乗客コンベア用オイルパン清掃装置
【課題】掃き集めたオイルパン上の塵埃の取りこぼしが抑えられる乗客コンベア用オイルパン清掃装置の提供。
【解決手段】上記課題は、乗客コンベアの踏板の取付軸に連結する連結部材3と、この連結部材3に支持されて前記踏板の返り側の下方に配設されたオイルパン4に接触する接触部材5とを備え、前記踏板を走行させることで、オイルパン4上を接触部材5が摺動してオイルパン4上の塵埃を掃き集める乗客コンベア用オイルパン清掃装置において、接触部材5を、連結部材3に支持された中央接触部5Aと、中央接触部5Aの右側に延設する右接触部5Bと、中央接触部5Aの左側に延設する左接触部とに、3分割すると共に、この右接触部5B及び左接触部を、オイルパン4の上面形状に合わせて上下に回動するように中央接触部5Aに回動可能に設けることで、達成できる。
【解決手段】上記課題は、乗客コンベアの踏板の取付軸に連結する連結部材3と、この連結部材3に支持されて前記踏板の返り側の下方に配設されたオイルパン4に接触する接触部材5とを備え、前記踏板を走行させることで、オイルパン4上を接触部材5が摺動してオイルパン4上の塵埃を掃き集める乗客コンベア用オイルパン清掃装置において、接触部材5を、連結部材3に支持された中央接触部5Aと、中央接触部5Aの右側に延設する右接触部5Bと、中央接触部5Aの左側に延設する左接触部とに、3分割すると共に、この右接触部5B及び左接触部を、オイルパン4の上面形状に合わせて上下に回動するように中央接触部5Aに回動可能に設けることで、達成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベア用オイルパン清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗客コンベアの一例であるエスカレーターは、図10に示すように、本体フレーム20と、この本体フレーム20の上部機械室20Aに設けられたドライビングマシン21と、このドライビングマシン21の駆動回転がドライビングチェーン22を介して伝達される上部駆動用踏段チェーンスプロケット23と、本体フレーム20の下部機械室20Bに設けた従動チェーンスプロケット24と、これらチェーンスプロケット23、24に巻き掛けられる左右一対の踏段チェーン25と、この踏段チェーン25に無端状に連結された複数個の踏段26と、これら複数個の踏段26の左右に立設される欄干27と、この欄干27の上部に設けられる移動手摺り28と、この移動手摺り28を移動させるための移動手摺り駆動装置29と、複数個の踏段26の返り側の下方に配設されたオイルパン30とを備えており、上部駆動用踏段チェーンスプロケット23の回転に同期して複数個の踏段26が所定方向に移動するように構成されている。しかも、このエスカレーターの左右一対の踏段チェーン25間には、図11に示すように、一定の間隔で複数個の取付軸31が軸支されている。踏段26は、図11に示す取付軸31に設けた軸受32にボルトを用いて固定される。
【0003】
上述のエスカレーターのオイルパン30上を清掃する装置としては、踏段26の取付軸31に連結する連結部材と、この連結部材に支持されてオイルパン30に接触する接触部材とを備えた乗客コンベア用オイルパン清掃装置を、踏段26とオイルパン30との間に設置して、踏段26を走行させることにより、オイルパン30上の塵埃を接触部材で掃き集めるようにしたものが、知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−20072号公報(段落番号0012〜段落番号0014、図1〜図2及び図18)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特開2002−20072号公報号公報などに記載された乗客コンベア用オイルパン清掃装置の接触部材(清掃部)は、いずれも、オイルパンの上面形状の凹凸に追随して回動するようになっていないために、接触部材(清掃部)とオイルパンとの間に大きな隙間ができてしまうものであった。すなわち、従来のオイルパンは、図12に示すように、全体が凸状に湾曲した凸曲面30Aとなっていたり、あるいは、図13に示すように、全体が凹状に湾曲した凹曲面30Bとなっていたりするために、上記特開2002−20072号公報に記載された乗客コンベア用オイルパン清掃装置の接触部材32を凸曲面30A上あるいは凹曲面30B上に沿って摺動させても、その接触部材32と凸曲面30Aあるいは凹曲面30Bとの間に大きな隙間G1あるいは隙間G2が形成されてしまう。そのために、その大きな隙間G1、G2から、接触部材32によって掃き集めた塵埃が取りこぼされてしまうので、その取りこぼした塵埃は、手作業で集めなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、オイルパンの上面が、凸曲面あるいは凹曲面になっていても、掃き集めた塵埃の取りこぼしを阻止し得る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、乗客コンベアの踏板の取付軸に連結する連結部材と、この連結部材に支持されて前記踏板の返り側の下方に配設されたオイルパンに接触する接触部材とを、少なくとも備え、前記踏板を走行させることで、前記オイルパン上を前記接触部材が摺動して前記オイルパン上の塵埃を掃き集める乗客コンベア用オイルパン清掃装置において、前記接触部材を、前記連結部材に支持された中央接触部と、この中央接触部の右側に延設する右接触部と、前記中央接触部の左側に延設する左接触部とに、3分割すると共に、この右接触部及び左接触部を、前記オイルパンの上面形状に合わせて上下に回動するように前記中央接触部に回動可能に設けたことを特徴としている。なお、ここで、踏板とは、エスカレーターの踏段や動く歩道のパレットなどの踏面も含まれる。
【0007】
さらに、本発明は、前記右接触部は、前記中央接触部若しくは前記右接触部に固定された右側軸受体に設けた右側軸を、前記中央接触部若しくは前記右接触部に設けた孔に挿入し、その右側軸に右ナットを螺合させることで、前記右側軸を回転軸として回動可能に設け、しかも、前記左接触部は、前記中央接触部若しくは前記左接触部に固定された左側軸受体に設けた左側軸を前記中央接触部若しくは前記左接触部に設けた孔に挿入し、その左側軸に左ナットを螺合させることで、前記左側軸を回転軸として回動可能に設けることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明は、前記接触部材の前記右接触部、前記中央接触部及び左接触部のいずれにも、前記オイルパンとの間隔を一定に保持するローラーを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オイルパンの上面が凸曲面あるいは凹曲面になっていると、接触部材の中央接触部の左右に設けた右接触部及び左接触部がその凸曲面あるいは凹曲面に追随して回動してオイルパンと右接触部及び左接触部との間の間隔の発生が抑えられるので、オイルパン上の塵埃の取りこぼしを抑えることのできる乗客コンベア用オイルパン清掃装置がえられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を、図1〜図7に基づいて、詳説する。
【0011】
本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置1は、図1及び図2に示すように 乗客コンベアの踏段の取付軸2に連結する金属製の連結部材3と、この連結部材3に支持されて乗客コンベアの踏段の返り側の下方に配設されたオイルパン(油受板)4に接触する金属製の接触部材5とを、少なくとも備え、乗客コンベアの踏段を走行させることで、オイルパン4上を接触部材5が摺動してオイルパン4上の塵埃を掃き集めるようにしている。
【0012】
接触部材5は、図1及び図3に示すように、連結部材3に支持された中央接触部5Aと、この中央接触部5Aの右側に延設する右接触部5Bと、中央接触部5Aの左側に延設する左接触部5Cとに3分割すると共に、この右接触部5B及び左接触部5Cを、オイルパン4の上面形状に合わせて上下に回動するように中央接触部5Aに回動可能に設ける構成にしてある。
【0013】
右接触部5Bの中央接触部5A側には、図1及び図3に示すように、右側軸受体6を固定して、この右側軸受体6に右側軸7を設ける。左接触部5Cの中央接触部5A側には、図1及び図3に示すように、左側軸受体8を固定して、この左側軸受体8に左側軸9を設ける。右接触部5Bは、中央接触部5Aの右端面側に設けた孔(図示せず)に右側軸7を挿入してその右側軸7に右ナット10を螺合させることで、右側軸7を回転軸として回動可能に設けられる。左接触部5Cは、中央接触部5Aの左端面側に設けた孔(図示せず)に左側軸9を挿入してその左側軸9に左ナット11を螺合させることで、左側軸9を回転軸として回動可能に設けられる。
【0014】
オイルパン4は、1.6mmの鋼板からなり、本体フレーム12、12Aに溶接した際、全体が凸状に湾曲して、図4に示すように、そのオイルパン4の上面が凸曲面4Aとなったり、あるいは、全体が凹状に湾曲して、図5に示すように、そのオイルパン4の上面が凹曲面4Bとなったりする。
【0015】
上記オイルパン4の凸曲面4Aあるいは凹曲面4Bを、上記一実施形態の乗客コンベア用オイルパン清掃装置1で清掃する場合を、図6及び図7に基づき、説明する。
【0016】
乗客コンベア用オイルパン清掃装置1により、オイルパン4の凸曲面4Aを清掃している状態では、図6に示すように、接触部材5の右接触部5Bは、右側軸7を回転軸として下側(時計回り)に回動し、その右接触部5Bがオイルパン4の凸曲面4Aに沿う状態になる。その結果、接触部材5の右接触部5Bとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。また、接触部材5の左接触部5Cは、左側軸9を回転軸として下側(反時計回り)に回動し、その左接触部5Cがオイルパン4の凸曲面4Aに沿う状態になる。その結果、接触部材5の左接触部5Cとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。
【0017】
さらに、乗客コンベア用オイルパン清掃装置1により、オイルパン4の凹曲面4Bを清掃している状態では、図7に示すように、接触部材5の右接触部5Bは、右側軸7を回転軸として上側(反時計回り)に回動し、その右接触部5Bがオイルパン4の凹曲面4Bに沿う状態になる。その結果、接触部材5の右接触部5Bとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。また、接触部材5の左接触部5Cは、左側軸9を回転軸として上側(時計回り)に回動し、その左接触部5Cがオイルパン4の凹曲面4Bに沿う状態になる。その結果、接触部材5の左接触部5Cとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。
【0018】
以上のように、本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置1よれば、オイルパン4の上面が凸曲面4Aあるいは凹曲面4Bになっていると、接触部材5の中央接触部5Aの左右に設けた右接触部5B及び左接触部5Cがその凸曲面4Aあるいは凹曲面4Bに追随して回動してオイルパン4と右接触部5B及び左接触部5Cとの間の間隔の発生が抑えられるので、オイルパン4上の塵埃の取りこぼしを抑えることができる。
【0019】
図8及び図9は、本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を示す。図8及び図9において、図1〜図7と同一符号は同一内容を表している。
【0020】
図8及び図9に示す本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置100と、図1〜図7に示す本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置1とは、前者が、接触部材5の中央接触部5A、右接触部5B及び左接触部5Cのいずれにも、オイルパン4との間隔を一定に保持するローラー101を設けているのに対して、後者は、そのローラー101を設けていない点で相違しているのみであって、他の点では全く同一である。本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置100では、図8に示すように、中央接触部5Aの下部、右接触部5Bの下部及び左接触部5Cの下部のそれぞれに、2個のローラー101を左右対称に設けるようにしてある。
【0021】
上記他実施形態の乗客コンベア用オイルパン清掃装置100によれば、接触部材5の中央接触部5A、右接触部5B及び左接触部5Cは、ローラー101によって、オイルパン4上をより円滑に移動するようになるので、清掃作業性が向上させられる。
【0022】
上記実施形態では、乗客コンベアをエスカレーターとしているが、これに限定されない。本発明の乗客コンベア用オイルパン清掃装置1は、動く歩道などのオイルパンを清掃する場合にも、適用できる。
【0023】
上記実施形態では、右側軸7を設けた右側軸受体6を、前記右接触部5Bに設け、かつ、その右側軸7が挿入する孔を前記中央接触部5Aに設けると共に、左側軸9を設けた左側軸受体8を、前記左接触部5Cに設け、かつ、その左側軸9が挿入する孔を前記中央接触部5Aに設けるようにしているが、これに限定されない。右側軸7を設けた右側軸受体6を、前記中央接触部5Aに設け、かつ、その右側軸7が挿入する孔を前記右接触部5Bに設けると共に、左側軸9を設けた左側軸受体8を、前記中央接触部5Aに設け、かつ、その左側軸9が挿入する孔を前記左接触部5Cに設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を乗客コンベアの踏段の取付軸に取り付けた状態を示す要部正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るオイルパンの全体が凸状に湾曲した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るオイルパンの全体が凹状に湾曲した状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置がオイルパンの凸曲面上を移動している状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置がオイルパンの凹曲面上を移動している状態を示す図である。
【図8】本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を乗客コンベアの踏段の取付軸に取り付けた状態を示す要部正面図である。
【図9】図8の要点拡大側面図である。
【図10】従来例を示し、乗客コンベアの全体構成図である。
【図11】従来例を示し、乗客コンベアの左右一対の踏段チェーン部分の要部拡大上面図である。
【図12】従来の乗客コンベア用オイルパン清掃装置でオイルパンの凸曲面を清掃している状態の説明図である。
【図13】従来の乗客コンベア用オイルパン清掃装置でオイルパンの凹曲面を清掃している状態の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 乗客コンベア用オイルパン清掃装置(一実施形態)
2 取付軸
3 連結部材
4 オイルパン
5 接触部材
5A 中央接触部
5B 右接触部
5C 左接触部
6 右側軸受体
7 右側軸
8 左側軸受体
9 左側軸
10 右側ナット
11 左側ナット
12、12A 本体フレーム
100 乗客コンベア用オイルパン清掃装置(他実施形態)
101 ローラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベア用オイルパン清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗客コンベアの一例であるエスカレーターは、図10に示すように、本体フレーム20と、この本体フレーム20の上部機械室20Aに設けられたドライビングマシン21と、このドライビングマシン21の駆動回転がドライビングチェーン22を介して伝達される上部駆動用踏段チェーンスプロケット23と、本体フレーム20の下部機械室20Bに設けた従動チェーンスプロケット24と、これらチェーンスプロケット23、24に巻き掛けられる左右一対の踏段チェーン25と、この踏段チェーン25に無端状に連結された複数個の踏段26と、これら複数個の踏段26の左右に立設される欄干27と、この欄干27の上部に設けられる移動手摺り28と、この移動手摺り28を移動させるための移動手摺り駆動装置29と、複数個の踏段26の返り側の下方に配設されたオイルパン30とを備えており、上部駆動用踏段チェーンスプロケット23の回転に同期して複数個の踏段26が所定方向に移動するように構成されている。しかも、このエスカレーターの左右一対の踏段チェーン25間には、図11に示すように、一定の間隔で複数個の取付軸31が軸支されている。踏段26は、図11に示す取付軸31に設けた軸受32にボルトを用いて固定される。
【0003】
上述のエスカレーターのオイルパン30上を清掃する装置としては、踏段26の取付軸31に連結する連結部材と、この連結部材に支持されてオイルパン30に接触する接触部材とを備えた乗客コンベア用オイルパン清掃装置を、踏段26とオイルパン30との間に設置して、踏段26を走行させることにより、オイルパン30上の塵埃を接触部材で掃き集めるようにしたものが、知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−20072号公報(段落番号0012〜段落番号0014、図1〜図2及び図18)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特開2002−20072号公報号公報などに記載された乗客コンベア用オイルパン清掃装置の接触部材(清掃部)は、いずれも、オイルパンの上面形状の凹凸に追随して回動するようになっていないために、接触部材(清掃部)とオイルパンとの間に大きな隙間ができてしまうものであった。すなわち、従来のオイルパンは、図12に示すように、全体が凸状に湾曲した凸曲面30Aとなっていたり、あるいは、図13に示すように、全体が凹状に湾曲した凹曲面30Bとなっていたりするために、上記特開2002−20072号公報に記載された乗客コンベア用オイルパン清掃装置の接触部材32を凸曲面30A上あるいは凹曲面30B上に沿って摺動させても、その接触部材32と凸曲面30Aあるいは凹曲面30Bとの間に大きな隙間G1あるいは隙間G2が形成されてしまう。そのために、その大きな隙間G1、G2から、接触部材32によって掃き集めた塵埃が取りこぼされてしまうので、その取りこぼした塵埃は、手作業で集めなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、オイルパンの上面が、凸曲面あるいは凹曲面になっていても、掃き集めた塵埃の取りこぼしを阻止し得る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、乗客コンベアの踏板の取付軸に連結する連結部材と、この連結部材に支持されて前記踏板の返り側の下方に配設されたオイルパンに接触する接触部材とを、少なくとも備え、前記踏板を走行させることで、前記オイルパン上を前記接触部材が摺動して前記オイルパン上の塵埃を掃き集める乗客コンベア用オイルパン清掃装置において、前記接触部材を、前記連結部材に支持された中央接触部と、この中央接触部の右側に延設する右接触部と、前記中央接触部の左側に延設する左接触部とに、3分割すると共に、この右接触部及び左接触部を、前記オイルパンの上面形状に合わせて上下に回動するように前記中央接触部に回動可能に設けたことを特徴としている。なお、ここで、踏板とは、エスカレーターの踏段や動く歩道のパレットなどの踏面も含まれる。
【0007】
さらに、本発明は、前記右接触部は、前記中央接触部若しくは前記右接触部に固定された右側軸受体に設けた右側軸を、前記中央接触部若しくは前記右接触部に設けた孔に挿入し、その右側軸に右ナットを螺合させることで、前記右側軸を回転軸として回動可能に設け、しかも、前記左接触部は、前記中央接触部若しくは前記左接触部に固定された左側軸受体に設けた左側軸を前記中央接触部若しくは前記左接触部に設けた孔に挿入し、その左側軸に左ナットを螺合させることで、前記左側軸を回転軸として回動可能に設けることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明は、前記接触部材の前記右接触部、前記中央接触部及び左接触部のいずれにも、前記オイルパンとの間隔を一定に保持するローラーを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オイルパンの上面が凸曲面あるいは凹曲面になっていると、接触部材の中央接触部の左右に設けた右接触部及び左接触部がその凸曲面あるいは凹曲面に追随して回動してオイルパンと右接触部及び左接触部との間の間隔の発生が抑えられるので、オイルパン上の塵埃の取りこぼしを抑えることのできる乗客コンベア用オイルパン清掃装置がえられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を、図1〜図7に基づいて、詳説する。
【0011】
本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置1は、図1及び図2に示すように 乗客コンベアの踏段の取付軸2に連結する金属製の連結部材3と、この連結部材3に支持されて乗客コンベアの踏段の返り側の下方に配設されたオイルパン(油受板)4に接触する金属製の接触部材5とを、少なくとも備え、乗客コンベアの踏段を走行させることで、オイルパン4上を接触部材5が摺動してオイルパン4上の塵埃を掃き集めるようにしている。
【0012】
接触部材5は、図1及び図3に示すように、連結部材3に支持された中央接触部5Aと、この中央接触部5Aの右側に延設する右接触部5Bと、中央接触部5Aの左側に延設する左接触部5Cとに3分割すると共に、この右接触部5B及び左接触部5Cを、オイルパン4の上面形状に合わせて上下に回動するように中央接触部5Aに回動可能に設ける構成にしてある。
【0013】
右接触部5Bの中央接触部5A側には、図1及び図3に示すように、右側軸受体6を固定して、この右側軸受体6に右側軸7を設ける。左接触部5Cの中央接触部5A側には、図1及び図3に示すように、左側軸受体8を固定して、この左側軸受体8に左側軸9を設ける。右接触部5Bは、中央接触部5Aの右端面側に設けた孔(図示せず)に右側軸7を挿入してその右側軸7に右ナット10を螺合させることで、右側軸7を回転軸として回動可能に設けられる。左接触部5Cは、中央接触部5Aの左端面側に設けた孔(図示せず)に左側軸9を挿入してその左側軸9に左ナット11を螺合させることで、左側軸9を回転軸として回動可能に設けられる。
【0014】
オイルパン4は、1.6mmの鋼板からなり、本体フレーム12、12Aに溶接した際、全体が凸状に湾曲して、図4に示すように、そのオイルパン4の上面が凸曲面4Aとなったり、あるいは、全体が凹状に湾曲して、図5に示すように、そのオイルパン4の上面が凹曲面4Bとなったりする。
【0015】
上記オイルパン4の凸曲面4Aあるいは凹曲面4Bを、上記一実施形態の乗客コンベア用オイルパン清掃装置1で清掃する場合を、図6及び図7に基づき、説明する。
【0016】
乗客コンベア用オイルパン清掃装置1により、オイルパン4の凸曲面4Aを清掃している状態では、図6に示すように、接触部材5の右接触部5Bは、右側軸7を回転軸として下側(時計回り)に回動し、その右接触部5Bがオイルパン4の凸曲面4Aに沿う状態になる。その結果、接触部材5の右接触部5Bとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。また、接触部材5の左接触部5Cは、左側軸9を回転軸として下側(反時計回り)に回動し、その左接触部5Cがオイルパン4の凸曲面4Aに沿う状態になる。その結果、接触部材5の左接触部5Cとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。
【0017】
さらに、乗客コンベア用オイルパン清掃装置1により、オイルパン4の凹曲面4Bを清掃している状態では、図7に示すように、接触部材5の右接触部5Bは、右側軸7を回転軸として上側(反時計回り)に回動し、その右接触部5Bがオイルパン4の凹曲面4Bに沿う状態になる。その結果、接触部材5の右接触部5Bとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。また、接触部材5の左接触部5Cは、左側軸9を回転軸として上側(時計回り)に回動し、その左接触部5Cがオイルパン4の凹曲面4Bに沿う状態になる。その結果、接触部材5の左接触部5Cとオイルパン4上との間の間隙の発生が抑えられる。
【0018】
以上のように、本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置1よれば、オイルパン4の上面が凸曲面4Aあるいは凹曲面4Bになっていると、接触部材5の中央接触部5Aの左右に設けた右接触部5B及び左接触部5Cがその凸曲面4Aあるいは凹曲面4Bに追随して回動してオイルパン4と右接触部5B及び左接触部5Cとの間の間隔の発生が抑えられるので、オイルパン4上の塵埃の取りこぼしを抑えることができる。
【0019】
図8及び図9は、本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を示す。図8及び図9において、図1〜図7と同一符号は同一内容を表している。
【0020】
図8及び図9に示す本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置100と、図1〜図7に示す本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置1とは、前者が、接触部材5の中央接触部5A、右接触部5B及び左接触部5Cのいずれにも、オイルパン4との間隔を一定に保持するローラー101を設けているのに対して、後者は、そのローラー101を設けていない点で相違しているのみであって、他の点では全く同一である。本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置100では、図8に示すように、中央接触部5Aの下部、右接触部5Bの下部及び左接触部5Cの下部のそれぞれに、2個のローラー101を左右対称に設けるようにしてある。
【0021】
上記他実施形態の乗客コンベア用オイルパン清掃装置100によれば、接触部材5の中央接触部5A、右接触部5B及び左接触部5Cは、ローラー101によって、オイルパン4上をより円滑に移動するようになるので、清掃作業性が向上させられる。
【0022】
上記実施形態では、乗客コンベアをエスカレーターとしているが、これに限定されない。本発明の乗客コンベア用オイルパン清掃装置1は、動く歩道などのオイルパンを清掃する場合にも、適用できる。
【0023】
上記実施形態では、右側軸7を設けた右側軸受体6を、前記右接触部5Bに設け、かつ、その右側軸7が挿入する孔を前記中央接触部5Aに設けると共に、左側軸9を設けた左側軸受体8を、前記左接触部5Cに設け、かつ、その左側軸9が挿入する孔を前記中央接触部5Aに設けるようにしているが、これに限定されない。右側軸7を設けた右側軸受体6を、前記中央接触部5Aに設け、かつ、その右側軸7が挿入する孔を前記右接触部5Bに設けると共に、左側軸9を設けた左側軸受体8を、前記中央接触部5Aに設け、かつ、その左側軸9が挿入する孔を前記左接触部5Cに設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を乗客コンベアの踏段の取付軸に取り付けた状態を示す要部正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の上面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るオイルパンの全体が凸状に湾曲した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るオイルパンの全体が凹状に湾曲した状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置がオイルパンの凸曲面上を移動している状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置がオイルパンの凹曲面上を移動している状態を示す図である。
【図8】本発明の他実施形態に係る乗客コンベア用オイルパン清掃装置を乗客コンベアの踏段の取付軸に取り付けた状態を示す要部正面図である。
【図9】図8の要点拡大側面図である。
【図10】従来例を示し、乗客コンベアの全体構成図である。
【図11】従来例を示し、乗客コンベアの左右一対の踏段チェーン部分の要部拡大上面図である。
【図12】従来の乗客コンベア用オイルパン清掃装置でオイルパンの凸曲面を清掃している状態の説明図である。
【図13】従来の乗客コンベア用オイルパン清掃装置でオイルパンの凹曲面を清掃している状態の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 乗客コンベア用オイルパン清掃装置(一実施形態)
2 取付軸
3 連結部材
4 オイルパン
5 接触部材
5A 中央接触部
5B 右接触部
5C 左接触部
6 右側軸受体
7 右側軸
8 左側軸受体
9 左側軸
10 右側ナット
11 左側ナット
12、12A 本体フレーム
100 乗客コンベア用オイルパン清掃装置(他実施形態)
101 ローラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの踏板の取付軸に連結する連結部材と、この連結部材に支持されて前記踏板の返り側の下方に配設されたオイルパンに接触する接触部材とを、少なくとも備え、前記踏板を走行させることで、前記オイルパン上を前記接触部材が摺動して前記オイルパン上の塵埃を掃き集める乗客コンベア用オイルパン清掃装置において、
前記接触部材を、前記連結部材に支持された中央接触部と、この中央接触部の右側に延設する右接触部と、前記中央接触部の左側に延設する左接触部とに、3分割すると共に、この右接触部及び左接触部を、前記オイルパンの上面形状に合わせて上下に回動するように前記中央接触部に回動可能に設けたことを特徴とする乗客コンベア用オイルパン清掃装置。
【請求項2】
前記右接触部は、前記中央接触部若しくは前記右接触部に固定された右側軸受体に設けた右側軸を、前記中央接触部若しくは前記右接触部に設けた孔に挿入し、その右側軸に右ナットを螺合させることで、前記右側軸を回転軸として回動可能に設け、しかも、前記左接触部は、前記中央接触部若しくは前記左接触部に固定された左側軸受体に設けた左側軸を、前記中央接触部若しくは前記左接触部に設けた孔に挿入し、その左側軸に左ナットを螺合させることで、前記左側軸を回転軸として回動可能に設けることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア用オイルパン清掃装置。
【請求項3】
前記接触部材の前記右接触部、前記中央接触部及び左接触部のいずれにも、前記オイルパンとの間隔を一定に保持するローラーを設けたことを特徴とする請求項1若しくは2記載の乗客コンベア用オイルパン清掃装置。
【請求項1】
乗客コンベアの踏板の取付軸に連結する連結部材と、この連結部材に支持されて前記踏板の返り側の下方に配設されたオイルパンに接触する接触部材とを、少なくとも備え、前記踏板を走行させることで、前記オイルパン上を前記接触部材が摺動して前記オイルパン上の塵埃を掃き集める乗客コンベア用オイルパン清掃装置において、
前記接触部材を、前記連結部材に支持された中央接触部と、この中央接触部の右側に延設する右接触部と、前記中央接触部の左側に延設する左接触部とに、3分割すると共に、この右接触部及び左接触部を、前記オイルパンの上面形状に合わせて上下に回動するように前記中央接触部に回動可能に設けたことを特徴とする乗客コンベア用オイルパン清掃装置。
【請求項2】
前記右接触部は、前記中央接触部若しくは前記右接触部に固定された右側軸受体に設けた右側軸を、前記中央接触部若しくは前記右接触部に設けた孔に挿入し、その右側軸に右ナットを螺合させることで、前記右側軸を回転軸として回動可能に設け、しかも、前記左接触部は、前記中央接触部若しくは前記左接触部に固定された左側軸受体に設けた左側軸を、前記中央接触部若しくは前記左接触部に設けた孔に挿入し、その左側軸に左ナットを螺合させることで、前記左側軸を回転軸として回動可能に設けることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア用オイルパン清掃装置。
【請求項3】
前記接触部材の前記右接触部、前記中央接触部及び左接触部のいずれにも、前記オイルパンとの間隔を一定に保持するローラーを設けたことを特徴とする請求項1若しくは2記載の乗客コンベア用オイルパン清掃装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−70025(P2007−70025A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257866(P2005−257866)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(391039173)株式会社ジェイアール西日本テクノス (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(391039173)株式会社ジェイアール西日本テクノス (26)
【Fターム(参考)】
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