説明

乗用型機械式摘み取り適用お茶栽培装置

【課題】
機械式摘み取り用お茶栽培装置に関して、日除けの設備によって高級茶の栽培装置について明らかにすることを課題とする。
【解決手段】
玉露茶用新芽の形成に応じて遮光ネットでカバーするお茶栽培装置において、お茶摘み取り乗用型管理機が茶畑内を稼働できるような高床式にして、日照のコントロールできる日除け開閉可能なジャバラ状のシートを設置できる側部支柱と当該支柱を支える縦横のワイヤーが交差する箇所で支える中部主軸支柱で固定された茶樹の被覆構造体であって、所定期間前記お茶の木に空間を隔てて日除け遮光シートで被覆することができて、乗用型管理機によって摘み取り、管理できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級のお茶である玉露の栽培装置に関し、特に玉露茶用新芽の形成した後に、お茶の葉の摘葉前にお茶の木に施す遮光ネット付き栽培装置に関して、その他被覆による遮光栽培によって得られる茶を生産せしめる施設にあって、特に茶葉新芽の形成後から茶葉摘採までの間にお茶の木に施す栽培施設に関する。
【背景技術】
【0002】
お茶は「日常茶飯事」というように生活に深く入り込んだ嗜好飲料である。茶樹は品種の特徴を維持するために、茶の種子から増殖するよりも挿し木や接ぎ木で増殖する。茶樹には大葉種(アッサム種)と小葉種(中国種)と、この中間の中葉種(中国系アッサム種)とに分類され、経済的樹齢は35年程度で、樹高は50〜100cm程度である。また、栽培について、土壌条件としては、アルカリ土壌には不向きで、気象条件は、年間1500mm以上の雨量が好ましく、零下10度以下の気温では葉が茶色となる。立地条件としては、川霧が立ちこめるような場所や山間地の傾斜地等で、日当たりも良く、日温較差が多い場所が良いとされている。また、気象災害の防止については、霜害防止に防霜ファンを用いたり、菰などで畑を覆ったりする。
【0003】
被陰樹が必要となり、環境に大きく左右する。また、日本茶のように窒素肥料で「テアニン(アミノ酸)」物質が多く、燐酸加里で渋みの「タンニン(カテキン類)」により美味しさが出る。 茶の香りは口に入る前に感じることで味より先に良否の判断の元となり、植物の香りはその植物が育つ自然環境に支配される。被覆をした茶畑から摘んだ茶の芽は緑も鮮やかで、味も良い。
【0004】
お茶の良否は味と共にその香りも大切で、香りは口に入る前に感じることで味より先に良否の判断の元となり、植物の香りはその植物が育つ自然環境に支配され、川霧が立ちこめるような場所は山間地の傾斜地で、日当たりも良く、日温較差が多い程良いとされている。また、霜害防止に防霜ファンを用いたり、菰などで畑を覆ったりする。菰を掛けるのは霜害防止のためであったが、覆いを掛けた茶畑から摘んだ茶の芽は緑も鮮やかで、味も良く、藁を被せたり、菰、よしず、寒冷紗等で覆うことが増加している。
【0005】
高級茶の玉露を製造する方法としての半透明なシートをカバーする方法が提案されている(特許文献1参照)。あるいはかぶせ茶園用茶園管理機についても提案さている(特許文献2参照)。機械式摘み取り用お茶栽培装置については明らかにされていない。
【特許文献1】特開2000−201529号
【特許文献2】特開2001−45809号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
玉露の栽培において、新芽の伸長程度を見極め俊敏に作業する最適時期に被覆をすることは、品質の向上に必要なことである。また、従来の摘採方法は、手摘みもしくは可搬型摘採機を利用していたが、労力が加重であり、生産を断念する農家も多い問題点を抱えていた。さらに、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要しているので、乗用管理機が開発されているが現在の被覆棚でこれらの乗用型管理機が使用可能な施設は存在していない現状である。
【0007】
茶栽培棚施設として、夜間の放射冷却を遮光ネットにより防ぐ防霜効果をもつこと、高級品の玉露の栽培において、新芽の伸長の程度を見極め、俊敏に作業を行って最適時期に被覆をすること、また、従来の摘採方法は、手摘みもしくは可搬型摘採機を利用していたが、乗用型摘採機で摘採すること、さらに、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業において、乗用型管理機を使用することが各農家で要望されている。
【0008】
本発明は、機械式摘み取り用お茶栽培装置に関して、日除けの設備によって高級茶の栽培装置について乗用型管理機を使用することができる高級茶の栽培棚施設を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
玉露茶用新芽の伸長に応じて被覆するお茶栽培施設において、お茶摘み取り乗用型管理機が茶畑内を稼働できるような高棚式にして、日照のコントロールできる日除け開閉可能なジャバラ状の遮光ネットを設置できる側部支柱と当該支柱を支える縦横の鋼線が交差する箇所で支える中部主軸支柱で固定された茶樹の被覆構造体であって、所定期間前記茶樹に空間を隔てて遮光ネットで被覆することができて、乗用型管理機によって摘み取り、管理できる機械式摘み取り適応用お茶栽培施設である。
【0010】
玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、お茶摘み取り乗用型管理機が茶畑内を稼働できるような高棚式は、側部の高さを2500mm〜3500mmであり、日除け開閉可能なジャバラ状の遮光ネットを設置できるようにして、日除性と通気性を持ちながら、開閉が可能にしている。2500mmより低いと乗用型管理機が稼動できない。また3500mmより高いと経済的でなく、不安定な装置になる。
【0011】
当該支柱を支える縦と横に交わしている鋼線が交差する箇所で鋼線によって支えている中部主軸支柱は、各側部支柱間を結ぶ鋼線が中部主軸支柱に直角に交差している箇所を支えるために、側部支柱の高さに比べて2〜8倍の高さである。好ましくは4〜6倍である。中部主軸支柱は、側部支柱の高さに比べて2〜5倍程度が好ましい。
【0012】
当該側部支柱の間隔は5000〜12000mmであって、縦横の鋼線が交差する箇所で支える中部主軸支柱は中心部に存在して側部支柱の2〜4本の間隔で設置している機械式摘み取り用お茶栽培施設である。側部支柱の間隔は6000〜10000mmで、側部支柱の2〜3本の間隔が好ましい。
【0013】
玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、被覆遮光ネットの横幅は当該側部支柱の間隔と同幅の5000〜12000mmで、当該遮光ネットの長さは横幅の1〜5倍であって、通気性と70%〜95%の遮光性を持っている繊維状の遮光ネットトである。遮光ネットの張り込み方向は茶畝の方向とは必ずしも一致しなくてもよい。
被覆遮光ネットの使用期間は新芽の萌芽時期ころの防霜期間と玉露被覆期間、また、2番茶、3番茶、秋冬番茶の40〜60日間程度であり、その後採茶する機械式摘み取り適応用お茶栽培施設である。
【0014】
茶栽培棚施設として、夜間の放射冷却を遮光ネットにより防ぐ防霜効果をもつこと、高級品の玉露の栽培において、新芽の伸長程度を見極め、俊敏に作業を行い最適時期に被覆をすることは、品質の向上に必要なことである。この発明は、被覆資材の開閉が短時間で行えるような設備にすることにある。もし、被覆時期が早すぎた場合は、遅れて伸長を始めた小さな新芽の伸長が停止し、収量が減収する。また、被覆が遅れた場合は、品質が煎茶に近い状態となり、玉露としての香気成分や旨み背負い分が茶葉に十分に蓄積されない。
【0015】
また、従来の摘採方法は、手摘みもしくは可搬型摘採機を利用していたが、労力が加であり、生産を断念する農家も多い。この発明は、乗用型摘採機で摘採することにより、手摘みに比べ276倍、可搬型摘採機の3倍の摘採能力が生まれる。
さらに、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要しているので、乗用管理機が開発されている。現在の被覆棚でこれらの乗用型管理機が使用可能な施設は無く、本発明の施設はこれらを全部活用できる棚施設である。
【0016】
近年の茶摘みは、自然の気候に合わせて、お茶の木が新芽を出し、3葉〜5葉が成長した時点で、摘葉摘芽する。また、その後二番茶として新芽が出て、2葉〜5葉が成長した時点で、摘葉摘芽して、この工程を年間複数回繰り返して、お茶の葉を収穫する。茶摘みは、手摘みから鋏摘み、螺旋状刃による機械摘採、自走式の大型摘採機等で行われる。このお茶の葉は、集積所に集められ、お茶の葉を選別して、練り、蒸気で煮沸し、乾燥して、細粒種、太粒種等に選別する。
【0017】
また、緑茶の一種として、高級茶として著名な玉露については、一番茶の新芽が出てきた状態で遮光資材を掛けてお茶の木を栽培するもので、新芽に日光を当てた露地状態で栽培する煎茶と茶葉の作り方が異なる。
【0018】
また、製茶の仕方は抹茶と煎茶とがあり、抹茶は茶の生葉を20秒ほど蒸気に通してから直ちに乾燥するもので、乾燥時間は25分、100度近い乾燥機の中を2〜3回往復させて、茶葉の水分を7〜8%程度まで取り除く。このようにして、茶樹の広葉となり、広葉を砕いて太い葉脈や茎の部分を取り除いて、碾茶とし、この碾茶を石臼にかけて粉末としたものが抹茶となり全行程は1時間程度である。
【0019】
また、煎茶は、蒸した茶の葉を揉みながら乾燥させ、最初に揉むのは祖揉とし約45分程度水分を除いて揉捻して15分程度、さらに中揉みの工程で30〜40分程度かかり、煎茶特有の形の精揉として40分程度、そして最後の乾燥に30〜40分程度で、全行程で約3時間程度を要する。煎茶は茶の葉を充分揉んで、茶の中に含まれる各種の成分がお湯に浸出するようにしている。
【0020】
醗酵茶や不醗酵茶を決める加工は荒茶加工工程であり、精製工程は茶業界では仕上げ工程を意味する。荒茶工程において、てん茶にして精製工程で抹茶とすることになり、抹茶が、最終製品になることから、醗酵茶等と同列のお茶にはならない。また、てん茶の定義では露地栽培でも可能となっているが、玉露とてん茶が同じように被覆処理をするものではない。
【0021】
お茶の精製加工によって、抹茶、不発酵茶の煎茶、半発酵茶のウーロン茶、発酵茶の紅茶に分けられる。玉露や番茶は基本的には煎茶と同じであるが、玉露は抹茶と同様に茶畑に覆いを掛けて育てるので、若芽の水分の調節が大切で、また、焙じ茶は秋番茶、春番茶等の原料を強火で乾燥し、茶の葉が茶色に変色して香ばしい香りを重宝する。茶の葉を揉むのは、葉の表面を保護するロー物質内に葉の内部の細胞を細胞膜で包み、細胞内容物が外に出ないようにしており、これらの包みを取り除くために揉みを入れる。従来の煎茶や玉露のよいものは、針のように細くなったものとされている。
【0022】
また、水出し煎茶や深蒸し煎茶は、茶の製品を小さくする為に、蒸す時間を長くし、祖揉以降は揉む圧力を強く、長くして茶の葉の組織や細胞膜を充分こわすようにしてあり、冷水でも成分が浸出しやすく作られている。
【0023】
また、お茶の主な成分は、煎茶を代表として、重さ当たり、タンニン(カテキン)13%,カフェイン2.3%,蛋白質とアミノ酸24%,脂質4.6%,糖質35.2%,繊維10.6%,灰分5.4%が含まれ、ビタミンA,B1,B2,C,E,ナイアシン等が含まれる。お茶のタンニンは、消臭効果や抗菌効果を有し、カフェインは覚醒作用を有しており、嗜好飲料に優れたものであるといえる。
【発明の効果】
【0024】
夜間の放射冷却を遮光ネットにより防ぐ、被覆資材の開閉が短時間で行えるようにすることにある。さらに、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要しているので乗用管理機が開発されているが、これらの乗用型管理機が使用可能な施設に全部活用できる棚施設である。
【0025】
この発明では、品質の向上に必要な被覆資材の開閉が短時間で行えるようになった。乗用型摘採機で摘採することにより、手摘みに比べ276倍、可搬型摘採機の3倍の摘採能力が生まれる。樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要しているので、乗用管理機が開発されているが現在の被覆棚に比べて、これらの乗用型管理機が使用可能な施設であるために、本施設は効率的にお茶の栽培と摘み取りの作業をすることができるものである。
【0026】
また、お茶の茶樹、茶樹の樹勢、茶葉の栽培、天候、茶葉の精製等の複雑な多数のパラメータのうち、特に新芽の茶葉の栽培方法により、特有の旨味のある高級のお茶を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明による実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
実際の方法としては、遮光シ―ト(ジャバラ式バロンスクリーン)を一年中棚の上で畳んでおくことが出来るが、とくに、新芽の伸長にあわせて全面展開して、新葉が4〜5枚展葉した時期に、被覆資材を展開したままで、乗用型摘採機によって摘採する。一方被覆資材をたたんで日光を当てると玉露の品質が低下する。摘採が終わったら直ちに棚の上にたたむ。たたまずにいると、茶樹に日光を当てず、樹勢の低下がおきることが分かっている。
【0028】
図1に乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置の斜視図を示す。図において、17は土壌、18は生育したお茶の木、19は乗用型機械式摘み取り機である。上述したように、通常、お茶の生育は、11月から3月初旬までを発育休止期、4〜5月が幼芽から1芯5葉の開く一番茶、5〜6月が二番茶、7〜8月が三番茶、9〜10月が秋冬茶として摘取する。高級茶の玉露茶の栽培には、通常お茶の木に菰(シート)を掛けるのは発育休止期後半とし、発芽前から、通気性の良い菰をお茶の葉から約30cm〜100cm程度離して、菰掛け支柱で支えてカバーしていたが、作業において問題を残していたので、乗用型摘採機を採用して以下の装置によって効率を上げた。
【0029】
本発明の装置に採用している遮光ネットのシートは、透光性や通気性等の物理的特性を有していれば、どのようなものでもよい。しかし乗用型摘採機が装置内で作業できて、遮光効果をもたらすことが必要である。お茶の葉の遮光は、天候状況や日照時間にもよるが、お茶の葉は2〜5葉、好ましくは2〜3葉が育っており、その成長した葉の上部から、遮光ネットをお茶の新芽の上に設置して、乗用型摘採機を採用して摘取する。
【実施例1】
【0030】
実施例1に示す装置は約10aの茶畑に使用するものである。
図2〜図10に沿って、装置の組み立て方法、資材の寸法、設置の状態などを詳しく記述する。図2はて完成状態の装置における平面図であり、図3は平面図、と側面図である。図4、図5は、中心柱と隅柱・周囲柱であって、それぞれの柱と棚幹線とワイヤーを組み立てた状態を示したものが図2である。以下に各図に沿って組み立て状態を説明する。
【0031】
まず図6は中心柱と隅柱と周囲柱と棚幹線で結んだ骨格装置の平面図である。図6における、中心柱は高さ9m、直径138mmの鋼管柱であり、中心柱2本を装置の中央部に図5のように、120cm掘下げ建て込みする。図4−1に示すように隅柱は60.5mm径x3500mm長さで、装置の各隅の4箇所に4本立てる。また図4−2に示すように周囲柱は60.5mm径x3000mm長さであって、隅柱の間に約5m間隔で18本建てて、それらの柱の間に棚幹線(#12線径2.6mm 約500m)と外周棚ワイヤー(鋼撚り線14mmφ 約200m)とを張った。
【0032】
柱においては打ち込みアンカー30本と、基礎石(高さ600mm)を22個使って、図2のような装置を組み上げた棚装置である。また図7は、その装置中に被覆用遮光ネットを展張できるような遮光ネットワイヤーを張ったワイヤー展張外郭装置である。図7では、中間パイプとして48.6mm径x6000mm長さの鋼管を7本と、角パイプとして6000mm径の鋼管を14本と、張線機(図10参照 27個)、遮光ネット用ワイヤー(約700m)を用いて、図6の内側に設置した。
【0033】
図8−1と図8−2では、図7において遮光ネット用ワイヤーを設置させた装置に、図9に示す遮光ネット(遮光率90%以上)をセットした状態で正面図と側面図である。図9に示す遮光ネットは樹脂ネット原反3枚幅継ぎした物である。
この装置では、20列の茶畝を持つ茶畑に使用され、一茶畝は幅約1.8mで、長さ約25mである。一茶畝の茶木の茶摘は幅1.8m、高さ2.7mの乗用型機械式摘み取り機を使用して機械摘みを行った。
【0034】
この装置での遮光ネットを使用する時期は一番茶、二番茶にも使用して、その時に茶の芽が1〜3葉期頃に、装置上部面に装置周辺部からロープ等を用い展張する。玉露茶を栽培する場合には、被覆期間を約20日間で行い、摘採後収納するときも展張して行う。同様にロープを使い周辺部より遮光ネットを収納しておく。
【0035】
得られたお茶の葉は高級茶の玉露になり、品質的にも高いものであった。この特徴は
従来の摘採方法は、手摘みもしくは可搬型摘採機を利用したものに比べて、非常に労力が節減できて、生産農家が摘採時間を問題していた点を解消させた。とくに乗用型摘採機で摘採することにより、手摘みに比べ約250倍に、可搬型摘採機の約3倍に摘採能力が向上した。さらに、この装置の設置によって、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要していたが、この乗用型械式摘み取り管理機を導入することによって解決できた。
【0036】
現在の被覆棚付茶畑で上記の乗用型械式摘み取り管理機が使用可能な施設は無く、本発明における装置においてはこれら乗用型械式摘み取り管理機が全部活用できる棚装置である。
この装置によって防霜効果ができて、夜間の放射冷却を遮光ネットにより防ぐことが可能である。また高級茶の玉露の栽培において、新芽の伸長程度を見極めた場合に、俊敏に作業を行い、被覆資材の開閉が短時間で行うことができるので、最適時期に被覆して品質の向上をもたらすことができた。もし、被覆時期が早すぎた場合は、遅れて伸長を始めた小さな新芽の伸長が停止し、収量が減収する。また、被覆が遅れた場合は、品質が煎茶に近い状態となり、玉露としての香気成分や旨み背負い分が茶葉に十分に蓄積されない。
【実施例2】
【0037】
実施例1に示す装置は約20アールの茶畑に使用するものである。
図2~10に沿って、装置の組み立て方法、資材の寸法、設置の状態などを詳しく記述する。図2はて完成状態の装置における平面図であり、図3は平面図、と側面図である。図4、図5は、中心柱と隅柱・周囲柱であって、それぞれの柱と棚幹線とワイヤーを組み立てた状態を示したものが図2である。以下に各図に沿って組み立て状態を説明する。
【0038】
まず図6は中心柱と隅柱と周囲柱と棚幹線で結んだ骨格装置の平面図である。図6における、中心柱は高さ9m、直径138mmの鋼管柱であり、中心柱4本を装置の中央部に図5のように、120cm掘下げ建て込みする。図4−1に示すように隅柱は60.5mm径x3500mm長さで、装置の各隅の4箇所に8本立てる。また図4−2に示すように周囲柱は60.5mm径x3000mm長さであって、隅柱の間に約5m間隔で36本建てて、それらの柱の間に棚幹線(#12線径2.6mm 約1000m)と外周棚ワイヤー(鋼撚り線14mmφ 約400m)とを張った。
【0039】
柱においては打ち込みアンカー60本と、基礎石(高さ600mm)を44個使って、図2のような装置を組み上げた棚装置である。また図7は、その装置中に被覆用遮光ネットを展張できるような遮光ネットワイヤーを張ったワイヤー展張外郭装置である。図7では、中間パイプとして48.6mm径x6000mm長さの鋼管を14本と、角パイプとして6000mm径の鋼管を28本と、張線機(図10参照 54個)、遮光ネット用ワイヤー(約1400m)を用いて、図6の内側に設置した。
【0040】
図8−1と図8−2では、図7において遮光ネット用ワイヤーを設置させた装置に、図9に示す遮光ネット(遮光率90%以上)をセットした状態で正面図と側面図である。図9に示す遮光ネットは樹脂ネット原反3枚幅継ぎした物である。
この装置では、40列の茶畝を持つ茶畑に使用され、一茶畝は幅約1.8mで、長さ約25mである。一茶畝の茶木の茶摘は幅1.8m、高さ2.7mの乗用型機械式摘み取り機を使用して機械摘みを行った。
【0041】
この装置での遮光ネットを使用する時期は一番茶、二番茶にも使用して、その時に茶の芽が1〜3葉期頃に、装置上部面に装置周辺部からロープ等を用い展張する。玉露茶を栽培する場合には、被覆期間を約20日間で行い、摘採後収納するときも展張して行う。同様にロープを使い周辺部より遮光ネットを収納しておく。
【0042】
得られたお茶の葉は高級茶の玉露になり、品質的にも高いものであった。この特徴は
従来の摘採方法は、手摘みもしくは可搬型摘採機を利用したものに比べて、非常に労力が節減できて、手摘みに比べ約250倍に、可搬型摘採機の約3倍に摘採能力が向上した。さらに、この装置の設置によって、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要していたが、この乗用型械式摘み取り管理機を導入することによって解決できた。
【0043】
この装置によって防霜効果ができて、夜間の放射冷却を遮光ネットにより防ぐことが可能である。また高級茶の玉露の栽培において、新芽の伸長程度を見極めた場合に、俊敏に作業を行い、被覆資材の開閉が短時間で行うことができるので、最適時期に被覆して品質の向上をもたらすことができた。
「比較例1」
【0044】
可搬型摘採機を利用した約10aの茶畑に使用するものである。
図2〜図10に沿って、装置の組み立て方法、資材の寸法、設置の状態などを詳しく記述する。図2は完成状態の装置における平面図であり、図3は平面図、と側面図である。図4、図5は、中心柱と隅柱・周囲柱であって、それぞれの柱と棚幹線とワイヤーを組み立てた状態を示したものが図2である。以下に各図に沿って組み立て状態を説明する。
【0045】
まず図6は中心柱と隅柱と周囲柱と棚幹線で結んだ骨格装置の平面図である。図6における、中心柱は高さ9m、直径138mmの鋼管柱であり、中心柱2本を装置の中央部に図5のように、120cm掘下げ建て込みする。図4−1に示すように隅柱は60.5mm径x3500mm長さで、装置の各隅の4箇所に4本立てる。また図4−2に示すように周囲柱は60.5mm径x3000mm長さであって、隅柱の間に約5m間隔で18本建てて、それらの柱の間に棚幹線(#12線径2.6mm 約500m)と外周棚ワイヤー(鋼撚り線14mmφ 約200m)とを張った。
【0046】
柱においては打ち込みアンカー30本と、基礎石(高さ600mm)を22個使って、図2のような装置を組み上げた棚装置である。また図7は、その装置中に被覆用遮光ネットを展張できるような遮光ネットワイヤーを張ったワイヤー展張外郭装置である。図7では、中間パイプとして48.6mm径x6000mm長さの鋼管を7本と、角パイプとして6000mm径の鋼管を14本と、張線機(図10参照 27個)、遮光ネット用ワイヤー(約700m)を用いて、図6の内側に設置した。
【0047】
図8−1と図8−2では、図7において遮光ネット用ワイヤーを設置させた装置に、図9に示す遮光ネット(遮光率90%以上)をセットした状態で正面図と側面図である。図9に示す遮光ネットは樹脂ネット原反3枚幅継ぎした物である。
この装置では、20列の茶畝を持つ茶畑に使用され、一茶畝は幅約1.8mで、長さ約25mである。一茶畝の茶木の茶摘は幅1.8m、高さ2.7mの乗用型機械式摘み取り機を使用して機械摘みを行った。
【0048】
この装置での遮光ネットを使用する時期は一番茶、二番茶にも使用して、その時に茶の芽が1〜3葉期頃に、装置上部面に装置周辺部からロープ等を用い展張する。玉露茶を栽培する場合には、被覆期間を約20日間で行い、摘採後収納するときも同様にロープを使い周辺部より遮光ネットを収納しておく。
【0049】
得られたお茶の葉は高級茶の玉露になり、品質的にも高いものであった。この特徴は
従来の摘採方法は、手摘みもしくは可搬型摘採機を利用したものに比べて、非常に労力が節減できて、生産農家が摘採時間を問題していた点を解消させた。とくに乗用型摘採機で摘採することにより、手摘みに比べ約276倍に、可搬型摘採機の約3倍に摘採能力が向上した。さらに、この装置の設置によって、摘採だけでなく、茶樹枝の切り返し更新や病害虫防除、施肥の作業は手作業が多く過重な労力を要していたが、この乗用型機械式摘み取り管理機を導入することによって解決できた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置の斜視図
【図2】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置の正面図
【図3】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置の平面図(a)と側面図(b)
【図4】お茶栽培装置の隅柱(a)と周囲柱(b)
【図5】お茶栽培装置の中心柱
【図6】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置における外周柱と棚幹線図
【図7】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置における中間パイプと遮光用ワイヤー図
【図8−1】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置におけるネット掛け図
【図8−2】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置におけるネット掛け図
【図9】乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培装置の使用ネット
【図10】ワイヤーの締め付け工具(a)、(b)
【符号の説明】
【0051】
1.中心柱
2.隅柱
3.周囲柱
4.棚幹線
5.中間パイプ
6.遮光ネット用ワイヤー
7.外周棚ワイヤー
8.打ち込みアンカー
9.空中支線
10.角パイプ
11.14.遮光ネット(ジャバラ式バロンスクリーン)
12.吊金具
13.ロープ
15.基礎石
16.張線機
17.土壌
18.お茶の木
19.乗用型摘み取り機
20.コンクリート根枷


【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉露茶用新芽の伸長に応じて遮光ネットを被覆するお茶栽培施設において、お茶摘み取り乗用型管理機が茶畑内を稼働できるような高棚式にして、日照のコントロールできる日除け開閉可能なジャバラ状の遮光ネットを設置できる側部支柱と当該支柱を支える縦横の鋼線が交差する箇所で支える中部主軸支柱で固定された茶樹の被覆構造体であって、所定期間前記茶樹に空間を隔てて遮光ネットで被覆することができて、乗用型管理機によって摘み取り、管理できることを特徴とする乗用型機械式摘み取り適応用お茶栽培施設。
【請求項2】
請求項1において玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、お茶摘み取り乗用型管理機が茶畑内を稼働できるような高棚式は、側部の高さを2500mm〜3500mmであり、日除け開閉可能なジャバラ状の遮光ネットを設置できるようにして、日除性と通気性を持ちながら、開閉が可能にしていることを特徴とする乗用型機械式摘み取り適用お茶栽培施設。
【請求項3】
請求項1において玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、当該支柱を支える縦と横に交わしている鋼線が交差する箇所で鋼線によって支えている中部主軸支柱は、各側部支柱間を結ぶ鋼線が中部主軸支柱に直角に交差している箇所を支えるために、側部支柱の高さに比べて2〜4倍の高さであることを特徴とする乗用型機械式摘み取り適用お茶栽培施設。
【請求項4】
請求項1において玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、当該側部支柱の間隔は5000〜12000mmであって、縦横の鋼線が交差する箇所で支える中部主軸支柱は中心部に存在して側部支柱の2〜4本の間隔で設置していることを特徴とする乗用型機械式摘み取り適用お茶栽培施設。
【請求項5】
請求項1において玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、被覆遮光ネットの横幅は当該側部支柱の間隔と同幅の5000〜12000mmで、当該遮光ネットの長さは横幅の1〜5倍であって、通気性と70%〜95%の遮光性を持っている繊維状の遮光ネットトであることを特徴とする乗用型機械式摘み取り適用お茶栽培施設
【請求項6】
請求項1において玉露茶用新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培施設において、被覆遮光ネットの使用期間は新芽の萌芽時期の防霜期間であり、被覆期間を40〜60日間であることを特徴とする乗用型機械式摘み取り適用お茶栽培施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−112259(P2009−112259A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289514(P2007−289514)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(505209979)川村産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】