説明

乳化組成物の製造方法

【課題】再乳化させるときに通過させる多孔質膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有する乳化組成物を、使用する乳化剤の量を1重量%以下の量で、製造することが可能な乳化組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】互いに溶解しない二種の液体の予備乳化組成物を、乳化剤を用いて予め製造し、この製造された予備乳化組成物を前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、再乳化させることにより乳化組成物を製造する乳化組成物の製造方法において、再乳化の際に通過させる均一な孔径を有する多孔質乳化膜の孔径に対して20倍を超える平均粒子径を有する予備乳化組成物を、乳化剤を含む外相部と内相部とから予め製造し、この製造された予備乳化組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有することを特徴とする乳化組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに殆ど溶解しない二種の液体のエマルション即ち乳化組成物の製造方法に関し、特に、水中油型乳化組成物又は油中水型乳化組成物の製造方法に関する。また本発明は、乳化油脂組成物に関し、特に、水中油型乳化油脂組成物又は油中水型乳化油脂組成物の製造方法に関する。さらに、本発明は、化学薬品の乳化組成物の製造方法に関し、特に化学薬品の水中油型乳化組成物又は油中水型乳化油脂組成物の製造方法に関する。さらにまた、本発明は、医薬品の乳化組成物の製造方法に関し、特に医薬品の水中油型乳化組成物又は油中水型乳化組成物の製造方法に関する。さらに本発明は、化粧品の乳化油脂組成物の製造方法に関し、特に化粧品の水中油型乳化油脂組成物又は油中水型乳化油脂組成物の製造方法に関する。さらにまた、本発明は、飲料及び食品用の乳化油脂組成物の製造方法に関し、特に飲料及び食品用の水中油型乳化油脂組成物又は油中水型乳化油脂組成物の製造方法に関する。さらに加えて、本発明は、農薬の水中油型乳化組成物又は油中水型乳化組成物の製造方法に関する。本発明は、粒子径分布が狭く非常に均一な粒子径を有する乳化油脂組成物等の乳化組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化油脂組成物は、化粧品においては、例えば、皮脂成分を、乳化させた乳剤性ローション、乳液、バニシングクリーム、コールドクリームなどの水中油型乳化物乳剤や、例えば、油中水型のコールドクリーム、栄養クリームなどの油中水型乳剤がある。また、医薬においても、主剤を乳化させた水中油型及び油中水型の乳剤や乳剤性軟膏などがある。食品では、食用油脂を、乳化させた、例えばマヨネーズ、マーガリン、クリーム、アイスクリームといった乳化物製品が多い。そしてまた、農薬の分野においても、農薬を、水中油型及び油中水型の乳化物乳剤が使用されている。このような乳化物を製造するには、分散相の微細化及び微細分散相の安定化を図る必要がある。
【0003】
最近では、多孔質ガラス膜を使用することにより、簡単にしかも内相粒子が非常に均一な乳化物を作製することができるので、粒径の小さい内相粒子の乳化物製品は、多孔質ガラス膜等の多孔質膜により製造されている。
このような均一な孔径を有する多孔質膜を使用して、10μm以下の平均粒子径を有する乳化油脂組成物を製造する乳化油脂組成物の製造方法としては、再乳化させる多孔質膜の孔径に対して1〜20倍の平均粒子径を有する予備乳化油脂組成物を、油相部と水相部とから乳化剤を用いて予め製造し、該予備乳化油脂組成物を均一な孔径を有する多孔質膜を通過させることにより、再乳化させて、前記多孔質膜の孔径に対して1〜3倍の平均粒子径を有する乳化油脂組成物を製造する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平5−69325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、以上のような乳化油脂組成物の製造方法においては、通過させる多孔質膜の孔径、即ち、乳化膜の孔径に対して1乃至3倍の粒子径を有する乳化油脂組成物を製造する場合に、乳化膜の孔径に対して20倍以上の平均粒子径を有する乳化油脂組成物は,せん断応力に対する流動特性の変化率が大きいので、せん断応力の微妙な変化に対して定常的に乳化膜を通過させることができない。そして、乳化させた場合には、乳化された粒子に変形を生じ、均一な乳化油脂組成物が得られないばかりか、油相と水相が分離した状態の乳化油脂組成物が得られることとなるために、乳化膜の孔径に対して1〜20倍の平均粒子径を有する予備乳化油脂組成物を予め調製することが必要とされており、そのため多くの手間を要して問題とされている。
また、乳化膜の孔径に対して1〜20倍の平均粒子径を有する予備乳化油脂組成物を乳化膜により再乳化して得られる乳化油脂組成物の平均粒子径は、再乳化したときに通過した多孔質膜、即ち乳化膜の孔径の1〜3倍が限度であり、これより微細な、つまり、再乳化したときに通過した多孔質膜の孔径より小さい平均粒子径を有する乳化油脂組成物を製造することは難しいために、得られる乳化油脂組成物の分散相粒子の平均粒子径は、再乳化の過程で通過する多孔質膜の孔径により制限されることとなって、問題とされている。
しかも、乳化油脂組成物において、界面活性剤の使用量が多いと、例えば、化学薬品、医薬、化粧品、食品及び農薬などへの使用に制限が課せられることとなり、問題とされている。
本発明は、従来の多孔質膜を使用する乳化油脂組成物の製造方法における分散相(内相)粒子の微細化に係る問題点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、乳化剤の使用量が少ない予備乳化油脂組成物等の乳化組成物を均一な孔径を有する多孔質膜を通過させて、該多孔質膜の孔径より小さい平均粒径を有する乳化組成物を製造できることを発見して、本発明に至った。
本発明は、前記再乳化させるときに通過させる多孔質膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有する乳化油脂組成物等の乳化組成物を、製造することが可能な乳化組成物の製造方法を提供することを目的としている。
また、本発明は、前記再乳化させるときに通過させる多孔質膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有する乳化組成物を、使用する乳化剤の量を1重量%以下の量で、製造することが可能な乳化組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
即ち、本発明は、互いに溶解しない二種の液体の予備乳化組成物を、乳化剤を用いて予め製造し、この製造された予備乳化組成物を均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、再乳化させることにより乳化組成物を製造する乳化組成物の製造方法において、再乳化の際に通過させる均一な孔径を有する多孔質乳化膜の孔径に対して20倍を超える平均粒子径の粒子を有する予備乳化組成物を製造し、この得られた予備乳化組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径の粒子を有する乳化組成物を製造することを特徴とする乳化組成物の製造方法にあり、また本発明は、互いに溶解しない二種の液体の予備乳化組成物を、乳化剤を用いて予め製造し、この製造された予備乳化組成物を均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、再乳化させることにより乳化組成物を製造する乳化組成物の製造方法において、再乳化の際に通過させる均一な孔径を有する多孔質乳化膜の孔径に対して20倍を超える平均粒子径の粒子を有する予備乳化組成物を、1%以下の濃度で乳化剤を含む外相部と内相部から予め製造し、この得られた予備乳化組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径の粒子を有する乳化組成物を製造することを特徴とする乳化組成物の製造方法にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、再乳化の際に通過させる均一な孔径を有する多孔質乳化膜の孔径に対して20倍を超える平均粒子径を有する予備乳化組成物を、乳化剤を含む外相部と内相部とから予め製造し、この製造された予備乳化組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有する乳化組成物、例えば乳化油脂組成物を製造するので、従来の乳化膜を使用して困難とされていた、例えば1μmより小さい平均粒径の分散粒子を有する乳化組成物を製造することを可能にすると共に、乳化剤の使用量を少なくして、粒子径分布が狭い範囲内にある均一な分散粒子を有する乳化組成物を製造することを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、互いに溶解しない二種の液体の乳化組成物は、例えば、水と油のように、互いに殆ど溶解しない二種の液体の乳化物(即ちエマルション)又は互いに混ざり合わない二種の液体の乳化物(即ちエマルション)を意味する。このような乳化組成物としては、化学薬品、医薬品、化粧品、食品,化成品若しくは農薬の乳化物(即ちエマルション)があり、さらに詳しくは、化学薬品、医薬品、化粧品、食品,化成品若しくは農薬における水中油型乳化物(エマルション)又は油中水型乳化物(エマルション)がある。
乳化組成物が、乳化油脂組成物である場合には、化学薬品、医薬品、化粧品、食品,化成品若しくは農薬における水中油型油脂乳化組成物又は油中水型乳化油脂組成物がある。
本発明は、予備乳化油脂組成物を、油相部と水相部から乳化剤を用いて予め製造し、この製造された予備乳化油脂組成物を均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、再乳化させることにより乳化油脂組成物を製造する。
【0009】
本発明においては、乳化油脂組成物を製造する場合に、再乳化の際に通過させる均一な孔径を有する多孔質乳化膜の孔径に対して20倍を超える平均粒子径の粒子を有する予備乳化油脂組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有する乳化油脂組成物を製造し、また、この場合に、本発明においては、再乳化の際に通過させる均一な孔径を有する多孔質乳化膜の孔径に対して20倍を超える平均粒子径を有する予備乳化油脂組成物を、1%以下の濃度で乳化剤を含む外相部と内相部から予め製造し、この製造された予備乳化油脂組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径を有する乳化油脂組成物を製造する。
【0010】
本発明においては、予備乳化油脂組成物を含めて予備乳化組成物は、第一の液相部と第一の液相部に溶け合わない第二の液相部の予備乳化組成物を乳化剤の存在下に、例えば、攪拌器、コロイドミル、ホモジナイザーその他の液々混合機により攪拌混合又は高速攪拌混合することにより製造することができる。予備乳化組成物が予備乳化油脂組成物である場合は、油相及び水相の混合液を、乳化剤を使用して慣用の乳化方法、例えば、攪拌器、コロイドミル、ホモジナイザーその他の液々混合機により攪拌混合又は高速攪拌混合することにより製造することができる。この予備乳化組成物を製造する場合にも、膜処理により製造することができる。
【0011】
乳化組成物にあっては、第一の液相部及び第二の液相部の何れか一方若しくは双方に乳化剤である界面活性剤を添加混合することにより、第一の液相部を第二の液相部内に、若しくは、第二の液相部を第一の液相部内に分散させて、予備乳化組成物を製造することができる。また乳化油脂組成物にあっては、水相又は油相の何れか一方又は双方に、乳化剤である界面活性剤を添加混合することにより、油相を水相内に、又は、水相を油相内に分散させて、予備乳化油脂組成物を製造することができる。
【0012】
このような乳化剤である界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を使用することが出来る。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリオキシエチレン硬化ひまし油(HCO60)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(Q18S)、縮合リシノレイン酸エステル(PGCR)などを使用することができる。例えば、医薬、食品及び化粧品等において、乳化油脂組成物中に使用される乳化剤の量は少ないのが好ましい。
【0013】
そこで、本発明においては、使用する乳化剤は、外相若しくは内相(分散相)又は外相及び内相に添加することができる。例えば、乳化油脂組成物において、乳化剤を、外相(連続相)に添加する場合には、1重量%以下の量で添加するのが好ましく、更に好ましくは、外相に、0.5重量%以下の量で添加されるのが好ましい。例えば、水中油型乳化油脂組成物の場合は、添加される乳化剤は水相に添加されるのが好ましく、水相にその量は、1重量%以下、好ましくは、0.7重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。そのように、乳化油脂組成物中に使用される乳化剤の量を少なくするためにも、そのHLBは、10.0以上のものであるのが好ましい。本発明において、予備乳化組成物は、複数回に亘って予備乳化されてもよく、この場合は、予備乳化組成物の分散粒子の粒径を、予備乳化の回数毎に段階的に小さくすることができる。
【0014】
本発明において、乳化膜として使用される多孔質膜としては、シラス多孔質ガラス製の乳化膜(以下、SPG乳化膜という)を使用することができるが、その他に,限外濾過膜等の膜処理に一般に使用される膜を使用することができる。再乳化に使用される多孔質膜である乳化膜は、予備乳化組成物の通過の態様に応じて、管状,平板状等の種々の形状に形成することができる。本発明において、予備乳化組成物の再乳化は、乳化膜により区分された室の一方に予備乳化組成物を入れて、予備乳化組成物に、例えば、該室内に窒素ガス等の不活性ガス圧力により又はポンプ若しくはプランジャー等の機械的圧力により圧力をかけて、予備乳化組成物を、多孔質膜を通して、他方の室に押し出すことにより、再乳化することができる。
【0015】
再乳化の際に、予備乳化成物に加えられる圧力は、例えば、予備乳化油脂組成物の場合で、0.1MPa(1kgf/cm)以上であるのが好ましい。しかし、予備乳化組成物の平均粒子径が多孔質膜の孔径に対して20倍を超えて再乳化するときは、予備乳化組成物に加えられる圧力は、1MPa以上とするのが好ましい。しかし、多孔質膜の孔径が大きいほど、膜を通過する予備乳化組成物に加えられる圧力は、小さくすることができる。予備乳化組成物を再乳化する場合に、再乳化処理を複数回例えば二段階に分けて行うことができる。この場合は、最初の再乳化処理圧力に比して、後続の再乳化処理圧力を低くすることができるので好ましい。
【0016】
本発明において、攪拌混合等により、再乳化に先立って予備乳化された乳化組成物の分散粒子径を、再乳化の際に通される多孔質膜の孔径に対して20倍を超える大きさに形成すると、再乳化の乳化操作が容易となって、好ましい。
【実施例】
【0017】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の例示及び説明により、何ら限定されるものではない。
例1.
本例は、食品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部のポリグリセリン脂肪酸エステルの2%水溶液75重量部を入れ、この水相部に、油相部の縮合リシノレイン酸エステル1%を含有する大豆油25重量部を加えて、回転子を回転数9500rpmで1分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は25%であり、その内相粒子の平均粒子径は48.74μmであった。本例における予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備乳化油脂組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径2.4μmに対して20.3倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.90であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さが1mmで、平均孔径が2.4μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物を、前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、1.5MPaであり、SPG乳化膜を通る予備乳化油脂組成物の流速は、通過面積25cmあたり、35ml/秒であった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は2.37μmであって、前記SPG乳化膜の孔径2.4μmに対して0.99倍であり,その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.54であった。ここで、単分散係数(σ)は、
式:
単分散係数(σ)=(粒径の小さい方からの粒子分布量の積算値が90重量%
の粒径と、粒径の小さい方からの粒子分布量の積算値が
10重量%の粒径との差)÷(粒径の小さい方からの粒
子分布量の積算値が50重量%の粒径)
により与えられる。
【0018】
例2.
本例は、医薬品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部の、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液87.5重量部を入れた。この水相部に、油相部の大豆油12.5重量部を加えて、回転子を回転数9500rpmで1分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は12.5重量%であり、その内相粒子の平均粒子径は59.44μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備乳化油脂組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径0.94μmに対して63.2倍であり,その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、1.00であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が0.94μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物が、前記SPG乳化膜を通過する押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、3.00MPaであり、SPG乳化膜を通る予備乳化油脂組成物の流速は、通過面積25cmあたり、2.7ml/秒であった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は0.92μmであって、前記SPG乳化膜の孔径0.94μmに対して0.98倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.55であった。
【0019】
例3.
本例は、医薬品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部の、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液75重量部を入れた。この水相部に、油相部の大豆油25重量部を加えて、回転子を回転数9500rpmで2分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は12.5重量%であり、その内相粒子の平均粒子径は62.30μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備乳化油脂組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径0.94μmに対して66.3倍であり,その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.82であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が0.94μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物が、前記SPG乳化膜を通過する押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、3.50MPaであり、SPG乳化膜を通る予備乳化油脂組成物の流速は、通過面積25cmあたり、0.5ml/秒であった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は0.91μmであって、前記SPG乳化膜の孔径0.94μmに対して0.97倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.54であった。
【0020】
例4.
本例は、化成品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ハイパワースターラHPS−100 (商品名:株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このスターラの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液の50重量部を入れ、この水相部に、油相部の菜種油50重量部を加えて、回転子を回転数800rpmで5分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、菜種油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は50%であり、その内相粒子の平均粒子径は86.36μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径3.2μmに対して27.0倍であり、その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、1.40であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が3.2μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。予備乳化油脂組成物を、前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、1.0MPaであり、前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒5.0mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は2.93μmであって、前記SPG乳化膜の孔径に対して0.92倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.60であった。
【0021】
例5.
本例は、化成品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ハイパワースターラHPS−100 (商品名:株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このスターラの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液の50重量部を入れ、この水相部に、油相部の菜種油50重量部を加えて、回転子を回転数800rpmで5分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、菜種油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は50%であり、外相は50%であり、その内相粒子の平均粒子径は77.83μmであった。予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するこの予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径3.2μmに対して24.3倍であり,その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、1.60であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が3.2μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。予備乳化油脂組成物を前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、1.5MPaで、予備油脂乳化組成物が前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒15.0mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は2.49μmであって、前記SPG乳化膜の孔径の3.2μmに対して0.78倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.60である。
【0022】
例6.
本例は、化成品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ハイパワースターラHPS−100 (商品名:株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このスターラの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液の50重量部を入れ、この水相部に、油相部の、縮合リシノレイン酸エステル5%を含む菜種油50重量部を加えて、回転子を回転数1000rpmで10分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、菜種油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は50%であり、外相は50%であり、その内相粒子の平均粒子径は69.38μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径0.94μmに対して73.8倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、1.44であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が0.94μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物の再乳化について、前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、3.0MPaであり、前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒1.5mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は0.93μmであって、前記SPG乳化膜の孔径0.94μmに対して0.99倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.54である。
【0023】
例7.
本例は、化成品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ハイパワースターラHPS−100 (商品名:株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このスターラの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液の90重量部を入れ、この水相部に、油相部の菜種油10重量部を加えて、回転子を回転数1600rpmで10分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、菜種油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は10%であり、外相は90%であり、その内相粒子の平均粒子径は96.84μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径0.94μmに対して103.0倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.96であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が0.94μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物について前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、3.50MPaであり、前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒8.6mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は0.92μmであって、前記SPG乳化膜の孔径0.94μmに対して0.98倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.54である。
【0024】
例8.
本例は、水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部の、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液87.5重量部を入れた。この水相部に、油相部の大豆油12.5重量部を加えて、回転子を回転数8000rpmで2分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は12.5%であり、その内相粒子の平均粒子径は97.42μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備乳化油脂組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径3.2μmに対して30.4倍であり,その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.78であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が3.2μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物が、前記SPG乳化膜を通過する押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、1.20MPaであった。再乳化された乳化油脂組成物の平均粒子径は2.89μmであって、前記SPG乳化膜の孔径3.2μmに対して0.90倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.55であった。
【0025】
例9.
本例は、水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液90重量部を入れた。この水相部に、油相部の大豆油10重量部を加えて、回転子を回転数777rpmで5分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は10%であり、その内相粒子の平均粒子径は132.8μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備乳化油脂組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径5μmに対して26.6倍であり,その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.64であった。
本例においては、この予備乳化油脂組成物は、外径10mm,有効長さ100mm及び厚さ1mm、つまり有効濾過面積が25平方センチメートルで、平均孔径が5μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して、二回に亙って再乳化された。この予備乳化油脂組成物の第一回目の再乳化にあたり、予備乳化油脂組成物は、ギヤポンプにより、毎分200ミリリットルの流量で前記SPG乳化膜を通過させた。本例において、このSPG乳化膜を通過させるためのギャポンプによる押出し圧力は、0.22MPaであった。再乳化された乳化油脂組成物の平均粒子径は4.83μmであり、前記SPG乳化膜の孔径5μmに対して0.97倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.45であった。
この再乳化された乳化油脂組成物は、もう一度、ギヤポンプにより、毎分300ミリリットルの流量で前記SPG乳化膜を通過させた。本例において、このSPG乳化膜を通過させるためのギヤポンプによる押出し圧力は、0.19MPaであった。二回目の再乳化された乳化油脂組成物の平均粒子径は4.63μmであり、前記SPG乳化膜の孔径5μmに対して0.92倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.41であった。
【0026】
例10.
本例は水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液70重量部を入れた。この水相部に、油相部の大豆油30重量部を加えて、回転子を回転数830rpmで20分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は30%であり、その内相粒子の平均粒子径は129.5μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備乳化油脂組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径5μmに対して25.9倍であり,その予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.53であった。
この予備乳化油脂組成物を、外径10mm,有効長さ100mm及び厚さ1mm、つまり有効濾過面積が25平方センチメートルで、平均孔径が5μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して、二回に亙って再乳化された。この予備乳化油脂組成物の第一回目の再乳化にあたり、予備乳化油脂組成物は、ギヤポンプにより、毎分100ミリリットルの流量で前記SPG乳化膜を通過させた。本例において、このSPG乳化膜を通過させるためのギャポンプによる押出し圧力は、0.32MPaであった。再乳化された乳化油脂組成物の平均粒子径は4.25μmであり、前記SPG乳化膜の孔径5μmに対して0.84倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.85であった。
この再乳化された乳化油脂組成物は、もう一度、ギヤポンプにより、毎分150ミリリットルの流量で前記SPG乳化膜を通過させた。このSPG乳化膜を通過させるためのギヤポンプによる押出し圧力は、0.29MPaであった。再乳化された乳化油脂組成物の平均粒子径は3.75μmであり、前記SPG乳化膜の孔径5μmに対して0.75倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.88であった。
【0027】
例11
本例は、食品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部のポリグリセリン脂肪酸エステルの2%水溶液75重量部を入れ、この水相部に、油相部の縮合リシノレイン酸エステル1%を含有する大豆油25重量部を加えて、回転子を回転数9500rpmで1分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、水を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は25%であり、外相は75%であり、その内相粒子の平均粒子径は1.05μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径0.94μmに対して1.1倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、1.11であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mm、つまり有効濾過面積が25平方センチメートルで、平均孔径が0.94μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物について前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、4.0MPaであり、前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒4.0mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は0.89μmであって、前記SPG乳化膜の孔径0.94μmに対して0.94倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.52である。
【0028】
例12
本例は、医薬品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部の、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液87.5重量部を入れた。この水相部に、油相部の大豆油12.5重量部を加えて、回転子を回転数8000rpmで2分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、大豆油を内相とし、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は12.5%であり、外相は87.5%であり、その内相粒子の平均粒子径は95.1μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径5μmに対して19.0倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.82であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mm、つまり有効濾過面積が25平方センチメートルで、平均孔径が5μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物について前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、0.7MPaであり、前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒43.3mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は3.96μmであって、前記SPG乳化膜の孔径5μmに対して0.79倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.78である。
【0029】
例13
本例は、食品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT25:商品名、株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このホモジナイザーの混合槽内に、水相部の、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液75重量部を入れた。この水相部に、油相部の、縮合リシノレイン酸エステルの1%を含有する大豆油2.5重量部を加えて、回転子を回転数9500rpmで1分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、縮合リシノレイン酸エステルの1%を含有する大豆油を内相とし、NaClの0.3%水溶液及びポリオキシエチレン硬化ひまし油の1%水溶液の混合溶液を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は25%であり、外相は75%であり、その内相粒子の平均粒子径は61.12μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径11.2μmに対して5.5倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.90であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mm、つまり有効濾過面積が25平方センチメートルで、平均孔径が5μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物について前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、0.4MPaであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は9.43μmであって、前記SPG乳化膜の孔径11.2μmに対して0.84倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.49である。
【0030】
例14.
本例は、化成品用の水中油型の乳化油脂組成物の例である。本例において、予備乳化機として、ハイパワースターラHPS−100 (商品名:株式会社井内盛栄堂製)を使用した。このスターラの混合槽内に、水相部のドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液の50重量部を入れ、この水相部に、油相部の菜種油50重量部を加えて、回転子を回転数1600rpmで10分間回転させて予備乳化した。この予備乳化により得られた予備乳化油脂組成物は、菜種油を内相とし、ドデシル硫酸ナトリウム0.2%水溶液を外相とする水中油型の乳化油脂組成物であり、内相は50%であり、外相は50%であり、その内相粒子の平均粒子径は106.16μmであった。この予備乳化油脂組成物の平均粒子径は、予備油脂乳化組成物の再乳化処理の際に通過するSPG乳化膜の孔径5.5μmに対して19.3倍であり,予備乳化粒子の単分散係数(σ)は、1.10であった。
この予備乳化油脂組成物を、直径10mm,長さ100mm及び厚さ1mmで、平均孔径が5.5μmの円筒状SPG乳化膜を備える清本鐵工株式会社製の乳化装置を使用して再乳化した。この予備乳化油脂組成物について前記SPG乳化膜を通過させる押し出しは窒素ガスの圧力によった。本例において、このSPG乳化膜を通過させるための窒素ガスの押出し圧力は、0.7MPaであり、前記SPG乳化膜を通過する流速は、通過面積25cmあたり、毎秒20.0mlであった。再乳化された乳化油脂組成物においては、その平均粒子径は3.83μmであって、前記SPG乳化膜の孔径5.5μmに対して0.70倍であり、その再乳化粒子の単分散係数(σ)は、0.60である。
【0031】
以上の実施例において、ドデシル硫酸ナトリウムは、親水性の界面活性剤であり、和光純薬工業株式会社製のものを使用した。ポリオキシエチレン硬化ひまし油は、親水性の界面活性剤であり、日光ケミカルス株式会社製のものを使用した。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水性の界面活性剤であり、太陽化学株式会社製のものを使用した。縮合リシノレイン酸エステルは、疎水性の界面活性剤であり、阪本薬品工業株式会社製のものを使用した。大豆油及び菜種油は、夫々、市販の精製品を使用した。水は蒸留水製造装置により製造された市販の蒸留水、例えばヤマト科学株式会社製のものを使用した。NaClは、市販の試薬特級の塩化ナトリウム、例えば、和光純薬工業株式会社製のものを使用した。また、SPG乳化膜は、SPGテクノ株式会社製のものを使用した。また、以上の実施例において、乳化油脂組成物中の分散粒子の粒度分布測定は、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000Jを使用して測定した。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、従来法に比して、微細で均一な分散粒子を有する乳化組成物例えば乳化油脂組成物を、乳化剤の含有量を少なくして製造できるものであり、化学薬品、医薬、食品、化粧品及び農薬の分野において、その果たす影響は大きく、産業上有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに溶解しない二種の液体の予備乳化組成物を、乳化剤を用いて予め製造し、この製造された予備乳化組成物を均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、再乳化させることにより乳化組成物を製造する乳化組成物の製造方法において、予備乳化組成物を製造し、この得られた予備乳化組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径の粒子を有する乳化組成物を製造することを特徴とする乳化組成物の製造方法。
【請求項2】
互いに溶解しない二種の液体の予備乳化組成物を、乳化剤を用いて予め製造し、この製造された予備乳化組成物を均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、再乳化させることにより乳化組成物を製造する乳化組成物の製造方法において、予備乳化組成物を、1%以下の濃度で乳化剤を含む外相部と内相部から予め製造し、この得られた予備乳化組成物を、0.1MPa以上の圧力をかけながら、前記均一な孔径を有する多孔質乳化膜を通過させて、前記乳化膜の孔径に対して1倍未満の平均粒子径の粒子を有する乳化組成物を製造することを特徴とする乳化組成物の製造方法。
【請求項3】
予め製造された予備乳化組成物が、内相を油、外相を水とした水中油型の乳化油脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳化組成物の製造方法。
【請求項4】
予め製造された予備乳化組成物が、内相を水、外相を油とした油中水型の乳化油脂組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳化組成物の製造方法。


【公開番号】特開2006−341252(P2006−341252A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231388(P2006−231388)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【分割の表示】特願2001−185330(P2001−185330)の分割
【原出願日】平成13年6月19日(2001.6.19)
【出願人】(592075884)清本鐵工株式会社 (10)
【出願人】(391011700)宮崎県 (63)
【Fターム(参考)】