説明

乾燥暖房機

【課題】風路構造の目詰まりにより送風量の減少が生じた場合に、電源電圧のばらつきの影響を受けにくくする乾燥暖房機を提供すること。
【解決手段】初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、初期ヒーター抵抗をR0、現在電源電圧をE、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、I0、及びR0を記憶し、演算手段は、その後の運転中において、補正現在ヒーター抵抗Rを、R=E0/(I×E/E0)を含む計算式により算出し、制御手段は、R>R0であるとき循環送風機6の駆動モーターの回転数を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーターを搭載した乾燥暖房機に関し、特にPTCヒーターの電気的特性を利用した風路閉塞の判定とその補正動作に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミストサウナ装置などを含む乾燥暖房機において、風路内に設置されるPTCヒーターは、その送風量が多いほど対流による放熱量が増加するためヒーター出力が増加し、また、送風量が低下すると放熱量も低下しその出力も低下することが知られている。
【0003】
図7は、PTCヒーターの通過風量と電気抵抗の特性を示す概略のグラフを示す図である。つまり、PTCヒーターは、図7に示されるように送風量によって電気抵抗が変化し送風量が多いほど電気抵抗は低下する特性となり、電圧一定の条件下であれば電流は送風量の変化とともに変化する。そのため、逆にヒーター通電電流の変化に基づいて送風量の増減を知ることができる。従来、このような特性を利用して、ヒーター電流を検知して電流値が一定となるようにファン送風量を変化させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−325199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、PTCヒーターの電源電圧と電気抵抗の特性を示す概略のグラフを示す図である。図9は、PTCヒーターの空気流の温度による電気抵抗の温度特性を示す概略のグラフを示す図である。PTCヒーターは、上記図7に示す特性に加えて、図8に示すように、電圧の上昇とともにヒーター抵抗が上昇する特性を持っている。また、図9に示すように、空気流温度の上昇とともにヒーター抵抗が上昇する特性も持っている。
【0006】
上記従来の提案の場合、ヒーター電流を検知して電流値が一定となるようにファン送風量を変化させるので、ファン送風量の増加によりPTCヒーターの出力が確保され、乾燥時間の遅延をある程度防止することができる。
【0007】
ところで、使用条件のなかで、電源電圧は、設置地域、使用時間帯によって時々異なり高低が生じている。しかしながら、上記従来の提案の場合、予め設定した時の電流値設定値とその後の使用条件で、補正動作の基準となる電流値は同じ電源電圧下のものでないので、その時点での電流値は設定条件時と同じ条件での風路状態を反映していない。
【0008】
すなわち、上記従来の提案の場合、図8の特性を考慮していない。そのため、風量制御に対して適切な指標とならず、例えば、電源電圧が高い時は電流値も高くなりフィルターなどが目詰まりして風量が低下していることを判断できない。一方、電源電圧が低い時は電流値も低くなりフィルターなどが目詰まりしていないにも関わらず目詰まりと誤判定をしてしまうような問題が生じる。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、PTCヒーターを搭載した乾燥暖房機において、風路構造の目詰まりにより送風量の減少が生じた場合において、送風量を増加する制御の判定を、PTCヒーターの初期の電気抵抗と電流を記憶し、使用中ではPTCヒーターの電気抵抗と電流値を記憶された初期値と比較することによって、電源電圧のばらつきの影響を受けにくくする乾燥暖房機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の乾燥暖房機は、室内に臨む吸入口と吹出口との間に形成された一連の風路構造を持つ装置本体と、風路構造に吸入口から吹出口に向かう空気流を形成する循環送風機と、循環送風機の下流側の風路構造に設けられ、空気流を加熱するともに、空気流の風量に応じて電気抵抗値を変化させ、この風量が大きい程電気抵抗値を小さくするヒーターと、循環送風機の駆動モーターの回転数の回転数検知手段と、循環送風機の駆動モーターの回転数を可変する制御手段と、ヒーターに流れるヒーター電流を検知する電流検知手段と、装置本体に供給されている電源電圧を検知する電源電圧検知手段と、演算手段と、記憶手段とを備え、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、初期ヒーター抵抗をR0、現在電源電圧をE、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、I0、及びR0を記憶し、演算手段は、補正現在ヒーター抵抗Rを、R=E0/(I×E/E0)を含む計算式により算出し、制御手段は、R>R0であるとき循環送風機の駆動モーターの回転数を大きくすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の乾燥暖房機は、室内に臨む吸入口と吹出口との間に形成された一連の風路構造を持つ装置本体と、風路構造に吸入口から吹出口に向かう空気流を形成する循環送風機と、循環送風機の下流側の風路構造に設けられ、空気流を加熱するともに、空気流の風量に応じて電気抵抗値を変化させ、この風量が大きい程電気抵抗値を小さくするヒーターと、循環送風機の駆動モーターの回転数の回転数検知手段と、循環送風機の駆動モーターの回転数を可変する制御手段と、ヒーターに流れるヒーター電流を検知する電流検知手段と、装置本体に供給されている電源電圧を検知する電源電圧検知手段と、演算手段と、記憶手段とを備え、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、現在電源電圧をE、比例定数をα、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、及びI0を記憶し、演算手段は、基準電流Iaを、Ia=I0+α(E0−E)を含む計算式により算出し、制御手段は、I>Iaであるとき循環送風機の駆動モーターの回転数を小さくし、I<Iaのとき、循環送風機のモーター回転数を大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乾燥暖房機によれば、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、初期ヒーター抵抗をR0、現在電源電圧をE、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、I0、及びR0を記憶し、演算手段は、その後の運転中において、補正現在ヒーター抵抗Rを、R=E0/(I×E/E0)を含む計算式により算出し、制御手段は、R>R0であるとき循環送風機の駆動モーターの回転数を大きくするので、電源電圧のばらつきの影響を受けずに正確にヒーター抵抗値を得ることができ、この補正現在ヒーター抵抗が初期ヒーター抵抗に対し上昇している場合に、目詰まりによる風量低下があったと判断し、循環ファンの回転数を上昇させ風量を増加させ風量を補うので、ヒーター出力および温風到達距離を維持することができる。
【0013】
また、本発明の他の乾燥暖房機によれば、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、現在電源電圧をE、比例定数をα、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、及びI0を記憶し、演算手段は、その後の運転中において、基準電流Iaを、Ia=I0+α(E0−E)を含む計算式により算出し、制御手段は、I>Iaであるとき循環送風機の駆動モーターの回転数を小さくし、I<Iaのとき、循環送風機のモーター回転数を大きくするので、電源電圧のばらつきの影響を受けずに正確に基準電流を得ることができ、現在ヒーター電流が基準電流に対して異なる値であるとき、目詰まりによる風量低下があったと判断し、循環ファンの回転数を上昇させ風量を増加させ風量を補うので、ヒーター出力および温風到達距離を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の横断面図である。
【図2】図2は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の制御ブロック図である。
【図3】図3は、この発明に係る実施の形態1のミストサウナ装置のフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態2のフローチャートを示す図である。
【図5】図5は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態3のフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態4のフローチャートを示す図である。
【図7】図7は、PTCヒーターの通過風量と電気抵抗の特性を示す概略のグラフを示す図である。
【図8】図8は、PTCヒーターの電源電圧と電気抵抗の特性を示す概略のグラフを示す図である。
【図9】図9は、PTCヒーターの空気流の温度による電気抵抗の温度特性を示す概略のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る乾燥暖房機の実施の形態としてミストサウナ装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態1の横断面図である。図1に示されるように、ミストサウナ装置の装置本体2の室内に臨む前面は、前面パネル1により覆われている。そして、装置本体2には、前面パネル1を介して空気を入出する循環吸込口(吸込口)3と循環吹出口(吹出口)4とが設けられている。循環吸込口3と循環吹出口4との間に一連の風路構造5が形成されている。この風路構造5の上流の位置には、循環吸込口3から循環吹出口4に向かう空気流を形成する循環送風機6が設けられている。
【0017】
風路構造5には、循環送風機6から下流(空気流の流れる方向)に向かって、温風ヒーター(PTCヒーター)7、超音波振動子(上流側)10、蒸発促進材9、及び超音波振動子(下流側)10、及びセパレータ12がこの順番に配設されている。超音波振動子10は、蒸発促進材9を挟むようにして水タンク11の底位置に設けられている。
【0018】
浴室空気は循環送風機6によって循環吸込口3から吸い込まれ風路構造5に送風される。風路構造5内においては、吸込した空気は温風ヒーター7によって加熱され、この加熱された空気は蒸発促進材9を通過して風路構成部材13を通って浴室に戻る。蒸発促進材9は上流側の超音波振動子10によって常に濡れた状態とされており、この濡れた状態の蒸発促進材9を加熱された空気が通過するので、蒸発促進材9表面の水分の蒸発が促進される。このため、通過した空気は蒸発促進材9の通過後に加湿され高湿空気となっている。蒸発促進材の9の下流側の超音波振動子10によって発生されたミストは蒸発促進材9通過後の高湿空気と混合し浴室に吹き出される。高湿空気とミストの混合ではミストの蒸発は起こらず、可視ミストとして浴室に吹き出される。
【0019】
図2は、この発明に係る乾燥暖房機の制御ブロック図である。制御動作の中心となる制御手段8には、記憶手段(EPROM:Erasable Programmable Read Only Memory等)21と演算手段22が接続されている。制御手段8は、モーター駆動回路23を介して循環送風機6の駆動モーターを駆動する(駆動モーターの回転数を可変する)。一方、モーター回転数検知手段(回転数検知手段)24にて検出された駆動モーターの回転数は、制御手段8に入力され、制御動作に使用される。
【0020】
温風ヒーター7に流れる電流がヒーター電流検知手段(電流検知手段)25にて検出され、制御手段8に入力されている。装置本体2に供給されている電源電圧を検知する電源電圧検知手段26が設けられ、その出力が制御手段8に入力されている。また、循環吸込口3の近傍に、循環吸込口3から吸入した空気流の温度を検知する吸込温度サーミスタ(吸入温度検出手段)14が設けられており、その出力が制御手段8に入力されている。
【0021】
そして、制御手段8は、ヒーター電流検知手段25、電源電圧検知手段26、及び吸込温度サーミスタ14によって検知された吸込温度といった状況情報の記憶手段21への記憶を行い、また、それにもとづいて温風ヒーター7、超音波振動子10、循環送風機(の駆動モーター)6の動作を制御する。
【0022】
図3は、本実施の形態のミストサウナ装置のフローチャートを示す図である。図3に沿って動作を説明する。まず、ミストサウナ装置が所定の設置場所に設置された後、電源が入れられて(ステップ3a)、無線等により接続されているコントローラ等の操作によって設置後最初にミスト運転(暖房、乾燥)などのPTCヒーター7を使用する温風使用モード(ステップ3b)が選択運転されると、ステップ3cにて、制御手段8は、初期電源電圧E0、初期ヒーター電流I0、及び初期ヒーター抵抗R0が、記憶手段21に記憶されているか否かを確認する。
【0023】
そして、これら初期値が記憶手段21に記憶されてないとき(ステップS3c:No)安定した初期値を得るため例えば30分間の平均値の、電源電圧、ヒーター電流、及びヒーター抵抗を取得して、これを初期電源電圧、初期ヒーター電流I0、及び初期ヒーター抵抗R0として記憶手段21に記憶する(ステップS3d)。記憶手段21に記憶されたこれら初期値は、一度記憶されると、コントローラ等の操作によって意図的に消去されるまではクリアされない。
【0024】
その後、演算手段22により、補正された現在のヒーター抵抗が算出される(ステップ3e)。この補正現在ヒーター抵抗Rは、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、現在電源電圧をE、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、
R=E0/(I×E/E0)
の計算式により算出する(尚、計算式はその他の要素を含んでもよい)。このようにヒーター抵抗を現在電源電圧により補正することで、図8に示すような、電圧の上昇とともにヒーター抵抗も上昇するPTCヒーター7の温度特性を補正することができる。
【0025】
その後、ステップ3fに移行して、制御手段8は、算出された補正現在ヒーター抵抗Rと初期ヒーター抵抗R0とを比較する。そして、
R>R0
であるときに(ステップS3f:Yes)、つまり、補正現在ヒーター抵抗Rが初期ヒーター抵抗R0より大きくなっているとき(この判断は、例えば、5%程度の誤差を含む)には、風路構造5内に目詰まりが生じて総風量が低下したと判断し、循環送風機6の駆動モーターの回転数Nを所定回転数(例えば+100rpm)だけ大きくする(ステップ3g)。
【0026】
その後、ステップ3eに戻り同じ動作を繰り返す。この動作は、算出された補正現在ヒーター抵抗Rが初期ヒーター抵抗R0以上になる(この判断も5%程度の誤差を含む)まで繰りかえされる。その後、循環送風機6の駆動モーターの回転数を維持した状態で(ステップ3h)。運転タイマーがタイムアップするまで(ステップ3i)、運転が行われる。
【0027】
以上のように本実施の形態においては、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、初期ヒーター抵抗をR0、現在電源電圧をE、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段21は、装置設置後の最初の運転時にE0、I0、及びR0を記憶し、演算手段22は、その後の運転中において、補正現在ヒーター抵抗Rを、R=E0/(I×E/E0)を含む計算式により算出し、制御手段8は、R>R0であるとき循環送風機6の駆動モーターの回転数を大きくするので、電源電圧のばらつきの影響を受けずに正確にヒーター抵抗値を得ることができ、この補正現在ヒーター抵抗が初期ヒーター抵抗に対し上昇している場合に、目詰まりによる風量低下があったと判断し、循環ファンの回転数を上昇させ風量を増加させ風量を補うので、ヒーター出力および温風到達距離を維持することができる。
【0028】
実施の形態2.
図4は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態2のフローチャートを示す図である。図4において、ステップ3a〜3d、及びステップ3h、3iは、実施の形態1のものと同様の動作をする。
【0029】
ステップ4eにおいて、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、現在電源電圧をE、及び比例定数をαとしたとき、本実施の形態の演算手段22は、基準電流Iaを、 Ia=I0+α(E0−E)
の計算式により算出する(尚、計算式はその他の要素を含んでもよい)。αはPTCヒーター7固有の定数であり、電圧に対する電気抵抗の比例定数である。上記計算式により求めた基準電流Iaは、電圧変動に伴う電流変化を初期電流に加えることで、電圧による電流変化分を加味したものとなるため、現在電圧における基準電流となる。
【0030】
その後、ステップ4fに移行して、制御手段8は、算出された基準電流Iaと現在ヒーター電流Iとを比較する。そして、
Ia=I
でないときに(ステップS4f:No)、つまり、算出された基準電流Iaと現在ヒーター電流Iとが同じでないとき(例えば5%程度の誤差を含む)には、風路構造5内に目詰まりが生じて総風量が低下したと判断し、循環送風機6の駆動モーターの回転数を調整する(ステップ4g)。
【0031】
その後、ステップ4eに戻り同じ動作を繰り返す。この動作は、算出された基準電流Iaと現在ヒーター電流Iとが一致する(例えば5%程度の誤差を含む)まで繰りかえされる。
【0032】
なお、ステップ4f、4gの基準電流Iaと現在ヒーター電流Iとの比較、及び循環送風機6の駆動モーターの回転数の調整に関しては、現在のヒーター電流Iが基準電流Iaを超えるとき、つまり、
I>Ia
のとき、循環送風機6のモーター回転数を小さくする。
【0033】
一方、現在のヒーター電流Iが基準電流Iaを下まわるとき、つまり、
I<Ia
のとき、循環送風機6のモーター回転数を大きくする。
【0034】
以上のように本実施の形態においては、初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、現在電源電圧をE、比例定数をα、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、記憶手段21は、装置設置後の最初の運転時にE0、及びI0を記憶し、演算手段22は、その後の運転中において、基準電流Iaを、Ia=I0+α(E0−E)を含む計算式により算出し、制御手段8は、I>Iaであるとき循環送風機6の駆動モーターの回転数を小さくし、I<Iaのとき、循環送風機6のモーター回転数を大きくするので、電源電圧のばらつきの影響を受けずに正確な基準電流Iaを得ることができ、現在ヒーター電流が基準電流に対して異なる値であるとき、目詰まりによる風量低下があったと判断し、循環ファンの回転数を上昇させ風量を増加させ風量を補うので、ヒーター出力および温風到達距離を維持することができる。
【0035】
実施の形態3.
図5は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態3のフローチャートを示す図である。図5において、ステップ3a、3b、3d、及びステップ3h、3iは、実施の形態1のものと同様の動作をする。
【0036】
本実施の形態においては、ステップ5cでは、実施の形態1のステップ3cにおいて、記憶手段21に記憶した初期値にさらに加えて、吸入空気流の初期温度T0を記憶手段21に記憶する。吸入空気流の温度は、吸込温度サーミスタ14によって検出する。
【0037】
その後、ステップ5eにて、演算手段22により、さらに空気流の温度により補正された現在のヒーター抵抗が算出される。すなわち、本実施の形態の補正現在ヒーター抵抗Rは、吸入空気流の初期温度をT0、吸入空気流の現在温度をTとしたとき、
R=E0/(I×E/E0)+β(T0−T)
の計算式により算出する(尚、計算式はその他の要素を含んでもよい)。βはPTCヒーター固有の定数であり、温度に対する電気抵抗の比例定数である。
【0038】
その後、ステップ5fに移行して、制御手段8は、算出された補正現在ヒーター抵抗Rと初期ヒーター抵抗R0とを比較する。そして、
R>R0
であるときに(ステップS5f:Yes)、つまり、補正現在ヒーター抵抗Rが初期ヒーター抵抗R0より大きくなっているときには、風路構造5内に目詰まりが生じて総風量が低下したと判断し、循環送風機6の駆動モーターの回転数Nを所定回転数だけ大きくする(ステップ5g)。
【0039】
その後、ステップ5eに戻り同じ動作を繰り返す。この動作は、算出された補正現在ヒーター抵抗Rが初期ヒーター抵抗R0以上になる)まで繰りかえされる。その後、循環送風機6の駆動モーターの回転数を維持した状態で(ステップ3h)。運転タイマーがタイムアップするまで(ステップ3i)、運転が行われる。
【0040】
以上のように本実施の形態においては、ステップ5cにおいて、実施の形態1のものに加え、吸入空気流の初期温度T0を記憶手段21に記憶させ、ステップ5eにて、吸入空気流の初期温度T0と吸入空気流の現在温度をTとを用いて、さらに補正された補正現在ヒーター抵抗Rを算出するので、より精度を向上させることが可能となる。
【0041】
実施の形態4.
図6は、この発明に係る乾燥暖房機(ミストサウナ装置)の実施の形態4のフローチャートを示す図である。図6において、ステップ3a、3b、3d、及びステップ3h、3iは、実施の形態1のものと同様の動作をする。また、ステップ5cは、実施の形態3と同様である。
【0042】
本実施の形態においては、ステップ5cでは、実施の形態1のステップ3cのものにさらに加えて、吸入空気流の初期温度T0を記憶手段21に記憶する。
【0043】
その後、ステップ6eにて、演算手段22により、温度により補正された基準電流Iaが算出される。本実施の形態の基準電流Iaは、吸入空気流の初期温度をT0、吸入空気流の現在温度をTとしたとき、
Ia=I0+α(E0−E)+β(T0−T)
の計算式により算出する(尚、計算式はその他の要素を含んでもよい)。βはPTCヒーター固有の定数であり、温度に対する電気抵抗の比例定数である。
【0044】
ステップ5cにおいて、実施の形態1のものに加え、吸入空気流の初期温度T0を記憶手段21に記憶させ、ステップ5eにて、吸入空気流の初期温度T0と吸入空気流の現在温度をTとを用いて、さらに補正された基準電流Iaを算出するので、より精度を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明の乾燥暖房機は、PTCヒーターを搭載した乾燥暖房機に適用されて好適なものであり、特に目詰まりによる風量低下があったときに、循環ファンの回転数を上昇させ風量を増加させ風量を補う乾燥暖房機に適用されて最適なものである。
【符号の説明】
【0046】
1 前面パネル
2 装置本体
3 循環吸込口(吸入口)
4 循環吹出口(吹出口)
5 風路構造
6 循環送風機
7 温風ヒーター(PTCヒーター)
8 制御手段
9 蒸発促進材
10 超音波振動子
11 水タンク
12 セパレータ
13 風路構成部材
14 吸込温度サーミスタ(吸入温度検出手段)
21 記憶手段
22 演算手段
23 モーター駆動回路
24 モーター回転数検知手段(回転数検知手段)
25 ヒーター電流検知手段(電流検知手段)
26 電源電圧検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に臨む吸入口と吹出口との間に形成された一連の風路構造を持つ装置本体と、
前記風路構造に前記吸入口から前記吹出口に向かう空気流を形成する循環送風機と、
前記循環送風機の下流側の前記風路構造に設けられ、前記空気流を加熱するともに、前記空気流の風量に応じて電気抵抗値を変化させ、該風量が大きい程電気抵抗値を小さくするヒーターと、
前記循環送風機の駆動モーターの回転数の回転数検知手段と、
前記循環送風機の駆動モーターの回転数を可変する制御手段と、
前記ヒーターに流れるヒーター電流を検知する電流検知手段と、
前記装置本体に供給されている電源電圧を検知する電源電圧検知手段と、
演算手段と、記憶手段とを備え、
初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、初期ヒーター抵抗をR0、
現在電源電圧をE、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、
前記記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、I0、及びR0を記憶し、
前記演算手段は、補正現在ヒーター抵抗Rを、
R=E0/(I×E/E0)
を含む計算式により算出し、
前記制御手段は、R>R0であるとき前記循環送風機の駆動モーターの回転数を大きくすることを特徴とする乾燥暖房機。
【請求項2】
室内に臨む吸入口と吹出口との間に形成された一連の風路構造を持つ装置本体と、
前記風路構造に前記吸入口から前記吹出口に向かう空気流を形成する循環送風機と、
前記循環送風機の下流側の前記風路構造に設けられ、前記空気流を加熱するともに、前記空気流の風量に応じて電気抵抗値を変化させ、該風量が大きい程電気抵抗値を小さくするヒーターと、
前記循環送風機の駆動モーターの回転数の回転数検知手段と、
前記循環送風機の駆動モーターの回転数を可変する制御手段と、
前記ヒーターに流れるヒーター電流を検知する電流検知手段と、
前記装置本体に供給されている電源電圧を検知する電源電圧検知手段と、
演算手段と、記憶手段とを備え、
初期電源電圧をE0、初期ヒーター電流をI0、
現在電源電圧をE、比例定数をα、及び現在ヒーター電流をIとしたとき、
前記記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にE0、及びI0を記憶し、
前記演算手段は、基準電流Iaを、
Ia=I0+α(E0−E)
を含む計算式により算出し、
前記制御手段は、I>Iaであるとき前記循環送風機の駆動モーターの回転数を小さくし、I<Iaのとき、前記循環送風機のモーター回転数を大きくする
ことを特徴とする乾燥暖房機。
【請求項3】
前記吸入口の前記空気流の温度を検知する吸入温度検出手段をさらに備え、
吸入空気流の初期温度をT0、吸入空気流の現在温度をT、及び比例定数をβとしたとき、
前記記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にT0をさらに記憶し、
前記演算手段は、補正現在ヒーター抵抗Rを、
R=E0/(I×E/E0)+β(T0−T)
を含む計算式により算出する
ことを特徴とする請求項1記載の乾燥暖房機。
【請求項4】
前記吸入口の前記空気流の温度を検知する吸入温度検出手段をさらに備え、
吸入空気流の初期温度をT0、吸入空気流の現在温度をT、及び比例定数をβとしたとき、
前記記憶手段は、装置設置後の最初の運転時にT0をさらに記憶し、
前記演算手段は、基準電流Iaを、
Ia=I0+α(E0−E)+β(T0−T)
を含む計算式により算出する
ことを特徴とする請求項2記載の乾燥暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−230277(P2010−230277A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80103(P2009−80103)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】