説明

乳癌及び前立腺癌における診断的及び治療的使用のための癌性疾患修飾抗体

本発明は、スクリーニングの新規パラダイムを使用する患者の癌性疾患修飾抗体を産生する方法に関する。癌細胞の細胞障害性を終点として使用して抗癌抗体を分離することによって、この方法は、PTA−4890及びPTA−4899としてATCCに寄託されているハイブリドーマにより産生されるもののような抗癌抗体の産生を可能にする。この抗体は、癌の病期分類及び診断の助けとして使用することができ、原発性腫瘍、例えば前立腺癌及び乳癌、腫瘍転移を治療するために使用できる。抗癌抗体を、毒素、酵素、放射性化合物及び血行性細胞と結合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)の単離及び産生、並びに1つ以上の化学療法剤と場合により組み合わされた、これらのCDMABの治療及び診断過程における使用に関する。本発明は、更に、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
癌を示す個人はそれぞれ特有であり、個人の独自性と同じように他の癌と異なる癌を有する。それにも関わらず、現行の治療は、同じ種類で同じ段階の癌を有する全ての患者を、同じように治療する。これらの患者の少なくとも30%は、第一次治療に失敗し、したがって、更なる一連の治療をもたらし、治療が失敗し、転移し、最終的には死亡する可能性が増大する。治療の優れた手法は、特定の個人における治療の特別仕様である。それ自体特別仕様につながる唯一の現行の治療は、外科手術である。化学療法及び放射線治療は、患者に合わせることができず、外科手術それ自体は、ほとんどの場合において、治癒を生じるには不十分である。
【0003】
モノクローナル抗体の出現によって、特別仕様の治療の方法を開発する可能性がより現実的になり、それは、それぞれの抗体を単一のエピトープに向かわせることができるからである。更に、特定の個人の腫瘍を独自に定義する一団のエピトープに方向付けられる、抗体の組み合わせを生じることが可能である。
【0004】
癌性と正常な細胞との有意な差は、癌性細胞が形質移入細胞に特異性のある抗原を含有することであるという認識を持って、科学界は、癌抗原に特異的に結合することによって、形質移入細胞を特異的に標的にするようにモノクローナル抗体を設計することができると長い間考えてきて、それ故、モノクローナル抗体は、癌細胞を排除する「魔法の弾丸」として役立つことができるという信念を生み出した。
【0005】
本発明の開示された教示に従って単離されたモノクローナル抗体は、例えば腫瘍量を低減することにより患者の利益になる方法で、癌性疾患の過程を修飾することが示されており、癌性疾患修飾抗体(CDMAB)又は「抗癌」抗体として本明細書でさまざまに参照される。
【0006】
今のところ、癌患者は、一般に治療の選択肢がほとんどない。癌治療に対する厳格に管理された手法は、世界的な生存率及び罹患率において改善をもたらした。しかし、特定の個人に対しては、これらの改善された統計は、彼らの個人的な状態における改善と必ずしも相関関係がない。
【0007】
したがって、開業医がそれぞれの腫瘍を同じコホートにおける他の患者とは無関係に治療することができる方法論が提案される場合、それは、ただ1人のために適合された特有の治療手法を許容することになる。理想的にはそのような治療過程が治癒の比率を増加し、より良好な成果を生じるのであれば、それは、長年にわたる切実な要求を満たすであろう。
【0008】
歴史的に、ポリクローナル抗体の使用は、ヒトの癌治療では限られた成果を伴って使用されてきた。リンパ腫及び白血病は、ヒト血漿で治療されてきたが、長期間の寛解又は反応はほとんどなかった。更に、化学療法と比較して、再現性が欠如し、追加的な利益がなかった。乳癌、黒色腫及び腎細胞癌のような固形腫瘍も、ヒト血液、チンパンジー血清、ヒト血漿及びウマ血清により治療され、同様に予測不能で効果のない結果を得た。
【0009】
固形腫瘍においてモノクローナル抗体の多くの診療試験が行われてきた。1980年代には、特定の抗原に対する抗体を使用するか、又は組織選択性に基づいて、ヒト乳癌において少なくとも4回の臨床試験が行われ、少なくとも47人の患者のうち1人しか反応しなかった。1998年になって、ヒト化抗her2抗体をシスプラチンと組み合わせて使用した臨床試験が成功した。この試験では、反応について37人の患者が参加し、そのうち約四分の一が部分的反応率を有し、もう半分が僅かな又は安定した疾患進行を有した。
【0010】
結腸直腸癌を調査する臨床試験は、糖タンパク質標的と糖脂質標的の両方に対する抗体に関わる。腺癌にいくらかの特異性を有する17−1Aのような抗体では、60人の患者で第2相臨床試験を行い、部分的な反応を有する患者が1人だけであった。別の試験では、17−1Aの使用は、追加のシクロホスファミドを使用したプロトコールにおいて、52人の患者のうち、完全寛解が1人及び僅かな反応が2人だけであった。17−1Aが関わる他の試験も同様な結果を生じた。最初に画像化のために認可されたヒト化ネズミモノクローナル抗体の使用も、腫瘍退縮を生じなかった。現在まで、結腸直腸癌に有効な抗体は存在していない。また、肺癌、脳癌、卵巣癌、膵癌、前立腺癌及び胃癌においても同じように乏しい結果を生じている。黒色腫における抗GD3モノクローナル抗体の使用では、いくらかの限定された成果が得られている。したがって、ヒト臨床試験の前提条件である小規模の動物研究が成功しているにもかかわらず、試験された抗体は、大部分が効果がないことがわかる。
【0011】
従来の特許:
特許文献1は、患者の腫瘍からの細胞を、患者の細胞又は組織からクローン化できるMHC遺伝子により形質移入するプロセスを開示する。次にこれらの形質移入細胞を使用して患者に予防接種する。
【0012】
特許文献2は、哺乳動物の新生細胞及び正常細胞の内部細胞成分に特異性があるが、外部成分にはないモノクローナル抗体を得る工程、モノクローナル抗体を標識する工程、標識抗体と、新生細胞を死滅させる治療を受けた哺乳動物の組織とを接触させる工程、及び縮退新生細胞の内部細胞成分への標識抗体の結合を測定することによって、治療の効果を決定する工程を含むプロセスを開示する。ヒト細胞内抗原へ向かう抗体を調製するためには、特許権所有者は、悪性細胞がそのような抗原の都合のよい供給源を表すことを認識する。
【0013】
特許文献3は、新規抗体及びその産生方法を提供する。特に、特許は、ヒト腫瘍、例えば、結腸及び肺の腫瘍に関連するタンパク質抗原に強く結合するが、正常な細胞にかなり低い程度で結合する特性を有するモノクローナル抗体の形成を教示する。
【0014】
特許文献4は、ヒト癌患者から腫瘍組織を外科的に除去すること、腫瘍組織を処理して腫瘍細胞を得ること、生存しているが非腫瘍形成性である腫瘍細胞を照射すること、これらの細胞を使用して、患者のために、原発性腫瘍の再発を抑制することができ、同時に転位を抑制することができるワクチンを調製することを含む癌治療の方法を提供する。この特許は、腫瘍細胞の表面抗原に反応性があるモノクローナル抗体の開発を教示する。第4欄45行目(以下参照)に記載されているように、特許権所有者は、ヒト新生物において活性な特異的免疫療法を発現するモノクローナル抗体の開発に自発性腫瘍細胞を利用する。
【0015】
特許文献5は、ヒト癌腫の特性を持つが、起源の上皮細胞に依存しない糖タンパク質抗原を教示する。
【0016】
特許文献6は、Her2発現細胞のアポトーシスを誘発する抗Her2抗体、抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、抗体を使用する癌治療の方法、及び前記抗体を含む医薬組成物を記述する。
【0017】
特許文献7は、腫瘍及び非腫瘍組織供給源から精製された、ムチン抗原に対するモノクローナル抗体を産生するための新規ハイブリドーマ細胞株を記載する。
【0018】
特許文献8は、所望の抗原に特異的な抗体を産生するヒトリンパ球を生成する方法、モノクローナル抗体を産生する方法、並びにこの方法により産生されるモノクローナル抗体を記述する。この特許は、特に、癌の診断及び治療に有用な抗HDヒトモノクローナル抗体の産生について記述している。
【0019】
特許文献9は、ヒト癌腫細胞に反応性のある、抗体、抗体フラグメント、抗体複合体及び単鎖免疫毒素に関する。これらの抗体が機能する機構には2つの部分があり、それは、分子が、ヒト癌腫の表面に存在する細胞膜抗原と反応すること、更には、抗体が、癌腫細胞内に取り入れられ、続いて結合する能力を有することであり、抗体−薬剤及び抗体−毒素複合体を形成するのに特に有用である。非修飾形態において、抗体は、特定の濃度で細胞毒性の特性も表す。
【0020】
特許文献10は、腫瘍の治療及び予防のための自己抗体の使用を開示する。しかし、この抗体は、老齢哺乳動物からの抗核自己抗体である。この場合、自己抗体は、免疫系で見出される天然抗体の一つの種類であると言われている。自己抗体が「老齢哺乳動物」からのものであるため、自己抗体は、実際に治療を受けている患者からのものであるという必要条件がない。加えて、この特許は、老齢哺乳動物からの天然及びモノクローナル抗核自己抗体、並びにモノクローナル抗核自己抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を開示する。
【特許文献1】米国特許第5,750,102号
【特許文献2】米国特許第4,861,581号
【特許文献3】米国特許第5,171,665号
【特許文献4】米国特許第5,484,596号
【特許文献5】米国特許第5,693,763号
【特許文献6】米国特許第5,783,186号
【特許文献7】米国特許第5,849,876号
【特許文献8】米国特許第5,869,268号
【特許文献9】米国特許第5,869,045号
【特許文献10】米国特許第5,780,033号
【発明の開示】
【0021】
本発明者たちには、以前に、癌性疾患を治療するのに有用である、個人に合わせて特別仕様された抗癌抗体を選択する方法を対象とする、表題が「個人に合わせた患者特異性抗癌抗体」である米国特許第6,180,357号が付与されている。
【0022】
本出願は、癌性疾患修飾モノクローナル抗体をコードするハイブリドーマ細胞株を単離することに関する′357特許で教示されている、患者特性抗癌抗体を産生する方法を利用する。これらの抗体は、1つの腫瘍のために特別に作ることができ、したがって、癌治療を特別仕様にすることが可能である。本出願の文脈内で、細胞死滅特性(細胞毒性)又は細胞増殖阻害特性(細胞増殖抑制性)のいずれかを有する抗癌抗体を、本明細書以降では、細胞毒性と呼ぶ。これらの抗体は、癌の病期分類及び診断の助けとして使用することができ、腫瘍転移を治療するために使用できる。
【0023】
個人に合わせた抗癌治療の展望は、患者を管理する方法に変化をもたらす。起こりそうな臨床シナリオは、診断時に腫瘍試料を得て、保存するというものである。この試料から、腫瘍を、既に存在している癌性疾患修飾抗体のパネルによって分類することができる。患者は、従来のように病期分類されるが、患者を更に分類するために、利用可能な抗体が役に立つことができる。患者を、現存の抗体により直ぐに治療することができ、腫瘍に特異的な抗体のパネルを、本明細書で概説された方法を使用する、又は本明細書で開示されたスクリーニング方法と併せてファージディスプレーライブラリーを使用する、のいずれかよって産生することができる。生成された抗体は、他の腫瘍が、治療されているものと同じエピトープのうちの幾つかを持ちうる可能性があるので、全て抗癌抗体のライブラリーに加えられる。本発明の方法に従って産生された抗体は、これらの抗体に結合する癌を有する何人もの患者において、癌性疾患を治療するのに有用であることができる。
【0024】
抗癌抗体に加えて、患者は、治療の多様なレジメンの一部として現行の推奨される治療を受けることを選ぶことができる。本発明の方法論により単離された抗体が非癌性細胞に対して相対的に非毒性であるという事実によって、高用量の抗体の組み合わせを単独で、又は従来の治療と一緒に使用することを可能にする。高い治療指数は、治療耐性細胞の発生の可能性を減少するはずである短期間での再治療も可能にする。
【0025】
更に、標準的な化学療法モダリティー、例えば放射性核種と、本発明のCDMABとを結合し、それによって、前記化学療法剤の使用に焦点を当てることは、本発明の範囲内である。
【0026】
患者が治療の初期過程に難治性であるか、又は転移が発生する場合、腫瘍に特異的な抗体を生成する方法を再治療のために繰り返すことができる。更に、抗癌抗体を、患者から得た赤血球と結合して、転移の治療のために再注入することができる。転移性癌に対する有効な治療はほとんどなく、転移は、通常、死亡をもたらす不良転帰の前兆である。しかし、転移性癌は、通常、十分に血管新生化されており、赤血球による抗癌抗体の送達は、腫瘍部位へ抗体を集中させる効果を有することができる。転移の前でさえも、ほとんどの癌細胞は、その生存を宿主の血液供給に依存し、赤血球と結合した抗癌抗体は、原位置の腫瘍に対しても有効であることができる。あるいは、抗体を、他の血行性細胞、例えば、リンパ球、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞などと結合させることができる。
【0027】
5種類の抗体があり、それぞれその重鎖により付与される機能と関連している。一般に、裸抗体による癌細胞死滅は、抗体依存性細胞障害活性又は補体依存性細胞障害性のいずれかによって仲介されると考えられる。例えば、ネズミIgM及びIgG2a抗体は、補体系のC−1成分の結合によりヒト補体を活性化することができ、それによって、腫瘍溶解をもたらすことができる、補体活性化の古典的経路を活性化することができる。ヒト抗体では、最も効果的な補体活性抗体は、一般にIgM及びIgG1である。IgG2a及びIgG3アイソタイプのネズミ抗体は、単球、マクロファージ、顆粒球及び特定のリンパ球による細胞死滅をもたらすFcレセプターを有する細胞毒性細胞を動員するのに有効である。ヒト抗体のIgG1とIgG3の両方のアイソタイプはADCCを仲介する。
【0028】
抗体仲介癌死滅の別の可能な機構は、細胞膜及びその関連する糖タンパク質又は糖脂質における多様な化学的結合の加水分解を触媒するように機能する抗体、いわゆる触媒抗体の使用を介することでありうる。
【0029】
抗体仲介癌細胞死滅の2つの追加的な機序があり、それらはより広範囲に受け入れられている。第1は、腫瘍細胞に存在する推定癌抗原に対して免疫反応を生じるように体を誘導する、ワクチンとしての抗体の使用である。第2は、増殖レセプターを標的にし、その機能を妨害する、又は機能が効果的に失われるようにそのレセプターを下方制御する、抗体の使用である。
【0030】
したがって、癌細胞に対して細胞毒性であり、同時に、ハイブリドーマ細胞株及び対応する単離モノクローナル抗体、並びに前記ハイブリドーマ細胞株がコードされているその抗原結合フラグメントを単離するために、非癌性細胞に対して相対的に非毒性である、特定の個人から誘導した細胞からの癌性疾患修飾抗体を産生する方法を利用することが、本発明の目的である。
【0031】
癌性疾患修飾抗体及びその抗原結合フラグメントを教示することが、本発明の追加的な目的である。
【0032】
その細胞障害性が抗体依存性細胞毒性により仲介される癌性疾患修飾抗体を産生することが、本発明の更なる目的である。
【0033】
その細胞障害性が補体依存性細胞毒性により仲介される癌性疾患修飾抗体を産生することが、本発明のなお追加的な目的である。
【0034】
その細胞障害性が細胞の化学的結合の加水分解を触媒する能力の機能である癌性疾患修飾抗体を産生することが、本発明のまた更なる目的である。
【0035】
本発明のまた更なる目的は、癌の診断、予後及びモニタリングのための結合アッセイに有用である癌性疾患修飾抗体を産生することである。
【0036】
本発明の他の目的及び利点は、以下の記載によって明らかとなり、例示及び実施例によって、本発明の特定の実施態様が記載される。
【0037】
(図面の簡単な説明)
図1は、幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた1A245.6抗体、両方の抗体のアイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。
図2は、幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた7BD−33−11A抗体、1A245.6抗体のアイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体、抗EGFR抗体のアイソタイプ対照抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。
図3は、幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた11BD−2E11−2抗体、両方の抗体のアイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。
図4は、特定の抗体治療に関する経時的な腫瘍容量のグラフ解析である。
図5は、MB213ヒト乳癌腫瘍容量に対する経時的な抗体効果のグラフ解析である。
図6は、抗体治療に関する経時的な生存率を定量化するグラフ解析である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
一般に、以下の語又は語句は、発明の開示、記載、実施例及び請求項で使用される場合に、示された定義を有する。
【0039】
用語「抗体」は、最も広範囲な意味で使用され、具体的には、例えば単一モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト及び中和抗体、脱免疫化、ネズミ、キメラ化又はヒト化抗体を含む)、ポリエピトープ的特異性を有する抗体組成物、単鎖抗体、免疫複合体及び抗体のフラグメントを網羅する(下記を参照すること)。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質の抗体の個体群から得られる抗体を意味し、すなわち、個体群に含まれる個別の抗体は、少量で存在しうる天然に生じる突然変異の可能性を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位に向けられる。更に、異なる決定要因(エピトープ)に向けられている異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定要因に向けられている。これらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体で汚染されることなく合成することができる点において有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質の抗体個体群から得られる抗体の特性を示し、特定の任意の方法により抗体を産生する必要性があると考慮されるべきでない。例えば、本発明により使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)に最初に記載されたハイブリドーマ(ネズミ又はヒト)法により作製することができるか、又は組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照すること)により作製することができる。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)及びMarks et al.,J.MoI.Biol,222:581−597(1991)に記載された技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0041】
「抗体フラグメント」は、無処置抗体の一部を含み、好ましくはその抗原結合又は可変部領域を含む。抗体フラグメントの例には、完全長に満たない抗体、Fab、Fab′、F(ab′)及びFvフラグメント;二特異性抗体;線状抗体;単鎖抗体分子;単鎖抗体、単一ドメイン抗体分子、融合タンパク質、組み換えタンパク質、並びに抗体フラグメントから形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0042】
「無処置」抗体は、抗原結合可変部領域を含み、またさらに、軽鎖定常部ドメイン(C)及び重鎖定常部ドメイン、C1、C2及びC3を含むものである。定常部ドメインは、未変性配列定常部ドメイン(例えば、ヒト未変性配列定常部ドメイン)又はアミノ酸配列可変部ドメインであることができる。好ましくは、無処置抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有する。
【0043】
重鎖の定常部ドメインのアミノ酸配列に応じて、無処置抗体を異なる「部類」に指定することができる。これらは、無処置抗体の5つの主要な部類:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMであり、これらのうちの幾つかは、更に「下位分類」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分けることができる。抗体の異なる部類に対応する重鎖定常部ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なる部類のサブユニット構造及び三次元配置がよく知られている。
【0044】
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(未変性配列Fc領域又はアミノ酸配列可変部Fc領域)に寄与する生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例には、Clq結合;補体依存性細胞障害性;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞仲介細胞障害性(ADCC);食菌作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター;BCR)の下方制御などが挙げられる。
【0045】
「抗体依存性細胞仲介細胞障害性」及び「ADCC」は、Fcレセプター(FcR)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)を発現する非特異的細胞毒性細胞が、標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす細胞仲介反応を意味する。ADCCを仲介する一次細胞である、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現し、一方、単球は、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現をまとめたものが、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991)の第464頁、表3である。目的分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは又は追加的には、目的分子のADCC活性をインビボで、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されているような動物モデルにおいて評価することができる。
【0046】
「エフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを仲介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞及び好中球が挙げられ、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞を、その未変性供給源から、例えば、本明細書に記載されている血液又はPBMCから単離することができる。
【0047】
用語「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFe領域に結合するレセプターを記載するために使用される。好ましいFcRは、未変性配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)に結合するものであり、これらのレセプターの対立変種及び代替的なスプライス型を含むFcγRI、FcγRII及びFcγRIII下位分類のレセプターが含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)が含まれ、主に細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシン活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシン阻害モチーフ(ITIM)を含有する(M.in Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)の論評を参照すること)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25−34(1994);及びde Haas et ah,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)において検討されている。将来的に同定されるものを含む他のFcRは、本明細書における用語「FcR」に包含される。この用語には、母親IgGの胎児への移動に関与する新生児レセプターFcRnも含まれる(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.,Eur.J.Immunol.24:2429(1994))。
【0048】
「補体依存性細胞障害性」又は「CDC]は、分子が補体の存在下で標的を溶解する能力を意味する。補体活性化経路は、補体系(Clq)の最初の成分と、同族抗原と複合体を形成している分子(例えば、抗体)との結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを実行することができる。
【0049】
用語「可変部」は、抗体のうちで可変部ドメインの特定の部分が、配列において大きく異なり、特定の抗原に対するそれぞれ特定の抗体の結合及び特異性のために使用される、という事実を意味する。しかし、可変性は、抗体の可変部ドメインの全体にわたって均一に分布されてはいない。軽鎖と重鎖の両方の可変部ドメインにおいて超可変部領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変部ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。未変性重及び軽鎖の可変部ドメインは、それぞれ、>シート構造に結合しているループを形成しており、幾つかの場合ではその一部分を形成している、3つの超可変部領域により結合しているほぼβシート形状をしている4つのFRを含む。それぞれの鎖における超可変部領域は、FRにより近接して一緒に保持され、他の鎖の超可変部領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照すること)。定常部ドメインは、抗体と抗原との結合に直接関わらないが、抗体依存性細胞障害活性(ADCC)における抗体の参加のような、種々のエフェクター機能を示す。
【0050】
本明細書で使用されるとき、用語「超可変部領域」は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変部領域は、一般に「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変部ドメインにおける残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)、重鎖可変部ドメインにおける残基31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))並びに/又は「超可変部ループ」からの残基(例えば、軽鎖可変部ドメインにおける残基2632(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)、重鎖可変部ドメインにおける残基26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J.MoI.Biol.196:901−917(1987))を含む。「フレームワーク領域」又は「FR]残基は、本明細書で定義されている超可変部領域残基以外の可変部ドメイン残基である。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントを産生し、それぞれ単一の抗原結合部位と、その名称が容易に結晶化する能力を反映している残基「Fc」フラグメントを有する。ペプシン処理によって、2つの抗原結合部位を有し、かつ依然として抗原を架橋することができるF(ab′)フラグメントを生じる。
【0051】
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小限の抗体フラグメントである。この領域は、密接な非共有的関連がある1つの重鎖と1つの軽鎖の可変部ドメインの二量体から構成される。それぞれの可変部ドメインの3つの超可変部領域が相互作用して、V−V二量体の表面に抗原結合部位を画定するのが、この配置である。集合的には、6つの超可変部領域が抗原結合特異性を抗体に付与する。しかし、単一の可変部ドメイン(又は抗原に特異性のある3つの超可変部領域しか含まない半分のFv)でさえも、抗原を認識し結合する能力を有するが、結合部位全体よりも親和性は低い。Fabフラグメントも、軽鎖の定常部ドメインと重鎖の第1定常部ドメイン(CH1)を含有する。Fab′フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基を付加することによって、Fabフラグメントと異なる。Fab′−SHは、定常部ドメインのシステイン残基が少なくとも1つの遊離チオール基を有するFab′の本明細書における名称である。F(ab′)抗体フラグメントは、元々、その間にヒンジシステインを有する一対のFab′フラグメントとして産生された。抗体フラグメントの他の化学結合も知られている。
【0052】
任意の脊椎動物種からの抗体の「軽鎖」を、その定常部ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、明確に区別される2つの型のうちの1つに割り当てることができる。
【0053】
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドは、抗原結合のためにscFvを所望の構造に形成することができる、VとVのドメインの間にあるポリペプチドリンカーを更に含む。scFvについての検討は、Plueckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照すること。
【0054】
用語「二特異性抗体」は、2つの抗原結合部位を有する小型抗体フラグメントであり、フラグメントは、同じポリペプチド鎖(V−V)において可変部軽ドメイン(V)に結合している可変部重ドメイン(V)を含む。同じ鎖で2つのドメインの間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは別の鎖の相補ドメインと対を形成して、2つの抗原結合部位を作り出すことが強要される。二特異性抗体は、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)においてより完全に記載されている。
【0055】
「単離」抗体は、自然環境の成分から同定、分離及び/又は回収されたものである。自然環境の汚染成分は、抗体の診断的又は治療的使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれうる。単離抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分も存在しないので、組み換え細胞内原位置の抗体が含まれる。しかし、通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0056】
目的の抗原に「結合する」抗体は、抗体が、抗原を発現する細胞を標的にする治療又は診断剤として有用であるように、十分な親和性を持って抗原に結合することができるものである。抗体が特定の抗原部分に結合するものである場合、通常は、他のレセプターではなくて抗原部分に優先的に結合し、非特異性Fc接触のような偶発的に結合するもの又は他の抗原では一般的である翻訳後修飾へ結合するものは含まれず、他のタンパク質と有意に交差反応しないものでありうる。目的の抗原に結合する抗体を検出する方法は、当該技術において周知であり、FACS、細胞ELISA及びウエスタンブロットのようなアッセイが含まれうるが、これらに限定はされない。
【0057】
本明細書で使用されるとき、表現「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養」は交換可能に使用され、そのような名称には全て子孫が含まれる。全ての子孫は、意図的な又は偶然の突然変異のために、DNA含有が正確に同一ではない場合があることも理解される。元の形質転換細胞でスクリーニングされたものと同じ機能又は生物学的活性を有する突然変異体の子孫が含まれる。明確な名称が意図されることが文脈から明かとなる。
【0058】
「治療」は、治療処置と、予防(prophylactic)又は予防(preventative)手段の両方を意味し、目的は、標的とする病理的状態又は障害を予防又は遅延(軽減)することである。治療の必要なものには、既に障害を有しているもの、並びに障害を有する傾向のあるもの又は障害が予防されなければならないものが含まれる。したがって、本明細書における治療される哺乳動物は、障害を有していると診断される場合があるか、又は障害に罹患しやすくなっているか若しくは敏感になっている場合がある。
【0059】
用語「癌」及び「癌性」は、典型的には無調節細胞増殖又は死により特徴付けられる、哺乳動物における病理状態を意味するか又はそれを記載する。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病又はリンパ性悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定はされない。より詳細には、そのような癌の例には、扁平細胞癌(例えば、上皮扁平細胞癌)、小型細胞肺癌、非小型細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸の癌を含む胃又は腹部の癌、膵癌、グリア芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓又は腎性癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌腫、肛門癌、陰茎癌、並びに頭部及び頸部の癌が挙げられる。
【0060】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロースホスファミド(CYTOXAN(商標))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ及びウレドーパのようなアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチローロメラミンを含むエチレンイミン及びメチラメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロメタミン、酸化メクロエタミン、塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードのようなナイトロジェンマスタード;カムルスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンのようなニトロソウレア;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンのような抗生物質;メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)のような抗代謝剤;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートのような葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FUのようなピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンのようなアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸のような葉酸補充物;アセグラトン;アルドホスファアミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン; 2,2′,2″−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Aventis,Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのような白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバントロネート;CPT−11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;及び上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が挙げられる。また、この定義に含まれるものは、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリンのような抗アンドロゲン、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体のような、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤である。
【0061】
治療目的の「哺乳動物」は、ヒト、マウス、SCID又はヌードマウス又はマウスの系統、家畜、動物園の動物、競技用の動物又は愛玩動物、例えばヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含む哺乳動物として分類される任意の動物を意味する。好ましくは、本明細書における哺乳動物はヒトである。
【0062】
「オリゴヌクレオチド」は、1988年5月4日に公開されたEP266,032に記載された固相技術を使用して、又はFroehler et al,Nucl.Acids Res.,14:5399−5407,1986に記載されているデオキシヌクレオシドH−ホスホネート中間体を介して、既知の方法(例えば、ホスホトリエステル、ホスファイト又はホスホラミダイト化学)によって化学的に合成された長さが短い一本又は二本鎖ポリデオキシヌクレオチドである。次にこれらはポリアクリルアミドゲルで精製される。
【0063】
「キメラ」抗体は、所望の生物学的活性を示す限り、その重及び/又は軽鎖の部分が、特定の種から誘導されるか又は特定の抗体の部類若しくは下位分類に属している抗体における対応する配列と同一であるか又は相同性があり、一方、残りの鎖が、別の種から誘導されるか又は別の抗体の部類若しくは下位分類に属している抗体、またそのような抗体のフラグメントにおける対応する配列と同一であるか又は相同性がある免疫グロブリンである(米国特許第4,816,567号及びMorrison et al,Proc.Natl.Acad.ScL USA,81:6851−6855(1984))。
【0064】
非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最低限の配列を含有する特定のキメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖又はフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab′、F(ab)又は抗体の他の抗原結合部分配列)である。大部分の場合において、ヒト化抗体は、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギのような非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基に代えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。幾つかの場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒトFR残基に代えられている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも外来CDR又はFR配列にも見出されない残基を含むことができる。これらの修飾は、更に精製され、抗体性能が最適化される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変部ドメインを実質的に全て含み、全て又は実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンに対応し、全て又は実質的に全てのFR残基がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、最適には、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常部領域(Fc)の少なくとも一部分も含む。
【0065】
「脱免疫化」抗体は、所定の種に対して非免疫原性であるか又は免疫原性が低い免疫グロブリンである。脱免疫化は、抗体に対する構造改変によって達成することができる。当業者に既知のあらゆる脱免疫化技術を用いることができる。抗体を脱免疫化する一つの適切な技術が、例えば、2000年6月15日公開のWO00/34317に記載されている。
【0066】
「相同性」は、配列を並置し、必要であればギャップを導入して最大相同率を達成した後に同一である、アミノ酸配列可変部における残基の率として定義される。並置の方法及びそのためのコンピュータープログラムは、当該技術でよく知られている。
【0067】
本明細書の全体を通して、ハイブリドーマ細胞株、並びにそれから産生される単離モノクローナル抗体は、それぞれ、内部名称である7BD−33−11A、1A245.6及び11BD−2E11−2又は寄託名称であるPTA−4890、PTA−4889及びPTA−5643と代替的に呼ばれる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「リガンド」には、標的抗原に特異的な結合を示す部分が含まれ、無処置抗体分子及び少なくとも抗原結合領域又はその部分(すなわち、抗体分子の可変部部分)を有する任意の分子、例えばFv分子、Fab分子、Fab′分子、F(ab′)分子、二重特異性抗体、融合タンパク質、又はATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643と称されるハイブリドーマ細胞株により産生された単離モノクローナル抗体に結合している抗原(ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643抗原)を特異的に認識し結合する任意の遺伝子操作された分子であることができる。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「抗原結合領域」は、標的抗原を認識する分子の部分を意味する。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「競合的に阻害する」は、従来の相互抗体競合アッセイを使用して、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643と呼ばれるハイブリドーマ細胞株により産生されるモノクローナル抗体(ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643抗体)が向けられる決定基を認識し、それに結合することができることを意味する。(Belanger L.,Sylvestre C.and Dufour D.(1973),Enzyme linked immunoassay for alpha fetoprotein by competitive and sandwich procedures.Clinica Chimica Acta 48,15)。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「標的抗原」は、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889若しくはATCC PTA−5643の抗原又はこれらの部分である。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「免疫複合体」は、細胞毒素、放射性作用物質、酵素、毒素、抗腫瘍薬又は治療剤に化学的又は生物学的に結合している抗体のような任意の分子又はリガンドを意味する。抗体は、細胞毒素、放射性作用物質、抗腫瘍薬又は治療剤に、その標的に結合することができる限り、分子に沿って任意の位置に結合することができる。免疫複合体の例には、抗体毒素化学複合体及び抗体毒素融合タンパク質が挙げられる。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「融合タンパク質」は、抗原結合領域が、生物学的に活性な分子、例えば、毒素、酵素又はタンパク薬物に結合している任意のキメラタンパク質を意味する。
【0074】
本明細書で記載される本発明がより完全に理解できるために、下記の説明を記載する。
【0075】
本発明は、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643抗原を特異的に認識し、それに結合するリガンド(すなわち、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643リガンド)を提供する。
【0076】
本発明のリガンドは、ハイブリドーマATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643により産生されたモノクローナル抗体のその標的抗原への免疫特異的結合を競合的に阻害する抗原結合領域を有する限り、任意の形態であることができる。したがって、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643抗体と同じ結合特異性を有するあらゆる組み換えタンパク質(例えば、抗体がリンホカイン又は腫瘍阻害性増殖因子のような第2タンパク質と組み合わされた融合タンパク質)が、本発明の範囲内に入る。
【0077】
本発明の一つの実施態様において、リガンドは、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643抗体である。
【0078】
別の実施態様において、リガンドは抗原結合フラグメントであり、それは、Fv分子(例えば、単鎖Fv分子)、Fab分子、Fab′分子、F(ab′)分子、融合タンパク質、二重特異性抗体、異種抗体、又はATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889若しくはATCC PTA−5643抗体の抗原結合領域を有する任意の組み換え分子であることができる。本発明のリガンドは、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889又はATCC PTA−5643モノクローナル抗体が向けられているエピトープに対して向けられている。
【0079】
本発明のリガンドは、誘導体分子を産生するように修飾されることができ、すなわち、分子内のアミノ酸修飾によって修飾されることができる。化学修飾も可能でありうる。
【0080】
誘導体分子は、ポリペプチドの機能特性を保持し、すなわち、そのような置換を有する分子は、ポリペプチドの、ATCC PTA−4890、ATCC PTA−4889若しくはATCC PTA−5643抗原又はその部分への結合を依然として許容する。
【0081】
これらのアミノ酸置換には、当該技術において「保存的」として知られているアミノ酸置換が含まれるが、これに限定される必要はない。
【0082】
例えば、「保存的アミノ酸置換」と称される特定のアミノ酸置換は、タンパク質においてタンパク質の立体配座又は機能のいずれかを改変することなく頻繁に行うことができる、十分に確立されたタンパク質化学の原理である。
【0083】
そのような変化には、イソロイシン(I)、バリン(V)及びロイシン(L)のいずれかで他の疎水性アミノ酸のいずれかを、アスパラギン酸(D)でグルタミン酸(E)を(及びその逆を)、グルタミン(Q)でアスパラギン(N)を(及びその逆を)、並びにセリン(S)でトレオニン(T)を(及びその逆を)置換することが含まれる。他の置換を、特定のアミノ酸の環境及びタンパク質の三次元構造におけるその役割に応じて、保存的であると考慮することもできる。例えば、グリシン(G)及びアラニン(A)は、頻繁に交換可能であることができ、アラニン及びバリン(V)も同様である。相対的に疎水性であるメチオニン(M)を、ロイシン及びイソロイシンと頻繁に、バリンとは時々交換することができる。リシン(K)及びアルギニン(R)は、位置を頻繁に交換することができ、それは、アミノ酸残基の有意な特徴はその電荷であり、これら2つのアミノ酸残基のpKが異なることは有意ではないからである。さらに他の変化も特定の環境下では「保存的」であると考慮することができる。
【0084】
抗体を得ると、個別の当業者は、競合的に阻害するリガンド、例えば競合抗体を生成することができ、これは同じエピトープを認識するものである(Belanger L et al.,1973)。一つの方法は、抗体により認識される抗原を発現する免疫原により免疫化することを伴うことができる。試料には、組織、単離タンパク質又は細胞株が含まれうるが、これらに限定はされない。得られたハイブリドーマは、ELISA、FACS又は免疫沈降のような、試験抗体の結合を阻害する抗体を同定するものである競合アッセイを使用して、スクリーニングすることができる。別の方法は、ファージディスプレーライブラリーを使用し、前記抗原を認識する抗体をパニングすることによって行うことができる(Rubinstein et al.,2003)。どちらの場合でも、バイブリドーマは、最初の抗体とその標的抗原の結合に打ち勝つ能力に基づいて選択される。したがって、そのようなハイブリドーマは、最初の抗体と同じ抗原を認識する特性を有し、より詳細には、同じエピトープを認識する。
【0085】
実施例1
ハイブリドーマ産生−ハイブリドーマ細胞株7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2ハイブリドーマ:
ハイブリドーマ細胞株7BD−33−11A及び1A245.6を、ブダペスト条約に従って、それぞれ受入番号PTA−4890及びPTA−4889で2003年1月8日に、American Type Culture Collection,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209に寄託した。37 CFR 1.808に従って、寄託者は、寄託物質の公共利用性に対して課せられている全ての制限が、特許の付与にあたって変更不能に解除されることを確認する。
【0086】
ハイブリドーマ細胞株11BD−2E11−2を、ブダペスト条約に従って、受入番号PTA−5643で2003年1月11日に、American Type Culture Collection,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209に寄託した。37 CFR 1.808に従って、寄託者は、寄託物質の公共利用性に対して課せられている全ての制限が、特許の付与にあたって変更不能に解除されることを確認する。
【0087】
抗癌抗体7BD−33−11Aを産生するハイブリドーマを産生するために、抗原の単一細胞懸濁液、すなわちヒト乳癌細胞を、冷PBSで調製した。8〜9週齢のBALB/cマウスを、0.2百万〜2.5百万細胞を含有する100マイクロリットルの抗原アジュバントの分割用量で、フロイント完全佐剤を用いて皮下及び腹腔内の両方の注射により免疫化した。新たに調製した抗原アジュバンドを使用して、最初の免疫化の3週間後及び最後の追加免疫の2週間後に、0.2百万〜2.5百万細胞により同様の方法でマウスを追加免疫した。最後の免疫化の少なくとも2日後に、脾臓を融合のために使用した。ハイブリドーマは、単離脾細胞をSp2/0骨髄腫パートナーと融合することによって調製した。融合体の上澄みを、ハイブリドーマのサブクローンで試験した。
【0088】
抗癌抗体1A245.6を産生するハイブリドーマを産生するために、抗原の単一細胞懸濁液、すなわちヒト乳癌細胞を、冷PBSで調製した。8〜9週齢のBALB/cマウスを、2.5百万細胞を含有する100マイクロリットルの抗原アジュバントの分割用量で、フロイント完全佐剤を用いて皮下及び腹腔内の両方の注射により免疫化した。新たに調製した抗原アジュバンドを使用して、最初の免疫化の3週間後、2週間後、5週間後及び最後の追加免疫の3週間後に、2.5百万細胞により同様の方法でマウスを追加免疫した。最後の免疫化の少なくとも3日後に、脾臓を融合のために使用した。ハイブリドーマは、単離脾細胞をNSO−1骨髄腫パートナーと融合することによって調製した。融合体の上澄みを、ハイブリドーマのサブクローンで試験した。
【0089】
抗癌抗体11BD−2E11−2を産生するハイブリドーマを産生するために、抗原の単一細胞懸濁液、すなわちヒト乳癌細胞を、冷PBSで調製した。8〜9週齢のBALB/cマウスを、0.2百万〜2.5百万細胞を含有する100マイクロリットルの抗原アジュバントの分割用量で、フロイント完全佐剤を用いて皮下及び腹腔内の両方の注射により免疫化した。新たに調製した抗原アジュバンドを使用して、最初の免疫化の2〜3週間後及び最後の追加免疫の2週間後に、0.2百万〜2.5百万細胞により同様の方法でマウスを追加免疫した。最後の免疫化の少なくとも2日後に、脾臓を融合のために使用した。ハイブリドーマは、単離脾細胞をNSO−1骨髄腫パートナーと融合することによって調製した。融合体の上澄みを、ハイブリドーマのサブクローンで試験した。
【0090】
ハイブリドーマ細胞により分泌された抗体がIgG又はIgMアイソタイプであるかを決定するために、ELISAアッセイを用いた。100マイクロリットル/ウエルの、4℃の被覆緩衝剤(0.1M炭酸塩/重炭酸塩緩衝剤、pH9.2〜9.6)中の濃度2.4マイクログラム/mLのヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)を、ELISAプレートに一晩加えた。プレートを洗浄緩衝剤(PBS+0.5%Tween)で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウエルの遮断緩衝剤(洗浄緩衝剤中5%ミルク)をプレートに室温で1時間加え、次に洗浄緩衝剤で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウエルのハイブリドーマ上澄みを加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを、洗浄緩衝剤で3回洗浄し、100マイクロリットル/ウエルの、ヤギ抗マウスIgG又はIgMのホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体いずれかの1/5000希釈(1%ウシ血清アルブミンを含有するPBSで希釈した)を加えた。プレートを室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄した。100マイクロリットル/ウエルのTMB溶液を、室温で1〜3分間インキュベートした。呈色反応を、100マイクロリットル/ウエルの2M HSOの添加により終了させ、プレートをPerkin−Elmer HTS7000プレート読み取り機により450nmで読み取った。表1で示されているように、7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2ハイブリドーマは、主のIgGアイソタイプの抗体を分泌した。
【0091】
1〜4回の限界希釈の後、ハイブリドーマ上澄みを、細胞ELISAアッセイにより標的細胞に結合する抗体について試験した。3つの乳癌細胞株を試験した:MDA−MB−231(MB−231とも呼ばれる)、MDA−MB−468(MB−468とも呼ばれる)及びSKBR−3。平板培養細胞は、使用する前に固定した。プレートを、MgCl及びCaClを含有するPBSにより室温で3回洗浄した。PBSで希釈した2%パラホルムアルデヒドの100マイクロリットルを、それぞれのウエルに室温で10分間加え、次に廃棄した。プレートを、再び、MgCl及びCaClを含有するPBSにより室温で3回洗浄した。遮断を、洗浄緩衝剤(PBS+0.05%Tween)中の5%ミルクの100マイクロリットル/ウエルにより室温で1時間実施した。プレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、ハイブリドーマ上澄みを、100マイクロリットル/ウエルにより室温で1時間加えた。プレートを、洗浄緩衝剤で3回洗浄し、100マイクリットル/ウエルの、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合したヤギ抗マウスIgG又はIgM抗体の1/5000希釈(1%ウシ血清アルブミンを含有するPBSで希釈した)を加えた。室温での1時間のインキュベーションの後、プレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、100マイクロリットル/ウエルのTMB基質を、室温で1〜3分間インキュベートした。反応を、100マイクロリットル/ウエルの2M HSOにより終了させ、プレートをPerkin−Elmer HTS7000プレート読み取り機により450nmで読み取った。表1で表にまとめた結果を、IgGアイソタイプ対照(3BD−27)と比較して、バックグラウンドを越える倍数として表した。7BD−33−11A及び1A245.6ハイブリドーマ細胞株の抗体は、3つの乳房株の全てに強く結合し、バックグラウンドよりも少なくとも6倍を超えていた。両方の抗体は、MDA−MB−231細胞株に最も強く結合した。11BD−2E11−2ハイブリドーマ細胞株の抗体も、MDA−MB−231細胞株に最も強く結合したが、他の2つの細胞株にはバックグラウンドを超えた結合を示さなかった。これらの結果は、抗体により認識されるエピトープがMDA−MB−468又はSKBR−3細胞に存在せず、7BD−33−11A及び1A245.6により認識されるエピトープと異なることを示唆している。
【0092】
抗体結合についての試験と共に、ハイブリドーマ上澄みの細胞毒性効果を、同じ乳癌細胞株:MDA−MB−231、MDA−MB−468及びSKBR−3で試験した。生存/死亡細胞障害性アッセイを、Molecular Probes(Eu,OR)から得た。アッセイを、製造会社の使用説明書に従い、下記に概説するように変えて実施した。細胞を、アッセイの前に、所定の適切な密度で平板培養した。2日後、ハイブリドーママイクロタイタープレートの上澄みの100マイクロリットルを、細胞プレートに移し、5%COインキュベーターで5日間インキュベートした。陽性対照としての役割を果たすウエルを空になるまで吸引し、100マイクロリットルのアジ化ナトリウム及び/又はシクロヘキシミドを加えた。3BD−27モノクローナル抗体も、試験した3つの乳癌細胞株に結合しないことが知られているので、アイソタイプ対照として加えた。抗EGFR抗体(C225)も、比較のためにアッセイで使用した。処理の5日後、プレートを逆さにして空にし、吸い取って乾燥した。MgCl及びCaClを含有する室温DPBSを、多チャンネルスクイーズボトルからそれぞれのウエルに分配し、3回軽く叩き、反転して空にし、次に吸い取って乾燥した。MgCl及びCaClを含有するDPBSで稀釈した蛍光生存/死亡染料の50マイクロリットルをそれぞれのウエルに加え、5%COインキュベーターにおいて37℃で30分間インキュベートした。プレートを、Perkin−Elmer HTS7000蛍光プレート読み取り機で読み取り、データを、Microsoft Excelで分析した。結果を表1において作表した。
【0093】
異なる細胞障害性が3つの抗体で観察された。11BD−2E11−2は、39〜73%の死滅を示し、SKBR−3細胞で最高の細胞障害性が観察された。1A245.6及び7BD−33−11Aは、MDA−MB−231細胞において同様の細胞障害性を示したが、1A245.6は、MDA−MB−468細胞にも細胞障害性を示し、一方、7BD−33−11Aは示さなかった。
【0094】
このことは、ハイブリドーマ細胞由来の抗体が癌細胞において細胞障害性を生じうることを示した。抗体結合の程度とハイブリドーマ上澄みにより生じた細胞障害性との間に一般的な関連性も存在した。この傾向には、結合が不足しているにもかかわらずMB−468癌細胞及びSKBR−3癌において11BD−2E11−2が生じた細胞障害性の量のような、幾つかの例外もあった。このことは、抗体が、この細胞型の細胞ELISA結合アッセイにより検出されなかった仲介作用を有するか、又はアッセイが結合を検出しなかったのは、細胞の固定のようなアッセイにおける束縛に起因する可能性があることを示唆した。最後に、別の可能性も存在し、それは、アッセイが、この特定の状況で細胞障害性を仲介するのに十分な結合を検出するほど感受性がなかったということであった。他の例外は、アイソタイプ対照と比較してバックグラウンドよりも結合が6倍増加しているにもかかわらず、MB−468細胞に対する7BD−33−11Aの細胞障害性が比較的不足していることであった。このことは、結合が、抗体のその同族抗原への連結の結果の予測では必ずしもないことを指摘した。既知の非特異的細胞毒性剤のシクロヘキシミドは、予測されたように一般に細胞障害性を生じた。
【0095】
【表1】

【0096】
実施例2
抗体産生
モノクローナル抗体は、CL−1000フラスコ(BD Biosciences,Oakville,ON)中で、週に2回収集及び再接種して、ハイブリドーマの7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2を培養し、Protein G Sepharose 4 Fast Flow(Amersham Biosciences,Baie d’Urfe,QC)による標準的な抗体精製手順により産生した。ヒト化されている、キメラ化されている又はネズミ抗体のモノクローナル抗体を利用することは、本発明の範囲内である。7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2を、細胞障害性アッセイにおいて、多数の陽性(抗Fas(EOS9.1、IgM、カッパ、20マイクログラム/mL、eBioscience,San Diego,CA)、抗Her2/neu(IgG1、カッパ、10マイクログラム/mL、Inter Medico,Markham,ON)、抗EGFR(C225、IgG1、カッパ、5マイクログラム/mL、Cedarlane,Hornby,ON)、シクロヘキシミド(100マイクロモル、Sigma,Oakville,ON)、NaN(0.1%、Sigma,Oakville,ON))と陰性(107.3(抗TNP、IgG1、カッパ、20マイクログラム/mL、BD Biosciences,Oakville,ON)、G155−178(抗TNP、IgG2a、カッパ、20マイクログラム/mL、BD Biosciences,Oakville,ON)、MPC−11(抗原特異性不明、IgG2b、カッパ、20マイクログラム/mL)、J606(抗フルクトサン、IgG3、カッパ、20マイクログラム/mL)、IgG緩衝剤(2%))対照の両方と比較した(表2)。乳癌(MB−231、MB−468、MCF−7)、結腸癌(HT−29、SW1116、SW620)、肺ガン(NCI H460)、卵巣癌(OVCAR)、前立腺癌(PC−3)、並びに非癌(CCD 27sk、Hs888 Lu)の細胞株を試験した(全て、ATCC,Manassas,VAからのもの)。生存/死亡細胞障害性アッセイを、Molecular Probes(Eugene,OR)から得た。アッセイを、製造会社の使用説明書に従い、下記に概説するように変えて実施した。細胞を、アッセイの前に、所定の適切な密度で平板培養した。2日後、100マイクロリットルの精製抗体を媒質で希釈し、次に細胞プレートに移し、8%COインキュベーターで5日間インキュベートした。板を反転して空にし、吸い取って乾燥した。MgCl及びCaClを含有する室温DPBSを、多チャンネルスクイーズボトルからそれぞれのウエルに分配し、3回軽く叩き、反転して空にし、次に吸い取って乾燥した。MgCl及びCaClを含有するDPBSで稀釈した蛍光生存/死亡染料の50マイクロリットルをそれぞれのウエルに加え、5%COインキュベーターにおいて37℃で30分間インキュベートした。板をPerkin−Elmer HTS7000蛍光平板読み取り機で読み取り、データをマイクロソフトのエクセルで分析し、結果を表2において作表した。データは、三重に試験した4回の実験の平均を表し、次の方法で定性的に表した:実験の4/4が細胞障害性閾値よりも大きい(+++)、実験の3/4が細胞障害性閾値よりも大きい(++)、実験の2/4が細胞障害性閾値よりも大きい(+)。表2でマークのない細胞は、一貫性がないことを表すか、又は効果が細胞障害性閾値未満であることを表した。7BD−33−11A及び1A245.6抗体は、乳房及び前立腺腫瘍細胞株において選択的に細胞障害性を示すが、非形質転換正常細胞に影響を与えなかった。両方とも、陽性対照の抗Fas抗体よりも25〜50%大きな死滅を示した。11BD−2E11−2は、乳癌及び卵巣癌細胞において特異的に細胞毒性があり、正常細胞に影響を及ぼさなかった。化学細胞毒性剤は、その予測される細胞障害性を誘導したが、比較のために含まれる多数の他の抗体も、生物学的細胞アッセイの制限を考慮すると、予測されたように機能した。全体として、3つの抗体は、多数の癌の細胞型に対して細胞毒性活性を有したことを示した。この抗体は、全ての癌の細胞型に感受性があったわけではないので、その活性は選択的であった。更に、抗体は、非癌細胞型に対して細胞障害性を生じることがなかったので、機能的な特異性を実証し、このことは、治療状況において重要な要因である。
【0097】
【表2】

【0098】
細胞は、最初に細胞単層をDPBS(Ca++及びMg++を有さない)で洗浄することによって、FACSのために調製した。次に細胞解離緩衝剤(INVITROGEN)を使用して、37℃で細胞培養プレートから細胞を取り出した。遠心分離及び収集した後、細胞を、MgCl、CaCl及び25%ウシ胎児血清を4℃で含有するダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(洗浄媒質)に再懸濁し、カウントし、適切な細胞密度にアリコートし、遠心沈殿してペレットにし、7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2又は対照抗体(アイソタイプ対照若しくは抗EGF−R)を含有する染色媒質(MgCl及びCaClを含有するDPBS)に20マイクログラム/mLで30分間、氷上で再懸濁した。Alexa Fluor 488結合二次抗体の添加の前に、細胞を洗浄媒質で1回洗浄した。次に染色媒質中のAlexa Fluor 488結合抗体を、20分間加えた。次に細胞を最終的に洗浄し、1マイクログラム/mLのヨウ化プロピジウムを含有する染色媒質に再懸濁した。細胞のフローサイトメトリー取得を、CellQuestソフトウエア(BD Biosciences)を使用したFACScanに試料をかけて評価した。細胞の前方散乱(FSC)及び側面散乱(SSC)を、FSC及びSSC検出器の電圧及び振幅利得を調整して設定した。3つの蛍光チャンネル(FL1、FL2及びFL3)を、細胞が約1〜5単位の蛍光強度中央値の均一ピークを有するように、精製アイソタイプ対照抗体で染色された実行中の細胞により、続いてAlexa Fluor 488結合二次抗体により調整した。生存細胞を、FSCでのゲーティング及びヨウ化プロピジウム排除により得た。それぞれの試料では、約10,000個の生存細胞を分析のために得て、結果を表3に表した。表3は、上記のアイソタイプ対照に対する蛍光強度増加倍数の平均値を表にし、5未満(−);5〜50(+);50〜100(++);100を越える(+++)として定性的に表し、括弧内は、染色された細胞の率を表す。
【0099】
【表3】

【0100】
7BD−33−11A抗体の代表的なヒストグラムを図1にまとめ、1A245.6抗体を図2にまとめ、11BD−2E11−2を図3にまとめ、幾つかの場合では示されている二項ピークを含む結合特性を証明した。11BD−2E11−2は乳房腫瘍細胞MDA−MB−231に対して特異的な腫瘍結合を示した。7BD−33−11Aと1A245.6は、両方とも乳房(MB−231、MB−468及びMCF−7)、結腸、肺、卵巣及び前立腺由来の癌細胞株に対して類似的結合を示し、乳癌細胞株うちの1つ(MDA−MB−468)に異なる結合を示した。3つの抗体全てにおいて非癌細胞への結合が存在したが、結合は細胞障害性を生じなかった。このことは、結合が、抗体のその同族抗原との連結の結果を必ずしも予測するものではなく、明白な知見ではなかったことの更なる証拠であった。これは、異なる細胞における抗体連結の脈絡が、単に抗体結合ではなく細胞障害性を決定したことを示唆した。
【0101】
実施例3
インビボ実験:
ここで図5及び6で示されているデータを参照して、4〜8週齢の雌SCIDマウスに、百マイクロリットル中の5百万のMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。マウスを無作為に10匹の処置群に4分割した。移植の前日に、20mg/kgの11BD2E−11−2、7BD−33−11A、1A245.6試験抗体又は3BD−27アイソタイプ対照抗体(MDA−MB−231細胞に結合しないことが知られている)を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、300マイクロリットルの容量で腹腔内投与した。次に抗体を、1週間に1度で7週間同じ方法により投与した。
【0102】
腫瘍増殖を、約7日目毎で10週間まで、又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで、カリパスで測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
【0103】
研究の全体を通して毒性の臨床徴候はなかった。1週間の間隔をおいて測定した体重は、健康及び生育失敗の代用であった。アイソタイプ対照、3BD−27と、7BD−33−11A、1A245.6又は11BD−2E11−2で処置された群で体重に最小限の差しかなかった。60日目(処置中止の11日後)に、1A245.6で処置された群の腫瘍容量は、対照群の5.2%であり(p=0.0002)、抗体処置による腫瘍量の低減の有効性を実証した。7BD−33−11A抗体で処置された癌を有するこれらのマウスは、無疾患であり、腫瘍量を有さなかった。腫瘍容量は、67日目では、11BD−2E11−2処置群において低かった(対照の45%)(p=0.08)。このことは、また、対照抗体と比較して、細胞毒性抗体処置により腫瘍量が少なくなることを実証した。7BD−33−11A、1A245.6及び11BD−2E11−2細胞毒性抗体による治療によって、対応する生存利益(図6)も存在した。3BD−27抗体により処置された対照群は、移植後74日目には100%の死亡率に達した。対照的に、7BD−33−11Aで処置された群は、無疾患であり、1A245.6処置動物は、100%の生存率を示し、11BD−2E11−2で処置された群は、24%の生存率を有した。
【0104】
全体として、細胞毒性抗体処置は、ヒト癌疾患の十分に認識されたモデルにおいて、対照抗体と比較して腫瘍量の減少及び生存率の増加をもたらし、ヒトを含む他の哺乳動物における治療のためのこれらの抗体(7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2)の薬理学的及び薬学的利益を示唆した。
【0105】
実施例4
インビボ確立腫瘍の実験:
5〜6週齢の雌SCIDマウスに、百マイクロリットル中の5百万のMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を、頸の首筋の皮下に注入して移植した。腫瘍の増殖をカリパスで毎週測定した。コホートの大部分が移植後34日目に100mm(50〜200mmの範囲)の腫瘍容量に達したとき、8〜10匹のマウスをそれぞれ3つの処置群に無作為に割り当てた。7BD−33−11A、1A245.6試験抗体又は3BD−27アイソタイプ対照抗体(MDA−MB−231細胞に結合しないことが知られている)を、2.7mM KCl、1mM KHPO、137mM NaCl及び20mM NaHPOを含有する稀釈剤で保存濃縮物から稀釈した後、150マイクロリットルの容量で、15mg/kgの抗体を腹腔内投与した。次に抗体を、1週間に3回で合計10用量を同じ方法により移植後56日目まで投与した。腫瘍増殖を、約7日毎で移植後59日目まで又は個々の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)終点に達するまで、カリパスにより測定した。動物の体重をこの研究の間記録した。研究の終了時に、全ての動物をCCAC指針に従って安楽死させた。
【0106】
研究の全体を通して毒性の臨床徴候はなかった。体重は、1週間の間隔をおいて測定したアイソタイプ対照と、7BD−33−11A又は1A245.6抗体で処置された群で体重に有意な差はなかった。図4で見られるように、移植後の59日目(処置中止の2日後)、7BD−33−11Aで処置された群の腫瘍容量は、対照群の29.5%であった(p=0.0003)。この群において、59日目の値を52日目と比較すると、平均腫瘍容量において退縮の傾向もあった(p=0.25)。同様に、1A245.6抗体による処置も、有意に、腫瘍増殖を抑制し、腫瘍量を減少した。この抗体で処置された確立した腫瘍を有する動物は、アイソタイプ処置対照群の56.3%の腫瘍容量を有した(p=0.017)。
【0107】
全体として、7BD−33−11A又は1A245.6抗体による処置は、ヒト癌疾患の十分に認識されたモデルにおいて、対照抗体と比較して確立した腫瘍の腫瘍量を有意に減少し、ヒトを含む他の哺乳動物の治療におけるこれらの抗体の薬理学的及び薬学的利益を示唆した。
【0108】
本明細書で記述されている全ての特許及び出版物は、本発明が関わる当業者のレベルを示している。全ての特許及び出版物は、それぞれ個別の出版物が明確かつ個別に参照として本明細書に組み込まれることを示すかのように、同じ程度で参照として本明細書に組み込まれる。
【0109】
本発明の特定の形態が例示されているが、本明細書に記載され、示されている部分の特定の形態又は配置に限定されないことを理解するべきである。本発明の範囲から逸脱することなく多様な変更を行うことができ、本発明を、明細書に示され、記載されているものに限定することが考慮されないことは、当業者には明白である。
【0110】
当業者は、本発明が目的を実行するために十分に適合されることを容易に理解し、記述される目的と利点、並びにそれらに固有のものを容易に得るであろう。本明細書で記載されているオリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、生物学的に関連する化合物、方法、手順及び技術のいずれも、好ましい実施態様の現在の代表例であり、例示的であることが意図され、範囲を制限するものとして意図されてはいない。本明細書の変更及び他の使用を当業者は考えつき、それは本発明の精神の範囲内に包含され、添付の請求項の範囲によって定義される。本発明は、特定の好ましい実施態様と関連して記載されてきたが、請求される本発明は、そのような特定の実施例に過度に限定されるべきではないことを理解するべきである。事実、本発明を実施するために記載された様式の多様な修正は、当業者には明白であり、請求項の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた1A245.6抗体、両方の抗体のアイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。
【図2】幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた7BD−33−11A抗体、1A245.6抗体のアイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体、抗EGFR抗体のアイソタイプ対照抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。
【図3】幾つかの癌細胞株及び非癌細胞に対して向けられた11BD−2E11−2抗体、両方の抗体のアイソタイプ対照抗体、抗EGFR抗体の代表的なFACSヒストグラムを含む。
【図4】特定の抗体治療に関する経時的な腫瘍容量のグラフ解析である。
【図5】MB213ヒト乳癌腫瘍容量に対する経時的な抗体効果のグラフ解析である。
【図6】抗体治療に関する経時的な生存率を定量化するグラフ解析である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTA−4890でATCCに寄託されているクローンによりコードされる単離モノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力によって特徴決定される、モノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンド。
【請求項2】
ヒト化されている、請求項1記載の抗体又はリガンド。
【請求項3】
キメラ化されている、請求項1記載の抗体又はリガンド。
【請求項4】
ヒト乳房又は前立腺腫瘍から選択される組織試料で癌性細胞の抗体誘発細胞障害活性を開始する方法であって、
請求項1又は2又は3のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンドを提供すること、及び
前記モノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンドと前記組織試料とを接触させること
を含む方法。
【請求項5】
細胞毒性部分、酵素、放射性化合物及び血行性細胞からなる群より選択されるメンバーと結合する、請求項1、2又は3のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又はリガンド。
【請求項6】
ヒト乳房及び前立腺腫瘍が、受入番号PTA−4890でATCCに寄託されているクローンによりコードされる単離モノクローナル抗体又はその細胞障害活性誘発リガンドに特異的に結合する抗原を発現する、哺乳動物において抗体誘発細胞障害活性に感受性のある前記ヒト乳房及び前立腺腫瘍を治療する方法であって、前記哺乳動物に、請求項1又は2又は3のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンドの、細胞障害活性を誘発するのに有効な量を投与し、それによって前記哺乳動物の腫瘍量を低減することを含む方法。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体又はリガンドが細胞毒性部分に結合している、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記細胞毒性部分が放射性同位体である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記モノクローナル抗体又はリガンドが補体を活性化する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記モノクローナル抗体又はリガンドが抗体依存性細胞障害活性を仲介する、請求項6記載の方法。
【請求項11】
PTA−4889でATCCに寄託されているクローンによりコードされる単離モノクローナル抗体のその標的抗原への結合を競合的に阻害する能力によって特徴決定される、モノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンド。
【請求項12】
ヒト化されている、請求項11記載の抗体又はリガンド。
【請求項13】
キメラ化されている、請求項11記載の抗体又はリガンド。
【請求項14】
ヒト乳房又は前立腺腫瘍から選択される組織試料で癌性細胞の抗体誘発細胞障害活性を開始する方法であって、
請求項11又は12又は13のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンドを提供すること、及び
前記モノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンドと前記組織試料とを接触させること
を含む方法。
【請求項15】
細胞毒性部分、酵素、放射性化合物及び血行性細胞からなる群より選択されるメンバーと結合する、請求項11、12又は13のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又はリガンド。
【請求項16】
ヒト乳房及び前立腺腫瘍が、受入番号PTA−4889でATCCに寄託されているクローンによりコードされる単離モノクローナル抗体又はその細胞障害活性誘発リガンドに特異的に結合する抗原を発現する、哺乳動物において抗体誘発細胞障害活性に感受性のある前記ヒト乳房及び前立腺腫瘍を治療する方法であって、前記哺乳動物に、請求項11又は12又は13のいずれか1項記載のモノクローナル抗体又は細胞障害活性誘発リガンドの、細胞障害活性を誘発するのに有効な量を投与し、それによって前記哺乳動物の腫瘍量を低減することを含む方法。
【請求項17】
前記モノクローナル抗体又はリガンドが細胞毒性部分に結合している、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記細胞毒性部分が放射性同位体である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記モノクローナル抗体又はリガンドが補体を活性化する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記モノクローナル抗体又はリガンドが抗体依存性細胞障害活性を仲介する、請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−529009(P2009−529009A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557560(P2008−557560)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000343
【国際公開番号】WO2007/101331
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(504236592)アリアス リサーチ、インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】