説明

乗用コンベヤ用の駆動アセンブリ

乗用コンベヤ用の例示的な駆動アセンブリは、少なくとも部分的にジャケットに覆われた複数のコードを含むベルトを有する。複数の連結ブロックが、ベルトに沿って長手方向に離間された状態でベルトに固定されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エスカレータや動く歩道などの乗用コンベヤは、典型的にコンベヤの両端に位置する乗場間で乗客を搬送する踏段などの移動面を含む。移動面は、モータ、駆動スプロケットおよび踏段チェーンを含む駆動アセンブリによって推進される。モータは、典型的に駆動スプロケットを回転させる。踏段チェーンは、スプロケットによって駆動される。踏段チェーンは、コンベヤが所望の通り運転されるように移動面に固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来の乗用コンベヤ駆動アセンブリは、種々の課題を有する。1つの課題は、踏段チェーンリンク機構の経路に沿った移動や駆動スプロケットとの相互作用に関連する騒音および振動である。他の課題は、踏段チェーンが典型的に潤滑を要することであり、これにより、材料や保守に関する問題が発生する。さらに、典型的な踏段チェーン装置は、保守を要し、ビルの所有者に追加の費用や不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
乗用コンベヤ用の例示的な駆動アセンブリは、少なくとも部分的にジャケットに覆われた複数のコードを含むベルトを有する。複数の連結ブロックが、ベルトに沿って長手方向に離間された状態でベルトに固定されている。
【0004】
開示された実施例の種々の特徴および利点は、以下の詳細な説明によって当業者に明らかとなる。詳細な説明に付随する図面は、以下に簡単に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】例示的な乗用コンベヤの斜視図である。
【図2】例示的な乗用コンベヤ駆動アセンブリの選択された部分の斜視図である。
【図3】例示的な乗用コンベヤ駆動アセンブリの他の選択された部分の斜視図である。
【図4】例示的な連結ブロックとベルト配置の断面図である。
【図5】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【図6】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【図7】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【図8】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【図9】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【図10】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【図11】他の例示的な連結ブロックおよびベルト配置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、例示的な乗用コンベヤ20の選択された部分を示している。図示の例示的なコンベヤ20は、エスカレータである。他の例は、動く歩道を含む。コンベヤ20は、この例では踏段である複数の移動面22を含む。移動面22は、乗場24,26の間で乗客を搬送する。手摺り28が移動面22とともに移動し、コンベヤ20によって搬送されるときに人が掴むことができる面を提供する。
【0007】
図1〜図3から分かるように、コンベヤ20は、ベルト32と、ベルト32に固定された複数の連結ブロック34と、を有する駆動アセンブリ30を含む。連結ブロック34は、ベルト32の長さに沿って長手方向に離間されている。
【0008】
駆動輪40がモータ(図示省略)によって回転し、移動面22が移動する経路に対応する経路に沿ってベルト32および連結ブロック34を移動させる原動力を伝達する。連結ブロック34は、駆動輪40と確実に係合してベルト32と共に移動するように、駆動輪40に設けられた対応する形状づけられた面あるいは特徴部と協働する。図示の例では、連結ブロック34は、少なくとも部分的に駆動輪40のリセス42に受け入れられる。この例では、駆動輪40は、ベルト32を推進させるためにベルト32と直接接触する外側駆動面44をさらに含む。この例では、駆動面44とベルト32との摩擦接触によりベルトが容易に所望の通り移動する。
【0009】
連結ブロック34は確実な駆動面を提供し、ベルト32はベルト32および連結ブロック34の所望の移動を生じさせる摩擦駆動面を提供する。移動面は、連結ブロック34およびアクスル46との連結部によってベルト32と連結されており、ベルト32と連結ブロック34の移動に応じて移動面22が移動する。この例では、連結ブロック34は、アクスル46に連結されるように設けられた内側に面する連結面を有する。移動面22は、一例では従来の踏段−アクスル連結部によってアクスル46に連結される。他の例では、連結ブロック34は、移動面22の一部に直接連結されるように設けられた少なくとも1つの連結面を有する。連結ブロック34により、移動面22がベルト32に容易に連結され、これにより、駆動アセンブリ30が移動面を所望の通りに移動させる。
【0010】
図3の例では、連結ブロック34の離間距離は、アクスル46のピッチに対応する。他の例では、全ての連結ブロックが移動面22またはアクスル46に連結されるわけではない。このような例では、いくつかの連結ブロックが、駆動アセンブリ30と移動面22との連結部を提供せずに、確実な駆動要素として機能する。
【0011】
本発明に従って設計される駆動アセンブリ30の可能な態様には種々のものがある。一例が図4に示されている。この例は、ベルト32の長さに沿って長手方向に延在する複数のコード50を有するベルト32を含む。一例では、コード50は鋼製である。他の例では、コード50はポリマー製である。コード50は、少なくとも部分的にジャケット52によって覆われている。ジャケット材料の一例は、熱可塑性ポリウレタンなどのウレタンである。
【0012】
この例では、連結ブロック34は、ベルト32の一方の面に接触する第1の部分54と、ベルト32の反対に面する面に接触する第2の部分56と、を含む。この例では、1つの第1の部分54と2つの第2の部分56がある。固定部材58により、連結ブロック34がベルト32上の所望位置に保持される。一例は、ベルト32に設けられた穴を貫通して少なくとも一方の部分54,56に螺入されるボルトなどのねじ付固定部材58を含む。
【0013】
連結ブロックは、一例では金属製である。一例は、鋼製である。連結ブロックには、ポリマーコーティングを有するものがある。他の例示的な連結ブロックは、硬質のプラスチック材料からなる。
【0014】
図5は、離間された2つの第1の部分54を含む他の例を示している。
【0015】
図6は、第2の部分56が駆動輪40の回転軸に対して傾斜した角度で設けられた内側面を有する他の変形例を示している。この例は、さらに、第1の部分54および第2の部分56の外側面に設けられた固定ブロック部分60を含む。図から分かるように、この例では固定部材58はベルト32を貫通しない。
【0016】
図7の例は、図4と類似しているが、追加の固定ブロック部分60および固定部材58がベルト32の両側に設けられている。図8では、第1の部分54と第2の部分56が、ベルト32のジャケット52の外形寸法のかなり外側まで横方向外側に延在する。この実施例では、固定部材58は、部分54,56の少なくとも一方に固定されているが、ベルト32を貫通しない。
【0017】
図9は、2つのベルト32A,32Bを含む他の例示的な駆動アセンブリを示す。この例では、スペーサ70が、連結ブロック34の位置でベルト32A,32Bの間に配置される。複数のベルトを使用することで、駆動アセンブリの荷重容量を増加させることができる。このような例は、例えば、比較的長い走行距離を有する乗用コンベヤに特に適している。
【0018】
図10は、複数のベルトを含む他の例を示す。2つのベルト32A,32Bは、この例では(図9の例のように重なった状態ではなく)並んでいる。この例では、駆動面44の比較的大きい幅によって、両方のベルト32A,32Bとの充分な摩擦接触が得られる。
【0019】
図4〜図10のそれぞれの例では、ベルト32の面の少なくとも一部が露出しており、ベルト32の全長にわたって駆動輪の外側駆動面44に面している。これらの例では、ベルト32が駆動輪40の周囲に巻き付けられると、駆動輪40とベルト32との摩擦駆動接触が得られる。
【0020】
図11の例では、ベルト32と駆動面44との境界における3つの面で摩擦接触が得られるように、ベルト32が少なくとも部分的にV字型の断面を有し、駆動面44が対応するV字型の形状を有する。
【0021】
上述の説明は、限定的ではなく、例示的なものである。開示された実施例の変更や改良は当業者には明らかであり、必ずしも本発明の本質から逸脱するものではない。本発明に与えられる法的保護の範囲は、以下の請求項を検討することのみによって判断可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にジャケットに覆われた複数のコードを含むベルトと、
前記ベルトに沿って長手方向に離間された状態で該ベルトに固定された複数の連結ブロックと、を有することを特徴とする乗用コンベヤ用の駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記連結ブロックは、前記ベルトの第1の面に接触する第1の部分と、該ベルトの反対側の第2の面に接触する第2の部分と、をそれぞれ有することを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記連結ブロックは、第1の部分および第2の部分をベルトの対応する面に固定する少なくとも1つの固定部材をそれぞれ有することを特徴とする請求項2記載の駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記連結ブロックは、前記ベルトの両方の縁部の近傍に設けられた2つの第1の部分をそれぞれ有し、ベルトの第1の面の中央部分が2つの第1の部分の間で露出していることを特徴とする請求項2記載の駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記連結ブロックは、第1の部分の両方と関連する単一の第2の部分をそれぞれ有することを特徴とする請求項4記載の駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記連結ブロックは、2つの第2の部分をそれぞれ有し、各々の第2の部分は、2つの第1の部分の一方と関連して設けられていることを特徴とする請求項4記載の駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記ベルトは、実質的に矩形の断面を有することを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。
【請求項8】
前記ベルトは、少なくとも部分的に実質的にV字型の断面を有することを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。
【請求項9】
少なくとも一部の連結ブロックは、関連する乗用コンベヤの踏段に連結されるように設けられた連結面を有することを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。
【請求項10】
少なくとも一部の連結ブロックは、関連する乗用コンベヤの踏段アクスルに連結されるように設けられた連結面を有することを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。
【請求項11】
前記ベルトを駆動する駆動輪を有し、
前記連結ブロックは、前記駆動輪の対応する面と係合するように設けられた面をそれぞれ有し、前記駆動輪と前記連結ブロックとの確実な係合によって、該駆動輪が前記ベルトを駆動していることを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。
【請求項12】
前記駆動輪は、該駆動輪と前記ベルトとの間の摩擦接触によって該ベルトを駆動するために、少なくとも前記連結ブロックの間のベルト部分に沿って前記ベルトに接触する面を有することを特徴とする請求項11記載の駆動アセンブリ。
【請求項13】
前記駆動輪に面する前記ベルトの面の中央部分が、該ベルトの全長にわたって露出しており、前記中央部分は前記駆動輪と摩擦接触していることを特徴とする請求項12記載の駆動アセンブリ。
【請求項14】
前記駆動輪は、複数のリセスを有する外側面を有しており、これらのリセスは、前記連結ブロックを少なくとも部分的に受け入れるとともに、該連結ブロックと係合して前記ベルトを駆動するように形状づけられていることを特徴とする請求項11記載の駆動アセンブリ。
【請求項15】
前記コードは鋼製であり、前記ジャケットはウレタン製であり、連結ブロックはポリマーコーティングを有する金属製本体を含むことを特徴とする請求項1記載の駆動アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−529410(P2012−529410A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514931(P2012−514931)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047183
【国際公開番号】WO2010/144095
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】