説明

乳酸菌又はその抽出成分を含有する口腔内崩壊錠

【課題】乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れ、しかも、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分を含有する口腔内崩壊錠、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】a)有効成分として乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を配合して造粒された造粒物と、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とを混合し、成型することにより、口腔内易崩壊性と錠剤の製剤に必要な錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠を製造する。本発明の乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠は、口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性と、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れ、しかも、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分を含有する口腔内崩壊錠、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌又はその抽出成分は、種々の医薬機能或いは健康機能を有することが知られており、そして、それ自体の安全性の面から、医薬成分或いは健康機能成分として、医薬や食品などへの有効成分としての応用が図られている。例えば、抗アレルギー活性を有する乳酸菌またはその抽出成分を有効成分とする抗アレルギー用組成物が知られている(特開2005−137357号公報)。該特許文献では、乳酸菌又はその抽出成分を摂取するための製剤として、例えば、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤が挙げられている。
【0003】
乳酸菌等の摂取形態として、速崩壊型の錠剤や、フィルムの形態に製剤化して摂取する方法も知られている。例えば、特開2004−26816号公報には、糖又は糖アルコール、崩壊剤、研磨剤、発泡剤、粘結剤及び湿潤剤を含有する錠剤であって、研磨剤、発泡剤、粘結剤及び湿潤剤の合計配合量とそれ以外の成分の分量比を、1:0.5〜1:20の範囲とすることにより口腔内で速やかに分散する速崩壊型の口腔用組成物が開示されている。また、WO2007/111375には、乳酸菌のような有用菌、微結晶セルロース・軽質無水ケイ酸及びデンプン含有糖類を含有し、水分含量が3.2重量%以下である口腔内速崩壊性錠剤が、特開2010−132653号公報には、可食性の水溶性フィルム形成剤と乳酸菌を含有する第一層と、該第一層と積層され、可食性の水溶性フィルム形成剤と香料を含有する第二層からなる口腔内で容易に溶解又は崩壊する乳酸菌含有フィルムが開示されている。
【0004】
薬剤等の剤形として、口腔内崩壊錠は、口腔内で唾液又は少量の水によって溶解又は崩壊することを特徴とする、服用しやすい剤形として知られている。口腔内での溶解又は崩壊に要する時間は、一般的に速いほど望ましく、今までに口腔内で速崩壊性を有するように改良した各種の錠剤等が提案されている。
【0005】
例えば、WO97/47287には、平均粒子径30μm以下のD−マンニトールや乳糖等の糖アルコール又は糖類を主成分とし、活性成分と崩壊剤を含有する混合物を圧縮成形することにより、1分以内に口腔内で崩壊することを特徴とする口腔内速崩壊錠が開示されている。また、WO2005/004923には、活性成分及び全構成成分の70質量%以上が、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体を含有する錠剤とすることにより口腔内で速やかに崩壊する錠剤とすることが、特開2003−34655号公報には、a)活性成分、b−1)糖及び/又は糖アルコール、及びc−1)セルロース類を含有してなる群1と、b−2)糖及び/又は糖アルコール、及びc−2)セルロース類を含有してなる群2とを含有してなり、群1及び/又は群2に、d)溶出補助剤を含有する速崩壊性固形製剤が開示されている。
【0006】
更に、WO03/074085には、水溶性薬理活性成分と吸着剤を含む混合物を造粒して得られる粉粒体に、D−マンニトール及び崩壊剤を含有させることにより、優れた崩壊性と実用的な錠剤硬度を有する口腔内速崩壊性錠剤が開示されている。このように、今までに口腔内で速やかに崩壊する錠剤とするために、口腔内での速崩壊性を付与した錠剤が各種開示されている。しかしながら、口腔内崩壊錠の製造に際しては、その錠剤の成型、流通、取り扱いのために、一定以上の錠剤硬度を付与することが必要となる。例えば、成形した錠剤の携帯中の振動や容器から取り出すときの衝撃で錠剤が破壊されることを防止することが必要となり、そのような観点からは、錠剤硬度は高いほど望ましいこととなる。
【0007】
しかし、錠剤硬度を高めることは、口腔内での速崩壊性を抑制する方向に作用し、必要な錠剤硬度の保持と優れた錠剤の速崩壊性の具備とは相反する条件となるので、錠剤化にあたって、両者を両立させることは難しい課題となる。また、含有する薬剤等の活性物質等によっては、口腔内での溶解又は崩壊に要する時間及び錠剤硬度が、ともに適当になるようにすることが困難な場合があり、現在においても、多くの検討が続けられている。したがって、口腔内投与のための錠剤の成形に際しては、これらの条件を満足し得るような製剤形態の開発が特に望まれているところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−34655号公報
【特許文献2】特開2004−26816号公報
【特許文献3】特開2005−137357号公報
【特許文献4】特開2010−132653号公報
【特許文献5】WO97/47287
【特許文献6】WO03/074085
【特許文献7】WO2005/004923
【特許文献8】WO2007/111375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れ、しかも、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分を含有する口腔内崩壊錠、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく、乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、その摂取に際して、錠剤の口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性と、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度の条件を両立できる製剤形態について鋭意検討する中で、a)有効成分として乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を配合して造粒された造粒物と、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とを混合し、成型することにより、口腔内易崩壊性と錠剤の製剤に必要な錠剤硬度を保持し、両者を両立させた、乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、従来より、口腔内崩壊錠において、その製剤化にあたって、錠剤に糖や、糖アルコールを含有させ、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間を短縮すること、すなわち、口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れた口腔内崩壊錠とすることが行われてきた。しかしながら、糖や、糖アルコールを添加して、錠剤の口腔内での速崩壊性を増すと、錠剤硬度が実用上不足するという問題が生じ、一方で、錠剤硬度を実用上問題が起こらない程度に高めると、錠剤の口腔内での速崩壊性が低下するという問題があった。そこで、本発明においては、乳酸菌又はその抽出成分である有効成分と賦形剤及び/又は湿潤調整剤を配合して造粒した造粒物を調製し、これに糖及び/又は糖アルコールを含有した易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とを混合し、成型することにより、口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性と、錠剤硬度の両方を具備した口腔内崩壊錠を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法により、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れた口腔内崩壊錠を製造することが可能となるとともに、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持することが可能となり、優れた口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠を提供することができる。
【0013】
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において、a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における混合割合は、口腔内崩壊錠の量100質量部に対して5〜60質量部であり、b)の易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末の混合割合は、95〜40質量部である。また、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において、a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における賦形剤及び/又は湿潤調整剤の配合割合は、乳酸菌又はその抽出成分の量1質量部に対して、総量で0.1〜10質量部である。更に、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において、a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における賦形剤として用いられる好ましい態様として、糖、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体及び糖アルコールからなるグループから選ばれる1以上、及び/又は結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルスターチからなるグループから選ばれる1以上を挙げることができる。
【0014】
また、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において、a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における湿潤調整剤として用いられる好ましい態様として、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びメタケイ酸アルミン酸ナトリウムからなるグループから選ばれる1以上を挙げることができる。更に、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において用いられる、b)糖及び/又は糖アルコールの好ましい例としては、乳糖、白糖、及びマルトースから選ばれる1以上の糖、及び/又は、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、及びキシリト−ルから選ばれる1以上の糖アルコールを挙げることができる。
【0015】
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法において製造される乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠は、錠剤硬度計による測定値において、硬度20〜200Nであり、崩壊試験機による測定値において、崩壊時間0.1〜4.5min好ましくは0.4〜1.0minであるように調整されることが好ましい。本発明は、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法によって製造される口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠を包含する。
【0016】
すなわち具体的には本発明は、(1)a)有効成分として乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を配合して造粒された造粒物と、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とを混合し、成型することを特徴とする、口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法や、(2)a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における混合割合が、口腔内崩壊錠の量100質量部に対して5〜60質量部であり、b)の易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末の混合割合が、95〜40質量部であることを特徴とする上記(1)記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法や、(3)a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における賦形剤及び/又は湿潤調整剤の配合割合は、乳酸菌又はその抽出成分の量1質量部に対して、総量で0.1〜10質量部であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法からなる。
【0017】
また、本発明は、(4)a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における賦形剤として、糖、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体及び糖アルコールからなるグループから選ばれる1以上、及び/又は結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルスターチからなるグループから選ばれる1以上を用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法や、(5)a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における湿潤調整剤として、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びメタケイ酸アルミン酸ナトリウムからなるグループから選ばれる1以上を用いることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法や、(6)b)糖及び/又は糖アルコールとして、乳糖、白糖、及びマルトースから選ばれる1以上の糖、及び/又は、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、及びキシリト−ルから選ばれる1以上の糖アルコールを用いることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法からなる。
【0018】
更に、本発明は、(7)乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠が、錠剤硬度計による測定値において、硬度20〜200Nであり、崩壊試験機による測定値において、崩壊時間0.1〜4.5minであるように調整されることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法や、(8)上記(1)〜(7)のいずれか記載の口腔内崩壊錠の製造方法によって製造されたことを特徴とする口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠からなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れ、しかも、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分を含有する口腔内崩壊錠、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、a)有効成分として乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を配合して造粒された造粒物と、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とを混合し、成型することにより、口腔内易崩壊性と錠剤の製剤に必要な錠剤硬度を保持し、両者を両立させた、乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠、及びその製造方法からなる。本発明の口腔内崩壊錠において、乳酸菌又はその抽出成分と、賦形剤及び/又は湿潤調整剤は、混ざり合っており、更に、該a)乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物と、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とが、混ざり合っている。
【0021】
本発明における口腔内崩壊錠の有効成分である乳酸菌としては、ラクトバシラス(ラクトバチルス)属、ビフィドバクテリウム属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、ペディオコッカス属、ロイコノストック(リューコノストック)属等があげられ、具体的には、例えばLC1、LG21(ラクトバチルス・ガセリ・OLL2716株)、LGG(ラクトバチルス GG株)、L・ガセリSP株、Bb12[ビフィズス菌]、L・ロイテリ菌、L92株(ラクトバチルス・アシドフィルス L92株)、KW3110(ラクトバチルス・パラカゼイKW3110株)、NY1301株[カゼイ菌]、ヤクルト菌(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株)、BE80[ビフィズス菌]、BB536(ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536)、LB81等があげられる。また、本発明の口腔内崩壊錠中の乳酸菌は、1種であっても、2種以上であってもよい。
【0022】
本発明における乳酸菌の抽出成分としては、前記の乳酸菌の抽出成分であればよく、その抽出は常法にしたがって行えばよいが、例えば、集菌された乳酸菌体に水又は極性溶媒を加えて攪拌し、必要に応じて濾過又は遠心分離等の操作により不溶物を除き、溶媒を除去して濃縮することにより、乳酸菌有機溶媒抽出物を得ることができる。なお、乳酸菌体は破砕することなくそのまま極性溶媒抽出するほか、破砕した菌体を抽出処理に付したり、破砕しながら抽出処理したりしてもよい。本発明の口腔内崩壊錠中の乳酸菌又はその抽出成分の量は、該口腔内崩壊錠の量100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。
【0023】
本発明の口腔内崩壊錠の製造に用いられる賦形剤としては、例えば、糖、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体および糖アルコールから選ばれる1以上等があげられ、好ましくは、乳糖、白糖、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、マンニトール、マルチトールおよびエリスリトールから選ばれる1つ以上があげられ、さらに好ましくは、結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルスターチから選ばれる1つ以上が挙げられる。
【0024】
本発明の口腔内崩壊錠の製造に用いられる湿潤調整剤としては、特に限定されないが、例えば、難水溶性無機塩(例えばタルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム等)等があげられ、好ましくは、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸ナトリウムから選ばれる1つ以上が挙げられる。
【0025】
本発明の口腔内崩壊錠の製造に用いられる糖としては、特に限定されないが、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖等が挙げられる。単糖類としては、例えばブドウ糖、キシロース、ガラクトース、果糖等があげられる。二糖類としては、例えばトレハロース、乳糖、白糖、マルトース、パラチノース等があげられる。オリゴ糖としては、例えばラフィノース、イヌロオリゴ糖(チコリオリゴ糖)、パラチノースオリゴ糖、環状オリゴ糖(例えば、シクロデキストリン等、好ましくは6、7、又は8個のグルコース単位を含むα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、またはγ−シクロデキストリン等)等があげられる。なお、本発明における糖は、無水物であっても水和物であってもよく、例えば、乳糖は、日本薬局方収載の乳糖水和物、無水乳糖等を包含する。本発明の口腔内崩壊錠の製造に用いられる糖としては、乳糖、白糖、マルトース又はそれらの組合せがあげられ、より好ましくは、乳糖、白糖またはそれらの組合せが挙げられる。
【0026】
本発明の賦形剤におけるデンプンとしては、特に限定されないが、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等またはそれらの組合せがあげられる。又、本発明の賦形剤におけるデンプン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、α化デンプン、部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロデキストリン等またはそれらの組合せが挙げられる。
【0027】
本発明の賦形剤におけるセルロースとしては、特に限定されないが、例えば、結晶セルロース、粉末セルロース等またはそれらの組合せがあげられる。本発明の賦形剤におけるセルロース誘導体としては、特に限定されないが、例えば、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム等またはそれらの組合せが挙げられる。
【0028】
本発明の口腔内崩壊錠の製造に用いられる糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えばマンニトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等があげられ、好ましくは、マンニトール、マルチトール、エリスリトールが挙げられる。
【0029】
本発明の口腔内崩壊錠の製造における、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末は、WO97/47287号パンフレット、WO2005/004923号パンフレット、特開2003−034655号公報、WO2003/074085号パンフレット等の、公知の口腔内崩壊錠用の粉末のうち、糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有していなければ、いかなる口腔内崩壊錠用の粉末を用いても構わないが、好ましくは、平均粒子径30μm以下の糖アルコール又は糖類、及び崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠用の粉末(WO97/47287号パンフレット参照)、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体を含有する口腔内崩壊錠用の粉末(WO2005/004923号パンフレット参照)等が挙げられる。
【0030】
本発明の口腔内崩壊錠の製造におけるa)乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物に含有される賦形剤及び/又は湿潤調整剤の総量は、該造粒物中に含有される乳酸菌又はその抽出成分の量1質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜2質量部であることがより好ましく、0.75〜1.5質量部であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の口腔内崩壊錠の製造におけるa)乳酸菌またはその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物の量は、該口腔内崩壊錠の量100質量部に対して、5〜60質量部であることが好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。
【0032】
本発明の口腔内崩壊錠の製造における、a)乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物には、賦形剤及び湿潤調整剤以外の添加剤が含有されていてもよく、例えば、結合剤(例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン等)、崩壊剤(例えばクロスポビドン、ベントナイト等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等)、甘味剤(例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等)、酸味料(例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等)、抗酸化剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸、塩酸システイン、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル等)、着色剤(例えば、カラメル、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、カロチノイド色素、トマト色素等)、香料(例えば、レモンフレーバー、レモンライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、アップルフレーバー等)等が含有されていてもよく、これらを単独でまたは2種以上用いてもよい。
【0033】
本発明の口腔内崩壊錠の製造における、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末には、糖及び糖アルコール以外の添加剤が含有していてもよく、例えば、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体、難水溶性無機塩(例えばタルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム等)、結合剤(例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン等)、崩壊剤(例えばクロスポビドン、ベントナイト等)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等)、甘味剤(例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等)、酸味料(例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等)、抗酸化剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸、塩酸システイン、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル等)、着色剤(例えば、カラメル、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、カロチノイド色素、トマト色素等)、香料(例えば、レモンフレーバー、レモンライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、アップルフレーバー等)等が含有されていてもよく、これらを単独でまたは2種以上用いてもよい。なお、セルロース(例えば結晶セルロース、粉末セルロース等)、セルロース誘導体(例えばクロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム等)、デンプン(例えばトウモロコシデンプン、α化デンプン、部分α化デンプン等)、デンプン誘導体(ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム等)を、崩壊剤として含有していても構わない。
【0034】
本発明の口腔内崩壊錠の製造における、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌またはその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末に含有できる崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドンが好ましく、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンがより好ましい。
【0035】
本発明の口腔内崩壊錠の製造における、a)乳酸菌またはその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物は、例えば、乳酸菌又はその抽出成分、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有する混合物を造粒することで得られ、造粒に用いる水又は結合剤液に、賦形剤及び/又は湿潤調整剤の一部又は全部を、溶解または懸濁して加えて造粒していてもよい。
【0036】
本発明の口腔内崩壊錠の製造における、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末は、糖及び/又は糖アルコール及び前記の口腔内崩壊錠用の粉末に含有できる添加剤を混合しただけの混合物であってもよいが、造粒された粉末であることが好ましい。本発明の口腔内崩壊錠の製造における、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末が、造粒された粉末である場合には、例えば、糖及び/又は糖アルコール及び前記の口腔内崩壊錠用の粉末に含有できる添加剤を造粒することで得られ、造粒に用いる水又は結合剤液に、c)糖及び/又は糖アルコール及び前記の口腔内崩壊錠用の必要な添加剤の一部又は全部を、溶解または懸濁して加えて造粒していてもよい。
【0037】
本発明において、造粒の方法としては、例えば湿式造粒法、乾式造粒法等が挙げられる。湿式造粒法としては、例えば、押し出し造粒法(スクリュー押し出し造粒装置、ロール押し出し式造粒装置等による)、転動造粒法(回転ドラム型造粒装置、遠心転動型造粒装置等による)、流動層造粒法(流動層造粒装置、転動流動層造粒装置等による)、撹拌造粒法(撹拌造粒装置等による)等が挙げられ、好ましくは、撹拌造粒法が挙げられる。湿式造粒法においては、湿潤液として、例えば、水、結合剤液等を用いることが好ましい。なお、本発明において結合剤液とは、結合剤を水又は薬学的に許容される溶媒に懸濁または溶解した液であり、結合剤液中の結合剤の濃度は、結合剤液の総質量100質量部に対して、一般に0.1〜50質量部であるのが好ましく、0.5〜20質量部であるのがより好ましい。
【0038】
本発明の口腔内崩壊錠は、本発明におけるa)乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物を、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末と混合し、所望により、本発明における口腔内崩壊錠用の粉末に含有できる添加剤を更に混合し、打錠機で圧縮成形することにより錠剤を製造する方法で製造することができる。該錠剤は、本発明におけるa)乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物や、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない口腔内崩壊錠用の粉末に、フィルムコーテングを施した後、同様に錠剤を製造する方法で製造されても構わないが、フィルムコーテングを備えないか、フィルムコーテングを備えた場合であっても、水なしで嚥下することが可能なほど充分に崩壊若しくは溶解が速いフィルムコーテングを施したものであることが好ましい。
【0039】
本発明において打錠機は、特に限定されず、例えばロータリー打錠機、油圧プレス機等の打錠機を用いることができる。また、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸またはその金属塩、ショ糖脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂等の滑沢剤を、杵臼にあらかじめ極微量塗布された杵臼を有する打錠機を用いてもよく、いわゆる外部滑沢圧縮成形方法を用いて錠剤を製造してもよい。
【0040】
本発明において錠剤の形状は、具体的には、例えば丸錠、三角錠、砲丸錠等が好ましい。本発明の錠剤の大きさは、特に制限されないが、例えば質量で0.1〜2g、直径で0.3〜2.0cmであるのが好ましい。
【0041】
本発明において錠剤は、例えばかけ、くずれ等が生じない硬度を有しているのが好ましい。錠剤の硬度は、一般的に錠剤硬度計で錠剤の直径方向の破壊強度として測定されるが、その値は20〜200Nであるのが好ましく、30〜150Nであるのがより好ましく、40〜100Nであるのが特に好ましい。錠剤の硬度は、市販の錠剤破壊強度測定機、例えば、富山産業製TH−203CP型、池田理化製NT−40HS型等により測定できる。
【0042】
以下に、試験例及び実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら試験例及び実施例に限定されるものではない。実施例1〜10および比較例1〜2において用いた乳酸菌の抽出成分は、Lactobacillus paracasei KW3110乳酸菌(特開2005−137357号公報参照)を培養し、集菌された乳酸菌体に水又は極性溶媒を加えて攪拌し、必要に応じて濾過又は遠心分離等の操作により不溶物を除き、溶媒を除去して濃縮することにより調製した乳酸菌の抽出成分(以下KW乳酸菌抽出成分という)である。
【実施例】
【0043】
[比較例1]
D−マンニトール(PEARLITOL 25C、ロケット社製、以下同じ)19kg、クロスポビドン(ISP社製)1kgを撹拌造粒機VG−100(パウレック社製)に投入し、5分間混合した。その後、精製水4kgを加え10分間造粒した。得られた造粒物を整粒機Comil U−20(QUADRO社製)で湿式整粒し、流動層造粒乾燥機GPCG−60(パウレック社製)にて乾燥した。得られた造粒物を、整粒機Comil 194S(QUADRO社製)を用いΦ1.0mmのスクリーンを用いて整粒し、口腔内崩壊錠用の粉末を得た。
【0044】
KW乳酸菌抽出成分2.0gと得られた口腔内崩壊錠用の粉末9.9gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム(マリンクロット社製、以下同じ)0.1gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機(市橋精機製、以下同じ)を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧12kNにて打錠した。
【0045】
[比較例2]
KW乳酸菌抽出成分2.0gとβ−シクロデキストリン(セルデックスB、日本食品化工社製、以下同じ)9.52gを混合し、その後ショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル、三菱化学フーズ社製)0.48gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧4kNにて打錠した。
【0046】
[実施例1]
KW乳酸菌抽出成分5.0gと軽質無水ケイ酸(アドソリダー101、フロイント社製)5.0gを小型撹拌造粒機(協立機工製、以下同じ)に投入し、5分間混合した。その後、精製水15.0gを加え10分間造粒した。得られた造粒物をコンパクト機密恒温槽(アサヒ理化製作所製、以下同じ)にて80℃で60分間乾燥し、20号篩にて篩下し、乳酸菌の抽出成分を含有し、湿潤調整剤を含有してなる造粒物を得た。得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、湿潤調整剤を含有してなる造粒物3.0gと比較例1で得られた口腔内崩壊錠用の粉末5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧12kNにて打錠した。
【0047】
[実施例2]
KW乳酸菌抽出成分5.0gとD−マンニトール5.0gを小型撹拌造粒機に投入し、5分間混合した。その後、精製水2.0gを加え10分間造粒した。得られた造粒物をコンパクト機密恒温槽にて80℃で60分間乾燥し、20号篩にて篩下し、乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物を得た。得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物3.0gと比較例1で得られた口腔内崩壊錠用の粉末5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧12kNにて打錠した。
【0048】
[実施例3]
KW乳酸菌抽出成分5.0gと低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC LH−32、信越化学工業社製)5.0gを小型撹拌造粒機に投入し、5分間混合した。その後、精製水2.0gを加え10分間造粒した。得られた造粒物をコンパクト機密恒温槽にて80℃で60分間乾燥し、乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物を得た。
得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物3.0gと比較例1で得られた口腔内崩壊錠用の粉末5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧12kNにて打錠した。
【0049】
[実施例4]
KW乳酸菌抽出成分5.0gと部分α化デンプン(Starch 1500、カラコン社製)5.0gを小型撹拌造粒機に投入し、5分間混合した。その後、精製水2.5gを加え10分間造粒した。得られた造粒物をコンパクト機密恒温槽にて80℃で60分間乾燥し、20号篩にて篩下し、乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物を得た。得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物3.0gと比較例1で得られた口腔内崩壊錠用の粉末5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧12kNにて打錠した。
【0050】
[実施例5]
KW乳酸菌抽出成分5.0gと結晶セルロース(セオラスKG−1000、旭化成社製)5.0gを小型撹拌造粒機に投入し、5分間混合した。その後、精製水2.5gを加え10分間造粒した。得られた造粒物をコンパクト機密恒温槽にて80℃で60分間乾燥し、20号篩にて篩下し、乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物を得た。得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物3.0gと比較例1で得られた口腔内崩壊錠用の粉末5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧12kNにて打錠した。
【0051】
[実施例6]
実施例5で得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物3.0gとβ−シクロデキストリン5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧4kNにて打錠した。
【0052】
[実施例7]
KW乳酸菌抽出成分5.0gと結晶セルロース(セオラスPH−301、旭化成社製)5.0gを小型撹拌造粒機に投入し、5分間混合した。その後、精製水2.0gを加え10分間造粒した。得られた造粒物をコンパクト機密恒温槽にて80℃で60分間乾燥し、20号篩にて篩下し、乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物を得た。得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物3.0gとβ−シクロデキストリン5.91gを混合し、その後ステアリン酸マグネシウム0.09gを加え更に混合した。得られた混合物を、簡易錠剤成型機を用いて、Φ10mmの隅角平錠用臼杵で、錠剤質量300mg、打錠圧4kNにて打錠した。
【0053】
実施例1〜5および比較例1で得られた錠剤の組成を表1(組成)に示す。また、実施例6〜7および比較例2で得られた錠剤の組成を表2(組成)に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
(評価法)
錠剤硬度:錠剤硬度計PB−301(ジャパンマシナリー製)を用いて2回測定し平均した。
崩壊試験1:錠剤を舌下に静置し、ストップウォッチにて、完全に崩壊するまでの時間を計測した。
崩壊試験2:崩壊試験機NT−40HS(池田理化製)を用いて、2錠を、第十五改正日本薬局方の崩壊試験法に従い崩壊時間を測定し平均した。
【0057】
実施例1〜5および比較例1で得られた錠剤の硬度および崩壊時間の測定結果を表3(錠剤硬度、崩壊時間)に示す。また、実施例6〜7および比較例2で得られた錠剤の硬度及び崩壊時間の測定結果を表4(錠剤硬度、崩壊時間)に示す。
【0058】
表3および4から明らかなように、実施例1〜6で得られた錠剤は、口腔内での崩壊に要する時間および錠剤硬度がともに優れていたのに対し、比較例1〜2で得られた錠剤は、口腔内での崩壊に要する時間が劣っていた。よって、本発明の口腔内崩壊錠は、口腔内での崩壊に要する時間および錠剤硬度がともに優れた口腔内崩壊錠であることが明らかとなった。
また、a)乳酸菌またはその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物に、賦形剤としてマンニトールおよび結晶セルロースをそれぞれ含有する、実施例2および5で得られた錠剤は、錠剤硬度がより好ましくなっていた。よって、本発明の口腔内崩壊錠は、a)乳酸菌またはその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物に、賦形剤として、マンニトール、マルチトールおよびエリスリトールから選ばれる1以上、または結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルスターチから選ばれる1以上が含まれることで、より優れた口腔内崩壊錠となることが明らかとなった。
【0059】
更に、a)乳酸菌またはその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物に、湿潤調整剤として軽質無水ケイ酸を含有する、実施例1で得られた錠剤は、錠剤硬度がさらに好ましくなっていた。よって、本発明の口腔内崩壊錠は、a)乳酸菌またはその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を含有してなる造粒物に、湿潤調整剤として、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素およびメタケイ酸アルミン酸ナトリウムから選ばれる1以上が含まれることで、さらに優れた口腔内崩壊錠となることが明らかとなった。
【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
[実施例8]
KW乳酸菌抽出成分1500gと結晶セルロース(セオラスFD−101、旭化成社製)1500gを撹拌造粒機FM−VG−50((株)パウレック社製)に投入し混合した。その後、精製水を加え造粒した。得られた造粒物を乾燥し、24号篩にて篩下し、乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物を得た。環状オリゴ糖(セルデックスB−100、日本食品化工社製)4830g、カラメル(天野実業社製)21gおよびクエン酸(協和ハイフーズ社製)164.5gを流動層造粒機FLO−5(フロイント社製)に投入し、5%プルラン(林原社製)水溶液980gをスプレーして造粒・乾燥した。得られた造粒物を乾燥し、16号篩にて篩下し、口腔内崩壊錠用の粉末を得た。
【0063】
得られた乳酸菌の抽出成分を含有し、賦形剤を含有してなる造粒物1700gと得られた口腔内崩壊錠用の粉末4929.8g、ステアリン酸カルシウム(太平化学産業社製)102g、甘味料(サンスイートSA8020、三栄源エフ・エフ・アイ社製)10.2g及び香料(X−00843、曽田香料社製)68gを混合した。得られた混合物を、打錠機HT−AP 15SS−U畑鐵工所社製)を用いて、Φ11mmの普通R錠用臼杵で、錠剤質量400mg、打錠圧500〜600kgfにて打錠した。錠剤の組成を表5に示す。得られた錠剤の錠剤硬度は、30〜50Nで、舌下での崩壊時間は3分程度であった。
【0064】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、乳酸菌又はその抽出成分を有効成分として含有する口腔内崩壊錠において、その摂取に際して、口腔内での崩壊に要する時間が極小である、すなわち口腔内で速崩壊する口腔内易崩壊性に優れ、しかも、錠剤の成型、流通、取り扱いにおいて、その剤形を保持するために必要な錠剤硬度を保持した、乳酸菌又はその抽出成分を含有する口腔内崩壊錠を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有効成分として乳酸菌又はその抽出成分を含有し、賦形剤及び/又は湿潤調整剤を配合して造粒された造粒物と、b)糖及び/又は糖アルコールを含有し、乳酸菌又はその抽出成分を含有しない易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末とを混合し、成型することを特徴とする、口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項2】
a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における混合割合が、口腔内崩壊錠の量100質量部に対して5〜60質量部であり、b)の易崩壊性の口腔内崩壊錠用の粉末の混合割合が、95〜40質量部であることを特徴とする請求項1記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項3】
a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における賦形剤及び/又は湿潤調整剤の配合割合は、乳酸菌又はその抽出成分の量1質量部に対して、総量で0.1〜10質量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項4】
a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における賦形剤として、糖、デンプン、デンプン誘導体、セルロース、セルロース誘導体及び糖アルコールからなるグループから選ばれる1以上、及び/又は結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びヒドロキシプロピルスターチからなるグループから選ばれる1以上を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項5】
a)の造粒物の口腔内崩壊錠調製における湿潤調整剤として、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びメタケイ酸アルミン酸ナトリウムからなるグループから選ばれる1以上を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項6】
b)糖及び/又は糖アルコールとして、乳糖、白糖、及びマルトースから選ばれる1以上の糖、及び/又は、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、及びキシリト−ルから選ばれる1以上の糖アルコールを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項7】
乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠が、錠剤硬度計による測定値において、硬度20〜200Nであり、崩壊試験機による測定値において、崩壊時間0.1〜4.5minであるように調整されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の口腔内崩壊錠の製造方法によって製造されたことを特徴とする口腔内易崩壊性と錠剤硬度を保持した乳酸菌又はその抽出成分含有口腔内崩壊錠。


【公開番号】特開2012−41293(P2012−41293A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183412(P2010−183412)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】