説明

事故点探査装置

【課題】 高圧カットアウトの一次側及び二次側の電力系統を構成する電力線に対してCTセンサを掛け替えるといった煩雑な作用を必要としない上に、一次側及び二次側の電力系統の事故点を確実且つ適正に把握することのできる事故点探査装置を提供する。
【解決手段】 高圧カットアウトの第一接続端子及び第二接続端子に接続可能な一対の接続部が設けられた接続手段と、アース接地された直流電源と、直流電源と接続手段の接続部とを電気的に接続する配線系と、一次側電力系統及び二次側電力系統を流れる電流を検知するためのCTセンサと、CTセンサの検知結果を告知する告知手段とを備え、接続手段は、一対の接続部のそれぞれが互いに電気的に断絶され、配線系は、直流電源から給電可能な独立した給電系統を接続部毎に形成し、CTセンサは、給電系統に対応して設けられ、告知手段は、直流電源側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の事故点(地絡事故の発生している箇所)を探査するための事故点探査装置に関し、特には、電柱に設置された高圧カットアウトに接続された一次側電力系統及び二次側電力系統の事故点を探査するための事故点探査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地絡事故の事故点を探査するための事故点探査装置として、一次側電力系統に接続された第一接続端子と二次側電力系統に接続された第二接続端子とがヒューズを介して接続可能に構成された高圧カットアウトの第一接続端子及び第二接続端子に電気的に接続可能な一対の接続部が設けられた接続手段と、アース接地された直流電源と、該直流電源と接続手段の接続部とを電気的に接続する配線系と、一次側電力系統及び二次側電力系統を流れる電流を検知するためのCTセンサと、CTセンサの検知結果を告知する告知手段とを備えたものがある。
【0003】
前記接続手段は、一対の接続部が合流するように形成されるとともに、該合流部分に直流電源に接続された一本のケーブルが接続されている。これにより、該接続手段は、一本のケーブルを介して直流電源から供給される電気が各接続部に供給されるようになっている。そして、CTセンサは、一次側電力系統及び二次側電力系統を構成する電力線に掛止できるようにフック状に形成されており、当該CTセンサを掛止させた電力線を通る電流(当該CTセンサを通過する貫通電流)の誘導電流を検知するように構成されている。そして、告知手段は、一般的にランプやブザー等が採用されており、前記CTセンサに実装されている。該告知手段は、CTセンサの検知結果に基づいて一次側電力系統又は二次側電力系統での事故点の有無を告知するように構成されている。
【0004】
かかる事故点探査装置は、接続手段を高圧カットアウト(接続端子)に接続するとともに探査対象となる一次側電力系統又は二次側電力系統の電力線にCTセンサを掛止させた状態で、直流電源から高電圧を印加し、一次側電力系統又は二次側電力系統の何れかに地絡事故の事故原因があるときに流れる電流をCTセンサで検知し、その検知結果を基にして一次側電力系統又は二次側電力系統に事故点があるか否かを告知手段で告知するようになっている。すなわち、上記構成の事故点探査装置は、一次側電力系統及び二次側電力系統の電力線にCTセンサを順次掛け替えるようになっており、探査対象となる電力線にCTセンサを掛止した状態で電圧を印加し、CTセンサが一次側電力系統又は二次側電力系統の電力線を流れる電流(誘導電流)を検知したときに、告知手段が探査対象となる電力系統(CTセンサを掛止させた電力線又は該電力線を一構成とする電力系統)で地落事故が発生している旨を告知するようなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記事故点探査装置は、上述の如く、一次側電力系統及び二次側電力系統の電力線にCTセンサを順次掛け替えて各電力系統での地絡事故の有無を探査するようにしているが、安全確保のため、作業者はCTセンサを電力線に掛止した場所から一旦地上に降りた上で接続手段に電圧を印加しなければならず、CTセンサを探査対象となる電力線に掛け替える作業が非常に煩雑である。
【0006】
また、上述の如く、接続手段に電圧を印加する際(告知手段の告知状態を確認する際)に、地上に降りると、遠く離れた地上から高所にある告知手段の告知状態を把握しなければならず、告知手段の告知を適確に認識しにくいといった問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、高圧カットアウトに接続される一次側電力系統を構成する電力線及び二次側電力系統を構成する電力線に対してCTセンサを掛け替えるといった煩雑な作業を必要としない上に、一次側電力系統及び二次側電力系統の事故点を適確に把握することのできる事故点探査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る事故点探査装置は、一次側電力系統に接続された第一接続端子と二次側電力系統に接続された第二接続端子とがヒューズを介して接続可能に構成された高圧カットアウトの第一接続端子及び第二接続端子に電気的に接続可能な一対の接続部が設けられた接続手段と、アース接地された直流電源と、該直流電源と接続手段の接続部とを電気的に接続する配線系と、一次側電力系統及び二次側電力系統を流れる電流を検知するためのCTセンサと、CTセンサの検知結果を告知する告知手段とを備えた事故点探査装置であって、前記接続手段は、一対の接続部のそれぞれが互いに電気的に断絶され、前記配線系は、直流電源から給電可能な独立した給電系統を接続部毎に形成するとともに、前記CTセンサは、前記給電系統に対応して設けられ、前記告知手段は、直流電源側に配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記事故点探査装置によれば、一対の接続部を高圧カットアウトの第一接続端子及び第二接続端子に接続した状態で、直流電源から配電系を介して各接続部に給電すると、第一接続端子に接続された一次側電力系統、及び第二接続端子に接続された二次側電力系統に電圧がかかる。そして、一次側電力系統又は二次側電力系統の何れかの箇所で地絡事故が発生していると、その事故点から地絡し、その地絡事故の発生している一次側電力系統又は二次側電力系統に繋がる配線系の独立した給電系統の電流が高くなり、給電系統に対応して設けられたCTセンサがその電流(貫通電流)を検知することになる。
【0010】
そうすると、CTセンサの検知結果が、直流電源側(すなわち、地上側)に配置された告知手段によって告知される。これにより、作業者は、直流電源側にある告知手段の告知を基に、一次側電力系統及び二次側電力系統の少なくとも何れか一方に事故点(地絡箇所)が存在することを把握することができる。
【0011】
本発明の一態様として、前記配線系は、一端側が接続手段の各接続部に電気的に接続される一方で他端側が電気的に互いに合流した二本一組の第一電線と、第一電線の他端側と直流電源とを接続する単一な第二電線とで構成され、前記CTセンサが第一電線毎に設けられてもよい。このようにすれば、単一な第二電線のみを直流電源に接続するだけで、二本一組の第一電線のそれぞれに給電できる状態になる。これにより、高圧カットアウト(高所)側の作業だけでなく直流電源(地上)側の接続作業も容易に行うことができる。
【0012】
そして、前記接続手段を複数備え、前記配線系は、二本一組の第一電線を複数組備えるとともに、各組の第一電線の他端側が合流して単一な第二電線に電気的に接続され又は接続可能に構成され、前記CTセンサが第一電線毎に設けられてもよい。通常、高圧カットアウトは、一本の電柱に対して同一作業領域内に複数設けられているので、複数の接続手段を設ければ、一度の昇降によって複数の高圧カットアウトのそれぞれに接続手段を接続することができる。また、各接続手段の接続部に対して第一電線のそれぞれが接続されて独立した給電系統が複数系統形成されるので、直流電源から高電圧を印加することで、複数系統の一次側電力系統及び二次側電力系統での事故点の有無を告知手段の告知で把握することができる。
【0013】
そして、前記配線系を巻き取る巻取ドラムと、該巻取ドラムが回転可能に取り付けられるフレームとを有するケーブルドラムを更に備え、該ケーブルドラムに告知手段が設けられてもよい。このようにすれば、長尺な配線系をコンパクトに収容することができ、持ち運びに便利である。その上、ケーブルドラムを適宜配置することで、告知手段を告知内容の把握し易い場所に配置することができる。
【0014】
この場合、前記第一電線の他端側が前記巻取ドラム内に挿入されるとともに、各第一電線に対応するCTセンサが巻取ドラムに内装され、前記告知手段が巻取ドラムに直接的又は間接的に外装されていることが好ましい。このようにすれば、第一電線に対応したCTセンサが該第一電線の巻き取りや引き出しを阻害することがない。また、第一電線の巻き取りや引き出しで巻取ドラムが回転しても告知手段とCTセンサとの電気的な接続関係を維持することができ、断線等のトラブル発生を防止することができる。
【0015】
そして、前記告知手段は、CTセンサ毎に複数設けられれば、告知手段による告知の誤認(事故の発生している電力系統の誤認)を防止して適正な判断を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る事故点探査装置によれば、高圧カットアウトに接続される一次側電力系統を構成する電力線及び二次側電力系統を構成する電力線に対してCTセンサを掛け替えるといった煩雑な作業を必要としない上に、一次側電力系統及び二次側電力系統の事故点を適確に把握することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る事故点探査装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る事故点探査装置は、図1及び図2に示す如く、一次側電力系統Aに接続される第一接続端子70a,80aと二次側電力系統Bに接続された第二接続端子70b,80bとがヒューズを介して接続可能に構成された高圧カットアウト7…,8…の第一接続端子70a,80a及び第二接続端子70b,80bに電気的に接続可能な一対の接続部100a,100b,200a,200bを有した接続手段1…,2…と、アース接地された直流電源3と、接続手段1…,2…の各接続部100a,100b,200a,200bと直流電源3とを電気的に接続する配線系4と、一次側電力系統A及び二次側電力系統Bを流れる電流を検知するCTセンサ5…(図7(b)参照)と、CTセンサ5…の検知結果を告知する告知手段6…とを備えている。また、本実施形態に係る事故点探査装置は、前記配線系4を巻き取るケーブルドラム9を備えている。
【0019】
前記高圧カットアウト7…,8…には、大きく二つのタイプのものがあり、図3に示す如く、一次側電力系統Aの接続された第一接続端子70a及び二次側電力系統Bの接続された第二接続端子70bを収容し、一面が開口状態にされたボックス本体71と、該ボックス本体71に対して傾動可能に取り付けられ、該ボックス本体71の開口を開閉する蓋体72とを備えた箱形タイプの高圧カットアウト(以下、箱形高圧カットアウトという)7…や、図4に示す如く、一次側電力系統Aの接続された第一接続端子80a及び二次側電力系統Bの接続された第二接続端子80bを収容し、一端が開口した筒状本体81と、該筒状本体81の一端開口部に着脱自在に構成された蓋体82とを備えた筒形タイプの高圧カットアウト(以下、筒形高圧カットアウトという)8…などがある。なお、以下の説明において、箱形高圧カットアウト7…及び筒形高圧カットアウト8…を総称して単に高圧カットアウト7…,8…ということする。
【0020】
上記構成の高圧カットアウト7…,8…は、図3及び図4に示す如く、何れのタイプも、第一接続端子70a,80aと第二接続端子70b,80bとがヒューズ75,85を介して電気的に接続されるように構成されている。そして、高圧カットアウト7…,8…は、一本の電柱に対して複数(少なくとも二つ)取り付けられるのが通常であり、それぞれの第一接続端子70a,80aに一次側電力系統Aを構成する電力線が接続されるとともに第二接続端子70b,80bに二次側電力系統Bを構成する電力線が接続され、各高圧カットアウト7…,8…毎に独立した系統を形成している。すなわち、単相の電気を供給する場合には、高圧カットアウト7…,8…が二つ一組で設けられ、高圧カットアウト7…,8…毎に独立した系統が形成され、三相の電気を供給する場合には、高圧カットアウト7…,8…が三つ一組で設けられ、高圧カットアウト7…,8…毎に独立した系統が形成されている。
【0021】
前記箱形高圧カットアウト7…用のヒューズ75は、図3に示す如く、棒状をなすヒューズ本体76と、該ヒューズ本体76の軸線方向に間隔をあけて配設され、該軸線方向に沿って外方に延出した片状をなす一対の電極77a,77bとを備えている。これに対応して、箱形高圧カットアウト7…の第一接続端子70a及び第二接続端子70bは、少なくとも先端部同士が接近するように設けられた一対の挟持片(採番しない)を備えており、該一対の挟持片でヒューズ75の電極77a,77bを挟み込むことで、ヒューズ75を通電可能に保持できるようになっている。
【0022】
これに対し、筒形高圧カットアウト8…用のヒューズ85は、図4に示す如く、外観棒状をなすヒューズ本体86と、該ヒューズ本体86の軸線方向に間隔をあけて配設された一対の電極87a,87bとを備え、前記一対の電極87a,87bの何れもがヒューズ本体86の外周に設けられている。これに対応して、筒形高圧カットアウト8…の第一接続端子80a及び第二接続端子80bは、略筒状に形成されており、ヒューズ85を挿入したときに各電極87a,87bが内嵌された状態になり、ヒューズ85を通電可能に保持できるようになっている。
【0023】
このように高圧カットアウト7…,8…にタイプの異なるものが存在するため、前記接続手段1…,2…は、高圧カットアウト7…,8…のタイプに対応したものが採用される。
【0024】
まず、箱形高圧カットアウト7…用の接続手段1…について説明すると、図5(a)及び図5(b)に示す如く、第一接続端子70a及び第二接続端子70bに接続される一対の接続部100a,100bが設けられた先端部10と、該先端部10に連設された中間絶縁部11と、該中間絶縁部11に連設され、絶縁操作棒(図示しなし)が連結される連結部12とを備えている。
【0025】
前記先端部10は、前記一対の接続部100a,100bと、絶縁性材料で構成された先端本体部101と、各接続部100a,100bに接続されるとともに先端本体部101部内に埋設された一対の導通体102a,102bとで構成されている。
【0026】
前記一対の接続部100a,100bは、箱形高圧カットアウト7の第一接続端子70a及び第二接続端子70bに接続可能、すなわち、ヒューズ75の電極77a,77bと同様の形態をなし、互いに電気的に断絶されている。具体的には、該一対の接続部100a,100bは、短冊状をなす導電性金属板(例えば、銅板)等で構成され、箱形高圧カットアウト7…内の第一接続端子70aと第二接続端子70bとの間隔に対応する間隔で配置され、互いに略平行をなして同方向に延出するように設けられている。
【0027】
そして、前記先端本体部101は、樹脂等の絶縁材料で成形されたもので、接続部100a,100bの延出方向と直交方向に延びる分岐部101aと、該分岐部101aに対して該中央部から略直交方向に延び、前記中間絶縁部11と連結される先端連結部101bとで構成されている。前記一対の導通体102a,102bのそれぞれは、一端側が接続部100a,100bの基端側に接続され、他端側が先端本体部101に埋設された第一導通部103a,103bと、先端本体部101内で第一導通部103a,103bの他端に接続され、先端連結部101bの先端から延出する第二導通部104a,104bとで構成されている。
【0028】
該導通体102a,102bは、接続部100a,100bと同様に、導電性金属板(例えば、銅板)等で構成されており、本実施形態においては、単一な(一枚の)金属板を打ち抜くことで何れか一方の接続部100a,100bと一体的に形成されている。従って、一方の接続部100a及び導通体102aが一体的に構成された導通材105aと、他方の接続部100b及び導通体102bが一体的に構成された導通材105bとは、同形態に形成されており、これらの導通材105a,105bが鏡像状態になるように配設された上で、各第一導通部103a,103b及び第二導通部104a,104bを包み込むようにして先端本体部101を形成することで先端部10が形成されている。
【0029】
前記中間絶縁部11は、棒状に形成された絶縁本体部110と、該絶縁本体部110の一端部に連設された筒状絶縁部111とで構成されている。前記絶縁本体部110は、先端部10(先端連結部101b)から延出する第二導通部104a,104bが挿入される二つの穴(採番しない)が軸線に沿って貫通状態で形成されている。該絶縁本体部110は、他端側が前記先端部10(先端連結部101b)に接着されており、二つの穴に挿通された各第二導通部104a,104bが一端から延出するように形成されている。
【0030】
前記筒状絶縁部111は、絶縁本体部110と略同心をなすように設けられ、絶縁本体部110に形成された二つの穴が内部空間と連通するように設けられている。そして、該筒状絶縁部111の外周の一部には、直流電源3に接続された配線系4を内部に挿入するための窓部(開口)112が形成されている。そして、筒状絶縁部111内に延出した第二導通部104a,104bのそれぞれには、窓部112を介して内部に挿入された配線系4(後述する第一電線40a…)が電気的に接続されている。
【0031】
前記連結部12は、筒状を呈する連結部本体120と、該連結部本体120の一端開口を閉塞した閉塞部121とで構成されている。そして、該連結部12は、連結部本体120が中間絶縁部11と略同心となるように、前記閉塞部121が中間絶縁部11(筒状絶縁部111)に連結されている。前記連結部本体120は、絶縁操作棒の先端部を内嵌できるように形成されており、外周の一部に該絶縁操作棒の先端部外周に設けられた凸部を係合させるための溝122が鈎状に形成されている。
【0032】
次に、筒形高圧カットアウト8…用の接続手段2…について説明すると、該接続手段2…は、基本構成が箱形高圧カットアウト7…用の接続手段1…と同様であり、図6(a)及び図6(b)に示す如く、第一接続端子80a及び第二接続端子80bに接続される一対の接続部200a,200bが設けられた先端部20と、該先端部20に連設された中間絶縁部21と、該中間絶縁部21に連設され、絶縁操作棒(図示しない)が連結される連結部22とを備えている。
【0033】
該筒形高圧カットアウト8…用の接続手段2…は、内装されるヒューズ85の形態に対応するように、先端部20が棒状に形成され、該先端部20に対して中間絶縁部21及び連結部22が連設されている。具体的には、該先端部20は、軸線方向の先端に第一接続端子80aに接続される接続部200aが設けられる一方、軸線方向の基端部に第二接続端子80bに接続される接続部200bが設けられており、両接続部200a,200bは棒状を呈する絶縁材料からなる連結体202を介して連結されている。なお、本実施形態に係る先端部20は、基端側の接続部200bが先端側の接続部200aよりも大径に形成されており、先端部20全体として段付き棒状に形成されている。各接続部200a,200bは、接続の対象となる接続端子80a,80bの内径に対応する寸法、すなわち、リング状の接続端子80a,80bに内嵌した状態で、接続端子80a,80bに嵌着保持される寸法に形成されている。各接続部200a,200bには、導電性を有する金属板或いはケーブルからなる導通体201a,201bが接続されている。
【0034】
連結体202には、一方の接続部200aに接続された導通体201aを挿通する穴(採番しない)が一つ設けられている。前記中間絶縁部21は、棒状に形成された絶縁本体部210と、該絶縁本体部210の一端部に連設された筒状絶縁部211とで構成されている。前記絶縁本体部210は、先端部20の端部から延出する導通体201a,201bが挿入される二つの穴(採番しない)が軸線に沿って貫通状態で形成されている。該二つの穴の一方は、前記連結体202に設けられた穴と連通するように形成されており、該絶縁本体部210は、一方の接続部200aに接続された導通体201aが連結体202の穴及び絶縁本体部210の一方の穴に挿通されて一端から延出し、他方の接続部200bに接続された導通体201bが絶縁本体部210の他方の穴に挿通されて一端から延出するように形成されている。
【0035】
前記筒状絶縁部211は、絶縁本体部210と略同心をなすように設けられ、絶縁本体部210に形成された二つの穴が内部空間と連通するように設けられている。そして、該筒状絶縁部211の外周の一部には、直流電源3に接続された配線系4を内部に挿入するための窓部(開口)212が形成されている。そして、筒状絶縁部111内に延出した導通体201a,201bのそれぞれには、窓部212を介して内部に挿入された配線系4(第一電線40a…)が電気的に接続されている。
【0036】
前記連結部22は、筒状を呈する連結部本体220と、該連結部本体220の一端開口を閉塞した閉塞部221とで構成されている。そして、該連結部22は、連結部本体220が中間絶縁部21と略同心となるように、前記閉塞部221が中間絶縁部21(筒状絶縁部211)に連結されている。前記連結部本体220は、絶縁操作棒の先端部を内嵌できるように形成されており、外周の一部に該絶縁操作棒の先端部外周に設けられた凸部を係合させるための溝222が鈎状に形成されている。
【0037】
そして、前記接続手段1…,2…は、図1及び図2に示す如く、何れのタイプも複数設けられており、各接続手段1…,2…の接続部100a,100b,200a,200bに配線系4の独立した給電系統を構成する前記第一電線40a…が直接的又は間接的(本実施形態においては導通体102a,102b,201a,201bを介して間接的)に接続されている。なお、高圧カットアウト7…,8…は、単相の電気を供給する場合には、二つ一組で同一作業領域内に配置され、三相の電気を供給する場合には、三つ一組で同一作業領域内に配置されるのが一般的であるので、接続手段1…,2…は、少なくとも二つ、好ましくは三つ以上設けることが好ましい。
【0038】
前記直流電源3は、高電圧の電気を印加させることができるよう構成されており、例えば、作業用車両に積載される。そして、該直流電源3は、上述の如く、アース接地されており、+(プラス)側が各接続手段1…,2…の接続部100a,100b,200a,200bに対して電気的に接続されている。
【0039】
前記配線系4は、接続部100a,100b,200a,200b毎に電力供給可能な独立した給電系統を形成している。本実施形態に係る配線系4は、上述のように各接続手段1…,2…の接続部100a,100b,200a,200b毎に電気的に接続され、直流電源2に繋がる電線40a…,40bで独立した給電系統を構成している。具体的には、本実施形態に係る配線系4は、接続手段1…,2…の接続部100a,100b,200a,200bのそれぞれに一端側が接続される一方で他端側が互いに合流した二本一組の第一電線40a…と、該第一電線40aの合流部分に一端側が接続される一方で他端側が直流電源3に接続される単一な(一本の)第二電線40bとで構成されており、共通する第二電線40bを介して各第一電線40aが各電力系統A…,B…に繋がる独立した給電系統を形成している。本実施形態においては、前記接続手段1…,2…が複数設けられているため、二本一組の第一電線40aが接続手段1…,2…の数に対応して複数組設けられており、該複数組の第一電線40a(複数の第一電線40a…)のそれぞれの他端側が一カ所に合流し、該合流部分に単一な(一本の)第二電線40bが電気的に接続されている。
【0040】
本実施形態に事故点探査装置は、上述の如く、ケーブルドラム9を備えているので、図7(b)に示す如く、複数の第一電線40a…の他端側は、ケーブルドラム9の後述する巻取ドラム90内で互いに合流し、その合流部分に第二電線40bが間接的に接続されている。そして、前記第一電線40a…は、少なくとも一端側及び他端側に視認可能な目印(図示しない)が付されており、目印を基に何れの接続部100a,100b,200a,200b(何れの電力系統A…,B…)に接続された第一電線40a…であるかを把握できるようになっている。例えば、第一電線40a…の絶縁被覆に異なる着色を施したり、各第一電線40a…の絶縁被覆に異なる記号や符号、模様等を施したりすることで、各第一電線40a…の目印とすることができる。
【0041】
本実施形態において、前記CTセンサ5…は、前記巻取ドラム90に内装されており、該巻取ドラム90内の各第一電線40a…に対応して複数設けられている。各CTセンサ5…は、リング状に形成されており、第一電線40aに対して外嵌状態で取り付けられるようになっている。そして、該CTセンサ5…は、第一電線40a…、第二電線40b、接続部100a,100b,200a,200bを介して一次側電力系統A又は二次側電力系統Bに直流電源3から高電圧を印加したときに、地絡事故が発生している一次側電力系統A又は二次側電力系統Bを通る貫通電流(誘導電流)を検知できるようになっている。
【0042】
前記告知手段6…は、電柱から降りた作業者が地上で把握できるように、直流電源3側(地上側)に配置される。本実施形態においては、ケーブルドラム9(巻取ドラム90)に間接的に(後述する制御ボックス92を介して)取り付けられている。該告知手段6…は、各CTセンサ5…での貫通電流の検知結果を告知するようになっている。本実施形態において、告知手段6は、CTセンサ5…に対応して複数設けられており、各告知手段6の告知でそれぞれの電力系統A,Bの事故点の有無を個別に把握できるようにしている。告知手段6…には、例えば、ランプや音声発生手段等を採用することができ、本実施形態においては、ランプを採用して点灯の有無でCTセンサ5…の検知結果を告知するようにしている。
【0043】
なお、一般に流通するCTセンサ5…には、当該告知手段6…(例えば、ランプ)を実装したものもあるが、本実施形態においては、CTセンサ5…と告知手段6…とが別個独立しており、制御基板(採番しない)を介して複数の告知手段6…と複数のCTセンサ5…(第一電線40a…)とが対応して個別に接続されている。
【0044】
前記制御基板には、CTセンサ5…による検知結果を告知手段6…に継続的に告知させるために自己保持回路が組み込まれている。この自己保持回路は、一般的なもので、CTセンサ5…の検知結果に基づく信号の入力によって告知手段6…(ランプ)を起動させ、信号が継続的に入力されない状態になっても告知手段6…を起動状態で維持させるようになっている。そして、自己保持回路は、作業者が復帰スイッチ93を操作することで、告知手段6…の起動状態を解除し、CTセンサ5…の検知結果に基づく信号の入力を許容できる状態に復帰するようになっている。
【0045】
そして、本実施形態に係る事故点探査装置は、上述の如く、CTセンサ5…及び告知手段6…(ランプ)が、各第一電線40a…に対応するように複数組設けられているので、前記自己保持回路についても、CTセンサ5…及び告知手段6…の組数に応じて複数設定されている。従って、自己保持回路による自己保持を解除するための復帰スイッチ93についても、告知手段6…の数に対応して設けられている。
【0046】
本実施形態に係る事故点探査装置は、制御基板や該制御基板(自己保持回路)を動作させるためのバッテリー(図示しない)を実装した制御ボックス92を備えている。該制御ボックス92の前面には、前記告知手段6…及び復帰スイッチ93が設けられている。本実施形態に係る事故点装置は、上述の如く、告知手段6…(ランプ)がCTセンサ5…に対応して複数設けられているので、各告知手段6…は、制御ボックス92の前面にマトリックス状に配置されており、また、各復帰スイッチ93は、制御ボックス92の前面に各告知手段6…と対応するように設けられている。
【0047】
そして、該制御ボックス92の前面には、各告知手段6…及び復帰スイッチ93のそれぞれが、何れの第一電線40a…(CTセンサ5…)に対応するものかを把握するための目印(図示しない)が告知手段6…と復帰スイッチ93の組毎に設けられている。すなわち、上述の如く、第一電線40a…に設けられた目印に対応する目印が、告知手段6…と復帰スイッチ93とによる組毎に設けられている。なお、該制御ボックス92側の目印は、該制御ボックス92自体の前面に設けられてもよいし、告知手段6…又は復帰スイッチ93に設けるようにしてもよい。従って、第一電線40a…の目印として異なる色を着色した場合には、告知手段6…としてのランプ6…自体を第一電線40a…に対応した色で発光するものを採用してもよい。
【0048】
前記ケーブルドラム9は、図7(a)及び図7(b)に示す如く、配線系4(本実施形態においては第一電線40a)を巻き取る巻取ドラム90と、該巻取ドラム90を回転可能に支持するフレーム94とを備えている。前記巻取ドラム90は、筒状に形成されたドラム本体95と、該ドラム本体95の両端に設けられた一対の鍔部96a,96bと備えており、該一対の鍔部96a,96b間にあるドラム本体95に配線系4(第一電線40a…)を巻き付けるように構成されている。
【0049】
前記ドラム本体95は、周壁の一部に配線系4を構成する複数の第一電線40a…の他端側を内部に挿入するための開口97が形成されている。そして、本実施形態においては、ドラム本体95内に位置する各第一電線40a…の他端部に前記CTセンサ5…が装着されている。
【0050】
前記一対の鍔部96a,96bのうち、一方の鍔部96aの外面には、前記制御ボックス92が取り付けられ、各CTセンサ5…が検知結果(信号)を伝送できるようにドラム本体95内の各CTセンサ5…が制御ボックス92内の制御基板に電気的に接続されている。すなわち、本実施形態に係るケーブルドラム9は、巻取ドラム90(ドラム本体95)の内部と制御ボックス92の内部とが連通しており、ドラム本体95内の各CTセンサ5…と制御ボックス92内の制御基板(各自己保持回路)とが電気的に配線接続されている。
【0051】
そして、上記構成の巻取ドラム90は、筒状の軸(以下、筒状軸という)98が、ドラム本体95の軸線と同心をなして他方の鍔部96bから外方に延出するように取り付けられている。該筒状軸98の先端には、第二電線40bの一端に取り付けられた接続部材(例えば、ジャック又は該ジャックに接続されるコネクタの何れか一方:採番しない)を電気的に接続するための被接続部材(例えば、ジャック又は該ジャックに接続されるコネクタの何れか他方:採番しない)が取り付けられている。そして、上述の如く、互いに合流した複数の第一電線40a…の他端部は、ドラム本体95内で前記被接続部材に電気的に接続されている。なお、前記被接続部材、第一電線40a…、及びこれらの接続部分は、ケーブルドラム9のそれ以外の構成(筒状軸98、巻取ドラム90、フレーム94、制御ボックス92、CTセンサ5…、告知手段6…、制御基板等)に対して電気的に絶縁された状態で設けられている。
【0052】
前記フレーム94は、パイプを曲げ加工して作製されたもので、足部94aと、該足部94aに立設された縦フレーム94bと、該縦フレーム94bの上端に連設された把持部94cとで構成されている。該フレーム94は、軸線が縦フレーム94bの起立方向と直交する方向に向くように巻取ドラム90の筒状軸98を軸支するための支持部(採番しない)が、縦フレーム94bに設けられている。該支持部は、筒状軸98の先端に取り付けられた接続部材に対して第二電線40bを接続できるように、筒状軸98を軸支するようになっている。
【0053】
さらに、本実施形態に係るフレーム94は、把持部94cに前記接続手段1…,2…を保持するためのホルダー99が取り付けられている。これにより、該ケーブルドラム9は、配線系4(第一電線40a…)を巻取ドラム90に巻き取った状態で、各接続手段1…,2…をホルダー99に保持させることで、直流電源3及び第二電線40b以外の構成を一緒に持ち運べるようになっている。また、告知手段6…をケーブルドラム9に設けることで、作業者が身近にあるケーブルドラム9に実装された告知手段(ランプ)6…の点灯によってCTセンサ5…の検知結果を把握、すなわち、一次側電力系統A及び二次側電力系統Bの地絡事故の有無について把握できるようになっている。
【0054】
次に、上記構成の事故点探査装置の使用態様について説明する。なお、電柱に取り付けられた高圧カットアウト7…,8…が前記箱形高圧カットアウト7…及び筒形高圧カットアウト8…の何れであっても、接続手段1…,2…の形態(接続部100a,100b,200a,200bの配置)を異にするだけで、作動について同一であるので、図1(箱形高圧カットアウト7…の場合)及び図2(筒形高圧カットアウト8…の場合)を参照して説明することとする。
【0055】
まず、電柱に設けられた複数の高圧カットアウト7…,8…のそれぞれからヒューズ75,85を取り出した上で、それぞれの高圧カットアウト7…,8…に接続手段1…,2…を取り付ける。この際、接続手段1…,2…の連結部12,22に絶縁操作棒を連結し、該絶縁操作棒を操ることで接続手段1…,2…の一対の接続部100a,100b,200a,200bを高圧カットアウト7…,8…の第一接続端子70a,80a及び第二接続端子70b,80bに接続する。そして、第一電線40a…の一端側に設けた目印により、何れの第一電線40a…(接続部100a,100b,200a,200b)を何れの接続端子70a,70b,80a,80b(電力線系統A,B)に接続したかを把握しておく。
【0056】
しかる後、作業者が電柱から降り、直流電源3に接続された第二電線40bの接続部材(ジャック又はコネクタの一方)をケーブルドラム9の被接続部材(ジャック又はコネクタの他方)に接続する。すなわち、各接続手段1…,2…を高圧カットアウト7…,8…の配置された領域に持って行くときに、各接続手段1…,2…に接続された第一電線40a…の引き出しに伴う巻取ドラム90の回転によって第二電線40bが捻れてしまうため、ケーブルドラム9から第一電線40a…を引き出した後に、第二電線40bをケーブルドラム9に接続して第一電線40a…と第二電線40bとを電気的に接続する。
【0057】
そして、直流電源3から電圧を印加すると、第二電線40bを介して各第一電線40a…に電圧が作用する。そうすると、各接続部100a,100b,200a,200bを介して第一接続端子70a,80a、第二接続端子70b,80b、一次側電力系統A及び二次側電力系統Bにも直流電源3からの電圧が作用することになる。
【0058】
そして、直流電源3をアース接地しているため、何れかの電力系統A,Bで地絡事故が発生している場合、直流電源3からの電気がその地絡事故の発生している電力系統A,Bの事故点から大地に向けて流れることになる。すなわち、直流電源3、第二電線40b、第一電線40a…、接続部100a,100b,200a,200b、第一接続端子70b又は第二接続端子70b,80b(一次側電力系統A又は二次側電力系統B)が地面に繋がった系統(閉回路)となり、この系統(特には、第二電線40b、第一電線40a…、接続部100a,100b,200a,200b、第一接続端子70b又は第二接続端子80b、一次側電力系統A又は二次側電力系統B)での電流が高くなる。
【0059】
そうすると、本実施形態に係る事故点探査装置は、配線系4を一本の第二電線40bから複数の第一電線40a…に分配し、独立した給電系統を構成する第一電線40a…にCTセンサ5…を設けているので、地絡事故の発生している一次側電力系統A又は二次側電力系統Bに繋がる何れかの第一電線40a…を流れる高電流を、該第一電線40a…に対応したCTセンサ5…が検知することになる。これに伴って、CTセンサ5…の検知結果が信号として制御基板に伝送され、該CTセンサ5…に対応する自己保持回路が動作して告知手段6…としてのランプが点灯し、CTセンサ5…による信号の入力の有無に関係なくランプ6…の点灯が継続することになる。
【0060】
そして、点灯したランプ6…に対応する目印を基に、何れの第一電線40a…(接続部100a,100b,200a,200b)に接続された電力系統A,B(電力線)で地絡事故が発生しているかが把握(特定)される。しかる後に、復帰スイッチ93を操作して告知手段6…による告知(ランプの点灯)を解除してCTセンサ5…からの信号の入力を許容した状態に復帰させ、直流電源3からの電力供給を停止する。
【0061】
そして、電柱に昇降して各高圧カットアウト7…,8…から接続手段1…,2…を取り外す前、又は取り外した後に、事故点(電力線)の把握を基に地絡事故の原因等が究明乃至解消されることになる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る事故点探査装置によれば、前記接続手段1…,2…は、一対の接続部100a,100b,200a,200bのそれぞれが互いに電気的に断絶され、前記配線系4は、接続部100a,100b,200a,200b毎に電力供給可能な独立した給電系統を形成するとともに、前記CTセンサ5…が該独立した給電系統に対応して設けられ、前記告知手段6…が直流電源3側に配置されているので、探査対象となる電力系統A,Bの電力線に対してCTセンサ5…を掛け替えるといった煩雑な作業を必要とせずに各電力系統A,Bの事故点を確実且つ適正に把握することができ、地絡事故の原因等の追求乃至解消を早急に行うことができる。
【0063】
また、一端側が接続手段1…,2…の各接続部100a,100b,200a,200bに電気的に接続される一方で他端側が電気的に互いに合流した二本一組の第一電線40a…と、第一電線40a…の他端側と直流電源3とを接続する単一な第二電線40bとで構成した配線系4を採用し、前記CTセンサ5…を第一電線40a毎に設けるようにしたので、単一な第二電線40bのみを直流電源3に接続するだけで、二本一組の第一電線40a…のそれぞれに給電できる状態にすることができる。これにより、高圧カットアウト7,8(高所)側の作業だけでなく直流電源3(地上)側の接続作業も容易に行うことができる。
【0064】
そして、高圧カットアウト7,8の数に対応させるべく、接続手段1…,2…を複数設けるようにしたので、電柱に対して一度の昇降を行うだけで複数の高圧カットアウト7…,8…のそれぞれに接続手段1…,2…を接続することができる。そして、該接続手段1…,2…を複数にするに伴って、二本一組の第一電線40aを複数組備えるとともに、各組の第一電線40a…の他端側の合流部分に単一な第二電線40bを接続して配線系4を構成し、各第一電線40a…毎にCTセンサ5…を設けるようにしたので、複数系統の一次側電力系統A及び二次側電力系統Bでの事故点の有無を告知手段6の告知で把握することができる。
【0065】
そして、前記配線系4を巻き取る巻取ドラム90と、該巻取ドラム90が回転可能に取り付けられるフレーム94とを有するケーブルドラム9を設け、該ケーブルドラム9に告知手段6…を設けるようにしたので、長尺な配線系4をコンパクトに収容することができ、持ち運びに便利である。その上、ケーブルドラム9を適宜配置することで、告知内容を把握し易い場所に告知手段6を適宜配置することができる。
【0066】
そして、前記告知手段6…をCTセンサ5…毎に複数設けるようにしたので、告知手段6…による告知の誤認(事故の発生している電力系統A,Bの誤認)を防止し、適正な判断を行うことができる。
【0067】
尚、本発明に係る事故点探査装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0068】
上記実施形態において、接続手段1…を複数設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、接続手段1…は、少なくとも一つ設けられればよい。但し、高圧カットアウト7,8は、通常、複数で一組をなすように設置されるので、上記実施形態と同様に、接続手段1…,2…を複数設けることが好ましいことが言うまでもない。
【0069】
上記実施形態において、接続手段1…,2…に対して第一電線40a…を取り外しできない構成としたが、例えば、接続部100a,100b,200a,200b又は導通体102a,102bに対し、コネクタ又はジャックの何れか一方を電気的に接続するとともに、第一電線40a…の一端にコネクタ又はジャックの何れか他方を電気的に接続し、コネクタとジャックとを接続することで接続手段1…,2…の接続部100a,100b,200a,200bと第一電線40a…とを電気的に接続するようにしてもよい。このようにすれば、箱形カットアウト7用の接続手段1…と、筒形高圧カットアウト8用の接続手段2…とを交換することができる。これにより、高圧カットアウト7,8のタイプ毎にケーブルドラム9や電線を運搬する必要がなく、共通した第一電線40aやケーブルドラム9を用いることができる。
【0070】
また、上記実施形態において、接続部材及び被接続部材(ジャック及びコネクタ)を介して第一電線40a…の合流部分と第二電線40bとを電気的に接続可能に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一電線40a…の合流部分に対して第二電線40bを直接接続するようにしてもよい。
【0071】
上記実施形態において、接続手段1…,2…の接続部100a,100b,200a,200bに独立した第一電線40aを接続し、各電力系統A,Bに繋がる独立した給電系統を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8(a)及び図8(b)に示す如く、遠隔操作(有線又は無線)で一対の接続部100a,100b,200a,200b(又は導通体102a,102b,201a,201b)に対して接点切り換え可能なスイッチ150,250を接続手段1…,2…に内装し、該スイッチ150,250に一本の電線40を接続するとともに該電線40にCTセンサ5…を装着するようにしてもよい。なお、接続手段1…,2…を複数設ける場合には、各接続手段1…,2…内のスイッチ150,250に接続した前記電線40を合流させ、その合流部分に直流電源3に接続された電線(上記実施形態の第二電線40bに相当)を接続すればよい。また、このように接続手段1…,2…が複数設けられる場合には、各電線40…及び告知手段6…に対応する目印を付しておき、何れの接続手段1…,2…が何れの高圧カットアウト7…,8…(系統)に対して接続されているかを把握できるようにしておけばよい。
【0072】
このようにすれば、スイッチ150,250の接点を切り換えることで、何れか一方の接続部100a,100b,200a,200b(一次側電力系統A又は二次側電力系統Bの一方)に接続された独立した給電系統を形成することができ、地絡事故が発生したときに第一電線40a…を流れる電流をCTセンサ5…が検知して告知手段6…がその結果を告知することになる。そして、スイッチ150,250の状態(遠隔操作の状態)を基に該スイッチ150,250を介して電線40に電気的に接続されている電力系統が一次側電力系統A又は二次側電力系統Bの何れであるかを把握しておけば、地絡事故の事故点が一次側電力系統A又は二次側電力系統Bの何れに存在するのかを告知手段6…の告知で把握することができる。
【0073】
上記実施形態において、ケーブルドラム9を設けて配線系4(複数の第一電線40a…)を収納できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ケーブルドラム9を設けることなく、制御ボックス92内で第一電線40a…の他端と第二電線40bとを電気的に接続し、該制御ボックス92にCTセンサ5…、制御基板等を内装するとともに、告知手段6…や復帰スイッチ93等を外装するようにしてもよい。但し、配線系4の収容性や運搬性等を考慮すれば、ケーブルドラム9を設けることが好ましいことは言うまでもない。
【0074】
上記実施形態において、配線系4を二本一組(複数組)の第一電線40a…とこれに接続される単一な第二電線40bとで構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の電線を接続できるように直流電源3を構成するとともに、配線系4を複数の第一電線40a…のみで構成し、各第一電線40a…を直流電源3に接続するようにしてもよい。この場合において、複数の第一電線40a…を制御ボックス92に対して貫通させるように設け、該制御ボックス92内に各第一電線40a…に対応するCTセンサ5…を設けるようにすればよい。
【0075】
そして、直流電源3を第一電線40a…毎、すなわち、異なったタイミングで各第一電線40a…に電圧を印加できるようにしてもよい。このようにしても、各第一電線40a…が一次側電力系統A又は第二電力線のそれぞれと独立した給電系統を構成するので、制御ボックス92に設けた告知手段6…による告知で地絡事故の有無を把握することができる。但し、上記実施形態のように複数の第一電線40a…に対して同時に電圧を印加できるようにすれば、一時に複数系統に対する地絡事故の有無、地絡事故の事故点を把握することができる。
【0076】
また、上記実施形態において、制御ボックス92を介してケーブルドラム9の巻取ドラム90に対して告知手段6…及び復帰手段を間接的に設けるようにしたが、例えば、巻取ドラム90の鍔部の外面に告知手段6…や復帰スイッチ93を設けるようにしてもよい。
【0077】
上記実施形態において、CTセンサ5…(第一電線40a…)毎に告知手段6…を設けるようにしたが、例えば、告知手段6に文字情報等を表示可能なディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を採用し、該ディスプレイに事故点の存在する電力系統を表示させるようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態において、箱形高圧カットアウト7及び筒形高圧カットアウト8用の接続手段1…,2…について説明したが、該接続手段1…,2…は、電柱に設置される高圧カットアウトの形態に応じて適宜変更可能である。但し、一次側電力系統Aに接続された第一接続端子と二次側電力系統Bに接続された第二接続端子とがヒューズを介して接続可能に構成された高圧カットアウトを前提とすることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施形態に一実施形態に係る事故点探査装置の全体概略構成図であって、箱形高圧カットアウトを対象とした事故点探査装置を示す。
【図2】同実施形態に係る事故点探査装置の全体概略構成図であって、筒形高圧カットアウトを対象とした事故点探査装置を示す。
【図3】同実施形態に係る事故点装置の接続手段を接続する箱形高圧カットアウトの一部断面を含む側面図を示す。
【図4】同実施形態に係る事故点探査装置の接続手段を接続する筒形高圧カットアウトの縦断面図を示す。
【図5】同実施形態に係る事故点探査装置の箱形高圧カットアウト用の接続手段であって、(a)は、正面図を示し、(b)は、断面図を示す。
【図6】同実施形態に係る事故点探査装置の筒形高圧カットアウト用の接続手段であって、(a)は、正面図を示し、(b)は、断面図を示す。
【図7】同実施形態に係る事故点探査装置のケーブルドラムの説明図であって、(a)は、正面図を示し、(b)は、一部を破断させた側面図を示す。
【図8】他実施形態に係る事故点探査装置の接続手段であって、(a)は、箱形高圧カットアウト用の接続手段の断面図を示し、(b)は、筒形高圧カットアウト用の接続手段の断面図を示す。
【符号の説明】
【0080】
1,2…接続手段、3…直流電源、4…配線系、5…CTセンサ、6…告知手段(ランプ)、7…高圧カットアウト(箱形高圧カットアウト)、8…高圧カットアウト(筒形高圧カットアウト)、9…ケーブルドラム、10,20…先端部、11,21…中間絶縁部、12,22…連結部、40…電線、40a…第一電線、40b…第二電線、70a,80a…第一接続端子(接続端子)、70b,80b…第二接続端子(接続端子)、71…ボックス本体、72…蓋体、75,85…ヒューズ、76,86…ヒューズ本体、77a,77b,87a,87b…電極、81…筒状本体、82…蓋体、90…巻取ドラム、92…制御ボックス、93…復帰スイッチ、94…フレーム、94a…足部、94b…縦フレーム、94c…把持部、95…ドラム本体、96a,96b…鍔部、97…開口、98…筒状軸、99…ホルダー、100a,100b,200a,200b…接続部、101…先端本体部、101a…分岐部、101b…先端連結部、102a,102b,201a,201b…導通体、103a,103b…第一導通部、104a,104b…第二導通部、105a,105b…導通材、110,210…絶縁本体部、111,211…筒状絶縁部、112,212…窓部、120,220…連結部本体、121,221…閉塞部、122,222…溝、150,250…スイッチ、202…連結体、A…一次側電力系統(電力系統)、B…二次側電力系統(電力系統)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側電力系統に接続された第一接続端子と二次側電力系統に接続された第二接続端子とがヒューズを介して接続可能に構成された高圧カットアウトの第一接続端子及び第二接続端子に電気的に接続可能な一対の接続部が設けられた接続手段と、アース接地された直流電源と、該直流電源と接続手段の接続部とを電気的に接続する配線系と、一次側電力系統及び二次側電力系統を流れる電流を検知するためのCTセンサと、CTセンサの検知結果を告知する告知手段とを備えた事故点探査装置であって、前記接続手段は、一対の接続部のそれぞれが互いに電気的に断絶され、前記配線系は、直流電源から給電可能な独立した給電系統を接続部毎に形成するとともに、前記CTセンサは、前記給電系統に対応して設けられ、前記告知手段は、直流電源側に配置されていることを特徴とする事故点探査装置。
【請求項2】
前記配線系は、一端側が接続手段の各接続部に電気的に接続される一方で他端側が電気的に互いに合流した二本一組の第一電線と、第一電線の他端側と直流電源とを接続する単一な第二電線とで構成され、前記CTセンサが第一電線毎に設けられている請求項1記載の事故点探査装置。
【請求項3】
前記接続手段を複数備え、前記配線系は、二本一組の第一電線を複数組備えるとともに、各組の第一電線の他端側が合流して単一な第二電線に電気的に接続され又は接続可能に構成され、前記CTセンサが第一電線毎に設けられている請求項2記載の事故点探査装置。
【請求項4】
前記配線系を巻き取る巻取ドラムと、該巻取ドラムが回転可能に取り付けられるフレームとを有するケーブルドラムを更に備え、該ケーブルドラムに告知手段が設けられている請求項2又は3記載の事故点探査装置。
【請求項5】
前記第一電線の他端側が前記巻取ドラム内に挿入されるとともに、各第一電線に対応するCTセンサが巻取ドラムに内装され、前記告知手段が巻取ドラムに直接的又は間接的に外装されている請求項4記載の事故点探査装置。
【請求項6】
前記告知手段は、CTセンサに対応して複数設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の事故点探査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−180634(P2008−180634A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14994(P2007−14994)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】