説明

事故点探査装置及び事故点探査方法

【課題】パルス電流が小さい場合でも事故点を精度良く探査することができる事故点探査装置及び事故点探査方法を提供する。
【解決手段】事故点探査区間Hを徐々に狭くして事故点を探査する事故点探査装置である。事故点探査区間Hの配電線52に周期性電圧を印加して探査電流を課電する電圧印加手段54と、配電線52に流れる探査電流を測定して、探査電流を測定する探査電流測定手段55とを備える。電圧印加手段54に、周期性電圧の印加タイミングを探査電流測定手段に伝送する伝送部56を設けるとともに、探査電流測定手段55に、探査電流を測定する電流測定部57と、伝送部56により伝送された周期性電圧の印加タイミングを受信する受信部58と、受信部58により受信した周期性電圧の印加タイミングと同期して、電流測定部57により測定した探査電流を抽出する同期抽出部59とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線の事故点を探査する事故点探査装置及び事故点探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線に絶縁不良が発生すると、地絡事故を引き起こす。広範囲に及ぶ配電線から事故箇所を特定する方法としては、図8に示すような装置がある。すなわち、パルス電圧を印加するパルス課電装置101が、接続線103にて配電線102へ接続され、大地へは接地線104にて接続される。これにより、事故点105を介して配電線103と大地との間に流れる探査電流(事故点電流)を、位置S1やS2において電流センサ106で検出する。事故点を有する位置S1には探査電流が流れる一方、事故点を有さない位置S2には探査電流がほとんど流れないため、電流センサ106で検出される電流値の大きさなどで事故点105を探査できる。
【0003】
このとき、回路には探査電流以外の外来雑音が発生しており、電流センサ106が、この外来雑音を検出する。この外来雑音を除去するものとして、特許文献1のような方法が提案されている。特許文献1に記載のものは、探査電流から1符合長時間幅だけ遅延させた遅延後探査電流を出力して、探査電流から遅延後探査電流を減算して、探査電流の有無を検出することにより、外来雑音を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−92434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたものでは、電流センサ側でパルス符号を復調するには、パルス電圧の連続印加が必要であり、線路の絶縁を劣化させるおそれがある。
【0006】
また、パルス電圧が印加された配電線区間の亘長が長い場合や、ケーブルや機器が存在する場合には、対地静電容量によりパルス電流が減衰する。電流センサ106は、図9に示すように常に外来雑音(図9において白色で示す)を検出している。このとき、事故点電流(図9において黒色で示す)が大きい場合は、事故点電流は外乱雑音の大きさよりも大きいため、外来雑音と区別でき、事故点電流を検出することができる。しかしながら、パルス電流の減衰により、事故点電流が小さい場合は、事故点電流は外乱雑音の大きさよりも小さいか、または同程度となるため、外来雑音と区別することができず、事故点電流を検出することができない。この場合、感度の高い電流センサを使用しても、事故点電流の検出は難しいものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて、探査電流が小さい場合でも事故点を精度良く探査することができる事故点探査装置及び事故点探査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の事故点探査装置は、電力供給源から切り離された事故点探査区間に周期性電圧を印加することにより、探査電流を課電して、探査電流が検出された区間と、探査電流が検出されない区間とに分離し、これを繰り返して事故点探査区間を徐々に狭くして事故点を探査する事故点探査装置であって、前記事故点探査区間の配電線に周期性電圧を印加して探査電流を課電する電圧印加手段と、前記事故点探査区間の配電線に流れる探査電流を測定して、事故点探査区間における探査電流を測定する探査電流測定手段とを備え、前記電圧印加手段に、周期性電圧の印加タイミングを前記探査電流測定手段に伝送する伝送部を設けるとともに、前記探査電流測定手段に、探査電流を測定する電流測定部と、前記伝送部により伝送された周期性電圧の印加タイミングを受信する受信部と、この受信部により受信した周期性電圧の印加タイミングと同期して、前記電流測定部により測定した探査電流を抽出する同期抽出部とを設けたものである。
【0009】
本発明の事故点探査装置では、事故点探査区間を複数の小区間に分割して、全小区間の配電線に夫々周期性電圧を印加することにより探査電流を課電する。この場合、事故点を含む小区間では、探査電流が流れる一方、事故点を含まない小区間には探査電流がほとんど流れない。このため、事故点を含む小区間が特定できる。さらに、この小区間を次に探査すべき事故点探査区間として、この事故点探査区間を小区間に分割して同様の探査を行うと、次第に事故点探査区間を狭くすることができ、最終的には事故点の位置を特定できる。このようにして事故点の位置を特定する場合に、周期性電圧の印加タイミングを探査電流測定手段に伝送して、この印加タイミングに同期して探査電流を測定することで、探査電流が流れるタイミングでのみ探査電流を測定することができる。これにより、パルス電圧を印加していないときに検知される外来雑音の影響を除外することができる。
【0010】
前記構成において、前記同期抽出部により抽出された探査電流の同期加算処理を行って、探査電流を検出する同期加算部を備えることができる。これにより、従来の探査電流測定手段では検出が難しい低レベルでも、周期性電流を検出して事故点を探査することができ、事故点の探査精度を向上させることができる。
【0011】
前記構成において、前記事故点探査区間に、赤外線、音、電磁波、のいずれかの媒体の発生状態を検出する媒体検出手段を備えることができる。電流による探査は、1回の測定で方向判定できる特徴から、いずれの小区間に事故点があるか即座に判別できる。このため、探査の初期段階、すなわち小区間が広い範囲であれば、最短時間で事故点近くにまで辿り着けるため、探査の初期段階では非常に有効である。しかしながら、探査の最終段階、すなわち、小区間が狭い範囲であれば、事故点探査区間が一見して見渡せるような範囲において、事故点探査区間を小区間に分割して探査を繰り返すと時間を要する。この場合、赤外線、音、電磁波は、画像等により事故点を見つけることができるため、事故点探査区間を小区間に分割して探査する必要がない。従って、最終段階に近づくと、探査電流の探査よりも迅速な探査が可能となる。しかも、赤外線、音、電磁波のいずれかを探査する場合は、配電線から離れた位置でも事故点を探査することができるため、地上からでも効率的に事故点を探査することができる。
【0012】
本発明の事故点探査方法は、電力供給源から切り離された事故点探査区間に周期性電圧を印加することにより、探査電流を課電して、探査電流が検出された区間と、探査電流が検出されない区間とに分離し、これを繰り返して事故点探査区間を徐々に狭くして事故点を探査する事故点探査方法であって、周期性電圧の印加タイミングに、探査電流の測定タイミングを同期させるものである。
【0013】
本発明の事故点探査方法では、周期性電圧の印加タイミングを探査電流測定手段に伝送して、この印加タイミングに同期して探査電流を測定することで、探査電流が流れるタイミングでのみ探査電流を測定することができる。これにより、パルス電圧を印加していないときに検知される外来雑音の影響を除外することができる。
【0014】
前記構成において、測定された探査電流の測定結果の同期加算処理を行うことができる。
【0015】
また、探査電流を測定することにより事故点探査区間を狭くした後、この狭くなった事故点探査区間に、赤外線、音、電磁波、のいずれかの媒体の発生状態を検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の事故点探査装置及び事故点探査方法によれば、パルス電流が小さい場合でも事故点を精度良く探査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態の事故点探査装置のブロック図及び回路図である。
【図2】前記図1の事故点探査装置を構成する探査電流測定手段のブロック図である。
【図3】前記図1の事故点探査装置の電圧印加手段の印加タイミング及び探査電流測定手段により探査電流を測定するタイミングを示すタイムチャート図である。
【図4】本発明の第1実施形態の事故点探査方法を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2実施形態の事故点探査装置のブロック図及び回路図である。
【図6】前記図5の事故点探査装置を構成する媒体検出手段のブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態の事故点探査方法を示すフローチャート図である。
【図8】従来の事故点探査装置のブロック図及び回路図である。
【図9】従来の事故点探査装置の電圧印加手段の印加タイミング及び探査電流測定手段により探査電流を測定するタイミングを示すタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の事故点探査装置の第1実施形態を示す回路及びブロック図である。図1では、開閉器50、51が開状態となっていることにより、高圧架空配電線52(以下、配電線という)における事故点53の探査区間への電力の供給を停止して、探査区間を他の区間から切り離している。なお、配電線52は、例えば電柱1、電柱2、電柱3、・・・電柱40により支持されており、隣接する電柱の間隔は、30m〜40mである。本実施形態では、事故点53は電柱39、40間に存在するものとする。
【0020】
本発明の事故点探査装置は、図1に示すように、配電線52に周期性電圧(パルス電圧)を印加して探査電流を課電する課電装置としての電圧印加手段54と、配電線52に流れる探査電流を測定する電流センサとしての探査電流測定手段55とを備えている。
【0021】
電圧印加手段54は、矩形波からなるパルス状の周期性電圧(図3(a)参照)を配電線52に出力する。電圧印加手段54は、初期段階において、事故点探査区間H1の略中間部、すなわち、配電線52の、電線20と電線21との間に接続されている。これにより、事故点探査区間H1は、電柱1から電柱20までの小区間A1と、電柱21から電柱40までの小区間B1との2つの小区間に分割される。
【0022】
電圧印加手段54には、図1に示すように、伝送部56が設けられている。伝送部56は、後述する探査電流測定手段55の受信部58に、周期性電圧の印加タイミングを無線により伝送する送信機である。
【0023】
探査電流測定手段55は、小区間A1及び小区間B1に流れる探査電流を測定するものである。探査電流測定手段55は、図2に示すように、電流測定部57と、受信部58と、同期抽出部59と、同期加算部60とから構成されている。電流測定部57は、配電線52に流れる探査電流値を測定する。受信部58は、伝送部56から伝送された、電圧印加手段54による周期性電圧の印加タイミングを無線により受信する受信機である。同期抽出部59は、受信部59により受信したパルス電圧の印加タイミングと同期して、電流測定部57により測定した探査電流を抽出する(ON−OFF制御を行う)ものである(図3(c)参照)。すなわち、図3(c)に示すように、パルス電圧の印加時には、同期抽出部59はONの状態となり、パルス電圧を印加していない時には同期抽出部59はOFFの状態となる。同期加算部60は、電流測定部57による測定結果について同期加算処理を行って、外来雑音の影響を低減するためのものである。
【0024】
次に、第1実施形態の事故点探査装置を用いて事故点を探査する方法について、図3〜図5を用いて説明する。配電線52の事故点53において地絡による事故が発生した場合、開閉器51、52を開状態として、この区間への電力の供給を停止する。このとき、開閉器51、52の間には電線1〜40が介在しており、図1に示すように、この区間が最初に探査すべき事故点探査区間H1となる。次に、事故点探査区間H1の略中間部、すなわち電線20と電線21との間の配電線52に電圧印加手段54を接続して、電柱1から電柱20までの小区間A1と、電柱21から電柱40までの小区間B1との2つの小区間に分割する。そして、この電圧印加手段54から配電線52に、図3(a)に示すような矩形波からなるパルス電圧を印加する(ステップS1)。
【0025】
電圧印加手段54によるパルス電圧の印加により、電圧印加手段54、電線21〜40側の配電線52、事故点53、電圧印加手段54に探査電流(事故点電流)が流れる閉回路が構成される。探査電流測定手段55により、一方の小区間(小区間B1)において配電線52に流れる探査電流を探査する。事故点探査区間H1が広範囲であると、事故点電流(図3において黒色で示す)が減衰し、探査電流測定手段55の出力は、図3(b)に示すような出力結果となる。このように、事故点電流が外乱雑音(図3において白色で示す)の大きさよりも小さいか、または同程度となるため、外来雑音と区別することができず、事故点電流を検出することができない。
【0026】
本発明では、探査電流測定手段55の受信部58が、電圧印加手段54の伝送部56により伝送されたパルス電圧の印加タイミングを受信する。そして、図3(c)に示すように、同期抽出部59のON−OFF制御により、周期性電圧の印加タイミングと同期して、電流測定部57により測定した探査電流を抽出する(ステップS2)。すなわち、パルス電圧の印加時では、同期抽出部59をONとし、パルス電圧の印加時ではないときには、同期抽出部59をOFFとする。これを繰り返し行うことにより、同期抽出部59は、図3(d)に示すように、電流測定部57にて測定した探査電流のうち、パルス電圧を印加していないタイミングを除いたものが得られる。
【0027】
このようにして、電圧印加手段54による印加時以外の不要な測定結果(外来雑音のみ)を除去することができ、印加時のみの測定結果のみが抽出できる。この測定結果を同期加算部60により処理すると、図3(e)に示すように、外来雑音の影響を低減して事故点電流を確実に検出できる(ステップS3)。
【0028】
一方、他方の小区間(小区間A1)についても、小区間B1と同様の処理を行う(ステップS4、ステップS5)。この場合、小区間A1には事故点53が存在しないため、探査電流はほとんど流れない。すなわち、小区間A1においては、探査電流測定手段55は図3(d)に示すような事故点電流が検出されない。
【0029】
このように、小区間A1において探査電流測定手段55にて得られた測定結果と、小区間B1において探査電流測定手段55にて得られた測定結果とを比較する(ステップS6)。この場合、小区間B1に探査電流が確認され、小区間A1に探査電流が確認されないため、小区間B1に事故点53が存在し、小区間A1には事故点53が存在しないことがわかる。
【0030】
次に、小区間B1を、次に探査すべき事故点探査区間H2とする(ステップS7)。すなわち、小区間A1を探査区間から除外する。この場合、事故点探査区間H2が広範囲である等で、事故点が特定できない場合(ステップS8)は、事故点探査区間H2において、前記した方法と同様の方法で探査区間を狭くしていく。
【0031】
すなわち、図5に示すように、事故点探査区間H2には電線21〜40が介在している。次に、事故点探査区間H2の略中間部、すなわち電線30と電線31との間に電圧印加手段54を接続する。これにより、事故点探査区間H2は、電柱21から電柱30までの小区間A2と、電柱31から電柱40までの小区間B2との2つの小区間に分割される。そして、この電圧印加手段54から配電線52に、図3(a)に示すような矩形波からなるパルス電圧を出力し、事故点探査区間H2に印加する。そして、前記した方法と同様の方法で、小区間A2において探査電流測定手段55にて得られた測定結果と、小区間B2において探査電流測定手段55にて得られた測定結果とを比較する。この場合、小区間B2に探査電流が確認され、小区間A2に探査電流が確認されないため、小区間B2に事故点53が存在し、小区間A2には事故点53が存在しないことがわかる。
【0032】
このように、事故点探査区間Hを半分の範囲に狭くし、さらにその半分の範囲に狭くし、これを繰り返し行うと、探査区間が徐々に絞られて、次第に事故点の位置に近づいていく。このようにして、最終的には事故点の位置を特定する(ステップS8)ことができる。
【0033】
本発明の事故点探査装置及び事故点探査方法によれば、事故点探査区間が広い場合等、対地静電容量によりパルス電流が減衰しても、事故点を精度良く探査することができる。
【0034】
次に、本発明の事故点探査装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の事故点探査装置は、配電線52に周期性電圧(パルス電圧)を印加して探査電流を課電する電圧印加手段54と、配電線52に流れる探査電流を測定して、探査電流を測定する探査電流測定手段55と、事故点探査区間に、赤外線の流通状態を検出する媒体検出手段70(図6参照)とを備えている。
【0035】
電圧印加手段54及び探査電流測定手段55は、前記第1実施形態の事故点探査装置と同様のものを用いている。媒体検出手段70は、温度上昇の発生場所(事故点)を特定するものであり、図6に示すように、媒体検出部71と、受信部72と、同期抽出部73と、同期加算部74とから構成されている。
【0036】
媒体検出部71は公知公用の音響センサにて構成され、事故点探査区間に発生する音源位置を捉えるものである。音響センサの出力により、音源位置が事故点であると特定できる。受信部72は、伝送部56から伝送された、電圧印加手段54によるパルス電圧の印加タイミングを無線により受信する受信機である。同期抽出部73は、受信部59により受信したパルス電圧の印加タイミングと同期して、媒体検出部71により測定した音を抽出する(ON−OFF制御を行う)ものである。同期加算部74は、媒体検出部71による測定結果について同期加算処理を行って、外来雑音の影響を低減するためのものである。
【0037】
次に、第2実施形態の事故点探査装置を用いて事故点を探査する方法について図7を用いて説明する。まず、前記第1実施形態の事故点探査装置を用いて事故点を探査する方法と同様に、事故点探査区間Hを狭くする(ステップS11〜ステップS17)。この場合、事故点探査区間H内に介在する電柱が数本(例えば2本)となるまで、事故点探査区間Hを狭くする(ステップS18)。
【0038】
事故点探査区間Hを十分に狭くすると、探査電流測定手段55による探査に変えて、媒体検出手段70による探査を行う(ステップS19)。この探査電流測定手段55から媒体検出手段70に変更するタイミングとしては、例えば、音響センサを事故点探査区間Hの略中間位置に設置した場合、音響センサが事故点探査区間Hの全ての範囲を検知できる程度に、事故点探査区間Hが狭くなったときとする。
【0039】
媒体検出手段70により事故点を特定する方法は、まず、電圧印加手段54から配電線52に、図3(a)に示すような矩形波からなるパルス電圧を印加すると、事故点探査区間Hには探査電流が流れる。その後、媒体検出部71により、事故点探査区間において発生する音の発生場所を検出する。このとき、電圧印加手段54の伝送部56により伝送されたパルス電圧の印加タイミングを、媒体検出手段70の受信部72により受信する。そして、図3(c)に示すように、同期抽出部73のON−OFF制御により、周期性電圧の印加タイミングと同期して、媒体検出部71により測定した音を抽出する。すなわち、パルス電圧の印加時では、同期抽出部73をONとし、パルス電圧の印加時ではないときには、同期抽出部73をOFFとする。これを繰り返し行うことにより、媒体検出手段70は図3(d)のような同期測定結果が得られる。
【0040】
これにより、電圧印加手段54による印加時以外は、不要な測定結果(外来雑音のみ)を除去することができ、印加時のみの測定結果のみが抽出できる。そして、事故点では音が発生するため、音の発生場所を事故点と特定することができる。
【0041】
このように、第2実施形態の事故点探査装置でも、前記第1実施形態の事故点探査装置と同様の作用効果を奏する。特に、探査電流により初期段階よりも事故点探査区間を狭くした後、この狭くなった事故点探査区間に、音の発生位置を特定する。このため、事故点探査区間が一目で見渡せるような範囲にまで狭くした状態で媒体検出手段70を用いて探査すると、事故点探査区間を分割する必要がなく、探査電流測定手段55による探査よりも効果的に事故点を見つけることができ、迅速な探査が可能となる。しかも、媒体を音とすると、配電線52から離れた位置でも事故点を探査することができるため、地上からでも効率的に事故点を探査することができる。
【0042】
第2実施形態の事故点探査装置において、事故点探査区間に発生する赤外線、電磁波のいずれかを測定してもよい。例えば、媒体測定部71を赤外線カメラとして、パルス電流が流れることにより、事故点の温度上昇により発生する赤外線を測定することにより事故点を特定してもよい。また、媒体測定部71を電磁波パルス検出器として、パルス電流が流れることにより事故点に放電による電磁波パルスを検出することにより事故点を特定したりしてもよい。
【0043】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、電柱の数や隣り合う電柱の間隔が任意である。また、電圧印加手段54によるパルス電圧の印加と探査電流測定手段55による測定は、GPSを用いて同期させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
52 配電線
53 事故点
54 電圧印加手段
55 探査電流測定手段
56 伝送部
57 電流測定部
58、72 受信部
59、73 同期抽出部
60、74 同期加算部
70 媒体検出手段
71 媒体検出部
A、B 小区間
H 事故点探査区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源から切り離された事故点探査区間に周期性電圧を印加することにより、探査電流を課電して、探査電流が検出された区間と、探査電流が検出されない区間とに分離し、これを繰り返して事故点探査区間を徐々に狭くして事故点を探査する事故点探査装置であって、
前記事故点探査区間の配電線に周期性電圧を印加して探査電流を課電する電圧印加手段と、
前記事故点探査区間の配電線に流れる探査電流を測定して、事故点探査区間における探査電流を測定する探査電流測定手段とを備え、
前記電圧印加手段に、周期性電圧の印加タイミングを前記探査電流測定手段に伝送する伝送部を設けるとともに、
前記探査電流測定手段に、探査電流を測定する電流測定部と、前記伝送部により伝送された周期性電圧の印加タイミングを受信する受信部と、この受信部により受信した周期性電圧の印加タイミングと同期して、前記電流測定部により測定した探査電流を抽出する同期抽出部とを設けたことを特徴とする事故点探査装置。
【請求項2】
前記同期抽出部により抽出された探査電流の同期加算処理を行って、探査電流を検出する同期加算部を備えたことを特徴とする請求項1の事故点探査装置。
【請求項3】
前記事故点探査区間に、赤外線、音、電磁波、のいずれかの媒体の発生状態を検出する媒体検出手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2の事故点探査装置。
【請求項4】
電力供給源から切り離された事故点探査区間に周期性電圧を印加することにより、探査電流を課電して、探査電流が検出された区間と、探査電流が検出されない区間とに分離し、これを繰り返して事故点探査区間を徐々に狭くして事故点を探査する事故点探査方法であって、
周期性電圧の印加タイミングに、探査電流の測定タイミングを同期させることを特徴とする事故点探査方法。
【請求項5】
測定された探査電流の測定結果の同期加算処理を行うことを特徴とする請求項4の事故点探査方法。
【請求項6】
探査電流を測定することにより事故点探査区間を狭くした後、この狭くなった事故点探査区間に、赤外線、音、電磁波、のいずれかの媒体の発生状態を検出することを特徴とする請求項5又は請求項6の事故点探査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−36899(P2013−36899A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174125(P2011−174125)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】