説明

乗馬型運動装置の座部構造

【課題】乗馬型運動装置において、長時間使用したとしても使用者のお尻などが痛くなることを回避できる座部の構造を提供する。
【解決手段】 乗馬型運動装置1の座部3に関し、当該座部3の上面の中央部から後部に亘って凹部13が形成され、この凹部13内の左右両側には使用者Mの体重を支持可能な弾性を有する第1弾性部材14が配設され、凹部13内の中央部であって第1弾性部材14に挟まれた領域には、第1弾性部材14より柔らかい第2弾性部材15が配設されている構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部に跨り状態で着座する使用者に対し乗馬運動を付与する乗馬型運動装置の座部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が着座した状態の座席を前後・左右に揺動させ、使用者に対し乗馬運動を付与する乗馬型運動装置として、本願出願人は特許文献1に開示されたものを既に開発している。
この装置は、設置台と、座席と、この設置台と座席との間に設けられた前後運動機構及び左右運動機構と、前後運動機構及び左右運動機構を同時動作させる駆動機構とを有していて、使用者に効果的な乗馬・バランス運動を付与できるものとなっている。
【特許文献1】特開2007−54600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示された乗馬型運動装置を使用している使用者の一部から、「長時間、座部に跨っているとお尻が痛くなる」、「股ズレに近い状態となる」などの声が挙がってきている。このような症状が発症すると、使用者は乗馬運動を長く続けることができず、期待される健康促進効果やダイエット効果を得ることができない可能性が大である。
そこで、本発明は、長時間使用したとしても使用者のお尻などが痛くなることを回避できる乗馬型運動装置の座部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる乗馬型運動装置の座部構造は、床面上に設置される設置部と、前記設置部の上方に設けられ使用者が跨ぎ姿勢で着座する座部と、前記設置部と着座部との間に設けられ且つ座部に対し前後及び左右の往復揺動を生じさせる駆動機構と、が備えられている乗馬型運動装置の座部構造であって、前記座部の上面には使用者の体重を支持可能な弾性を有する第1弾性部材が左右一対に配設され、前記座部の上面であって前記左右一対の第1弾性部材に挟まれた領域には、前記第1弾性部材より柔らかい第2弾性部材が配設されていることを特徴とする。
【0005】
好ましくは、前記座部の上面には凹部が形成され、該凹部内の左右両側に前記第1弾性部材が配設され、前記凹部の中央部であって第1弾性部材に挟まれた領域には、前記第2弾性部材が配設されているとよい。
さらに好ましくは、前記凹部が、座部の上面の中央部から後部に亘って形成されているとよい。
前記第2弾性体は、前記凹部より前後方向に長く形成されていることは非常に好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る座部構造を採用した座部を用いることで、乗馬型運動装置を長時間使用したとしても使用者のお尻などが痛くなることが確実に回避可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係る乗馬型運動装置1が示されている。この乗馬型運動装置1は、使用者Mが跨った状態で用いる着座型となっている。
乗馬型運動装置1は、床面F上に設置される設置部2と、この設置部2の上方に支持され且つ使用者Mが跨って着座する座部3とを有している。なお、説明においては、着座した使用者Mから見た乗馬型運動装置1の前後方向、左右方向、上下方向を、本実施形態での前後方向、左右方向(幅方向)、上下方向とする。
【0008】
設置部2は、床面F上に配置されたベース体4を有し、ベース体4の左右両側には前方及び後方へ脚部5が突設されている。ベース体4上には前方傾斜状に支持脚6が立設され、支持脚6の上部には、座部3を揺動させる揺動装置7を格納するための収納部8が設けられている。
収納部8の上方には、座部3が配置されている。座部3は平面視楕円形状に形成され、その前部側には操作パネル部9が設けられている。この操作パネル部9には、スタートやストップ、或いはモード切替等を行うスイッチが設けられている。
【0009】
収納部8に格納された揺動装置7は、座部3に乗馬・バランス運動を起こさせるものであって、設置部2と座部3とを連結する役目をも有していて、揺動装置7の下部側が設置部2側と連結され、揺動装置7の上部側が座部3側と連結されている。
揺動装置7としては様々な機構が採用可能であるが、例えば、左右方向を向いていて座部3を支持する第1支軸と第2支軸とを有し、第1支軸の端部にはその軸心から偏心した位置に回転軸部が形成されており、この回転軸部を駆動手段で回転させることで、第1支軸はこの回転軸部まわりに偏心円運動可能とされており、座部3は、第1支軸が取付けられる第1取付孔を有する第1取付部と、第2支軸が取付けられる第2取付孔を有する第2取付部とを備えており、第1支軸が回転軸部まわりの偏心円運動をしたときに、座部3が前記第2支軸まわりの上下揺動をし、かつ前後揺動しないようにすべく、第1取付部は、座部3に設けられた枢支軸廻りに前後揺動可能なリンク部材とされている構成であるとよい。
【0010】
乗馬型運動装置1に備えられた座部3は、以下述べる構造を有している。
詳しくは、図2,図3に示す如く、座部3は、座部本体10と、座部本体10を上方から覆うクッション部11と、クッション部11を覆うように設けられるシート部12とを有している。
座部本体10は、ポリプロピレンなどの硬質プラスチックで構成され鞍形形状を呈している。幅方向へは成人が跨って着座可能な寸法となっている。この座部本体10の内部下面が揺動装置7の上部に取り付けられている。
【0011】
座部本体10の上面であって中央部から後部に亘っては、平面視で長方形状の凹部13が形成されている。凹部13の深さは約5mm程度であり、前後方向約20cm、幅方向約23cmとなっている。凹部13内の左右両側に使用者Mの体重を支持可能な弾性を有する一対の第1弾性部材14,14が配設されている。第1弾性部材14は、幅方向7〜8cmで前後方向の長さは凹部13の長さと略同一で凹部13に嵌り込んでいて、着座した使用者Mの臀部を支えるものとなっている。第1弾性部材14は、高発砲ポリエチレンなどで構成されている。
【0012】
凹部13の中央部であって左右一対の第1弾性部材14,14に挟まれた領域には、第1弾性部材14より柔らかい第2弾性部材15が配設されている。第2弾性部材15は発泡ウレタン等でスポンジ材で構成されている。本実施形態の場合、第2弾性部材15は、前記凹部13より前後方向に数cm程度長く形成されている。
つまり、凹部13には、当該凹部13を幅方向に略3等分して、右側(又は左側)から第1弾性部材14、第2弾性部材15、第1弾性部材14と配置される構成となっている。
【0013】
以上の構造を有する座部本体10は、スポンジ材等で構成されたクッション部11で覆われ、さらには、人工皮革等で形成されたシート部12で覆われるものとなっている。
このような構成のため、座部3に着座した使用者Mの臀部は第1弾性部材14に支持されると共に、外的な刺激に弱い部分である股間近傍、尾骨近傍は第2弾性部材15に支持される。第2弾性部材15は第1弾性部材14に比べ柔らかいため、股間近傍に対し座部3から加わる圧力は非常に小さいものとなる。使用者Mは、第2弾性部材15に接する座部3の部位においては「空隙が形成されている」様に感じる。そのため、座部3に座り、乗馬型運動装置1を長時間使用したとしても、使用者Mのお尻などが痛くなることを回避できる。
【0014】
以上のような構成を有する着座型乗馬型運動装置1の作動態様は、以下の通りである。
使用者Mはまず、座部3を跨ぐような姿勢で座り、操作パネル部9を使ってスタートスイッチをONにする。すると、揺動装置7が作動して、座部3が前後方向に往復揺動すると共に、左右方向へも往復揺動をし、使用者Mに対して乗馬運動を付与するようになる。
その際、座部3に着座した使用者Mの臀部は第1弾性部材14に支持されると共に、外的な刺激に弱い部分である股間近傍は第2弾性部材15に支持される。第2弾性部材15は第1弾性部材14に比べ柔らかいため、股間近傍に座部3から加わる圧力は非常に小さいものとなる。そのため、座部3に座り、乗馬型運動装置1を長時間使用したとしても、使用者Mのお尻などが痛くなることを回避できる。
【0015】
特に、柔らかい第2弾性部材15が、凹部13を前後にはみ出る形状に、すなわち座部3の前後方向に長く形成されているため、使用者Mが前後方向に移動したとしても、股間部が痛くなることを効果的に抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
本発明の実施の形態として、上面に凹部13が形成されている座部本体10を例示しているが、凹部13を有さず、上面に直接、第1弾性部材14及び第2弾性部材15が設けられた座部本体10であっても、股ズレ等を抑制する十分な作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】乗馬型運動装置の全体斜視図である。
【図2】座部の分解斜視図である。
【図3】座部本体の平面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 乗馬型運動装置
2 設置部
3 座部
4 ベース体
5 脚部
6 支持脚
7 揺動装置
8 収納部
9 操作パネル部
10 座部本体
11 クッション部
12 シート部
13 凹部
14 第1弾性部材
15 第2弾性部材
F 床面
M 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に設置される設置部と、前記設置部の上方に設けられ使用者が跨ぎ姿勢で着座する座部と、前記設置部と着座部との間に設けられ且つ座部に対し前後及び左右の往復揺動を生じさせる駆動機構と、が備えられている乗馬型運動装置の座部構造であって、
前記座部の上面には使用者の体重を支持可能な弾性を有する第1弾性部材が左右一対に配設され、前記座部の上面であって前記左右一対の第1弾性部材に挟まれた領域には、前記第1弾性部材より柔らかい第2弾性部材が配設されていることを特徴とする乗馬型運動装置の座部構造。
【請求項2】
前記座部の上面には凹部が形成され、
該凹部内の左右両側に前記第1弾性部材が配設され、前記凹部の中央部であって第1弾性部材に挟まれた領域には、前記第2弾性部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の乗馬型運動装置の座部構造。
【請求項3】
前記凹部が、座部の上面の中央部から後部に亘って形成されていることを特徴とする請求項2に記載の乗馬型運動装置の座部構造。
【請求項4】
前記第2弾性体は、前記凹部より前後方向に長く形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の乗馬型運動装置の座部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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