乾燥粒子材料の吸引及び圧力制御部を有するポンプ
【課題】粉体コーティングシステムにおける粉体の圧送方法を提供する。
【解決手段】ポンプ室を含む粒子材料用ポンプは、材料が負圧下で流入し正圧下で流出するポンプ室を有する。当該ポンプ室に出入りする材料の流れを制御するために、複数のピンチ弁が設けられる。ピンチ弁は、互いに無関係に、且つポンプサイクル速度に無関係に操作される。モジュール式設計のポンプが設けられる。正圧状態及び負圧状態中の空気流量制御のために、ポンプ制御特徴部が設けられる。
【解決手段】ポンプ室を含む粒子材料用ポンプは、材料が負圧下で流入し正圧下で流出するポンプ室を有する。当該ポンプ室に出入りする材料の流れを制御するために、複数のピンチ弁が設けられる。ピンチ弁は、互いに無関係に、且つポンプサイクル速度に無関係に操作される。モジュール式設計のポンプが設けられる。正圧状態及び負圧状態中の空気流量制御のために、ポンプ制御特徴部が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、包括的には、材料塗布及び移送システム、例えば限定はされないが粉体コーティング材料塗布システムに関する。より詳細には、本発明は、このようなシステムのポンプ及びポンプ制御機能に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
材料塗布システムは、1つ又は複数の材料を1つ又は複数の層で物体に塗布するために用いられる。一般的な例は、粉体コーティングシステム、食品加工業及び化学工業で用いることができるような他の粒子材料塗布システムである。これらは、粒子材料を物体に塗布するのに用いられる様々な多くのシステムの数例にすぎない。
【0003】
乾燥粒子材料の塗布は、いくつかの異なる点で特に困難である。一例は、粉体スプレーガンを用いた粉体コーティング材料の物体への塗布であるが、これは決して本発明の使用及び用途を限定するものではない。スプレーされた粉体は雲状又は拡散したスプレーパターンに広がる傾向があるため、既知の粉体塗布システムは、閉じ込め用のスプレーブースを用いる。目標物体に付着しない粉体粒子は、一般に粉体オーバースプレーと呼ばれ、これらの粒子はブース内で不規則に落下する傾向があり、スプレーブース内のほぼ全ての露出表面に降りかかる。したがって、洗浄時間及び色交換時間は、粉体オーバースプレーに曝される表面積の広さに大きく関係する。
【0004】
色交換時間及び洗浄は、粉体オーバースプレーに曝される表面積に加えて、塗布プロセス中に粉体流に曝される内表面積の広さに大きく関係する。このような内表面積の例には、粉体の供給源から粉体スプレーガンに至るまでの粉体流路を形成する全表面積が含まれる。粉体流路は通常、粉体供給源から1つ又は複数のスプレーガンに粉体を移送するのに用いられるポンプを含む。ポンプをガン及び供給源に接続するには、ホースが一般に用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に既知の2つのタイプの乾燥粒子材料移送プロセスがあり、本明細書ではこれらを希薄相及び濃厚相と呼ぶ。希薄相システムは、大量の空気を利用して、1つ又は複数のホース又は他の導管を通して供給源からスプレーアプリケータに材料を押し出す。粉体コーティングシステムで用いられる一般的な希薄相ポンプ設計は、圧力下で、高速で大量の空気を粉体流に導入するベンチュリポンプである。十分な粉体流量(例えば、ポンド/分又はポンド/時で)を得るために、流路を構成する部品は、材料対空気が非常に高い流れ(換言すれば希薄流れ)に対応するほど十分に大きくなければならず、そうでなければ大きな背圧及び他の悪影響が起こる可能性がある。
【0006】
他方、濃厚相システムは、材料対空気比が高いこと(換言すれば「濃い」流れ)を特徴とする。濃厚相ポンプは、「PROCESS AND EQUIPMENT FOR THE CONVEYANCE OF POWDERED MATERIAL」と題する2004年7月16日に出願された係属中の米国仮特許出願第10/501,693号に記載され、2005年5月05日には国際特許WO05/0095071号公開公報として開示されており、当該出願の開示全体は参照により本明細書に完全に援用され、当該出願は本発明の譲受人に所有されている。このポンプは概して、ガス透過性部材により一部が画定されるポンプ室を特徴とする。一例として粉体コーティング材料等の材料が、重力及び/又は負圧によりポンプ室の一端から引き込まれ、正空気圧によりポンプ室の反対端から押し出される。このポンプ設計は材料を移送するのに非常に効果的であるが、その理由の1つは、ガス透過性部材がポンプ室の一部を形成するという新規構成である。しかしながら、場合によっては、ポンプ全体を見ると、パージ、洗浄、色交換、保守、及び材料流量制御に関して完全に最適であるとはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[発明の概要]
本開示は、「DENSE PHASE PUMP FOR DRY PARTICULATE MATERIAL」と題する2004年9月17日に出願された係属中の米国特許出願第10/711,429号である、2005年7月21日に公開された国際公開WO05−0158187号公報に記載されているポンプ設計の種々の改良点に関し、当該出願の開示全体が参照により本明細書に完全に援用される。本発明の改良点は、包括的には、ポンプの動作に関する種々の制御機能に関する。本明細書中の説明は、参照の開示によるポンプの文脈で示されるが、これらの改良点は、例えば本明細書の上記で参照されている第10/501,693号の設計等、他のポンプ設計及び異なるポンプ設計のポンプ機能に個別に又はまとめて組み込むことができることが、当業者には理解されるであろう。
【0008】
本発明の一態様によれば、ポンプ制御機能は、正圧を加えて体積部から材料を押し出す送出期間から隔てられた吸引期間中に、体積部に吸引を加えて体積部に材料を引き込むことを含む。特定の実施の形態では、吸引持続時間又は条件は、全ポンプサイクルのうちの吸引サイクル内のほぼ中央にある。別の実施の形態では、吸引力は、最初は高い値又はスパイクにあり、続いて吸引持続時間中により低い値に下がる。さらに別の実施の形態では、低下した吸引力値は、吸引持続時間中に体積部から所定の空気流量をもたらすように選択される。
【0009】
本発明の別の態様では、ポンプ制御機能は、体積部に吸引を加えて入口流路から体積部に材料を引き込むこと、及び入口流路を閉じた後で体積部に正圧を加えて粉体を押し出すことを含む。特定の実施の形態では、正の空気圧を加えることは、体積部に正圧を加える前に入口流路が完全に閉じられることを確実にするために入口流路を閉じる応答時間を補償するように、一定期間だけ遅らされる。
【0010】
本発明の別の態様では、ポンプ制御機能は、吸引期間中の体積部からの空気流量を制御することを含む。別の実施の形態では、ポンプ制御機能は、送出期間中の体積部への空気流量を制御することを含む。さらに別の実施の形態では、ポンプ制御機能は、送出期間中の体積部への空気流量及び吸引期間中の体積部からの空気流量を制御することを含む。両方のタイプの制御機能に関して、一実施の形態では、流量は、各空気流路のオリフィスにおける圧力低下を判定することによって監視される。さらに別の実施の形態では、制御機能は、体積部への粉体の吸引及び体積部からの粉体の押し出しが十分に行われることを確実にするために、所定の最小空気流量を維持すること、及び代替的に、一方の空気流量制御機能を他方の空気制御機能なしで個別に用いることを含む。
【0011】
本発明の別の態様では、ポンプ制御機能は、吸引用の空気流量コントローラ、正圧送出用の空気流量コントローラ、又はこれら両方によって実現され得る。特定の実施の形態では、いずれの空気流量制御も、空気流路のオリフィスにおける圧力低下を監視して、空気流量が所定の最小値に維持されるようにパラメータを調整することによって行われ得る。
【0012】
本開示における本発明のこれら及び他の態様及び利点は、添付図面を参照して以下の例示的な実施の形態の説明を読めば、当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[発明及びその例示的な実施形態の詳細な説明]
本発明は、粒子材料用の濃厚相ポンプに関する多数の新たな態様を意図している。このポンプは、任意の数又はタイプのスプレーアプリケータデバイス又はスプレーガン及び材料供給源と組み合わせて用いることができる。本発明の一つ又は複数のさまざまな態様又は概念は、希薄相ポンプ設計に見られるような他のポンプ設計に繋がる用途を見出す可能性がある。
【0014】
「濃厚相」とは、微粒子流中に存在する空気が給送ホッパ等の供給源における材料を流動化するのに用いられる空気の量とほぼ同量であることを意味する。本明細書で用いる場合、「濃厚相」及び「高密度」は、空気搬送システム内の低空気体積モードの材料流という同じ概念を伝えるために用いられ、この場合、材料粒子の全てが懸濁状態で搬送されるわけではない。このような濃厚相システムでは、材料は、従来の希薄相システムと比較して著しく少ない空気体積で流路に沿って押し進められ、材料は、どちらかというと流路に沿って互いに押し固まる栓の性質を帯びて、或る意味では流路内でピストンとして栓を押すようにして流れる。流路の断面が小さいほど、より低い圧力でこの移動を行わせることができる。
【0015】
これに対して、従来の流れシステムは、粒子が全て懸濁状態で搬送される、空気搬送システムにおける材料流のモードである希薄相を用いる傾向がある。従来の流れシステムは、供給源から材料を圧送して正圧下で材料をスプレー塗布デバイスに押し通すために、有意量の空気を流れに導入する。例えば、従来の粉体コーティングスプレーシステムの大半が、ベンチュリポンプを用いて供給源からポンプへ流動化した粉体を引き込む。ベンチュリポンプは、意図的に有意量の空気を粉体流に加える。通常は、流動空気及び霧化空気が粉体に加えられて、正圧下で粉体を給送ホース及びアプリケータデバイスに押し通す。したがって、従来の粉体コーティングスプレーシステムでは、粉体が高速で高体積の空気流に同伴するため、使用可能な粉体流量を得るために大きな直径の粉体通路が必要となる。
【0016】
濃厚相流は、多くの場合、高圧下で密閉容器に材料を移送することに関連して用いられる。本開示は、単に材料の輸送又は移送だけでなくむしろ材料塗布に関するため、高圧化での密閉容器への濃厚相移送と比較して、かなり低い圧力及び流量での流れを意図している。しかしながら、本開示は、開口容器又は密閉容器への材料の移送に用いることができる濃厚相移送ポンプの実施形態も意図している。
【0017】
約8.496×10−2立方メートル/分〜約16.992×10−2立方メートル/分の空気体積流量を有する従来の希薄相システム(例えば、ベンチュリポンプ機構を用いるもの等)と比較して、本発明は、例えば約2.266×10−2立方メートル/分〜約4.531×10−2立方メートル/分で動作することができる。したがって、本発明では、粉体送出量は約150〜約300グラム/分程度であってもよい。これらの値は例示を意図しており、限定するものではない。本開示によるポンプは、低い空気流量及び材料送出値で、又は高い空気流量及び材料送出値で動作するように設計することができる。
【0018】
濃厚相流対希薄相流は、空気流中の材料の濃い濃度対薄い濃度と考えることもできるため、空気に対する材料の比率は濃厚相システムの方がはるかに高い。換言すれば、濃厚相システムにおいて、単位時間当たり同量の材料が通過する流路断面(例えば管の)は、希薄相流よりも小さい。例えば、本明細書のいくつかの実施形態では、粉体給送管の断面積は、従来のベンチュリタイプシステムの給送管の面積の約1/4である。この場合、単位時間当たりの同等の材料流に関しては、材料は空気流中で、従来の希薄相システムの約4倍も濃い。
【0019】
図1を参照すると、例示的な一実施形態では、本発明のさまざまな態様は、例えば一般的な粉体コーティングスプレーシステム10等の材料塗布システムとともに用いられて示される。このような構成は、一般に、内部で物体又は部品Pに粉体コーティング材料がスプレーされる粉体スプレーブース12を含む。部品Pへの粉体の塗布は、概して、本明細書では粉体スプレー、コーティング、若しくは塗布動作手順又はプロセスと呼ばれるが、以下でさらに詳しく記載するように、粉体が実際に部品に塗布される前、塗布されている間、又は塗布された後に制御及び実行される、任意数の制御関数、ステップ、及びパラメータがあってもよい。
【0020】
既知のように、部品Pは、ハンガー16又は任意の他の便宜上適当な機構を用いて、オーバーヘッドコンベヤ14から吊り下げられる。ブース12は、1つ又は複数の開口18を含み、開口18を通して1つ又は複数のスプレーアプリケータ20を用いて、部品Pをブース12内で移動させながら部品Pにコーティング材料を塗布することができる。アプリケータ20は、システム10全体の特定の設計に応じていかなる数であってもよい。各アプリケータは、デバイス20aにおけるような手動操作式デバイスであってもよく、又は本明細書では自動アプリケータ20bと呼ぶシステム制御式デバイスであってもよい。この場合、「自動」という用語は、自動アプリケータが手動支持及び手動トリガされるのではなく、支持体に取り付けられて制御システムによりトリガオン/トリガオフされることを指しているに過ぎない。本開示は、手動スプレーアプリケータ及び自動スプレーアプリケータに関する。
【0021】
粉体コーティング材料塗布業界では、粉体アプリケータを粉体スプレーガンと呼ぶのが一般的であり、本明細書の例示的な実施形態に関して、アプリケータ及びガンという用語は交換可能に用いられる。しかしながら、本発明は、粉体スプレーガン以外の材料塗布デバイスにも使用可能であることが意図されるため、本発明を本明細書に記載の例示的な粉体コーティング材料塗布システム以外の多くの粒子材料塗布システムで用いることができるという概念を伝えるために、アプリケータという、より一般的な用語を用いる。本明細書における本発明のいくつかの態様は、静電スプレーガン及び非静電スプレーガンに同様に使用可能である。本発明はまた、「スプレー」という語に機能的に関連することに限定されない。本発明は、粉体スプレー塗布に特に適しているが、本明細書に開示される圧送及び制御の概念並びに方法は、スプレーだけでなく他の材料塗布技法とともに用いることができ、こうした技法が分配、放出、塗布、又は特定のタイプの材料塗布デバイスを説明するために用いられる可能性がある他の用語のいずれを指すかは関係ない。
【0022】
スプレーガン20は、ホッパ22又は他の材料供給源等の供給源又は給送センターから、関連する粉体給送又は供給ホース24を通して粉体を受け取る。自動ガン20bは通常、支持体26に取り付けられる。支持体26は、単純な固定構造であってもよく、或いは、スプレー動作中にガンを昇降移動させることができる揺動器、又はスプレーブースからガンを出入り移動させることができるガン移動器若しくは往復運動器等の可動構造であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0023】
スプレーブース12は、通常はブース内への大量の搬送空気流によって、ブース内に粉体オーバースプレーを収容するように設計される。ブース内へのこの空気流は通常、粉体オーバースプレー再利用又は回収システム28により行われる。回収システム28は、粉体オーバースプレーを搬送する空気をブースから、例えば導管30等を通して引き出す。一部のシステムでは、粉体オーバースプレーは、戻り線32で表されるように給送センター22へ戻される。システムによっては、粉体オーバースプレーは、廃棄されるか、又はそうでなければ、別個の容器に回収される。
【0024】
本明細書中の例示的な実施形態では、粉体は、第1の移送ポンプ400により回収システム28から給送センター22へ移送し戻され、この例示的な実施形態は本明細書で後述する。各ガンポンプ402を用いて、給送センター22から関連するスプレーアプリケータ又はガン20へ粉体が供給される。例えば、第1のガンポンプ402aを用いて濃厚相粉体流が手動ガン20aに供給され、第2のガンポンプ402bを用いて濃厚相粉体流が自動ガン20bに供給される。ガンポンプ402の例示的な実施形態は、本明細書で後述する。
【0025】
各ガンポンプ402は、空気圧供給マニホルド404によりガンに供給される通常の空気等の加圧ガスで動作する。本発明の一態様は、ガスケットその他の密封装置を間に挟んでポンプ402が供給マニホルド404に取り付けられる、ポンプ・マニホルド機構を提供する。これにより、マニホルド404とポンプ402との間の不必要な配管がなくなる。マニホルド404は、直接接合されているように図1では概略的に示されているが、実際には、キャビネット又は他の筐体内に配置されて、キャビネットの壁を間に挟んでポンプ402に取り付けられることが意図される。このように、マニホルド404は、ソレノイド弁等の電動力を含むことができ、スプレー環境から隔離される。このポンプ設計は、また、従来のベンチュリポンプと対照的に、ポンプをスプレー環境の外部に配置可能である。
【0026】
供給マニホルド404は、本明細書で後述する目的のために、その関連するポンプ402に加圧空気を供給する。さらに、各供給マニホルド404は、空気ホース又は空気ライン405を介してスプレーガン20に供給される加圧パターン空気供給源を含む。主要空気408が、システム10のエンドユーザの製造設備内の任意の適当な供給源から、供給マニホルド404に供給される。各ポンプ402は、粉体供給ホース406を介してそれぞれのアプリケータ20に粉体を供給する。
【0027】
図1の実施形態では、第2の移送ポンプ410を用いて、バージン粉体(すなわち未使用)の供給源412から給送センター22へ粉体が移送される。当業者には、必要な移送ポンプ410及びガンポンプ402の数がシステム10全体の要件及びシステム10を用いて行われるスプレー動作の要件により決まることが理解されるであろう。
【0028】
ガンポンプ及び移送ポンプは同じ設計であってもよいが、例示的な実施形態では、本明細書で後述するような違いがある。これらの違いは、物体Pに最良のコーティングを提供するためにガンポンプがスプレーアプリケータ20に粉体材料の滑らかで一貫した流れを供給することが好ましい一方で、移送ポンプ400及び410を単に用いて、アプリケータからの粉体要求に対応するのに十分なほど大きな流量及び体積で、また任意選択で回収システム28により収集される粉体オーバースプレーで補充して、1つの容器から別の容器へ粉体を移動させることを考慮に入れる。
【0029】
ポンプ400、410、及び402を除いて、スプレーブース12、コンベヤ14、ガン20、回収システム28、及び給送センター又は供給源22を含む材料塗布システム10の選択された設計及び動作は、本発明の必須部分を形成するものではなく、特定のコーティング塗布の要件に基づいて選択することができる。しかしながら、本発明とともに用いるのに非常に適している特定のスプレーアプリケータが、「SPRAY APPLICATOR FOR PARTICULATE MATERIAL」と題する2004年8月18日に出願された係属中の国際出願番号PCT/US04/26887に記載されており、当該出願の開示全体が参照により本明細書に援用される。しかしながら、多くの他のアプリケータの設計を特定の用途の必要に応じて用いることができる。制御システム39も同様に、プログラム可能プロセッサベースのシステム又は他の適当な制御回路等、従来の制御システムであってもよい。制御システム39は、通常はプログラム可能ロジック及びプログラムルーチンを用いて、給送センター制御36(例えば、供給制御及びポンプ動作制御)、ガン動作制御38(例えば、ガントリガ制御)、ガン位置制御40(例えば、用いられる場合は往復運動器/ガン移動器26の制御関数等)、粉体回収システム制御42(例えば、フィルタブロワの後のサイクロンセパレータの制御関数等)、コンベヤ制御44、及び材料塗布パラメータ制御46(例えば、粉体流量、塗布膜厚、静電又は非静電塗布等)を含むがこれらに必ずしも限定されない、概して図1に示す多様な制御関数及びアルゴリズムを実行する。従来の制御システムの理論、設計、及びプログラミングを利用することができる。しかしながら、本開示は、本明細書でさらに記載するが、制御システム39により実行される制御機能に関する多くの本発明の態様と概念を提供する。
【0030】
本明細書で説明される実施形態は、粉体コーティング材料塗布システムで用いられる濃厚相ポンプに関して示されるが、本発明を、タイヤ上のタルク、おむつ用等の超吸収体、小麦粉、砂糖、塩等の食品関連材料、乾燥剤、離型剤、及び医薬品を含むがこれらに決して限定されない、多くの異なる乾燥粒子材料塗布システムにおいて用いることができることは、当業者には容易に理解されるであろう。これらの例は、物体への粒子材料の濃厚相塗布のための本発明の広範な用途を示すことが意図される。選択される材料塗布システムの特定の設計及び動作は、本明細書で特に明記されない限り、本発明に限定を加えるものではない。また、さまざまな本明細書における本発明の態様及び概念は、希薄相システムにおける利用法を見出すものである。
【0031】
本発明の種々の発明の態様、概念、及び特徴は、例示的な実施形態と組み合わせて具現されるように本明細書では説明及び図示されるが、これら種々の態様、概念、及び特徴は、個別に、又は種々の組み合わせ及びそれらの部分的組み合わせで、多くの代替的な実施形態で用いることができる。本明細書で特に除外されない限り、このような組み合わせ及びさらなる組み合わせは全て、本発明の範囲内にあることが意図される。さらにまた、形態、嵌合、及び機能等に関する代替的な材料、構造、構成、方法、回路、デバイス、及び構成部品、ソフトウェア、ハードウェア、制御ロジック、代替物等、本発明の種々の態様、概念、及び特徴に関する種々の代替的な実施形態が本明細書で説明され得るが、このような説明は、現在既知であるか将来開発されるものであるかに関係なく、利用可能な代替的な実施形態の完全又は網羅的なリストであることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で、発明の態様、概念、又は特徴の1つ又は複数をさらなる実施形態に容易に取り入れることができ、このような実施形態が本明細書で明確に開示されていないとしてもそれを行うことができる。さらに、本発明のいくつかの特徴、概念、又は態様が好ましい構成又は方法として本明細書で説明されている場合があっても、このような説明は、そのように明記されない限り、このような特徴が必要又は必須であることを示唆することを意図するものではない。さらにまた、本開示の理解に役立つように、例示的又は代表的な値及び範囲が含まれている場合があるが、このような値及び範囲は、限定を意味するものと解釈すべきではなく、そのように明記されている場合にのみ臨界値又は範囲であることが意図される。さらに、種々の態様、特徴、及び概念が、発明的、すなわち発明の形成部分であると本明細書中で明示されている場合があるが、このような明示は限定的なものではなく、発明自体又は特定の発明の一部であると明示されることなく本明細書で十分に説明される本発明の態様、概念、及び特徴がある場合もあり、こうした発明は、代わりに添付の特許請求の範囲に記載される。例示的な方法又はプロセスの説明は、全てのステップを全ての場合に必要であるものとして含むことに限定されず、これらのステップが示される順序も、そのように明記されない限り必要又は必須であると解釈すべきではない。
【0032】
図1の全体的な概略図からでさえも、このような複雑なシステムは、洗浄及び色交換の準備を行うのが非常に困難であり時間がかかる可能性があることが理解できる。通常の粉体コーティング材料は非常に細かい微粒子であり、スプレーされている物体に向けて細かい雲状又はスプレーパターンで塗布される傾向がある。静電技術を用いても、有意量の粉体オーバースプレーは避けられない。色交換中の交差汚染は、多くの産業で重要な問題であるため、材料塗布システムを色交換ごとに徹底的に洗浄することができることが重要である。しかしながら、色交換は材料塗布システムをオフラインにする必要があるため、大きなコスト推進要素である。本発明は、ひとつにはより容易且つ迅速に洗浄できるポンプを提供することを目的とする。本発明のさらなる特徴及び態様は、洗浄性及び色交換時間に関する事項とは切り離して適用可能である。
【0033】
図2A、図2B、及び図2Cを参照すると、濃厚相ポンプ402の例示的な一実施形態が示されている。ポンプ402は移送ポンプとしても用いることができるが、材料をスプレーアプリケータ20に供給するためのガンポンプとして特に設計される。ガンポンプ402並びに移送ポンプ400及び410は、本明細書中の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう多くの共通の設計特徴を共有する。
【0034】
本発明の一態様によれば、ポンプ402は、モジュール式設計である必要はないが、そうであることが好ましい。ポンプ402のモジュール構造は、ポンプマニホルド体414及び弁体416で実現される。マニホルド体414は、本明細書でさらに説明するように、多数の空気通路とともに一対のポンプ室を収容する。弁体416は、同様に本明細書で説明するように複数の弁要素を収容する。弁は、マニホルド体414から弁体416に伝達される空気圧信号に応答する。本明細書の例示的な実施形態は、空気圧ピンチ弁の使用を示しているが、空気圧ピンチ弁以外の他の制御弁設計を用いて本発明の種々の態様及び利点を実現できることが、当業者には容易に理解されるであろう。
【0035】
ポンプの上側部分402aは、パージ空気機構418a及び418bに対応しており、ポンプの下側部分402bは、粉体入口ホースコネクタ420及び粉体出口ホースコネクタ422に対応している。粉体給送ホース24(図1)が入口コネクタ420に接続されて、給送ホッパ22等の供給源から粉体流が供給される。スプレーアプリケータがスプレーブース12に配置された手動スプレーガンであるか自動スプレーガンであるかに関係なく、粉体供給ホース406(図1)を用いて、出口422がスプレーアプリケータに接続される。ポンプ402に供給された粉体は、流動化されてもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0036】
したがって、ポンプ402に出入りする粉体流は、ポンプの1つの端402bで生じる。これにより、本明細書でさらに説明するように、パージ機構418をポンプの反対端402aに設けてより容易なパージ動作を行うことが可能になる。
【0037】
ポンプ室(使用可能な代替的な実施形態である)が1つしかない場合、ポンプ内に2つの粉体路しか必要なくなるため、弁体416がマニホルドに直接接続される可能性がある。しかしながら、安定し一貫した調整可能な粉体流をポンプから生成するために、2つ以上のポンプ室が設けられる。2つのポンプ室が用いられる場合、これらは、一方のポンプ室が入口から粉体を受け取り、他方が粉体を出口へ供給するように、位相をずらして動作することが好ましい。このように、粉体はポンプから実質的に連続して流出する。最初にポンプ室に粉体を充填する必要があることにより個々のポンプ室の各々からの粉体流が途切れるため、ポンプ室が1つの場合はこれは当てはまらない。3つ以上のポンプ室が用いられる場合、それらのタイミングは必要に応じて調整することができる。いずれの場合も、全てのポンプ室が1つの入口及び1つの出口と連通していることが好ましいが、必須ではない。
【0038】
本発明の一態様によれば、材料流は、ポンプ室の各々の一端から出入りする。これにより、一直線パージ機能をポンプ室の反対端で用いることができる機構が得られる。この例示的な実施形態では、各ポンプ室が同じポンプ入口及び出口と連通しているため、付加的なモジュールユニットを用いてYブロックの形態の分岐状粉体流路が設けられる。
【0039】
第1のYブロック424が、マニホルド体414と弁体416との間で相互接続される。第2のYブロック426がポンプの入口/出口端を形成し、第1のYブロック424の反対側で弁体416の側部に接続される。第1の組のボルト428を用いて、マニホルド体414、第1のYブロック424、及び弁体416が共に接合される。第2の組のボルト430を用いて、第2のYブロック426が弁体416に接合される。したがって、図2Aのポンプは、完全に組み立てられると非常に小型且つ堅牢であるが、下側Yブロック426は、流路磨耗部品を交換するために、ポンプを完全に分解しなくても容易に個別に取り外すことができる。第1のYブロック424は、各粉体室から出る2つの分岐状粉体流路を提供する。各粉体室からの一方の分岐は、弁体416を通してポンプ入口420と連通し、各粉体室からの他方の分岐は、弁体416を通してポンプ出口422と連通する。第2のYブロック426は、弁体416からポンプの入口420及び出口422への共通の粉体流路を結合するために用いられる。このように、各ポンプ室は、1つの制御弁を通してポンプ入口と連通し、別の制御弁を通してポンプ出口と連通する。したがって、この例示的な実施形態では、弁体にはポンプ室に出入りする粉体流を制御する制御弁が4つある。
【0040】
マニホルド体414は、図2B、図2E、図2G、図3A、及び図3Bに詳細に示されている。マニホルド414は、第1のボア434及び第2のボア436それぞれが貫通している本体432を含む。ボアはそれぞれ、ほぼ円筒形のガス透過性フィルタ部材438及び440それぞれを受け入れる。ガス透過性フィルタ部材438、440は、外径が縮小した下端438a及び440aを含み、これらが第1のYブロック424(図4B)内の座ぐり穴に挿入されることで、部材438及び440の整列及び安定を維持するのに役立つ。フィルタ部材の上端は、必要に応じて適当なシールを伴ってパージ空気接続具504の下端に当接する。フィルタ部材438及び440はそれぞれ、粉体ポンプ室としての役割を果たす内部容積(438c、440c)を画定するため、この実施形態では2つのポンプ粉体室が設けられる。ボア434、436の一部は、本明細書で後述するようにパージ空気機構418a及び418bを受け入れるようになっている。
【0041】
フィルタ部材438、440は、同一であってもよく、通常の空気等のガスは部材の円筒壁を通過させるが粉体は通過させないものとすることができる。フィルタ部材438、440は、例えば多孔質ポリエチレンでできていてもよい。この材料は、粉体給送ホッパの流動板に一般的に用いられる。例示的な材料は、約40マイクロメートル(ミクロン)の気孔径及び約40〜50%の気孔率を有する。このような材料は、ジェンポール(Genpore)又はポロン(Poron)から市販されている。必要に応じて他の多孔質材料を用いてもよい。フィルタ部材438、440はそれぞれ、その関連するボア434、436の直径よりも小さな直径を有するため、ボアの壁とフィルタ部材の壁との間にはわずかな環状空間が設けられる(図2E、図2Gを参照)。この環状空間は、空気圧室としての役割を果たす。圧力室に負圧が加えられると、粉体ポンプ室に粉体が引き込まれ、圧力室に正圧が加えられると、粉体ポンプ室内の粉体が押し出される。
【0042】
マニホルド体432は、一連の6つの入口オリフィス442を含む。これらのオリフィス442を用いて、空気圧エネルギー又は空気圧信号がポンプに入力される。オリフィスのうちの4つ442a、442c、442d、及び442fは、各空気通路444a、444c、444d、及び444fを介して弁ブロック416の各圧力室446と流体連通しているため、本明細書で後述するように弁作動空気を供給するために用いられる。なお、空気通路444は、マニホルド表面448からマニホルド体内に水平方向に延び、続いてマニホルド体の底面に向かって鉛直下方に延びて、上側Yブロック424及び弁体416を通る鉛直空気通路のそれぞれと連通し、弁体416の水平空気通路それぞれと接合して、各弁の圧力室にそれぞれ通じる。空気フィルタ(図示せず)がこれらの空気通路に含まれることで、弁要素又は他のシールの機能が損なわれた場合にポンプマニホルド414及び供給マニホルド404に粉体が逆流するのを防止することができる。残りの2つのオリフィス442b、442eはそれぞれ、空気通路444b及び444eを介してボア434、436と流体連通する。したがって、これらのオリフィス442b、442eを用いて、正圧及び負圧がマニホルド体のポンプ圧力室に供給される。
【0043】
オリフィス442は、マニホルド体の1つの平面448に形成されることが好ましいが、そうである必要はない。空気供給マニホルド404は、該供給マニホルド404がポンプマニホルド414に取り付けられるとポンプオリフィス442と整列して流体連通する対応するオリフィス組を含む。このように、空気供給マニホルド404は、弁及びポンプ室に必要なポンプ空気全てを1つの平面境界面を通して供給することができる。ポンプマニホルド414の面と空気供給マニホルド404の面との間にはシールガスケット450が圧縮されて、オリフィス間に流体密封シールを提供する。パージ空気に望まれる体積、圧力、及び速度を理由として、好ましくは別個のパージ空気接続部が供給マニホルドとポンプマニホルドとの間で用いられる。2つのマニホルド間は平面境界面であることが好ましいが、これは必須ではなく、供給マニホルド404からポンプへの空気圧入力ごとに個々の接続部を必要に応じて用いることができる。平面境界面は、一部の実施形態では電気ソレノイドを含む供給マニホルド404を、外側にポンプがある(キャビネット壁の開口を通して供給マニホルドに取り付けられている)キャビネット内に配置することを可能にするため、システム10全体から電気エネルギーを絶縁するのに役立つ。ポンプ402は使用中にいかなる特定の向きに取り付けられる必要もないことに留意されたい。
【0044】
図4A及び図4Bを参照すると、第1のYブロック424は、それぞれのポンプ室434、436と整列する第1の穴452及び第2の穴454を含む。穴452、454はそれぞれ、2つの分岐452a、452b及び454a、454bそれぞれと連通している(図4Bは穴452の分岐のみを示す)。したがって、穴452は分岐452a及び452bと連通している。したがって、第1のYブロック424には全部で4つの分岐があり、分岐のうち2つは一方の圧力室と連通し、他の2つは他方の圧力室と連通する。分岐452a、452b及び454a、454bは、2つのポンプ室に対してポンプを通る粉体路の一部を形成する。4つの分岐それぞれを通る粉体流は、本明細書で説明するように弁体416にある別個のピンチ弁により制御される。なお、Yブロック424は、4つの貫通空気通路456a、456c、456d、456fも含み、これらはマニホルド体414の空気通路444a、444c、444d、444fのそれぞれと流体連通している。ガスケット459を用いて、マニホルド体414と第1のYブロック424との間に流体密封接続を提供してもよい。
【0045】
穴452及び454は、従来のOリング等のシール462、464(図2C)を受け入れる座ぐり穴458、460を含む。これらのシールは、フィルタ部材438、440の下端とYブロックの穴452、454との間に流体密封シールを提供する。これらはわずかな公差変動も可能にするため、フィルタ部材が所定位置にしっかりと保持される。
【0046】
さらに図5A及び図5Bを参照すると、弁体416は、対応する数のピンチ弁に対する圧力室として機能する4つの貫通ボア446a、446b、446c、及び446dを含む。弁体の上面466は、2つの凹状領域468及び470を含み、これらはそれぞれ、各ボア446の一端によりそれぞれが形成される2つの穴を含む。この実施形態では、第1の凹状部分468は、それぞれのボア446b及び446aによりそれぞれ形成されるオリフィス472及び474を含む。同様に、第2の凹状部分470は、それぞれのボア446d及び446cによりそれぞれ形成されるオリフィス476及び478を含む。対応するオリフィスが、弁体416の反対側面479に形成される。
【0047】
圧力室446a〜446dはそれぞれ、入口ピンチ弁要素480又は出口ピンチ弁要素481を保持する。各ピンチ弁要素480、481は、例えば、天然ゴム、ラテックス、又はシリコーン等の適当な材料でできている極めて軟質の可撓性部材である。各弁要素480、481は、ほぼ円筒形の中央体482及び中央体482よりも直径が大きな2つのフランジ端484を含む。フランジ端は、シールとして機能し、弁体416が第1のYブロック424と第2のYブロック426との間に挟まれるとボア446a〜446dの周りで圧縮される。このように、各ピンチ弁は、弁体416を通して第1のYブロック424の分岐452、454のそれぞれまで粉体が流れる流路を画定する。したがって、一方の対のピンチ弁(吸引弁及び送出弁)はマニホルド体のポンプ室440の一方と連通し、他方の対のピンチ弁は他方のポンプ室438と連通する。一方のピンチ弁がポンプ室への粉体流を制御し(吸引)、他方のピンチ弁がポンプ室から出る粉体流を制御する(送出)ため、1つのポンプ室につき2つのピンチ弁がある。各ピンチ弁の中央体部分482の外径は、それに関連する圧力室446のボア径よりも小さい。これにより、各ピンチ弁に対する圧力室として機能する環状空間がその弁の周りに残る。
【0048】
図5Bに示すように、弁体416は、4つの圧力室ボア446a〜446dとそれぞれが連通する空気通路486a〜486dを含む。これらの空気通路486a〜486dは、鉛直延長部(図5Bに見られる)488a〜488dを含む。これら4つの空気通路の延長部488a、488b、488c、488dはそれぞれ、マニホルド414の4つの空気通路444d、444f、444a、444cの鉛直部分及び上側Yブロック424の鉛直通路456d、456f、456a、456cと流体連通している。シール490が空気密封接続部として設けられる。
【0049】
このように、弁体416の圧力室446はそれぞれ、マニホルド体、第1のYブロック、及び弁体を通る内部通路を通り抜けてマニホルド体414の空気オリフィス442のそれぞれと流体連通する。正空気圧が供給マニホルド404(図1)からポンプマニホルド414に受け取られると、空気圧の力が可撓性の弁体の可撓性の外面に対して作用することにより、対応する弁480、481が閉じる。弁は、圧力室の外部の空気圧が除去されると、自らの弾性及び伸縮性により開く。この真の空気圧作動により、ピンチ弁の開閉にいかなる機械的作動又は他の制御部材も用いなくてよくなり、これは従来の設計を超える著しい改良である。4つのピンチ弁480、481はそれぞれ、ガンポンプ402に関して別個に制御されることが好ましい。
【0050】
本発明の別の態様によれば、弁体416は、作業者が内部のピンチ弁の開閉を視認できるように十分に透明な材料でできていることが好ましい。適した材料はアクリルであるが、他の透明材料を用いてもよい。ピンチ弁を見ることができれば、粉体を見ることができるため、ピンチ弁の故障に関する優れた視覚的指示も得られる。
【0051】
さらに図6A及び図6Bを参照すると、ポンプの残りの部分は、第2のYブロック端体492により形成される入口端402bである。端体492は、それぞれがYブロック498a及び498bを受け入れるようになっている第1の凹部494及び第2の凹部496を含む。Yブロックの一方は粉体入口に用いられ、他方は粉体出口に用いられる。各Yブロック498は、内面が粉体流に曝されるため、磨耗部品(component)である。端体492は、単に弁体416にボルト締めされるため、単に端体492を取り外すことにより磨耗部品を交換するだけでよく、したがってポンプの残りの部分を分解する必要がなくなる。
【0052】
各Yブロック498は、接続具又は他の適当なホースコネクタ420、422(図2A)を受け入れるようになっている下側穴500を含み、1つの接続具は、粉体供給源につながるホース24と、スプレーガン20等のスプレーアプリケータにつながる別のホース406とに接続される(図1)。各Yブロックは、穴500から延びる2つの粉体路分岐502a、502b、502c、及び502dを含む。第2のYブロック498の各粉体路は、ピンチ弁体416のピンチ弁480、481のそれぞれと流体連通している。したがって、入口420からポンプに入る粉体は、2つの下側Yブロック498のうち第1のYブロックを通ってピンチ弁の2つに分岐し、そこからポンプ室に至る。同様に、2つのポンプ室からの粉体は、他方の下側Yブロック498によって、他の2つのピンチ弁から1つの出口422に再合流する。
【0053】
粉体流路は以下の通りである。粉体は、共通の入口420から入り、下側Yブロック498bの経路502a又は502bを介して2つの入口又は吸引ピンチ弁480に分岐する。入口ピンチ弁480はそれぞれ、第1のすなわち上側Yブロック424内の各経路の一方の分岐452、454それぞれを介して粉体ポンプ室434、436のそれぞれに接続される。上側Yブロック424の他方の分岐452、454はそれぞれ、各ポンプ室から粉体を受け取り、粉体は第1のYブロック424を通って2つの出口又は送出ピンチ弁481に流れる。出口ピンチ弁481のそれぞれは、下側Yブロック498aの分岐502のそれぞれにも接続され、両ポンプ室からの粉体は1つの出口422で再合流する。
【0054】
空気圧流路は以下の通りである。ピンチ弁のいずれかが閉じると、供給マニホルド404がマニホルド体414の各オリフィス442において圧力を上昇させる。上昇した空気圧は、マニホルド体414の各空気通路442、444を通って第1のYブロック424の各空気通路456を進み、弁体416の各空気通路486に入って適当な圧力室446に流れる。
【0055】
本発明によるポンプは、粉体ポンプ室のパーセント充填に基づいた比例流量弁を可能にし、これは、粉体をポンプ室に給送するピンチ弁の開放時間を制御することによりポンプからの粉体の流量を正確に制御できることを意味することに留意されたい。これにより、ポンプサイクル(すなわち、ポンプ室を充填し空にするまでの総持続時間)を、流量に関係なく粉体の滑らかな流れが得られるのに十分なまでに短くすることができ、流量はピンチ弁の動作により別個に制御される。したがって、流量は、ポンプにいかなる物理的変更を加える必要もなく、ピンチ弁の制御により完全に調整することができる。
【0056】
パージ機能は、本発明の別の態様により大幅に単純化される。このポンプ設計は、粉体がポンプ室の一端から出入りする方法を提供するため、ポンプ室の反対端はパージ空気用に用いることができる。図2A、図2C、図2E、及び図2Gを参照すると、パージ空気接続具504がそれぞれのポンプ室438、440の上端に挿入される。接続具504は、ポンプ室438、440への流入のみを許すように配置される各逆止め弁506を受け入れる。逆止め弁506は、パージ空気ホースを接続することができる各パージ空気ホース接続具508を受け入れる。本明細書で後述するように、パージ空気は供給マニホルド404からポンプに供給される。したがって、パージ空気は粉体ポンプ室を通りポンプ内の粉体路の残りの部分を通って一直線に流れることで、色交換作業のためにポンプを非常に効果的にパージすることができる。このパージ作業を行うために作業者が特別な接続又は変更を行う必要は全くないため、洗浄時間が短縮される。システム10が設置されると、パージ機能は常に接続されていて利用可能であるため、色交換時間が大幅に短縮される。作業者がポンプとのいかなる粉体接続又は空気圧接続も形成又は切断する必要なく、制御システム39によりパージ機能を行うことができるからである。
【0057】
なお、図1及び図2Aから、4つのピンチ弁480、481の全てが開放状態である場合、パージ空気はポンプ室を通り第1のYブロック424の粉体路、ピンチ弁480、481自体、第2のYブロック498を通って一直線に流れ、入口420及び出口422の両方から出る。このようにして、パージ空気はポンプ内全体に供給されてからスプレーアプリケータに供給されて、そのデバイスをパージするとともに給送ホースを粉体供給源22までパージすることができる。したがって、本発明の別の態様によれば、順方向及び逆方向のパージを可能にする濃厚相ポンプの概念が提供される。
【0058】
図7を参照すると、図示の供給マニホルド404は、実質的にはポンプ402への空気流を制御する一連のソレノイド弁及び空気源である。図7に示す特定の構成は例示であり、限定を意図するものではない。ポンプ402を操作するための空気の供給は、マニホルド機構なしで多種多様な方法で行うことができる。図7の実施形態は、ポンプを有する平面境界面構成に特に有用であるものとして提供されているが、他のマニホルド設計を用いることもできる。
【0059】
本明細書で上述したように、供給マニホルド404は、ポンプマニホルド体414(図3A)の表面448に対して取り付けられる第1の平面512を有する供給マニホルド体510を含む。したがって、平面512は、ポンプマニホルド414のそれぞれのオリフィス442と整列する6つのオリフィス514を含む。供給マニホルド体510は、適当な数及び場所の空気通路を内部に有するように加工されることにより、適切な空気信号が正しい時点でオリフィス514に送られる。このように、マニホルドはさらに、オリフィス514への空気流を制御するとともにパージ空気流を制御するために用いられる一連の弁を含む。従来のベンチュリポンプ518を用いることにより、マニホルド404内で負圧が生成される。システム空気又は工場空気が、適当な接続具520を介してマニホルド404に供給される。マニホルドは、単にポンプを操作する空気源用の空気通路を提供するように動作し、多種多様な方法で実施することができるため、物理的なマニホルド構成の詳細は本発明の理解及び実施に必要ではない。むしろ、注目すべき詳細は空気圧流の概略図に関して説明される。しかしながら、この時点で、本発明の別の態様によれば、本明細書で後述する目的で弁体414のピンチ弁のそれぞれに対して別個の制御弁が設けられることに留意されたい。
【0060】
図8を参照すると、本発明の一態様による第1の実施形態に関する空気圧図が提供されている。主要空気408が供給マニホルド404に入り、第1の調整器532に進んで、ポンプ圧力源534がポンプ室438、440に供給されるとともにパターン整形空気源405が空気ホース406を介してスプレーアプリケータ20に供給される。主要空気は、パージ空気ソレノイド弁538の制御下でパージ空気源536としても用いられる。主要空気は、第2の調整器540にも進み、(ポンプ室438、440に対する負圧を生成するための)ベンチュリポンプを操作するために用いられるベンチュリ空気圧源542が生成され、且つピンチ弁480、481を操作するためのピンチ空気源544が生成される。
【0061】
本発明の別の態様によれば、ソレノイド制御弁538又は他の適当なパージ空気の制御デバイスを用いることで、複数のパージ機能が得られる。第1の態様は、2つ以上の異なるパージ空気圧及びパージ空気流を選択できることにより、ソフト及びハードのパージ機能が可能になることである。ソレノイド弁に加えて他の制御機構を用いて、2つ以上のパージ空気流特性を提供してもよい。制御システム39がソフトパージ若しくはハードパージを選択するか、又は手動入力をこの選択に用いることができる。ソフトパージ機能では、供給マニホルド404を通して、多孔質部材438、440とそれぞれのボア434、436との間の環状空間であるポンプ圧力室434、436に、少ないパージ空気流が供給される。制御システム39はさらに、一組のピンチ弁(吸引又は送出)を開き、他方を閉じたままにするよう選択する。パージ空気は多孔質フィルタ438、440を通過して開いた弁から出て、スプレーガン20に向けて順方向に、又は供給源22に向けて逆方向に(後方に)システムをパージする。次に、制御システム39は開くピンチ弁と閉じるピンチ弁とを逆にする。ソフトパージは、4つのピンチ弁全てを開くことにより同時に両方向で行うこともできる。同様に、高いパージ空気圧及びパージ空気流は、順方向、逆方向、又は両方向同時の、ハードパージ機能に用いることができる。多孔質部材438、440に空気を通すことにより行われるパージ機能は、多孔質部材に詰まっている粉体を除去するのにも役立つため、交換が必要となる前の多孔質部材の耐用寿命が延びる。
【0062】
ハード又はシステムパージは、2つのパージ機構418a及び418bを用いて行うこともできる。高圧流空気をパージ空気接続具508から入力することができ(パージ空気は供給マニホルド404から供給できる)、この空気は、多孔質部材438、440により一部が画定される粉体ポンプ室を一直線に流れてポンプから出る。この場合も、ピンチ弁480、481を所望に応じて選択的に動作させて、順方向、逆方向、又は両方向同時にパージを行うことができる。
【0063】
パージを同時に両方向にのみ行うことができるのであれば、パージ空気が最も低抵抗な経路を流れるため粉体路領域の一部を十分にパージすることができないので、順方向又は逆方向のみに任意にパージできることでより優れたパージ能力が得られることに留意されたい。例えば、スプレーアプリケータ及び供給ホッパのパージを試みる場合、アプリケータが空気流を受け入れるように完全に開いていれば、パージ空気はアプリケータから流出する傾向があり、ホッパ又は供給源が十分にパージされないかもしれない。
【0064】
したがって、本開示は、供給源からスプレーガンに至るまでの粉体路全体を、作業者による行為を事実上必要とせずに別個に又は同時にパージすることができるポンプ設計を提供する。オプションのソフトパージは、粉体路にハードパージ空気を入れる前に残渣粉体を流路から軽く吹き飛ばすことにより、ハードパージによる融着又は他の悪影響が先に起こるのを防止するのに有用である可能性がある。
【0065】
ベンチュリ用の正空気圧542は、制御ソレノイド弁546に入り、そこからベンチュリポンプ518に進む。ベンチュリポンプの出力518aは、2つのポンプソレノイド弁548、550の入口に接続される負圧または部分真空である。ポンプ弁548、550は、ポンプ室438、440に正圧を加えるか負圧を加えるかを制御するために用いられる。弁548、550のさらなる入力部が、ポンプ圧空気534を受け入れる第1のサーボ弁552から正圧空気を受け入れる。ポンプ弁548、550の出口は、本明細書で上述した空気通路方式でポンプ室のそれぞれに接続される。なお、パージ空気536が多孔管438、440を通過することが概略的に示されている。
【0066】
したがって、ポンプ弁550及び548を用いて、一方のポンプ室が加圧されているときに他方が負圧下にあり、またその逆の状態になるように通常は180°位相をずらしてポンプ室に正圧及び負圧を交互に加えることにより、ポンプ402の動作が制御される。このように、一方のポンプ室に粉体が充填されている一方で他方のポンプ室は空になっていく。ポンプ室には、粉体を完全に「充填」してもしなくてもよいことに留意されたい。本明細書で説明するように、ピンチ弁ごとに独立した制御弁を用いることにより、本発明を用いて非常に少ない粉体流量を正確に制御することができる。すなわち、ピンチ弁は、各ポンプサイクル中にポンプ室に多量又は少量の粉体を供給するように、ポンプ室のサイクル速度とは無関係に制御することができる。
【0067】
ピンチ弁空気544は、4つのピンチ弁制御ソレノイド554、556、558、及び560に入力される。4つの弁は、4つのピンチ弁480、481のそれぞれの動作を好ましくは独立してタイミング制御するように用いられる。図8では、「送出ピンチ弁」は、粉体がポンプ室から出る際に通る2つのピンチ弁481を指し、「吸引ピンチ弁」は、粉体がポンプ室に給送される際に通る2つのピンチ弁480を指す。同じ参照符号を用いているが、各吸引ピンチ弁及び各送出ピンチ弁は別個に制御される。
【0068】
第1の送出ソレノイド弁554が第1の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第2の送出ソレノイド弁558が第2の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第1の吸引ソレノイド弁556が第1の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御し、第2の吸引ソレノイド弁560が第2の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御する。
【0069】
このように、図8の空気圧図は、制御システム39(図1)からの種々の制御信号に応答してマニホルド404が生成する機能空気流を示している。
【0070】
図9A及び図9Bを参照すると、本発明の別の態様によれば、移送ポンプ400も意図される。移送ポンプの多くの態様は、スプレーアプリケータポンプ402と同じ又は同様であるため、詳細に繰り返す必要はない。
【0071】
ガンポンプ402を移送ポンプとして用いることもできるが、移送ポンプは、必要に応じた速さで容器間で大量の粉体を移動させるのに主に用いられる。さらに、本明細書で説明される移送ポンプは、同じ四方独立ピンチ弁の動作を有さないが、切替弁をガンポンプと同じ制御プロセスで動作させることができる。例えば、一部の用途では、大量の材料を大きな表面に塗布しつつ仕上げの制御を維持することが必要である。移送ポンプは、本明細書に記載された4つの独立したピンチ弁の制御プロセスも組み込むことにより、アプリケータのポンプとして用いることができる。
【0072】
図1のシステムでは、移送ポンプ400を用いて、回収システム28(サイクロン等)から給送センター22に粉体が戻される。移送ポンプ410もまた、箱等の供給源から給送センター22にバージン粉体を移送するために用いられる。このような例及び他の例では、粉体流がスプレーアプリケータに送られていないため、流れ特性は移送ポンプにおけるほど重要ではない。そこで、本発明の一態様によれば、ガンポンプは移送ポンプの性能期待値に対応するように変更される。
【0073】
移送ポンプ400では、粉体流量を増加させるためにより大きなポンプ室が必要である。図9A及び図9Bの実施形態では、この場合、ポンプマニホルドが2つの延長管状ハウジング564及び566に置き換えられ、これらは長い多孔管568及び570を囲んでいる。長い管568、570は、各ポンプサイクル中により大量の粉体を収容することができる。多孔管568、570は、ハウジング564、566よりもわずかに小さな直径を有するため、正圧及び負圧両方のための圧力室としての役割を果たす管状空間が互いに間に設けられる。空気ホース接続具572及び574が空気ホースを接続するために設けられ、空気ホースは、本明細書で後述される移送ポンプ空気供給システムの正圧及び負圧源にも接続される。ポンプマニホルドが用いられていないため、空気圧エネルギーはポンプ400に個別に配給される。
【0074】
空気ホース接続具572及び574は、各ハウジング564及び566内の圧力室と流体連通している。このように、粉体室568及び570に対する粉体の引き込み及び押し出しは、ガンポンプ設計におけるように負圧及び正圧により行われる。また同様に、逆止め弁580、582を含むパージ穴機構576及び578が設けられ、ガンポンプ設計と同じ方法で機能する。
【0075】
ガンポンプ設計におけるように、ポンプ室568及び570に出入りする粉体流を制御する4つのピンチ弁585を収容する弁体584が設けられる。ガンポンプにおけるように、ピンチ弁は、弁体584の各圧力室内に配置され、正空気圧を用いて弁を閉じ、正圧が除去されると弁が自らの弾性で開くようにする。しかしながら、間もなく説明するように、異なるピンチ弁作動方式が用いられる。上側Yブロック586及び下側Yブロック588もまた、ガンポンプ設計におけるように分岐粉体流路を提供するために設けられる。したがって、下側Yブロック588は、粉体入口接続具590及び粉体出口接続具592とも連通している。したがって、1つの入口から入った粉体は、各ピンチ弁及び上側Yブロック586を通って両方のポンプ室568、570に流れ、ポンプ室568、570から出た粉体は、各ピンチ弁を通って1つの出口592へ流れる。分岐粉体流路は、ガンポンプの実施形態と同様にして実現されるため、本明細書で繰り返す必要はない。移送ポンプは、ガンポンプにおけるように下側Yブロック588に交換可能な磨耗部品又はインサートを組み込んでもよい。
【0076】
この場合も、ポンプマニホルドが移送ポンプで用いられていないため、ガンポンプ設計におけるように圧力室に配置されるピンチ弁の操作のために別個の空気入口594及び596が設けられる。以下に記載の理由から4つのピンチ弁があるが、空気入口は2つしか必要ない。エンドキャップ598を用いて、ハウジングを整列させたまま保持するとともに、空気接続具及びパージ接続具用の構造を提供することができる。
【0077】
移送ポンプにおいて粉体流の流量は品質よりも極めて重要であるため、4つのピンチ弁全ての個別制御は、代替的に行うこともできるが必須ではない。したがって、ピンチ弁の対は同時に、ポンプのサイクル速度と一致して作動させることができる。換言すれば、一方のポンプ室に粉体が充填されているときには他方のポンプ室は粉体を放出しており、したがってピンチ弁の各対が開閉する。ピンチ弁は、ポンプ室への正圧及び負圧の作動と同期して作動させることができる。さらに、ピンチ弁圧力室への1つの空気入口は、一緒に動作するピンチ弁対の圧力室の各対を内部接続することにより用いることができる。したがって、2つのピンチ弁は粉体をポンプから出す送出弁として用いられ、2つのピンチ弁は粉体をポンプに引き込む吸引弁として用いられる。しかしながら、ポンプ室は送出及び吸引を交互に行うため、半サイクルごとに1つの吸引ピンチ弁の開放及び1つの送出ピンチ弁の開放が起こり、それぞれがポンプ室の異なる1つに接続される。したがって、弁体584内では、1つの吸引ピンチ弁の圧力室及び1つの送出ピンチ弁の圧力室が共に接続され、他の2つのピンチ弁の圧力室も共に接続される。これは各ピンチ弁が異なるポンプ室に接続されるピンチ弁対で行われる。相互接続は、単に弁体内の圧力室の対間に交差通路を設けることにより達成することができる。
【0078】
図10を参照すると、移送ポンプ400の例示的な空気圧図は、スプレーアプリケータとともに用いられるポンプに関してより幾分簡略化されている。移送ポンプ室に対して負圧を生成するために用いられるベンチュリポンプ600に、主要空気408が入力される。主要空気は調整器602にも導入され、送出空気が第1の室ソレノイド弁604及び第2の室ソレノイド弁606への各入力部に供給される。室弁は、入力としてベンチュリポンプ600からの負圧も受け取る。ソレノイド弁604、606は、移送ポンプの各圧力室と流体連通している各出力部608、610を有する。
【0079】
この実施形態のソレノイド弁は、電気的に作動されるのではなく空気作動される。したがって、空気タイマ又はシャトル弁616からの空気信号612及び614を用いて、ポンプの圧力室への正圧出力と負圧出力との間で弁604、606が切り替えられる。適した空気タイマ又はシャトル弁の一例は、ホエルビガー・オリガ(Hoerbiger-Origa)から入手可能なモデルS9 568/68−1/4−SOである。ガンポンプにおけるように、ポンプ室は、一方が充填されているときに他方が放出しているように切り替わる。シャトルタイマ信号612は、四方弁618を作動させるためにも用いられる。主要空気は、移送ポンプのピンチ弁用のピンチ空気622を生成するために調整器620により低圧に低下される。ピンチ空気622は、四方弁618に送出される。ピンチ空気は、一方のポンプ室のピンチ弁624及び他方のポンプ室のピンチ弁626に結合され、関連する対がポンプ室と同じサイクル時間で一緒に開閉する。例えば、送出ピンチ弁624aが一方のポンプ室に対して開くと、他方の送出ピンチ弁626aが閉じ、吸引ピンチ弁624bが閉じると吸引ピンチ弁626bが開く。弁は各ポンプサイクルの後半中に逆になるため、ガンポンプと同様にポンプ室も切り替わる。ピンチ弁はポンプ室と同じタイミングサイクルで動作するため、連続的な粉体流が得られる。
【0080】
図11は、移送ポンプの空気圧回路の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、ポンプの基本的な動作は同じであるが、ここでは、1つの弁628を用いてポンプ室への正圧及び負圧を切り替える。この場合、空気圧周波数発生器630が用いられる。適したデバイスは、クロウゼット(Crouzet)から入手可能なモデル81 506 490である。発生器630は、ポンプ室の四方弁628及びピンチ空気四方弁618を作動させる様々な空気信号を生成する。したがって、ポンプ室及び関連するピンチ弁の交互サイクルが達成される。
【0081】
図12は、ピンチ弁480、481の独立制御により可能となる本発明の流量制御の態様を示す。この図は、説明を目的としたものであり、実際の測定データを示すものではないが、本開示による通常のポンプは同様の性能を示すであろう。グラフは、ポンプからのポンド/時での総流量対ポンプサイクル時間を表している。400ミリ秒という通常のポンプサイクル時間は、多孔質部材を囲む圧力室に負圧及び正圧が加えられる結果として400ミリ秒の時間窓内で各ポンプ室が充填又は放出を行っていることを意味する。したがって、各ポンプ室は、合計800ミリ秒の時間で充填及び放出を行う。グラフAは、ピンチ弁がポンプ室と同じ時間間隔で動作する場合の通常の応答を示す。これにより、所与のサイクル時間で最大の粉体流が得られる。したがって、サイクル時間が長くなると、ポンプの動作が遅くなるため粉体流の量が減少する。したがって、ポンプ室を充填するのに要する実際の時間はポンプサイクル時間よりもはるかに短いため、サイクル時間が短くなると流量は増加する。したがって、ポンプの運転の速さ又は遅さ(ポンプ圧力室に負圧及び正圧を加える持続時間に基づいたポンプサイクル時間)と粉体流量との間には直接の関係がある。
【0082】
グラフBは、ポンプサイクル時間に対するピンチ弁サイクル時間を変えることにより粉体流量、特に低流量を制御及び選択できることを示しているため、注目に値する。例えば、吸引ピンチ弁が開いたままである時間を短縮することにより、ポンプ室が吸引モードである時間がどんなに長くてもポンプ室に入る粉体が少なくなる。図12において、例えば、グラフAは点Xで、400ミリ秒のポンプサイクル時間では約17.69kg/時の流量が得られることを示している。しかしながら、ピンチ弁が閉じている時間が400ミリ秒より短い場合、ポンプサイクル時間が400ミリ秒のままであっても流量は点Yすなわち約4.99kg/時まで減少する。これにより保証されるのは、低流量でも滑らかで一貫した粉体流である。滑らかな粉体流は、ポンプサイクル速度を高めることにより生じるが、上記のように、これにより粉体流量も多くなるであろう。したがって、粉体流量は少ないが滑らかな粉体流を得るために、本発明は、吸引ピンチ弁の動作、及び任意選択で同様に送出ピンチ弁の動作も独立制御できることにより、ポンプサイクル速度が速くなっても粉体流量を制御できるようにする。作業者は、単に所望の速度を入力することにより流量を容易に変えることができる。制御システム39は、ピンチ弁の開放時間を適宜調整することにより所望の流量が得られるようにプログラムされる。流量制御は十分に正確であるため、実際の流量を測定するためにセンサを用いる閉ループ式ではなく事実上開ループの流量制御方式であることが意図される。経験的データを所与のシステム設計全体について収集して、種々のポンプサイクル時間及びピンチ弁サイクル時間での流量を測定することができる。この経験的データは、続いて材料流量の製法(レシピ)として記憶される。これは、特定の流量が要求された場合に、その流量が得られるピンチ弁サイクル時間を制御システムが知っていることを意味する。特に低流量での流量制御は、より正確であり、従来のシステムで行わなければならなかったようにポンプサイクル時間を長くするのではなくピンチ弁の開放すなわち吸引時間を調整することにより、より良好で均一な流れが生成される。したがって、本発明は、所望であればポンプサイクル速度を変えずにポンプからの材料の流速を制御することができる測量可能ポンプを提供する。
【0083】
図13は、本発明の例示的なポンプ制御の概念をさらに示す。グラフAは、500ミリ秒のポンプサイクル速度での流量対ピンチ弁開放時間を示し(ミリ秒単位)、グラフBは、800ミリ秒のポンプサイクル時間に関するデータを示している。グラフはいずれも、本明細書で説明するように2室ポンプに関するものである。まず、両方のグラフで、ピンチ弁開放時間が長くなるとともに流量が増加することに留意されたい。しかしながら、グラフBは、確定可能なピンチ弁開放時間を超えてから流量が最大に達することを示している。これは、ピンチ弁が開いている時間の長さに関係なく、限られた量の粉体しかポンプ室に充填できないからである。グラフAは、同じピンチ弁持続時間に関して表した場合に同様のパターンを示すであろう。両方のグラフは、ポンプから任意の粉体流を得るための確定可能な最短ピンチ弁開放時間があることも示している。これは、粉体が実際にポンプ室に吸い込まれポンプ室から押し出されるのに十分なほど長い時間、ピンチ弁が開いていなければならないからである。なお、概して、所与のピンチ弁持続時間では、グラフAのポンプ速度が速いほど流量が多くなる。
【0084】
本明細書に示されているデータ、値、及びグラフは、実際のポンプ設計によって大きく変わるため、例示的であり非限定的であることが意図される。制御システム39は、単に制御システム39にピンチ弁の弁開放時間及びポンプ室の吸引/加圧時間を調整させることにより可変流量を提供するように、容易にプログラムされる。これらの機能は、材料流量制御632プロセスにより操作される。
【0085】
代替的な実施形態では、ポンプからの材料流量は、粉体ポンプ室に粉体を吸い込むためにポンプ圧力室の吸引が行われる持続時間を調整することにより制御することができる。ポンプサイクル全体は一定に、例えば800ミリ秒に保つことができるが、400ミリ秒の充填時間の間に吸引が実際に行われる時間は、粉体ポンプ室に引き込まれる粉体の量を制御するために調整することができる。真空(負圧)が長く加えられるほど、ポンプ室に引き込まれる粉体は多くなる。これにより、吸引ピンチ弁及び送出ピンチ弁の制御を用いることとは別に、材料流量の制御及び調整が可能になる。
【0086】
しかしながら、別個のピンチ弁制御を用いることで、この代替的な実施形態の材料流制御が強化される。例えば、上記のように、サイクルごとに粉体室に吸い込まれる粉体の量を制御するために吸引時間を調整することができる。ピンチ弁の動作も制御することにより、この吸引が行われるタイミングを制御することもできる。吸引は、負圧が圧力室に加えられている間のみ、しかも吸引ピンチ弁が開いている間のみ行われる。したがって、吸引時間が終了した時点で、吸引ピンチ弁を閉じることができ、圧力室への負圧を止めることができる。これにはいくつかの利点がある。1つの利点は、圧力室から吸引力を除去することにより、負圧を形成するベンチュリポンプに必要な加圧プロセス空気の消費が少なくなることである。別の利点は、吸引期間を送出期間(送出期間は正圧が圧力室に加えられる期間である)から完全に分離できるため、吸引と送出とが重ならないことである。これにより、粉体ポンプ室における粉体の吸引から送出への遷移時間の間に逆流が生じるのが防止される。したがって、吸引時間の制御を用いるとともに独立したピンチ弁制御を用いることにより、吸引が行われるタイミングを、例えばポンプサイクルの吸引部分の途中になるように制御して、正圧が加えられている送出サイクルと重なるのを防止することができる。材料流量の制御にピンチ弁を用いる本明細書の実施形態のように、この代替的な実施形態は、経験的データ又は他の適当な分析を利用して、所望の流量を得るために制御するのに適した吸引持続時間及びオプションのピンチ弁動作時間を求めることができる。ポンプサイクルの放出すなわち送出部分の間は、送出時間の間中、正圧を維持することができる。これにはいくつかの利点がある。正圧を維持することにより、ポンプをスプレーガンに接続するホースに粉体流が滑らかに入る。吸引ピンチ弁は送出時間中閉じたままにすることができるため、送出(すなわち正圧)期間の終了とそれに続く吸引期間の開始とを重ねることができる。2つのポンプ室を用いるため、この重複は、ガンにつながる送出ホース内に常に正圧があることを確実にすることにより、流れを滑らかにして震えを最小限に抑える。この重複はさらに、吸引ピンチ弁が開いているときに正圧が逆流を引き起こさないようにピンチ弁のタイミングを調整することができると同時に、滑らかな粉体流を確実にする。繰り返すが、ピンチ弁及び圧力室のタイミングシナリオは全て、ポンプが望むいかなる流れ特性及び流量も実現するように、選択して制御システム39に容易にプログラムすることができる。経験的データを分析して、種々の製法についてのタイミングシーケンスを最適化することができる。
【0087】
本開示は、ポンプの操作に必要な加圧プロセス空気の使用に関して非常に効率的である、濃厚相ポンプを意図している。上記のように、ピンチ弁を別個にタイミング調整できるため、吸引圧力はポンプ流量制御プロセスの一部として任意に止めることができる。これにより、負の吸引圧力を生成するベンチュリポンプを操作するためのプロセス空気消費が減る。濃厚相輸送を用いることで、ポンプからガンへの材料の輸送に必要な粉体流路の形状を小さく、且つ空気を少なくすることができる。さらにまた、ピンチ弁は常開モードで動作するため、ピンチ弁を開くか又は開いたまま維持するための空気圧又は制御部材若しくはデバイスは必要ない。
【0088】
したがって、本明細書における本発明のポンプ設計は、作業者が所望の流量の入力以外にシステムにいかなる変更も加えずにポンプの出力流量を選択できることを意味する、拡張可能な材料流量ポンプ出力を提供するために使用可能である。これは、キーボード若しくは他の適当な機構等の任意の適当なインタフェースデバイスを介して行ってもよく、又は物体に材料を塗布するための製法の一部として流量を制御システム39にプログラムしてもよい。このような製法は、一般に、流量、電圧、空気流量制御、パターン整形、トリガ時間等を含む。
【0089】
本明細書で説明した本発明の態様及び特徴の1つ又は複数を組み込んだ、又は多孔管を用いる他のポンプ設計に存在し得るポンプには、場合によっては低下する可能性がある多数の動作及び性能特性があることが分かった。さらに、本明細書で説明されるポンプ設計だけでなく、多孔質バリアを利用してポンプ室に吸引及び正圧を交互に加えるタイプの他の濃厚相ポンプ設計の、これらの動作及び性能特徴を改善するために用いることができる、代替的及び/又は選択的な制御プロセスがあることが分かった。
【0090】
例えば、濃厚相粉体は定義上、空気量が少ない濃い混合物であるため、混合物が多少の慣性を有する傾向があり、これは、吸引状態の開始部分にあるポンプ室438c、440cへの粉体の吸引に初めに抵抗することが分かった。この慣性が存在する理由の1つは、粉体が、ポンプサイクルの送出部分中に圧力下で送出されている間、ポンプに続く粉体路内に留まっているからである。本開示の発明の一態様によれば、吸引ピンチ弁及び関連の制御弁は、吸引状態又は持続時間の開始部分により高いエネルギーの吸引スパイクをもたらすような順序及びタイミングにされ得る。このスパイクは、濃厚相粉体の慣性を克服して、ポンプ室への粉体の移動を開始させるのに役立つ。初期スパイクの後、吸引圧力は通常、所望又は所定の範囲に低下する。スパイク作用は、ポンプ室への粉体流の慣性遅延を示さない混合物及び/又はポンプ設計には不要であり得る。
【0091】
別の例として、例えばポンプ室管438、440で用いることができるような多孔質材料は、時間が経つにつれて塞がれる、すなわち「目詰まりする」傾向がある。これは単に、非常に小さな粉体粒子が多孔質材料の中又は表面に溜まることが避けられないことにより生じる。したがって、空気流に対する材料の気孔率が次第に低下する。ポンプ管438、440は、長期間を経て「使い込まれ」、おそらく数百時間の動作の間その状態をある程度維持した後で、多孔質材料で維持できる空気流が不十分になる程度まで目詰まりする傾向があることが分かった。本発明の別の態様によれば、比較的低く任意に最適化された吸引力を早期に加えることによって、管が「使い込まれる」期間を大幅に延ばすことができるため、管438、440の全体的な耐用寿命が延びる。例えば、ポンプ室に粉体を吸い込むために加えられる吸引力は、粉体がポンプ室に十分に引き込まれることを確実にするのに過不足のないレベル又は範囲に設定され得る。この特徴は、上述の初期スパイクの概念とともに任意に用いることができる。低い吸引力を用いることによって、管が使い込まれるのに要する時間がはるかに延びるため、より長い期間にわたって目詰まりすることがない。なお、この文脈における「早期」とは、管の耐用寿命と、新たなポンプ又は新たな管の動作中に吸引力を加えることとに関するものであり、任意の高いスパイクも用いることができる初期吸引時間に関するものではない。
【0092】
本発明の別の態様によれば、管の目詰まりは、流量制御特徴を任意に実施することによって補償される。上述のように、管438、440が時間を経るにつれて目詰まりすると、圧力が吸引であるか送出であるか(送出とは、粉体をポンプ室から押し出すための正圧を意味する)に関係なく、所与の加えられる力又は圧力に対して、多孔質材料を通る空気の流量が減少する。本発明の別の態様によれば、流量制御を用いて、所望の空気流量を維持するように、例えば、粉体がポンプ室に十分に吸い込まれポンプ室から押し出されることを確実にするための所望又は所定の最小流量を維持するように、加える圧力を高めることができる。所定又は所望の値又は範囲は、吸引と送出とで異なっていてもよく、又は場合によっては同じであってもよい。流量制御は、正圧送出空気流、吸引圧力空気流、又はこれら両方で実施することができる。
【0093】
本発明のこれらの態様は全て、一緒に、単独で、又は種々の組み合わせで任意に用いることができる。さらに、これらの本発明の態様は、本明細書中の上記の例示的な実施形態におけるような2ポンプ室、1ポンプ室設計、又は3つ以上のポンプ室を有するポンプとともに用いることができる。
【0094】
上述の本発明の概念及び特徴をより明確に説明するために、例えば本明細書で上述されているようなポンプ等のポンプの動作に関する機能制御態様を例示する本明細書の種々の図及び説明を参照する。これらの機能及び制御態様は、例示的なポンプ設計に関して本明細書で説明されるが、これらの本発明の態様を多くの他のポンプ設計及び構成に応用できることは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0095】
これらの拡張を説明するのに適したポンプを図14に示す。この図は、本明細書の図2Bと同じ実施形態であるが、種々の制御要素を強調するために異なる又は付加的な識別番号及び符号を付してある。ポンプ402は、このポンプの2つの圧送室となる2つのフィルタスリーブ又は多孔管A及びBを有する。これらの室は、粉体ホッパ700から交互に粉体を受け取り、粉体をスプレーガン20に放出する。4つのピンチ弁が、これら2つのポンプ室に出入りする粉体の流れを制御する。各ポンプ室に2つのピンチ弁がある。これらのピンチ弁は、AIN、AOUT、BIN、及びBOUTで示される。AINは、粉体ホッパに接続された給送ホース24から室Aに粉体が入るようにし、AOUTは、室Aから供給ホース406を通してスプレーガン20に粉体が送出又は放出されるようにする。同様に、BINは、上記粉体ホッパに接続された上記給送ホース24から室Bに粉体が入るようにし、BOUTは、室Bから上記スプレーガン20に接続された上記供給ホース406を通して粉体が放出されるようにする。
【0096】
図15は、室A及び室Bの送出状態及び吸引状態について理想化されたタイミングを示す。図示のように、各室は、粉体が室に引き込まれる吸引サイクル702と、粉体が室から押し出される圧力又は送出サイクル704とを有する。これらのサイクルの持続時間はほぼ等しく、室A及び室Bは、粉体が室Aに引き込まれながら室Bから押し出され、またその逆も行われるように交互になっている。この動作モードの場合、室の吸引状態は、吸引サイクルの間中ずっと比較的一定の吸引力が加えられるようなものであることが適していると考えられた。「吸引状態」とは、ポンプ圧力室内に負圧が生じている期間を意味する。
【0097】
図16は、吸引サイクルの間中ずっと室Aに比較的一定の吸引力を加える代わりに、吸引サイクルの持続時間よりも短い吸引サイクルの一部の間、吸引状態706を室Aで発生させる、本発明の態様の1つを示す。例示的な一実施形態では、この吸引状態は、吸引サイクルのほぼ中間部分で与えられ、さらに、比較的高い吸引力のスパイク又はパルス708で開始してから、それよりも低いレベル710の吸引力に低下する。吸引スパイクは、給送ホース内にある静的粉体の慣性を克服し、粉体を移動させる。その後、室Aの低い吸引レベルは、所望量の粉体が室Aに受け取られるまで粉体を移動させ続けるのに十分であり、吸引は終了する。同じ吸引状態を、室Bの吸引サイクル中に室Bで発生させる。
【0098】
吸引サイクル内のほぼ中央に吸引状態を置くという概念とスパイクを形成するという概念とは、別個の概念であるが、特定の用途での必要に応じて一緒に又は個別に用いることができる。
【0099】
図17は、図16に示す吸引状態を室A及び室Bで発生させることができる例示的な方法を示す。真空制御弁A/BVは、吸引状態が室A又はBで必要とされるときに真空又は負圧状態−Pを発生させるために起動される。室Aに関して、二位置弁ASを正圧位置+Pと吸引位置−Pとの間でシフトさせることができる。吸引サイクル702の間、ASを吸引位置にシフトさせて、吸引サイクル702のうち制御弁A/BVが真空を発生させている選択可能な部分706の間、弁A/BVによって制御される真空引き(減圧)が室Aに対して行われるようにする。例えば図16に示すような吸引スパイクを形成するために、真空発生器制御弁A/BVを、例えば図16に示すような吸引サイクル702の中間部分の間オンにするが、最初はピンチ弁AIN及びAOUTの両方を閉じたままにする。これにより、ポンプ室A内で真空状態ができて高まるようにする。続いてピンチ弁AINを開いて、粉体が粉体給送ホース24から室Aに吸い込まれるようにすると、ホース内の粉体は最初に吸引スパイク708を受ける、すなわち吸引スパイク708に曝されることで、粉体の慣性が克服されて粉体が移動させられる。弁AINを開いた直後に、室Aの吸引のレベルはより低い比較的一定のレベル710に低下して、粉体をポンプ室Aに移動させ続ける。所望量の粉体が室A内に受け取られると、真空発生制御弁A/BVがオフにされて弁AINが閉じられる。同じ吸引状態を、室Bの吸引サイクル中に室Bで発生させることができる。
【0100】
低下させた吸引レベル710は、弁A/BVによって制御することができる。この弁A/BVは、例えば、ベンチュリポンプ518又はポンプ圧力室に用いられる他の負圧源への空気の流れを制御するサーボ弁であってもよい。吸引が行われる量は、任意に、吸引状態中に粉体が粉体室438c、440cに十分に吸い込まれることを確実にするのに必要な最低レベルに最適化又はほぼ最適化される、所定の値又は範囲であり得る。この最小の吸引力又は少なくとも低下させた吸引力は、例えば、ベンチュリポンプ、弁設計、粉体路のサイズ及び長さ、粉体ポンプ室の体積等の選択肢によって影響を受けるため、経験的に決定され得る。本発明の一態様によれば、本明細書で上述されているように、吸引力が低いほど管の目詰まりが遅くなり融着が減るため、低い吸引値を任意に用いて、多孔管438、440の耐用寿命を延ばすことができる。
【0101】
図18は、図17のAIN、AOUT、AS、及びA/BVの弁を制御する電気信号の例示的なタイミング波形を示す。図示のように、吸引サイクルの間中ずっとASを開いて、A/BVの制御下で発生したいかなる吸引力も通す。弁ASは、室Aの吸引サイクルの開始である時点T1でこの吸引位置にシフトする。時点T2において、A/BVが作動されて、室Aに吸引状態を与える。この時点で、AIN及びAOUTはいずれも閉じているため、真空力を室A内で高めることができる。時点T3において、AINが開かれ、室A内で高められている真空力が供給ホースから弁AINを介して室Aに粉体を吸い込む。前述のように、吸引状態は、ホース内にある粉体を移動させてその慣性を克服する吸引スパイクで任意に開始する。所望量の粉体が室Aに引き込まれた後、時点T4において、AINが閉じて室Aにそれ以上粉体が入らないように遮断し、それと同時にA/BVが閉じて真空源を遮断する。時点T5において、ASがその正圧位置にシフトして、吸引サイクルを終了させるとともに送出サイクルを開始させ、これとほぼ同時に、AOUTが開かれて、図17に示す空気圧源によって室Aから給送ホースを通してガンに粉体を押し出すようにする。送出サイクルが時点T6で終了すると、弁ASは時点T1で示す吸引位置にシフトして次の吸引サイクルを開始する。なお、吸引源A/BVによって室Aに与えられる吸引持続時間(すなわち、時点T2〜T4)は、本明細書で後述する理由から、吸引サイクルT1〜T5内のほぼ中央にあり得る。吸引サイクルT1〜T5は、送出サイクルT5〜T6とほぼ同じ長さの持続時間を有することにも留意されたい。これが好まれるのは、当然ながら、室Aで吸引サイクルが行われている間に室Bで送出サイクルが行われており、またその逆もあるからである。
【0102】
なお、図18を参照すると、ポンプによって送出される粉体の流量は、弁AINが開いている時間量である持続時間T3〜T4によって主に決まる。AINが開いている時間が長いほど、各サイクルで室Aに引き込まれる粉体及び室Aから押し出される粉体の量は多くなり、ポンプからの流量が多くなる。反対に、AINが開いている持続時間が短いほど、ポンプの流量は少なくなる。しかしながら、本明細書で上述されているように、ポンプ室を充填する時間量だけピンチ弁が開いた後の粉体流量には事実上の制限がある。
【0103】
吸引サイクル及び送出サイクルの長さは、ポンプからの粉体流の均一性に影響を及ぼすことにも留意されたい。サイクルの持続時間が比較的長い場合、各サイクルでより長い時間をかけてより大量の粉体がポンプ室に引き込まれ、粉体が室から押し出されるときには、比較的長い間隔を置いて粉体のパルス又はショットとして生じる可能性が高い。その結果、スプレーガンへの粉体供給がパルス状になり、これはガンから放出されるパルス状のスプレーパターンを形成し得るという点であまり望ましくない。他方、サイクルの持続時間が比較的短い場合、サイクルが短いほどその間にポンプ室に引き込まれる粉体量は少なくなり、これらの粉体量が少ないほどポンプから供給ホースに押し出される頻度が高くなってこれら小さなパルス間の間隔が短くなり、全体的な結果として、スプレーガンへの粉体の流量がより均一になるとともに、スプレーガンから吐出される粉体の雲状物がさらにより均一になる。しかしながら、ポンプの稼動が速すぎる場合、ピンチハウスの頻繁な開閉が熱を発生させて、粉体をポンプ内で硬化させる可能性があるとともに、ポンプ構成部品の早期故障を引き起こす可能性がある。したがって、ガンへの均一な粉体流を維持するほど十分に高いサイクル速度で且つ十分に短いサイクル時間で、但しその目的を果たすのに必要なよりも高くないサイクル速度で、動作させることが望ましい。
【0104】
図19は、ポンプ動作のさらなる詳細と、吸引持続時間T2〜T4を吸引サイクルT1〜T5内の中央に置くことが好ましい理由とを示す。この図は、システム内の弁の開閉の通常の応答時間を斜線領域として示す。例えばピンチ弁AINを閉じる応答時間は、T4の後の約25ミリ秒にわたる(図ではT4’として示す)。これは、AINを閉じるように信号が与えられてから、弁がT4’で完全に閉じた状態に達するのに約25ミリ秒かかることを意味する。多くのシステムにおいて、ASが粉体を室Aから弁AOUTを介して供給ホース406に吹き出すようにシフトする前にAINが完全に閉じるように、この応答時間が持続時間T4〜T5よりも短いことが重要であり得る。このシフトが行われる前にAINが完全に閉じていなければ、粉体の一部がAINから逆方向に吹き込まれることで、供給ホースを通ってポンプからホッパへの粉体の逆流が引き起こされ、これは場合によっては望ましくないであろう。吸引持続時間を吸引サイクル内の中央に置くことによって、弁の開閉応答時間を、この種の問題を回避するように適切にタイムアウトさせることができる。なお、種々のピンチ弁AIN、AOUT、BIN、及びBOUTの応答時間は、弁が開閉中であるか送出又は吸引に使用中であるかに応じて異なり得る。
【0105】
図19はまた、送出弁AOUT及びBOUTも固有の開閉応答時間を示すが、吸引状態が期間T3〜T4に制限されるため、これらのピンチ弁を次の吸引サイクルにずれ込ませることができることを示す。例えば、図19において、弁AOUTは、時点T1で開始する吸引サイクルにずれ込んだ時点T1’で完全に閉じるが、吸引状態は時点T3(実際には、AINが完全に開く応答時間を考慮に入れたT3’)まで発生しないため逆流は生じない。これにより、任意に正圧が常に給送管406を通してガン20に供給されるように、送出ピンチ弁AOUT及びBOUTの動作を重複させることができる(T1’とT1’’、及びT5’とT5’’を比較)。
【0106】
図20は、室Aから粉体を押し出すための容積空気流コントローラ720の任意の使用を示す。容積空気流コントローラは、粉体が所望の速度で室Aから押し出されることを確実にする。粉体が速く押し出されすぎる場合、粉体の濃縮スラグがガンに続く供給ホース内でできて、粉体がスプレーガンにパルス状に送出されることで、ガンが望ましくないパルス状スプレーパターンでスプレーを行うようになる。これは、上述のようにサイクル速度が遅すぎる場合で起こり得る現象と同じである。粉体が押し出される速度を遅くすれば、ガンに続く供給ホース内に粉体が広がりやすくなり、より均一なスプレーパターンがガンにおいて形成される。しかしながら、粉体が室から押し出される速度が遅すぎる場合、送出サイクルの完了前に全粉体が室から押し出されなくなる。したがって、容積空気流量コントローラを用いて、送出サイクル中に室から全粉体を押し出すのにちょうど十分なほど速く、但しガンに続く供給ホース内でできる限り均一な粉体流が得られるように速すぎない速度で、粉体が室Aから押し出される。容積空気流量コントローラは、2室ポンプの場合と同様にして室Bに対しても同じく設置することができる。
【0107】
容積空気流量コントローラ720を用いて、多孔管438、440が時間を経るにつれて目詰まりするか又は空気流を通し難くなる傾向がある状況を補償することができる。多くの場合、管を通る空気流量は、吸引サイクル及び送出サイクルの両方で重要である。多くの場合、送出及び吸引中に一定の又は最低限の空気流量を維持して、管438、440に対する粉体の十分な吸い込み及び押し出しを確保することが有用であり得る。
【0108】
送出サイクルの場合、正圧流量コントローラ720は、例示的な一実施形態では、管を通る空気流量に関する状態を監視又は検出して、それに従って十分な空気流量があることを確実にするように空気圧を調整する。図22A及び図22Bを参照すると、正圧流量コントローラ720は、制御サーボ弁722、圧力変換器724、及び固定又は制御オリフィス726を用いて具現される。オリフィス726における圧力低下は、多孔管438、440に入ってこれらを通る流量に直接関連する。コントローラ720は、圧力を監視し、圧力が管を通る所望の空気流量に対応する範囲よりも低下した場合、弁722をさらに開いて管への圧力を高め、十分な空気流を維持することができる。この実施形態の制御オリフィス726は、オリフィスの片側が比較的安定した圧力であるときに差圧変換器がより正確である傾向があるため、弁722の高圧又は入口側に配置される。しかしながら、制御オリフィス726は、必要に応じて他の場所にあってもよい。流量制御機能は、弁、変換器、又はオリフィスを用いる以外の多くの異なる方法で実行することもできる。同様にして、図8の実施形態では、ポンプ空気流制御部(弁552)に関連する圧力変換器を弁の高圧側に配置してもよいことに留意すべきである。
【0109】
管の目詰まりは、吸引状態中に管から出る空気流量を減らす場合もある。本発明の別の態様によれば、空気流量コントローラをポンプ動作の吸引側で用いることもできる。
【0110】
空気流量制御を、正の送出圧力サイクル、負の吸引圧力サイクル、又はこれら両方で任意に用いることができることは注目に値する。
【0111】
図21は、弁ASとA/BV真空源との間のラインのポンプの吸引側での容積空気流量コントローラ730の任意の使用を示す。このコントローラ730は、以下のように用いられる。室Aは、前述のような円筒形のフィルタ要素によって囲まれる。粉体を室に引き込む吸引空気が、この円筒形のフィルタ要素を通過する。時間が経つにつれて、このフィルタ要素の孔が粉体粒子によって目詰まり又は部分的に目詰まりする。この目詰まりがフィルタ要素の通気抵抗を高める結果として、システムの他のいずれかの部分に変更を加えなければ、時間が経つにつれて室Aに加えられる吸引力が低下する。室Aに加えられる吸引力が低いと、室Aに引き込まれる粉体が減るため、ポンプによってスプレーガンに送出される粉体も減る。容積空気流量コントローラを用いて、空気流量が一定のままであること、したがって室A内の吸引力がフィルタ要素のいかなる目詰まり又は部分的目詰まりにも関係なく一定のままであることを確実にするように、室Aから出る吸引空気の空気流量が感知される。これにより、フィルタ要素の状態に関係なく一貫した量の粉体が室Aに引き込まれることが確実になる。これはさらに、ポンプからの粉体流量を一貫した速度で維持することに役立つ。同様の容積空気流量コントローラが室Bに対して設置される。
【0112】
再び図22A及び図22Bを参照すると、真空側の流量コントローラ730は、制御サーボ弁732、圧力変換器734、及び制御オリフィス736の形態で実現され得る。オリフィス736における圧力低下は、吸引状態中に多孔管を通る(ポンプ室を画定する管体積から引き出される)空気流量に直接関連付けることができる。この実施形態では、コントローラ730は、負圧すなわち吸引をもたらすベンチュリポンプ518に入力される正圧を調整する。しかしながら、他の流量感知及び制御技法を代替的に用いてもよい。
【0113】
空気流量コントローラ720、730は、制御オリフィスにおいて検出された圧力低下を対応する流量に関連付けるルックアップテーブルを用いて動作することができる。吸引及び送出の流量は同じであっても異なっていてもよい。プログラム可能プロセッサ等の適当な制御機能が、データベースにアクセスするとともに、PWM信号等の適当な制御信号を制御弁722、732に対して生成することができる。弁は、ポンプの始動後の第1の動作サイクルで、「シード」値としての役割を果たすオリフィスにおける空気流量を生成するデフォルト設定まで開くことができる。弁は続いて、吸引及び送出流量が特定のポンプ動作に望まれる値又は範囲に保たれるように、必要に応じて調整される。別の任意の制御特徴は、オペレータが所望のポンプ流量を「ダイヤルイン」又は調整又は選択できるように、オペレータインタフェースを便宜上設けることができることである。この設定により、制御システム39が所望のポンプ動作を得るのに必要な空気流量を調整する。
【0114】
図22A及び図22Bは、サーボ弁732を用いて真空発生器518への給送を行う空気源を変調させるが、真空出力は直接変調させないことを示す。これは、少なくとも2つの理由、すなわちa)入力圧力と得られる真空出力との間に比較的広い直線関係があること、及びb)サーボが変調すべき元圧が、真空圧力を直接制御している場合(すなわち、例えば約−5.516×104Paの元圧)よりもはるかに高い(例えば最高約5.861×105Pa)ことから行われ得る。この比較的低い真空圧力レベルにより、選択される差圧変換器も他の空気流制御回路で用いられるものとは異なる。選択される差動変換器の動作範囲は、0〜3.930×103Paである。この場合、例えばセンサにおける低下として、利用可能な真空のうち約7%しか損失されない。
【0115】
上述のポンプの特徴及び能力が協調して、広範囲に及ぶ粉体流出力にわたって均一な流量の粉体がこのポンプにより提供され得ることを確実にすることを考えると、このポンプのさらに別の新規態様は、ポンプが用いられている特定の用途に最適な方法でポンプからの粉体流を調節するために用いることができる製法を提供する能力である。ポンプ粉体流製法は、以下のパラメータ、すなわち、吸引サイクル持続時間(T1〜T5)、吸引持続時間(T2〜T4)、及び室から粉体を押し出すのに用いられる空気の流量設定を含むことができる。種々の用途に関する多くの粉体流製法を、ユーザの必要に応じて素早くアクセスするようにルックアップテーブルとして適当なデータ構造に記憶させることができる。
【0116】
本発明を、例示的な実施形態を参照して説明してきた。本明細書及び図面を読んで理解すれば、本発明者以外でも変更及び変形を思いつくであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、このような変更及び変形全てを含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明を利用する粉体コーティング材料塗布システムの簡略概略図である。
【図2A】本発明によるポンプの組み立て等角図である。
【図2B】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図2C】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図2D】図2Aの組み立てたポンプの立面図である。
【図2E】図2Aの組み立てたポンプの断面図である。
【図2F】図2Aの組み立てたポンプの立面図である。
【図2G】図2Aの組み立てたポンプの断面図である。
【図3A】ポンプマニホルドの等角図である。
【図3B】ポンプマニホルドの上面図である。
【図4A】第1のYブロックを示す。
【図4B】第1のYブロックを示す。
【図5A】弁体の斜視図である。
【図5B】弁体の断面図である。
【図6A】別のYブロック構成の斜視図である。
【図6B】別のYブロック構成の斜視図である。
【図7】供給マニホルドの分解斜視図である。
【図8】図2Aのポンプの空気流構成の例示的な一実施形態である。
【図9A】本発明による移送ポンプの等角図である。
【図9B】本発明による移送ポンプの分解等角図である。
【図10】移送ポンプの空気流構成の例示的な一実施形態である。
【図11】移送ポンプの空気圧回路の代替的な一実施形態である。
【図12】本発明に従って動作しているポンプの材料流量曲線の図である。
【図13】ミリ秒単位での2つの異なるポンプサイクル速度に関する、粉体流量対ピンチ弁開放時間を示すグラフである。
【図14】図2Bと同様であるが、種々の制御要素を示すように異なる符号を付した図である。
【図15】2室ポンプの理想的なポンプサイクルタイミングを示す。
【図16】ポンプ室の一方の変更吸引サイクルを示す。
【図17】ポンプの空気圧制御の機能図である。
【図18】図16及び図17に示す制御プロセスの例示的なタイミング図である。
【図19】真空すなわち吸引スパイクを形成するための、図17におけるような2室ポンプの例示的なタイミング図である。
【図20】流量制御特徴を用いる1ポンプ室制御機能の概略図である。
【図21】ポンプ室の正圧部分及び負圧部分で流量制御特徴を用いる、1ポンプ室制御機能の概略図である。
【図22A】正圧制御用及び真空圧力制御用の流量コントローラを用いるポンプ制御部の、全体的な空気圧図の詳細な概略図である。
【図22B】正圧制御用及び真空圧力制御用の流量コントローラを用いるポンプ制御部の、全体的な空気圧図の詳細な概略図である。
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、包括的には、材料塗布及び移送システム、例えば限定はされないが粉体コーティング材料塗布システムに関する。より詳細には、本発明は、このようなシステムのポンプ及びポンプ制御機能に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
材料塗布システムは、1つ又は複数の材料を1つ又は複数の層で物体に塗布するために用いられる。一般的な例は、粉体コーティングシステム、食品加工業及び化学工業で用いることができるような他の粒子材料塗布システムである。これらは、粒子材料を物体に塗布するのに用いられる様々な多くのシステムの数例にすぎない。
【0003】
乾燥粒子材料の塗布は、いくつかの異なる点で特に困難である。一例は、粉体スプレーガンを用いた粉体コーティング材料の物体への塗布であるが、これは決して本発明の使用及び用途を限定するものではない。スプレーされた粉体は雲状又は拡散したスプレーパターンに広がる傾向があるため、既知の粉体塗布システムは、閉じ込め用のスプレーブースを用いる。目標物体に付着しない粉体粒子は、一般に粉体オーバースプレーと呼ばれ、これらの粒子はブース内で不規則に落下する傾向があり、スプレーブース内のほぼ全ての露出表面に降りかかる。したがって、洗浄時間及び色交換時間は、粉体オーバースプレーに曝される表面積の広さに大きく関係する。
【0004】
色交換時間及び洗浄は、粉体オーバースプレーに曝される表面積に加えて、塗布プロセス中に粉体流に曝される内表面積の広さに大きく関係する。このような内表面積の例には、粉体の供給源から粉体スプレーガンに至るまでの粉体流路を形成する全表面積が含まれる。粉体流路は通常、粉体供給源から1つ又は複数のスプレーガンに粉体を移送するのに用いられるポンプを含む。ポンプをガン及び供給源に接続するには、ホースが一般に用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に既知の2つのタイプの乾燥粒子材料移送プロセスがあり、本明細書ではこれらを希薄相及び濃厚相と呼ぶ。希薄相システムは、大量の空気を利用して、1つ又は複数のホース又は他の導管を通して供給源からスプレーアプリケータに材料を押し出す。粉体コーティングシステムで用いられる一般的な希薄相ポンプ設計は、圧力下で、高速で大量の空気を粉体流に導入するベンチュリポンプである。十分な粉体流量(例えば、ポンド/分又はポンド/時で)を得るために、流路を構成する部品は、材料対空気が非常に高い流れ(換言すれば希薄流れ)に対応するほど十分に大きくなければならず、そうでなければ大きな背圧及び他の悪影響が起こる可能性がある。
【0006】
他方、濃厚相システムは、材料対空気比が高いこと(換言すれば「濃い」流れ)を特徴とする。濃厚相ポンプは、「PROCESS AND EQUIPMENT FOR THE CONVEYANCE OF POWDERED MATERIAL」と題する2004年7月16日に出願された係属中の米国仮特許出願第10/501,693号に記載され、2005年5月05日には国際特許WO05/0095071号公開公報として開示されており、当該出願の開示全体は参照により本明細書に完全に援用され、当該出願は本発明の譲受人に所有されている。このポンプは概して、ガス透過性部材により一部が画定されるポンプ室を特徴とする。一例として粉体コーティング材料等の材料が、重力及び/又は負圧によりポンプ室の一端から引き込まれ、正空気圧によりポンプ室の反対端から押し出される。このポンプ設計は材料を移送するのに非常に効果的であるが、その理由の1つは、ガス透過性部材がポンプ室の一部を形成するという新規構成である。しかしながら、場合によっては、ポンプ全体を見ると、パージ、洗浄、色交換、保守、及び材料流量制御に関して完全に最適であるとはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[発明の概要]
本開示は、「DENSE PHASE PUMP FOR DRY PARTICULATE MATERIAL」と題する2004年9月17日に出願された係属中の米国特許出願第10/711,429号である、2005年7月21日に公開された国際公開WO05−0158187号公報に記載されているポンプ設計の種々の改良点に関し、当該出願の開示全体が参照により本明細書に完全に援用される。本発明の改良点は、包括的には、ポンプの動作に関する種々の制御機能に関する。本明細書中の説明は、参照の開示によるポンプの文脈で示されるが、これらの改良点は、例えば本明細書の上記で参照されている第10/501,693号の設計等、他のポンプ設計及び異なるポンプ設計のポンプ機能に個別に又はまとめて組み込むことができることが、当業者には理解されるであろう。
【0008】
本発明の一態様によれば、ポンプ制御機能は、正圧を加えて体積部から材料を押し出す送出期間から隔てられた吸引期間中に、体積部に吸引を加えて体積部に材料を引き込むことを含む。特定の実施の形態では、吸引持続時間又は条件は、全ポンプサイクルのうちの吸引サイクル内のほぼ中央にある。別の実施の形態では、吸引力は、最初は高い値又はスパイクにあり、続いて吸引持続時間中により低い値に下がる。さらに別の実施の形態では、低下した吸引力値は、吸引持続時間中に体積部から所定の空気流量をもたらすように選択される。
【0009】
本発明の別の態様では、ポンプ制御機能は、体積部に吸引を加えて入口流路から体積部に材料を引き込むこと、及び入口流路を閉じた後で体積部に正圧を加えて粉体を押し出すことを含む。特定の実施の形態では、正の空気圧を加えることは、体積部に正圧を加える前に入口流路が完全に閉じられることを確実にするために入口流路を閉じる応答時間を補償するように、一定期間だけ遅らされる。
【0010】
本発明の別の態様では、ポンプ制御機能は、吸引期間中の体積部からの空気流量を制御することを含む。別の実施の形態では、ポンプ制御機能は、送出期間中の体積部への空気流量を制御することを含む。さらに別の実施の形態では、ポンプ制御機能は、送出期間中の体積部への空気流量及び吸引期間中の体積部からの空気流量を制御することを含む。両方のタイプの制御機能に関して、一実施の形態では、流量は、各空気流路のオリフィスにおける圧力低下を判定することによって監視される。さらに別の実施の形態では、制御機能は、体積部への粉体の吸引及び体積部からの粉体の押し出しが十分に行われることを確実にするために、所定の最小空気流量を維持すること、及び代替的に、一方の空気流量制御機能を他方の空気制御機能なしで個別に用いることを含む。
【0011】
本発明の別の態様では、ポンプ制御機能は、吸引用の空気流量コントローラ、正圧送出用の空気流量コントローラ、又はこれら両方によって実現され得る。特定の実施の形態では、いずれの空気流量制御も、空気流路のオリフィスにおける圧力低下を監視して、空気流量が所定の最小値に維持されるようにパラメータを調整することによって行われ得る。
【0012】
本開示における本発明のこれら及び他の態様及び利点は、添付図面を参照して以下の例示的な実施の形態の説明を読めば、当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[発明及びその例示的な実施形態の詳細な説明]
本発明は、粒子材料用の濃厚相ポンプに関する多数の新たな態様を意図している。このポンプは、任意の数又はタイプのスプレーアプリケータデバイス又はスプレーガン及び材料供給源と組み合わせて用いることができる。本発明の一つ又は複数のさまざまな態様又は概念は、希薄相ポンプ設計に見られるような他のポンプ設計に繋がる用途を見出す可能性がある。
【0014】
「濃厚相」とは、微粒子流中に存在する空気が給送ホッパ等の供給源における材料を流動化するのに用いられる空気の量とほぼ同量であることを意味する。本明細書で用いる場合、「濃厚相」及び「高密度」は、空気搬送システム内の低空気体積モードの材料流という同じ概念を伝えるために用いられ、この場合、材料粒子の全てが懸濁状態で搬送されるわけではない。このような濃厚相システムでは、材料は、従来の希薄相システムと比較して著しく少ない空気体積で流路に沿って押し進められ、材料は、どちらかというと流路に沿って互いに押し固まる栓の性質を帯びて、或る意味では流路内でピストンとして栓を押すようにして流れる。流路の断面が小さいほど、より低い圧力でこの移動を行わせることができる。
【0015】
これに対して、従来の流れシステムは、粒子が全て懸濁状態で搬送される、空気搬送システムにおける材料流のモードである希薄相を用いる傾向がある。従来の流れシステムは、供給源から材料を圧送して正圧下で材料をスプレー塗布デバイスに押し通すために、有意量の空気を流れに導入する。例えば、従来の粉体コーティングスプレーシステムの大半が、ベンチュリポンプを用いて供給源からポンプへ流動化した粉体を引き込む。ベンチュリポンプは、意図的に有意量の空気を粉体流に加える。通常は、流動空気及び霧化空気が粉体に加えられて、正圧下で粉体を給送ホース及びアプリケータデバイスに押し通す。したがって、従来の粉体コーティングスプレーシステムでは、粉体が高速で高体積の空気流に同伴するため、使用可能な粉体流量を得るために大きな直径の粉体通路が必要となる。
【0016】
濃厚相流は、多くの場合、高圧下で密閉容器に材料を移送することに関連して用いられる。本開示は、単に材料の輸送又は移送だけでなくむしろ材料塗布に関するため、高圧化での密閉容器への濃厚相移送と比較して、かなり低い圧力及び流量での流れを意図している。しかしながら、本開示は、開口容器又は密閉容器への材料の移送に用いることができる濃厚相移送ポンプの実施形態も意図している。
【0017】
約8.496×10−2立方メートル/分〜約16.992×10−2立方メートル/分の空気体積流量を有する従来の希薄相システム(例えば、ベンチュリポンプ機構を用いるもの等)と比較して、本発明は、例えば約2.266×10−2立方メートル/分〜約4.531×10−2立方メートル/分で動作することができる。したがって、本発明では、粉体送出量は約150〜約300グラム/分程度であってもよい。これらの値は例示を意図しており、限定するものではない。本開示によるポンプは、低い空気流量及び材料送出値で、又は高い空気流量及び材料送出値で動作するように設計することができる。
【0018】
濃厚相流対希薄相流は、空気流中の材料の濃い濃度対薄い濃度と考えることもできるため、空気に対する材料の比率は濃厚相システムの方がはるかに高い。換言すれば、濃厚相システムにおいて、単位時間当たり同量の材料が通過する流路断面(例えば管の)は、希薄相流よりも小さい。例えば、本明細書のいくつかの実施形態では、粉体給送管の断面積は、従来のベンチュリタイプシステムの給送管の面積の約1/4である。この場合、単位時間当たりの同等の材料流に関しては、材料は空気流中で、従来の希薄相システムの約4倍も濃い。
【0019】
図1を参照すると、例示的な一実施形態では、本発明のさまざまな態様は、例えば一般的な粉体コーティングスプレーシステム10等の材料塗布システムとともに用いられて示される。このような構成は、一般に、内部で物体又は部品Pに粉体コーティング材料がスプレーされる粉体スプレーブース12を含む。部品Pへの粉体の塗布は、概して、本明細書では粉体スプレー、コーティング、若しくは塗布動作手順又はプロセスと呼ばれるが、以下でさらに詳しく記載するように、粉体が実際に部品に塗布される前、塗布されている間、又は塗布された後に制御及び実行される、任意数の制御関数、ステップ、及びパラメータがあってもよい。
【0020】
既知のように、部品Pは、ハンガー16又は任意の他の便宜上適当な機構を用いて、オーバーヘッドコンベヤ14から吊り下げられる。ブース12は、1つ又は複数の開口18を含み、開口18を通して1つ又は複数のスプレーアプリケータ20を用いて、部品Pをブース12内で移動させながら部品Pにコーティング材料を塗布することができる。アプリケータ20は、システム10全体の特定の設計に応じていかなる数であってもよい。各アプリケータは、デバイス20aにおけるような手動操作式デバイスであってもよく、又は本明細書では自動アプリケータ20bと呼ぶシステム制御式デバイスであってもよい。この場合、「自動」という用語は、自動アプリケータが手動支持及び手動トリガされるのではなく、支持体に取り付けられて制御システムによりトリガオン/トリガオフされることを指しているに過ぎない。本開示は、手動スプレーアプリケータ及び自動スプレーアプリケータに関する。
【0021】
粉体コーティング材料塗布業界では、粉体アプリケータを粉体スプレーガンと呼ぶのが一般的であり、本明細書の例示的な実施形態に関して、アプリケータ及びガンという用語は交換可能に用いられる。しかしながら、本発明は、粉体スプレーガン以外の材料塗布デバイスにも使用可能であることが意図されるため、本発明を本明細書に記載の例示的な粉体コーティング材料塗布システム以外の多くの粒子材料塗布システムで用いることができるという概念を伝えるために、アプリケータという、より一般的な用語を用いる。本明細書における本発明のいくつかの態様は、静電スプレーガン及び非静電スプレーガンに同様に使用可能である。本発明はまた、「スプレー」という語に機能的に関連することに限定されない。本発明は、粉体スプレー塗布に特に適しているが、本明細書に開示される圧送及び制御の概念並びに方法は、スプレーだけでなく他の材料塗布技法とともに用いることができ、こうした技法が分配、放出、塗布、又は特定のタイプの材料塗布デバイスを説明するために用いられる可能性がある他の用語のいずれを指すかは関係ない。
【0022】
スプレーガン20は、ホッパ22又は他の材料供給源等の供給源又は給送センターから、関連する粉体給送又は供給ホース24を通して粉体を受け取る。自動ガン20bは通常、支持体26に取り付けられる。支持体26は、単純な固定構造であってもよく、或いは、スプレー動作中にガンを昇降移動させることができる揺動器、又はスプレーブースからガンを出入り移動させることができるガン移動器若しくは往復運動器等の可動構造であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0023】
スプレーブース12は、通常はブース内への大量の搬送空気流によって、ブース内に粉体オーバースプレーを収容するように設計される。ブース内へのこの空気流は通常、粉体オーバースプレー再利用又は回収システム28により行われる。回収システム28は、粉体オーバースプレーを搬送する空気をブースから、例えば導管30等を通して引き出す。一部のシステムでは、粉体オーバースプレーは、戻り線32で表されるように給送センター22へ戻される。システムによっては、粉体オーバースプレーは、廃棄されるか、又はそうでなければ、別個の容器に回収される。
【0024】
本明細書中の例示的な実施形態では、粉体は、第1の移送ポンプ400により回収システム28から給送センター22へ移送し戻され、この例示的な実施形態は本明細書で後述する。各ガンポンプ402を用いて、給送センター22から関連するスプレーアプリケータ又はガン20へ粉体が供給される。例えば、第1のガンポンプ402aを用いて濃厚相粉体流が手動ガン20aに供給され、第2のガンポンプ402bを用いて濃厚相粉体流が自動ガン20bに供給される。ガンポンプ402の例示的な実施形態は、本明細書で後述する。
【0025】
各ガンポンプ402は、空気圧供給マニホルド404によりガンに供給される通常の空気等の加圧ガスで動作する。本発明の一態様は、ガスケットその他の密封装置を間に挟んでポンプ402が供給マニホルド404に取り付けられる、ポンプ・マニホルド機構を提供する。これにより、マニホルド404とポンプ402との間の不必要な配管がなくなる。マニホルド404は、直接接合されているように図1では概略的に示されているが、実際には、キャビネット又は他の筐体内に配置されて、キャビネットの壁を間に挟んでポンプ402に取り付けられることが意図される。このように、マニホルド404は、ソレノイド弁等の電動力を含むことができ、スプレー環境から隔離される。このポンプ設計は、また、従来のベンチュリポンプと対照的に、ポンプをスプレー環境の外部に配置可能である。
【0026】
供給マニホルド404は、本明細書で後述する目的のために、その関連するポンプ402に加圧空気を供給する。さらに、各供給マニホルド404は、空気ホース又は空気ライン405を介してスプレーガン20に供給される加圧パターン空気供給源を含む。主要空気408が、システム10のエンドユーザの製造設備内の任意の適当な供給源から、供給マニホルド404に供給される。各ポンプ402は、粉体供給ホース406を介してそれぞれのアプリケータ20に粉体を供給する。
【0027】
図1の実施形態では、第2の移送ポンプ410を用いて、バージン粉体(すなわち未使用)の供給源412から給送センター22へ粉体が移送される。当業者には、必要な移送ポンプ410及びガンポンプ402の数がシステム10全体の要件及びシステム10を用いて行われるスプレー動作の要件により決まることが理解されるであろう。
【0028】
ガンポンプ及び移送ポンプは同じ設計であってもよいが、例示的な実施形態では、本明細書で後述するような違いがある。これらの違いは、物体Pに最良のコーティングを提供するためにガンポンプがスプレーアプリケータ20に粉体材料の滑らかで一貫した流れを供給することが好ましい一方で、移送ポンプ400及び410を単に用いて、アプリケータからの粉体要求に対応するのに十分なほど大きな流量及び体積で、また任意選択で回収システム28により収集される粉体オーバースプレーで補充して、1つの容器から別の容器へ粉体を移動させることを考慮に入れる。
【0029】
ポンプ400、410、及び402を除いて、スプレーブース12、コンベヤ14、ガン20、回収システム28、及び給送センター又は供給源22を含む材料塗布システム10の選択された設計及び動作は、本発明の必須部分を形成するものではなく、特定のコーティング塗布の要件に基づいて選択することができる。しかしながら、本発明とともに用いるのに非常に適している特定のスプレーアプリケータが、「SPRAY APPLICATOR FOR PARTICULATE MATERIAL」と題する2004年8月18日に出願された係属中の国際出願番号PCT/US04/26887に記載されており、当該出願の開示全体が参照により本明細書に援用される。しかしながら、多くの他のアプリケータの設計を特定の用途の必要に応じて用いることができる。制御システム39も同様に、プログラム可能プロセッサベースのシステム又は他の適当な制御回路等、従来の制御システムであってもよい。制御システム39は、通常はプログラム可能ロジック及びプログラムルーチンを用いて、給送センター制御36(例えば、供給制御及びポンプ動作制御)、ガン動作制御38(例えば、ガントリガ制御)、ガン位置制御40(例えば、用いられる場合は往復運動器/ガン移動器26の制御関数等)、粉体回収システム制御42(例えば、フィルタブロワの後のサイクロンセパレータの制御関数等)、コンベヤ制御44、及び材料塗布パラメータ制御46(例えば、粉体流量、塗布膜厚、静電又は非静電塗布等)を含むがこれらに必ずしも限定されない、概して図1に示す多様な制御関数及びアルゴリズムを実行する。従来の制御システムの理論、設計、及びプログラミングを利用することができる。しかしながら、本開示は、本明細書でさらに記載するが、制御システム39により実行される制御機能に関する多くの本発明の態様と概念を提供する。
【0030】
本明細書で説明される実施形態は、粉体コーティング材料塗布システムで用いられる濃厚相ポンプに関して示されるが、本発明を、タイヤ上のタルク、おむつ用等の超吸収体、小麦粉、砂糖、塩等の食品関連材料、乾燥剤、離型剤、及び医薬品を含むがこれらに決して限定されない、多くの異なる乾燥粒子材料塗布システムにおいて用いることができることは、当業者には容易に理解されるであろう。これらの例は、物体への粒子材料の濃厚相塗布のための本発明の広範な用途を示すことが意図される。選択される材料塗布システムの特定の設計及び動作は、本明細書で特に明記されない限り、本発明に限定を加えるものではない。また、さまざまな本明細書における本発明の態様及び概念は、希薄相システムにおける利用法を見出すものである。
【0031】
本発明の種々の発明の態様、概念、及び特徴は、例示的な実施形態と組み合わせて具現されるように本明細書では説明及び図示されるが、これら種々の態様、概念、及び特徴は、個別に、又は種々の組み合わせ及びそれらの部分的組み合わせで、多くの代替的な実施形態で用いることができる。本明細書で特に除外されない限り、このような組み合わせ及びさらなる組み合わせは全て、本発明の範囲内にあることが意図される。さらにまた、形態、嵌合、及び機能等に関する代替的な材料、構造、構成、方法、回路、デバイス、及び構成部品、ソフトウェア、ハードウェア、制御ロジック、代替物等、本発明の種々の態様、概念、及び特徴に関する種々の代替的な実施形態が本明細書で説明され得るが、このような説明は、現在既知であるか将来開発されるものであるかに関係なく、利用可能な代替的な実施形態の完全又は網羅的なリストであることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で、発明の態様、概念、又は特徴の1つ又は複数をさらなる実施形態に容易に取り入れることができ、このような実施形態が本明細書で明確に開示されていないとしてもそれを行うことができる。さらに、本発明のいくつかの特徴、概念、又は態様が好ましい構成又は方法として本明細書で説明されている場合があっても、このような説明は、そのように明記されない限り、このような特徴が必要又は必須であることを示唆することを意図するものではない。さらにまた、本開示の理解に役立つように、例示的又は代表的な値及び範囲が含まれている場合があるが、このような値及び範囲は、限定を意味するものと解釈すべきではなく、そのように明記されている場合にのみ臨界値又は範囲であることが意図される。さらに、種々の態様、特徴、及び概念が、発明的、すなわち発明の形成部分であると本明細書中で明示されている場合があるが、このような明示は限定的なものではなく、発明自体又は特定の発明の一部であると明示されることなく本明細書で十分に説明される本発明の態様、概念、及び特徴がある場合もあり、こうした発明は、代わりに添付の特許請求の範囲に記載される。例示的な方法又はプロセスの説明は、全てのステップを全ての場合に必要であるものとして含むことに限定されず、これらのステップが示される順序も、そのように明記されない限り必要又は必須であると解釈すべきではない。
【0032】
図1の全体的な概略図からでさえも、このような複雑なシステムは、洗浄及び色交換の準備を行うのが非常に困難であり時間がかかる可能性があることが理解できる。通常の粉体コーティング材料は非常に細かい微粒子であり、スプレーされている物体に向けて細かい雲状又はスプレーパターンで塗布される傾向がある。静電技術を用いても、有意量の粉体オーバースプレーは避けられない。色交換中の交差汚染は、多くの産業で重要な問題であるため、材料塗布システムを色交換ごとに徹底的に洗浄することができることが重要である。しかしながら、色交換は材料塗布システムをオフラインにする必要があるため、大きなコスト推進要素である。本発明は、ひとつにはより容易且つ迅速に洗浄できるポンプを提供することを目的とする。本発明のさらなる特徴及び態様は、洗浄性及び色交換時間に関する事項とは切り離して適用可能である。
【0033】
図2A、図2B、及び図2Cを参照すると、濃厚相ポンプ402の例示的な一実施形態が示されている。ポンプ402は移送ポンプとしても用いることができるが、材料をスプレーアプリケータ20に供給するためのガンポンプとして特に設計される。ガンポンプ402並びに移送ポンプ400及び410は、本明細書中の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう多くの共通の設計特徴を共有する。
【0034】
本発明の一態様によれば、ポンプ402は、モジュール式設計である必要はないが、そうであることが好ましい。ポンプ402のモジュール構造は、ポンプマニホルド体414及び弁体416で実現される。マニホルド体414は、本明細書でさらに説明するように、多数の空気通路とともに一対のポンプ室を収容する。弁体416は、同様に本明細書で説明するように複数の弁要素を収容する。弁は、マニホルド体414から弁体416に伝達される空気圧信号に応答する。本明細書の例示的な実施形態は、空気圧ピンチ弁の使用を示しているが、空気圧ピンチ弁以外の他の制御弁設計を用いて本発明の種々の態様及び利点を実現できることが、当業者には容易に理解されるであろう。
【0035】
ポンプの上側部分402aは、パージ空気機構418a及び418bに対応しており、ポンプの下側部分402bは、粉体入口ホースコネクタ420及び粉体出口ホースコネクタ422に対応している。粉体給送ホース24(図1)が入口コネクタ420に接続されて、給送ホッパ22等の供給源から粉体流が供給される。スプレーアプリケータがスプレーブース12に配置された手動スプレーガンであるか自動スプレーガンであるかに関係なく、粉体供給ホース406(図1)を用いて、出口422がスプレーアプリケータに接続される。ポンプ402に供給された粉体は、流動化されてもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0036】
したがって、ポンプ402に出入りする粉体流は、ポンプの1つの端402bで生じる。これにより、本明細書でさらに説明するように、パージ機構418をポンプの反対端402aに設けてより容易なパージ動作を行うことが可能になる。
【0037】
ポンプ室(使用可能な代替的な実施形態である)が1つしかない場合、ポンプ内に2つの粉体路しか必要なくなるため、弁体416がマニホルドに直接接続される可能性がある。しかしながら、安定し一貫した調整可能な粉体流をポンプから生成するために、2つ以上のポンプ室が設けられる。2つのポンプ室が用いられる場合、これらは、一方のポンプ室が入口から粉体を受け取り、他方が粉体を出口へ供給するように、位相をずらして動作することが好ましい。このように、粉体はポンプから実質的に連続して流出する。最初にポンプ室に粉体を充填する必要があることにより個々のポンプ室の各々からの粉体流が途切れるため、ポンプ室が1つの場合はこれは当てはまらない。3つ以上のポンプ室が用いられる場合、それらのタイミングは必要に応じて調整することができる。いずれの場合も、全てのポンプ室が1つの入口及び1つの出口と連通していることが好ましいが、必須ではない。
【0038】
本発明の一態様によれば、材料流は、ポンプ室の各々の一端から出入りする。これにより、一直線パージ機能をポンプ室の反対端で用いることができる機構が得られる。この例示的な実施形態では、各ポンプ室が同じポンプ入口及び出口と連通しているため、付加的なモジュールユニットを用いてYブロックの形態の分岐状粉体流路が設けられる。
【0039】
第1のYブロック424が、マニホルド体414と弁体416との間で相互接続される。第2のYブロック426がポンプの入口/出口端を形成し、第1のYブロック424の反対側で弁体416の側部に接続される。第1の組のボルト428を用いて、マニホルド体414、第1のYブロック424、及び弁体416が共に接合される。第2の組のボルト430を用いて、第2のYブロック426が弁体416に接合される。したがって、図2Aのポンプは、完全に組み立てられると非常に小型且つ堅牢であるが、下側Yブロック426は、流路磨耗部品を交換するために、ポンプを完全に分解しなくても容易に個別に取り外すことができる。第1のYブロック424は、各粉体室から出る2つの分岐状粉体流路を提供する。各粉体室からの一方の分岐は、弁体416を通してポンプ入口420と連通し、各粉体室からの他方の分岐は、弁体416を通してポンプ出口422と連通する。第2のYブロック426は、弁体416からポンプの入口420及び出口422への共通の粉体流路を結合するために用いられる。このように、各ポンプ室は、1つの制御弁を通してポンプ入口と連通し、別の制御弁を通してポンプ出口と連通する。したがって、この例示的な実施形態では、弁体にはポンプ室に出入りする粉体流を制御する制御弁が4つある。
【0040】
マニホルド体414は、図2B、図2E、図2G、図3A、及び図3Bに詳細に示されている。マニホルド414は、第1のボア434及び第2のボア436それぞれが貫通している本体432を含む。ボアはそれぞれ、ほぼ円筒形のガス透過性フィルタ部材438及び440それぞれを受け入れる。ガス透過性フィルタ部材438、440は、外径が縮小した下端438a及び440aを含み、これらが第1のYブロック424(図4B)内の座ぐり穴に挿入されることで、部材438及び440の整列及び安定を維持するのに役立つ。フィルタ部材の上端は、必要に応じて適当なシールを伴ってパージ空気接続具504の下端に当接する。フィルタ部材438及び440はそれぞれ、粉体ポンプ室としての役割を果たす内部容積(438c、440c)を画定するため、この実施形態では2つのポンプ粉体室が設けられる。ボア434、436の一部は、本明細書で後述するようにパージ空気機構418a及び418bを受け入れるようになっている。
【0041】
フィルタ部材438、440は、同一であってもよく、通常の空気等のガスは部材の円筒壁を通過させるが粉体は通過させないものとすることができる。フィルタ部材438、440は、例えば多孔質ポリエチレンでできていてもよい。この材料は、粉体給送ホッパの流動板に一般的に用いられる。例示的な材料は、約40マイクロメートル(ミクロン)の気孔径及び約40〜50%の気孔率を有する。このような材料は、ジェンポール(Genpore)又はポロン(Poron)から市販されている。必要に応じて他の多孔質材料を用いてもよい。フィルタ部材438、440はそれぞれ、その関連するボア434、436の直径よりも小さな直径を有するため、ボアの壁とフィルタ部材の壁との間にはわずかな環状空間が設けられる(図2E、図2Gを参照)。この環状空間は、空気圧室としての役割を果たす。圧力室に負圧が加えられると、粉体ポンプ室に粉体が引き込まれ、圧力室に正圧が加えられると、粉体ポンプ室内の粉体が押し出される。
【0042】
マニホルド体432は、一連の6つの入口オリフィス442を含む。これらのオリフィス442を用いて、空気圧エネルギー又は空気圧信号がポンプに入力される。オリフィスのうちの4つ442a、442c、442d、及び442fは、各空気通路444a、444c、444d、及び444fを介して弁ブロック416の各圧力室446と流体連通しているため、本明細書で後述するように弁作動空気を供給するために用いられる。なお、空気通路444は、マニホルド表面448からマニホルド体内に水平方向に延び、続いてマニホルド体の底面に向かって鉛直下方に延びて、上側Yブロック424及び弁体416を通る鉛直空気通路のそれぞれと連通し、弁体416の水平空気通路それぞれと接合して、各弁の圧力室にそれぞれ通じる。空気フィルタ(図示せず)がこれらの空気通路に含まれることで、弁要素又は他のシールの機能が損なわれた場合にポンプマニホルド414及び供給マニホルド404に粉体が逆流するのを防止することができる。残りの2つのオリフィス442b、442eはそれぞれ、空気通路444b及び444eを介してボア434、436と流体連通する。したがって、これらのオリフィス442b、442eを用いて、正圧及び負圧がマニホルド体のポンプ圧力室に供給される。
【0043】
オリフィス442は、マニホルド体の1つの平面448に形成されることが好ましいが、そうである必要はない。空気供給マニホルド404は、該供給マニホルド404がポンプマニホルド414に取り付けられるとポンプオリフィス442と整列して流体連通する対応するオリフィス組を含む。このように、空気供給マニホルド404は、弁及びポンプ室に必要なポンプ空気全てを1つの平面境界面を通して供給することができる。ポンプマニホルド414の面と空気供給マニホルド404の面との間にはシールガスケット450が圧縮されて、オリフィス間に流体密封シールを提供する。パージ空気に望まれる体積、圧力、及び速度を理由として、好ましくは別個のパージ空気接続部が供給マニホルドとポンプマニホルドとの間で用いられる。2つのマニホルド間は平面境界面であることが好ましいが、これは必須ではなく、供給マニホルド404からポンプへの空気圧入力ごとに個々の接続部を必要に応じて用いることができる。平面境界面は、一部の実施形態では電気ソレノイドを含む供給マニホルド404を、外側にポンプがある(キャビネット壁の開口を通して供給マニホルドに取り付けられている)キャビネット内に配置することを可能にするため、システム10全体から電気エネルギーを絶縁するのに役立つ。ポンプ402は使用中にいかなる特定の向きに取り付けられる必要もないことに留意されたい。
【0044】
図4A及び図4Bを参照すると、第1のYブロック424は、それぞれのポンプ室434、436と整列する第1の穴452及び第2の穴454を含む。穴452、454はそれぞれ、2つの分岐452a、452b及び454a、454bそれぞれと連通している(図4Bは穴452の分岐のみを示す)。したがって、穴452は分岐452a及び452bと連通している。したがって、第1のYブロック424には全部で4つの分岐があり、分岐のうち2つは一方の圧力室と連通し、他の2つは他方の圧力室と連通する。分岐452a、452b及び454a、454bは、2つのポンプ室に対してポンプを通る粉体路の一部を形成する。4つの分岐それぞれを通る粉体流は、本明細書で説明するように弁体416にある別個のピンチ弁により制御される。なお、Yブロック424は、4つの貫通空気通路456a、456c、456d、456fも含み、これらはマニホルド体414の空気通路444a、444c、444d、444fのそれぞれと流体連通している。ガスケット459を用いて、マニホルド体414と第1のYブロック424との間に流体密封接続を提供してもよい。
【0045】
穴452及び454は、従来のOリング等のシール462、464(図2C)を受け入れる座ぐり穴458、460を含む。これらのシールは、フィルタ部材438、440の下端とYブロックの穴452、454との間に流体密封シールを提供する。これらはわずかな公差変動も可能にするため、フィルタ部材が所定位置にしっかりと保持される。
【0046】
さらに図5A及び図5Bを参照すると、弁体416は、対応する数のピンチ弁に対する圧力室として機能する4つの貫通ボア446a、446b、446c、及び446dを含む。弁体の上面466は、2つの凹状領域468及び470を含み、これらはそれぞれ、各ボア446の一端によりそれぞれが形成される2つの穴を含む。この実施形態では、第1の凹状部分468は、それぞれのボア446b及び446aによりそれぞれ形成されるオリフィス472及び474を含む。同様に、第2の凹状部分470は、それぞれのボア446d及び446cによりそれぞれ形成されるオリフィス476及び478を含む。対応するオリフィスが、弁体416の反対側面479に形成される。
【0047】
圧力室446a〜446dはそれぞれ、入口ピンチ弁要素480又は出口ピンチ弁要素481を保持する。各ピンチ弁要素480、481は、例えば、天然ゴム、ラテックス、又はシリコーン等の適当な材料でできている極めて軟質の可撓性部材である。各弁要素480、481は、ほぼ円筒形の中央体482及び中央体482よりも直径が大きな2つのフランジ端484を含む。フランジ端は、シールとして機能し、弁体416が第1のYブロック424と第2のYブロック426との間に挟まれるとボア446a〜446dの周りで圧縮される。このように、各ピンチ弁は、弁体416を通して第1のYブロック424の分岐452、454のそれぞれまで粉体が流れる流路を画定する。したがって、一方の対のピンチ弁(吸引弁及び送出弁)はマニホルド体のポンプ室440の一方と連通し、他方の対のピンチ弁は他方のポンプ室438と連通する。一方のピンチ弁がポンプ室への粉体流を制御し(吸引)、他方のピンチ弁がポンプ室から出る粉体流を制御する(送出)ため、1つのポンプ室につき2つのピンチ弁がある。各ピンチ弁の中央体部分482の外径は、それに関連する圧力室446のボア径よりも小さい。これにより、各ピンチ弁に対する圧力室として機能する環状空間がその弁の周りに残る。
【0048】
図5Bに示すように、弁体416は、4つの圧力室ボア446a〜446dとそれぞれが連通する空気通路486a〜486dを含む。これらの空気通路486a〜486dは、鉛直延長部(図5Bに見られる)488a〜488dを含む。これら4つの空気通路の延長部488a、488b、488c、488dはそれぞれ、マニホルド414の4つの空気通路444d、444f、444a、444cの鉛直部分及び上側Yブロック424の鉛直通路456d、456f、456a、456cと流体連通している。シール490が空気密封接続部として設けられる。
【0049】
このように、弁体416の圧力室446はそれぞれ、マニホルド体、第1のYブロック、及び弁体を通る内部通路を通り抜けてマニホルド体414の空気オリフィス442のそれぞれと流体連通する。正空気圧が供給マニホルド404(図1)からポンプマニホルド414に受け取られると、空気圧の力が可撓性の弁体の可撓性の外面に対して作用することにより、対応する弁480、481が閉じる。弁は、圧力室の外部の空気圧が除去されると、自らの弾性及び伸縮性により開く。この真の空気圧作動により、ピンチ弁の開閉にいかなる機械的作動又は他の制御部材も用いなくてよくなり、これは従来の設計を超える著しい改良である。4つのピンチ弁480、481はそれぞれ、ガンポンプ402に関して別個に制御されることが好ましい。
【0050】
本発明の別の態様によれば、弁体416は、作業者が内部のピンチ弁の開閉を視認できるように十分に透明な材料でできていることが好ましい。適した材料はアクリルであるが、他の透明材料を用いてもよい。ピンチ弁を見ることができれば、粉体を見ることができるため、ピンチ弁の故障に関する優れた視覚的指示も得られる。
【0051】
さらに図6A及び図6Bを参照すると、ポンプの残りの部分は、第2のYブロック端体492により形成される入口端402bである。端体492は、それぞれがYブロック498a及び498bを受け入れるようになっている第1の凹部494及び第2の凹部496を含む。Yブロックの一方は粉体入口に用いられ、他方は粉体出口に用いられる。各Yブロック498は、内面が粉体流に曝されるため、磨耗部品(component)である。端体492は、単に弁体416にボルト締めされるため、単に端体492を取り外すことにより磨耗部品を交換するだけでよく、したがってポンプの残りの部分を分解する必要がなくなる。
【0052】
各Yブロック498は、接続具又は他の適当なホースコネクタ420、422(図2A)を受け入れるようになっている下側穴500を含み、1つの接続具は、粉体供給源につながるホース24と、スプレーガン20等のスプレーアプリケータにつながる別のホース406とに接続される(図1)。各Yブロックは、穴500から延びる2つの粉体路分岐502a、502b、502c、及び502dを含む。第2のYブロック498の各粉体路は、ピンチ弁体416のピンチ弁480、481のそれぞれと流体連通している。したがって、入口420からポンプに入る粉体は、2つの下側Yブロック498のうち第1のYブロックを通ってピンチ弁の2つに分岐し、そこからポンプ室に至る。同様に、2つのポンプ室からの粉体は、他方の下側Yブロック498によって、他の2つのピンチ弁から1つの出口422に再合流する。
【0053】
粉体流路は以下の通りである。粉体は、共通の入口420から入り、下側Yブロック498bの経路502a又は502bを介して2つの入口又は吸引ピンチ弁480に分岐する。入口ピンチ弁480はそれぞれ、第1のすなわち上側Yブロック424内の各経路の一方の分岐452、454それぞれを介して粉体ポンプ室434、436のそれぞれに接続される。上側Yブロック424の他方の分岐452、454はそれぞれ、各ポンプ室から粉体を受け取り、粉体は第1のYブロック424を通って2つの出口又は送出ピンチ弁481に流れる。出口ピンチ弁481のそれぞれは、下側Yブロック498aの分岐502のそれぞれにも接続され、両ポンプ室からの粉体は1つの出口422で再合流する。
【0054】
空気圧流路は以下の通りである。ピンチ弁のいずれかが閉じると、供給マニホルド404がマニホルド体414の各オリフィス442において圧力を上昇させる。上昇した空気圧は、マニホルド体414の各空気通路442、444を通って第1のYブロック424の各空気通路456を進み、弁体416の各空気通路486に入って適当な圧力室446に流れる。
【0055】
本発明によるポンプは、粉体ポンプ室のパーセント充填に基づいた比例流量弁を可能にし、これは、粉体をポンプ室に給送するピンチ弁の開放時間を制御することによりポンプからの粉体の流量を正確に制御できることを意味することに留意されたい。これにより、ポンプサイクル(すなわち、ポンプ室を充填し空にするまでの総持続時間)を、流量に関係なく粉体の滑らかな流れが得られるのに十分なまでに短くすることができ、流量はピンチ弁の動作により別個に制御される。したがって、流量は、ポンプにいかなる物理的変更を加える必要もなく、ピンチ弁の制御により完全に調整することができる。
【0056】
パージ機能は、本発明の別の態様により大幅に単純化される。このポンプ設計は、粉体がポンプ室の一端から出入りする方法を提供するため、ポンプ室の反対端はパージ空気用に用いることができる。図2A、図2C、図2E、及び図2Gを参照すると、パージ空気接続具504がそれぞれのポンプ室438、440の上端に挿入される。接続具504は、ポンプ室438、440への流入のみを許すように配置される各逆止め弁506を受け入れる。逆止め弁506は、パージ空気ホースを接続することができる各パージ空気ホース接続具508を受け入れる。本明細書で後述するように、パージ空気は供給マニホルド404からポンプに供給される。したがって、パージ空気は粉体ポンプ室を通りポンプ内の粉体路の残りの部分を通って一直線に流れることで、色交換作業のためにポンプを非常に効果的にパージすることができる。このパージ作業を行うために作業者が特別な接続又は変更を行う必要は全くないため、洗浄時間が短縮される。システム10が設置されると、パージ機能は常に接続されていて利用可能であるため、色交換時間が大幅に短縮される。作業者がポンプとのいかなる粉体接続又は空気圧接続も形成又は切断する必要なく、制御システム39によりパージ機能を行うことができるからである。
【0057】
なお、図1及び図2Aから、4つのピンチ弁480、481の全てが開放状態である場合、パージ空気はポンプ室を通り第1のYブロック424の粉体路、ピンチ弁480、481自体、第2のYブロック498を通って一直線に流れ、入口420及び出口422の両方から出る。このようにして、パージ空気はポンプ内全体に供給されてからスプレーアプリケータに供給されて、そのデバイスをパージするとともに給送ホースを粉体供給源22までパージすることができる。したがって、本発明の別の態様によれば、順方向及び逆方向のパージを可能にする濃厚相ポンプの概念が提供される。
【0058】
図7を参照すると、図示の供給マニホルド404は、実質的にはポンプ402への空気流を制御する一連のソレノイド弁及び空気源である。図7に示す特定の構成は例示であり、限定を意図するものではない。ポンプ402を操作するための空気の供給は、マニホルド機構なしで多種多様な方法で行うことができる。図7の実施形態は、ポンプを有する平面境界面構成に特に有用であるものとして提供されているが、他のマニホルド設計を用いることもできる。
【0059】
本明細書で上述したように、供給マニホルド404は、ポンプマニホルド体414(図3A)の表面448に対して取り付けられる第1の平面512を有する供給マニホルド体510を含む。したがって、平面512は、ポンプマニホルド414のそれぞれのオリフィス442と整列する6つのオリフィス514を含む。供給マニホルド体510は、適当な数及び場所の空気通路を内部に有するように加工されることにより、適切な空気信号が正しい時点でオリフィス514に送られる。このように、マニホルドはさらに、オリフィス514への空気流を制御するとともにパージ空気流を制御するために用いられる一連の弁を含む。従来のベンチュリポンプ518を用いることにより、マニホルド404内で負圧が生成される。システム空気又は工場空気が、適当な接続具520を介してマニホルド404に供給される。マニホルドは、単にポンプを操作する空気源用の空気通路を提供するように動作し、多種多様な方法で実施することができるため、物理的なマニホルド構成の詳細は本発明の理解及び実施に必要ではない。むしろ、注目すべき詳細は空気圧流の概略図に関して説明される。しかしながら、この時点で、本発明の別の態様によれば、本明細書で後述する目的で弁体414のピンチ弁のそれぞれに対して別個の制御弁が設けられることに留意されたい。
【0060】
図8を参照すると、本発明の一態様による第1の実施形態に関する空気圧図が提供されている。主要空気408が供給マニホルド404に入り、第1の調整器532に進んで、ポンプ圧力源534がポンプ室438、440に供給されるとともにパターン整形空気源405が空気ホース406を介してスプレーアプリケータ20に供給される。主要空気は、パージ空気ソレノイド弁538の制御下でパージ空気源536としても用いられる。主要空気は、第2の調整器540にも進み、(ポンプ室438、440に対する負圧を生成するための)ベンチュリポンプを操作するために用いられるベンチュリ空気圧源542が生成され、且つピンチ弁480、481を操作するためのピンチ空気源544が生成される。
【0061】
本発明の別の態様によれば、ソレノイド制御弁538又は他の適当なパージ空気の制御デバイスを用いることで、複数のパージ機能が得られる。第1の態様は、2つ以上の異なるパージ空気圧及びパージ空気流を選択できることにより、ソフト及びハードのパージ機能が可能になることである。ソレノイド弁に加えて他の制御機構を用いて、2つ以上のパージ空気流特性を提供してもよい。制御システム39がソフトパージ若しくはハードパージを選択するか、又は手動入力をこの選択に用いることができる。ソフトパージ機能では、供給マニホルド404を通して、多孔質部材438、440とそれぞれのボア434、436との間の環状空間であるポンプ圧力室434、436に、少ないパージ空気流が供給される。制御システム39はさらに、一組のピンチ弁(吸引又は送出)を開き、他方を閉じたままにするよう選択する。パージ空気は多孔質フィルタ438、440を通過して開いた弁から出て、スプレーガン20に向けて順方向に、又は供給源22に向けて逆方向に(後方に)システムをパージする。次に、制御システム39は開くピンチ弁と閉じるピンチ弁とを逆にする。ソフトパージは、4つのピンチ弁全てを開くことにより同時に両方向で行うこともできる。同様に、高いパージ空気圧及びパージ空気流は、順方向、逆方向、又は両方向同時の、ハードパージ機能に用いることができる。多孔質部材438、440に空気を通すことにより行われるパージ機能は、多孔質部材に詰まっている粉体を除去するのにも役立つため、交換が必要となる前の多孔質部材の耐用寿命が延びる。
【0062】
ハード又はシステムパージは、2つのパージ機構418a及び418bを用いて行うこともできる。高圧流空気をパージ空気接続具508から入力することができ(パージ空気は供給マニホルド404から供給できる)、この空気は、多孔質部材438、440により一部が画定される粉体ポンプ室を一直線に流れてポンプから出る。この場合も、ピンチ弁480、481を所望に応じて選択的に動作させて、順方向、逆方向、又は両方向同時にパージを行うことができる。
【0063】
パージを同時に両方向にのみ行うことができるのであれば、パージ空気が最も低抵抗な経路を流れるため粉体路領域の一部を十分にパージすることができないので、順方向又は逆方向のみに任意にパージできることでより優れたパージ能力が得られることに留意されたい。例えば、スプレーアプリケータ及び供給ホッパのパージを試みる場合、アプリケータが空気流を受け入れるように完全に開いていれば、パージ空気はアプリケータから流出する傾向があり、ホッパ又は供給源が十分にパージされないかもしれない。
【0064】
したがって、本開示は、供給源からスプレーガンに至るまでの粉体路全体を、作業者による行為を事実上必要とせずに別個に又は同時にパージすることができるポンプ設計を提供する。オプションのソフトパージは、粉体路にハードパージ空気を入れる前に残渣粉体を流路から軽く吹き飛ばすことにより、ハードパージによる融着又は他の悪影響が先に起こるのを防止するのに有用である可能性がある。
【0065】
ベンチュリ用の正空気圧542は、制御ソレノイド弁546に入り、そこからベンチュリポンプ518に進む。ベンチュリポンプの出力518aは、2つのポンプソレノイド弁548、550の入口に接続される負圧または部分真空である。ポンプ弁548、550は、ポンプ室438、440に正圧を加えるか負圧を加えるかを制御するために用いられる。弁548、550のさらなる入力部が、ポンプ圧空気534を受け入れる第1のサーボ弁552から正圧空気を受け入れる。ポンプ弁548、550の出口は、本明細書で上述した空気通路方式でポンプ室のそれぞれに接続される。なお、パージ空気536が多孔管438、440を通過することが概略的に示されている。
【0066】
したがって、ポンプ弁550及び548を用いて、一方のポンプ室が加圧されているときに他方が負圧下にあり、またその逆の状態になるように通常は180°位相をずらしてポンプ室に正圧及び負圧を交互に加えることにより、ポンプ402の動作が制御される。このように、一方のポンプ室に粉体が充填されている一方で他方のポンプ室は空になっていく。ポンプ室には、粉体を完全に「充填」してもしなくてもよいことに留意されたい。本明細書で説明するように、ピンチ弁ごとに独立した制御弁を用いることにより、本発明を用いて非常に少ない粉体流量を正確に制御することができる。すなわち、ピンチ弁は、各ポンプサイクル中にポンプ室に多量又は少量の粉体を供給するように、ポンプ室のサイクル速度とは無関係に制御することができる。
【0067】
ピンチ弁空気544は、4つのピンチ弁制御ソレノイド554、556、558、及び560に入力される。4つの弁は、4つのピンチ弁480、481のそれぞれの動作を好ましくは独立してタイミング制御するように用いられる。図8では、「送出ピンチ弁」は、粉体がポンプ室から出る際に通る2つのピンチ弁481を指し、「吸引ピンチ弁」は、粉体がポンプ室に給送される際に通る2つのピンチ弁480を指す。同じ参照符号を用いているが、各吸引ピンチ弁及び各送出ピンチ弁は別個に制御される。
【0068】
第1の送出ソレノイド弁554が第1の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第2の送出ソレノイド弁558が第2の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第1の吸引ソレノイド弁556が第1の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御し、第2の吸引ソレノイド弁560が第2の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御する。
【0069】
このように、図8の空気圧図は、制御システム39(図1)からの種々の制御信号に応答してマニホルド404が生成する機能空気流を示している。
【0070】
図9A及び図9Bを参照すると、本発明の別の態様によれば、移送ポンプ400も意図される。移送ポンプの多くの態様は、スプレーアプリケータポンプ402と同じ又は同様であるため、詳細に繰り返す必要はない。
【0071】
ガンポンプ402を移送ポンプとして用いることもできるが、移送ポンプは、必要に応じた速さで容器間で大量の粉体を移動させるのに主に用いられる。さらに、本明細書で説明される移送ポンプは、同じ四方独立ピンチ弁の動作を有さないが、切替弁をガンポンプと同じ制御プロセスで動作させることができる。例えば、一部の用途では、大量の材料を大きな表面に塗布しつつ仕上げの制御を維持することが必要である。移送ポンプは、本明細書に記載された4つの独立したピンチ弁の制御プロセスも組み込むことにより、アプリケータのポンプとして用いることができる。
【0072】
図1のシステムでは、移送ポンプ400を用いて、回収システム28(サイクロン等)から給送センター22に粉体が戻される。移送ポンプ410もまた、箱等の供給源から給送センター22にバージン粉体を移送するために用いられる。このような例及び他の例では、粉体流がスプレーアプリケータに送られていないため、流れ特性は移送ポンプにおけるほど重要ではない。そこで、本発明の一態様によれば、ガンポンプは移送ポンプの性能期待値に対応するように変更される。
【0073】
移送ポンプ400では、粉体流量を増加させるためにより大きなポンプ室が必要である。図9A及び図9Bの実施形態では、この場合、ポンプマニホルドが2つの延長管状ハウジング564及び566に置き換えられ、これらは長い多孔管568及び570を囲んでいる。長い管568、570は、各ポンプサイクル中により大量の粉体を収容することができる。多孔管568、570は、ハウジング564、566よりもわずかに小さな直径を有するため、正圧及び負圧両方のための圧力室としての役割を果たす管状空間が互いに間に設けられる。空気ホース接続具572及び574が空気ホースを接続するために設けられ、空気ホースは、本明細書で後述される移送ポンプ空気供給システムの正圧及び負圧源にも接続される。ポンプマニホルドが用いられていないため、空気圧エネルギーはポンプ400に個別に配給される。
【0074】
空気ホース接続具572及び574は、各ハウジング564及び566内の圧力室と流体連通している。このように、粉体室568及び570に対する粉体の引き込み及び押し出しは、ガンポンプ設計におけるように負圧及び正圧により行われる。また同様に、逆止め弁580、582を含むパージ穴機構576及び578が設けられ、ガンポンプ設計と同じ方法で機能する。
【0075】
ガンポンプ設計におけるように、ポンプ室568及び570に出入りする粉体流を制御する4つのピンチ弁585を収容する弁体584が設けられる。ガンポンプにおけるように、ピンチ弁は、弁体584の各圧力室内に配置され、正空気圧を用いて弁を閉じ、正圧が除去されると弁が自らの弾性で開くようにする。しかしながら、間もなく説明するように、異なるピンチ弁作動方式が用いられる。上側Yブロック586及び下側Yブロック588もまた、ガンポンプ設計におけるように分岐粉体流路を提供するために設けられる。したがって、下側Yブロック588は、粉体入口接続具590及び粉体出口接続具592とも連通している。したがって、1つの入口から入った粉体は、各ピンチ弁及び上側Yブロック586を通って両方のポンプ室568、570に流れ、ポンプ室568、570から出た粉体は、各ピンチ弁を通って1つの出口592へ流れる。分岐粉体流路は、ガンポンプの実施形態と同様にして実現されるため、本明細書で繰り返す必要はない。移送ポンプは、ガンポンプにおけるように下側Yブロック588に交換可能な磨耗部品又はインサートを組み込んでもよい。
【0076】
この場合も、ポンプマニホルドが移送ポンプで用いられていないため、ガンポンプ設計におけるように圧力室に配置されるピンチ弁の操作のために別個の空気入口594及び596が設けられる。以下に記載の理由から4つのピンチ弁があるが、空気入口は2つしか必要ない。エンドキャップ598を用いて、ハウジングを整列させたまま保持するとともに、空気接続具及びパージ接続具用の構造を提供することができる。
【0077】
移送ポンプにおいて粉体流の流量は品質よりも極めて重要であるため、4つのピンチ弁全ての個別制御は、代替的に行うこともできるが必須ではない。したがって、ピンチ弁の対は同時に、ポンプのサイクル速度と一致して作動させることができる。換言すれば、一方のポンプ室に粉体が充填されているときには他方のポンプ室は粉体を放出しており、したがってピンチ弁の各対が開閉する。ピンチ弁は、ポンプ室への正圧及び負圧の作動と同期して作動させることができる。さらに、ピンチ弁圧力室への1つの空気入口は、一緒に動作するピンチ弁対の圧力室の各対を内部接続することにより用いることができる。したがって、2つのピンチ弁は粉体をポンプから出す送出弁として用いられ、2つのピンチ弁は粉体をポンプに引き込む吸引弁として用いられる。しかしながら、ポンプ室は送出及び吸引を交互に行うため、半サイクルごとに1つの吸引ピンチ弁の開放及び1つの送出ピンチ弁の開放が起こり、それぞれがポンプ室の異なる1つに接続される。したがって、弁体584内では、1つの吸引ピンチ弁の圧力室及び1つの送出ピンチ弁の圧力室が共に接続され、他の2つのピンチ弁の圧力室も共に接続される。これは各ピンチ弁が異なるポンプ室に接続されるピンチ弁対で行われる。相互接続は、単に弁体内の圧力室の対間に交差通路を設けることにより達成することができる。
【0078】
図10を参照すると、移送ポンプ400の例示的な空気圧図は、スプレーアプリケータとともに用いられるポンプに関してより幾分簡略化されている。移送ポンプ室に対して負圧を生成するために用いられるベンチュリポンプ600に、主要空気408が入力される。主要空気は調整器602にも導入され、送出空気が第1の室ソレノイド弁604及び第2の室ソレノイド弁606への各入力部に供給される。室弁は、入力としてベンチュリポンプ600からの負圧も受け取る。ソレノイド弁604、606は、移送ポンプの各圧力室と流体連通している各出力部608、610を有する。
【0079】
この実施形態のソレノイド弁は、電気的に作動されるのではなく空気作動される。したがって、空気タイマ又はシャトル弁616からの空気信号612及び614を用いて、ポンプの圧力室への正圧出力と負圧出力との間で弁604、606が切り替えられる。適した空気タイマ又はシャトル弁の一例は、ホエルビガー・オリガ(Hoerbiger-Origa)から入手可能なモデルS9 568/68−1/4−SOである。ガンポンプにおけるように、ポンプ室は、一方が充填されているときに他方が放出しているように切り替わる。シャトルタイマ信号612は、四方弁618を作動させるためにも用いられる。主要空気は、移送ポンプのピンチ弁用のピンチ空気622を生成するために調整器620により低圧に低下される。ピンチ空気622は、四方弁618に送出される。ピンチ空気は、一方のポンプ室のピンチ弁624及び他方のポンプ室のピンチ弁626に結合され、関連する対がポンプ室と同じサイクル時間で一緒に開閉する。例えば、送出ピンチ弁624aが一方のポンプ室に対して開くと、他方の送出ピンチ弁626aが閉じ、吸引ピンチ弁624bが閉じると吸引ピンチ弁626bが開く。弁は各ポンプサイクルの後半中に逆になるため、ガンポンプと同様にポンプ室も切り替わる。ピンチ弁はポンプ室と同じタイミングサイクルで動作するため、連続的な粉体流が得られる。
【0080】
図11は、移送ポンプの空気圧回路の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、ポンプの基本的な動作は同じであるが、ここでは、1つの弁628を用いてポンプ室への正圧及び負圧を切り替える。この場合、空気圧周波数発生器630が用いられる。適したデバイスは、クロウゼット(Crouzet)から入手可能なモデル81 506 490である。発生器630は、ポンプ室の四方弁628及びピンチ空気四方弁618を作動させる様々な空気信号を生成する。したがって、ポンプ室及び関連するピンチ弁の交互サイクルが達成される。
【0081】
図12は、ピンチ弁480、481の独立制御により可能となる本発明の流量制御の態様を示す。この図は、説明を目的としたものであり、実際の測定データを示すものではないが、本開示による通常のポンプは同様の性能を示すであろう。グラフは、ポンプからのポンド/時での総流量対ポンプサイクル時間を表している。400ミリ秒という通常のポンプサイクル時間は、多孔質部材を囲む圧力室に負圧及び正圧が加えられる結果として400ミリ秒の時間窓内で各ポンプ室が充填又は放出を行っていることを意味する。したがって、各ポンプ室は、合計800ミリ秒の時間で充填及び放出を行う。グラフAは、ピンチ弁がポンプ室と同じ時間間隔で動作する場合の通常の応答を示す。これにより、所与のサイクル時間で最大の粉体流が得られる。したがって、サイクル時間が長くなると、ポンプの動作が遅くなるため粉体流の量が減少する。したがって、ポンプ室を充填するのに要する実際の時間はポンプサイクル時間よりもはるかに短いため、サイクル時間が短くなると流量は増加する。したがって、ポンプの運転の速さ又は遅さ(ポンプ圧力室に負圧及び正圧を加える持続時間に基づいたポンプサイクル時間)と粉体流量との間には直接の関係がある。
【0082】
グラフBは、ポンプサイクル時間に対するピンチ弁サイクル時間を変えることにより粉体流量、特に低流量を制御及び選択できることを示しているため、注目に値する。例えば、吸引ピンチ弁が開いたままである時間を短縮することにより、ポンプ室が吸引モードである時間がどんなに長くてもポンプ室に入る粉体が少なくなる。図12において、例えば、グラフAは点Xで、400ミリ秒のポンプサイクル時間では約17.69kg/時の流量が得られることを示している。しかしながら、ピンチ弁が閉じている時間が400ミリ秒より短い場合、ポンプサイクル時間が400ミリ秒のままであっても流量は点Yすなわち約4.99kg/時まで減少する。これにより保証されるのは、低流量でも滑らかで一貫した粉体流である。滑らかな粉体流は、ポンプサイクル速度を高めることにより生じるが、上記のように、これにより粉体流量も多くなるであろう。したがって、粉体流量は少ないが滑らかな粉体流を得るために、本発明は、吸引ピンチ弁の動作、及び任意選択で同様に送出ピンチ弁の動作も独立制御できることにより、ポンプサイクル速度が速くなっても粉体流量を制御できるようにする。作業者は、単に所望の速度を入力することにより流量を容易に変えることができる。制御システム39は、ピンチ弁の開放時間を適宜調整することにより所望の流量が得られるようにプログラムされる。流量制御は十分に正確であるため、実際の流量を測定するためにセンサを用いる閉ループ式ではなく事実上開ループの流量制御方式であることが意図される。経験的データを所与のシステム設計全体について収集して、種々のポンプサイクル時間及びピンチ弁サイクル時間での流量を測定することができる。この経験的データは、続いて材料流量の製法(レシピ)として記憶される。これは、特定の流量が要求された場合に、その流量が得られるピンチ弁サイクル時間を制御システムが知っていることを意味する。特に低流量での流量制御は、より正確であり、従来のシステムで行わなければならなかったようにポンプサイクル時間を長くするのではなくピンチ弁の開放すなわち吸引時間を調整することにより、より良好で均一な流れが生成される。したがって、本発明は、所望であればポンプサイクル速度を変えずにポンプからの材料の流速を制御することができる測量可能ポンプを提供する。
【0083】
図13は、本発明の例示的なポンプ制御の概念をさらに示す。グラフAは、500ミリ秒のポンプサイクル速度での流量対ピンチ弁開放時間を示し(ミリ秒単位)、グラフBは、800ミリ秒のポンプサイクル時間に関するデータを示している。グラフはいずれも、本明細書で説明するように2室ポンプに関するものである。まず、両方のグラフで、ピンチ弁開放時間が長くなるとともに流量が増加することに留意されたい。しかしながら、グラフBは、確定可能なピンチ弁開放時間を超えてから流量が最大に達することを示している。これは、ピンチ弁が開いている時間の長さに関係なく、限られた量の粉体しかポンプ室に充填できないからである。グラフAは、同じピンチ弁持続時間に関して表した場合に同様のパターンを示すであろう。両方のグラフは、ポンプから任意の粉体流を得るための確定可能な最短ピンチ弁開放時間があることも示している。これは、粉体が実際にポンプ室に吸い込まれポンプ室から押し出されるのに十分なほど長い時間、ピンチ弁が開いていなければならないからである。なお、概して、所与のピンチ弁持続時間では、グラフAのポンプ速度が速いほど流量が多くなる。
【0084】
本明細書に示されているデータ、値、及びグラフは、実際のポンプ設計によって大きく変わるため、例示的であり非限定的であることが意図される。制御システム39は、単に制御システム39にピンチ弁の弁開放時間及びポンプ室の吸引/加圧時間を調整させることにより可変流量を提供するように、容易にプログラムされる。これらの機能は、材料流量制御632プロセスにより操作される。
【0085】
代替的な実施形態では、ポンプからの材料流量は、粉体ポンプ室に粉体を吸い込むためにポンプ圧力室の吸引が行われる持続時間を調整することにより制御することができる。ポンプサイクル全体は一定に、例えば800ミリ秒に保つことができるが、400ミリ秒の充填時間の間に吸引が実際に行われる時間は、粉体ポンプ室に引き込まれる粉体の量を制御するために調整することができる。真空(負圧)が長く加えられるほど、ポンプ室に引き込まれる粉体は多くなる。これにより、吸引ピンチ弁及び送出ピンチ弁の制御を用いることとは別に、材料流量の制御及び調整が可能になる。
【0086】
しかしながら、別個のピンチ弁制御を用いることで、この代替的な実施形態の材料流制御が強化される。例えば、上記のように、サイクルごとに粉体室に吸い込まれる粉体の量を制御するために吸引時間を調整することができる。ピンチ弁の動作も制御することにより、この吸引が行われるタイミングを制御することもできる。吸引は、負圧が圧力室に加えられている間のみ、しかも吸引ピンチ弁が開いている間のみ行われる。したがって、吸引時間が終了した時点で、吸引ピンチ弁を閉じることができ、圧力室への負圧を止めることができる。これにはいくつかの利点がある。1つの利点は、圧力室から吸引力を除去することにより、負圧を形成するベンチュリポンプに必要な加圧プロセス空気の消費が少なくなることである。別の利点は、吸引期間を送出期間(送出期間は正圧が圧力室に加えられる期間である)から完全に分離できるため、吸引と送出とが重ならないことである。これにより、粉体ポンプ室における粉体の吸引から送出への遷移時間の間に逆流が生じるのが防止される。したがって、吸引時間の制御を用いるとともに独立したピンチ弁制御を用いることにより、吸引が行われるタイミングを、例えばポンプサイクルの吸引部分の途中になるように制御して、正圧が加えられている送出サイクルと重なるのを防止することができる。材料流量の制御にピンチ弁を用いる本明細書の実施形態のように、この代替的な実施形態は、経験的データ又は他の適当な分析を利用して、所望の流量を得るために制御するのに適した吸引持続時間及びオプションのピンチ弁動作時間を求めることができる。ポンプサイクルの放出すなわち送出部分の間は、送出時間の間中、正圧を維持することができる。これにはいくつかの利点がある。正圧を維持することにより、ポンプをスプレーガンに接続するホースに粉体流が滑らかに入る。吸引ピンチ弁は送出時間中閉じたままにすることができるため、送出(すなわち正圧)期間の終了とそれに続く吸引期間の開始とを重ねることができる。2つのポンプ室を用いるため、この重複は、ガンにつながる送出ホース内に常に正圧があることを確実にすることにより、流れを滑らかにして震えを最小限に抑える。この重複はさらに、吸引ピンチ弁が開いているときに正圧が逆流を引き起こさないようにピンチ弁のタイミングを調整することができると同時に、滑らかな粉体流を確実にする。繰り返すが、ピンチ弁及び圧力室のタイミングシナリオは全て、ポンプが望むいかなる流れ特性及び流量も実現するように、選択して制御システム39に容易にプログラムすることができる。経験的データを分析して、種々の製法についてのタイミングシーケンスを最適化することができる。
【0087】
本開示は、ポンプの操作に必要な加圧プロセス空気の使用に関して非常に効率的である、濃厚相ポンプを意図している。上記のように、ピンチ弁を別個にタイミング調整できるため、吸引圧力はポンプ流量制御プロセスの一部として任意に止めることができる。これにより、負の吸引圧力を生成するベンチュリポンプを操作するためのプロセス空気消費が減る。濃厚相輸送を用いることで、ポンプからガンへの材料の輸送に必要な粉体流路の形状を小さく、且つ空気を少なくすることができる。さらにまた、ピンチ弁は常開モードで動作するため、ピンチ弁を開くか又は開いたまま維持するための空気圧又は制御部材若しくはデバイスは必要ない。
【0088】
したがって、本明細書における本発明のポンプ設計は、作業者が所望の流量の入力以外にシステムにいかなる変更も加えずにポンプの出力流量を選択できることを意味する、拡張可能な材料流量ポンプ出力を提供するために使用可能である。これは、キーボード若しくは他の適当な機構等の任意の適当なインタフェースデバイスを介して行ってもよく、又は物体に材料を塗布するための製法の一部として流量を制御システム39にプログラムしてもよい。このような製法は、一般に、流量、電圧、空気流量制御、パターン整形、トリガ時間等を含む。
【0089】
本明細書で説明した本発明の態様及び特徴の1つ又は複数を組み込んだ、又は多孔管を用いる他のポンプ設計に存在し得るポンプには、場合によっては低下する可能性がある多数の動作及び性能特性があることが分かった。さらに、本明細書で説明されるポンプ設計だけでなく、多孔質バリアを利用してポンプ室に吸引及び正圧を交互に加えるタイプの他の濃厚相ポンプ設計の、これらの動作及び性能特徴を改善するために用いることができる、代替的及び/又は選択的な制御プロセスがあることが分かった。
【0090】
例えば、濃厚相粉体は定義上、空気量が少ない濃い混合物であるため、混合物が多少の慣性を有する傾向があり、これは、吸引状態の開始部分にあるポンプ室438c、440cへの粉体の吸引に初めに抵抗することが分かった。この慣性が存在する理由の1つは、粉体が、ポンプサイクルの送出部分中に圧力下で送出されている間、ポンプに続く粉体路内に留まっているからである。本開示の発明の一態様によれば、吸引ピンチ弁及び関連の制御弁は、吸引状態又は持続時間の開始部分により高いエネルギーの吸引スパイクをもたらすような順序及びタイミングにされ得る。このスパイクは、濃厚相粉体の慣性を克服して、ポンプ室への粉体の移動を開始させるのに役立つ。初期スパイクの後、吸引圧力は通常、所望又は所定の範囲に低下する。スパイク作用は、ポンプ室への粉体流の慣性遅延を示さない混合物及び/又はポンプ設計には不要であり得る。
【0091】
別の例として、例えばポンプ室管438、440で用いることができるような多孔質材料は、時間が経つにつれて塞がれる、すなわち「目詰まりする」傾向がある。これは単に、非常に小さな粉体粒子が多孔質材料の中又は表面に溜まることが避けられないことにより生じる。したがって、空気流に対する材料の気孔率が次第に低下する。ポンプ管438、440は、長期間を経て「使い込まれ」、おそらく数百時間の動作の間その状態をある程度維持した後で、多孔質材料で維持できる空気流が不十分になる程度まで目詰まりする傾向があることが分かった。本発明の別の態様によれば、比較的低く任意に最適化された吸引力を早期に加えることによって、管が「使い込まれる」期間を大幅に延ばすことができるため、管438、440の全体的な耐用寿命が延びる。例えば、ポンプ室に粉体を吸い込むために加えられる吸引力は、粉体がポンプ室に十分に引き込まれることを確実にするのに過不足のないレベル又は範囲に設定され得る。この特徴は、上述の初期スパイクの概念とともに任意に用いることができる。低い吸引力を用いることによって、管が使い込まれるのに要する時間がはるかに延びるため、より長い期間にわたって目詰まりすることがない。なお、この文脈における「早期」とは、管の耐用寿命と、新たなポンプ又は新たな管の動作中に吸引力を加えることとに関するものであり、任意の高いスパイクも用いることができる初期吸引時間に関するものではない。
【0092】
本発明の別の態様によれば、管の目詰まりは、流量制御特徴を任意に実施することによって補償される。上述のように、管438、440が時間を経るにつれて目詰まりすると、圧力が吸引であるか送出であるか(送出とは、粉体をポンプ室から押し出すための正圧を意味する)に関係なく、所与の加えられる力又は圧力に対して、多孔質材料を通る空気の流量が減少する。本発明の別の態様によれば、流量制御を用いて、所望の空気流量を維持するように、例えば、粉体がポンプ室に十分に吸い込まれポンプ室から押し出されることを確実にするための所望又は所定の最小流量を維持するように、加える圧力を高めることができる。所定又は所望の値又は範囲は、吸引と送出とで異なっていてもよく、又は場合によっては同じであってもよい。流量制御は、正圧送出空気流、吸引圧力空気流、又はこれら両方で実施することができる。
【0093】
本発明のこれらの態様は全て、一緒に、単独で、又は種々の組み合わせで任意に用いることができる。さらに、これらの本発明の態様は、本明細書中の上記の例示的な実施形態におけるような2ポンプ室、1ポンプ室設計、又は3つ以上のポンプ室を有するポンプとともに用いることができる。
【0094】
上述の本発明の概念及び特徴をより明確に説明するために、例えば本明細書で上述されているようなポンプ等のポンプの動作に関する機能制御態様を例示する本明細書の種々の図及び説明を参照する。これらの機能及び制御態様は、例示的なポンプ設計に関して本明細書で説明されるが、これらの本発明の態様を多くの他のポンプ設計及び構成に応用できることは、当業者には容易に理解されるであろう。
【0095】
これらの拡張を説明するのに適したポンプを図14に示す。この図は、本明細書の図2Bと同じ実施形態であるが、種々の制御要素を強調するために異なる又は付加的な識別番号及び符号を付してある。ポンプ402は、このポンプの2つの圧送室となる2つのフィルタスリーブ又は多孔管A及びBを有する。これらの室は、粉体ホッパ700から交互に粉体を受け取り、粉体をスプレーガン20に放出する。4つのピンチ弁が、これら2つのポンプ室に出入りする粉体の流れを制御する。各ポンプ室に2つのピンチ弁がある。これらのピンチ弁は、AIN、AOUT、BIN、及びBOUTで示される。AINは、粉体ホッパに接続された給送ホース24から室Aに粉体が入るようにし、AOUTは、室Aから供給ホース406を通してスプレーガン20に粉体が送出又は放出されるようにする。同様に、BINは、上記粉体ホッパに接続された上記給送ホース24から室Bに粉体が入るようにし、BOUTは、室Bから上記スプレーガン20に接続された上記供給ホース406を通して粉体が放出されるようにする。
【0096】
図15は、室A及び室Bの送出状態及び吸引状態について理想化されたタイミングを示す。図示のように、各室は、粉体が室に引き込まれる吸引サイクル702と、粉体が室から押し出される圧力又は送出サイクル704とを有する。これらのサイクルの持続時間はほぼ等しく、室A及び室Bは、粉体が室Aに引き込まれながら室Bから押し出され、またその逆も行われるように交互になっている。この動作モードの場合、室の吸引状態は、吸引サイクルの間中ずっと比較的一定の吸引力が加えられるようなものであることが適していると考えられた。「吸引状態」とは、ポンプ圧力室内に負圧が生じている期間を意味する。
【0097】
図16は、吸引サイクルの間中ずっと室Aに比較的一定の吸引力を加える代わりに、吸引サイクルの持続時間よりも短い吸引サイクルの一部の間、吸引状態706を室Aで発生させる、本発明の態様の1つを示す。例示的な一実施形態では、この吸引状態は、吸引サイクルのほぼ中間部分で与えられ、さらに、比較的高い吸引力のスパイク又はパルス708で開始してから、それよりも低いレベル710の吸引力に低下する。吸引スパイクは、給送ホース内にある静的粉体の慣性を克服し、粉体を移動させる。その後、室Aの低い吸引レベルは、所望量の粉体が室Aに受け取られるまで粉体を移動させ続けるのに十分であり、吸引は終了する。同じ吸引状態を、室Bの吸引サイクル中に室Bで発生させる。
【0098】
吸引サイクル内のほぼ中央に吸引状態を置くという概念とスパイクを形成するという概念とは、別個の概念であるが、特定の用途での必要に応じて一緒に又は個別に用いることができる。
【0099】
図17は、図16に示す吸引状態を室A及び室Bで発生させることができる例示的な方法を示す。真空制御弁A/BVは、吸引状態が室A又はBで必要とされるときに真空又は負圧状態−Pを発生させるために起動される。室Aに関して、二位置弁ASを正圧位置+Pと吸引位置−Pとの間でシフトさせることができる。吸引サイクル702の間、ASを吸引位置にシフトさせて、吸引サイクル702のうち制御弁A/BVが真空を発生させている選択可能な部分706の間、弁A/BVによって制御される真空引き(減圧)が室Aに対して行われるようにする。例えば図16に示すような吸引スパイクを形成するために、真空発生器制御弁A/BVを、例えば図16に示すような吸引サイクル702の中間部分の間オンにするが、最初はピンチ弁AIN及びAOUTの両方を閉じたままにする。これにより、ポンプ室A内で真空状態ができて高まるようにする。続いてピンチ弁AINを開いて、粉体が粉体給送ホース24から室Aに吸い込まれるようにすると、ホース内の粉体は最初に吸引スパイク708を受ける、すなわち吸引スパイク708に曝されることで、粉体の慣性が克服されて粉体が移動させられる。弁AINを開いた直後に、室Aの吸引のレベルはより低い比較的一定のレベル710に低下して、粉体をポンプ室Aに移動させ続ける。所望量の粉体が室A内に受け取られると、真空発生制御弁A/BVがオフにされて弁AINが閉じられる。同じ吸引状態を、室Bの吸引サイクル中に室Bで発生させることができる。
【0100】
低下させた吸引レベル710は、弁A/BVによって制御することができる。この弁A/BVは、例えば、ベンチュリポンプ518又はポンプ圧力室に用いられる他の負圧源への空気の流れを制御するサーボ弁であってもよい。吸引が行われる量は、任意に、吸引状態中に粉体が粉体室438c、440cに十分に吸い込まれることを確実にするのに必要な最低レベルに最適化又はほぼ最適化される、所定の値又は範囲であり得る。この最小の吸引力又は少なくとも低下させた吸引力は、例えば、ベンチュリポンプ、弁設計、粉体路のサイズ及び長さ、粉体ポンプ室の体積等の選択肢によって影響を受けるため、経験的に決定され得る。本発明の一態様によれば、本明細書で上述されているように、吸引力が低いほど管の目詰まりが遅くなり融着が減るため、低い吸引値を任意に用いて、多孔管438、440の耐用寿命を延ばすことができる。
【0101】
図18は、図17のAIN、AOUT、AS、及びA/BVの弁を制御する電気信号の例示的なタイミング波形を示す。図示のように、吸引サイクルの間中ずっとASを開いて、A/BVの制御下で発生したいかなる吸引力も通す。弁ASは、室Aの吸引サイクルの開始である時点T1でこの吸引位置にシフトする。時点T2において、A/BVが作動されて、室Aに吸引状態を与える。この時点で、AIN及びAOUTはいずれも閉じているため、真空力を室A内で高めることができる。時点T3において、AINが開かれ、室A内で高められている真空力が供給ホースから弁AINを介して室Aに粉体を吸い込む。前述のように、吸引状態は、ホース内にある粉体を移動させてその慣性を克服する吸引スパイクで任意に開始する。所望量の粉体が室Aに引き込まれた後、時点T4において、AINが閉じて室Aにそれ以上粉体が入らないように遮断し、それと同時にA/BVが閉じて真空源を遮断する。時点T5において、ASがその正圧位置にシフトして、吸引サイクルを終了させるとともに送出サイクルを開始させ、これとほぼ同時に、AOUTが開かれて、図17に示す空気圧源によって室Aから給送ホースを通してガンに粉体を押し出すようにする。送出サイクルが時点T6で終了すると、弁ASは時点T1で示す吸引位置にシフトして次の吸引サイクルを開始する。なお、吸引源A/BVによって室Aに与えられる吸引持続時間(すなわち、時点T2〜T4)は、本明細書で後述する理由から、吸引サイクルT1〜T5内のほぼ中央にあり得る。吸引サイクルT1〜T5は、送出サイクルT5〜T6とほぼ同じ長さの持続時間を有することにも留意されたい。これが好まれるのは、当然ながら、室Aで吸引サイクルが行われている間に室Bで送出サイクルが行われており、またその逆もあるからである。
【0102】
なお、図18を参照すると、ポンプによって送出される粉体の流量は、弁AINが開いている時間量である持続時間T3〜T4によって主に決まる。AINが開いている時間が長いほど、各サイクルで室Aに引き込まれる粉体及び室Aから押し出される粉体の量は多くなり、ポンプからの流量が多くなる。反対に、AINが開いている持続時間が短いほど、ポンプの流量は少なくなる。しかしながら、本明細書で上述されているように、ポンプ室を充填する時間量だけピンチ弁が開いた後の粉体流量には事実上の制限がある。
【0103】
吸引サイクル及び送出サイクルの長さは、ポンプからの粉体流の均一性に影響を及ぼすことにも留意されたい。サイクルの持続時間が比較的長い場合、各サイクルでより長い時間をかけてより大量の粉体がポンプ室に引き込まれ、粉体が室から押し出されるときには、比較的長い間隔を置いて粉体のパルス又はショットとして生じる可能性が高い。その結果、スプレーガンへの粉体供給がパルス状になり、これはガンから放出されるパルス状のスプレーパターンを形成し得るという点であまり望ましくない。他方、サイクルの持続時間が比較的短い場合、サイクルが短いほどその間にポンプ室に引き込まれる粉体量は少なくなり、これらの粉体量が少ないほどポンプから供給ホースに押し出される頻度が高くなってこれら小さなパルス間の間隔が短くなり、全体的な結果として、スプレーガンへの粉体の流量がより均一になるとともに、スプレーガンから吐出される粉体の雲状物がさらにより均一になる。しかしながら、ポンプの稼動が速すぎる場合、ピンチハウスの頻繁な開閉が熱を発生させて、粉体をポンプ内で硬化させる可能性があるとともに、ポンプ構成部品の早期故障を引き起こす可能性がある。したがって、ガンへの均一な粉体流を維持するほど十分に高いサイクル速度で且つ十分に短いサイクル時間で、但しその目的を果たすのに必要なよりも高くないサイクル速度で、動作させることが望ましい。
【0104】
図19は、ポンプ動作のさらなる詳細と、吸引持続時間T2〜T4を吸引サイクルT1〜T5内の中央に置くことが好ましい理由とを示す。この図は、システム内の弁の開閉の通常の応答時間を斜線領域として示す。例えばピンチ弁AINを閉じる応答時間は、T4の後の約25ミリ秒にわたる(図ではT4’として示す)。これは、AINを閉じるように信号が与えられてから、弁がT4’で完全に閉じた状態に達するのに約25ミリ秒かかることを意味する。多くのシステムにおいて、ASが粉体を室Aから弁AOUTを介して供給ホース406に吹き出すようにシフトする前にAINが完全に閉じるように、この応答時間が持続時間T4〜T5よりも短いことが重要であり得る。このシフトが行われる前にAINが完全に閉じていなければ、粉体の一部がAINから逆方向に吹き込まれることで、供給ホースを通ってポンプからホッパへの粉体の逆流が引き起こされ、これは場合によっては望ましくないであろう。吸引持続時間を吸引サイクル内の中央に置くことによって、弁の開閉応答時間を、この種の問題を回避するように適切にタイムアウトさせることができる。なお、種々のピンチ弁AIN、AOUT、BIN、及びBOUTの応答時間は、弁が開閉中であるか送出又は吸引に使用中であるかに応じて異なり得る。
【0105】
図19はまた、送出弁AOUT及びBOUTも固有の開閉応答時間を示すが、吸引状態が期間T3〜T4に制限されるため、これらのピンチ弁を次の吸引サイクルにずれ込ませることができることを示す。例えば、図19において、弁AOUTは、時点T1で開始する吸引サイクルにずれ込んだ時点T1’で完全に閉じるが、吸引状態は時点T3(実際には、AINが完全に開く応答時間を考慮に入れたT3’)まで発生しないため逆流は生じない。これにより、任意に正圧が常に給送管406を通してガン20に供給されるように、送出ピンチ弁AOUT及びBOUTの動作を重複させることができる(T1’とT1’’、及びT5’とT5’’を比較)。
【0106】
図20は、室Aから粉体を押し出すための容積空気流コントローラ720の任意の使用を示す。容積空気流コントローラは、粉体が所望の速度で室Aから押し出されることを確実にする。粉体が速く押し出されすぎる場合、粉体の濃縮スラグがガンに続く供給ホース内でできて、粉体がスプレーガンにパルス状に送出されることで、ガンが望ましくないパルス状スプレーパターンでスプレーを行うようになる。これは、上述のようにサイクル速度が遅すぎる場合で起こり得る現象と同じである。粉体が押し出される速度を遅くすれば、ガンに続く供給ホース内に粉体が広がりやすくなり、より均一なスプレーパターンがガンにおいて形成される。しかしながら、粉体が室から押し出される速度が遅すぎる場合、送出サイクルの完了前に全粉体が室から押し出されなくなる。したがって、容積空気流量コントローラを用いて、送出サイクル中に室から全粉体を押し出すのにちょうど十分なほど速く、但しガンに続く供給ホース内でできる限り均一な粉体流が得られるように速すぎない速度で、粉体が室Aから押し出される。容積空気流量コントローラは、2室ポンプの場合と同様にして室Bに対しても同じく設置することができる。
【0107】
容積空気流量コントローラ720を用いて、多孔管438、440が時間を経るにつれて目詰まりするか又は空気流を通し難くなる傾向がある状況を補償することができる。多くの場合、管を通る空気流量は、吸引サイクル及び送出サイクルの両方で重要である。多くの場合、送出及び吸引中に一定の又は最低限の空気流量を維持して、管438、440に対する粉体の十分な吸い込み及び押し出しを確保することが有用であり得る。
【0108】
送出サイクルの場合、正圧流量コントローラ720は、例示的な一実施形態では、管を通る空気流量に関する状態を監視又は検出して、それに従って十分な空気流量があることを確実にするように空気圧を調整する。図22A及び図22Bを参照すると、正圧流量コントローラ720は、制御サーボ弁722、圧力変換器724、及び固定又は制御オリフィス726を用いて具現される。オリフィス726における圧力低下は、多孔管438、440に入ってこれらを通る流量に直接関連する。コントローラ720は、圧力を監視し、圧力が管を通る所望の空気流量に対応する範囲よりも低下した場合、弁722をさらに開いて管への圧力を高め、十分な空気流を維持することができる。この実施形態の制御オリフィス726は、オリフィスの片側が比較的安定した圧力であるときに差圧変換器がより正確である傾向があるため、弁722の高圧又は入口側に配置される。しかしながら、制御オリフィス726は、必要に応じて他の場所にあってもよい。流量制御機能は、弁、変換器、又はオリフィスを用いる以外の多くの異なる方法で実行することもできる。同様にして、図8の実施形態では、ポンプ空気流制御部(弁552)に関連する圧力変換器を弁の高圧側に配置してもよいことに留意すべきである。
【0109】
管の目詰まりは、吸引状態中に管から出る空気流量を減らす場合もある。本発明の別の態様によれば、空気流量コントローラをポンプ動作の吸引側で用いることもできる。
【0110】
空気流量制御を、正の送出圧力サイクル、負の吸引圧力サイクル、又はこれら両方で任意に用いることができることは注目に値する。
【0111】
図21は、弁ASとA/BV真空源との間のラインのポンプの吸引側での容積空気流量コントローラ730の任意の使用を示す。このコントローラ730は、以下のように用いられる。室Aは、前述のような円筒形のフィルタ要素によって囲まれる。粉体を室に引き込む吸引空気が、この円筒形のフィルタ要素を通過する。時間が経つにつれて、このフィルタ要素の孔が粉体粒子によって目詰まり又は部分的に目詰まりする。この目詰まりがフィルタ要素の通気抵抗を高める結果として、システムの他のいずれかの部分に変更を加えなければ、時間が経つにつれて室Aに加えられる吸引力が低下する。室Aに加えられる吸引力が低いと、室Aに引き込まれる粉体が減るため、ポンプによってスプレーガンに送出される粉体も減る。容積空気流量コントローラを用いて、空気流量が一定のままであること、したがって室A内の吸引力がフィルタ要素のいかなる目詰まり又は部分的目詰まりにも関係なく一定のままであることを確実にするように、室Aから出る吸引空気の空気流量が感知される。これにより、フィルタ要素の状態に関係なく一貫した量の粉体が室Aに引き込まれることが確実になる。これはさらに、ポンプからの粉体流量を一貫した速度で維持することに役立つ。同様の容積空気流量コントローラが室Bに対して設置される。
【0112】
再び図22A及び図22Bを参照すると、真空側の流量コントローラ730は、制御サーボ弁732、圧力変換器734、及び制御オリフィス736の形態で実現され得る。オリフィス736における圧力低下は、吸引状態中に多孔管を通る(ポンプ室を画定する管体積から引き出される)空気流量に直接関連付けることができる。この実施形態では、コントローラ730は、負圧すなわち吸引をもたらすベンチュリポンプ518に入力される正圧を調整する。しかしながら、他の流量感知及び制御技法を代替的に用いてもよい。
【0113】
空気流量コントローラ720、730は、制御オリフィスにおいて検出された圧力低下を対応する流量に関連付けるルックアップテーブルを用いて動作することができる。吸引及び送出の流量は同じであっても異なっていてもよい。プログラム可能プロセッサ等の適当な制御機能が、データベースにアクセスするとともに、PWM信号等の適当な制御信号を制御弁722、732に対して生成することができる。弁は、ポンプの始動後の第1の動作サイクルで、「シード」値としての役割を果たすオリフィスにおける空気流量を生成するデフォルト設定まで開くことができる。弁は続いて、吸引及び送出流量が特定のポンプ動作に望まれる値又は範囲に保たれるように、必要に応じて調整される。別の任意の制御特徴は、オペレータが所望のポンプ流量を「ダイヤルイン」又は調整又は選択できるように、オペレータインタフェースを便宜上設けることができることである。この設定により、制御システム39が所望のポンプ動作を得るのに必要な空気流量を調整する。
【0114】
図22A及び図22Bは、サーボ弁732を用いて真空発生器518への給送を行う空気源を変調させるが、真空出力は直接変調させないことを示す。これは、少なくとも2つの理由、すなわちa)入力圧力と得られる真空出力との間に比較的広い直線関係があること、及びb)サーボが変調すべき元圧が、真空圧力を直接制御している場合(すなわち、例えば約−5.516×104Paの元圧)よりもはるかに高い(例えば最高約5.861×105Pa)ことから行われ得る。この比較的低い真空圧力レベルにより、選択される差圧変換器も他の空気流制御回路で用いられるものとは異なる。選択される差動変換器の動作範囲は、0〜3.930×103Paである。この場合、例えばセンサにおける低下として、利用可能な真空のうち約7%しか損失されない。
【0115】
上述のポンプの特徴及び能力が協調して、広範囲に及ぶ粉体流出力にわたって均一な流量の粉体がこのポンプにより提供され得ることを確実にすることを考えると、このポンプのさらに別の新規態様は、ポンプが用いられている特定の用途に最適な方法でポンプからの粉体流を調節するために用いることができる製法を提供する能力である。ポンプ粉体流製法は、以下のパラメータ、すなわち、吸引サイクル持続時間(T1〜T5)、吸引持続時間(T2〜T4)、及び室から粉体を押し出すのに用いられる空気の流量設定を含むことができる。種々の用途に関する多くの粉体流製法を、ユーザの必要に応じて素早くアクセスするようにルックアップテーブルとして適当なデータ構造に記憶させることができる。
【0116】
本発明を、例示的な実施形態を参照して説明してきた。本明細書及び図面を読んで理解すれば、本発明者以外でも変更及び変形を思いつくであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、このような変更及び変形全てを含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明を利用する粉体コーティング材料塗布システムの簡略概略図である。
【図2A】本発明によるポンプの組み立て等角図である。
【図2B】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図2C】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図2D】図2Aの組み立てたポンプの立面図である。
【図2E】図2Aの組み立てたポンプの断面図である。
【図2F】図2Aの組み立てたポンプの立面図である。
【図2G】図2Aの組み立てたポンプの断面図である。
【図3A】ポンプマニホルドの等角図である。
【図3B】ポンプマニホルドの上面図である。
【図4A】第1のYブロックを示す。
【図4B】第1のYブロックを示す。
【図5A】弁体の斜視図である。
【図5B】弁体の断面図である。
【図6A】別のYブロック構成の斜視図である。
【図6B】別のYブロック構成の斜視図である。
【図7】供給マニホルドの分解斜視図である。
【図8】図2Aのポンプの空気流構成の例示的な一実施形態である。
【図9A】本発明による移送ポンプの等角図である。
【図9B】本発明による移送ポンプの分解等角図である。
【図10】移送ポンプの空気流構成の例示的な一実施形態である。
【図11】移送ポンプの空気圧回路の代替的な一実施形態である。
【図12】本発明に従って動作しているポンプの材料流量曲線の図である。
【図13】ミリ秒単位での2つの異なるポンプサイクル速度に関する、粉体流量対ピンチ弁開放時間を示すグラフである。
【図14】図2Bと同様であるが、種々の制御要素を示すように異なる符号を付した図である。
【図15】2室ポンプの理想的なポンプサイクルタイミングを示す。
【図16】ポンプ室の一方の変更吸引サイクルを示す。
【図17】ポンプの空気圧制御の機能図である。
【図18】図16及び図17に示す制御プロセスの例示的なタイミング図である。
【図19】真空すなわち吸引スパイクを形成するための、図17におけるような2室ポンプの例示的なタイミング図である。
【図20】流量制御特徴を用いる1ポンプ室制御機能の概略図である。
【図21】ポンプ室の正圧部分及び負圧部分で流量制御特徴を用いる、1ポンプ室制御機能の概略図である。
【図22A】正圧制御用及び真空圧力制御用の流量コントローラを用いるポンプ制御部の、全体的な空気圧図の詳細な概略図である。
【図22B】正圧制御用及び真空圧力制御用の流量コントローラを用いるポンプ制御部の、全体的な空気圧図の詳細な概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥粒子材料を圧送する方法であって、
時点T2で体積部に吸引を加えること、T2後の時点T3で前記体積部に続く入口流路を開くことにより材料が吸引下で該体積部に流入すること、前記体積部に続く前記入口流路を閉じること、前記体積部から続く出口流路を開くこと、及び前記体積部に正圧を加えることにより材料が前記体積部から流出することを含む乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項2】
前記時点T2で吸引を加えることは、前記体積部内で初期の高い吸引力を発生させ、該初期の高い吸引力は前記入口流路を閉じることの前に低い吸引力に低下する請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項3】
前記時点T2の直前に、前記入口流路及び前記出口流路は閉じられる請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項4】
前記入口流路を閉じることは、時点T4で開始し、該入口流路は、前記出口流路が開く前に完全に閉じる請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項5】
初期の高い吸引力が前記時点T2で前記体積部に加えられた後、該吸引力は低下するが、前記体積部に材料を吸い込むのに十分な吸引力である請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項6】
時間を経るにつれて前記吸引力が低下すると、該吸引力に関連する流れ特性を監視することによって該吸引力を十分に維持することを含む請求項5に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項7】
前記体積部に吸引が加えられるときに該体積部から出る空気の流量を監視し、所定の最小流量を維持するように吸引力を高めることによって、時間を経るにつれて減少する流量を補償することを含む請求項6に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項8】
前記所定の最小流量を維持するように前記吸引力を発生させるのに用いられるベンチュリポンプに対する正圧を調整することを含む請求項7に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項9】
T2〜T4の期間は、圧送サイクルの真空部分のほぼ中間で起こり、該圧送サイクルは、圧力部分及び真空部分を含む請求項4に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項10】
粉体を圧送する方法であって、
体積部に吸引を加えて材料を該体積部に引き込み、且つ正圧を加えて材料を該体積部から押し出すこと、時点T3で入口流路を開き、且つ時点T4で該入口流路を閉じること、及び時点T5で前記正圧を加えることを含み、該時点T5は、該時点T5が起こる前に前記入口流路が完全に閉じることを確実にするように、前記時点T4に応答時間分の遅延を足した時間が経過した後である粉体を圧送する方法。
【請求項11】
前記時点4で前記入口流路を閉じることは、該入口流路の一部に正の空気圧を加えて該入口流路を挟み閉めることを含む請求項10に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項12】
粉体を圧送する方法であって、
吸引サイクル中に体積部に吸引を加えて該体積部に粉体を引き込むこと、及び送出サイクル中に前記体積部に正圧を加えて該体積部から粉体を押し出すことを含み、各吸引サイクル内に、前記体積部に吸引力が加えられる吸引持続時間があり、該吸引持続時間は、前記吸引サイクルよりも短く該吸引サイクル内のほぼ中央にある粉体を圧送する方法。
【請求項13】
粉体を圧送する方法であって、
時点T2で体積部に吸引を加えること、及び時点T3で前記体積部に続く入口流路を開くことを含み、該時点T3は、前記入口流路が開いているときに、前記体積部に粉体を引き込むための初期の高い吸引力スパイクが加えられるように、前記時点T2に遅延を足した時間の後である粉体を圧送する方法。
【請求項14】
粉体を圧送する方法であって、
体積部に吸引を加えて該体積部に粉体を引き込むこと、及び吸引期間中の前記体積部からの空気の流量を制御することを含む粉体を圧送する方法。
【請求項15】
前記空気の流量を制御することは、前記体積部に加えられる吸引力を次第に高めて所定の最小流量を維持することを含む請求項14に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項16】
前記体積部から吸い込まれる空気の流路に配置されるオリフィスにおける圧力低下を判定することによって、流量を監視することを含む請求項15に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項17】
粉体を圧送する方法であって、
吸引サイクル中に体積部に吸引を加えて該体積部に粉体を引き込み、且つ送出サイクル中に前記体積部に正圧を加えて該体積部から粉体を押し出すこと、及び前記送出サイクル中の前記体積部への空気の流量を制御することを含む粉体を圧送する方法。
【請求項18】
前記空気の流量を制御することは、前記体積部への圧力を次第に高めて所定の最小流量を維持することを含む請求項17に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項19】
前記体積部への空気の流路に配置されるオリフィスにおける圧力低下を判定することによって、流量を監視することを含む請求項18に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項20】
前記吸引サイクルの吸引時間中の前記体積部からの空気の流量を制御するステップを含む請求項17に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項21】
前記体積部からの空気の流量を制御することは、前記体積部に加えられる吸引力を次第に高めて所定の最小流量を維持することを含む請求項20に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項22】
室A及び室Bを有するポンプから粉体を圧送する方法であって、粉体は、各室の吸引サイクル中に前記室A及び室Bに交互に引き込まれ、各室の送出サイクル中に該室A及び室Bから交互に押し出され、前記吸引サイクル時間内に、室A及び室Bに吸引が加えられる吸引持続時間があり、該吸引持続時間は該吸引サイクル時間よりも短く、空気流量コントローラを用いて、前記送出サイクル中に前記室A及び室Bから粉体を押し出すのに用いられる空気の流量が制御され、該方法は、前記ポンプから所望の粉体流特性をもたらすための粉体流製法を記憶するデータ構造を提供することを含み、前記粉体流製法は、パラメータ、すなわち吸引サイクル時間、吸引持続時間、及びポンプ室から粉体を押し出すための空気流量の1つ又は複数のパラメータを含む室A及び室Bを有するポンプから粉体を圧送する方法。
【請求項23】
ポンプ制御装置であって、
ガス多孔質材料から成る部材によって部分的に画定されるポンプ室と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室から材料を押し出す正圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流量を維持する流量制御部とを備えるポンプ制御装置。
【請求項24】
前記流量制御部は、制御オリフィス及び圧力変換器を備え、該オリフィスは、前記多孔質部材を通る空気流量に関する圧力低下を有する請求項23に記載のポンプ制御装置。
【請求項25】
前記流量制御部は、前記多孔質部材を通る空気流量の減少の検出に応答して前記ポンプ室への圧力を高めるために開く弁を備える請求項24に記載のポンプ制御装置。
【請求項26】
ポンプ制御装置であって、
ガス多孔質材料から成る部材によって部分的に画定されるポンプ室と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室に材料を吸い込む負圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流量を維持する流量制御部とを備えるポンプ制御装置。
【請求項27】
前記流量制御部は、制御オリフィス及び圧力変換器を備え、該オリフィスは、前記多孔質部材を通る空気流量に関する圧力低下を有する請求項26に記載のポンプ制御装置。
【請求項28】
前記流量制御部は、前記多孔質部材を通る空気流量の減少の検出に応答して前記ポンプ室への吸引を高めるために開く弁を備える請求項27に記載のポンプ制御装置。
【請求項29】
ポンプ制御装置であって、
ガス多孔質材料から成る部材によって部分的に画定されるポンプ室と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室に材料を吸い込む負圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室から材料を押し出す正圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流量を維持する流量制御部とを備えるポンプ制御装置。
【請求項1】
乾燥粒子材料を圧送する方法であって、
時点T2で体積部に吸引を加えること、T2後の時点T3で前記体積部に続く入口流路を開くことにより材料が吸引下で該体積部に流入すること、前記体積部に続く前記入口流路を閉じること、前記体積部から続く出口流路を開くこと、及び前記体積部に正圧を加えることにより材料が前記体積部から流出することを含む乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項2】
前記時点T2で吸引を加えることは、前記体積部内で初期の高い吸引力を発生させ、該初期の高い吸引力は前記入口流路を閉じることの前に低い吸引力に低下する請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項3】
前記時点T2の直前に、前記入口流路及び前記出口流路は閉じられる請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項4】
前記入口流路を閉じることは、時点T4で開始し、該入口流路は、前記出口流路が開く前に完全に閉じる請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項5】
初期の高い吸引力が前記時点T2で前記体積部に加えられた後、該吸引力は低下するが、前記体積部に材料を吸い込むのに十分な吸引力である請求項1に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項6】
時間を経るにつれて前記吸引力が低下すると、該吸引力に関連する流れ特性を監視することによって該吸引力を十分に維持することを含む請求項5に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項7】
前記体積部に吸引が加えられるときに該体積部から出る空気の流量を監視し、所定の最小流量を維持するように吸引力を高めることによって、時間を経るにつれて減少する流量を補償することを含む請求項6に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項8】
前記所定の最小流量を維持するように前記吸引力を発生させるのに用いられるベンチュリポンプに対する正圧を調整することを含む請求項7に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項9】
T2〜T4の期間は、圧送サイクルの真空部分のほぼ中間で起こり、該圧送サイクルは、圧力部分及び真空部分を含む請求項4に記載の乾燥粒子材料を圧送する方法。
【請求項10】
粉体を圧送する方法であって、
体積部に吸引を加えて材料を該体積部に引き込み、且つ正圧を加えて材料を該体積部から押し出すこと、時点T3で入口流路を開き、且つ時点T4で該入口流路を閉じること、及び時点T5で前記正圧を加えることを含み、該時点T5は、該時点T5が起こる前に前記入口流路が完全に閉じることを確実にするように、前記時点T4に応答時間分の遅延を足した時間が経過した後である粉体を圧送する方法。
【請求項11】
前記時点4で前記入口流路を閉じることは、該入口流路の一部に正の空気圧を加えて該入口流路を挟み閉めることを含む請求項10に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項12】
粉体を圧送する方法であって、
吸引サイクル中に体積部に吸引を加えて該体積部に粉体を引き込むこと、及び送出サイクル中に前記体積部に正圧を加えて該体積部から粉体を押し出すことを含み、各吸引サイクル内に、前記体積部に吸引力が加えられる吸引持続時間があり、該吸引持続時間は、前記吸引サイクルよりも短く該吸引サイクル内のほぼ中央にある粉体を圧送する方法。
【請求項13】
粉体を圧送する方法であって、
時点T2で体積部に吸引を加えること、及び時点T3で前記体積部に続く入口流路を開くことを含み、該時点T3は、前記入口流路が開いているときに、前記体積部に粉体を引き込むための初期の高い吸引力スパイクが加えられるように、前記時点T2に遅延を足した時間の後である粉体を圧送する方法。
【請求項14】
粉体を圧送する方法であって、
体積部に吸引を加えて該体積部に粉体を引き込むこと、及び吸引期間中の前記体積部からの空気の流量を制御することを含む粉体を圧送する方法。
【請求項15】
前記空気の流量を制御することは、前記体積部に加えられる吸引力を次第に高めて所定の最小流量を維持することを含む請求項14に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項16】
前記体積部から吸い込まれる空気の流路に配置されるオリフィスにおける圧力低下を判定することによって、流量を監視することを含む請求項15に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項17】
粉体を圧送する方法であって、
吸引サイクル中に体積部に吸引を加えて該体積部に粉体を引き込み、且つ送出サイクル中に前記体積部に正圧を加えて該体積部から粉体を押し出すこと、及び前記送出サイクル中の前記体積部への空気の流量を制御することを含む粉体を圧送する方法。
【請求項18】
前記空気の流量を制御することは、前記体積部への圧力を次第に高めて所定の最小流量を維持することを含む請求項17に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項19】
前記体積部への空気の流路に配置されるオリフィスにおける圧力低下を判定することによって、流量を監視することを含む請求項18に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項20】
前記吸引サイクルの吸引時間中の前記体積部からの空気の流量を制御するステップを含む請求項17に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項21】
前記体積部からの空気の流量を制御することは、前記体積部に加えられる吸引力を次第に高めて所定の最小流量を維持することを含む請求項20に記載の粉体を圧送する方法。
【請求項22】
室A及び室Bを有するポンプから粉体を圧送する方法であって、粉体は、各室の吸引サイクル中に前記室A及び室Bに交互に引き込まれ、各室の送出サイクル中に該室A及び室Bから交互に押し出され、前記吸引サイクル時間内に、室A及び室Bに吸引が加えられる吸引持続時間があり、該吸引持続時間は該吸引サイクル時間よりも短く、空気流量コントローラを用いて、前記送出サイクル中に前記室A及び室Bから粉体を押し出すのに用いられる空気の流量が制御され、該方法は、前記ポンプから所望の粉体流特性をもたらすための粉体流製法を記憶するデータ構造を提供することを含み、前記粉体流製法は、パラメータ、すなわち吸引サイクル時間、吸引持続時間、及びポンプ室から粉体を押し出すための空気流量の1つ又は複数のパラメータを含む室A及び室Bを有するポンプから粉体を圧送する方法。
【請求項23】
ポンプ制御装置であって、
ガス多孔質材料から成る部材によって部分的に画定されるポンプ室と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室から材料を押し出す正圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流量を維持する流量制御部とを備えるポンプ制御装置。
【請求項24】
前記流量制御部は、制御オリフィス及び圧力変換器を備え、該オリフィスは、前記多孔質部材を通る空気流量に関する圧力低下を有する請求項23に記載のポンプ制御装置。
【請求項25】
前記流量制御部は、前記多孔質部材を通る空気流量の減少の検出に応答して前記ポンプ室への圧力を高めるために開く弁を備える請求項24に記載のポンプ制御装置。
【請求項26】
ポンプ制御装置であって、
ガス多孔質材料から成る部材によって部分的に画定されるポンプ室と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室に材料を吸い込む負圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流量を維持する流量制御部とを備えるポンプ制御装置。
【請求項27】
前記流量制御部は、制御オリフィス及び圧力変換器を備え、該オリフィスは、前記多孔質部材を通る空気流量に関する圧力低下を有する請求項26に記載のポンプ制御装置。
【請求項28】
前記流量制御部は、前記多孔質部材を通る空気流量の減少の検出に応答して前記ポンプ室への吸引を高めるために開く弁を備える請求項27に記載のポンプ制御装置。
【請求項29】
ポンプ制御装置であって、
ガス多孔質材料から成る部材によって部分的に画定されるポンプ室と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室に材料を吸い込む負圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流を用いて前記ポンプ室から材料を押し出す正圧ガス源と、前記多孔質部材を通る空気流量を維持する流量制御部とを備えるポンプ制御装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【公開番号】特開2007−106600(P2007−106600A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−274676(P2006−274676)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274676(P2006−274676)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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