説明

乳酸菌由来多糖類の製造方法

【課題】
培地中に高濃度にケフィランを蓄積させることができる培養方法(ケフィランを効率よく産生させることができる)を提供すること。
【解決手段】
乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法において、培養開始時における培地中の炭素源が10〜50質量%消費された時点で、培養温度を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することを特徴とするする方法。本発明によれば、培養液中に高濃度の多糖類を蓄積することができることから、より効率良く多糖類を生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多糖類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌は菌の体外に多糖類を生産することが知られており、菌の種類によって多種多様な多糖類を生産する。このような多糖類は、その物理化学的性質や生理機能により、食品や化粧品、医療用途等幅広い用途で用いられることから、その発酵生産方法について盛んに研究がなされている。
【0003】
そのなかでも、ロシアのコーカサス地方原産の発酵乳ケフィールに含まれるケフィランは、美白、美肌、保湿等の美容効果やコレステロール低下、抗腫瘍、免疫賦活等の成人病予防の効果が期待できることから注目されている。ケフィランは乳酸菌による発酵生産により生産され、培地組成を変更した培養方法について検討が行われている(特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかしながら、これらの培地組成の変更のみでは、培地中に高濃度にケフィランを蓄積させることができない。すなわち、ケフィランを効率よく産生させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−257197号公報
【特許文献2】特開平3−292894号公報
【特許文献3】特開2002−330798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の主な目的は、培地中に高濃度にケフィランを蓄積させることができる培養方法(ケフィランを効率よく産生させることができる方法)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、乳酸菌を培養する温度を変化させることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法において、培養開始時における培地中の炭素源が10〜50質量%消費された時点で、培養温度を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することを特徴とするする方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、培養液中に高濃度の多糖類を蓄積することができることから、効率良く多糖類を生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)乳酸菌由来の多糖類
乳酸菌の生産する乳酸菌由来の多糖類には、単一の糖からなるホモ多糖と、複数の単糖や単糖誘導体からなるヘテロ多糖がある。
【0011】
ホモ多糖には、グルコースからなるデキストラン、βグルカン、ムタン、アルテルナン等;フルクトースからなるレバン、イヌリン等;ガラクトースからなるガラクタン等が知られている。
【0012】
ヘテロ多糖は、単糖のグルコース、ガラクトース、ラムノース、フコース、糖誘導体であるN−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルクロン酸等の少なくとも2種類以上で構成されるユニットが連なったものである。代表的なヘテロ多糖としては、N−アセチルグルコサミンとグルクロン酸からなるヒアルロン酸、グルコースとガラクトースからなるケフィラン等が挙げられる。本明細書では、これらの多糖類のうち、代表してケフィランについて述べる。
【0013】
(2)ケフィラン生産能を有する微生物
ケフィラン生産能を有する微生物としては、Lactobacillus属に属する微生物、Lactococcus属に属する微生物、Leuconostoc属に属する微生物、Pediococcus属に属する微生物及びStreptococcus属に属する微生物等が挙げられる。これらの中でも、Lactobacillus属に属する微生物が好ましい。ケフィラン産生能が高いからである。また、これら以外の微生物でも、遺伝子工学的手法を用いてケフィラン生産能を得た微生物も使用することができる。
【0014】
Lactobacillus属に属する微生物としては、Lactobacillus kefiranofaciensが好ましく、特にLactobacillus kefiranofaciens JCM6985が好ましい。このJMC株については独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター(RIKEN BRC)微生物材料開発室より入手することが可能である。
【0015】
(3)培養方法
本発明では、乳酸菌の培養過程において、培養途中で培養温度を下げることにより、ケフィランを効率よく得ることができる。培養途中で培養温度を変化させるのは、まずは、できるだけ多くの乳酸菌を生育させ、ケフィラン生産酵素の産生を刺激し、当該生産酵素の至適温度に調整することにより効率よいケフィラン生産が可能になるためである。
【0016】
より詳細には、乳酸菌の培養を開始して、培養開始時における培地中の炭素源が10〜50質量%(すなわち、培地中の炭素源の残量が50〜90質量%)、好ましくは13〜45質量%、より好ましくは15〜40質量%消費された時点で、培養温度を下げる。炭素源が10質量%以上消費された時点で培養温度を下げるのは、十分な量の乳酸菌が生育するからである。炭素減が50質量%消費された時点までに培養温度を下げるのは、乳酸菌におけるケフィラン生産に関与する酵素が十分に発現するための栄養源が必要だからである。便宜的に、本明細書において、培養温度を下げる前の期間を「培養前期」、培養温度を下げた後を「培養後期」とする。
【0017】
培養前期の培養温度は29〜32℃、好ましくは29.3〜31.5℃、より好ましくは29.5〜31℃とすればよい。培養前期の培養温度をこの範囲に設定するのは、乳酸菌の生育が促進され、ケフィラン生産に関与する酵素が十分に発現するからである。
【0018】
培養後期の培養温度は培養前期よりも低くする。例えば1〜4℃、好ましくは1.3〜3.5℃、より好ましくは1.5〜3℃低くすればよい。培養後期に温度を下げるのはケフィラン生産に関与する酵素の多糖合成能を促進することができるからである。
【0019】
その他の培養条件は、ケフィランが生産できれば限定されるものではないが、ケフィラン産生菌が嫌気性細菌であるので、無通気状態で静置又は弱攪拌して培養することが好ましい。培地中の成分やpHを均一に保つためにも、弱撹拌(培地が泡立たない程度の撹拌)で培養を行うのがより好ましい。また、大気雰囲気下で培養することもできるが、培地中の溶存酸素を低下させるために培養槽内の気相部および培養液中を窒素等の不活性ガスによって置換しておくことがより好ましい。圧力についても限定されず、大気圧雰囲気下で培養すればよい。
【0020】
培養中の培地のpHは4〜8、好ましくは4.3〜7、より好ましくは4.5〜6に制御すればよい。上記pHの範囲で培養することにより十分にケフィランが産生されるからである。培養時間も限定されず、微生物の生育、培養液の量、所望のケフィランの量に応じて適宜選択することができる。
【0021】
なお、培養(本培養)の前に、前培養を行うことが好ましい。前培養とは、本培養に接種するためのシード(種)を調製するための培養である。前培養を適切に行うことにより、本培養のシードとして必要な菌体量を確保することができる。前培養に用いる培地は、本培養において微生物が十分に生育しケフィランが十分得られれば限定されない。例えば、本培養の初発培地と同様の炭素源、窒素源等、無機塩類を含有することができ、必要に応じてその他の成分を添加することもできる。前培養時の培養温度やpH、圧力、培養時間についても、本培養における微生物の生育を妨げる条件でなければよい。
【0022】
例えば、前培養の条件としては、グルコース、フルクトース等の炭素源、ポリペプトン、酵母エキス、麦芽エキス等の窒素源、ビタミン、無機塩類を含む培地中で培養すればよい。pHは4〜8に調整し、温度は20〜37℃に制御して嫌気的に培養することが好ましい。培養時間も特には限定されず、例えば48〜96時間とすればよい。
【0023】
(4)培地(本培養)
本発明で使用する培地は、乳酸菌がケフィランを生産できれば限定されず、炭素源、窒素源、不飽和脂肪酸もしくはそのエステル、無機塩類、その他の成分を含んでいればよい。
【0024】
(4−1)炭素源
炭素源としては、グルコース、フルクトース等の単糖類;ラクトース、スクロース、マルトース等の二糖類;オリゴ糖類、セルロース、アミロース、キチン、アガロース等の多糖類;酢酸、プロピオン酸等の有機酸;エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。これらの中でもグルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース等が好ましく、グルコース、ラクトース、マルトースがより好ましい。
【0025】
培地中における炭素源の濃度は特に限定されない。例えば、0.5〜20(w/v)%、好ましくは2〜15(w/v)%、より好ましくは5〜13(w/v)%とすることができる。0.5(w/v)%以上用いるのはケフィラン産生能が上昇するからであり、20(w/v)%以下とするのはそれ以上添加しても飛躍的な効果の上昇が認められないからである。
【0026】
(4−2)窒素源
(i)ペプトン
ペプトンとは、タンパク質を加水分解、酵素分解又は発酵することによって得られる、アミノ酸が複数結合した物質をいう。由来によって様々なペプトンが存在し、例えば、肉エキス、カゼインペプトン、魚肉ペプトン、大豆ペプトン、エンドウ豆ペプトン、小麦ペプトン、大麦ペプトン、綿実ペプトン等が挙げられる。本発明では、これらの中でもカゼインペプトン、大豆ペプトンを用いることが好ましい。これらのペプトンを使用することにより、乳酸菌がケフィランを効率よく産生するからである。
【0027】
ペプトンの培地中における濃度は特に限定されない。0.5〜10(w/v)%、好ましくは0.8〜8(w/v)%、より好ましくは1〜5(w/v)%の範囲とすればよい。0.5(w/v)%以上用いるのはケフィラン産生能が上昇するからであり、10(w/v)%以下とするのはそれ以上添加しても飛躍的な効果の上昇が認められないからである。
【0028】
(ii)酵母エキス
酵母エキスとは、酵母の有効成分を自己消化、酵素処理、熱水処理等で抽出したものをいう。例えば、パン酵母、ビール酵母、トルラ酵母由来のものが挙げられ、本発明ではいずれの酵母を用いてもよい。これらの中でも、パン酵母を使用することにより、乳酸菌がケフィランを効率よく産生するので好ましい。
【0029】
酵母エキスの培地中における濃度は特に限定されない。0.2〜10(w/v)%、好ましくは0.5〜8(w/v)%、より好ましくは0.8〜4(w/v)%の範囲とすればよい。0.2(w/v)%以上用いるのはケフィラン産生能が上昇するからであり、10(w/v)%以下とするのはそれ以上添加しても飛躍的な効果の上昇が認められないからである。
【0030】
(4−3)不飽和脂肪酸又はそのエステル
本発明で使用する不飽和脂肪酸又はそのエステルとは、1つ以上の不飽和炭素結合を有する脂肪酸又はそのエステル化合物を意味する。本発明においては、乳酸菌が効率よくケフィランを産生することができれば、炭素数や不飽和度の数は限定されない。
【0031】
より詳細には、例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸等のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;リノレン酸、ミード酸等のトリ不飽和脂肪酸;アラキドン酸等のテトラ不飽和脂肪酸、又はこれら不飽和脂肪酸のエステルが挙げられられる。これらの中でもオレイン酸、エライジン酸、オレイン酸エステルが好ましく、オレイン酸及びオレイン酸エステルであるポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)がより好ましい。これらを使用することにより、乳酸菌が効率よくケフィランを産生することができるからである。
【0032】
不飽和脂肪酸又はそのエステルの培地中への添加量は0.7〜8mMとすればよく、好ましくは1〜6mM、より好ましくは1.5〜4mMの範囲とすればよい。0.7mM以上とすることによりケフィランを効率よく生産することができる。また、8mM以下とするのは、それ以上使用しても更なるケフィランの生産効率の向上が認められないからである。
【0033】
(4−4)無機塩類
培地に添加される無機塩類の種類は、微生物が十分にケフィランを産生することができれば、特には限定されない。例えば、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、鉄、亜鉛、銅等の、酢酸、リン酸、硫酸、炭酸、塩化物等の塩が挙げられる。これらの中でも、塩化カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛、硫酸銅からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0034】
これら無機塩類の添加量は限定されず、当業者が適宜選択することができる。例えば、複数の無機塩類を使用する場合、その合計量として、0.1〜1.6(w/v)%、好ましくは0.3〜1.3(w/v)%、より好ましくは0.5〜1(w/v)%とすればよい。0.1(w/v)%以上用いるのはケフィラン産生能が上昇するからであり、1(w/v)%以下とするのはそれ以上添加しても飛躍的な効果の上昇が認められないからである。
【0035】
(4−5)その他
その他、ビタミンや、培養中の培地の発泡を防ぐための消泡剤等を添加してもよい。さらに、ベクター及び目的遺伝子の脱落を防ぐために選択圧をかけた状態で培養してもよい。すなわち、選択マーカーが薬剤耐性遺伝子である場合には、相当する薬剤を培地に添加してもよい。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を含む遺伝子組換え微生物を培養する場合には、培地にアンピシリンを添加してもよい。これらの添加量も限定されず、当業者が適宜選択することができる。
【0036】
培地は、加熱処理(加熱殺菌)を行った後に、微生物の培養に用いることができる。滅菌(殺菌)の条件は、微生物が完全に殺菌されれば限定されない。例えば、100〜130℃で5〜30分間、より好ましくは121〜125℃で15〜30分間という条件を挙げることができる。また、培地に使用する成分により、培地の一部又は全部の成分を、ろ過滅菌等による非加熱滅菌を行って使用することもできる。
【0037】
(5)ケフィラン
本発明で得られたケフィランは、そのまま保存することもできるし、公知の方法で精製することもできる。当該ケフィランは、増粘や感触の効果から食品用途;美白、保湿等の効果から化粧品用途;コレステロール低下、抗腫瘍、免疫賦活等の効果から健康食品用途に使用することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0039】
<実施例1>
ラクトース・1水和物10(w/v)%、トリプトン2(w/v)%(Difco)、酵母エキス1(w/v)%(オリエンタル酵母)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)0.1(w/v)%;0.76mmol/L(和光純薬)、リン酸水素2カリウム0.2(w/v)%、酢酸ナトリウム0.5(w/v)%、硫酸マンガン・5水和物0.028(w/v)%、硫酸マグネシウム・7水和物0.058(w/v)%、塩化カルシウム・2水和物0.074(w/v)%、アデカプルロニックL−61 0.02(w/v)%(旭電化工業)の組成からなる培地を3Lのジャーファメンターに2.0L添加した後、当該培地を121℃、20分加熱殺菌した。
【0040】
前培養として、Lactobacillus kefiranofaciens JCM6985をLactobacilli MRS Broth 5.5(w/v)%(Difco)からなる前培養培地200mlを含む300ml三角フラスコに植菌し、30℃、72時間静置培養した。
【0041】
得られた前培養液を上記滅菌済み培養液中に1質量%接種し、12質量%水酸化ナトリウム水溶液にて培養液のpHを5.0に制御しながら無通気条件で微攪拌しながら30℃で48時間培養した(培養前期)。このとき、培地中の炭素源の消費割合は34.1質量%であった。その後、培養温度を27℃に変化させ、培養開始から88時間まで培養を行った(培養後期)。
【0042】
培養液中のラクトース含量はF−キット(ロシュ・ダイアグノスティクス社)で測定した。ケフィラン含量は、アンスロン硫酸法にて測定した。ケフィランの蓄積量は4.90g/Lであった。結果は表1に示す。
【0043】
※ アンスロン硫酸法
培養液を0.2M NaCl水溶液で20倍に希釈し、その0.7mlにエタノールを等量加えて混合することによりケフィランを析出させた。遠心分離し、上清を取り除き沈殿を得た。上記操作を再度繰り返して得た沈殿に蒸留水を0.7ml加えて溶解し、ケフィラン含有液を作成した。
【0044】
アンスロン液(アンスロン 0.2gをHSO 75mlと蒸留水 25mlの混合液で溶解したもの)5mlを試験管に取り、上記のケフィラン含有液0.5mlを加えて100℃で10分湯浴した。室温まで水冷した後に、620nmの波長における吸光度を測定してケフィラン含有液中の還元糖量を測定し、ケフィラン量を算出した。
【0045】
<実施例2>
実施例1で、培養前期の培養時間を36時間(培地中の炭素源の消費割合は16.7質量%であった。)とした以外は実施例1と同様にに実験を行った(培養時間の合計は88時間)。ケフィランの蓄積量は4.59g/Lであった。結果は表1に示す。
【0046】
<比較例1>
実施例1で、培養前期の培養時間を24時間(培地中の炭素源の消費割合は2.8質量%であった。)とした以外は実施例1と同様に実験を行った(培養時間の合計は88時間)。結果は表1に示す。
【0047】
<比較例2>
実施例1で、培養前期の培養温度を36℃(培地中の炭素源の消費割合は70.0質量%であった。)とした以外は実施例1と同様に実験を行った(培養時間の合計は88時間)。結果は表1に示す。
【0048】
<比較例3>
培養温度を変更せず、30℃一定で培養した以外は実施例1と同様に実験を行った(培養時間の合計は88時間)。結果は表1に示す。
【0049】
<比較例4>
培養温度を変更せず、24℃一定で培養した以外は実施例1と同様に実験を行った(培養時間の合計は88時間)。結果は表1に示す。
【0050】
<比較例5>
培養温度を変更せず、40℃一定で培養した以外は実施例1と同様に実験を行った(培養時間の合計は88時間)。結果は表1に示す。
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌を培養することにより多糖類を生産する方法において、
培養開始時における培地中の炭素源が10〜50質量%消費された時点で、培養温度を下げた後、さらに当該乳酸菌を培養することを特徴とするする方法。
【請求項2】
培養温度を1〜4℃下げる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
培養開始時の培養温度が32〜29℃である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
乳酸菌がケフィラン酸生産能を有する微生物である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ケフィラン酸生産能を有する微生物が、Lactobacillus属に属する微生物、Lactococcus属に属する微生物、Leuconostoc属に属する微生物、Pediococcus属に属する微生物及びStreptococcus属に属する微生物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ケフィラン酸生産能を有する微生物が、Lactobacillus kefiranofaciensである請求項5記載の方法。
【請求項7】
Lactobacillus kefiranofaciensが、Lactobacillus kefiranofaciens JCM6985である請求項6記載の方法。