅方向の両側で相対するように上記乗り口から上記降り口に至るように配列された複数の欄干ユニットからなる乗客コンベアの欄干において、
上記ユニット支持体のそれぞれは、上記トラスの部位から上記踏段の横幅方向の踏段側に突設され、かつ、上記踏段の走行方向に所定の長さだけ延在する保持壁、上記保持壁に下方から挿通されて該保持壁に軸まわりに回転自在に支持された第1ボルト、及び上記第1ボルトの先端側に螺合され、該第1ボルトの回転により昇降自在に上記保持壁の上方に配置された受け部を有し、
上記欄干ユニットのそれぞれは、ベースユニット、該ベースユニットの上面側に支持された欄干パネル、それぞれ上記ベースユニットの下面に上記踏段の走行方向に互いに所定距離離間して固定された少なくとも2つの台座、及び上記踏段の走行方向に相対するように開口する隙間が、上記台座の下部に上記踏段の横幅方向に貫通して形成されるように上記台座に固定された隙間形成部材を有し、
上記欄干ユニットは、上記隙間に上記受け部を挿入し、上記ベースユニットが、固定部材により上記保持壁又は上記トラスに対して固定されて取り付けられていることを特徴とする乗客コンベアの欄干。
【請求項2】
請求項1記載の乗客コンベアの欄干を構成する上記欄干ユニットを運搬する欄干ユニット運搬装置であって、
台車ベースと、
上記台車ベースの上部に該台車ベースから延出するように配設され、上記隙間に挿通可能な形状に構成された天板と、
上記台車ベースの下部に連結軸まわりに回転自在に取り付けられたキャスタと、を有し、
上記天板を上記隙間に挿通させて、上記欄干ユニットをスライド可能に該天板に支持することを特徴とする欄干ユニット運搬装置。
【請求項3】
請求項2記載の欄干ユニット運搬装置を用いた上記請求項1記載の乗客コンベアの欄干の据付け方法であって、
上記ユニット支持体のそれぞれを上記トラスの部位に配設する工程と、
上記ベースユニットに固定された少なくとも2つの上記台座のそれぞれの下部に形成された上記隙間のそれぞれに上記天板を挿入し、少なくとも2つの上記欄干ユニット運搬装置に上記ベースユニットを支持させる工程と、
上記欄干ユニット運搬装置に上記ベースユニットを支持させる工程の前後いずれかで上記欄干ユニットを組み立てる工程と、
上記欄干ユニット運搬装置に支持された上記欄干ユニットを上記乗り口まで運搬し、上記天板の上記隙間からの延出端を、上記欄干ユニットを支持させる上記ユニット支持体が配設された踏段の横幅方向の一方の側に向け、上記キャスタを上記踏段に順次乗せ、上記踏段を走行させ、上記天板が対応する上記ユニット支持体の受け部と相対する位置まで上記欄干ユニット運搬装置とともに上記欄干ユニットを搬送する工程と、
上記第1ボルトを回転させて上記受け部を高さ方向に移動させ、上記天板の高さ位置と上記受け部の高さ位置とを一致させる工程と、
上記受け部に上記天板が当接するように上記欄干ユニット運搬装置を踏段の横幅方向に移動する工程と、
上記台座を上記受け部側に押し込んで上記欄干ユニットをスライド移動させ、上記隙間に上記受け部を挿入させて、上記欄干ユニットを上記受け部に支持させる工程と、
上記第1ボルトを回転させて上記受け部を高さ方向に移動させ、上記欄干ユニットを所定の設置高さ位置に配置させる工程と、
上記固定部材にて上記ベースユニットを上記保持壁又は上記トラスに対して固定する工程と、
を備えることを特徴とする欄干の据付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−173400(P2009−173400A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14073(P2008−14073)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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