説明

乾燥剤としての多孔性有機金属骨格材料

本発明は、少なくとも1種の金属イオンに配位結合した少なくとも1種の少なくとも二座の有機化合物を含有している多孔性有機金属骨格材料の使用であって、前記化合物が有機液体から水を減少させるかまたは取り除くための乾燥剤として使用される、多孔性有機金属骨格材料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥剤としての多孔性有機金属骨格材料の使用に関する。
【0002】
化学反応は、反応媒質として機能する溶媒を用いてしばしば実施される。そうしたものは、典型的には、有機溶媒またはそのような溶媒の混合物を含む、有機液体である。
【0003】
そのような化学反応では、反応収率を低下させるかまたはそのような反応の発生を完全に妨げる微量の水によって、問題が起こりうる。それゆえに有機液体から水を低減するための数多くの方法が開発されてきた。
【0004】
簡単に実行できる1つのことは、溶媒を乾燥剤と接触させて、溶媒中に存在する水が乾燥剤に結合し、その分だけ有機溶媒中の水の割合が減少するようにさせることである。
【0005】
既知のこのタイプの乾燥剤には、モレキュラーシーブ、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどがある。
【0006】
先行技術においてそうした乾燥剤が知られているにも関わらず、有機液体を乾燥させるのに特に有効な別の乾燥剤が必要とされている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、そのような用途のための新規の物質を提供することである。
【0008】
この目的は、有機液体から水を減少させるかまたは有機液体から水を取り除くための乾燥剤としての、少なくとも1種の金属イオンに配位結合した少なくとも1種の少なくとも二座の有機化合物を含む多孔性有機金属骨格材料の使用によって達成される。
【0009】
有機金属骨格材料は、吸着剤(特に、気体用または気体分離用の吸着剤)として働くことができるだけでなく、有機液体を乾燥させるのにも非常に適していることが見出された。
【0010】
それゆえに、多孔性有機金属骨格材料は、有機液体から水を減少させるための、または水を有機液体から除去するための乾燥剤として使用できる。
【0011】
そのような有機金属骨格材料(MOF)は、先行技術において既知であり、例えば、米国特許第5,648,508号明細書、欧州特許出願公開第0790253号明細書、M.O’Keeffe et al., J. Sol. State Chem., 152(2000), pp. 3−20、H. Li et al., Nature 402, (1999), p. 276、M. Eddaoudi et al., Topics in Catalysis , (1999), pp. 105−111、B. Chen et al., Science 291, (2001), pp. 1021−1023、および独国特許出願公開第10111230号明細書に記載されている。
【0012】
最近の文献に記載されているこうした有機金属骨格材料の特定グループは、特定の有機化合物が選択されるため、その骨組みは無限に伸張せずに多面体を形成する、「有限の」骨格材料である。A. C. Sudik, et al., J. Am. Chem. Soc. 127(2005), 7110−7118は、そのような特定骨格材料を記載している。本明細書では、それらを区別するために、それらを有機金属多面体(MOP)と呼ぶ。
【0013】
多孔性有機金属骨格材料の更なる特定グループは、配位子として使用される有機化合物が、ピロール、アルファ−ピリドンおよびガンマ−ピリドンよりなる群から選択される少なくとも1種の複素環から誘導されかつ少なくとも2個の環窒素を有する単環系、二環系または多環系であるものである。そのような骨格材料の電気化学的製造については、国際公開第2007/131955号パンフレットに記載されている。
【0014】
こうした特定グループは、本発明の目的に特に適している。
【0015】
本発明に従って使用される有機金属骨格材料は、細孔、特にミクロ細孔および/またはメソ細孔を含む。ミクロ細孔は直径が2nm以下の細孔と定義され、メソ細孔は2〜50nmの範囲の直径によって定義される。いずれの場合も、Pure & Applied Chem. 57(1983), 603−619(特に606頁)に示されている定義によるものである。ミクロ細孔および/またはメソ細孔の存在は、吸収測定によって調べることができる。こうした測定では、DIN 66131および/またはDIN 66134に従って77絶対温度での窒素についてのMOFの吸収容量を求める。
【0016】
Langmuirモデルに従って計算される(DIN 66131、66134)粉末形態の有機金属骨格材料の比表面積は、好ましくは100m2/gより大きく、より好ましくは300m2/gより上であり、より好ましくは700m2/gより大きく、さらにより好ましくは800m2/gより大きく、さらにより好ましくは1000m2/gより大きく、特に好ましくは1200m2/gより大きい。
【0017】
MOF成形体の有効表面積はもっと小さくてもよいが、好ましくは150m2/gより大きく、より好ましくは300m2/gより大きく、さらにより好ましくは700m2/gより大きい。
【0018】
本発明による骨格材料中の金属構成要素は、好ましくは、Ia、IIa、IIIa、IVa〜VIIIaおよびIb〜VIbの群から選択される。特に好ましいのは、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ln、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ro、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、TI、Si、Ge、Sn、Pb、As、SbおよびBi(ここで、Lnはランタニドを表す)である。
【0019】
ランタニドは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、En、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybである。
【0020】
こうした元素のイオンに関しては、特に、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh+、Ir2+、Ir+、Ni2+、Ni+、Pd2+、Pd+、Pt2+、Pt+、Cu2+、Cu+、Ag+、Au+、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、TI3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As+、Sb5+、Sb3+、Sb+、Bi5+、Bi3+およびBi+を挙げることができる。
【0021】
さらに特に好ましいのは、Zn、Al、Mg、Cu、Mn、Fe、Co、Ni、Ti、Zr、Y、Sc、V、In、Ca、Cr、Mo、W、Lnである。よりいっそう好ましいのは、Al、Cu、Zr、Y、Ln、MnおよびMgである。特に非常に好ましいのはCuである。
【0022】
「少なくとも二座の有機化合物」という用語は、所与の金属イオンとの少なくとも2つの配位結合を形成し、かつ/または2個以上(好ましくは、2個)の金属原子の各々との配位結合を形成することができる少なくとも1種の官能基を含む有機化合物を指す。
【0023】
上述の配位結合を形成できる官能基として、例えば、特に、−CO2H、−CS2H、−NO2、−B(OH)2、−SO3H、−Si(OH)3、−Ge(OH)3、−Sn(OH)3、−Si(SH)4、−Ge(SH)4、−Sn(SH)3、−PO3H、−AsO3H、−AsO4H、−P(SH)3、−As(SH)3、−CH(RSH)2、−C(RSH)3、−CH(RNH22、−C(RNH23、−CH(ROH)2、−C(ROH)3、−CH(RCN)2、−C(RCN)3を挙げることができ、ここで、Rは好ましくは、例えば、1、2、3、4または5個の炭素原子を有するアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、i−プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン、tert−ブチレンまたはn−ペンチレン基)であるか、または1個または2個の芳香環(例えば、適切な場合には縮合していてよく、かつ互いに独立にそれぞれの場合に少なくとも1個の置換基で適切に置換されていてよく、かつ/または互いに独立にそれぞれの場合に少なくとも1個のヘテロ原子、例えばN、Oおよび/またはSを含んでいてよい、2個のC6環)を含むアリール基である。同様に好ましい実施態様では、上述の基Rが存在しない官能基を挙げることができる。これに関連して、とりわけ、−CH(SH)2、−C(SH)3、−CH(NH22、−C(NH23、−CH(OH)2、−C(OH)3、−CH(CN)2または−C(CN)3を挙げることができる。
【0024】
しかし、官能基は複素環のヘテロ原子であってもよい。特に、ここでは、窒素原子を挙げることができる。
【0025】
少なくとも2個の官能基は、原則として任意の好適な有機化合物に結合しうるが、それは、そうした官能基を含んでいる有機化合物が配位結合を形成し、かつ骨格材料を生み出すことができることが確実である場合である。
【0026】
少なくとも2個の官能基を含む有機化合物は、好ましくは、飽和または不飽和の脂肪族化合物、または芳香族化合物、または脂肪族、芳香族化合物両方から誘導される。
【0027】
脂肪族化合物、または脂肪族、芳香族化合物両方の脂肪族部分は、直線状および/または分岐鎖および/または環式であってよく、1つの化合物当たり複数の環が存在することも可能である。脂肪族化合物、または脂肪族、芳香族化合物両方の脂肪族部分は、より好ましくは、1〜15個、より好ましくは1〜14個、より好ましくは1〜13個、より好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜11個、特に好ましくは1〜10個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を含む。ここで特に好ましいのは、とりわけ、メタン、アダマンタン、アセチレン、エチレンまたはブタジエンである。
【0028】
芳香族化合物、または芳香族−脂肪族化合物の芳香族部分は、1個以上の環、例えば、2、3、4または5個の環を有することができ、そうした環は互いに別個に存在でき、かつ/または少なくとも2個の環が縮合形態で存在できる。芳香族化合物、または脂肪族、芳香族化合物両方の芳香族部分は、特に好ましくは、1、2または3個の環を有し、1個または2個の環が特に好ましい。さらに、前記化合物の環は各々、互いに独立に、少なくとも1個のヘテロ原子(N、O、S、B、P、Si、Alなど、好ましくはN、Oおよび/またはS)を含むことができる。より好ましくは、芳香族化合物、または芳香族−脂肪族化合物の芳香族部分は、1個または2個のC6環を含み、2個の環の場合、それらは互いに別個に存在するか、または縮合形態で存在できる。特に挙げることのできる芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレンおよび/またはビフェニルおよび/またはビピリジルおよび/またはピリジルである。
【0029】
少なくとも二座の有機化合物は、より好ましくは、1〜18個、好ましくは1〜10個、特に6個の炭素原子を有し、加えて官能基としてもっぱら2、3または4個のカルボキシル基を有する、脂肪族または芳香族の、非環式または環式の炭化水素である。
【0030】
例えば、少なくとも二座の有機化合物は、次のようなジカルボン酸から誘導される:シュウ酸、コハク酸、酒石酸、1,4−ブタンジカルボン酸、1,4−ブテンジカルボン酸、4−オキソピラン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8−ヘプタデカンジカルボン酸、1,9−ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、1,3−ブタジエン−1,4−ジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、p−ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール−2,4−ジカルボン酸、2−メチルキノリン−3,4−ジカルボン酸、キノリン−2,4−ジカルボン酸、キノキサリン−2,3ジカルボン酸、6−クロロキノキサリン−2,3−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、キノリン−3,4−ジカルボン酸、7−クロロ−4−ヒドロキシキノリン−2,8−ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸、チオフェン−3,4−ジカルボン酸、2−イソプロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸、ペリレン−3,9−ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、Pluriol E 200−ジカルボン酸、3,6−ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、オクタジカルボン酸、ペンタン−3,3−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ベンジジン−3,3’−ジカルボン酸、1,4−ビス(フェニルアミノ)ベンゼン−2,5−ジカルボン酸、1、1’−ビナフチルジカルボン酸、7−クロロ−8−メチルキノリン−2,3−ジカルボン酸、1−アニリノアントラキノン−2,4’−ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン−250−ジカルボン酸、1,4−ビス(カルボキシメチル)ピペラジン−2,3−ジカルボン酸、7−クロロキノリン−3,8−ジカルボン酸、1−(4−カルボキシ)フェニル−3−(4−クロロ)フェニルピラゾリン−4,5−ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロロ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソイミダゾリジン−4,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸、2−ベンゾイルベンゼン−1,3−ジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソイミダゾリジン−4,5−cis−ジカルボン酸、2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、3,6,9−トリオキサウンデカンジカルボン酸、ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、Pluriol E 300−ジカルボン酸、Pluriol E 400−ジカルボン酸、Pluriol E 600−ジカルボン酸、ピラゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5,6−ジメチル−2,3−ピラジンジカルボン酸、(ビス(4−アミノフェニル)エーテル)ジイミドジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、(ビス(4−アミノフェニル)スルホン)ジイミドジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、8−メトキシ−2,3−ナフタレンジカルボン酸、8−ニトロ−2,3−ナフタレンカルボン酸、8−スルホ−2,3−ナフタレンジカルボン酸、アントラセン−2,3−ジカルボン酸、2’,3’−ジフェニル−p−テルフェニル−4,4’’−ジカルボン酸、(ジフェニルエーテル)−4,4’−ジカルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、4(1H)−オキソチオクロメン−2,8−ジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸、7,8−キノリンジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7−ヘプタジカルボン酸、5−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、フラン−2,5−ジカルボン酸、1−ノネン−6,9−ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、1−アミノ−4−メチル−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン−2,3−ジカルボン酸、2,9−ジクロロフルオルビン−4,11−ジカルボン酸、7−クロロ−3−メチルキノリン−6,8−ジカルボン酸、2,4−ジクロロベンゾフェノン−2’,5’−ジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、1−メチルピロール−3,4−ジカルボン酸、1−ベンジル−1H−ピロール−3,4−ジカルボン酸、アントラキノン−1,5−ジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2−ニトロベンゼン−1,4−ジカルボン酸、ヘプタン−1,7−ジカルボン酸、シクロブタン−1,1ジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、5,6−デヒドロノルボルナン−2,3−ジカルボン酸、5−エチル−2,3−ピリジンジカルボン酸またはカンファージカルボン酸など。
【0031】
少なくとも二座の有機化合物は、さらにより好ましくは、例として上に挙げたジカルボン酸の1つそれ自体である。
【0032】
例えば、少なくとも二座の有機化合物は、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、7−クロロ−2,3,8−キノリントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ[2,3−F]キノリン−2,7,9−トリカルボン酸、5−アセチル−3−アミノ−6−メチルベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、3−アミノ−5−ベンゾイル−6−メチルベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸またはアウリントリカルボン酸などの、トリカルボン酸から誘導することができる。
【0033】
少なくとも二座の有機化合物は、さらにより好ましくは、上に例として挙げたトリカルボン酸そのものである。
【0034】
テトラカルボン酸から誘導される少なくとも二座の有機化合物の例には、1,1−ジオキシドペリロ[1,12−BCD]チオフェン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸(ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸または(ペリレン1,12−スルホン)−3,4,9,10−テトラカルボン酸など)、ブタンテトラカルボン酸(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸またはメソ−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸など)、デカン−2,4,6,8−テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン−2,3,11,12−テトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12−ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10−デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸またはシクロペンタンテトラカルボン酸(シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸など)がある。
【0035】
少なくとも二座の有機化合物は、さらにより好ましくは、例として上に挙げたテトラカルボン酸の1つそれ自体である。
【0036】
好ましい実施態様では、少なくとも1種の少なくとも二座の有機化合物は、このようにしてジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸から誘導されるか、またはそのような酸である。
【0037】
本発明の目的において、「誘導される」という用語は、ジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸が、部分脱プロトン化形態または完全脱プロトン化形態で骨格材料中に存在しうることを意味する。さらに、ジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸は、1つの置換基または、互いに独立に複数の置換基を含みうる。そのような置換基の例には、−OH、−NH2、−OCH3、−CH3、−NH(CH3)、−N(CH32、−CNおよびハロゲン化物がある。さらに、「誘導される」という用語は、本発明の目的においては、ジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸が、対応する硫黄類似体の形でも存在しうることを意味する。硫黄類似体は、官能基−C(=O)SHおよびその互変異性体およびC(=S)SHであり、これらは1つ以上のカルボン酸基の代わりに使用できる。さらに、「誘導される」という用語は、本発明の目的においては、1つ以上のカルボン酸官能基をスルホン酸基(−SO3H)で置換できることを意味する。さらに、2、3または4個のカルボン酸官能基に加えて、スルホン酸基が存在することも同様に可能である。
【0038】
少なくとも二座の有機化合物として好ましい複素環(この場合、環ヘテロ原子を介して配位結合が形成される)は、以下の置換または非置換の環系である:
【化1】

【0039】
単環、二環、三環、四環またはそれ以上の環を有し、かつ各環が少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる(2つ以上の環が同一または異なるヘテロ原子を含むことができる)少なくとも一置換の芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸を、必要に応じて使用することが、特に非常に好ましい。例えば、単環ジカルボン酸、単環トリカルボン酸、単環テトラカルボン酸、二環ジカルボン酸、二環トリカルボン酸、二環テトラカルボン酸、三環ジカルボン酸、三環トリカルボン酸、三環テトラカルボン酸、四環ジカルボン酸、四環トリカルボン酸および/または四環テトラカルボン酸が好ましい。好適なヘテロ原子は、例えば、N、O、S、B、Pであり、ここで好ましいヘテロ原子はN、Sおよび/またはOである。これに関して挙げることができる好適な置換基は、とりわけ、−OH、ニトロ基、アミノ基あるいはアルキルまたはアルコキシ基である。
【0040】
特に好ましいのは、イミダゾレート(2−メチルイミダゾレートなど)、アセチレンジカルボン酸(ADC)、カンファージカルボン酸、フマル酸、コハク酸、ベンゼンジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(BDC)など)、アミノテレフタル酸、トリエチレンジアミン(TEDA)、ナフタレンジカルボン酸(NDC)、ビフェニルジカルボン酸(4,4’−ビフェニルジカルボン酸(BPDC)など)、ピラジンジカルボン酸(2,5−ピラジンジカルボン酸など)、ビピリジンジカルボン酸(2,2’−ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸などの2,2’−ビピリジンジカルボン酸など)、ベンゼントリカルボン酸(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸または1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)など)、ベンゼンテトラカルボン酸、アダマンタンテトラカルボン酸(ATC)、アダマンタンジベンゾエート(ADB)、ベンゼントリベンゾエート(BTB)、メタンテトラベンゾエート(MTB)、アダマンタンテトラベンゾエートまたはジヒドロキシテレフタル酸(2,5−ジヒドロキシテレフタル酸(DHBDC)など)を、少なくとも二座の有機化合物として使用することである。
【0041】
特に非常に好ましいのは、とりわけ、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、アミノBDC、TEDA、フマル酸、ビフェニルジカルボキシレート、1,5−および2,6−ナフタレンジカルボン酸、tert−ブチルイソフタル酸、ジヒドロキシ安息香酸である。
【0042】
特に、テレフタル酸、2,6−および1,5−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フマル酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)、トリメリト酸、グルタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸および4,5−イミダゾールジカルボン酸が好ましく、またそれらから誘導される酸も好ましい。特に非常に好ましいのはBTCである。
【0043】
こうした少なくとも二座の有機化合物に加えて、有機金属骨格材料は、1種以上の単座配位子および/または1種以上の少なくとも二座の配位子(ジカルボン酸からも、トリカルボン酸からもテトラカルボン酸からも誘導されないもの)をさらに含むことができる。
【0044】
こうした少なくとも二座の有機化合物に加えて、MOFは、1種以上の単座配位子をさらに含むことができる。
【0045】
MOFを製造するのに適した溶媒は、とりわけ、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メタノール、クロロベンゼン、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水、過酸化水素、メチルアミン、水酸化ナトリウム溶液、N−メチルピロリドン、エーテル、アセトニトリル、塩化ベンジル、トリエチルアミン、エチレングリコールおよびこれらの混合物である。さらに、MOF製造用の金属イオン、少なくとも二座の有機化合物および溶媒は、とりわけ、米国特許第5,648,508号明細書または独国特許出願公開第10111230号明細書に記載されている。
【0046】
有機金属骨格材料の細孔径は、適切な配位子および/または少なくとも二座の有機化合物を選択することによって制御できる。有機化合物が大きくなるほど、細孔径も大きくなるということがしばしばある。細孔径は、結晶物質では、好ましくは0.2nm〜30nm、特に好ましくは0.3nm〜3nmの範囲である。
【0047】
しかし、MOF成形体では大きな細孔も生じ、その径分布はさまざまでありうる。しかし、全細孔容積の50%より多く、特に75%より多くが、1000nmまでの細孔直径を有する細孔で構成されているのが好ましい。しかし、細孔容積の大部分は、好ましくは2種類の異なる直径範囲を有する細孔で構成される。したがって、全細孔容積の25%より多く、特に全細孔容積の50%より多くが、100nm〜800nmの直径範囲にある細孔で構成され、全細孔容積の15%より多く、特に全細孔容積の25%より多くが、10nmまでの直径範囲にある細孔で構成されるのがより好ましい。細孔分布は、水銀ポロシメトリーによって求めることができる。
【0048】
有機金属骨格材料の例を以下に示す。MOF、金属および少なくとも二座の配位子の名称に加えて、溶媒および格子パラメーター(角度α、βおよびγ、および大きさA、BおよびC(Å単位))も示してある。後者はX線回折で求めた。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2−1】

【0051】
【表2−2】

【0052】
【表3−1】

【0053】
【表3−2】

【0054】
【表4−1】

【0055】
【表4−2】

【0056】
【表5−1】

【0057】
【表5−2】

【0058】
【表6−1】

【0059】
【表6−2】

【0060】
【表7−1】

【0061】
【表7−2】

【0062】
【表8−1】

【0063】
【表8−2】

【0064】
【表8−3】

【0065】
【表8−4】

【0066】
【表8−5】

【0067】
【表9】

【0068】
ADC アセチレンジカルボン酸
NDC ナフタレンジカルボン酸
BDC ベンゼンジカルボン酸
ATC アダマンタンテトラカルボン酸
BTC ベンゼントリカルボン酸
BTB ベンゼン三安息香酸
MTB メタン四安息香酸
ATB アダマンタン四安息香酸
ADB アダマンタン二安息香酸。
【0069】
更なる有機金属骨格材料には、MOF−2〜4、MOF−9、MOF−31〜36、MOF−39、MOF−69〜80、MOF103〜106、MOF−122、MOF−125、MOF−150、MOF−177、MOF−178、MOF−235、MOF−236、MOF−500、MOF−501、MOF−502、MOF−505、IRMOF−1、IRMOF−61、IRMOP−13、IRMOP−51、MIL−17、MIL−45、MIL−47、MIL−53、MIL−59、MIL−60、MIL−61、MIL−63、MIL−68、MIL−79、MIL−80、MIL−83、MIL−85、CPL−1〜2、SZL−1(これらは文献に記載されている)がある。
【0070】
特に好ましい有機金属骨格材料は、MIL−53、Zn−tBu−イソフタル酸、Al−BDC、MOF−5、IRMOF−8、Cu−BTC、Al−NDC、Al−アミノBDC、Cu−BDC−TEDA、Zn−BDC−TEDA、Al−BTC、Al−NDC、Mg−NDC、Al−フマレート、Zn−2−メチルイミダゾレート、Zn−2−アミノイミダゾレート、Cu−ビフェニルジカルボキシレート−TEDA、MOF−177、MOF−74である。さらに好ましいのは、Al−BDCおよびAl−BTCである。
【0071】
より好ましい有機金属骨格材料は、Al−テレフタレート、Al−フマレート、Mn−テレフタレート、Mg−NDC、Y−BDC、Y−イミダゾールジカルボン酸、Al−イミダゾールジカルボン酸、Cu−BTCおよびZn−ジヒドロキシテレフタレートである。
【0072】
MOFの従来の上記製造方法、例えば、米国特許第5,648,508号明細書に記載されているものとは別に、これらは電気化学的方法で製造することもできる。これに関しては、独国特許出願公開第10355087号明細書および国際公開第2005/049892号パンフレットを参照することができる。このようにして製造される有機金属骨格材料は、化学物質(特に気体)の吸着および脱着に関して特に良好な性質を有する。
【0073】
製造方法にかかわりなく、有機金属骨格材料は粉末または結晶形態で得られる。これは、本発明にしたがって乾燥剤として、単独で、または他の乾燥剤またはさらなる物質と一緒に使用できる。さらに、有機金属骨格材料は成形体に変えることができる。
【0074】
したがって本発明はさらに、成形体としての本発明による有機金属骨格材料の使用を提供する。
【0075】
ここでの好ましい方法は、押し出し成形またはタブレット化である。成形体の製造では、バインダー、潤滑剤または他の添加剤などの更なる物質を有機金属骨格材料に加えることができる。さらに、骨格材料と他の乾燥剤との混合物を、成形体または分割成形体(後で成形体の混合物として使用する)として製造することも考えられる。
【0076】
こうした成形体の可能な形状は、原則としてどんな制約も受けない。例えば、可能な形状には、とりわけ、ペレット(円盤形状のペレットなど)、小球、球体、顆粒、押し出し成形品(棒、ハニカム、格子または中空体など)がある。
【0077】
成分B(Komponente B)は、好ましくは成形体として存在する。好ましい形態は、ペレットおよび棒状の押し出し成形品である。成形体は、好ましくは、空間の少なくとも1方向に0.2mm〜30mm、より好ましくは0.5mm〜5mm、特に1mm〜3mmの範囲で延びている。
【0078】
混合物の密度は、典型的には0.2〜0.7kg/リットルの範囲である。
【0079】
こうした成形体を製造するには、原則としてあらゆる好適な方法を使用できる。特に、以下の方法が好ましい:
− 骨格材料を単独で、または少なくとも1種のバインダーおよび/または少なくとも1種のペースト化剤および/または少なくとも1種の鋳型化合物と一緒に混練して混合物を得;得られた混合物を、押し出し成形など少なくとも1種の好適な方法によって成形し;場合により押し出し成形品の洗浄および/または乾燥および/またはか焼を行い;場合により仕上げ処理を行う。
− 骨格材料を少なくとも1種の場合により多孔質の支持物質に施す。その後、得られた物質を上記の方法でさらに処理して、成形体を得る。
− 骨格材料を少なくとも1種の場合により多孔質の基材に施す。
【0080】
混練および成形は、任意の好適な方法、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie, 4th edition,volume 2,p.313 ff.(1972)に記載されている方法で実施できる。その関連内容はすべて本特許出願に援用する。
【0081】
例えば、混練および/または成形は、好ましくは、ピストンプレス、少なくとも1種のバインダーの存在下または非存在下でのローラープレス、コンパウンディング、ペレット化、タブレット化、押し出し成形、同時押出、発泡成形、スピニング、コーティング、顆粒化(好ましくはスプレー顆粒化)、吹き付け、噴霧乾燥またはこれらの方法の2つ以上を組み合わせて実施できる。
【0082】
特に非常に好ましいのは、ペレットおよび/またはタブレットの製造である。
【0083】
混練および/または成形は、高温で(例えば室温から300℃の範囲で)、および/または超大気圧下で(例えば、大気圧から数百バールの範囲で)、および/または保護気体雰囲気中で(例えば、少なくとも1種の希ガス、窒素またはそれらの2種類以上の混合物の存在下で)実施することができる。
【0084】
混練および/または成形は、更なる実施態様では、少なくとも1種のバインダーを添加して実施され、使用するバインダーは基本的には、混練および/または成形される組成物の混練かつ/または成形にとって望ましい粘度を確実にする任意の化合物にすることができる。したがってバインダーは、本発明の目的においては、増粘化合物かまたは減粘化合物のいずれかにすることができる。
【0085】
好ましいバインダーには、例えば、とりわけ酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムを含むバインダー(例えば、国際公開第94/29408パンフレットに記載)、二酸化ケイ素(例えば、欧州特許出願公開第0592050(A1)号明細書に記載)、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物(例えば、国際公開第94/13584号パンフレットに記載)、粘土鉱物(例えば、特開平03−037156号公報に記載)で、例えば、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ハロサイト、ディッカイト、ナクライトおよびアナウキサイト、アルコキシシラン(例えば、欧州特許第0102544(B1)号明細書に記載)で、例えば、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなど)、または、例えば、トリアルコキシシラン(トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリブトキシシランなど)、アルコキシチタネートで、例えば、テトラアルコキシチタネート(テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネートなど)、または、例えば、トリアルコキシチタネート(トリメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、トリプロポキシチタネート、トリブトキシチタネートなど)、アルコキシジルコネートで、例えば、テトラアルコキシジルコネート(テトラメトキシジルコネート、テトラエトキシジルコネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネートなど)、または、例えば、トリアルコキシジルコネート(トリメトキシジルコネート、トリエトキシジルコネート、トリプロポキシジルコネート、トリブトキシジルコネートなど)、シリカゾルおよび/または両親媒性物質および/またはグラファイトがある。特にグラファイトが好ましい。
【0086】
増粘化合物として、例えば、適切な場合には上述の化合物に加えて、有機化合物および/または親水性ポリマー(セルロースまたはセルロース誘導体(メチルセルロースなど)など)および/またはポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレートおよび/またはポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルピロリドンおよび/またはポリイソブテンおよび/またはポリテトラヒドロフランを使用することも可能である。
【0087】
ペースト化剤として、とりわけ、好ましくは、水または少なくとも1種のアルコール(1〜4個の炭素原子を有するモノアルコールなど)、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールまたは2−メチル−2プロパノール、あるいは水と既述のアルコールの少なくとも1種との混合物を使用するか、あるいはグリコールなどの多価アルコール、好ましくは、水混和性多価アルコールを単独で、または水および/または既述の一価アルコールの少なくとも1種との混合物として使用することができる。
【0088】
混練および/または成形に使用できる更なるなる添加剤には、とりわけ、アミンまたはアミン誘導体(テトラアルキルアンモニウム化合物またはアミノアルコールなど)およびカーボネート含有化合物(炭酸カルシウムなど)がある。更なるそのような添加剤については、例えば、欧州特許出願公開第0389041(A1)号明細書、欧州特許出願公開第0200260(A1)号明細書または国際公開第95/19222号パンフレットに記載されている。
【0089】
成形および混練の間の、鋳型化合物、バインダー、ペースト化剤、増粘物質などの添加剤の順序は、原則として重要ではない。
【0090】
さらに好ましい実施態様では、混練および/または成形によって得られる成形体に対して少なくとも1回の乾燥工程を施す。乾燥工程は、一般に25〜300℃の範囲、好ましくは50〜300℃の範囲、特に好ましくは100〜300℃の範囲の温度で実施される。減圧下または保護気体雰囲気下での乾燥または噴霧乾燥による乾燥も、実施することができる。
【0091】
特に好ましい実施態様では、添加剤として添加される化合物の少なくとも1種は、この乾燥工程の間に成形体から少なくとも部分的に取り除かれる。
【0092】
乾燥のための本発明による使用は、有機液体を多孔性有機金属骨格材料と接触させて行われる。これは静的乾燥または動的乾燥によって達成できる。静的乾燥では、乾燥剤を有機液体に添加し、再び除去するが、動的乾燥の場合には、有機液体が乾燥剤中を流れる。
【0093】
吸収容量を増やすために、多孔性有機金属骨格材料は、本発明による使用の前に加熱することによって、それ自体に対して乾燥工程を実施できる。この工程において、多孔性有機金属骨格材料は本発明の意味において活性化される。
【0094】
有機金属骨格材料は、典型的には、約100℃〜200℃まで加熱することによって活性化される。この際に、減圧を施すかまたは窒素などの保護気体を使用できる。ここでは、微量の水のほかに、二酸化炭素を除去することができ、その結果として水の吸収容量を増やすことができる。
【0095】
多孔性有機金属骨格材料は、水を吸収した後、加熱することによって再生させることもできる。
【0096】
適切な多孔性有機金属骨格材料を選択した場合、特に銅含有有機金属骨格材料を使用した場合、水の吸収度が色の変化で示されるようにすることも可能である。
【0097】
有機液体はあらゆる有機液体であってよい。それは、典型的には、特定濃度の水を有する有機溶媒または有機溶媒混合物である。
【0098】
有機液体は、好ましくは、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アミド、場合によりハロゲン化されていてもよい炭化水素、ニトリル、アミン、硫黄含有有機液体、ニトロ化合物またはこれらの混合物である。
【0099】
そのような有機液体の例には、消毒薬、無機または有機溶媒、燃料(特にガソリンまたはディーゼル油)、油圧油、冷却液、ブレーキ液またはブレーキ油、特に機械油がある。有機液体は、ハロゲン化脂肪族または芳香族の、環式または非環式の炭化水素またはこれらの混合物であってもよい。特に、この液体は、アセトン、アセトニトリル、アニリン、アニソール、ベンゼン、ベンゾニトリル、ブロモベンゼン、ブタノール、tert−ブタノール、キノリン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、氷酢酸、無水酢酸、酢酸エチル、エタノール、炭酸エチレン、二塩化エチレン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ホルムアミド、ヘキサン、イソプロパノール、メタノール、メトキシプロパノール、3−メチル−1−ブタノール、塩化メチレン、メチルエチルケトン、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ピペリジン、プロパノール、炭酸プロピレン、ピリジン、硫化水素、スルホラン、テトラクロロエテン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、トルエン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、トリエチルアミン、トリエチレングリコールまたはこれらの混合物であってよい。
【0100】
特に、有機液体は、トルエン、アセトニトリルまたはヘプタノールである。
【0101】
実施例1 Cu−BTCの有機金属骨格材料の製造
27.8kgの無水CuSO4を、12.84kgの1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)と共に330kgのエチレングリコール中に懸濁させ、N2でおおう。容器を110℃にし、攪拌しながら合成混合物をその温度に12時間維持する。その溶液を50℃まで冷やし、N2ブランケット下において加圧濾過器で濾過する。濾過ケークを4×50リットルのメタノールで洗浄し、窒素を用いて96時間、送風乾燥させる。
【0102】
実施例2 トルエンの乾燥
100gのトルエンを三角フラスコ中に入れ、1gの水を加える。実施例1で述べたようにして得られた骨格材料10gを、140℃で真空乾燥オーブン内において16時間予備乾燥させてから、トルエンに加える。その懸濁液を、室温でマグネチックスターラーを用いて3時間攪拌する。有機相の水分は、実験の初め(有機金属骨格材料を添加する前)および実験の最後に、カール−フィッシャー法で滴定によって求める。有機相の水分が乾燥手順によって0.06質量%から0.02質量%へと減少したことが見出される。
【0103】
実施例3 アセトニトリルの乾燥
100gのアセトニトリルを三角フラスコ中に入れ、1gの水を加える。実施例1で述べたようにして得られた骨格材料10gを、140℃で真空乾燥オーブン内において16時間予備乾燥させてから、アセトニトリルに加える。その懸濁液を、室温でマグネチックスターラーを用いて3時間攪拌する。有機相の水分は、実験の初め(有機金属骨格材料を添加する前)および実験の最後に、カール−フィッシャー法で滴定によって求める。有機相の水分が乾燥手順によって1.0質量%から0.65質量%へと減少したことが見出される。
【0104】
実施例4 ヘプタノールの乾燥
100gのヘプタノールを三角フラスコ中に入れ、1gの水を加える。実施例1で述べたようにして得られた骨格材料10gを、140℃で真空乾燥オーブン内において16時間予備乾燥させてから、ヘプタノールに加える。その懸濁液を、室温でマグネチックスターラーを用いて3時間攪拌する。有機相の水分は、実験の初め(有機金属骨格材料を添加する前)および実験の最後に、カール−フィッシャー法で滴定によって求める。有機相の水分が乾燥手順によって1.0質量%から0.51質量%へと減少したことが見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機液体から水を減少させるかまたは有機液体から水を取り除くための乾燥剤としての、少なくとも1種の金属イオンに配位結合した少なくとも1種の少なくとも二座の有機化合物を含む多孔性有機金属骨格材料の使用。
【請求項2】
前記有機液体が、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アミド、場合によりハロゲン化されていてもよい炭化水素、ニトリル、アミン、硫黄含有有機液体、ニトロ化合物またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記有機液体が、トルエン、アセトニトリルまたはヘプタノールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記少なくとも1種の金属イオンが、Zn、Al、Mg、Cu、Mn、Fe、Co、Ni、Ti、Zr、Y、Sc、V、In、Ca、Cr、Mo、Wおよびランタニドよりなる群から選択される金属のイオンであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記少なくとも1種の金属イオンが金属銅のイオンであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記少なくとも1種の少なくとも二座の有機化合物が、ジカルボン酸、トリカルボン酸またはテトラカルボン酸から誘導されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記少なくとも1種の少なくとも二座の有機化合物が1,3,5−ベンゼントリカルボン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記有機金属骨格材料が成形体として存在することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2011−509825(P2011−509825A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543502(P2010−543502)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050747
【国際公開番号】WO2009/092777
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】