説明

予備混合され凍結されたシールキャップ

【課題】シーラント、その製造方法、シーラントを付ける方法を提供すること。
【解決手段】シーラントは、予備形成され且つ少なくとも一部分が硬化された第1の量のシーラントと、予備形成され且つ少なくとも一部分が未効果である第2の量のシーラントを含む。第1の量のシーラントは、キャビティを有する凹型シェルに形成され、第2の量のシーラントは、キャビティ内に配置される。第2の量のシーラントは、その硬化温度よりも十分に低い温度に維持され、その少なくとも一部分の硬化を 遅延させる。第1及び第2の量のシーラントは、一緒に包装され、ファスナー等の基材のところまで配送される。凹形シェルは、コンパートメントを有する雌の金型(10)と、突出部(18)を有する雄の金型(12)と、その間に配置されるフィルム(14)とによって形成されるのが良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーラント材料に関する。更に詳細には、本発明は、予備形成され且つ未硬化であるシーラントシェル、その製造方法、及びそれを基材に付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、硬化可能なシーラントを小出しする小出し装置が広く知られている。シーラントを、キャップを用いてファスナーに付ける種々の方法がある。この方法は、シーラントを塗布してから、ファスナーの上にキャップを被せて、シーラントを形状決めする工程、又は、ファスナーを包むキャップの中にシーラントを射出する工程を含む。これらの方法は、シーラントの周りにキャップを配置する前におけるファスナー周りのシーラントの量、又は、キャップ及びシーラントをファスナーの上に配置する前におけるキャップ内のシーラントの量を正確に計量することを必要とする。これらの方法は、コスト高であり、非実際的である。更に、これらの方法は、常に同じ結果になるとは限らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
予備形成され且つファスナーに付けられる直前に未硬化シーラントで充填されたシーラントキャップは、同様に非能率的である。キャップを未硬化シーラントで充填する余分な工程は、ファスナーの上にシーラントを付けること扱いにくくする。典型的な実施例は、シーラントを多くのファスナーの上に一度に付ける工程を含む。キャップを充填する余分な工程は、シーラントを付けることを複雑にし、すべての基材についてシーラントをファスナーの上に付けるのに必要な時間長さを追加する。シーラントを小出しした後、シーラントが所定の時間内に硬化する事実は、ファスナーに塗布する前にシーラントを小出しすることを困難にする。
【0004】
従って、既存材料の非能率及び困難に注意を向けたシーラントに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の趣旨として、別段の指示がなければ、すべての場合において、本明細書及び特許請求の範囲に記載された要素の量及びその他の材料の百分率又は比率を表すすべての数字及び反応の条件等は、用語「約」によって修正されるものと理解すべきである。従って、反対の指示がなければ、明細書及び特許請求の範囲に記載された数字パラメータは、「約」が付き、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。各数字パラメータは、最低限、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、報告された意味のあるアラビア数字の数に照らし且つ通常の概数化技術を適用することによって解釈されるべきである。
本発明の範囲を定める数字範囲及びパラメータは約であるけれども、特定の例で定められる数値は、可能な限り正確に記載されている。しかしながら、どの数値も、本質的には、各試験測定値で見つけられる標準からの逸脱によりやむを得ず生じたいくらかの誤差を含む。
【0006】
本発明の限定しない実施形態は、予備形成され且つ少なくとも一部分が硬化した第1の量のシーラントと、予備形成されかつ少なくとも一部分が未硬化である第2の量のシーラントとを有する。第1の量のシーラント及び第2の量のシーラントは、同じ組成を有する。
【0007】
他の限定しない実施形態では、シーラントが、予備形成されかつ少なくとも一部分が硬化した第1の量のシーラントと、予備形成され且つ少なくとも一部分未硬化である第2の量のシーラントを含み、第1の量のシーラント及び第2の量のシーラントは、同じ組成を有する。他の限定しない実施形態では、第1の量のシーラントは、内部キャビティを備えた凹型シェルを有し、第2の量のシーラントは、内部キャビティの中に位置決めされる。限定しない更なる実施形態では、第2の量のシーラントは、その硬化温度よりも十分に低い温度であるのが良く、その結果、第2の量のシーラントの少なくとも一部分が硬化することを遅延させる。
【0008】
本発明のシーラントの実施形態を製造する限定しない例示の方法は、第1の量のシーラントを得る工程と、第1の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させる工程とを有する。第2の量のシーラントを第1の量のシーラントに接触させる。第2の量のシーラントを、その硬化温度よりも十分に低い温度に熱的に調整することによって、第2の量のシーラントの少なくとも一部分が硬化することを遅延させ、第2の量のシーラントの少なくとも一部分を未硬化に維持する。
【0009】
限定しない例示の方法は、更に、第1の量のシーラントを所定の厚さまで圧縮し、内部キャビティを備えた凹形シェルを形成し、第2の量のシーラントを内部キャビティの中に配置する工程を含む。第1の量のシーラントを熱的に調整することによって、第1の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させたままにする。従来技術で既知の手段、例えば、射出充填成形することによって又は雌と雄の金型を使用することによって、凹型シェルを形成する。当業者は、特定の適用例に当てはめるために、凹形シェルを種々の形状及び寸法で形成する種々の方法を知っている。1つの実施形態では、シェルのリムを成形し、その結果、雄の金型と雌の金型との間の境界面の形状決め手段によって、キャビティは、凹凸のない縁を有する。
【0010】
限定しない1つの実施形態では、形状決め手段は、第1の量のシーラントが接着する材料、例えば、ethanote(アセテート)、butanoate、pentanoate及びhexanoate、又は、第1の量のシーラントが接着するその他の可撓性材料を含む。この形状決め手段は、余分な量のシーラントを除去し、シェルのリムの周りに凹凸のないキャビティの縁を形成する。第2の量のシーラントをキャビティの中に配置した後、第1の量のシーラント及び第2の量のシーラントを一緒に包装し、それらを基材に付ける前、湿気がシーラントに接触することを防止する。
【0011】
限定しない1つの実施形態では、シーラントは、硬化を遅延させるために、−100℃〜−25℃の間の温度(−100℃及び−25℃を含む)に保たれるのが良い。他の実施形態では、シーラントは、最低−75℃に保たれる。他の実施形態では、シーラントは、最高−55℃に保たれる。他の実施形態では、シーラントは、所定の温度、例えば、−45℃に保たれる。シーラントを基材に付けるとき、第1の量のシーラント及び第2の量のシーラントを、第2の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させるのに十分な温度に晒すのが良い。
【0012】
上記に加えて、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
予備形成され且つ少なくとも一部分が硬化された第1の量のシーラントと、
予備形成され且つ少なくとも一部分が未硬化である第2の量のシーラントと、を含み、
前記第1の量のシーラント及び前記第2の量のシーラントは、同じ組成を有することを特徴とするシーラント。
(項目2)
前記第1の量のシーラントは、内部キャビティを含む凹形のシェルを有し、前記第2の量のシーラントは、前記内部キャビティ内に位置決めされる、項目1に記載のシーラント。
(項目3)
前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分の硬化を遅延させるために、前記第2の量のシーラントは、その硬化温度よりも十分に低い温度である、項目1に記載のシーラント。
(項目4)
前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分の硬化を遅延させるために、前記第2の量のシーラントは、酸化することを阻止されている、項目1に記載のシーラント。
(項目5)
前記第1の量のシーラント及び前記第2の量のシーラントは、基材への配送のために一緒に包装される、項目1に記載のシーラント。
(項目6)
前記基材は、ファスナーを含む、項目5に記載のシーラント。
(項目7)
シーラントの製造方法であって、
第1の量のシーラントを得る工程と、
前記第1の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させる工程と、
第2の量のシーラントを前記第1の量のシーラントと接触させる工程と、
前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分を未硬化に維持する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
(項目8)
前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分を未硬化に維持する工程は、更に、前記第2の量のシーラントを、その硬化温度よりも十分に低い温度に熱的に調整し、前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分の硬化を遅延させる工程を含む、項目7に記載の製造方法。
(項目9)
前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分を未硬化に維持する工程は、更に、前記第2の量のシーラントが酸化することを阻止し、前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分の硬化を遅延させる工程を含む、項目7に記載の製造方法。
(項目10)
前記第1の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させる工程は、更に、前記第1の量のシーラントを所定の厚さまで圧縮する工程を含む、項目7に記載の製造方法。
(項目11)
前記第1の量のシーラントを圧縮する工程は、更に、前記第1の量のシーラントを、内部キャビティを有する凹形シェルに形成する工程を含み、
前記第2の量のシーラントを接触させる工程は、更に、前記第2の量のシーラントを前記内部キャビティの中に配置する工程を含む、項目10に記載の製造方法。
(項目12)
シーラントの製造方法であって、
内部キャビティを有する凹形シェルとして形成され且つ一部分が未硬化である第1の量のシーラントを得る工程と、
第2の量のシーラントを前記内部キャビティの中に配置する工程と、
前記第2の量のシーラントを、その硬化温度よりも十分に低い温度に熱的に調整し、前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分の硬化を遅延させる工程と、を有することを特徴とする製造方法。
(項目13)
更に、前記第1の量のシーラントを調整する工程を有する、項目12に記載の製造方法。
(項目14)
射出成形を使用する成形工程によって、前記第1の量のシーラントを形成する、項目12に記載の製造方法。
(項目15)
前記凹形シェルを形成する工程は、更に、雄の金型と雌の金型を使用する工程を含む、項目12に記載の製造方法。
(項目16)
前記凹形シェルを形成する工程は、更に、前記シェルを前記雄の金型と前記雌の金型との間の境界面で形状決めする工程を含む、項目15に記載の製造方法。
(項目17)
前記手段は、凹凸のない前記内部キャビティの縁を形成する余分な量の前記第1の量のシーラントを除去する、項目16に記載の製造方法。
(項目18)
前記凹形のシェルを形成する工程は、更に、ethanoate、butanoate、pentanoate、hexanoate、及びその他の柔軟性材料から選択され且つ前記シーラントが接着する少なくとも1つの成分を含むフィルムと接触する工程を含む、項目15に記載の製造方法。
(項目19)
更に、前記シーラントを包装し、少なくとも一部分が、湿気が前記第1の量のシーラント及び前記第2の量のシーラントに接触することを阻止する工程を含む、項目12に記載の製造方法。
(項目20)
前記温度は、最低−75℃である、項目12に記載の製造方法。
(項目21)
前記温度は、最高−55℃である、項目12に記載の製造方法。
(項目22)
前記温度は、約−45℃である、項目12に記載の製造方法。
(項目23)
前記温度は、−100℃〜−25℃の範囲にある、項目12に記載の製造方法。
(項目24)
シーラントの製造方法であって、
雄の金型と雌の金型を使用して、凹形シェルとして形成された第1の量のシーラントを得る工程と、
前記雄の金型と前記雌の金型を、ethanoate、butanoate、pentanoate、hexanoate、及び前記シーラントが接着するその他の柔軟性材料から選択される少なくとも1つの材料を含むフィルムで分離する工程と、
前記第1の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させる工程と、
前記フィルムと、このフィルムに接触する余分な量の前記第1の量のシーラントを除去する工程と、
前記凹形シェルの少なくとも一部分を前記第2の量のシーラントで充填する工程と、
前記第2の量のシーラントを、その硬化温度よりも十分に低く熱的に調整し、前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分の硬化を遅延させる工程と、
前記シーラントを包装し、湿気が前記第2の量のシーラントの少なくとも一部分に接触することを阻止する工程と、を有することを特徴とする製造方法。
(項目25)
シーラントを基材に塗布する方法であって、
予備形成されたシーラントを、その少なくとも一部分の硬化を遅延させるのに十分な温度で得る工程と、
前記シーラントを、その少なくとも一部分を硬化させるのに十分な温度まで晒す工程と、
前記シーラントを前記基材と接触させる工程と、を有することを特徴とする方法。
(項目26)
前記シーラントを晒す工程は、シーラントの温度を熱的に調整し、シーラントの少なくとも一部分を硬化させるのに十分な温度に維持する工程を含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記シーラントは、PS−890(登録商標)、PR−1440(登録商標)、AC−236(登録商標)及びAC−250(登録商標)から選択される少なくとも1つのシーラントからなる、項目1に記載のシーラント。
【0013】
本明細書に含まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の限定しないいくつかの実施形態を示す。添付図面及び以下の説明は、本発明を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
同じ又は同様のパーツを参照するために、可能な限り同じ参照番号をすべての図面に使用する。図1は、雄の金型及び雌の金型の1つの実施形態を示す。雌の金型10は、第1の量のシーラントの外面を成形するためのいくつかのコンパートメント16を含んでいる。コンパートメント16は、適用例に必要な種々のシェルに応じて、同じ寸法及び形状であっても良いし、異なる寸法及び形状であっても良い。コンパートメント16の数は、必要なシェルの数、温度制御された環境内のラックの寸法、移送のしやすさ、シーラントを小出しするための機械の寸法によって変化することがある。雄の金型12は、雌の金型10のコンパートメントと整列する突出部18を含んでいる。
【0015】
金型の限定しない実施形態は、シーラントから解放可能な強い複合材料で構成されるのが良く、その結果、いったん第2の量のシーラントを内部キャビティに配置したら、一部分が硬化したシェルを取り出すことができる。限定しない変形実施形態では、射出充填される金型は、互いに閉じられた雄の金型と雌の金型を有する。第1の量のシーラントを金型の開口から雄の金型と雌の金型との間の隙間に注入する。第1の量のシーラントの一部分を硬化させ、所定の厚さのシェルにする。雄の金型及び雌の金型を開き、シェルを自由にし、内部キャビティへの第2の量のシーラントの配置に備える。
【0016】
他の限定しない実施形態では、フィルム又はガスケット14が雄の金型12と雌の金型14との間に配置される。フィルムは、任意適当な材料で作られ、材料は、例えば、ethanote(アセテート)、それと類似する材料であるbutanoate,pentanoate,hexanoate等、又は、シーラントが接着するその他の可撓性材料である。一般的には、フィルム14は、孔あけされ、孔は、雄の金型12の突出部18及び雌の金型14のコンパートメント16と一致する。フィルムはまた、位置決めピン(図示せず)を含み、位置決めピンにより、フィルムを雌の金型10のコンパートメントと容易に整列させ、第1の量のシーラントを圧縮するために、2つの金型を互いに押し付けている間、フィルム14がずれないように保つ。シーラントキャップに滑らかな縁を付与することを最終的に達成するために、従来技術で知られているその他の手段を使用しても良い。
【0017】
限定しない変形実施形態では、フィルム14は、本質的に凹凸のない縁を内部キャビティに形成するために、シェルのリムの周りにある余分な量の第1の量のシーラントを除去する任意の手段によって置き換えられても良い。かかる手段は、2つの金型が互いに押付けられている間、或いは、その後、余分なシーラントを除去するように構成された、任意の化学的システムを有していても良いし、任意の機械的システムを有していても良いし、任意の電気的システムを有していても良い。
【0018】
図1bは、雄の金型及び雌の金型を使用して、第1の量のシーラント20をシェルに成形する限定しない実施形態を示す。第1の量のシーラント20は、雌の金型10のコンパートメント16の中に小出しされている。第1の量のシーラントは、雄の金型12の突出部18と雌の金型12のコンパートメント16との間の隙間を充たす。この隙間は、基材の上のシーラントの所望の最小厚さと一致する所定の厚さを有する。2つの金型を互いに押し付け、第1の量のシーラントを圧縮し、余分な量のシーラントを押し出すと、余分な量のシーラントは、フィルム14に接着する。第1の量のシーラント20の少なくとも一部分を硬化させるのに十分な期間、金型を互いに保持させる。
【0019】
1つの限定しない実施形態では、第1の量のシーラント20の少なくとも一部分を完全に硬化させるのが良い。用語「少なくとも一部分を硬化させる」は、完全に硬化させた状態から、幾分ゲルになった、少なくとも、第1の量のシーラントを基材に付けるために手で又は機械的に取り扱うことができる状態までのすべての硬さ範囲を含むことを意味する。反対に、用語「少なくとも一部分が未硬化である」は、完全な液体から、幾分ゲルになった、少なくとも、第2の量のシーラントが基材の表面と一致することができる状態までのすべての硬さ範囲を含むことを意味する。従って、シーラントの一部分が硬化していても良いし、未硬化であっても良く、その結果、シーラントは、シーラントの量全体を通じて一様でないことが分かる。例えば、シーラントは、その全部が同時に硬化する必要はないし、ほとんど完全に硬化したシーラントの中に未硬化シーラントのポケットが潜在的に残っていても良いし、ほとんど完全に未硬化のシーラントの中に硬化したシーラントのポケットが潜在的に残っていても良い。
【0020】
シーラントの硬化時間は、シーラント組成物の可使時間、即ち、ポットライフに依存し、分単位レベルから時間単位レベルまで広範に変化し得る。他の限定しない実施形態では、第1の量のシーラントは、第2の量のシーラントを内部キャビティの中に配置する前に完全に硬化しないことを維持するために熱的に調整されるのが良い。
【0021】
図1cは、第2の量のシーラントをシェルの中に配置することを示す限定しない例を示す。雄の金型12及び余分な量のシーラントがついたフィルム14が除去され、内部シェルを有する凹形シェルの形態の第1の量のシーラント20をコンパートメント16の中に残している。第2の量のシーラント22を第1の量のシーラント20のキャビティの中に配置する。予備形成された第1の量のシーラント20と予備形成された第2の量のシーラント22の組合せは、基材に付けられるまで熱的に調整される。用語「予備形成された」は、シーラントを基材に付ける前にシーラントを貯蔵し且つ移送することができるように、シーラントを小出しして包装することを表す。
【0022】
1つの限定しない実施形態では、コンパートメントの表面のすぐ上までシェルを充填するのに十分な量のシーラントを使用するのが良い。次いで、剥離紙又は当業者に良く知られているその他の同様の材料をシーラントの上に付ける。少なくとも一部分のこの包装により、貯蔵及び移送中にシーラントが熱的に調整されているとき、及び、塗布の前にシーラントの温度が上昇するにつれて、湿気が発達するのを阻止する。もし湿気がシーラントの上に集まることが可能であれば、シーラントを付けている間、湿気は基材とシーラントの間に留まるようになり、シーラントの性能に悪影響を及ぼすことがある。シーラントが雌の金型内に蓄積され且つ出荷される1つの限定しない実施形態では、金型を構成するのに使用される材料の熱的特性が、疎水性ポリマー等の濃度の潜在性を減少させる選択される。
【0023】
1つの限定しない実施形態では、予備形成されたシーラントシェル及び少なくとも一部分が未硬化であるシーラントが、シーラントを付ける直前にシーラントを小出しすることなしに(即時性は、広範に変化することがあり、シーラントのポットライフに応じて決定される)、基材に直接塗布されるのが良い。第1の量のシーラント及び第2の量のシーラントは、同じ組成を有している。1つの他の限定しない実施形態では、少なくとも一部分が未硬化である第2の量のシーラントをいったん硬化させると、第2の量のシーラントは、少なくとも一部分が硬化している第1の量のシーラントと共に、全体的に均一になり、その結果、第1の量のシーラントと第2の量のシーラントとの間の境界面の少なくとも一部分が不明瞭になる。
【0024】
用語「熱的に調整する」は、第2の量のシーラント(及び、未硬化であれば、第1の量のシーラント)の少なくとも一部分を硬化させることを引延ばすことによって、その硬化を遅らせる温度に下降させ且つ/又は維持する。温度は、硬化工程を効果的に引延ばすように下降される。1つの限定しない実施形態では、完全な硬化に達するまでの期間は、温度と逆方向の関係にあり、その結果、温度が低ければ低いほど、硬化工程中の引延ばし及び硬化遅延速度が大きくなる。1つの限定しない実施形態では、温度の下降及び/又は維持が、第2の量のシーラントを作り、それを第1の量のシーラントの凹形シェルの中に配置する時点から、シーラントを基材に付ける準備ができる時点まで続く。従って、シーラントの貯蔵及び移送中、冷却が使用され、例えば、シーラントを冷蔵状態で又はドライアイス内で出荷する。
【0025】
上で参照した硬化工程を引延ばす温度は、広範に変化し、シーラントの貯蔵寿命に依存する。温度に対するシーラントの満了日、即ち、寿命は、シーラントの組成ごとに変化する。1つの限定しない実施例では、シーラントの貯蔵寿命は、−40℃で21日である。温度を下降させることによって、貯蔵寿命を延長させても良い。1つの限定しない実施形態では、硬化を遅延させるために、シーラントは、−100℃〜−25℃の間の温度(−100℃及び−25℃を含む)に保たれるのが良い。他の限定しない実施形態では、シーラントは、最高温度−75℃に保たれる。他の限定しない実施形態では、シーラントは、最低温度−55℃に保たれる。他の限定しない実施形態では、シーラントは、−45℃に保たれる。シーラントの選択は、重要ではなく、従来技術で知られている種々の材料を使用することができる。シーラントの特別な選択は、一般的には、基材の種類及び意図する最終用途等のファクターの数に依存する。商業的に入手可能なシーラントの限定しない例は、カリフォルニア州バーバンク(Burbank)のPRC DeSoto International社のPS−890(登録商標)及びPR1440(登録商標)、コネチカット州ハートフォードのAC Tech(PBT Brands社)のAC−236(登録商標)及びAC−250(登録商標)を含む。
【0026】
上にあげた限定しない実施形態では、シーラントを、熱を加えることによって硬化させても良い。他の限定しない実施形態では、第2の量のシーラントを、酸化によって硬化されても良い。この実施形態では、第2の量のシーラントの酸化を、エアに対するシーラントの露出を制限することによって遅延させるのが良く、その結果、シーラントは、その一部分が未硬化のままである。
【0027】
用語「阻止する」は、特定の反応又は機能を制限し、妨げ、遅らせ、それと干渉することを表す。これは、多数の方法、例えば、シーラントが晒される環境を制御する方法によって達成される。酸化の場合、阻止することは、シーラントの酸化を制限し、妨げ、遅らせ、又は、それと干渉することを表す。制限しない実施例では、エア、即ち、周囲条件へのシーラントの露出を制限することによって、少なくとも一部分の酸化が阻止される。湿気の場合、阻止することは、シーラント上の湿気の発達を制限し、妨げ、遅らせ、それと干渉することを表す。限定しない実施例は、シーラントの表面上の凝縮を制限することによって、少なくとも一部分が湿気を阻止することを含む。
【0028】
種々のシーラント成分が、かかる仕方で予備形成される。上述したように、シーラントの選択は、重要ではなく、カリフォルニア州バーバンク(Burbank)のPRC DeSoto International社のPS−890(登録商標)及びPR1440(登録商標)、コネチカット州ハートフォードのAC Tech(PBT Brands社)のAC−236(登録商標)及びAC−250(登録商標)等、広範な既知のシーラントを使用することができる。加えて、予備形成された凹形シェル及び予備形成され且つ少なくとも一部分が未硬化である材料のこの方法は、接着剤、コーティング材等の他の要素にも使用することができる。
【0029】
シーラントの製造方法についての限定しない実施形態は、図1a〜図1cに概略的に示す工程を有し、第1の量のシーラントを得る工程と、第1の量のシーラントの少なくとも一部分を硬化させる工程と、少なくとも一部分が硬化した第1の量のシーラントを第2の量のシーラントと接触させる工程と、第2の量のシーラントの少なくとも一部分を未硬化に維持する工程とを有する。シーラントを基材に付ける方法の限定しない実施形態は、予備形成された第2の量のシーラントを、その硬化を遅延させるのに十分な温度で得る工程と、第2の量のシーラントを、その少なくとも一部分を硬化させるのに十分な温度に晒す工程と、シーラントと基材を接触させる工程とを有する。かかる温度は、シーラントを熱的に調整して、温度を徐々に上昇させる工程、即ち、シーラントが周囲温度(20℃)に達することを可能にする工程を含む。シーラントを付ける方法について、他の限定しない実施形態は、予備形成された第2の量のシーラントを、その酸化を遅延させるのに十分な条件で得る工程と、第2の量のシーラントの少なくとも一部分が硬化状態になるように第2の量のシーラントを酸化させるのに十分、第2の量のシーラントをエアに晒す工程とを有する。
【0030】
シーラントを利用する、凸形、弧形又は平らな面等多くの基材の例がある。凸形基材の限定しない実施形態は、ファスナーである。図2及び図3は、予備形成された第1の量のシーラント及び第2の量のシーラントを使用してシールされたファスナーの2つの例を示す。プレート28は、ファスナー24(図2では、リベット、図3では、ナット及びボルト)によって締付ける。第1の量のシーラントを有する凹形シェルをファスナー24の周りに押付けてねじり、ファスナーを完全に包囲する。異なる寸法及び形状を有する第1の量のシーラント20の凹形シェルを用いて、ファスナー24の両方の側面をシールする。ファスナー24を、第2の量のシーラント22によってコーティングする。ファスナー24は、第2の量のシーラントの一部分26を追い出す。この余分な部分26により、第1の量のシーラント20とプレート28との間の強固なシールを確保する。余分な部分は、図2に示すように、全部残されていても良いし、図3に示すように、第1の量のシーラント20とプレート28との間に滑らかな移行部30を作るように滑らかにされていても良い。
【0031】
明細書及びここに開示した発明の実施形態を考慮すれば、本発明の他の実施形態は、当業者に明らかであろう。明細書及び実施例は、例示としてのみ考慮すべきであり、本発明の心の範囲及び精神は、特許請求の範囲によって定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】雄の金型及び雌の金型を使用してシーラントを製造する工程の限定しない実施形態を示す図である。
【図1b】雄の金型及び雌の金型を使用して第1の量のシーラントをシェルの中に成形する工程の限定しない実施形態を示す図である。
【図1c】第2の量のシーラントをシェルの中に配置する工程の限定しない実施形態を示す図である。
【図2】1つの種類の基材、特に、リベットファスナーに対応するシェルの実施形態の適用例を示す図である。
【図3】他の種類の基材、特に、ナット及びボルトファスナーに対応するシェルの適用例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−275170(P2008−275170A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153611(P2008−153611)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【分割の表示】特願2003−532849(P2003−532849)の分割
【原出願日】平成14年9月26日(2002.9.26)
【出願人】(502328466)ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド (29)
【Fターム(参考)】