説明

乾燥モズクを使用した除湿剤や乾燥剤。

【課題】
本発明は、モズクを乾燥すると元の容量の25分の1に乾燥されるが、この乾燥モズクに水分を加えると元の容量に戻る作用がある。この乾燥モズクを粉砕すると粉砕したモズクが水分を25倍に吸収する性質を利用し、他の袋に詰めたり、紙製品にすきこみ、又は製品と混合すると、他の製品の水分を吸収したり除湿したりする除湿剤や乾燥剤に利用することができる。
【解決手段】
乾燥モズクを粉砕して、このモズクが水分を吸収する性質を利用して除湿剤や乾燥剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥したモズクを除湿剤や乾燥剤に使用する事に関する。
【背景技術】
【0002】
モズクは国内の特定の地域の海で成育する褐藻類の海藻で、学問的にはナガマツモ目の3科6属6種に分類される。
【0003】
沖縄県で生育している太モズクは茶褐色または黒褐色のモズクで、成長すると茎の太さは0.5〜2.0ミリ、長さは30〜50センチに達し、茎にはヌルヌルしたヌメリが付着している。
【0004】
沖縄県ではこの太モズクを年間におよそ2万トンを生産し、主に塩漬けに加工して食品として全国に出荷している。近年このモズクの保存方法が改良され、モズクを冷凍で保存してこれを乾燥してから出荷する方法も採用されている。
【0005】
モズクを乾燥すると、ヌメリや茎等に含まれている水分が除去され、元の重量のおよそ25分の1に乾燥される。即ち1キログラムのモズクがわずか40グラムの重量に乾燥される。この乾燥したモズクに水分を加えると水分を吸収して元の容量のおよそ25倍に戻る作用がある。
【0006】
モズクを乾燥する方法として、天日乾燥、熱風乾燥、冷風乾燥、真空乾燥等の乾燥方法がある。
【0007】
天日乾燥方式は、直射日光の下で乾燥する製法で天候に左右される。モズクのヌメリ部分には多量の水分を含んでいるが、このヌメリ部分は粘着性があるため完全に乾燥するのに2〜3日を要し、ヌメリ部分が蒸篭等に付着して硬く凝固し剥がれ難くなる。
【0008】
熱風乾燥方式は、70〜80度の高温でモズクを乾燥し2〜3時間と比較的短時間で乾燥される利点がある。しかしモズクを高温で乾燥する為天日乾燥と同様、茎やヌメリ部分の水分を急激に除去するため、これらの茎やヌメリ部分は萎縮して硬くなり、水分を吸収しにくくなる欠点がある。
【0009】
冷風乾燥方式は、モズクを25〜30度の冷風にて20〜24時間と時間をかけて徐々に乾燥するため、元の量に戻るのに、お湯で2〜3分、水等では7〜10分で水分を吸収して元の容量に戻る。
【0010】
冷凍真空乾燥方式は、冷凍したモズクを密閉できる乾燥室に入れ、乾燥室内を真空状態にして、モズクを解凍しながら水分を吸引して湿気を取り去り乾燥する製法である。
【0011】
モズクを上記のいずれかの方法で乾燥するが、モズクが水分を吸収し元に戻り乾燥するには、冷風で乾燥する製法で乾燥したモズクや冷凍真空乾燥方式が他の乾燥方法より短時間で水分を吸収する利点がある。
【0012】
モズクの成分を分析すると、蛋白質・炭水化物・リン酸カリウム・窒素等のミネラル類と硫黄やナトリウム、その他アミノ酸に含まれている成長ホルモンの40数種類の成分を含有している。
【0013】
モズクの含有成分の量は、その年の季節やモズクの生産地によって多少異なるが、炭水化物(40〜60%)、灰分(15〜20%)、繊維類と蛋白(5〜10%)、脂肪とカリウム(2〜3%)、窒素(0.5〜1.5%)、リン酸(0.1〜0.2%)の順で含有し、微量ではあるが硫黄やナトリウム類も含有している。
【0014】
モズクが含有している炭水化物には、食物繊維やフコースを含有しているフコイダンや、アルギン酸、硫酸根、その他の糖分がある。
【0015】
モズクの食物繊維には多糖体の総称であるフコイダンを多く含有している。このフコイダンには各種の抗菌作用があり、植物を病害虫からの被害を予防し、土壌内で細菌類を死滅させたりする。
【0016】
モズクに含有する食物繊維とフコースの含有量を財団法人日本食品分析センターと、財団法人沖縄県環境科学分析センターに分析を依頼したところ、モズクの粉末100グラム中にフコースが24.4グラム、食物繊維が30.4グラム含有していることが判明した。
【0017】
多糖体の総称であるフコイダンは動植物の成長を促がし、人では胃に寄生してガン細胞を発生させる恐れのある「ピロリ菌」を排除し、抗腫瘍作用や免疫賦活作用.抗血液凝固作用等の効果があると言われている。
【0018】
フコイダンは癌細胞を「アポート−シス」(自然死)させる作用がある事が医学界で解明されている。一例としてオタマジャクシが蛙になる段階で尻尾が消えていく現象や、母親の体内で胎児の指にある水掻きが自然と無くなる現象をさしており、特にフコイダンが癌細胞に接触すると癌細胞が消滅したりすると言われている。
【0019】
本発明者は、モズクを乾燥すると他の海藻類より25倍も水分を吸収する作用があることに着目し、この乾燥したモズクを除湿剤や乾燥剤に利用する事を考案した。
【0020】
現在市販されている除湿剤や乾燥剤は、化学製品を使用したシリカゲルや生石灰、塩化カルシウム等があり、植物性の除湿剤としては竹炭等が利用されている。しかし海藻類のモズクを除湿剤や乾燥剤として使用している製品は見当たらない。
【0021】
【特許文献1】平成17年11月7日特許番号台3735839号 乾燥モズクの製造方法
【非特許文献1】財団法人日本食品分析センター、分析試験成績書、平成14年12月20日第402120117−001号
【非特許文献2】財団法人沖縄県環境化学分析センター、分析試験成績書平成17年6月21日第2005-B00921−01号
【非特許文献3】財団法人沖縄県環境化学分析センター、分析試験成績書、平成15年12月20日第402120117−001号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は海藻類のモズクを乾燥して乾燥したモズクを粉砕すると、乾燥したモズクが水分や湿気を吸収しておよそ25倍に膨れ、元の量に戻る作用がある。この作用を利用して除湿剤や乾燥剤として使用するが、除湿剤や乾燥剤に使用するモズクは、モズクの品質等にさほど関係なく使用することができ、収穫の時期を過ぎて海中に放置されているモズク等でも、これを乾燥すれば除湿剤や乾燥剤に使用する事ができる。
【0023】
除湿剤や乾燥剤として使用するモズクの乾燥方法には、水分や周囲の湿気の吸湿力を発揮させる為に4種の乾燥方法がある。
【0024】
モズクに含有されている水分を最大の25分の1に除去する乾燥する方法として天日乾燥、熱風乾燥、冷風乾燥、冷凍真空乾燥等があるが、これらの乾燥方法の中でモズクを冷風乾燥と冷凍真空乾燥にて乾燥する製法で乾燥したモズクが、他の水分を除去し除湿するのに適している。
【0025】
粉末にしたモズクに多量の水分を加えると、粉末は急激に水分を吸収しようとして外部の粉末が団子状に固まってしまう。団子状に固まった粉末は除湿剤としての効果が失われるので、モズクを粗粉砕して使用する方がよい。
【0026】
除湿剤や乾燥剤として使用するモズクは乾燥してこれを粉末等に加工するが、これらの粉末を用途により粗粉砕や微粉砕等に加工して使用する。
【0027】
乾燥したモズクを粗粉砕(1.0ミリ~3.0ミリ)すると、他の製品に接する溶積が大きくなり団子状に固まる心配がない。この粗粉砕されたモズクを袋や容器等に詰めて除湿剤や乾燥剤として使用すると、他の製品の湿気や水分を吸収する作用が大である。
【0028】
祖粉砕したモズクを紙製品の容器等に詰め食品の除湿剤や乾燥剤として使用するが、万一幼児等が誤って口に入れてもモズクは食材であるので人畜に無害である。また除湿剤や乾燥剤に使用したモズクを塵として土壌等に遺棄しても、土壌内の微生物がモズクを分解し自然の状態で土壌に還元される。
【0029】
微粉砕(0.1~0.5ミリ)したモズクの粉末をビニール製品や紙製品等に漉き込み壁紙や包装紙等に使用するが、この紙製品を袋の大きさに合わせて裁断し袋に詰めると、袋内で除湿剤や乾燥剤にとして有効に使用することが可能である。
【0030】
発明の効果
【0031】
これまで海藻類のモズクは食品以外の用途は考えられなかったが、モズクを乾燥すると元の容量の25分の1に乾燥され、乾燥したモズクに水等を加えると水分を吸収しておよそ25倍に膨れる作用がある。この乾燥モズクが水分を吸収する作用を利用して除湿剤や乾燥剤に使用すると、他の製品にない効果がある。
【0032】
モズクを食材に加工した残渣物を乾燥し、これを除湿剤や乾燥剤として使用すると、モズクを無駄なく使用する事が出来、環境に優しい利用方法としてモズクの利用価値が発揮される。
【0033】
加工して製品の袋や容器等に入れ除湿剤や乾燥剤として使用される乾燥モズクは、他の化学製品を使用した除湿剤のように、万一袋等が破損し幼児や子供等が口に入れたり皮膚に付着したりしても、人体に全く無害の除湿剤として安心して使用できる。
【0034】
除湿剤や乾燥剤として使用後のモズクの粉末等を、植物の堆肥として土壌に混合すると、土壌に生息しているバクテリア類がモズクの成分である食物繊維等を分解して土壌の団塊化を防ぎ、通気性や保水性を高める効果がある。
【0035】
乾燥したモズクを粉砕後紙製品等に漉き込み、この紙製品を壁紙や押入れ等の敷物に使用すると、これらの紙製品が室内等の湿気を除去したり、室内の湿度を調節したりする効果がある。
【0036】
乾燥したモズクを粉砕後、他の製品と混合し家畜の寝藁や小動物の敷物に利用すると、これらの動物が放尿した汚物等の水分を吸収して籠等の中の汚物等を除去する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
海藻類のモズクを乾燥すると元の容量の25分の1に乾燥されるが、この乾燥モズクが水分を25倍に吸収することを利用し、除湿や水分を除去する製品や用途に合わせ各種の除湿剤や乾燥剤に使用する。
【実施例】
【0038】
図1は、本発明の活用例を製造工程順に説明するためのフローチャートである。
【0039】
図1のaは、
【特許文献1】に記載した乾燥方法、又は他の乾燥方法により乾燥したモズクが、モズクが本来保有している有効成分を損なわないという特徴を有している。
【0040】
図1のbは、乾燥したモズクを粗粉砕又は微粉砕する工程で、乾燥したモズクを粉砕機にて粉砕する。
【0041】
図1のcは、モズクを粉砕する程度は、0.1ミリグラムの大きさより3.0ミリグラム程度の大きさに粉砕し袋等に詰める。
【0042】
図1のdは、粗粉砕されたモズクを更に微粉末に加工する工程である。粉末機によりさらに微細な粉末へ加工され、粒度が30〜50μm程度に粉砕し、紙製品等に漉き込む。
【0043】
図1のeは、粉砕したモズクを他の製品と混合する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示す工程図。
【符号の説明】
【0045】
図1
a 乾燥モズクを製造する。
b 乾燥モズクを粗粉砕する。
c 乾燥モズクを各種粉末に加工する。
d モズクの粉末を紙製品等に漉き込む。
e モズクの粉末を他の製品等と混合する。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥したモズクを水で戻すと、他の海藻類より水分を吸収する作用が大きく元の容量に戻る。この乾燥したモズクが水分を吸収する作用を利用して、周囲の水分や湿気を吸収し除去させたりすることを特徴とする除湿剤や乾燥剤。
【請求項2】
乾燥したモズクを粉砕して袋等に詰め、この袋等を他の袋の中に製品と一緒に詰めると、他の製品等の水分や湿気を吸収し除去する作用がある。この粉砕したモズクが他の袋内の水分や湿気を除去する事を特徴とする除湿剤や乾燥剤。
【請求項3】
乾燥したモズクを粉砕して紙製品等に漉き込み、壁紙や包装紙として使用すると、壁紙等に使用された製品や包装紙等で包装された製品等に、含有している水分や湿気等を除去する作用がある。このモズクを粉砕して紙製品等に漉き込んで壁紙等で使用し、あるいは包装紙等で包装された製品に含有されている水分や湿気を吸収し除去する事を特徴とする除湿剤や乾燥剤。
【請求項4】
乾燥したモズクを粉砕し他の製品と混合して動物の寝藁や敷物等に使用すると、動物が放尿した汚物等の水分を吸収する作用がある。この粉砕モズクを他の製品と混合し動物の寝藁や敷物に使用して、動物が放尿した汚物等の水分や湿気を除去する事を特徴とする除湿剤や乾燥剤。















【図1】
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【公開番号】特開2010−214278(P2010−214278A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62613(P2009−62613)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(302044395)有限会社ハマショク (9)
【Fターム(参考)】