説明

乳生成動物によって消費される消費可能な物質の供給を管理するためのシステム

乳生成動物によって消費される消費可能な物質の供給を管理するためのシステム。動物(12)が食べかつ/または飲むことができる給餌トラフ(14)に消費可能な物質を供給するための供給装置(24,26,28,34,36,38)と、給餌トラフ(14)への消費可能な物質の供給を制御する制御ユニット(30)とを含み、さらに個々の搾乳された動物からの乳を前記乳の少なくとも一つの特性に関して分析するように適応された分析装置(40)を含み、制御ユニット(30)が分析装置(40)から情報を受けとるように配置され、制御ユニット(30)が分析装置(40)から受けとった情報に依存して給餌トラフ(14)に供給された消費可能な物質の組成を自動的に制御するように適用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳生成動物によって消費される消費可能な物質の供給を管理するためのシステムに関する。そのシステムは、動物が食べかつ/または飲むことができる給餌トラフに消費可能な物質を供給するための供給装置と、給餌トラフへの消費可能な物質の供給を制御する制御ユニットとを含む。
【背景技術】
【0002】
乳生成動物への消費可能な物質の供給を管理するための様々なシステムが知られている。EP−A1−0067960はかかるシステムを記載する。消費可能な物質はこの場合において液体の形で供給される。この場合において動物に供給される物質は乳である。記載されたシステムはまた、乳に追加物質を供給するための手段を含む。追加物質は例えば薬剤であることができる。システムはプログラム可能な装置によって制御される。
【0003】
EP 1260136 B1は、動物に飼料を供給するための装置を記載する。通常の飼料供給に加えて、装置は、液体を給餌トラフに供給するための手段を含む。液体は薬剤、ビタミン、塩又はミネラルのような添加剤を含むことができる。
【0004】
また、乳生成動物はケトーシス、乳熱及び/又は乳腺炎のような様々な病気を患うかもしれない。
【0005】
本発明は様々な種類の乳生成動物に適用可能であるが、それは単純化のため、この明細書ではしばしば乳牛(cow)に言及されるだろう。
【0006】
特に、乳牛は出産の前後の近くでこのような病気(特にケトーシス又は乳熱)にかかりやすい。このような病気を診断する様々な方法がある。例えば、乳牛からの乳又は血液中の特定のケトン体の存在は、ケトーシスに該当しうる徴候である。上記及び他の病気は乳牛に対して健康リスクを構成する。さらに、このような病気は乳収量の損失を起こし、獣医コストを増大する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、乳生成動物における様々な望ましくない生理学的状態を自動的に検出しかつ治療するためのシステムを提供することである。さらなる目的は、早期の段階で、即ち症状が深刻になる前にこの仕事を自動的に実施するシステムを提供することである。それによって、このような病気に導きうる早期の徴候を自動的に治療することによって乳生成動物の病気を予防することができることが目的である。本発明はまた、病気と必ずしも関連しないが、動物の健康状態又は乳生成能力にマイナスの影響を及ぼしうる乳生成動物の特定の状態を治療するために適用可能である。
【0008】
上述の目的は、最初のパラグラフで記載された種類のシステムであって、さらに
個々の搾乳された動物からの乳を前記乳の少なくとも一つの特性に関して分析するように適応された分析装置を含み、
制御ユニットが、分析装置から情報を受けとるように配置され、
制御ユニットが、分析装置から受けとった情報に依存して給餌トラフに供給された消費可能な物質の組成を自動的に制御するように適用されていることを特徴とするシステムによって達成される。
【0009】
システムは、有利には、搾乳された動物からの乳が自動的に分析されるように配置されることに注意するべきである。
【0010】
また、本明細書中で使用される「消費可能な物質」という概念は、動物によって食べられ又は飲まれたりする物質を指すことに注意すべきである。
【0011】
本発明によるシステムは、個々の搾乳される動物からの乳を分析するように配置されている。この分析を通して、動物の特定の望ましくない状態、例えば動物が病気になるリスクを持つという徴候を検出することができる。次いで、動物の望ましくない状態は、動物に供給される消費可能な物質の組成を制御することによって自動的に治療されることができる。この方法では、様々な病気又は他の望ましくない状態を予防又は治療することができる。乳を分析することによって、例えば特定の添加剤が動物に供給される消費可能な物質に添加されるべきであるかどうかを決定することができる。
【0012】
「消費可能な物質」の代わりに、「飼料」という概念も以下で使用されることに注意されるべきである。飼料は乾燥又は液体状態であることができる。
【0013】
乳の様々な成分を分析するための装置が既に知られていることが注意されるべきである。例えば、WO 02/069697 A1は、乳サンプルを分析するための化学分析装置を含むシステムを記載する。
【0014】
本発明によるシステムの一実施形態によれば、システムは搾乳位置で動物を識別するために適応されている。動物は、動物が搾乳位置に到達する前又は動物が搾乳位置で実際に立っているときのいずれかで識別されることができる。さらに、システムはまた、給餌位置で動物を識別するために適応されることができ、前記給餌位置は搾乳位置と同じ位置又は異なる位置であることができる。搾乳位置と関連して上記の説明と同様に、動物は、動物が実際の給餌位置に到達する前又は動物が給餌位置で実際に立っているときのいずれかで識別されることができる。この明細書では、動物が搾乳位置又は給餌位置で識別されると言われるとき、動物が問題の位置に到達する前に動物が識別されるか、又は問題の位置の動物の識別(身元)がわかるように問題の位置で動物が識別されることを意味する。搾乳位置で動物を識別することによって、分析される乳サンプルが生じる動物の識別(身元)がわかることができる。また、給餌位置で動物を識別することによって、識別された動物が飼料の適切な組成を受けることを確実にすることができる。
【0015】
本明細書で使用される「搾乳位置」という表現は動物を搾乳するために適応された位置を指すことに注意されるべきである。搾乳位置では搾乳装置が配置され、それは、乳頭カップが動物に手動的に適用される搾乳機であることができるか又は搾乳工程を自動的に実施する搾乳ロボットを含むことができる。典型的には、搾乳位置は静止又は回転パーラーにおける搾乳位置である。動物は搾乳位置で飼料を受けとることができる。この場合において、搾乳位置はまた、給餌位置を構成する。しかしながら、飼料を、搾乳が行われない別の給餌位置で供給することもできる。
【0016】
さらなる実施形態によれば、制御ユニットは、識別された動物からの乳の分析に関する情報を記憶し、問題の給餌トラフが設けられている給餌位置に問題の動物がいることを識別したときに、記憶された情報に依存して、給餌トラフに供給された消費可能な物質の組成を制御するように配置される。従って、制御ユニットは、特定の動物に関する情報が記憶されるメモリを含むことが好ましい。それによって、問題の動物からの乳サンプルが分析されたときより遅い機会に動物に飼料の適切な組成を供給することができる。
【0017】
制御ユニットは、識別された動物が出産前又は後の特定の日数以内であるかどうかの如き識別された動物に関する追加の記憶された情報にも依存して消費可能な物質の組成を制御するように配置されることができる。従って、例えば、もし乳牛が出産前又は後の特定の日数以内であるなら、そしてまた、もし乳牛からの乳サンプルの分析が、追加の飼料が乳牛に供給されるべきであることを示すなら、追加の飼料を与えることができる。
【0018】
分析装置は乳の少なくとも一つの特性を感知するように適応され、その助けで動物が臨床的に又は亜臨床的にケトーシスを患いそうかどうかを決定することができる。
【0019】
分析装置は乳の少なくとも一つの特性を感知するように適応され、その助けで動物が臨床的に又は亜臨床的に乳熱を患いそうかどうかを決定することができる。本発明は動物の幾つかの様々な状態を分析するために使用されることができるが、本発明はケトーシス及び/又は乳熱の状態を分析するために特に有用であるように思われる。他の可能性は乳腺炎の状態を示すために乳を分析することである。
【0020】
分析装置は、アセトン、アセトアセテート、β−ヒドロキシブチレート、ラクトース、ラクテートデヒドロゲナーゼの成分の一つ以上を感知しかつ/または体細胞カウントを実施しかつ/または乳の温度を測定するように適応されることができる。上述の成分及び体細胞カウントは例えばケトーシス又は乳腺炎の早期段階を示すために使用されることができる。乳サンプルにおけるβ−ヒドロキシブチレートの存在を分析するために特に有用であるように思われる。この成分のレベルはケトーシスを示すために使用されることができる。乳の温度の上昇は乳熱の徴候でありうる。
【0021】
有利には、制御ユニットは複数の搾乳位置に作用するように適応されることができる。様々な搾乳位置に対して様々な制御ユニットを存在させることができるが、様々な搾乳位置に対して共通の制御ユニットを使用することが有利である。
【0022】
一実施形態によれば、分析装置は複数の搾乳位置に共通するように適応され、システムは、分析装置が異なる搾乳位置から個々の乳サンプルを受けとるように適応されるように配置される。様々な分析装置を存在させることができるが、もし一つの分析装置が様々な搾乳位置から乳サンプルを分析するために使用されるなら有利である。さらに、必須ではないが、分析装置が乳サンプルを自動的に受けとり、分析を自動的に実施することが好ましい。
【0023】
さらなる実施形態によれば、供給装置は特定の給餌位置で給餌トラフに消費可能な物質を供給するための第一物質供給手段を含み、供給装置はさらに、第一物質供給手段によって供給されるものとは異なる組成の消費可能な物質をその給餌トラフに供給するための追加物質供給手段を含み、制御ユニットは前記第一物質供給手段及び追加物質供給手段による消費可能な物質の供給を制御することによって消費可能な物質の組成を自動的に制御するように適応されている。もし、供給装置が二つのこのような供給手段を含むなら、二つの異なる供給手段によって供給される物質の量を制御することによって消費可能な物質の組成を制御することが容易である。
【0024】
有利には、追加物質供給手段は液体状態の消費可能な物質を給餌トラフに供給するように適応されることができる。もし追加物質供給手段が液体状態で消費可能な物質を供給するように適応されているなら有利である。かかる物質は例えば第一物質供給手段によって供給される消費可能な物質の上に噴射されることができる。しかしながら、代替的に、追加物質供給手段は乾燥状態で、例えば粉末として消費可能な物質を供給するように適応されることができる。
【0025】
さらなる実施形態によれば、システムは消費可能な物質を入れるための容器を含み、前記追加物質供給手段は、消費可能な物質が前記容器から給餌トラフに供給されることができるように前記容器に接続されている。消費可能な物質が容器に追加物質供給手段によって供給されるように配置することが好都合である。
【0026】
システムは複数の給餌位置を含むことができ、供給装置は前記複数の給餌位置の各々に導く追加物質供給手段を含む。この方法では、消費可能な物質は、様々な給餌位置に導く追加物質供給手段によって様々な給餌位置に供給されることができる。
【0027】
上述の容器は前記複数の給餌位置に対して共通であり、かくして制御ユニットは前記容器から前記複数の給餌位置の各々への消費可能な物質の供給を制御することができる。様々な給餌位置のために様々な容器を持つ代わりに、消費可能な物質が様々な給餌位置に供給されることができる共通の容器を持つことができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、容器は、例えばプロピレングリコール及び/又はカルシウム及び/又はニコチン酸及び/又はビタミンE及び/又はセレンを含む飼料添加剤を含む。もし容器が好適な飼料添加剤を含むなら好都合である。かかる飼料添加剤は、動物の様々な病気又は他の望ましくない状態を予防するために動物に与えられる通常の飼料に添加されることができる。一つの可能な実施形態によれば、制御ユニットが様々な添加剤の組成を制御できるように、容器は様々な添加剤のために様々な区画を含むこと(又は代替的に、様々な添加剤のために様々な容器を存在させうること)が注意されるべきである。しかしながら、容器は、好適な添加剤又は添加剤の混合物が存在する一つだけの区画を含むこともできる。
【0029】
有利には、制御ユニットは、識別された動物の乳サンプルの少なくとも一つの特性、例えば分析装置によって分析される一つ以上の乳成分の量が予め決められた基準を満たすかどうかを決定し、この決定に依存して、問題の動物が存在するとして識別された給餌位置への飼料添加剤の供給を制御するように配置されている。従って、システムは、分析装置の分析(それは自動的に実施されることが好ましい)に応答して特定の動物に飼料添加剤を自動的に供給するように配置されることができる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、β−ヒドロキシブチレートの量が特定のレベルより上であるかどうかを決定し、もしこれに該当すれば、所望により制御ユニットに記憶される一つ以上の他の基準が満たされるという条件下で、特定量の飼料添加剤を供給するように配置されている。上述のように、乳におけるβ−ヒドロキシブチレートの量を分析することが有利である。もしβ−ヒドロキシブチレートのレベルが特定のレベルより上であるなら、動物に飼料添加剤、例えばプロピレングリコールを含む飼料添加剤を供給することが有利である。飼料添加剤を供給するための任意のさらなる基準は、例えば、動物が出産前又は後の特定の日数以内である場合にのみ添加剤が供給されることでありうる。もちろん、任意の条件は例えば特定の動物に供給される飼料添加剤の量を決定することができる他の基準を含むことができる。
【0031】
本発明のさらなる有利な態様は以下の記載から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるシステムの部分を含む搾乳/給餌位置の乳牛を概略的に示す。
【図2】図2は、本発明によるシステムの一実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図2は、乳生成動物への飼料の供給を管理するための本発明によるシステムの一実施形態を概略的に示す。図1は、乳牛12とともに搾乳位置10を概略的に示す。図2は、三つのかかる搾乳位置10を示す。しかしながら、当業者には、システムがより多くのかかる搾乳位置10を含むことができることは明らかである。示された実施形態では、搾乳位置10は同時に給餌位置である。なぜならば、この実施形態によれば、飼料は搾乳位置10に位置されるトラフ14に供給されることができるからである。
【0034】
搾乳位置10に加えて、図2は飼料が供給されることができるトラフ14を持つ二つの給餌位置16を示す。もちろん、複数のさらなる、このような給餌位置16を存在させることができる。
【0035】
搾乳位置10は乳牛を搾乳するための搾乳装置18を含む。搾乳装置18は搾乳ロボットを含むことができるか又は搾乳のために乳牛への手動的取り付けのための装置を構成することができる。搾乳位置10はある区画又は柵20を含むことができる。給餌位置16は、給餌位置16がいかなる搾乳装置18も持たない点で搾乳位置10とは異なる。
【0036】
乳牛が搾乳されるとき、乳は当業者に公知の方法で搾乳装置18から乳タンク(図示せず)に導かれる。
【0037】
システムは、給餌トラフ14に飼料を供給するための供給装置を含む。供給装置は第一物質供給手段及び追加物質供給手段を含む。第一物質供給手段は給餌手段24、給餌ライン26及び第一制御手段28を含む。ホッパー22は通常の飼料濃縮物を含んでもよい。給餌手段24は様々な給餌トラフ14に輸送する。個々の給餌トラフ14に供給される飼料濃縮物の量は、中央制御ユニット30に接続される第一制御手段28によって制御される。様々な給餌トラフ14に供給される飼料の量を制御する方法は当業者に知られている。
【0038】
供給装置はまた、追加物質供給手段を含む。これらの手段は給餌手段34、第二給餌ライン36及び第二制御手段38を含む。容器32は、ホッパー22中の飼料とは異なる組成の飼料を含む。容器32は、例えばプロピレングリコール及びカルシウムを含む飼料添加剤又はニコチン酸、ビタミンE及び/又はセレンのような他の添加剤を含有してもよい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、容器32中の飼料は液体状態である。ホッパー22中の飼料は乾燥状態又は液体状態のいずれであることもできる。容器32からの飼料は給餌手段34(それはポンプであってもよい)の助けで様々な給餌トラフ14に供給される。様々な給餌トラフ14に供給される容器32からの飼料の量は第二制御手段38によって制御される。第二制御手段38は制御ユニット30によって制御される。従って、制御ユニット30は、システムの操作を制御するコンピュータであることができる。簡単のため、図2では第一制御手段28及び第二制御手段38は一つの給餌トラフ14で示されるにすぎないことが注意されることができる。しかしながら、かかる制御手段28,38は全ての給餌トラフ14で配置される。
【0040】
示された実施形態では、異なる給餌位置10,16に対して共通である一つのホッパー22が存在する。また、異なる給餌位置10,16に対して共通である一つの容器32が存在する。しかしながら、異なる給餌位置10,16に対して別個のホッパー22及び容器32を存在させることは本発明の範囲内である。さらに、共通のホッパー22又は容器32が存在したとしても、異なる給餌位置10,16に共通の給餌ライン26,36を存在させる必要はない。また、異なる給餌トラフ14に導く別個の給餌ライン26,36を存在させることもできる。給餌ライン26,36は管によって形成されることが好ましい。また、制御ユニット30が異なる搾乳又は給餌位置10,16への異なる添加剤(又は異なる添加剤の混合物)の供給を制御できるように、異なる添加剤のために異なる容器32を存在させることもできる。
【0041】
システムはまた、個々の搾乳された乳牛から乳を分析するための分析装置40を含む。これを達成するために、システムは、乳を個々の搾乳位置10から分析装置40を給餌するための管42を含む。示された実施形態では、全ての搾乳位置10のために一つの分析装置40が存在する。それゆえ、システムは切り換え手段44を含み、それは乳サンプルを異なる搾乳位置10から分析装置40へ入れることを可能にする。切り替え手段44は制御ユニット30によって制御される。また、分析装置40は制御ユニット30に接続される。
【0042】
従って、分析装置40は、乳の少なくとも一つの特性を分析するように設定される。分析装置40は、例えば問題の乳牛が臨床的に又は亜臨床的にケトーシス又は乳熱又は乳腺炎を患いそうかどうかを決定することができるように、乳特性、例えば乳成分を分析するように設定されることができる。分析装置40は、例えばアセトン、アセトアセテート、β−ヒドロキシブチレート、ラクトース、ラクテートデヒドロゲナーゼの成分の一つ以上を感知し、又は体細胞カウントを実施し、又は乳の温度を測定するように適応されることができる。好ましくは、分析装置40は乳サンプルにおけるβ−ヒドロキシブチレートの含有量を分析するように設定される。分析装置40は例えばWO 02/069697 A1から知られていることが注意されることができる。しかしながら、分析装置40はまた、上述した文献に示されたもの以外の構成を持つことができる。
【0043】
システムはまた、搾乳及び給餌位置10,16で様々な乳牛を識別するための手段を含む。これがどのようになされるかは当業者に知られている。乳牛は例えばトランスポンダー50を持ってもよい。各搾乳/給餌位置10,16には送信器/受信器装置52が位置され、それは制御ユニット30に接続され、その助けでトランスポンダー50、及びそれによって乳牛は識別されることができる。あるいは、上述のように、乳牛は、乳牛が搾乳/給餌位置10,16に実際に到達する前に識別されることができる。
【0044】
簡単のため、図2は一つの給餌位置16でかかる一つの送信器/受信器装置52を示すにすぎないことが注意されるべきである。
【0045】
制御ユニット30では、異なる乳牛12に関する情報が記憶される。かかる情報は例えば出産の(予定)日に関する情報を含んでもよい。システムの一実施形態の機能は以下に詳細に記載されるだろう。
【0046】
乳牛12は搾乳位置10で搾乳される。個々の乳牛12はそれによって送信器/受信器装置52、トランスポンダー50及び制御ユニット30の助けで識別される。制御ユニット30によって制御されることができる特定の時間において、乳サンプルは識別された乳牛12の搾乳装置18から分析装置40に運搬される。分析装置40は例えばβ−ヒドロキシブチレートの含有量に関して個々の乳牛12から乳を分析する。分析の結果は制御ユニット30に記憶される。搾乳位置10及び/又は給餌位置16において、乳牛12は給餌トラフ14から飼料を消費することができる。飼料はホッパー22から供給される通常の飼料濃縮物を含む。この飼料濃縮物の量は、識別された乳牛12が給餌位置10,16にいるとき、第一制御手段28を制御することによって公知の方法で制御ユニット30によって制御される。
【0047】
分析装置40によって実施される分析に依存して、個々の乳牛12は、容器32からプロピレングリコール及び/又はカルシウム及び/又はニコチン酸及び/又はビタミンE及び/又はセレンのような追加の消費可能な物質を与えられることができる。容器32からの飼料は液体状態であることが好ましい。もし例えば乳サンプルにおけるβ−ヒドロキシブチレートのレベルが特定のレベルより上であることが制御ユニット30によって決定されるなら、そのとき問題の乳牛12に容器32からの飼料を添加することが決定される。乳牛12がかかる追加の飼料を受けとるべきであるかどうかの決定はまた、他の条件、例えば乳牛12が出産のための予定時間に近いかどうか、又は乳牛12が早期の授乳の段階にあるかどうかに依存してもよい。分析装置40における分析の結果及び可能なさらなる条件に依存して、制御ユニット30は問題の乳牛12に容器32からの追加の飼料を供給するように自動的に決定することができる。この追加の飼料は、乳牛12が搾乳位置10に(例えば乳牛12が搾乳される連続的時間に)又は給餌位置16にいるときに供給されることができる。容器32から個々の乳牛12へ供給される飼料の量は制御ユニット30及び第二制御手段38の助けで制御される。第二制御手段38の助けで、容器32からの飼料は例えばホッパー22からの飼料の上に噴射されることができる。
【0048】
制御ユニット30は、分析装置40から受けとった情報(及び可能なさらなる条件)に依存して特定の乳牛12に送出される飼料の組成を自動的に制御する。この方法では、ケトーシス又は乳熱又は乳腺炎、又は動物の他の望ましくない状態のような病気の発生を予防するために例えば容器32から供給された飼料添加剤の量を制御することができる。
【0049】
本発明は、記載された実施形態に制限されず、特許請求の範囲内で変更及び修正されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳生成動物によって消費される消費可能な物質の供給を管理するためのシステムであって、
動物(12)が食べかつ/または飲むことができる給餌トラフ(14)に消費可能な物質を供給するための供給装置(24,26,28,34,36,38)と、
給餌トラフ(14)への消費可能な物質の供給を制御する制御ユニット(30)と
を含むものにおいて、
個々の搾乳された動物(12)からの乳を前記乳の少なくとも一つの特性に関して分析するように適応された分析装置(40)を含み、
制御ユニット(30)が、分析装置(40)から情報を受けとるように配置され、
制御ユニット(30)が、分析装置(40)から受けとった情報に依存して給餌トラフ(14)に供給された消費可能な物質の組成を自動的に制御するように適用されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
システムが、搾乳位置(10)で動物(12)を識別するために適応されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
システムがさらに、給餌位置(10,16)で動物を識別するために適応され、前記給餌位置(10,16)が搾乳位置と同じ位置(10)又は異なる位置(16)であることができる請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
制御ユニット(30)が、識別された動物(12)からの乳の分析に関する情報を記憶し、問題の給餌トラフ(14)が設けられている給餌位置に問題の動物(12)がいることを識別したときに、記憶された情報に依存して、給餌トラフ(14)に供給された消費可能な物質の組成を制御するように配置される請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
制御ユニット(30)が、識別された動物(12)が出産前又は後の特定の日数以内であるかどうかの如き識別された動物(12)に関する追加の記憶された情報にも依存して消費可能な物質の組成を制御するように配置されている請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記分析装置(40)が、乳の少なくとも一つの特性を感知するように適応され、その助けで動物(12)が臨床的に又は亜臨床的にケトーシスを患いそうかどうかを決定することができる請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記分析装置(40)が、乳の少なくとも一つの特性を感知するように適応され、その助けで動物(12)が臨床的に又は亜臨床的に乳熱を患いそうかどうかを決定することができる請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記分析装置(40)が、アセトン、アセトアセテート、β−ヒドロキシブチレート、ラクトース、ラクテートデヒドロゲナーゼの成分の一つ以上を感知しかつ/または体細胞カウントを実施しかつ/または乳の温度を測定するように適応されている請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記分析装置(40)が、β−ヒドロキシブチレートを感知するように適応されている請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
制御ユニット(30)が、複数の搾乳位置(10)に作用するように適応されている請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
分析装置(40)が、複数の搾乳位置(10)に共通するように適応され、システムが、分析装置(40)が異なる搾乳位置(10)から個々の乳サンプルを受けとるように適応されるように配置される請求項1〜10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
供給装置(24,26,28,34,36,38)が、特定の給餌位置(10,16)で給餌トラフ(14)に消費可能な物質を供給するための第一物質供給手段(24,26,28)を含み、供給装置(24,26,28,34,36,38)がさらに、第一物質供給手段(24,26,28)によって供給されるものとは異なる組成の消費可能な物質をその給餌トラフ(14)に供給するための追加物質供給手段(34,36,38)を含み、制御ユニット(30)が、前記第一物質供給手段(24,26,28)及び追加物質供給手段(34,36,38)による消費可能な物質の供給を制御することによって消費可能な物質の組成を自動的に制御するように適応されている請求項1〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記追加物質供給手段(34,36,38)が、液体状態の消費可能な物質を給餌トラフ(14)に供給するように適応されている請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
消費可能な物質を入れるための容器(32)を含み、前記追加物質供給手段(34,36,38)が、消費可能な物質が前記容器(32)から給餌トラフ(14)に供給されることができるように前記容器(32)に接続されている請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
複数の給餌位置(10,16)を含み、供給装置(24,26,28,34,36,38)が、前記複数の給餌位置(10,16)の各々に導く追加物質供給手段(34,36,38)を含む請求項12〜14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
容器(32)が前記複数の給餌位置(10,16)に対して共通であり、かくして制御ユニット(30)が前記容器(32)から前記複数の給餌位置の各々への消費可能な物質の供給を制御することができる請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記容器(32)が飼料添加剤を含む請求項14又は16に記載のシステム。
【請求項18】
飼料添加剤がプロピレングリコール及び/又はカルシウム及び/又はニコチン酸及び/又はビタミンE及び/又はセレンを含む請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
制御ユニット(30)が、識別された動物(12)の乳サンプルの少なくとも一つの特性、例えば分析装置(40)によって分析される一つ以上の乳成分の量が予め決められた基準を満たすかどうかを決定し、この決定に依存して、問題の動物(12)が存在するとして識別された給餌位置(10,16)への飼料添加剤の供給を制御するように配置されている請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
制御ユニット(30)が、β−ヒドロキシブチレートの量が特定のレベルより上であるかどうかを決定し、もしこれに該当すれば、所望により制御ユニット(30)に記憶される一つ以上の他の基準が満たされるという条件下で、特定量の飼料添加剤を供給するように配置されている請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−506589(P2010−506589A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533281(P2009−533281)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050735
【国際公開番号】WO2008/048180
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)
【Fターム(参考)】