説明

乾式洗浄装置

【課題】乾式洗浄媒体の運動速度と清浄度とを高めることにより洗浄品質と洗浄効率とを向上させることができる洗浄媒体を提供する。
【解決手段】気流により飛翔することにより洗浄対象物に衝突して該洗浄対象物Wに付着している付着物dを除去するために用いられる洗浄媒体であって、上記洗浄媒体Mは、平坦面からなる基部から屈曲あるいは湾曲による立ち上がり部を有する可撓性薄片で構成され、基部Mの表裏各面と立ち上がり部との間の隙間に気流が進入できるようにすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄対象物から付着物の掻き取りや剥離により除去するために用いられる洗浄媒体およびこれを用いた乾式洗浄装置に関し、さらに詳しくは、複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置で用いられるトナーが付着した比較的複雑な形状の部品等の各種洗浄対象物に付着した塵埃や粉体を、水や溶剤を使わずに固体洗浄媒体を用いて除去するために用いられる洗浄媒体および乾式洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の事務機器メーカでは、資源循環型社会実現のために使用済みの製品や各種ユニットをユーザから回収後に分解・清掃・再組立し、部品として再使用したり、樹脂材料として利用したりするリサイクル活動を積極的に行っている。
これらの製品や各種ユニットに使用されている部品を再利用するためには、分解した部品やユニットに付着している微粒子粉体であるトナーを除去して清浄化する工程が必要であり、清浄化に必要なコストや環境負荷を減らすことが大きな課題となっている。
【0003】
従来、付着物を除去して清浄化する装置には、例えば、トナーなどの汚れを水や洗剤を用いて洗い流す湿式の洗浄があるが、この洗浄方法では洗浄後の廃液処理や洗浄後の乾燥に必要なエネルギーの消費などにおいて環境上、および省エネルギー対策上、コスト上昇の原因となる場合がある。
【0004】
一方、エアブローによる乾式洗浄方法の場合、付着力の強いトナーに対しては洗浄能力が十分ではなく、人手によるウェス拭きなどの後工程が必要なため、清浄化は製品リユース・リサイクルにおけるボトルネック工程の1つとなっている。
【0005】
そこで、湿式洗浄に代えて洗剤などを用いない乾式洗浄装置が本出願人から提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1に示された乾式洗浄装置は、帯電性の洗浄対象物を弾性変形可能な接触部材とともに回転円筒内で撹拌しながら除電して洗浄対象物に付着している塵埃の付着力を弱めて除去するようにしている。
【0007】
またこれとは別に、スチールやアルミ、ステンレスの小球又は線材を細かく切断した小片を被処理物に対して噴射して洗浄対象物から付着物を分離したり、粒状固体を高速空気流に混入させて樹脂製容器の表面に衝突させて樹脂製容器の汚れを除去するようなショットブラスト法も使用されている(例えば、特許文献2,3)。
【0008】
さらに、微粒子を吸着する粒子状洗浄媒体を被洗浄容器内に導入し、洗浄ノズルを被洗浄容器の開口部に差し込み、洗浄容器内に高速空気流を吹き込み洗浄ノズルから排気して洗浄容器内で洗浄媒体を吹き上げ、吹き上げた粒子状洗浄媒体で洗浄容器内面に付着している微粒子を除去し、洗浄ノズルの先端部のメッシュに洗浄媒体を衝突させて、洗浄媒体に吸着している微粒子を分離させて濾過することにより洗浄媒体を再生し、再生した洗浄媒体を空気流で再び吹き上げて繰り返し洗浄する方法も提案されている(例えば、特許文献4)。
【0009】
特許文献4に開示されている装置に加えて、洗浄媒体の飛翔と洗浄媒体の吸引による再生を同時に行う構成も提案されている(例えば、特許文献5)。
【0010】
さらに、洗浄対象物に傷を付けにくくする、あるいは洗浄対象物の洗浄による変形を防ぐために柔軟な洗浄媒体を使用するブラスト洗浄方法も提案されている(例えば、特許文献6〜10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に開示されている構成においては、撹拌による接触部材と洗浄対象物の接触力は十分とはいえず、付着力の強い塵埃の除去は困難であるという問題がある。
【0012】
特許文献2に開示された構成においては、洗浄品質を高めるには洗浄媒体の清浄度を高める必要があるが、旋回気流による遠心分離作用(サイクロン方式)では、分離性能が不十分であった。また、洗浄品質をより高めるにはトナーを吸着した洗浄媒体を何度も入れ替える必要があり、洗浄効率が悪く大量の洗浄媒体が必要であるという問題があった。
【0013】
特許文献3,4に開示されている構成においては、洗浄媒体として金属の小球や線材を細かく切断した小片又は粒状固体を用いているため、洗浄対象物の汚れを除去するだけでなく、洗浄対象物の表面を削り取って梨地状に荒らしてしまい、洗浄による対象物への傷が許されない場合には適用できなかった。
【0014】
また、特許文献5に示された乾式洗浄装置は、洗浄媒体の飛翔と洗浄媒体の吸引による再生を同時に行っており、容器内の洗浄のような小規模の容積に対して有効な手段であるが、洗浄媒体の飛翔のエネルギーが分散されるため、洗浄対象を投入し移動させるような容積の大きな洗浄槽内においては、洗浄媒体が飛翔せず滞留してしまうよどみが発生して洗浄媒体の飛翔と再生が行われにくくなり洗浄能力が低下する可能性がある。
【0015】
特許文献6〜10に開示されている構成においては、洗浄に必要な時間が長く、また付着力が強い付着粒子に対しては十分な洗浄ができないという問題があった。
【0016】
本発明は、上記従来の洗浄に関する構成における問題に鑑み、乾式洗浄媒体の運動速度と清浄度とを高めることにより洗浄品質と洗浄効率とを向上させることができる洗浄媒体および洗浄装置を提供することを目的としている。
特に、複雑な形状の部品であっても、傷つけたり洗浄残しを発生したりすることなく乾式洗浄可能な洗浄媒体および鑑識洗浄装置を提供することを目的とする。
【0017】
さらに、洗浄後の洗浄対象物に付着した洗浄媒体の除去を容易にして洗浄に関わる作業時間の短縮を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的を達成するため、本発明は以下の構成によりなる。
(1)気流により飛翔することにより洗浄対象物に衝突して該洗浄対象物に付着している付着物を除去するために用いられる洗浄媒体であって、
上記洗浄媒体は、平坦面からなる基部から立ち上がり部を有する可撓性薄片で構成されていることを特徴とする洗浄媒体。
【0019】
(2)上記立ち上がり部が、上記基部から折り曲げ形成された屈曲部であることを特徴とする(1)に記載の洗浄媒体。
【0020】
(3)上記立ち上がり部が湾曲片であることを特徴とする(1)に記載の洗浄媒体。
【0021】
(4)上記洗浄媒体が、上記立ち上がり部を複数箇所に設けられていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の洗浄媒体。
【0022】
(5)上記立ち上がり部が上記基部に対して互いに異なる方向に立ち上がっていることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の洗浄媒体。
【0023】
(6)上記洗浄媒体が、上記立ち上がり部同士を隣り合う位置に備えていることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の洗浄媒体。
【0024】
(7)上記洗浄媒体が、上記屈曲部の弾性率によって上記可撓性の強弱を設定されることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の洗浄媒体。
【0025】
(8)上記洗浄媒体の弾性率が、該洗浄媒体に用いられる樹脂材料の弾性係数あるいは厚さによって設定されることを特徴とする(7)に記載の洗浄媒体。
【0026】
(9)気流により飛翔することにより洗浄対象物に衝突して該洗浄対象物に付着している付着物を除去するために用いられる洗浄媒体であって、
上記洗浄媒体は、平坦面からなる基部の一部に立ち上がり部を備え、該立ち上がり部が上記基部の表裏各面に設けられた凸部であることを特徴とする洗浄媒体。
【0027】
(10)上記立ち上がり部は、上記基部を凹凸形状に屈曲させて形成されていることを特徴とする(9)に記載の洗浄媒体。
【0028】
(11)上記洗浄媒体が、帯電防止機能を有する材料で構成されていることを特徴とする(1)乃至(10)のいずれかに記載の洗浄媒体。
【0029】
(12)(1)乃至(11)のいずれかに記載の洗浄媒体を用いることを特徴とする乾式洗浄装置。
【0030】
(13)上記洗浄媒体が内部で浮遊拡散されて洗浄対象物を保持するワークホルダーを装備している洗浄槽と、
上記洗浄媒体を前記洗浄槽内に浮遊拡散させる洗浄媒体浮遊拡散手段と、
上記浮遊拡散している洗浄媒体を気流を用いて前記洗浄対象物に向けて加速する洗浄媒体加速手段とを備えたことを特徴とする(12)に記載の乾式洗浄装置。
【0031】
(14)上記洗浄媒体浮遊拡散手段は、気流を洗浄槽底面に向けて吹き付ける洗浄媒体浮上拡散ノズルであることを特徴とする(14)に記載の乾式洗浄装置。
【0032】
(15)上記洗浄槽底面に複数のR溝あるいは凹曲面を形成したことを特徴とする(13)または(14)に記載の乾式洗浄装置。
【0033】
(16)洗浄動作中に上記洗浄媒体浮上拡散ノズルによる吹き付け位置および吹き付け方向の少なくとも一方を変化させるノズル位置姿勢変更手段を備えることを特徴とする(14)または(15)のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【0034】
(17)上記洗浄槽は吸気口と排気口を有し、上記洗浄媒体浮遊拡散手段は、上記排気口に接続された負圧供給手段と上記吸気口からなることを特徴とする(14)乃至(16)のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【0035】
(18)上記洗浄媒体加速手段は、気流を上記洗浄対象物に向けて吹き付ける洗浄媒体加速ノズルであることを特徴する(13)に記載の乾式洗浄装置。
【0036】
(19)上記洗浄媒体加速ノズルは、上記洗浄媒体がノズル内部を通過することによって加速されることを特徴とする(13)または(18)に記載の乾式洗浄装置。
【0037】
(20)洗浄動作中に上記洗浄媒体加速ノズルによる吹き付け位置および吹き付け方向の少なくとも一方を変化させるノズル位置姿勢変更手段を備えることを特徴とする(13)、(18)および(19)のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【0038】
(21)洗浄動作中に上記洗浄対象物の姿勢を変化させるワーク姿勢変更手段を備えたことを特徴とする(13)乃至(20)のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【0039】
(22)上記ワーク姿勢変更手段は、その姿勢変化が2自由度以上あることを特徴とする(21)に記載の乾式洗浄装置。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、洗浄媒体が非弾性衝突するため一度の衝突での接触面積が高い、接触力が大きくなると洗浄媒体が撓んで力を逃がす事により、複雑な形状の部品の洗浄、洗浄対象物を傷つけない、洗浄品質を高める、洗浄効率を高めることが同時に可能となる。洗浄後の洗浄対象物に付着した洗浄媒体の除去を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】可撓性薄片を用いる利点を説明するための模式図である。
【図2】可撓性薄片における不具合の一つを説明するための模式図である。
【図3】可撓性薄片における不具合の他の一つを説明するための模式図である。
【図4】本発明による洗浄媒体の一形式を示す模式図である。
【図5】本発明による洗浄媒体の他の形式を示す模式図である。
【図6】図4に示した洗浄媒体の作製方法を説明するための模式図である。
【図7】図5に示した洗浄媒体の作製方法を説明するための模式図である。
【図8】図5に示した洗浄媒体の作製方法の他の例を説明するための模式図である。
【図9】図4に示した洗浄媒体の作製方法の他の例を説明するための模式図である。
【図10】本発明による洗浄媒体の作用を説明するための模式図である。
【図11】本発明による洗浄媒体の変形例を示す模式図である。
【図12】図11に示した洗浄媒体の作製方法を説明するための模式図である。
【図13】図11に示した洗浄媒体の作用を説明するための模式図である。
【図14】本発明による洗浄媒体のさらに他の例を説明するための模式図ある。
【図15】図14に示した洗浄媒体の作製方法の一例を示す模式図である。
【図16】図14に示した洗浄媒体の作製方法の他の例を示す模式図である。
【図17】図14に示した洗浄媒体の作用を説明するための模式図である。
【図18】本発明による洗浄媒体を用いる乾式洗浄装置の一例を示す模式図である。
【図19】図18に示した乾式洗浄装置の正面図である。
【図20】図18に示した乾式洗浄装置の洗浄槽底面を示す図である。
【図21】図18に示した乾式洗浄装置に用いられる洗浄槽に適した公知のノズルの一例を示す模式図である
【図22】図18に示した乾式洗浄装置に用いられる洗浄媒体加速ノズルの回転機構を説明するための模式図である。
【図23】洗浄媒体が洗浄対象物に衝突する状態を説明するための図である。
【図24】乾式洗浄装置の他の例を説明するための模式図である。
【図25】洗浄媒体による洗浄対象物に付着した付着物を除去する状態を示す図である。
【図26】洗浄増の構造を示す図である。
【図27】循環用気流発生手段の構成を説明するための模式図である。
【図28】洗浄媒体再生手段の構成を説明するための図である。
【図29】乾式洗浄装置の駆動制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図30】乾式洗浄装置の駆動部の配管系統図である。
【図31】乾式洗浄装置の洗浄動作を示すタイミングチャートである。
【図32】洗浄媒体再生手段に積層された洗浄媒体を循環用気流で運搬する状態を示す模式図である。
【図33】積層された洗浄媒体を循環用気流で運搬する比較例を示す模式図である。
【図34】洗浄対象物の洗浄動作を示す工程図である。
【図35】洗浄媒体加速手段の加速ノズルから噴出する気流で洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させる状態を示す模式図である。
【図36】循環用気流の循環経路を形成する洗浄槽の内壁面の構成図である。
【図37】循環用気流の循環経路に気流整流手段を設けた洗浄槽の断面図である。
【図38】底部に傾斜面を設けた洗浄槽の断面図である。
【図39】乾式洗浄装置の別の例を示す構成図である。
【図40】図39に示した乾式洗浄装置の駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【図41】図39に示した乾式洗浄装置の駆動部の構成を示すブロック図である。
【図42】乾式洗浄装置のさらに他の例を示す構成図である。
【図43】図42に示した乾式洗浄装置の駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【図44】図42に示した乾式洗浄装置の駆動部の構成を示すブロック図である。
【図45】図42に示した乾式洗浄装置で洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させる状態を示す模式図である。
【図46】粗洗浄動作と払い落とし動作を含む洗浄動作のタイムチャートである。
【図47】乾式洗浄装置のさらに別の例を示す構成図である。
【図48】洗浄媒体飛翔量計測手段と洗浄対象物検知手段を有する第5の乾式洗浄装置の概要を示す構成図である。
【図49】洗浄媒体飛翔量計測手段を構成する光電センサの構成図である。
【図50】洗浄媒体飛翔量計測手段と洗浄対象物検知手段を有する乾式洗浄装置の駆動制御部の構成を示すブロック図である。
【図51】図47に示した乾式洗浄装置の動作を示すタイムチャートである。
【図52】乾式洗浄装置さらに他の例を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面に示す実施例により本発明を実施するための最良の形態について説明する。 まず、図1において可撓性の薄片からなる洗浄媒体Mを用いる利点について説明する。 本発明による洗浄媒体が用いられる乾式洗浄装置においては、洗浄媒体が気流に従って運動する。
【0043】
このことにより、ブラシ、ワイヤ、スクレーパのような固定支持された洗浄手段と異なり洗浄媒体が流体として挙動するため、洗浄対象物の隅々まで侵入し洗浄することが可能となる。
【0044】
図1に示すように、洗浄媒体Mは、可撓性を有し気流により飛翔する薄片状のものが用いられ、洗浄対象物Wの形状や材質等の特性、洗浄対象物Wに付着している付着物の粒径や付着強さ等の特性に応じ、その材質、重さ、大きさ、形状等が決定される。
洗浄媒体Mが飛翔するための気流を生成する送風手段は、洗浄対象物Wの固定位置より所定の距離だけ離れた位置に配置されている。この送風手段としては、ブロー手段、圧縮空気源、エアチューブ、エアブローノズル、噴霧装置等を用いることができる。送風手段による気流の生成方法としては洗浄媒体Mが飛翔可能であればどのような方法でもよく、気体と混合した状態で洗浄媒体Mを吐出する構成としてもよいし、気体の吹き出し口に予め洗浄媒体Mを配置する構成としてもよい。
【0045】
上述の構成により、送風手段の作動により気流Aが生成される際に、気流の流路上に存在する多数の洗浄媒体Mが気流に乗って飛翔し、飛翔した多数の洗浄媒体Mの多くは洗浄対象物Wに接触あるいは衝突して洗浄対象物Wから付着物を掻き落とし、洗浄対象物Wの洗浄が行われる。この構成により、ブラシ、ワイヤ、スクレーパ等のように固定支持された洗浄手段とは異なり洗浄媒体Mが流体として挙動するため、洗浄対象物Wの隅々まで洗浄媒体Mが侵入することにより洗浄効果を向上することができる。
【0046】
この構成において、送風手段として圧縮空気源に接続されたエアブローノズルを用いることにより気流として高速の気流を生成することができ、洗浄対象物Wの洗浄能力を高めることができる。また、気流の速度を高めることにより洗浄媒体Mが洗浄対象物Wに接触する頻度が上昇するため、洗浄対象物Wの洗浄時間を短縮することができ洗浄効率を向上することができる。
【0047】
上記構成において、洗浄媒体Mが可撓性を有する、すなわち洗浄対象物Wに対して接触あるいは衝突した際に撓むことが可能であることにより、洗浄対象物Wに与える衝撃を低減できると共に洗浄効率を高めることができる。洗浄媒体Mが可撓性を有することにより、洗浄対象物Wに対する接触力が大きくなると洗浄媒体Mが撓んで力を逃がすため、一般的なブラストショット材やバレル研磨用のメディア材のように必要以上の力で洗浄対象物Wに衝突して洗浄対象物Wを傷付けてしまうといった不具合の発生を防止することができる。また、洗浄対象物Wに対する接触あるいは衝突時に洗浄媒体Mが撓むことで非弾性衝突となり、衝突時における洗浄媒体Mの跳ね返りが生じにくくなることで洗浄媒体Mが洗浄対象物Wの広い面積に接触することができ、洗浄媒体Mが洗浄対象物Wから多くの付着物d(図1参照)を除去することにより洗浄効率を高めることができる。
【0048】
さらに上記構成において、洗浄媒体Mとして薄片状のものを用いることにより、他の形状の洗浄媒体を用いた場合に比して飛躍的に洗浄性能を向上することができる。この理由としては、気流への追従性(高速飛翔と複雑な運動)及び接触あるいは衝突時の挙動(エッジ作用、滑り接触、撓み作用)が他の形状の洗浄媒体よりも優れていたためであると考えられる。先ず、気流への追従性について説明する。
【0049】
薄片状の洗浄媒体Mは、投影面積が大きい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗に対する質量が非常に小さいため気流によって容易に加速されて高速飛翔し、また投影面積が小さい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗が小さいことから高速運動が長距離維持される。
洗浄媒体Mが高速であるほどその保有エネルギが大きくなり、洗浄対象物Wに接触したときに作用する力が大きくなるので洗浄品質を向上することができると共に、洗浄対象物Wに接触する頻度が増加することにより洗浄効率を向上することができる。また薄片状の洗浄媒体Mは姿勢によって空気抵抗が大きく変化するため、気流に沿って動くだけではなく急に方向を変える等の複雑な運動が可能である。高速である気流の作用によって洗浄対象物Wの周辺には乱気流が発生するが、質量に比して空気抵抗を受け易い薄片状の洗浄媒体Mは乱気流への追従性が高く、乱気流の渦によって自転しながら回転しつつ洗浄対象物Wに対して繰り返しの接触が可能であるため、比較的複雑な形状の洗浄対象物Wの洗浄においても高い洗浄能力及び洗浄効率を得ることができる。
【0050】
次に、接触あるいは衝突時の挙動について説明する。図1は、滑り接触による付着物除去の様子を説明する模式図であり、同図において符号dは付着物を示している。
薄片状の洗浄媒体Mがその端部から洗浄対象物Wに衝突した場合には、衝突力がそのエッジに集中するために質量が小さいにも拘らず付着物dの除去に必要な力を得ることができる。
また薄片状の洗浄媒体Mの場合には衝突力が大きくなると撓んで力を逃がすため、空気から受ける粘性抵抗が大きく作用して非弾性衝突となることにより洗浄対象物Wとの接触時間が長くなり、洗浄能力を向上することができる。さらに薄片状の洗浄媒体Mでは衝突時の跳ね返りが起こりにくく、斜め衝突の場合は図1に示すように洗浄対象物Wに対して滑り接触するため、洗浄媒体Mが洗浄対象物Wの広い面積に接触して洗浄対象物Wから多くの付着物dを除去することにより洗浄効率を高めることができる。
【0051】
これに対し、一般的なショット材や弾性スポンジでは衝突時に跳ね返りが生じ易く、洗浄対象物Wへの衝突時における接触効率が薄片状の洗浄媒体Mに比して低い。さらに薄片状の洗浄媒体Mでは、接触あるいは衝突時の滑り接触による掻き取り作用及び摺擦作用により付着物dに対して接触面に平行な力を作用させ易い。一般に、付着物dに対しては付着面に垂直な向に力を作用させるよりも付着面に平行な方向に力を作用さる方が小さな力で付着物dを分離できることが知られている。
【0052】
これに対し、従来知られている粒状のスポンジや粒状の発泡体では、可撓性を有するために変形可能であって衝突時に洗浄対象物Wの広い面積に接触することはできるものの、跳ね返りや転がりが生じ易いことから滑り接触による掻き取り作用及び摺擦作用を得ることはできず、付着物dを洗浄対象物Wから分離するための剪断力が得られないことから、付着力の強い付着物dに対する洗浄能力が薄片状の洗浄媒体Mよりも劣ることとなる。
【0053】
以上が、薄片状の洗浄媒体Mが他の洗浄媒体よりも比較的複雑な形状の洗浄対象物Wに対しても洗浄能力及び洗浄効率が高い理由であると考えられ、これらは従来のブラストショット材やバレル研磨用のメディア材、粒状のスポンジや粒状の発泡体にはない画期的な特徴である。この可撓性を有する薄片状の洗浄媒体Mの形状としては、面積1〜1000mm2、厚み1〜500μm程度、材質としては例えば樹脂フィルム片、熱可塑性エラストマフィルム片、ゴム片、布片、紙片、金属薄片等が適当であるがこの限りではなく、上述したように洗浄対象物Wの形状や材質等の特性、洗浄対象物Wに付着している付着物の粒径や付着強さ等の特性に応じて適宜決定される。
【0054】
上述したように、本発明においては、洗浄媒体Mとして可撓性を有し気流により飛翔する薄片状のものを用いることにより、洗浄媒体Mが撓むことにより洗浄対象物Wを傷付けてしまうことを防止できると共に非弾性衝突により洗浄効率を高めることができ、洗浄媒体Mが薄片状であることにより高速飛翔及び複雑な運動が可能となって比較的複雑な形状の洗浄対象物Wを洗浄する際にも高い洗浄能力及び洗浄効率を得ることができると共に、滑り接触による掻き取り作用及び摺擦作用により付着力の強い付着物dの除去を行うことができる。
【0055】
本発明において用いられる洗浄媒体Mとしては、可撓性を有するものであれば様々な材質のものを使用することができるが、撓むことによる非弾性衝突により洗浄効率を高めるためには、ASTM D882によるヤング率が4GPa以下であることが望ましい。また、滑り接触による掻き取り時の抵抗に耐えるためにはヤング率が0.2GPa以上であることが望ましい。
【0056】
例えば、一般的な樹脂フィルムを用いた場合には柔軟性及び耐久性があるため、洗浄対象物Wを傷付けることなく長期間繰り返し使用することが可能となり、さらにポリエチレンであれば安価でありコストダウンを図ることができる。また、洗浄対象物Wに複数種類の付着物dが付着している場合には、複数の材質を用いることにより洗浄の役割分担を行うことができる。例えば樹脂フィルムでは油脂汚れを吸着除去することは苦手であるが、吸着物が少ないために乾式で再生を行い易い。これとは逆に布では油脂汚れを吸着除去することは得意であるが、乾式で再生しにくいために繰り返しの使用には耐えられない。特に洗浄媒体Mを繰り返し使用する場合にはその機械的強度が要求されるため、紙や布は不利となり樹脂や金属は有利となる。
また金属箔については、繰り返しの応力を受けると塑性変形してしまうという問題点があるため、樹脂フィルム、熱可塑性エラストマフィルム、ゴム等のミクロな高分子が絡まり合いあるいは結合した集合体のものが有利となる。特に樹脂フィルムは熱可塑性エラストマあるいはゴムに比して洗浄対象物Wに非弾性衝突し易いため、洗浄効率的にも有利である。このようにそれぞれの材質によって洗浄対象物Wに対する洗浄能力が異なるため、いろいろな材質が混在した洗浄媒体Mを用いることにより、総合的な洗浄能力を高めることができる。
(可撓性薄片状洗浄媒体の課題)
ここで、洗浄中に可撓性洗浄媒体を用いた場合に発生する問題として、洗浄媒体が洗浄槽の壁面、洗浄対象物、他の洗浄媒体との摩擦により帯電するという問題がある。
特に、洗浄時間の短縮のために洗浄媒体を高速で飛翔させるほど摩擦の頻度が高まり短時間で帯電量が増加する。
【0057】
これにより、洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物が静電力で付着してしまう。特に可撓性を有する薄片状の洗浄媒体の場合は、洗浄媒体の形状が相手側の形状に追随できるため、図2に示すように、洗浄媒体の面と洗浄槽壁面あるいは洗浄対象物面が密着してしまう。一度密着してしまうと、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間には気流が入り込める隙間がなくなってしまうためコロナ放電式の除電手段で除電しようとしても洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間にイオンが入り込めず除電が困難な状態となってしまう。
【0058】
この結果、洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物は付着したままの状態となってしまう。
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少してしまい洗浄効率が低下し洗浄時間が長くかかってしまう。また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においては洗浄媒体除去作業の時間が長くかかってしまう。
【0059】
また、上記とは別に、薄片状の洗浄媒体Mの場合は、狭い隙間に入り込んで洗浄が出来る反面、図3(a)のように洗浄対象物の継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に隙間があると、そこに挟まり込む場合があり、特に複数の洗浄媒体が同時に挟まり込むと、そこをきっかけにして洗浄媒体自体の間にさらに洗浄媒体が次々と挟まっていき、図3(b)のように鱗状の蓄積状態を形成してしまいう。これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体Mの量が減少してしまい、あるいは堆積した洗浄媒体Mが洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体Mの入射を遮蔽してしまい、洗浄効率が低下し洗浄時間が長くかかってしまう。
【0060】
また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においては洗浄媒体除去作業の時間が長くかかってしまうといった問題があった。
【0061】
そこで、本発明においては洗浄媒体Mと洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間に気流が入り込める隙間を形成し、かつ継ぎ目、接合部には一定の深さ以上は洗浄媒体が入り込まないようにすることにより上記の問題を解決するものである。
【0062】
すなわち洗浄媒体Mが、可撓性を有する薄片状の洗浄媒体を変形させて平坦部からなる基部の一部に立ち上がり部を設けて立体形状としたものとしている。
【0063】
洗浄工程においては、このような形状とされた洗浄媒体Mと洗浄槽壁が付着していても、洗浄媒体と洗浄槽壁面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
【0064】
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間に入り込んだ気流が洗浄媒体と洗浄槽壁面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、洗浄媒体が再飛翔可能となる。
これにより、洗浄に寄与する洗浄媒体の量を減少させることがなくなり洗浄効率を維持することが可能となる。
【0065】
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄槽壁面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。 洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄対象物が付着していても、洗浄媒体と洗浄対象物面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
【0066】
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、気流が洗浄媒体と洗浄対象物面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0067】
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄対象物面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0068】
さらに、洗浄対象物の継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に薄片状の洗浄媒体の厚さと同程度の幅の隙間があっても、屈曲部で挟まりが止まり、隙間から露出している部分に気流が当たることにより洗浄媒体が再飛翔し、蓄積が進むことがない。
【0069】
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少させることが無く、かつ洗浄対象物の隙間に蓄積した洗浄媒体が洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体の入射を遮蔽してしまう事が無く、洗浄効率を維持することが可能となる。
【0070】
加えて、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においても上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間から露出している部分に気流を当てることにより洗浄媒体を再飛翔させ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0071】
以下、洗浄媒体Mの形状について説明する。
第1の手段では、立ち上がり部を備えた洗浄媒体Mの面形状として、立ち上がり部を図4に示すように、平坦面からなる基部から折り曲げられた屈曲部M1で構成している。
【0072】
屈曲部M1の位置や数は、洗浄媒体Mと洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間に気流が入り込める隙間を形成可能でかつ屈曲部M1,M2により形成される立体形状の高さが、予め未処理の薄片状洗浄媒体使用により明らかにしてある挟まり部の幅よりも大きくあれば特に制限されない。
【0073】
図4(a)で示す例では、いわゆる、二つ折りとしたものであり、図4(b)、(c)で示す例は、複数箇所に屈曲部M1,M2を設けた場合であり、複数箇所の場合には、六角形の基部の各辺部のうちで対向する辺部を折り曲げ、その屈曲部の折り曲げ方向が、符号M1で示す対向する辺部同士で同じ方向(図4(b−1))の場合、そして基部に対して符号M2で示すように、互いに異なる方向(M1とM2との折り曲げ方向が異なる)である相反する方向(図4(b−2))の場合とが選択される。なお、図4において(b−2),(c−2)は、(b−1),(c−1)において符号(b−2),(c−2)で示す方向の矢視図である。
複数箇所に設けられている立ち上がり部をなす屈曲部M1,M2が基部に対して同じ方向に折り曲げられている場合には、基部と立ち上がり部との間に隙間ができ、また、基部に対して上記屈曲部が相反する方向に折り曲げられている場合には、基部の表裏各面と立ち上がり部との間にそれぞれ隙間ができるようになっている。なお、図4には、多角形の基部の辺部のうちで対向する辺部に屈曲部を設けているが、これに限ることなく、隙間内への気流の進入を阻害しない程度のサイズによって隣り合う各辺部にそれぞれ折り曲げ方向が同じあるいは相反する屈曲部を設けることも可能である。
【0074】
図5は、図4に示した屈曲部M1,M2の数を増やした場合を示しており、この場合には、基部をなす多角形の辺部も多くされ、互いに対向する辺部の複数を選択して図4に示した場合と同様な立ち上がり部として折り曲げ方向が同じ(図5(a−1))あるいは相反する(図5(b−2))屈曲部を設けている。
【0075】
作製方法としては、図6乃至図9に示すように、予めローラ型を通過させて折り目をつけたテープをテープカッター等によりカットして洗浄媒体とする方法が挙げられるが、屈曲部を有する形状が得られれば作製方法は特に上記に限定されない。以上の構成は、請求項1,3,4,6記載の発明の特徴部である。
【0076】
洗浄工程においては、上述した立体形状の洗浄媒体と洗浄槽壁が付着していても、洗浄媒体と洗浄槽壁面との間に気流が入り込める隙間が形成される。この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間に入り込んだ気流が洗浄媒体と洗浄槽壁面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、洗浄媒体が再飛翔可能となる。
これにより、洗浄に寄与する洗浄媒体の量を減少させることがなくなり洗浄効率を維持することが可能となる。
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄槽壁面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0077】
さらに、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においては、洗浄媒体と洗浄対象物が付着していても、洗浄媒体と洗浄対象物面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、気流が洗浄媒体と洗浄対象物面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0078】
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄対象物面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0079】
本実施例においては、立ち上がり部をなす屈曲部M1,M2を有する面形状の場合、例えば図5(a)、(b)に示したように、複数の箇所に設けることにより、図10(a)、(b)のようにどの方向から気流が来てもいずれかの屈曲部に当たるため、確実に飛翔することが可能な形状とできる。
【0080】
また、図10(c)のように洗浄対象物Wの継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に薄片状の洗浄媒体Mの厚さと同程度の幅の隙間があっても、屈曲部M1あるいはM2で挟まりが止まり、隙間から露出している部分に気流が当たることにより洗浄媒体Mが再飛翔し、蓄積が進むことがない。
【0081】
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体Mの量が減少させることが無く、かつ洗浄対象物の隙間に蓄積した洗浄媒体Mが洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体の入射を遮蔽してしまう事が無く、洗浄効率を維持することが可能となる。
【0082】
また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においても上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間から露出している部分に気流を当てることにより洗浄媒体Mを再飛翔させ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0083】
第2の手段では、洗浄媒体Mの立ち上がり部を有する面形状として、図11の如く湾曲形状としている。この構成は、請求項3記載の発明の特徴である。
湾曲の程度は、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間に気流が入り込める隙間を形成可能でかつ湾曲部により形成される立体形状の高さが、予め未処理の薄片状洗浄媒体使用により明らかにしてある挟まり部の幅よりも大きくあれば特に制限されない。
【0084】
作製方法としては、図12に示すように、ローラ型を通過させて湾曲形状に変形させたテープを電子テープカッターによりカットして洗浄媒体とする方法が挙げられる。ここで曲率はローラ型の径により任意の曲率を設定可能である。
【0085】
上述した方法とは別の方法として、
・チューブを周方向および軸方向にカットして洗浄媒体とする。
・予め円筒形の芯に巻き付けて巻き癖を付けたテープをカットして洗浄媒体とする。
・片面に摩擦力を加えて、その面を伸ばして反らせたテープをカットして洗浄媒体とする。
・片面を加熱して、その面を熱膨張させて伸ばして反らせたテープをカットして洗浄媒体とする。
・線膨張係数が異なる材料を積層したテープを加熱して、熱膨張差で反らせたテープをカットして洗浄媒体とする。
等が挙げられるが、湾曲形状が得られれば作製方法は特に上記に限定されない。
【0086】
洗浄工程においては、洗浄媒体と洗浄槽壁が付着していても、洗浄媒体と洗浄槽壁面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間に入り込んだ気流が洗浄媒体と洗浄槽壁面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、洗浄媒体が再飛翔可能となる。
【0087】
これにより、洗浄に寄与する洗浄媒体の量を減少させることがなくなり洗浄効率を維持することが可能となる。
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄槽壁面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0088】
洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においては、上記洗浄媒体の構成により、洗浄媒体と洗浄対象物が付着していても、洗浄媒体と洗浄対象物面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、気流が洗浄媒体と洗浄対象物面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0089】
湾曲した面形状の場合、図13(a)に示すように、洗浄対象物面や洗浄槽壁面への付着状態は線接触であるため、接している側のほとんどの面に気流が入り込むことが可能で容易に飛翔可能な形状である。なお洗浄中は洗浄媒体Mが衝突時に撓むため洗浄対象物面への面接触は可能である。
【0090】
また、図13(b)に示すように、洗浄対象物Wの継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に薄片状の洗浄媒体Mの厚さと同程度の幅の隙間があっても、湾曲部で挟まりが止まり、隙間から露出している部分に気流が当たることにより洗浄媒体が再飛翔し、蓄積が進むことがない。
【0091】
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少させることが無く、かつ洗浄対象物の隙間に蓄積した洗浄媒体が洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体の入射を遮蔽してしまう事が無く、洗浄効率を維持することが可能となる。
また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においても上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間から露出している部分に気流を当てることにより洗浄媒体を再飛翔させ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0092】
第3の手段では、洗浄媒体に有する立ち上がり部としての面形状として図14に示すように、両面に凹凸(図14においては、突出方向の違いにより符号P1とP2とで凸部を区別している)を有する形状としている。この構成は、請求項9,10記載の発明の特徴である。
凹凸の位置や数は、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間に気流が入り込める隙間を形成可能でかつ凹凸部により形成される立体形状の高さが、予め未処理の薄片状洗浄媒体使用により明らかにしてある挟まり部の幅よりも大きくあれば特に制限されない。
【0093】
作製方法としては、図15、図16に示すように、予めローラ型を通過させて両面に凹凸加工や穿孔したテープをテープカッターによりカットして洗浄媒体とする方法が挙げられる。
【0094】
作製方法の他の方法としては、
・両面に接着剤を部分的に滴下して突起部を形成したテープをテープカッターによりカットして洗浄媒体とする等が挙げられるが、両面に凹凸を有する面形状が得られれば作製方法は特に上記に限定されない。
【0095】
洗浄工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄槽壁が付着していても、洗浄媒体と洗浄槽壁面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間に入り込んだ気流が洗浄媒体と洗浄槽壁面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、洗浄媒体が再飛翔可能となる。
これにより、洗浄に寄与する洗浄媒体の量を減少させることがなくなり洗浄効率を維持することが可能となる。
【0096】
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄槽壁面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0097】
洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄対象物が付着していても、洗浄媒体と洗浄対象物面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、気流が洗浄媒体と洗浄対象物面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄対象物面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0098】
両面に凹凸を有する面形状の場合、例えば図14(c)に示す構成のように、洗浄対象物面や洗浄槽壁面への付着状態を点接触とすることが可能であるため、図17(a)に示すように、接している側のほぼ全ての面に気流が入り込むことが可能で容易に飛翔可能な形状である。
なお、洗浄中は洗浄媒体が衝突時に撓むため洗浄対象物面への面接触は可能である。
また、図17(b)に示すように、洗浄対象物の継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に薄片状の洗浄媒体の厚さと同程度の幅の隙間があっても、凹凸部で挟まりが止まり、隙間から露出している部分に気流が当たることにより洗浄媒体が再飛翔し、蓄積が進むことがない。
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少させることが無く、かつ洗浄対象物の隙間に蓄積した洗浄媒体が洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体の入射を遮蔽してしまう事が無く、洗浄効率を維持することが可能となる。
【0099】
また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においても上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間から露出している部分に気流を当てることにより洗浄媒体を再飛翔させ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0100】
第4の手段では、洗浄媒体を構成する材質が、帯電防止能を有するものである。
なお、有効な帯電防止効果を得たい場合には洗浄媒体の表面抵抗を1010Ω/□以下にするのが望ましい。
洗浄媒体が金属製の場合は、それ自体で帯電防止能を有するが、特に樹脂からなる洗浄媒体の場合の帯電防止技術は大まかに以下の3つに分類される。
・練り込みタイプ:帯電防止剤を樹脂に事前に練り込み、製膜を行ったもの。無延伸タイプと2軸延伸タイプ、インフレーションタイプがある。
【0101】
帯電防止剤としては、イオン電導を利用する場合には、公知の界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性タイプ)や親水性高分子が使用可能である。
また電子伝導を利用する場合には、導電フィラーとして公知の金属粒子、導電性粒子(導電性カーボン、酸化物半導体等)、導電性高分子が使用可能である。
・コーティングタイプ:製膜後に、帯電防止剤をその表面に、コーティング処理を行い、帯電防止効果を持つ層を構成するもの。
帯電防止剤としては、水性、油性、有機系、無機系、高分子系等の公知のものの中から塗工適正のあるものが使用可能である。
膜厚は通常サブミクロンであるが、効果のあるものは0.1μm以下の場合もある。
・上記2つを組み合わせたもの。
【0102】
上記の洗浄媒体を使用することにより、摩擦による帯電量の増加を抑制できるため、洗浄媒体を洗浄槽壁あるいは洗浄対象物に付着させている静電力が弱められる。
したがって洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物との分離のための気流が少なくて済むこととなる。これにより気流発生のためのユーティリティーの規模を小さくすることができ、さらにエネルギー消費量の低減につながる。もちろんこの場合も、コロナ放電式の除電手段を併用することにより効果を高めることが可能となる。
【実施例1】
【0103】
次に、本発明の洗浄媒体を用いる乾式洗浄装置の例について説明する。
詳細な説明に先立って、本発明で用いる用語の一部を説明しておく。
「乾式洗浄」とは、洗浄媒体として水や溶剤等の液体を使用せず、常温で固体の洗浄媒体を使用することをさす。
「気流」、「エアブロー」「エアノズル」の用語が指す気体は、一般的な空気だけでなく窒素ガスや二酸化炭素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスなど、さまざまな気体も含むものとする。同様に、「圧縮空気」は他の圧縮気体に置き換えた場合も含むものとする。また、実施例において用いる洗浄媒体は、図4,5,11および図14に示した構成のいずれかが選択された洗浄媒体Mを指す。
図18は本発明による洗浄媒体を用いる洗浄装置の正面断面図である。
図19は図18に示した洗浄装置の側面要部断面図である。
両図において符号101は洗浄槽、102は後述するタイプ1のノズル、103はコーナーブロック、104は円筒型のメッシュ、106は後述するタイプ2のノズル、107はタイプ2のノズル回転用モータ、108はタイプ2のノズル移動用モータ、1014はワークホルダ、1015はワーク水平回転用モータ、1016はワーク揺動用モータ、1017、1018はタイミングベルト、1019は伝達用ギア、1020は揺動リンク機構をそれぞれ示す。
以下本実施形態の構成を、主要部分に分けて説明する。
<洗浄槽>
洗浄槽101は、洗浄する対象物(ワーク)Wおよび洗浄媒体M(いずれも図示せず)を収容する箱形状で、上部に形成された蓋101aを開閉して洗浄対象物Wの出し入れを行なう。
【0104】
後述するタイプ1として用いられる洗浄媒体浮上拡散機能を有したノズル102の気流によって洗浄媒体Mが浮上しやすいように、底面101bと壁面101c(いずれも図19参照)との接続部に直角コーナーや鋭角コーナーがないほうが望ましい。例えば、図19に示すようなコーナーブロック103を設けて底面101bと壁面101cとの接続部を鈍角ないし滑らかに接続すると、底面101bに向けて吹き付けられた気流は洗浄媒体を壁面101cに沿って持ち上げる上昇気流となる。したがって、洗浄槽底面に落下した洗浄媒体を容易に浮遊拡散させることができる。
【0105】
図20は底面構造の変形実施形態を示す底面の一部断面図である。
洗浄槽1の底面101bに複数のR溝(円筒曲面)あるいは窪み(凹曲面)101dを形成し、タイプ1のノズルとして用いられる洗浄媒体浮上拡散ノズル102の気流を底面101bに向けて吹き付けるように構成してもよい。
【0106】
底面101bに設けられたR溝あるいは窪み101dに沿って上昇気流が発生し、洗浄槽101の底面101bに落下した洗浄媒体Mを浮上拡散させる効果が高まり、大量の洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させ、効率的に洗浄することができる。
凹曲面としては、球面の一部、あるいは回転楕円体面の一部等、必要に応じて任意のものが採用し得る。
<円筒メッシュ>
ワークWから除去された付着物d(図1参照)を洗浄槽101から排出するため、排気口101eはフィルター、集塵機等に接続されている(図示せず)。
洗浄媒体Mが洗浄槽101から排出されてしまうのを防止するため、排気口の洗浄槽側には円筒状のメッシュ104が設けられている。
メッシュ104とは、ワークWから除去した粉塵等の付着物dは通過可能だが、洗浄媒体Mは通過できない大きさの開口部を多数備えた金網等で、通気抵抗が小さく、付着物dが付着しにくいものが好適である。
洗浄媒体Mが円筒メッシュ104に吸い寄せられ接触する際に、洗浄媒体に付着した粉塵等の付着物dは擦られたり叩き落とされて洗浄媒体Mから分離し、メッシュ104を通過して排気口より洗浄槽101外へ排出される。
<タイプ1のノズル>
このノズルは、円筒メッシュ閉塞防止と洗浄媒体浮上拡散の役割を兼ねている。
洗浄媒体Mを洗浄槽101内に浮上拡散させるため、中空円筒の軸方向に沿って多数の小孔を形成したエアブローノズル102を備える。
ノズル102を図19において矢印Aで示すように回転させると、ノズル102からの噴出し空気流(矢印Bで示す)によって、洗浄槽底面101bに落下した洗浄媒体Mを洗浄槽底面101bおよび壁面101cに沿って同図の矢印Cで示すように再び洗浄槽1内に舞い上がらせることができる。
これにより、洗浄槽内の特定の場所に洗浄媒体が溜まって浮上拡散しなくなることを防止できる。
【0107】
また、ノズル102は上述の円筒メッシュ104の内側に設置され、円筒メッシュ104に吸い寄せられて集まった洗浄媒体を再び洗浄槽101内に分散させる機能も兼ね備えている。すなわち、円筒メッシュ104に洗浄媒体Mが吸い寄せられて貼り付き、メッシュ104が完全に閉塞されてしまうのを防止する。
【0108】
ノズル102はノズル位置姿勢変更手段を備え、洗浄動作中にモータ105によって駆動されて回転または往復揺動する。ノズル102への圧縮空気の供給は回転継手(図示せず)を通して行なう。
【0109】
ノズル102が移動による位置(吹き付け位置)の変化、および回転による姿勢(吹き付け方向)の変化の少なくともどちらかを行うことにより、洗浄槽101のすべての場所に気流を作用さることができるため、特定の場所に洗浄媒体Mが滞留してしまうことがなくなる。
【0110】
<タイプ2のノズル>
このノズルは、洗浄媒体加速と洗浄媒体浮上拡散の役割を兼ねている。
洗浄槽101内に浮上拡散した洗浄媒体Mを洗浄対象物Wに向けて加速するため、多数のノズル106が洗浄槽内に配置されている。
一般的なエアブローノズルを使用してもよいが、多数のノズルの使用によるエア消費量を抑えるため、コアンダ効果を利用したノズルを用いるのが望ましい。コアンダ効果を利用したエアノズルの場合、消費流量の数倍〜十数倍の気流を発生させることができ、少ないエア消費量で大量の洗浄媒体Mを加速することができる。コアンダ効果を利用したノズルの例としては各種の公知例がある。
【0111】
図21は本発明の洗浄槽に適した公知ノズルの一例を示す図である。
コアンダ効果を利用したノズルの中でも、同図に示したように吸込み部106aと吹出し部106bをもった構造のノズル106の場合、洗浄媒体Mがノズル106の内部を通過するので、洗浄媒体Mを効率よく確実に加速することができる。洗浄媒体Mが効率よく加速されるため、少ない供給エア量であっても必要な洗浄能力が得られる。供給エア量が同じであれば、一般的なエアブローノズルよりも高い洗浄能力が得られる。
【0112】
さらに、タイプ2のノズル106の場合、タイプ1のノズル102と違ってノズル106と洗浄対象物Wの間を遮るものがないため、加速された気流および洗浄媒体Mのエネルギーを洗浄対象物Wに直接作用させることができ、高い洗浄能力(付着物dの除去能力)が得られる。
また、ノズル106にノズル位置姿勢変更手段を設け、ノズルの位置(吹き付け位置)、および姿勢(吹き付け方向)の少なくともどちらかを変化させることにより、洗浄ムラをなくしてより短時間で洗浄を終えることができる。
【0113】
図18,19において、洗浄槽底面101bおよび側面101cに配置されたノズル106はノズル回転モータ107によって回転または首振り動作を行い、図19に示す洗浄槽蓋部101aに配置されたノズル106はノズル移動モータ(図示省略)によって直線的に往復移動を行なう。
【0114】
図22は洗浄媒体加速ノズルの回転機構の例を示す図である。
同図において符号109はノズル回転軸、1010は回転継ぎ手、1011は圧縮空気供給パイプ、1012はタイミングプーリ、1013はタイミングベルトをそれぞれ示す。
ノズル106への圧縮空気の供給は回転継手1010と中空のノズル回転軸109を通して行なう。
【0115】
モータ(図示略)の回転はタイミングベルト1013とタイミングプーリ1012を介してノズル回転軸109に伝達され、ノズル106は首振りまたは回転動作を行なう。
一方、洗浄媒体Mの供給は、タイプ1のノズルに相当する洗浄媒体浮上拡散ノズル102によって洗浄媒体Mを洗浄槽1内に浮遊拡散することによって行なわれる。
【0116】
したがって、本実施例では一般的なブラスト装置のように洗浄媒体供給のための配管等を設ける必要がなく、洗浄媒体加速ノズル106の移動/回転、配置変更が自由にできる。
前述のように、図18,19において、タイプ1のノズル102は、洗浄槽底面に溜まっている洗浄媒体を浮上拡散させる作用も兼ね備えている。
<ワーク保持手段>
本実施例では、図18,19に示すように、洗浄対象物Wを保持するためのワークホルダ1014を5つ備えている。
【0117】
洗浄槽底部101bに取り付けられた2つのモータ1015,1016により、水平面内の回転および各ワークホルダの長軸周りの揺動を行なう。
図19に示すように、ワーク水平回転用モータ1015のトルクはタイミングベルト1017を介して中空軸に伝達され、ワークホルダ1014全体を水平面内に回転させる。また、ワーク揺動用モータ1016のトルクはタイミングベルト1018を介して同軸シャフトに伝達され、ギア1019および揺動リンク機構1020を介し、図19において矢印Dで示すようにワークを揺動させる。このように、姿勢変化が2自由度以上あることにより、複雑な形状の洗浄対象でもムラなく洗浄することができる。
ワークホルダ1014の姿勢を2軸で変更できるため、洗浄対象物Wに対してさまざまな角度から洗浄媒体Mを作用させることができる。よって洗浄ムラが少なく、短時間で洗浄を終えることができる。
【0118】
次に、上記装置の動作を、図19を用いて工程順に説明する。なお、図23は洗浄媒体が洗浄対象物に衝突する様子を示す模式図である。
<洗浄媒体の浮上拡散・加速衝突>
1:洗浄槽底面101bに向けられたノズル106およびノズル102に圧縮空気を供給すると、洗浄槽の底面101bに落下していた洗浄媒体Mは、洗浄槽底面101bおよび壁面101cに沿って上昇し、浮遊拡散する。
2:洗浄対象物Wに向けられたノズル106に圧縮空気を供給すると、洗浄槽101内に浮遊している洗浄媒体Mは加速されて高速で(例えば10m/s)洗浄対象物Wに衝突する。(同図参照)
3:ノズル106を首振りないし往復動させることで、ノズル106の位置および姿勢(吹き付け方向)が変化するため、洗浄対象物Wの全面をムラなく洗浄することができる。また、ノズル106の位置または姿勢(吹き付け位置、方向)が変化することで、1つのノズルで洗浄媒体Mの浮上拡散機能と加速衝突の両機能を発揮させることができる。
4:さらにワーク保持手段1014の水平回転および揺動を行なうことにより、加速ノズル106と洗浄対象物Wとの位置関係が変化し、洗浄媒体Mを洗浄対象物Wの全面にムラなく接触衝突させることができる。
<洗浄媒体の接触による洗浄>
5:洗浄媒体Mが洗浄対象物Wに高速で接触または衝突することにより、洗浄対象物Wに付着している付着物dは叩き落とされる。叩き落とされた粉塵dは、排気口101eへ向かう気流の流れに乗って円筒メッシュ1044を通過し、洗浄槽1011より排出される。
6:また、洗浄対象物Wと洗浄媒体Mの接触ないし衝突により、洗浄対象Wに付着していた粉塵dの一部は洗浄媒体Mへ付着する。洗浄媒体Mは、排気口101eへ向かう気流の流れに乗って円筒メッシュ104に吸い寄せられる。
<洗浄媒体に付着した粉塵の除去>
7:円筒メッシュ104に吸い寄せられた洗浄媒体Mは、メッシュ部に接触・衝突する。洗浄媒体Mに付着している付着物dはここで洗浄媒体Mから分離されて洗浄槽101より排出される。
なお、メッシュ104の近傍に、構成要素として除電手段(例えば、イオン化された空気を生成するイオナイザ)を含むようにしてもよい。洗浄媒体Mと付着物d(図1参照)との静電気的引力が弱まり、付着物dがより分離されやすくなる。
8:排気口101eからの吸引作用によってメッシュ104に貼り付いている洗浄媒体Mは、洗浄媒体浮上拡散ノズル102の回転により再び洗浄槽101内に拡散する。
上記1〜8の動作の繰り返しにより、洗浄媒体Mを洗浄槽101内で循環させながら洗浄対象物Wから付着物dを効果的に除去することができる。
上記工程1と2は交互に行なってもよいし、同時に行なうようにしてもよい。
交互に行なった場合、洗浄媒体Mの浮上拡散と洗浄媒体Mの加速で同時に圧縮空気を使用しないため、圧縮空気供給能力が限られている場合にも十分な洗浄媒体Mの浮上拡散効果と洗浄媒体Mの加速効果が得られる。
また、圧縮空気供給能力が十分にある場合には、洗浄媒体Mの浮上拡散と洗浄媒体Mの加速を同時に行なうことにより、容易に大量の洗浄媒体を供給することで短時間に洗浄でき、洗浄ムラも小さくすることができる。
【0119】
しかしながらここで、洗浄中に、洗浄媒体が洗浄槽の壁面、洗浄対象物、他の洗浄媒体との摩擦により帯電するという問題がある。
特に、洗浄時間の短縮のために洗浄媒体を高速で飛翔させるほど摩擦の頻度が高まり短時間で帯電量が増加する。
これにより、洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物が静電力で付着してしまう。特に可撓性を有する薄片状の洗浄媒体の場合は、洗浄媒体の形状が相手側の形状に追随できるため、洗浄媒体の面と洗浄槽壁面あるいは洗浄対象物面が密着してしまう。一度密着してしまうと、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間には気流が入り込める隙間がなくなってしまうためコロナ放電式の除電手段で除電しようとしても洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間にイオンが入り込めず除電が困難な状態となってしまう。その結果、洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物は付着したままの状態となってしまう。
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少してしまい洗浄効率が低下し洗浄時間が長くかかってしまう。また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においては洗浄媒体除去作業の時間が長くかかってしまう。
【0120】
そこで、実施例1においては図4,5,11,14に示した第1から第6の手段で得られた洗浄媒体を使用し、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間に気流が入り込める隙間を形成することとしている。
【0121】
洗浄工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄槽壁が付着していても、洗浄媒体と洗浄槽壁面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間に入り込んだ気流が洗浄媒体と洗浄槽壁面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、洗浄媒体が再飛翔可能となる。
これにより、洗浄に寄与する洗浄媒体の量を減少させることがなくなり洗浄効率を維持することが可能となる。
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄槽壁面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄対象物が付着していても、洗浄媒体と洗浄対象物面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、気流が洗浄媒体と洗浄対象物面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄対象物面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0122】
また、洗浄対象物の継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に薄片状の洗浄媒体の厚さと同程度の幅の隙間があっても、途中で挟まりが止まり、隙間から露出している部分に気流が当たることにより洗浄媒体が再飛翔し、蓄積が進むことがない。
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少させることが無く、かつ洗浄対象物の隙間に蓄積した洗浄媒体が洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体の入射を遮蔽してしまう事が無く、洗浄効率を維持することが可能となる。
また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においても上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間から露出している部分に気流を当てることにより洗浄媒体を再飛翔させ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0123】
本実施例では、ワーク姿勢が水平回転+揺動の2軸(2自由度)で変化し、さらに加速ノズル106の首振り、往復動が加わるため、洗浄対象物Wのすべての面にさまざまな方向から洗浄媒体Mを衝突・接触させることができる。よって複雑な形状の部品であっても洗浄ムラが小さく、短時間で洗浄することができる。このほかに、さらに自由度を1つ付け加えて、ワークをゆっくり上下に移動させることを取り入れてもよい。このような動きも、ここではワーク姿勢の変化として取り扱う。
【0124】
また、比較的付着力が強く、エアブローのみでは除去しにくい粉塵であっても、高速で飛翔する洗浄媒体Mが接触・衝突することによって洗浄対象物から分離することができる。特に、薄片状の洗浄媒体Mを用いた場合、後述の理由により高い洗浄品質と洗浄効率が得られ、洗浄対象物Wを傷つけることもないという優れた効果を発揮する。
【0125】
また、洗浄媒体Mに付着している付着物dは、円筒メッシュ104で効果的に除去され、洗浄媒体Mの清浄度が常に保たれるため、洗浄媒体Mに付着している付着物dが洗浄対象物Wに再付着することがなく、高い洗浄品質が得られる。
【0126】
以上説明した通り、本実施例に示した洗浄装置および洗浄媒体を用いれば、大量の洗浄媒体を加速して洗浄対象物に衝突させ、比較的複雑な形状の対象物やエアブローのみでは除去が難しい付着力の強い粉塵等であっても、高品質でかつ効率よく洗浄することができる。
【0127】
また、一般的なブラストガンのようにチューブ等を用いてブラスト材を供給する方式に比べ、ノズルの移動や回転運動を妨げることなく、容易に大量の洗浄媒体を供給することができる。すなわち、ノズルの配置や移動・回転動作に制約が少なく、洗浄効果の高い配置や移動・回転が可能となる。
【0128】
なお、本実施例では、ノズルが回転ないし移動する構成を示したが、より多くのノズルを切り替えて使用し、ノズルの回転ないし移動と同様の効果を持たせることもできる。
【実施例2】
【0129】
次に、本発明の洗浄媒体を用いる乾式洗浄装置の別の例について説明する。
【0130】
図24は、本発明実施例の別例による乾式洗浄装置の機構構成図である。
乾式洗浄装置1は、図25に示すように、洗浄対象物2(図1において符号Wで示した部材に相当)に付着したトナー等の各種付着物3(図1において符号dで示した付着物に相当)を高速気流により流動する洗浄媒体4(図1において符号Mで示した部材相当)より除去するものであり、図24に示すように、洗浄槽5と循環用気流発生手段6と洗浄媒体加速手段7及び洗浄媒体再生手段8を有する。
【0131】
この乾式洗浄装置1に使用する薄片状の洗浄媒体4としては面積が1〜1000mmで厚さが1〜500μm程度の物を使用すれば良い。例えば電子写真方式の画像形成装置に使用する平均粒径5μm〜10μmのトナー粉体が付着した合成樹脂や金属製の構成部品からトナー粉体を除去するには樹脂フィルム片や布片、紙片、金属薄片等の薄片状の洗浄媒体4を使用することが望ましい。
【0132】
この洗浄媒体4として薄片状の洗浄媒体4を使用した場合、図25に示すように、端部から洗浄対象物2に衝突した場合、接触力が洗浄媒体4のエッジに集中するため、質量が小さいにもかかわらず粉塵3の除去に必要な力が得られる。また、洗浄対象物2に対する接触力が大きくなると撓んで力を逃がすため、一般的なブラストショット材やバレル加工用の研磨材等とは異なり、必要以上の力を洗浄対象物2に加えることがなく、洗浄対象物2を傷つけないですむ。さらに、薄片状の洗浄媒体4が洗浄対象物2に衝突したときに撓んで空気から受ける粘性抵抗が大きく作用して非弾性衝突となり、跳ね返りが起こりにくく、斜め衝突の場合は滑り接触して一度の衝突で洗浄対象物2の広い面積に接触しながら移動し、この接触による掻き取り作用や摺擦作用により洗浄対象物2に付着したトナー粒子等の付着物3に対して接触面に平行な力を作用させ、小さい力で付着物3を洗浄対象物2から分離して洗浄効率を高めることができる。
【0133】
洗浄槽5は、ほぼ直方体状の中空体で形成され、上面に洗浄対象物2を投入する洗浄対象物投入口9を有し、底部が開口して形成され、洗浄対象物投入口9に開閉自在な蓋10が設けられ、底部の開口部に洗浄媒体再生手段8が設けられている。この洗浄槽5の一方の側面の内壁面の一部には、図26に示すように、循環用気流発生手段6が設けられ、両側面と底面及び上面の内壁面で循環用気流の循環経路を形成している。この循環用気流の循環経路を形成する内壁面の角部は、図26(a)に示すように、R形状又は図26(b)に示すように、一定角度θで接続して、循環用気流を効率よく循環させるように形成されている。
【0134】
この一定角度θを120度〜150度にすることにより、循環用気流に与える抵抗を小さくして循環させることができる。
【0135】
循環用気流発生手段6は、図27に示すように、大口径の吸引口61を有する吸引部62と、吸引部62の出口側の外周部に設けられた圧縮空気供給口63を有する吐出部64を有し、圧縮空気供給口63から供給して吐出部64の吐出口65に向けて生じる高速空気流により吸引部62から空気流を吸い込み、圧縮空気供給口63から供給した圧縮空気量の数倍〜10倍の空気量を吐出口65から吐出させる。この循環用気流発生手段6を使用することにより、一般的なエアブローノズルを用いる場合と比べて消費する圧縮空気量を減らしてより少ないエネルギーで洗浄媒体を循環させることができるとともに洗浄槽5内部の負圧を容易に保ち、洗浄槽5外への粉塵等の漏出を防止することができる。なお、圧縮空気供給口6cから供給する圧縮空気の代わりに窒素ガスや二酸化炭素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスなど各種気体を供給しても良い。以下、圧縮空気を使用した場合について説明する。この循環用気流発生手段6は、洗浄槽5の循環用気流の循環経路を形成する一方の側壁の底部近傍に吸引口61を上にして吐出口65を下にして配置されている。
【0136】
洗浄媒体加速手段7は、図24に示すように、循環用気流の循環経路を形成する内壁面を直交する表面にアレイ状の複数の加速ノズル71aを有し、加速ノズル71aが設けられた壁面と対向する裏面にアレイ状の複数の加速ノズル71bを有し、コンプレッサーや圧力タンク等の圧縮空気源から供給される圧縮空気を各加速ノズル71から洗浄槽5内に噴出させて洗浄媒体4を洗浄対象物2に衝突させる。この加速ノズル71a,71bとしては循環用気流発生手段6と同様な噴出ノズルを使用すると良い。
【0137】
洗浄媒体再生手段8は、図28(a)の斜視図と(b)の部分断面図に示すように、洗浄槽5の底部内壁に配置された分離部材81とフード82で閉空間を形成し、形成した閉空間がホース等の吸引管11により負圧発生源を有する集塵装置に接続され、フード82の内部を負圧にする。分離部材81は気体や粉体を通過させるが洗浄媒体4が通り抜けられない小孔やスリット83を多数有し、例えば金網、プラスチック網、メッシュ、パンチメタル板、スリット板等の多孔性部材で形成され、洗浄対象物2から分離された粉塵と、洗浄対象物2に衝突し磨耗や欠けが生じた洗浄媒体や長期使用により弾力性が劣化した洗浄媒体を排出する。
【0138】
この乾式洗浄装置1の制御装置12には、図29のブロック図と図30(a),(b)の配管系統図に示すように、加圧気体供給装置18から循環用気流発生手段6に供給する圧縮空気の送気管の導通と非導通を行う気流循環用電磁弁14と、洗浄媒体加速手段7に供給する圧縮空気の送気管の導通と非導通を行う加速用電磁弁15と、洗浄媒体加速手段7の両壁面に設けられた加速ノズル71に供給する圧縮空気を2方向に切り替える加速気流切替制御弁16及び洗浄媒体再生手段8と集塵装置19を連結した吸引管11の導通と非導通を行う再生用電磁弁17がそれぞれ接続され、起動手段13からの駆動信号により各電磁弁の動作を制御する。
【0139】
この乾式洗浄装置1においてワーク保持手段20に保持された洗浄対象物2をワーク移動手段21で洗浄槽5内に投入し、洗浄槽5内で薄片状の洗浄媒体4を循環させて洗浄対象物2に付着したトナー等の付着物3を除去する動作を図31のタイムチャートを参照して説明する。
【0140】
洗浄槽5に薄片状の洗浄媒体4を投入して洗浄媒体再生手段8の分離部材81の上に積み上げた状態でワーク保持手段20に保持された洗浄対象物2をワーク移動手段21で洗浄槽5の洗浄対象物投入口9から投入して初期位置に位置決めし、洗浄対象物投入口9を蓋10で閉じて洗浄槽5を密閉する。この状態で起動手段13を操作して制御装置12に洗浄開始信号が入力されると、制御装置12はまず気流循環用電磁弁14を開にしてコンプレッサー等の加圧気体供給装置18から循環用気流発生手段6に例えば圧縮空気を供給し、循環用気流発生手段6により洗浄槽5の内壁面の循環経路に沿って流れる循環用気流を発生させる。この循環気流が洗浄媒体再生手段8の分離部材81に沿って流れ、図32(a)に示すように、分離部材81の上に積み上げた薄片状の洗浄媒体4に横方向から気流が作用し、図32(b)と(c)に示すように、堆積した洗浄媒体4の上層部から徐々に堆積を崩しながら持ち上げ洗浄槽5の長手方向に沿って運搬して飛翔させる。この洗浄媒体4を飛翔させる循環用気流を循環用気流発生手段6から洗浄槽5内に直接噴出させるから、堆積した洗浄媒体4に大きな衝撃力を与えることができ、循環用気流により堆積した洗浄媒体4を確実に飛翔させることができる。
【0141】
しかしながらここで、洗浄中に、洗浄媒体が洗浄槽の壁面、洗浄対象物、他の洗浄媒体との摩擦により帯電するという問題がある。
【0142】
特に、洗浄時間の短縮のために洗浄媒体を高速で飛翔させるほど摩擦の頻度が高まり短時間で帯電量が増加する。
【0143】
それにより、洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物が静電力で付着してしまう。
【0144】
特に可撓性を有する薄片状の洗浄媒体の場合は、洗浄媒体の形状が相手側の形状に追随できるため、洗浄媒体の面と洗浄槽壁面あるいは洗浄対象物面が密着してしまう。一度密着してしまうと、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間には気流が入り込める隙間がなくなってしまうためコロナ放電式の除電手段で除電しようとしても洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間にイオンが入り込めず除電が困難な状態となってしまう。
その結果、洗浄媒体と洗浄槽壁あるいは洗浄対象物は付着したままの状態となってしまう。
【0145】
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少してしまい洗浄効率が低下し洗浄時間が長くかかってしまう。また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においては洗浄媒体除去作業の時間が長くかかってしまう。
【0146】
そこで、実施例2においては、図4,5,11,14に示した第1から第6の手段で得られた洗浄媒体を使用し、洗浄媒体と洗浄槽壁面あるいはワーク壁面との間に気流が入り込める隙間を形成することとしている。
【0147】
洗浄工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄槽壁が付着していても、洗浄媒体と洗浄槽壁面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
【0148】
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間に入り込んだ気流が洗浄媒体と洗浄槽壁面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、洗浄媒体が再飛翔可能となる。
【0149】
これにより、洗浄に寄与する洗浄媒体の量を減少させることがなくなり洗浄効率を維持することが可能となる。
【0150】
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄槽壁面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0151】
洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においてはこれにより、洗浄媒体と洗浄対象物が付着していても、洗浄媒体と洗浄対象物面との間に気流が入り込める隙間が形成される。
【0152】
この場合、上記隙間に向かう気流を発生させ、気流が洗浄媒体と洗浄対象物面との間を引き離す力が静電引力に打ち勝つと洗浄媒体と壁面が離れ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0153】
また、コロナ放電式の除電手段を併用することにより洗浄対象物面に接している側の洗浄媒体表面にイオンを送り込み除電する事ができるため、効果を高めることが可能となる。
【0154】
さらに、洗浄対象物の継ぎ目、接合部や洗浄槽内の継ぎ目、接合部に薄片状の洗浄媒体の厚さと同程度の幅の隙間があっても、途中で挟まりが止まり、隙間から露出している部分に気流が当たることにより洗浄媒体が再飛翔し、蓄積が進むことがない。
【0155】
これにより、洗浄工程においては洗浄に寄与する洗浄媒体の量が減少させることが無く、かつ洗浄対象物の隙間に蓄積した洗浄媒体が洗浄対象物へのあらたな洗浄媒体の入射を遮蔽してしまう事が無く、洗浄効率を維持することが可能となる。
【0156】
また、洗浄後の洗浄対象物からの洗浄媒体除去工程においても上記隙間に向かう気流を発生させ、隙間から露出している部分に気流を当てることにより洗浄媒体を再飛翔させ、容易に洗浄媒体を除去することが可能となる。
【0157】
本実施例では、このように堆積した薄片状の洗浄媒体4を気流で搬送して飛翔させる場合、例えば、図33(a)に示すように、分離部材81に堆積した薄片状の洗浄媒体4に対し、ノズル22で洗浄媒体4の堆積方向と垂直な気流を作用させた場合、堆積している全ての洗浄媒体4を持ち上げるだけの圧縮空気のエネルギーを必要とし、図33(b)に示すように、洗浄媒体4の堆積量が多くなるほど動かしにくくなる。また、気流を噴出するノズル22直上の洗浄媒体4を動かすことはできても、堆積した薄片状の洗浄媒体4の流動性は悪いため、図33(c)に示すように、ノズル22の周囲にすり鉢状の傾斜があっても、ノズル22の周囲の洗浄媒体4は崩れずにそのまま残ってしまい、堆積した全ての洗浄媒体4を飛翔させることが困難であった。これに対して、循環用気流発生手段6により洗浄槽5の内壁面の循環経路に沿って流れる循環用気流を発生させて分離部材81に堆積した洗浄媒体4の横方向から気流を作用させることにより、少ないエネルギーで堆積した洗浄媒体4を確実に飛翔させることができ、循環用気流発生手段6に供給する圧縮空気量の消費量を低減することができる。また、洗浄媒体4を気流搬送するとき、ダクトやホースを用いて搬送する場合には洗浄媒体4がダクトやホースに詰まるおそれがあるが、洗浄槽5の壁面により循環用気流の循環経路を形成するから、洗浄媒体4が循環経路で詰まるおそれがなく洗浄槽5内に洗浄媒体4を飛翔させることができる。
【0158】
また、循環用気流を発生する循環用気流発生手段6は洗浄槽5の循環用気流の循環経路を形成する一方の側壁の底部近傍に吸引口61(図27参照)を上にして吐出口65を下にして配置されているから、吐出口65から離れた位置であっても洗浄槽5の底部の分離部材81に堆積した洗浄媒体4に対して底面に沿った強い気流の力を作用させることができ、大量の洗浄媒体4を洗浄槽5の壁面に沿って運ぶことができる。
さらに、吸引口61に入ってくる洗浄媒体4は分散して空間密度が小さいため吸引口61を閉塞することを回避でき、安定して循環用気流を発生することができる。すなわち、吸引口61を下に向け、洗浄槽5の底部付近に配置した場合、吸引気流の力は吸引口61近傍の洗浄媒体4にしか作用せず、洗浄槽5の底部に溜まっている大量の洗浄媒体4を搬送することは困難であるとともに、堆積している洗浄媒体4が吸引口61に大量に吸引された場合、吸引口61における洗浄媒体4の空間密度が過剰になり吸引口61を閉塞しやすいが、このような問題が生じることを防ぐことができる。
【0159】
制御装置12はあらかじめ設定された所定時間が経過すると気流循環用電磁弁14(図29参照)を閉にして循環用気流発生手段6で発生している循環用気流を停止させ、図34(a)に示すように、ワーク移動手段21(図24参照)で洗浄対象物2を初期位置から徐々に下降せながら、加速用電磁弁15を開にして加圧気体供給装置18から加速気流切替制御弁16を介して洗浄媒体加速手段7に圧縮空気を供給し、洗浄媒体加速手段7の一方の加速ノズル71aから圧縮空気を噴出させるとともに再生用電磁弁17を開にして洗浄媒体再生手段8を集塵装置19と導通させてフード82内を負圧にする。循環用気流発生手段6で発生している循環用気流を停止させると、循環用気流により飛翔した洗浄媒体4は舞い降りる。この舞い降りている洗浄媒体4は加速ノズル71aから噴出している圧縮空気により洗浄対象物2に衝突し、洗浄対象物2の一方の面に付着しているトナー等の付着物3を除去する。
【0160】
洗浄対象物2から除去された粉塵や洗浄対象物2に衝突して粉塵が付着した洗浄媒体4は重力により落下し、フード82内の負圧により吸気している洗浄媒体再生手段8の分離部材81の上に降り積もる。この分離部材81の上に落下した粉塵及び洗浄媒体4に付着した粉塵はフード82内の負圧によりフード82内に吸引されて集塵装置19に集塵され、粉塵が付着した洗浄媒体4を効率よく再生する。
【0161】
この加速ノズル71aによる圧縮空気の噴出を所定時間だけ行うと、制御装置12は、加速用電磁弁15と再生用電磁弁17を閉にして洗浄媒体加速手段7と洗浄媒体再生手段8の動作を停止する。再生用電磁弁17を閉にするとフード82内の負圧は解消し、分離部材81に堆積した洗浄媒体4に対するフード82側の吸引力がなくなり、次の循環用気流により分離部材81から分離される。したがって分離部材81のメッシュ等を洗浄媒体4で覆って封止することはなく、連続的に洗浄媒体4と粉塵を分離することができる。このため洗浄媒体4の交換は必要なく、破損等により減少した洗浄媒体4の分を追加すれば良く、洗浄媒体4を有効に利用することができるとともにメンテナンス性を向上することができる。
【0162】
その後、再び気流循環用電磁弁14を開にして循環用気流発生手段6により循環用気流を発生させて洗浄媒体再生手段8の分離部材81に堆積して再生された洗浄媒体4を所定時間T1だけ飛翔させた後、加速用電磁弁15と再生用電磁弁17を開にして加速気流切替制御弁16を加速ノズル71b側に切り替えて洗浄対象物2からの粉塵除去処理と洗浄媒体4の再生処理を所定時間だけ行う。この洗浄対象物2からの粉塵除去処理と洗浄媒体4の再生処理を所定時間は循環用気流を発生している時間より長く設定し、洗浄対象物2の広い範囲を洗浄できるようにしてある。また、加速ノズル71aと加速ノズル71bから圧縮空気を交互に噴射させるから、加速ノズル71aと加速ノズル71bから噴射する気流が干渉することを防いで、洗浄対象物2に洗浄媒体4を確実に衝突させることができ、洗浄媒体4による洗浄効果を高めることができる。
【0163】
この循環用気流の発生と洗浄対象物2からの粉塵(付着物)除去処理と洗浄媒体4の再生処理を、洗浄対象物2を初期位置から徐々に下降せながら繰り返して行い、図34(b)に示すように、洗浄対象物2が折り返し位置に達するとワーク移動手段21は洗浄対象物2の下降を停止して、洗浄対象物2を徐々に上昇させる。制御装置12は洗浄対象物2が徐々に上昇しているときも、循環用気流の発生と洗浄対象物2からの粉塵除去処理と洗浄媒体4の再生処理を交互に繰り返して行い、洗浄対象物2の全面から付着物3を除去する。そして、図34(c)に示すように、洗浄対象物2が上昇端である初期位置に達すると、制御装置12は洗浄動作を停止する。洗浄動作が停止すると、洗浄槽5の蓋10を開いてワーク保持手段18に保持された洗浄対象物2をワーク移動手段19で洗浄槽5から取り出し、新しい洗浄対象物2と交換して再び洗浄動作を開始する。
【0164】
上記説明では洗浄媒体加速手段7の加速ノズル71a,71bから圧縮空気を交互に噴射させて洗浄対象物2の全面を洗浄した場合について説明したが、図35に示すように、洗浄対象物2に対する加速ノズル71a,71bの噴射角度を調節することにより、加速ノズル71a,71bから圧縮空気を同時に噴射させても良い。また、洗浄対象物2の一方の面にだけ粉塵が付着している場合は加速ノズル71a,71bにいずれか一方から圧縮空気を噴射させれば良い。
【0165】
また、上記説明では洗浄槽5の平坦な内側面により循環用気流発生手段6で発生する循環用気流の循環経路を形成した場合について説明したが、図36(a)に示すように、循環経路を形成する洗浄槽5の壁面51に循環用気流の流れ方向に沿った複数の角状又は曲面で形成した溝23を設けても良い。この溝23の幅は洗浄媒体4の面サイズより小さくして、洗浄媒体4が溝23内に落ち込まないようにしておく。このように溝23を設けることにより、洗浄槽5の壁面51と洗浄媒体4の間に空間を形成して壁面51と洗浄媒体4との接触抵抗を低減させることができるとともに、溝23内を循環用気流が流れることにより洗浄媒体4を効率よく運搬して大量の洗浄媒体4を運搬することができる。また、複数の溝23により循環用気流を整流させて乱流が発生しにくくなり気流の力が減衰しにくく効率的に洗浄媒体4を運搬して飛翔させることができ、洗浄効率をより向上することができる。この溝23の高さは気流が通過できれば良く、例えば0.1mmから1mm程度にすると、容易に加工することができる。
【0166】
また、洗浄槽5の循環用気流の循環経路を形成する壁面51を、図36(b)に示すように、凹形状の湾曲面に形成しても良い。このように循環経路を形成する壁面51を凹形状の湾曲面に形成することにより循環用気流が拡散することを防いで、大量の洗浄媒体4を効率よく運搬して、大量の洗浄媒体4を洗浄槽5内に飛散させて洗浄効率を高めることができる。
【0167】
さらに、図37(a),(b)に示すように、循環用気流の循環経路を形成する洗浄槽5の上面や上部側面に、洗浄媒体4を洗浄媒体加速手段7の方へ導く気流整流手段24を設けると良い。このように循環用気流の循環経路に気流整流手段24を設けることにより、洗浄媒体4を洗浄媒体加速手段7と洗浄対象物2の間に大量に飛散させることができ、洗浄効果を高めることができる。また、気流整流手段24により流れ方向が変更された洗浄媒体4が洗浄対象物2に直接衝突して洗浄することもできる。この気流整流手段24は洗浄対象物2の形状や位置により気流の流れを変える角度を調整するようにすると良い。
【0168】
また、洗浄槽5をほぼ直方体に形成せずに、図38(a),(b)に示すように、洗浄槽5の底部に開口を有する傾斜面52を設け、この傾斜面52に洗浄媒体再生手段8を設け、傾斜面52の下端部に循環用気流発生手段6を設け、循環用気流発生手段6から傾斜面52に沿って循環用気流を流すようにしても良い。このように構成すると、洗浄媒体4が洗浄対象物2に衝突して付着物3を除去した後、洗浄媒体再生手段8の分離部材81の上に落ちたとき、循環用気流発生手段6の吐出口65の近傍に集まり易く、集まった洗浄媒体4に対して循環用気流発生手段6から循環用気流を発生して洗浄媒体4を運搬することにより、少ない圧縮空気の供給量で大量の洗浄媒体4を運搬することができ、省エネルギー化を図ることができる。また、洗浄媒体4を集める場所として洗浄媒体再生手段8の設置場所を使用することにより、洗浄媒体4の再生時間を長く取ることができ、洗浄媒体4の再生効率を高めることができる。
【0169】
また、上記説明では循環用気流発生手段6を洗浄槽5に1個設けた場合について説明したが、図39に示すように、洗浄槽5の両側壁の底部近傍に2つの循環用気流発生手段6a,6bを洗浄媒体再生手段8の分離部材81を挟んで対称に配置しても良い。図39においては、2つの循環用気流発生手段6a,6bを洗浄槽5の外部に配置し、吐出口65を洗浄槽5の下部に設け、吸引口61はダクトホース25を介して洗浄槽5の上部に連結する。この場合、制御装置12は、図40のブロック図に示すように、気流循環用電磁弁14と加速用電磁弁15と加速気流切替制御弁16と再生用電磁弁17とともに、図41の配管系統図に示すように、循環用気流発生手段6a,6bに供給する圧縮空気を切り替える循環気流切替制御弁26の動作も制御する。そして洗浄槽5内に循環用気流を発生して洗浄媒体4を飛翔させるとき、制御装置12で循環気流切替制御弁26を制御して循環用気流発生手段6a,6bから交互に循環用気流を発生することにより、洗浄槽4内で洗浄媒体5が溜まって滞留しやすい個所をなくして、洗浄槽5内の洗浄媒体4を有効に洗浄に用いることができ、洗浄媒体4が洗浄対象物2に衝突する頻度が増して効率的に洗浄することができる。また、吸引口61をダクトホース25を介して洗浄槽5の上部に連結することにより、洗浄槽5内に上昇気流を発生させることができ、洗浄媒体4の滞空時間を長くして浮遊している洗浄媒体の量を増加し、加速ノズル71a,71bから噴出する圧縮空気により洗浄対象物2に衝突する洗浄媒体2の数を増やして洗浄能力を向上させることができる。また、吸引口61をダクトホース25を介して洗浄槽5に連結しても、ダクトホース25は洗浄媒体の空間密度が小さい洗浄槽5の上側に連結しているから、吸引された洗浄媒体4によりダクトホース25や循環用気流発生手段6a,6bが詰まることを防ぐことができる。
【0170】
また、上記説明では洗浄槽5に洗浄媒体再生手段8を1個設けた場合について説明したが、洗浄媒体再生手段8を複数個、例えば図42に示すように、洗浄槽5の底部に設けた洗浄媒体再生手段8のほかに洗浄媒体加速手段7のアレイ状の加速ノズル71a,71bの上下に洗浄媒体再生手段8a〜8dを設けても良い。この場合、制御装置12は、図43のブロック図に示すように、気流循環用電磁弁14と加速用電磁弁15と加速気流切替制御弁16と再生用電磁弁17と循環気流切替制御弁26とともに、図44の配管系統図に示すように、洗浄媒体再生手段8に対する吸引を切り替える吸引気流切替制御弁27と、洗浄槽5の表面に設けた洗浄媒体再生手段8a,8bと裏面に設けた洗浄媒体再生手段8c,8dに対する吸引を切り替える吸引気流切替制御弁28の動作も制御する。そして、図45に示すように、洗浄槽5の表面に設けた加速ノズル71aから圧縮空気を噴出して洗浄対象物2を洗浄するとき、制御装置12は吸引気流切替制御弁27を洗浄媒体再生手段8に接続するとともに、吸引気流切替制御弁28を裏面に設けた洗浄媒体再生手段8c,8dに接続し、洗浄槽5の裏面に設けた加速ノズル71bから圧縮空気を噴出して洗浄対象物2を洗浄するとき、吸引気流切替制御弁28を表面に設けた洗浄媒体再生手段8a,8bに接続する。このように加速ノズル71aから噴出する圧縮空気により舞い上がった付着物3や洗浄媒体4を洗浄媒体再生手段8c,8dに吸い寄せる。この付着物3や洗浄媒体4を洗浄媒体再生手段8c,8dに吸い寄せるとき、洗浄媒体再生手段8c,8dの吸引流に加えて加速ノズル71aからの気流が付着物3や洗浄媒体4に作用するから、洗浄媒体再生手段8c,8dの分離部材81のメッシュ部における流速を飛躍的に増大することができ、洗浄媒体4に付着している付着物3の除去能力を非常に高くすることができ、洗浄媒体4を確実に再生することができる。また、加速ノズル71aからの圧縮空気の噴出を停止した後、一定タイミングをおいて洗浄媒体再生手段8c,8dの吸引を停止して、洗浄媒体再生手段8c,8dに吸引された洗浄媒体4を洗浄媒体再生手段8c,8dから確実に離すことができる。
【0171】
また、舞い上がった洗浄媒体4が加速ノズル71a,71bで加速されずに落下してしまう無駄をなくして加速ノズル71a,71bから圧縮空気を噴出しているときに加速ノズル71a,71bと洗浄対象物2の間に大量の洗浄媒体4を供給することができ、洗浄効率を向上することができる。すなわち薄片状の洗浄媒体4を洗浄対象物2に衝突させて洗浄する場合、洗浄品質は洗浄媒体4が所定以上の速度で洗浄対象物2に衝突する頻度にほぼ比例する。したがって洗浄媒体4の供給量が増えれば洗浄品質を向上させるとともに洗浄時間を短縮することができ消費エネルギーを低減することができる。
【0172】
また、加速ノズル71a,71bと洗浄媒体再生手段8a〜8dを使用して粗洗浄を行ってから洗浄媒体4を使用した洗浄を行うこともできる。このように粗洗浄を行う場合の動作を図46のタイムチャートを参照して説明する。
【0173】
洗浄槽5に薄片状の洗浄媒体4を投入して洗浄媒体再生手段8の分離部材81の上に積み上げた状態でワーク保持手段20に保持された洗浄対象物2をワーク移動手段21で洗浄槽5の洗浄対象物投入口9から投入して初期位置に位置決めし、洗浄対象物投入口9を蓋10で閉じて洗浄槽5を密閉する。この状態で起動手段13を操作して制御装置12に洗浄開始信号が入力されると、制御装置12は加速用電磁弁15を開にして加速気流切替制御弁16を一定周期で切り替えて加速ノズル71a,71bから圧縮空気を交互に噴出させ、加速ノズル71a,71bからの圧縮空気の噴出の切り替えに同期して加圧気流切替制御弁16を切り替えて圧縮空気が噴出している加速ノズル71a,71bと対向する面に設けられた洗浄媒体再生手段8a,8bと洗浄媒体再生手段8c,8dの吸引を切り替える。すなわち洗浄槽5の表面に設けた加速ノズル71aから圧縮空気を噴出しているとき、洗浄槽5の裏面に設けた洗浄媒体再生手段8c,8dで吸引を行う。この動作により加速ノズル71aから噴出した圧縮空気が洗浄対象物2に当たり、洗浄対象物2に付着している付着力の弱い汚れや付着物3は大半除去され、洗浄対象物2は粗洗浄される。その後、循環用気流発生手段6から循環用気流を発生させて、洗浄媒体再生手段8の分離部材81上に堆積している洗浄媒体4を運搬して飛翔させ、飛翔している洗浄媒体4による洗浄を行う。この飛翔している洗浄媒体4による洗浄が終了すると、再び加速ノズル71a,71bから圧縮空気を交互に噴出させ、加速ノズル71a,71bからの圧縮空気の噴出の切り替えに同期して加圧気流切替制御弁16を切り替えて圧縮空気が噴出している加速ノズル71a,71bと対向する面に設けられた洗浄媒体再生手段8a,8bと洗浄媒体再生手段8c,8dの吸引を切り替え、洗浄対象物2に静電気で付着した洗浄媒体4を払い落としして洗浄動作を終了して洗浄槽5の蓋10を開きワーク保持手段18に保持された洗浄対象物2をワーク移動手段19で洗浄槽5から取り出し、新しい洗浄対象物2と交換して再び洗浄動作を開始する。このように粗洗浄や洗浄媒体4の払い落とし動作を行うことにより、洗浄速度と洗浄品質を向上することができる。
【0174】
上記説明では洗浄媒体再生手段8a〜8dを洗浄槽5の表面と裏面に設けた場合について説明したが、図47に示すように、洗浄槽5の底部にV字形に交差して2つの開口を有する傾斜面52a,52bを設け、この傾斜面52a,52bにそれぞれ洗浄媒体再生手段8を設け、傾斜面52a,52bの下端部に循環用気流発生手段6a,6bを設け、循環用気流発生手段6a,6bから傾斜面52a,52bに沿って交互に循環用気流を流すようにしても良い。この場合も循環用気流の循環経路を形成する洗浄槽5の上面や上部側面に、洗浄媒体4を洗浄媒体加速手段7の方へ導く気流整流手段24を設けると良い。
【0175】
このように洗浄媒体4を飛翔させ、飛翔している洗浄媒体4を洗浄対象物2に衝突させて洗浄しているとき、洗浄媒体4は洗浄対象物2に対する衝突により破損して洗浄媒体再生手段8の分離部材81に有するメッシュ部を通って集塵装置19に排出され、洗浄槽5内の洗浄媒体4が減少してくる。洗浄槽5内の洗浄媒体4が減少して洗浄槽5内の飛散料が少なくなると洗浄効果が低減する。また、複数の洗浄対象物2をワーク保持手段20で保持して洗浄槽5に投入して洗浄する場合も有る。
【0176】
そこで、図48に示すように、洗浄槽5内に洗浄媒体飛翔量計測手段29を設け、加速ノズル71a,71bを挟んで上下に一定間隔を置いて洗浄対象物検知手段30a,30bを設けると良い。洗浄媒体飛翔量計測手段29は、例えば図49に示すように、光軸が洗浄媒体4の循環方向に対して直交するように配置された光電センサ291を使用し、洗浄対象物検知手段30a,30bは、例えば投受光部301と反射板302を有する光電センサからなり、投受光部301は洗浄媒体4が干渉しないように洗浄槽5の表面又は裏面に透明窓を介して取り付けられ、反射板302は投受光部301と反対側の内壁面に取り付けられ、光軸が洗浄槽5を横切るように配置されている。この洗浄媒体飛翔量計測手段29と洗浄対象物検知手段30a,30bは、図50のブロック図に示すように制御装置12に接続されている。制御装置12は媒体飛翔量計測手段29である光電センサ291の光軸が遮断された数を計測して一定時間における洗浄媒体4の飛翔量を定量化し、洗浄対象物検知手段30a,30bのいずれか一方で洗浄対象物2を検知したときに洗浄動作を制御する。
【0177】
この洗浄媒体飛翔量計測手段29と洗浄対象物検知手段30a,30bを洗浄槽5に設けた場合の洗浄動作を図51のタイムチャートを参照して説明する。
【0178】
図48に示すように、複数の洗浄対象物2をワーク保持手段2018で保持して洗浄槽5に投入した後、洗浄開始信号が入力すると循環用気流発生手段6から循環用気流を発生させて洗浄媒体再生手段8の上に堆積している洗浄媒体4を運搬して洗浄槽5内に飛散させる。この飛散している洗浄媒体4の量を媒体飛翔量計測手段29である光電センサ291で検出して制御装置12に入力する。制御装置12は入力した洗浄媒体4の一定時間の飛散量とあらかじめ設定された閾値と比較し、洗浄媒体4の飛散量が閾値を超えている場合は洗浄動作を開始する。また、洗浄媒体4の飛散量が閾値以下の場合は洗浄媒体不足の警報を発生して洗浄動作を停止する。その後、洗浄媒体4をホッパー等から一定量あるいは不足量だけ補給されて再び洗浄開始信号が入力して洗浄媒体4を飛散させたとき洗浄媒体4の飛散量が閾値を超えたら洗浄動作を開始する。
【0179】
このように洗浄媒体4の飛散量を検出して一定量を超える洗浄媒体4を使用して洗浄を行うから、良好な洗浄品質で洗浄を行うことができる。また、洗浄対象物2に衝突する洗浄媒体4の量は洗浄媒体4の飛散量に比例する。そこで制御装置12は洗浄媒体2の一定時間毎の飛散量から洗浄品質を評価することもできる。さらに、洗浄媒体2の飛散量の変化を記録しておくことにより、洗浄品質を洗浄能力を正確に定量化することができる。
【0180】
洗浄動作を開始すると、ワーク移動手段19で複数の洗浄対象物2をワーク保持手段18を上から下に移動し、最初の洗浄対象物2が加速ノズル71a,71bの上に配置された洗浄対象物検知手段29aの光軸をさえぎる位置に到達して洗浄対象物検知手段29aから洗浄対象物検知信号が制御装置12に入力すると、制御装置12は洗浄対象物2の移動速度及び洗浄対象物検知手段30aと加速ノズル71a,71bとの距離から洗浄対象物2が加速ノズル71a,71bの位置に到達する時間遅れを加えたタイミングで一方の加速ノズル71aからの圧縮空気の噴出と洗浄媒体再生手段8の吸引動作のタイミングを決定し、そのタイミングで循環用気流を停止させ、加速ノズル71aから圧縮空気を噴出させ、洗浄媒体再生手段8の吸引を開始して最初の洗浄対象物の洗浄を行う。この状態で洗浄対象物検知手段30aから洗浄対象物検知信号が入力しなくなると、制御装置12は洗浄対象物2の移動速度及び洗浄対象物検知手段30aと加速ノズル71a,71bとの距離から洗浄対象物2が加速ノズル71a,71bの位置に到達する時間遅れを加えたタイミングで加速ノズル71aからの圧縮空気噴出と洗浄媒体再生手段8の吸引を停止し、循環用気流発生手段6から循環用気流を発生させる。この制御を洗浄対象物検知手段30aから洗浄対象物検知信号が入力するたびに繰り返して複数の洗浄対象物2を順次洗浄する。洗浄対象物2が折り返し位置に達して上昇を開始すると、制御装置12は加速ノズル71a,71bの下に配置された洗浄対象物検知手段30bから洗浄対象物検知信号が入力するたびに上記制御を繰り返して加速ノズル71bから圧縮空気を噴射させて、複数の洗浄対象物2の全面を洗浄する。
【0181】
このように洗浄対象物2の位置に応じて圧縮空気を大量に消費する加速ノズル71a,71bから圧縮空気を噴射するから圧縮空気の使用量を低減して省エネルギーを図ることができる。
【0182】
上記説明では媒体飛翔量計測手段29として光電センサ291を使用した場合について説明したが、力センサにより洗浄対象物2に対する洗浄媒体4の衝撃力を積算する方法、加重センサを用いたプロセス終了時における重量計測、距離センサ等を用いた洗浄槽5の底部の堆積量計測方法などを使用しても良い。この洗浄媒体4の衝撃力を積算する場合は、積算した衝撃回数から洗浄品質を評価することができる。
【0183】
また、図52に示すように、ワーク移動手段19とワーク保持手段18の間に、モータやエアシリンダ等でワーク保持手段18を長手方向の軸回りに回転させるワーク姿勢変更手段31を設け、洗浄槽5の循環用気流を形成する一方の側面に洗浄媒体加速手段7としてアレイ状の複数の加速ノズル71を複数組、例えば3組設け、各加速ノズル71の噴射方向が例えば水平方向と上下方向に異なるように配置しても良い。そしてワーク保持手段18で保持して洗浄槽5に投入した洗浄対象物2をワーク姿勢変更手段31で回転させながら上下方向に移動して複数組の加速ノズル71からの圧縮空気の噴射を交互に切り替えて洗浄対象物2を洗浄する。このように洗浄対象物2を回転しながら上下方向に移動して異なる方向から圧縮空気を噴射することにより、複雑な形状の洗浄対象物2の全面を確実に洗浄することができる。
【0184】
次に、以下の実施例において説明する実験結果においては、除去対象付着物として複写機やレーザプリンタ等の電子写真装置に使用される乾式トナー(平均粒径5〜10μm程度)を想定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一般的な粉体や塵埃付着物の洗浄装置にも応用可能である。
【0185】
なお、その場合洗浄対象物および付着物の性状に応じて洗浄媒体の種類および気流の流速、流量を圧縮空気源の圧力、流量により適切に選択することはいうまでもない。
【0186】
例えば、洗浄対象物が傷つきやすい場合は、洗浄媒体として樹脂フィルム等の柔軟素材で、かつ厚みの薄いもの(薄片)を使用すれば、薄片が柔軟に撓むので洗浄対象を傷つけない。
【実施例3】
【0187】
以下に、上述した実施例に基づく実験結果を示す。
先ず、実験結果を得るために、上述した実施例に示した構成を用いた乾式洗浄方法によって除去対象となる付着物(トナー)の付着力による影響を観察するため、複写機のトナーカートリッジにトナーを付着させた後に所定温度で1時間加温し、付着力の異なるサンプル(付着力弱、付着力中、付着力強)を作成した。送風手段としてはSilvent社製エアノズルSL−920Aを複数配列し、圧縮空気圧は0.2MPaで一定となるように設定してそれぞれ2分間洗浄を行った。
【0188】
ここで、本実施例で示したと同様の可撓性を有する薄片状の洗浄媒体として、
(1)厚さ30μm、5mm角のポリエチレン製フィルム
(2)厚さ30μm、5mm角のPET(ポリエチレンテレフタラート)製フィルム
(3)厚さ100μm、5mm角のポリエチレン製フィルム
(4)厚さ100μm、5mm角のPET製フィルム
の4種を使用した。
また、比較例として、
(5)洗浄媒体を使用しないエアブローのみによる乾式洗浄
及び洗浄媒体として各種粒状の洗浄媒体を使用した乾式洗浄を行った。
ここで、各種粒状の洗浄媒体として
(6)2mm角立方体のナイロン
(7)直径2mmのナイロン球
(8)直径5mmのウレタンスポンジ球
(9)厚さ2mm、直径5mmのPET円板(可撓性なし)
を使用した。実験の結果を表1に示す。
【0189】
【表1】

【0190】
表1の結果より、本発明における可撓性を有する薄片状の洗浄媒体を使用した乾式洗浄方法が、従来の粒状の洗浄媒体を使用した乾式洗浄方法よりも良好な洗浄結果を得られることが判明した。
【0191】
また、可撓性を有する薄片状の洗浄媒体の中では撓みやすいフィルムの方が洗浄結果が良好であった。
【実施例4】
【0192】
次に、洗浄媒体を繰り返し使用して乾式洗浄を行った際の実験結果を示す。
複写機のトナーカートリッジにトナーを付着させた後に所定温度で1時間加温し、付着力が中のサンプルを作成した。送風手段としてはSilvent社製エアノズルSL−920Aを複数配列し、圧縮空気圧は0.2MPaで一定となるように設定して2分間洗浄を行った。このときサンプル毎に洗浄媒体を変えることはせず、同一の洗浄媒体を使用し続けた場合のサンプル処理数の増加に伴う洗浄結果の推移を比較した。
【0193】
ここで、本実施例に示したと同様の可撓性を有する薄片状の洗浄媒体として、
(1)厚さ100μm、5mm角のポリエチレン製フィルム
(2)厚さ100μm、5mm角のPET製フィルム
(3)厚さ100μm、5mm角のナイロン布片
(4)厚さ100μm、5mm角の紙片
(5)厚さ100μm、5mm角のアルミ箔片
を使用した。実験の結果を表2に示す。
【0194】
【表2】

【0195】
表2の結果より、特に洗浄媒体の材質が樹脂である場合に、繰り返し使用においては良好な洗浄結果を得られることが判明した。
【0196】
上述の具体例では、被洗浄体からの除去対象物である付着物として複写機やレーザプリンタ等の電子写真装置に用いられる乾式トナー(平均粒径5〜10μm程度)を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されることはなく、一般的な粉体や塵埃付着物の洗浄についても応用可能である。この場合、被洗浄体及び付着物の性状に応じて洗浄媒体の種類(大きさ、形状、材質等)、気流の流速及び流量を適宜設定することとなる。
【実施例5】
【0197】
(本発明の効果を示す実施例)
表3は洗浄結果の一例を示す。
【0198】
洗浄能力の違いを明確にするため、複写機のトナーカートリッジにトナーを付着させた後、所定温度で1時間加温し、付着力を増加させた(付着力中)サンプルを作成した。洗浄装置の構成は実施例2、図42の構成で行った。
【0199】
エアブローはSilvent社製エアノズルSL−920Aを複数配列させて使用し、圧縮空気圧は、0.2MPaで一定となるようにしてそれぞれ1分間洗浄を行った。
【0200】
可撓性を有する薄片状洗浄媒体Mとしては、
(1)図4(c)の如く屈曲部を有する面形状の厚さ30μm、5mm角のPET製フィルム
(2)図11の如く湾曲した面形状の厚さ30μm、5mm角のPET製フィルム
(3)図14(c)の如く両面に凹凸を有する面形状の厚さ30μm、5mm角のPET製フィルム
を使用した。
【0201】
比較例として、
(4)特に屈曲部を有していない厚さ30μm、5mm角のPET製フィルム
および
(5)洗浄媒体を使用しないエアブローによる乾式洗浄
および薄片状洗浄媒体Mに変えて各種粒状洗浄媒体を使用した乾式洗浄を行った。
【0202】
粒状洗浄媒体としては
(6)2mm角の立方体ナイロン
(7)φ2mmのナイロン球
(8)φ5mmのウレタンスポンジ球
を使用した。
【0203】
なお、同表における記号は次の通りである。
×:ほとんど汚れが取れない。
△:一部洗浄残りがある。
○:ほぼきれいになっている。
◎:非常にきれいになっている。
【0204】
【表3】

【0205】
表3により、本発明の可撓性を有する薄片状洗浄媒体Mを変形させて立体形状として使用する乾式洗浄による結果が従来の乾式洗浄よりも良好な洗浄結果が得られることが判る。
【0206】
また、薄片状洗浄媒体の立体形状による洗浄結果の優劣は、対象項目により異なるため重要視する項目により、それに適した立体形状を選択する事により所望の洗浄結果を得ることができる。もちろん異なる立体形状の薄片状洗浄媒体を同時に使用したり、洗浄工程を複数に分けて、各工程毎に立体形状を変えても良い。
【符号の説明】
【0207】
1 乾式洗浄装置
2 洗浄対象物
3 トナー等の各種粉塵
4,M 洗浄媒体
5 洗浄槽
6 循環用気流発生手段
7 洗浄媒体加速手段
71;加速ノズル
8 洗浄媒体再生手段
81 分離部材、82;フード
11 吸引管
12 制御装置
13 起動手段
14 気流循環用電磁弁
15 加速用電磁弁
16 加速気流切替制御弁
17 再生用電磁弁
18 加圧気体供給装置
19 集塵機
20 ワーク保持手段
21 ワーク移動手段
23 溝
24 気流整流手段
25 ダクトホース
26 循環気流切替制御弁
27,28 吸引気流切替制御弁
29 洗浄媒体飛翔量計測手段
30 洗浄対象物検知手段
31 ワーク姿勢変更手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0208】
【特許文献1】特開2003−122123号公報
【特許文献2】特開2005−193958号公報
【特許文献3】特許第2889547号公報
【特許文献4】特許第3468995号公報
【特許文献5】特開2005−329292号公報
【特許文献6】特開2004−106100号公報
【特許文献7】特開昭60−188123号公報
【特許文献8】特開平04−059087号公報
【特許文献9】登第2515833号公報
【特許文献10】特開平07−088446号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流により飛翔することにより洗浄対象物に衝突して該洗浄対象物に付着している付着物を除去するために用いられる洗浄媒体であって、
上記洗浄媒体は、平坦面からなる基部から立ち上がり部を有する可撓性薄片で構成されていることを特徴とする洗浄媒体。
【請求項2】
上記立ち上がり部が、上記基部から折り曲げ形成された屈曲部であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄媒体。
【請求項3】
上記立ち上がり部が湾曲片であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄媒体。
【請求項4】
上記洗浄媒体が、上記立ち上がり部を複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の洗浄媒体。
【請求項5】
上記立ち上がり部が上記基部に対して互いに異なる方向に立ち上がっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の洗浄媒体。
【請求項6】
上記洗浄媒体が、上記立ち上がり部同士を隣り合う位置に備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の洗浄媒体。
【請求項7】
上記洗浄媒体が、上記屈曲部の弾性率によって上記可撓性の強弱を設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の洗浄媒体。
【請求項8】
上記洗浄媒体の弾性率が、該洗浄媒体に用いられる樹脂材料の弾性係数あるいは厚さによって設定されることを特徴とする請求項7に記載の洗浄媒体。
【請求項9】
気流により飛翔することにより洗浄対象物に衝突して該洗浄対象物に付着している付着物を除去するために用いられる洗浄媒体であって、
上記洗浄媒体は、平坦面からなる基部の一部に立ち上がり部を備え、該立ち上がり部が上記基部の表裏各面に設けられた凸部であることを特徴とする洗浄媒体。
【請求項10】
上記立ち上がり部は、上記基部を凹凸形状に屈曲させて形成されていることを特徴とする請求項9に記載の洗浄媒体。
【請求項11】
上記洗浄媒体が、帯電防止機能を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の洗浄媒体。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の洗浄媒体を用いることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項13】
上記洗浄媒体が内部で浮遊拡散されて洗浄対象物を保持するワークホルダーを装備している洗浄槽と、
上記洗浄媒体を前記洗浄槽内に浮遊拡散させる洗浄媒体浮遊拡散手段と、
上記浮遊拡散している洗浄媒体を気流を用いて前記洗浄対象物に向けて加速する洗浄媒体加速手段とを備えたことを特徴とする請求項12に記載の乾式洗浄装置。
【請求項14】
上記洗浄媒体浮遊拡散手段は、気流を洗浄槽底面に向けて吹き付ける洗浄媒体浮上拡散ノズルであることを特徴とする請求項13に記載の乾式洗浄装置。
【請求項15】
上記洗浄槽底面に複数のR溝あるいは凹曲面を形成したことを特徴とする請求項13または14に記載の乾式洗浄装置。
【請求項16】
洗浄動作中に上記洗浄媒体浮上拡散ノズルによる吹き付け位置および吹き付け方向の少なくとも一方を変化させるノズル位置姿勢変更手段を備えることを特徴とする請求項14または15のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項17】
上記洗浄槽は吸気口と排気口を有し、上記洗浄媒体浮遊拡散手段は、上記排気口に接続された負圧供給手段と上記吸気口からなることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項18】
上記洗浄媒体加速手段は、気流を上記洗浄対象物に向けて吹き付ける洗浄媒体加速ノズルであることを特徴する請求項13に記載の乾式洗浄装置。
【請求項19】
上記洗浄媒体加速ノズルは、上記洗浄媒体がノズル内部を通過することによって加速されることを特徴とする請求項13または18に記載の乾式洗浄装置。
【請求項20】
洗浄動作中に上記洗浄媒体加速ノズルによる吹き付け位置および吹き付け方向の少なくとも一方を変化させるノズル位置姿勢変更手段を備えることを特徴とする請求項13,18および19のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項21】
洗浄動作中に上記洗浄対象物の姿勢を変化させるワーク姿勢変更手段を備えたことを特徴とする請求項12乃至20のいずれかに記載の乾式洗浄装置。
【請求項22】
上記ワーク姿勢変更手段は、その姿勢変化が2自由度以上あることを特徴とする請求項21に記載の乾式洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2012−16705(P2012−16705A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204584(P2011−204584)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【分割の表示】特願2006−339126(P2006−339126)の分割
【原出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】