説明

乾燥装置

【課題】 乾燥室に隣接する屋内空間の空気の温湿度状態と相互に干渉し難い乾燥装置を提供すること。
【解決手段】 吸引した空気を加熱器9にて加熱して乾燥室BR内へ通風する通風加熱手段7,8,9,10と、前記乾燥室内BRの空気を吸引して屋外へ排出する排気手段3b,12,13,29,30,31,32とが備えられた乾燥装置であって、屋外の空気を乾燥室BRに導入する外気導入手段34が備えられている乾燥装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引した空気を加熱器にて加熱して乾燥室内へ通風する通風加熱手段と、前記乾燥室内の空気を吸引して屋外へ排出する排気手段とが備えられた乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような乾燥装置として、例えば、主にアパート及びマンション等の集合住宅及び一戸建て住宅の浴室に設置される浴室乾燥装置がある。この浴室乾燥装置は、通風加熱手段として、温水を熱源とする加熱器と、浴室内の空気を吸引して前記加熱器を通過させると共に前記加熱器を通過した空気を浴室内に送風する循環ファンとが設けられ、排気手段として、屋外へ通じる排気ダクトと、浴室内の空気を吸引してこの吸引した空気を前記排気ダクトに通風させる排気ファンが設けられており、循環ファン及び排気ファンを作動させて、湿度の比較的高い浴室の空気を屋外に排出させて、浴室に隣接する脱衣室等の湿度が比較的低い空気を、浴室入り口扉に設けた通風孔から浴室内に取り込みながら、浴室の空気を乾燥させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−336875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、乾燥装置であると、乾燥室に隣接する屋内空間の空気が乾燥室内に取り込まれるので、乾燥室に隣接する屋内空間の空気の温湿度状態に影響が出るとともに、乾燥室に隣接する屋内空間の空気の温湿度が乾燥室の乾燥完了までの時間に影響するといった問題があった。
【0005】
例えば、上述したように、乾燥装置が浴室に設置されて、脱衣室の空気が浴室内に取り込まれる場合には、脱衣室を快適な空調状態にしていたとすると、浴室を乾燥させるために、脱衣室の快適な空調状態が損なわれることになる。
【0006】
また、入浴後に脱衣室が使用されて、脱衣室の湿度が高い場合には、浴室を乾燥させるとなると、湿度の高くなった脱衣室の空気が浴室に導入されることになり、浴室の乾燥が完了するまでの時間が長くなることになる。さらに、浴室乾燥時間としてタイマー設定された一定時間の乾燥運転が行われるような場合には、脱衣室が湿気ていると乾燥の程度が十分なものにならないことになる。
【0007】
このように、従来の乾燥装置は、乾燥室に隣接する屋内空間の空調が施された温湿度状態を変動させるものであり、また、乾燥室に隣接する屋内空間の空気の温湿度状態に影響を受けるものである点で、乾燥装置として性能の良いものとはいえないものであった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、乾燥室に隣接する屋内空間の空気の温湿度状態と相互に干渉し難い乾燥装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴は、吸引した空気を加熱器にて加熱して乾燥室内へ通風する通風加熱手段と、前記乾燥室内の空気を吸引して屋外へ排出する排気手段とが備えられた乾燥装置において、屋外の空気を乾燥室に導入する外気導入手段が備えられている点にある。
【0010】
本発明の第1特徴によると、屋外の空気を乾燥室に導入する外気導入手段が備えられているので、乾燥室を乾燥させるときに、排気手段が乾燥室の空気を吸引して屋外へ排出するにあたって、屋外の空気を導入することができる。したがって、隣接する屋内空間の空気を乾燥室に導入せずに乾燥室を乾燥させることができるものとなり、隣接する屋内空間の温湿度状態の影響を受けずに乾燥室を乾燥させることが可能となるとともに、隣接する屋内空間の温湿度状態に影響を与えることなく乾燥室を乾燥させることができる。
特に、屋外の空気が隣接する屋内空間の空気よりも乾燥しているときには、隣接する屋内空間の空気を乾燥室に導入する場合に比べて、乾燥室を乾燥状態にするまでに要する時間を短縮することができる。
このように、本発明の第1特徴によると、乾燥室に隣接する屋内空間の空気の温湿度状態と相互に干渉し難い乾燥装置を得ることができる。
【0011】
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴において、前記外気導入手段が、導入状態と非導入状態とに切換え自在に構成され、前記乾燥室が、前記乾燥室に隣接する隣接屋内空間の空気を導入する導入口を設けて構成されている点にある。
【0012】
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第2特徴によると、外気導入手段を、導入状態と非導入状態とに切換えることができ、乾燥室に隣接屋内空間の空気を導入する導入口が設けられているので、外気導入手段を非導入状態とした場合には、排気手段が乾燥室内の空気を吸引して屋外へ排出するのに伴って、乾燥室内が負圧状態となることで、隣接屋内空間の空気が導入口より導入される。
したがって、乾燥運転を行うときに隣接屋内空間の空気を導入すべき場合には、外気導入手段を非導入状態に切換えることで乾燥室に隣接屋内空間の空気を導入させることができ、乾燥運転を行うときに屋外の空気を導入すべき場合には、外気導入手段を導入状態に切換えることで乾燥室に屋外の空気を導入させることができる。
例えば、雨の日等、屋外の空気が湿っている場合には、外気導入手段を非導入状態に切換えることで、乾燥運転を行うときに、屋外の空気を導入せず、隣接屋内空間の空気を導入することができる。また、空調により快適な状態にされた隣接屋内空間の空気の温湿度環境を維持しておきたい場合には、乾燥運転を行うときに、隣接屋内空間の空気を導入せず、屋外の空気を導入することができる。
このように、本発明の第2特徴によると、乾燥運転を行うときに乾燥室に導入される空気を状況に応じて切換えることができる便利な乾燥装置を得ることができる。
【0013】
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴において、前記隣接屋内空間の空気の温度及び湿度を計測する第1温湿度計測手段と、屋外の空気の温度及び湿度を計測する第2温湿度計測手段と、前記外気導入手段を導入状態と非導入状態とに切換える導入状態切換手段と、乾燥運転を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記第1温湿度計測手段の計測情報及び前記第2温湿度計測手段の計測情報に基づいて、前記導入状態切換手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第3特徴によると、第1温湿度計測手段が隣接屋内空間の空気の温度及び湿度を計測し、第2温湿度計測手段が屋外の空気の温度及び湿度を計測し、制御手段が、第1温湿度計測手段の計測情報及び第2温湿度計測手段の計測情報に基づいて、外気導入手段を導入状態と非導入状態とに切換える導入状態切換手段の作動を制御する。つまり、隣接屋内空間の空気の温湿度と屋外の空気の温湿度とに基づいて、導入状態切換手段の作動が制御されて、外気導入手段が、導入状態と非導入状態とに自動的に切換えられる。
したがって、制御手段が導入状態切換手段の作動を制御するときの条件として、乾燥室を乾燥させるときに導入される空気として隣接屋内空間の空気と屋外の空気のうち何れか適切な一方を選択するように設定しておけば、制御手段は、第1温湿度計測手段の計測情報及び第2温湿度計測手段の計測情報に基づいて、乾燥運転を行うときに導入する空気として適切な空気が選択されるように導入状態切換手段の作動を制御することができる。
これにより、制御手段により乾燥運転の制御が行われる場合には、隣接屋内空間の空気の温度及び湿度並びに屋外の空気の温度及び湿度が変化しても、隣接屋内空間の空気と屋外の空気のうち、乾燥室を乾燥させるに当たって適切な何れか一方の空気が自動的に選択される。
このように、本発明の第3特徴によると、ユーザーが外気導入手段を導入状態と非導入状態とに切換える操作をしなくても、適切な外部空気の導入状態のもとで乾燥運転を行うことができる点で高機能な乾燥装置を得ることができる。
【0015】
本発明の第4特徴は、本発明の第3特徴において、前記乾燥室が浴室であり、前記排気手段が、前記乾燥室以外の他屋内空間内の空気を吸引して排出するように構成され、前記排気手段が、前記他屋内空間に対して吸引作用する作用状態と吸引作用しない非作用状態とに切換える吸引作用状態切換手段が設けられ、前記制御手段が、前記通風加熱手段及び前記排気手段を作動させて乾燥運転を行うときには、前記吸引作用状態切換手段を前記非作用状態に切換えるように構成されている点にある。
【0016】
本発明の第4特徴によると、本発明の第3特徴と同様の作用効果を備えており、これに加えて以下のような作用効果を備えている。
本発明の第4特徴によると、他屋内空間に対して吸引作用する作用状態と吸引作用しない非作用状態とを、吸引作用状態切換手段により切換えることができ、作用状態であると、排気手段は、浴室以外の他屋内空間内の空気を吸引して排出し、非作用状態であると排気手段は、浴室以外の他屋内空間内の空気を吸引しない。
非作用状態では、排気手段の排気能力が浴室以外の他屋内空間内の空気の吸引に利用されないので、排気手段の排気能力の大部分が浴室の空気の排出に利用されるので、浴室の空気の排出を効果的に行うことができる。
したがって、浴室以外の他屋内空間内の空気を排出させたい場合には、吸引作用状態切換手段を作用状態に切換えればよく、浴室以外の他屋内空間内の空気を排出させたくない場合或いは浴室の空気を効果的に排出させたい場合には、吸引作用状態切換手段を非作用状態に切換えればよい。このようにして、浴室以外の他屋内空間内の空気を排出するか否かを任意に切換えることができる。
【0017】
また、制御手段は、通風加熱手段及び排気手段を作動させて乾燥運転を行うときには、吸引作用状態切換手段を非作用状態に切換えるので、乾燥運転を行うときには、非作用状態となる。つまり、乾燥運転を行うときには、排気手段は浴室の空気を効果的に排出する状態になる。
したがって、乾燥運転を行うにあたって、浴室を乾燥状態にするまでに要する時間が短縮されることになる。
このように、本発明の第4特徴によると、浴室以外の他屋内空間内の空気を排出するか否かを任意に切換えることができる点、及び、乾燥運転を行うときには、浴室を能率的に乾燥させることができる点で高機能な浴室用の乾燥装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の乾燥装置を適用した浴室暖房乾燥装置について図面に基づいて説明する。
本浴室暖房乾燥装置は、乾燥室としての浴室BR内の乾燥、暖房、涼風及び換気機能と、隣接屋内空間である他屋内空間としての脱衣室DR内の換気機能と、隣接屋内空間でない他屋内空間としてのトイレTR内の換気機能を備え、図1に示すように、浴室BRの天井1側に設置された浴室暖房乾燥ユニットYと、この浴室暖房乾燥ユニットYに温水などの熱媒を供給する屋外設置用の熱源機Kを備えている。
【0019】
そして、この浴室暖房乾燥装置は、図2に示すように、浴室暖房乾燥ユニットYと熱源機Kの動作を指令するリモコン操作部Rと、リモコン操作部Rの指令に基づいて浴室暖房乾燥ユニットY及び熱源機Kの作動を制御する制御手段としての制御部Hが設けられ、リモコン操作部Rが制御部Hに双方向に通信可能に接続されている。
【0020】
図2に示すように、浴室暖房乾燥ユニットYは、浴室BRの天井1に設置される本体部3と、内気用吸気口4と吹き出し口5とを備えるグリル板6とを備えて構成されている。本体部3は、本体ケーシング3aと、この本体ケーシング3aの一側面に連設された排気部ケーシング3bからなる筐体構造となっており、各ケーシング3a,3bの内部にそれぞれ以下のような構成を有している。
【0021】
本体ケーシング3a内には、内気用吸気口4を通して浴室BR内の空気を吸引して、或いは、外気吸入口2を通して屋外の空気を吸引して、吹き出し口5を通して空気を吹き出すための通風路7と、その通風路7に対して通風作用する循環ファン8と、通風路7を通風する空気に対して加熱作用する加熱器としての熱媒循環式の熱交換器9と、その熱交換器9にユニット内配管36にて供給される熱媒としての温水の通流を断続する熱動弁10と、浴室BR内から吸引され、通風路7を通風する空気の温度を測定する浴室サーミスタ15と、ユニット内配管36内を通流する温水の温度を測定する温水サーミスタ16と、吹き出し口5を通して浴室BR内に吹き出される空気の吹き出し方向を変更自在な可動ルーバー11とが備えられている。
【0022】
本体ケーシング3aと排気部ケーシング3bとの接続面に設けられた吸気用開口部の本体ケーシング3a内方側には、本体ケーシング3a内と排気部ケーシング3b内との空気の通流を遮断可能な浴室用シャッター17が設けられ、排気部ケーシング3bとの接続面とは異なる側面には、本体ケーシング3a内と屋外との空気の通流を遮断可能な外気シャッター33が設けられている。また、本体ケーシング3aには、熱交換器9に供給される熱媒の供給路である熱媒循環路35が接続され、ユニット内配管36に熱媒が供給されるようになっている。
【0023】
排気部ケーシング3b内には、浴室BR内の空気を吸引して排気ダクト12を通して屋外に排気する排気ファン13が設けられており、この排気ファン13の吸引作用により、排気ダクト31,32を介して脱衣室DR内の空気及びトイレTR内の空気をも屋外に排気できるようになっている。
【0024】
本体ケーシング3aが備える前記外気吸入口2には、建物の外壁に設けられた外気導入口38(図1参照)に通じる外気導入ダクト34が接続されており、前記外気シャッター33は、外気吸入口2の本体ケーシング3a外方側、つまり、外気導入ダクト34側に設けられている。
【0025】
循環ファン8は、水平軸心周りで回転して、空気の吸引と排気とを共に回転軸心と直交する方向に沿って行うクロスフローファンにて構成され、回転軸心方向のほぼ全幅にわたる広い範囲にわたって熱交換器9を通して浴室BR内の空気或いは屋外の空気を吸引し、吹き出し口5から熱交換器9にて加熱された空気を浴室BR内に吹き出す通風作用を行うように構成されており、リモコン操作部Rからの指令に基づいて、循環ファン8を回転させるモータの駆動電圧を変更することによって、浴室BR内に送風される空気の送風量が変更されるように構成されている。
【0026】
このように、本浴室暖房乾燥装置は、通風路7と、循環ファン8と、熱交換器9と、熱動弁10により構成される通風加熱手段を備え、循環ファン8を作動させ、熱動弁10を開弁させて熱交換器9に熱媒としての温水を供給して、吸入した空気を加熱して吹き出し口5を通して乾燥室としての浴室BR内に送風可能に構成されている。
さらに、本浴室暖房乾燥装置は、屋外の空気を浴室BRに導入する外気導入手段として外気導入ダクト34が備えられ、外気導入ダクト34が前記外気シャッター33により導入状態と非導入状態とに切換え自在に構成されている。
また、図1に示すように、浴室BRに設けられた浴室扉39の下部には、導入口としてのギャラリー40が設けられており、浴室BRが、隣接する脱衣室DRの空気を導入する導入口を設けて構成されている。
【0027】
図1及び図2に示すように、排気部ケーシング3bには、建物の外壁に設けられた内気排出口37に通じる排気ダクト12と、脱衣室DRの天井面に設けられた脱衣室吸気口29に通じる脱衣室用排気ダクト31と、トイレTRの天井面に設けられたトイレ吸気口30に通じるトイレ用排気ダクト32とが接続されている。
排気部ケーシング3bと脱衣室用排気ダクト31との接続箇所には、脱衣室DR側と排気部ケーシング3b側との空気の通流を遮断可能な乾燥室用シャッター18が設けられ、排気部ケーシング3bとトイレ用排気ダクト32との接続箇所には、トイレTR側と排気部ケーシング3b側との空気の通流を遮断可能なトイレ用シャッター19が設けられている。
なお、図2において、排気ダクト12、排気ファン13及び排気口14を備えた排気ユニット部分については、排気ダクト12、排気ファン13及び排気口14の位置関係についての理解を容易にするために上方から見た横断面図で示している。
【0028】
排気ファン13は、垂直軸心周りで回転して、空気の吸引を回転軸心方向から行って、排気を回転軸心と直交する方向に沿って行うシロッコファンにて構成され、シャッター17,18,19側から空気を吸引し、排気口14を通して排気ダクト12に向けて空気を通風するように構成されている。
【0029】
このように、本浴室暖房乾燥装置は、排気部ケーシング3b、排気ダクト12、排気ファン13、脱衣室吸気口29、トイレ吸気口30、脱衣室用排気ダクト31及びトイレ用排気ダクト32から構成される排気手段を備え、排気手段が他屋内空間としての脱衣室DRに対して吸引作用する作用状態と吸引作用しない非作用状態とに切換える吸引作用状態切換手段としての乾燥室用シャッター18、及び、排気手段が他屋内空間としてのトイレTRに対して吸引作用する作用状態と吸引作用しない非作用状態とに切換える吸引作用状態切換手段としてのトイレ用シャッター19が設けられ、浴室BR以外の他屋内空間内の空気を吸引して排出するように構成されている。
【0030】
浴室暖房乾燥ユニットYと熱源機Kの動作は、マイクロコンピュータを利用した制御部Hによって制御され、その制御部Hに双方向に通信可能なリモコン操作部Rは、浴室BRに隣接する脱衣室DRに設けられている。リモコン操作部Rには、脱衣室DRの空気の温度及び湿度を計測する第1温湿度計測手段としての屋内用温湿度センサーS1が設けられており、また、熱源機Kには、屋外の空気の温度及び湿度を計測する第2温湿度計測手段としての屋外用温湿度センサーS2が内蔵されている。
これにより、制御部Hは、脱衣室DRの温度及び湿度についての情報と屋外の温度及び湿度についての情報を取得でき、後述の乾燥運転、暖房運転及び涼風運転を行う場合には、これらの温湿度情報に基づいて導入状態切換手段としての外気シャッター33の切換え作動を制御するように構成されている。
【0031】
つまり、本浴室暖房乾燥装置は、隣接屋内空間としての脱衣室DRの空気の温度及び湿度を計測する第1温湿度計測手段と、屋外の空気の温度及び湿度を計測する第2温湿度計測手段と、外気導入手段を導入状態と非導入状態とに切換える導入状態切換手段としての外気シャッター33と、乾燥運転を制御する制御手段としての制御部Hを備え、制御部Hが、前記第1温湿度計測手段の計測情報及び前記第2温湿度計測手段の計測情報に基づいて、前記導入状態切換手段の作動を制御するように構成されている。
【0032】
そして、リモコン操作部Rには、図3に示すように、浴室BR内を乾燥運転させる乾燥運転スイッチ20と、浴室BR内を暖房運転させる暖房運転スイッチ21と、浴室BR内を涼風運転させる涼風運転スイッチ22と、浴室BR内を換気運転させる換気運転スイッチ23が設けられている。また、暖房時の温度設定やタイマー時間の設定を指令する設定スイッチ24、25、及び、可動ルーバー11による風向きを変更させる風向変更スイッチ26や、24時間換気を行わせる際の24時間換気スイッチ28が設けられている。
そして制御部Hは、リモコン操作部Rの指令に基づいて、乾燥運転スイッチ20がON操作されると乾燥運転を実行し、暖房運転スイッチ21がON操作されると暖房運転を実行し、涼風運転スイッチ22がON操作されると涼風運転を実行し、換気運転スイッチ23がON操作されると換気運転を実行するように構成されている。
以下に、夫々の運転について説明する。
【0033】
乾燥運転について、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて説明する。リモコン操作部Rの乾燥運転スイッチ20がON操作されると、制御部Hは、熱源機Kの運転を開始させる(ステップ#1)。そして、循環ファン8及び排気ファン13を乾燥運転用の作動速度にて作動させ(ステップ#2)、熱動弁10を開弁状態にして、熱媒を熱交換器9に通流させる(ステップ#3)。そして、浴室用シャッター17を開放し、脱衣室用シャッター18及びトイレ用シャッター19を閉状態にする(ステップ#4)。
【0034】
このように、本浴室暖房乾燥装置は、通風加熱手段及び排気手段を作動させて乾燥運転を行うときには、吸引作用状態切換手段としての脱衣室用シャッター18及びトイレ用シャッター19を非作用状態に切換えるように構成されている。排気部ケーシング3bに設けられた3つのシャッターをこのような開閉状態にすることで、乾燥運転においては、排気ファン13による吸引作用が浴室BRに対して集中的に作用することになり、効果的に浴室BRの空気を屋外に排出させることができる。
【0035】
熱源機9、循環ファン8及び排気ファン13の作動と、熱動弁10、浴室用シャッター17、脱衣室用シャッター18及びトイレ用シャッター19の開閉状態が乾燥運転用に制御された後は、再び乾燥運転スイッチ20が押し操作されるまでの間、外気シャッター切換処理が実行される(ステップ#5〜ステップ#6)。
【0036】
詳しくは後述するが、外部シャッター切換処理は、外気シャッター33の開閉状態を屋外と屋内(本実施形態の場合脱衣室DR)の温湿度関係に応じて切換える処理であり、屋内の空気と屋外の空気とのうち、乾燥運転を行う場合に浴室に導入される空気として、湿度や温度の点でふさわしい方の空気が浴室BR内に導入されるように、外気シャッター33の開閉が切換制御される。乾燥運転において外気シャッター切換処理が実行されると、屋外の空気の温湿度と脱衣室の空気の温湿度とを比較して、より好ましい空気が浴室BRに導入されることになる。内外湿度差ΔH及び内外温度差ΔTの値と外気シャッター33の開閉状態との対応関係を図6に示す。
【0037】
なお、乾燥運転においては、制御部Hは、吹き出し口5から浴室BR内に吹き出される空気が乾燥運転用に設定された目標温度になるように、熱源機9の作動と熱動弁10の開閉を制御するようにしている。また、熱交換器9により加熱された空気が、乾燥用吹き出し方向としてほぼ真下の方向に吹き出されるように、可動ルーバー11の向きを調整するようにしている。
【0038】
乾燥運転中に乾燥運転スイッチ20が押し操作されると、制御部Hは、熱源機9の運転を停止させ(ステップ#7)、熱動弁10を閉弁状態にし、循環ファン8及び排気ファン13の作動を停止させて(ステップ#8)、乾燥運転を終了する。
【0039】
次に、乾燥運転が行われているときに実行される外部シャッター切換処理について、図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
制御部Hは、屋内用温湿度センサーS1及び屋外用温湿度センサーS2の計測情報から、屋外湿度の値と屋内湿度の値との差ΔHと屋外温度の値と屋内温度の値との差ΔTとを算出する(ステップ#1)。なお、このときの湿度差ΔH及び温度差ΔTは、屋外のものから屋内のものを引いた値を用いている。
内外湿度差ΔH及び内外温度差ΔTの値が求まると、内外湿度差ΔHの絶対値が10[%]以上であるかどうかを判別する(ステップ#2)。内外湿度差ΔHの絶対値が10[%]以上であれば、浴室BRに湿度の低い方の空気が導入されるように、外気シャッター33の開閉状態を制御する。具体的には、ΔHの値の正負を判別し(ステップ#3)、ΔHの値が正の値のとき、つまり、屋外湿度の方が屋内湿度より10[%]以上高いとき(図6の環境状態Z1に該当するとき)は、外気シャッター33を閉状態にし(ステップ#6)、ΔHの値が負の値のとき、つまり、屋外湿度の方が屋内湿度より10[%]以上低いとき(図6の環境状態Z2に該当するとき)は、外気シャッター33を開状態にする(ステップ#7)。
【0041】
一方、内外湿度差ΔHの絶対値が10[%]より小さければ、内外温度差ΔTの絶対値が3[℃]以上であるかどうかを判別する(ステップ#4)。そして、内外温度差ΔTの絶対値が3[℃]以上であれば、浴室BRに温度の高い方の空気が導入されるように、外気シャッター33の開閉状態を制御する。具体的には、ΔTの値の正負を判別し(ステップ#5)、ΔTの値が正の値のとき、つまり、屋外温度の方が屋内温度より3[℃]以上高いとき(図6の環境状態Z3に該当するとき)は、外気シャッター33を開状態にし(ステップ#9)、ΔTの値が負の値のとき、つまり、屋外温度の方が屋内温度より3[℃]以上低いとき(図6の環境状態Z4に該当するとき)は、外気シャッター33を閉状態にする(ステップ#10)。
【0042】
そして、内外温度差ΔTの絶対値が3[℃]より小さい場合(図6の環境状態Z5に該当するとき)は、湿度及び温度のいずれについても屋外空気と屋内空気との差が顕著でない状態であり、浴室BRに導入される空気は屋内の空気であっても屋外の空気であっても、乾燥運転に与える影響については温湿度の点では大きな違いはないと考えられる。本実施形態では、湿度及び温度のいずれについても屋外空気と屋内空気との差が顕著でない場合(ステップ#4でNoと判別された場合)は、脱衣室DRの空調状態に影響を与えないように配慮して、外気シャッター33を開状態にして(ステップ#8)、主に屋外の空気を導入するようになっている。
【0043】
乾燥運転における浴室用シャッター17、脱衣室用シャッター18、トイレ用シャッター19及び外気シャッター33の開閉状態を、後述する暖房運転等の他の種別の運転を行う場合と併せて、図7の表に示す。図中の「※1」及び「※2」が付された外気シャッター33開閉状態は、運転動作が開始されると実行される外気シャッター切換処理により開閉状態が設定させる。乾燥運転における外気シャッター切換処理による外気シャッター33の開閉状態※1については上述した通りである。なお、後述する涼風運転における外気シャッター切換処理は、上述した乾燥運転における外気シャッター切換処理とは異なる内容のものとなっている。
【0044】
次に、暖房運転、換気運転及び涼風運転について説明する。
まず、暖房運転について説明する。暖房運転では、制御部Hは、浴室用シャッター17、脱衣室用シャッター18、トイレ用シャッター19及び外気シャッター33の全てを閉状態にし(図7参照)、排気ファン13を停止させ且つ循環ファン8を作動させるとともに、浴室BR内の温度を上昇させるように、熱動弁10の開閉を制御して熱交換器9に熱媒としての温水を循環供給させ、熱交換器9により加熱された循環空気を吹き出し口5から浴室BR内に吹き出すようにしている。そして、浴室サーミスタ15の検出情報に基づき、吸引口4から吸引される浴室BRの空気の温度が暖房運転用の目標温度になるように、循環ファン8、熱動弁10、排気ファン13の作動を制御する。
【0045】
具体的には、図3に示したリモコン操作部Rの暖房運転スイッチ21がON操作されると、リモコン操作部Rの暖房(強)ランプが点灯し、タイマー設定表示が表示部27に表示され、吹き出し口5の可動ルーバー11が設定された風向位置に動いて暖房(強)運転が開始される。そして、暖房(強)運転中に暖房運転スイッチ21がON操作されると、制御部Hは、暖房(強)運転から暖房(弱)運転へと切り替える。このとき、タイマー時間は、前回運転時と同じ設定時間でセットされるが、設定値の減少を指示する設定スイッチ24及び設定値の増加を指示する設定スイッチ25により適当な時間に設定することができる。
そして、浴室BR内へ通風される空気が、入浴者へ直接浴びせられるような暖房用吹き出し方向になるように、可動ルーバー11の向きを調整するようにしている。
【0046】
次に、換気運転について説明する。リモコン操作部Rの換気運転スイッチ23がON操作されると、制御部Hは、循環ファン8の作動を停止しかつ熱動弁10を閉状態に維持した状態で、浴室用シャッター17、脱衣室用シャッター18及びトイレ用シャッター19を開放し、外気シャッター33を閉状態にする(図7参照)。換気ファン13を作動させ、可動ルーバー11を閉状態に作動させて、浴室BR内から吸引した空気を排気ダクト12を通して屋外に排気し、脱衣室DR及びトイレTRから吸引した空気も屋外に排気するようにしている。
24時間換気スイッチがON操作された場合の24時間換気運転中には、浴室用シャッター17は閉じられており(図7参照)、脱衣室DRとトイレTRから吸引された空気を排気ファン13にて排気するように動作する。
【0047】
次に、涼風運転について説明する。リモコン操作部Rの涼風運転スイッチ22がON操作されると、制御部Hは、熱動弁10を閉状態に維持した状態で循環ファン8を作動させるとともに、浴室用シャッター17を開放させて、脱衣室用シャッター18、トイレ用及びシャッター19を閉状態にし(図7参照)、換気ファン13を作動させ、浴室BR内から吸引した空気の一部を排気ダクト12を通して屋外に排出させながら、浴室BR内から吸引した空気を加熱することなく通風路7を通して浴室BR内に吹き出すようにしている。
【0048】
涼風運転が行われるときには、涼風運転用外気シャッター切換処理により、屋外空気の温度が屋内空気の温度より3[℃]以上低い場合は、外気シャッター33が開放され、吹き出し口5から浴室BRに吹き出される空気の一部に屋外の空気が含まれるようになっている。
そして、浴室BR内へ通風される空気が、入浴者へ直接浴びせられるような涼風用吹き出し方向になるように、可動ルーバー11の向きを調整するようにしている。
【0049】
リモコン操作部Rには、図3に示すように外気シャッター切換スイッチ41と、外気シャッター33の開閉が自動制御状態であれば点灯し手動制御状態であれば消灯する自動/手動表示灯42と、自動制御状態及び手動制御状態における外気シャッター33の開閉状態を表示する開閉状態表示灯43とが備えられている。
【0050】
外気シャッター切換スイッチ41を1回押し操作すると、上述したいずれの運転種別においても、自動制御されている外気シャッター33の開閉状態を強制的に開状態に維持させることができ、もう一度押し操作すると強制的に閉状態で維持させることができる。さらにもう一度、外気シャッター切換スイッチ41を押し操作すると、外気シャッター33の開閉状態を自動制御状態に復帰させることができるようになっている。
以下、別実施形態を列記する。
〔別実施形態〕
【0051】
(1)上記実施形態では、本体ケーシング3aの側面部に設けた外気吸入口2に排気ダクト34を接続した例を示したが、排気ダクト34の接続箇所は適宜変更可能である。例えば、浴室BRの側壁や天井1に接続してもよいし、本体ケーシング3aの上面に接続してもよい。
【0052】
(2)上記実施形態では、外気導入手段の導入状態の切換えを制御手段を介して行うように構成されたものを例示したが、これに限らず、機械的な切換機構を手動操作することで外気導入手段の導入状態を切換えるように構成してもよい。
【0053】
(3)上記実施形態では、乾燥室が浴室である例を示したが、浴室以外の空間を乾燥室とすることができる。例えば、スキーヤーが宿泊する施設に設けられるスキー道具を乾燥させるための部屋や、屋内プール施設に設けられスイマーの体を乾燥させるための乾燥室や、乾燥食料を保管する食料保管倉庫等、乾燥室としては、外部空間と隔てられた一定の大きさを有する空間であればよい。
【0054】
(4)外気導入手段が導入状態である場合に、乾燥室に導入される空気として大きな割合で屋内空気が導入されるものでもよい。例えば、上記実施形態において、外気シャッターの開閉状態を閉状態から開状態までの間で任意の開閉状態を設定できるように構成し、必要に応じて、外気シャッターの開度を調整するように構成してもよい。
【0055】
(5)上記実施形態では、第2温湿度計測手段としての屋外用温湿度センサーS2を熱源機Kに設けた例を示したが、第2温湿度計測手段の設置箇所は適宜変更可能である。例えば、外気導入ダクト34の端部に位置する外気導入口38や、浴室暖房乾燥ユニットYの本体ケーシング3aに設けた外気吸入口2の外気導入ダクト34側に設けてもよい。
【0056】
(6)上記実施形態では、第1温湿度計測手段としての屋内用温湿度センサーS1をリモコン操作部Rと一体に設けた例を示したが、第1温湿度計測手段の設置箇所は適宜変更可能である。例えば、浴室扉39の下方に設けられたギャラリー40と床上高さが略同じになるように、脱衣室DRの壁面に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の乾燥装置が備えられた浴室暖房乾燥装置の設置状態を示す斜視図
【図2】図1の浴室暖房乾燥装置の縦断側面図
【図3】リモコン操作部の外観正面図
【図4】乾燥運転のフローチャート
【図5】乾燥運転における外気シャッター切換処理のフローチャート
【図6】乾燥運転における温湿度条件の区分と外気シャッターの開閉状態とを示す表
【図7】運転種別毎に各シャッターの開閉状態を示す表
【符号の説明】
【0058】
BR 浴室,乾燥室
DR 隣接屋内空間,他屋内空間
TR 他屋内空間
H 制御手段
S1 第1温湿度計測手段
S2 第2温湿度計測手段
3b、12、13、29、30、31、32 排気手段
7、8、9、10 通風加熱手段
9 加熱器
18、19 吸引作用状態切換手段
33 導入状態切換手段
34 外気導入手段
40 導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引した空気を加熱器にて加熱して乾燥室内へ通風する通風加熱手段と、前記乾燥室内の空気を吸引して屋外へ排出する排気手段とが備えられた乾燥装置であって、
屋外の空気を乾燥室に導入する外気導入手段が備えられている乾燥装置。
【請求項2】
前記外気導入手段が、導入状態と非導入状態とに切換え自在に構成され、
前記乾燥室が、前記乾燥室に隣接する隣接屋内空間の空気を導入する導入口を設けて構成されている請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記隣接屋内空間の空気の温度及び湿度を計測する第1温湿度計測手段と、
屋外の空気の温度及び湿度を計測する第2温湿度計測手段と、
前記外気導入手段を導入状態と非導入状態とに切換える導入状態切換手段と、
乾燥運転を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、
前記第1温湿度計測手段の計測情報及び前記第2温湿度計測手段の計測情報に基づいて、前記導入状態切換手段の作動を制御するように構成されている請求項2記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記乾燥室が浴室であり、
前記排気手段が、前記乾燥室以外の他屋内空間内の空気を吸引して排出するように構成され、
前記排気手段が前記他屋内空間に対して吸引作用する作用状態と吸引作用しない非作用状態とに切換える吸引作用状態切換手段が設けられ、
前記制御手段が、
前記通風加熱手段及び前記排気手段を作動させて乾燥運転を行うときには、前記吸引作用状態切換手段を前記非作用状態に切換えるように構成されている請求項3に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−275332(P2006−275332A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92231(P2005−92231)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】