説明

二次コイルユニットおよび電力伝送システム

【課題】設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることを可能とする二次コイルユニットおよび電力伝送システムを提供する。
【解決手段】収容筐体132においては、第1冷媒通路CR11の内部に、車両側キャパシタ19および整流器13を配置している。また、冷却風の流れ方向から見て、第1冷媒通路CR11の内部において、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次コイルユニットおよび電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮からバッテリなどの電力を用いて駆動輪を駆動させるハイブリッド車両や電気自動車などが着目されている。
【0003】
特に近年は、上記のようなバッテリを搭載した電動車両において、プラグなどを用いずに非接触でバッテリを充電可能なワイヤレス充電が着目されている。
【0004】
たとえば、特開2010−268660号公報(特許文献1)、特開2010−284011号公報(特許文献2)、および、国際公開第2010/041321号(特許文献3)には、電磁共鳴を利用して電力の送電および受電を行なう非接触の電力伝送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−268660号公報
【特許文献2】特開2010−284011号公報
【特許文献3】国際公開第2010/041321号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した非接触の電力伝送システムを用いた電力の送電および受電においては、送電側である一次コイルユニットと、受電側である二次コイルユニットとが用いられる。また、各コイルユニットを設置または搭載するためのスペースは、小さい方が好ましい。特に、車両側に搭載するコイルユニットは、搭載スペースが限られることから、より小さい方が好ましいといえる。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされた発明であって、その目的は、設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることを可能とする二次コイルユニットおよび電力伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に基づいた二次コイルユニットにおいては、外部に設けられた一次共鳴コイルと間隔をあけて配置され、上記一次共鳴コイルと電磁界共振結合を行なう二次共鳴コイルと、上記二次共鳴コイルに接続されるキャパシタと、上記二次共鳴コイルと電磁誘導結合を行なう電磁誘導コイルと、上記電磁誘導コイルに接続される整流器と、上記二次共鳴コイル、上記キャパシタ、上記電磁誘導コイルおよび上記整流器を収容する筐体と、を備える。
【0009】
上記筐体は、上記二次共鳴コイル、上記キャパシタ、上記電磁誘導コイルおよび上記整流器を冷却する冷媒を通過させるための冷媒通路を含み、上記冷媒流れの方向から見て、上記整流器は上記キャパシタの下流側に配置されている。
【0010】
好ましくは、上記冷媒通路は、上記整流器および上記キャパシタが配置され、上記整流器および上記キャパシタを冷却する冷媒を通過させる第1冷媒通路と、上記二次共鳴コイルおよび上記電磁誘導コイルが配置され、上記二次共鳴コイルおよび上記電磁誘導コイルを冷却する冷媒を通過させる第2冷媒通路とを有する。
【0011】
好ましくは、上記筐体は、円筒形状のボビンを有し、上記キャパシタおよび上記整流器は、上記ボビンの内周面側に配置され、上記二次共鳴コイルおよび上記電磁誘導コイルは、上記ボビンの外周面に装着され、上記ボビンの内周面側に上記第1冷媒通路が設けられ、上記ボビンの外周面側に上記第2冷媒通路が設けられる。
【0012】
好ましくは、上記冷媒流れの方向から見て、上記整流器の下流側に上記二次共鳴コイルおよび上記電磁誘導コイルが配置されている。
【0013】
好ましくは、上記筐体は、円筒形状のボビンを有し、上記二次共鳴コイルおよび上記電磁誘導コイルは、上記ボビンの外周面に装着され、上記キャパシタおよび上記整流器は、上記ボビンの内周面側に配置され、上記ボビンは、その側壁に貫通孔を有し、上記冷媒通路として、上記ボビンの内周面側に導入された冷媒が、上記貫通孔を通じて上記ボビンの外周側に送り出される通路が形成される。
【0014】
好ましくは、上記整流器は、機器と、上記機器を収容し、通風孔を有する整流器筐体とを含み、上記冷媒通路内において、上記冷媒流れの方向に上記通風孔が対向するように、上記整流器筐体が配置される。
【0015】
この発明に基づいた電力伝送システムにおいては、上述したいずれかに記載の二次コイルユニットと、上記二次共鳴コイルと間隔をあけて配置され、上記二次共鳴コイルと電磁界共振結合を行なう上記一次側共鳴コイルを含む一次コイルユニットとを備える。
【発明の効果】
【0016】
この発明の二次コイルユニットおよび電力伝送システムによれば、設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1における電動車両と、電動車両に電力を給電する外部給電装置と、電動車両および外部給電装置を含む電力伝送システムを模式的に示す図である。
【図2】共鳴法による送電および受電の原理を説明するための模式図である。
【図3】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図4】実施の形態1における車両側コイルユニットの構造を示す縦断面図である。
【図5】図4中のV−V線矢視断面に沿った横断面図である。
【図6】整流器の概略構造を示す斜視図である。
【図7】実施の形態2における車両側コイルユニットの構造を示す縦断面図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線矢視断面に沿った横断面図である。
【図9】実施の形態3における二次コイルユニットの構造を示す横断面図である。
【図10】図9中の矢印X方向から見た図である。
【図11】図9中のXI−XI線矢視断面に沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に基づいたに二次コイルユニットおよび電力伝送システムついて、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0019】
(実施の形態1)
図1から図6を用いて、実施の形態1に係る車両と、外部給電装置と、車両および外部給電装置を含む電力伝送システムについて説明する。
【0020】
図1は、電動車両10および外部給電装置20を含む電力伝送システムを模式的に示す図である。
【0021】
本実施の形態に係る電力伝送システムは、電動車両10と、外部給電装置20とを含む。電動車両10は、外部給電装置20が設けられた駐車スペース42の所定位置に停車して、主に、外部給電装置20から電力を受電する。なお、電動車両10は、外部給電装置20に電力を供給することもできる。
【0022】
駐車スペース42には、電動車両10を所定の位置に停車するように、輪止やラインが設けられている。
【0023】
外部給電装置20は、交流電源21に接続された高周波電力ドライバ22と、高周波電力ドライバ22などの駆動を制御する制御部26と、この高周波電力ドライバ22に接続された設備側コイルユニット41とを含む。設備側コイルユニット41は、主に、非接触電力送電装置として機能し、設備側コイルユニット41は、設備側共鳴コイル24と、設備側共鳴コイル24に接続された設備側キャパシタ25と、設備側共鳴コイル24と電気的に接続される設備側電磁誘導コイル23とを含む。
【0024】
交流電源21は、車両外部の電源であり、たとえば、系統電源である。高周波電力ドライバ22は、交流電源21から受け取る電力を高周波の電力に変換し、その変換した高周波電力を設備側電磁誘導コイル23に供給する。なお、高周波電力ドライバ22が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1M〜数十MHzである。
【0025】
設備側電磁誘導コイル23に上記の高周波電力が供給されることで、設備側電磁誘導コイル23から発生する磁束量が経時的に変化する。
【0026】
設備側共鳴コイル24は、設備側電磁誘導コイル23と電磁誘導結合しており、設備側共鳴コイル24からの磁束量が変化することで、電磁誘導により設備側共鳴コイル24にも高周波の電流が流れる。
【0027】
この際、設備側共鳴コイル24に流れる高周波電流の周波数と、設備側電磁誘導コイル23のリラクタンスおよび設備側キャパシタ25の容量によって決まる共振周波数とが実質的に一致するように、設備側電磁誘導コイル23に電流が供給される。設備側共鳴コイル24および設備側キャパシタ25は、直列LC共振器として機能する。
【0028】
そして、設備側共鳴コイル24の周囲に当該共振周波数と実質的に同じ周波数の電界および磁界が形成される。このようにして、設備側共鳴コイル24の周囲には、所定周波数の電磁場(電磁界)が形成される。
【0029】
そして、電動車両10は、設備側共鳴コイル24および設備側キャパシタ25によって形成された直列LC共振器と同じ共振周波数を持つ直列LC共振器を備えており、当該LC共振器と、設備側共鳴コイル24および設備側キャパシタ25によって形成されたLC共振器とが電磁界共振結合することで、外部給電装置20から電動車両10に電力が送電される。
【0030】
なお、電動車両10と外部給電装置20とは、設備側共鳴コイル24および設備側キャパシタ25によって形成される電磁場のうち、近接場(エバネッセント場)を主に利用して、外部給電装置20側から電動車両10に電力を供給している。当該電磁共鳴法を利用したワイヤレス送電・受電方法の詳細については、後述する。
【0031】
電動車両10は、主に非接触電力受電装置として機能する車両側コイルユニット40と、車両側コイルユニット40に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)18とを備える。なお、DC/DCコンバータ14を省略してもよい。
【0032】
なお、本実施の形態に係る電動車両10は、図示しないエンジンを備えたハイブリッド車両であるが、モータにより駆動される車両であれば、電気自動車や燃料電池車両にも本願発明を適用することができる。
【0033】
車両側コイルユニット40は、車両側共鳴コイル11と、この車両側共鳴コイル11に接続された車両側キャパシタ19と、車両側共鳴コイル11と電磁誘導により結合する車両側電磁誘導コイル12と、車両側電磁誘導コイル12に接続された整流器13とを含む。なお、車両側コイルユニット40の詳細な構成については後述する。
【0034】
車両側共鳴コイル11と車両側キャパシタ19は、直列LC共振器を構成しており、車両側共鳴コイル11および車両側キャパシタ19によって形成された直列LC共振器の共振周波数と、設備側共鳴コイル24および設備側キャパシタ25によって形成された直列LC共振器の共振周波数とは実質的に一致している。
【0035】
ここで設備側共鳴コイル24に、当該LC共振器の共振周波数と同じ周波数の高周波電流が供給されると、周波数が当該共振周波数の電磁場(電磁界)が発生する。
【0036】
そして、設備側共鳴コイル24から、たとえば、数m以内程度の範囲内に、車両側共鳴コイル11が配置されると、車両側共鳴コイル11および車両側キャパシタ19によって形成されるLC共振器が共鳴して、車両側共鳴コイル11に電流が流れる。このように、車両側共鳴コイル11と、設備側共鳴コイル24とは、電磁界共振結合する。
【0037】
車両側電磁誘導コイル12は、車両側共鳴コイル11と電磁誘導結合して、車両側共鳴コイル11が受電した電力を取り出す。車両側電磁誘導コイル12が車両側共鳴コイル11から順次電力を取り出すことで、電磁場を介して車両側共鳴コイル11に設備側共鳴コイル24から順次電力が供給される。このように、車両側コイルユニット40と、設備側コイルユニット41とは、所謂、電磁共鳴方式のワイヤレス送電・受電方式が採用されている。
【0038】
整流器13は、車両側電磁誘導コイル12に接続されており、車両側電磁誘導コイル12から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
【0039】
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。
【0040】
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
【0041】
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
【0042】
なお、電動車両10がハイブリッド車両の場合には、電動車両10は、エンジン、動力分割機構とをさらに備え、モータユニット17は、発電機として主に機能するモータジェネレータと、電動機として主に機能するモータジェネレータとを含む。
【0043】
上記のように本実施の形態1に係る車両側コイルユニット40と設備側コイルユニット41との間は、ワイヤレス送電・受電方式であって、電磁場を利用した共鳴法が採用されている。
【0044】
図2は、共鳴法による送電および受電の原理を説明するための模式図であって、この図2を用いて、共鳴法による送電および受電の原理を説明する。
【0045】
図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0046】
具体的には、高周波電源31に一次コイル32を接続し、電磁誘導により一次コイル32と磁気的に結合される一次共鳴コイル33へ、1M〜数十MHzの高周波電力を給電する。一次共鳴コイル33は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量(コイルにコンデンサが接続される場合には、コンデンサの容量を含む)とによるLC共振器であり、一次共鳴コイル33と同じ共振周波数を有する二次共鳴コイル34と電磁場(近接場)を介して共鳴する。
【0047】
そうすると、一次共鳴コイル33から二次共鳴コイル34へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次共鳴コイル34へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次共鳴コイル34と磁気的に結合される二次コイル35によって取出され、負荷36へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次共鳴コイル33と二次共鳴コイル34との共鳴強度を示すQ値がたとえば10よりも大きいときに実現される。
【0048】
なお、図2の構成と図1の構成の対応関係を示すと、図1に示す交流電源21および高周波電力ドライバ22は、図2の高周波電源31に相当する。また、図1に示す設備側電磁誘導コイル23は、図2の一次コイル32に相当する。さらに、図1に示す設備側共鳴コイル24および設備側キャパシタ25は、図3の一次共鳴コイル33および一次共鳴コイル33の浮遊容量に相当する。
【0049】
図1に示す車両側共鳴コイル11および車両側キャパシタ19は、図2に示す二次共鳴コイル34および二次共鳴コイル34の浮遊容量に相当する。
【0050】
図1に示す車両側電磁誘導コイル12は、図2の二次コイル35に相当する。そして、図1に示す整流器13、DC/DCコンバータ14およびバッテリ15は、図2に示す負荷36に相当する。
【0051】
さらに、実施の形態1に係るワイヤレス送電・受電方式は、電磁界の「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。
【0052】
図3は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図3を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電界」と称される。
【0053】
「静電界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、共鳴法では、この「静電界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電界」が支配的な近接場において、同じ固有振動数を有する一対の共鳴器(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、一方の共鳴器(一次共鳴コイル)から他方の共鳴器(二次共鳴コイル)へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0054】
このように、実施の形態1に係る電動車両10と、外部給電装置20とは、電磁場の近接場の共鳴を利用して、電動車両10の車両側コイルユニット40と、外部給電装置20の設備側コイルユニット41との間で電力の送電や受電を行なっている。
【0055】
(車両側コイルユニット131A)
次に、図4から図6を参照して、本実施の形態における車両側コイルユニット131Aについて詳細に説明する。なお、図4は、車両側コイルユニット131Aの構造を示す縦断面図、図5は、図4中のV−V線矢視断面に沿った横断面図、図6は、整流器13の概略構造を示す斜視図である。
【0056】
この車両側コイルユニット131Aは、図1おける車両側コイルユニット40に相当する。
【0057】
図4および図5を参照して、この車両側コイルユニット131Aは、設備側に設けられた設備側(一次)共鳴コイル24(図1参照)と間隔をあけて配置され、設備側共鳴コイル24と電磁界共振結合を行なう車両側(二次)共鳴コイル11と、この車両側共鳴コイル11に接続される車両側キャパシタ19と、車両側共鳴コイル11と電磁誘導結合を行なう車両側電磁誘導コイル12と、この車両側電磁誘導コイル12に接続される整流器13と、車両側共鳴コイル11、車両側キャパシタ19、車両側電磁誘導コイル12、および整流器13を収容する収容筐体132とを備えている。
【0058】
収容筐体132は、車両側共鳴コイル11、車両側キャパシタ19、車両側電磁誘導コイル12、および整流器13を収容し、車両側共鳴コイル11、車両側キャパシタ19、車両側電磁誘導コイル12、および整流器13を冷却する冷媒を通過させるための第1冷媒通路CR11および第2冷媒通路CR12を含んでいる。収容筐体132は、樹脂部材とシールド部材との組合せた板材を用いて形成されている。なお、シールド部材のみを用いて成形しても良い。
【0059】
本実施の形態においては、収容筐体132は、中空状の円筒形状のボビン128を有している。整流器13および車両側キャパシタ19は、円筒形状のボビン128の内周面側に配置され、ボビン128の内部には、整流器13および車両側キャパシタ19を冷却する冷媒を通過させる第1冷媒通路CR11が設けられている。
【0060】
また、車両側共鳴コイル11および車両側電磁誘導コイル12は、ボビン128の外周面に装着される。このボビン128の外周面側には、車両側共鳴コイル11および車両側電磁誘導コイル12を冷却する冷媒を通過させる環状の第2冷媒通路CR12が設けられている。
【0061】
収容筐体132の一方側には、第1冷媒通路CR11および第2冷媒通路CR12に冷媒を導入するための導入管133が設けられている。この導入管133の内部には、送風機127が配設されている。また、ボビン128を挟んで、収容筐体132の導入管133とは反対側には、排出管134が設けられている。
【0062】
さらに、ボビン128には、導入管133が対向する側面に導入口135が設けられ、排出管134が対向する側面に排出口136が設けられている。なお、本実施の形態おいては、冷媒として冷却風を用いる場合を示し、図中において冷却風の流れを矢印Fで示している。
【0063】
導入管133からの冷却風の一部は、導入口135から第1冷媒通路CR11に流れ込み、整流器13および車両側キャパシタ19の冷却を行なう。
【0064】
導入管133からの冷却風の一部は、環状の第2冷媒通路CR12においてボビン128の外周面に沿って流れ、車両側共鳴コイル11および車両側電磁誘導コイル12の冷却を行なう。
【0065】
第1冷媒通路CR11および第2冷媒通路CR12を通過した冷却風は、排出管134から収容筐体132の外部に放出される。
【0066】
ここで、本実施の形態における収容筐体132においては、第1冷媒通路CR11の内部に、車両側キャパシタ19および整流器13を配置している。従来、整流器13は、車両側コイルユニット131Aの内部には収容されていない機器であったことから、車両側において、車両側コイルユニット131Aの従来から存在していた空き空間に整流器13を配置することで、車両側における設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることが可能となる。
【0067】
ここで、整流器13は発熱する機器である。整流器13を車両側コイルユニット131Aの内部に配置した場合には、車両側コイルユニット131Aの内部温度が上昇する。一方、車両側キャパシタ19は、熱によって容量が変化することから、車両側コイルユニット131Aの内部温度には注意を要し、車両側キャパシタ19自身の温度は安定していることが好ましい。
【0068】
そこで、本実施の形態おける車両側コイルユニット131Aにおいては、冷却風の流れ方向から見て、第1冷媒通路CR11の内部において、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。これにより、車両側キャパシタ19の周囲の雰囲気温度を安定させることができるため、車両側コイルユニット131Aの内部に整流器13を配置した場合であっても、車両側キャパシタ19自身の温度を安定させることができる。
【0069】
なお、整流器13自身も効率良く冷却することが好ましい。整流器13は、図6に示すように、機器として半導体素子基板13bおよび放熱ブロック13cとが、整流器筐体13aの内部に収容されている。また、整流器筐体13aは、放熱ブロック13cからの熱を整流器筐体13aに放出するための通風孔13d,13eを有している。
【0070】
したがって、第2冷媒通路CR12の内部に整流器13を配置する場合には、冷却風流れの方向に通風孔13d,13eが対向するように、整流器筐体13aを配置することで、整流器13の内部に効率良く冷却風を通過させて、冷却効率を向上させることができる。
【0071】
以上、本実施の形態における車両側コイルユニット131Aによれば、収容筐体132の内部に整流器13を配置していることから、車両側における設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることが可能となる。
【0072】
また、冷却風の流れ方向から見て、第1冷媒通路CR11の内部において、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。これにより、整流器13の温度上昇の影響を受けることなく、車両側キャパシタ19自身の温度を安定させることができるとともに、整流器13を冷却することも可能となる。
【0073】
(実施の形態2)
次に、図7および図8を参照して、実施の形態2における車両側コイルユニット131Bの構造について説明する。なお、図7は、車両側コイルユニット131Bの構造を示す縦断面図、図8は、図7中のVIII−VIII線矢視断面に沿った横断面図である。
【0074】
本実施の形態における車両側コイルユニット131Bと上記実施の形態1における車両側コイルユニット131Aとの相違点は、冷媒通路の構造にあり、その他の構成は同じである。したがって、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0075】
本実施の形態における車両側コイルユニット131Bの冷媒通路の構造は、円筒形状のボビン128の軸方向からボビン128の内周面側に冷却風を導入するための導入管140が設けられ、導入管140の内部には、送風機127が配設されている。なお、本実施の形態では、ボビン128の上方側に導入管140を設けているが、ボビン128の下方側に導入管140を設けても良い。
【0076】
導入管140が設けられる位置とは略反対側のボビン128の側面には、連通口135aが設けられている。これにより、ボビン128の内部において、導入管140から連通口135aに向かう第1冷媒通路CR21が形成される。
【0077】
このボビン128に形成された第1冷媒通路CR21の内部においても、実施の形態1の場合と同様に、冷却風の流れ方向から見て、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。
【0078】
さらに、実施の形態1と同様に、ボビン128の外周面側に、環状の車両側共鳴コイル11および車両側電磁誘導コイル12を冷却する冷媒を通過させる第2冷媒通路CR22が設けられている。冷却風流れから見た場合には、第1冷媒通路CR21から第2冷媒通路CR22は一本の冷媒通路を構成する。
【0079】
また、導入管140を挟んで、連通口135aとは反対側に位置する収容筐体132には、第2冷媒通路CR22に連通する排出管134が設けられている。
【0080】
以上、本実施の形態における車両側コイルユニット131Bの構造であっても、収容筐体132の内部に整流器13を配置していることから、車両側における設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることが可能となる。
【0081】
また、実施の形態1の場合と同様に、冷却風の流れ方向から見て、第1冷媒通路CR21の内部において、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。その結果、整流器13の温度上昇の影響を受けることなく、車両側キャパシタ19自身の温度を安定させることができるとともに、整流器13を冷却することも可能となる。
【0082】
(実施の形態3)
次に、図9から図11を参照して、実施の形態3における車両側コイルユニット131Cの構造について説明する。なお、図9は、本実施の形態における車両側コイルユニット131Cの構造を示す横断面図、図10は、図9中の矢印X方向から見た図、図11は、図9中のXI−XI線矢視断面に沿った横断面図である。
【0083】
本実施の形態における車両側コイルユニット131Cと上記実施の形態1における車両側コイルユニット131Aとの相違点は、冷媒通路の構造にある。したがって、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0084】
本実施の形態における車両側コイルユニット131Cの冷媒通路の構造は、収容筐体132の外部から半径方向に沿ってボビン128を貫通する導入管133が設けられ、この導入管133により、第1冷媒通路CR31が形成されている。また、第1冷媒通路CR31の内部には、送風機127が配設されている。
【0085】
また、ボビン128の側面には、導入管133の第1冷媒通路CR31に通じる連通口135aが設けられている。なお、実施の形態1では、円筒形状のボビン128の内部が第1冷媒通路CR31を構成していたが、本実施の形態では、ボビン128の内部を貫通する導入管133の内部が第1冷媒通路CR31を構成している。
【0086】
この第1冷媒通路CR31の内部には、車両側キャパシタ19および整流器13は配置され、実施の形態1および2と同様に、冷却風の流れ方向から見て、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。
【0087】
さらに、実施の形態1と同様に、ボビン128の外周面側に、環状の車両側共鳴コイル11および車両側電磁誘導コイル12を冷却する冷媒を通過させる第2冷媒通路CR32が設けられている。冷却風流れから見た場合には、第1冷媒通路CR31から第2冷媒通路CR32は一本の冷媒通路を構成する。
【0088】
また、収容筐体132の外周面の導入管133の近傍には、導入管133の冷媒導入口を両側から挟む位置に、第2冷媒通路CR32に連通する排出管134が2箇所設けられている。
【0089】
以上、本実施の形態における車両側コイルユニット131Cの構造であっても、収容筐体132の内部に整流器13を配置していることから、車両側における設置または搭載するためのスペースの縮小を図ることが可能となる。
【0090】
また、実施の形態1の場合と同様に、冷却風の流れ方向から見て、第1冷媒通路CR31の内部において、整流器13を車両側キャパシタ19の下流側に配置している。その結果、整流器13の温度上昇の影響を受けることなく、車両側キャパシタ19自身の温度を安定させることができるとともに、整流器13を冷却することも可能となる。
【0091】
また、上記実施の形態では、車両側コイルユニット、および、設備側コイルユニットに、電磁誘導コイルを有するコイルユニットを採用した場合について説明しているが、電磁誘導コイルを有さないコイルユニットであっても、本発明の構成を適用することが可能である。
【0092】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、二次コイルユニットおよび電力伝送システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 電動車両、11 車両側共鳴コイル、12 車両側電磁誘導コイル、13 整流器、13a 整流器筐体、13b 半導体素子基板、13c 放熱ブロック、13d,13e 通風孔、14 コンバータ、15 バッテリ、16 パワーコントロールユニット、17 モータユニット、19 車両側キャパシタ、20 外部給電装置、21 交流電源、22 高周波電力ドライバ、23 設備側電磁誘導コイル、24 設備側共鳴コイル、25 設備側キャパシタ、26 制御部、31 高周波電源、32 一次コイル、33 一次共鳴コイル、34 二次共鳴コイル、35 二次コイル、36 負荷、40,131A,131B,131C 車両側コイルユニット、41 設備側コイルユニット、42 駐車スペース、127 送風機、128 ボビン、132 収容筐体、133,140 導入管、134 排出管、135 導入口、135a 連通口、136 排出口、CR11,CR21,CR31 第1冷媒通路、CR12,CR22,CR32 第2冷媒通路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた一次共鳴コイルと間隔をあけて配置され、前記一次共鳴コイルと電磁界共振結合を行なう二次共鳴コイルと、
前記二次共鳴コイルに接続されるキャパシタと、
前記二次共鳴コイルと電磁誘導結合を行なう電磁誘導コイルと、
前記電磁誘導コイルに接続される整流器と、
前記二次共鳴コイル、前記キャパシタ、前記電磁誘導コイルおよび前記整流器を収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記二次共鳴コイル、前記キャパシタ、前記電磁誘導コイルおよび前記整流器を冷却する冷媒を通過させるための冷媒通路を含み、
前記冷媒流れの方向から見て、前記整流器は前記キャパシタの下流側に配置されている、二次コイルユニット。
【請求項2】
前記冷媒通路は、
前記整流器および前記キャパシタが配置され、前記整流器および前記キャパシタを冷却する冷媒を通過させる第1冷媒通路と、
前記二次共鳴コイルおよび前記電磁誘導コイルが配置され、前記二次共鳴コイルおよび前記電磁誘導コイルを冷却する冷媒を通過させる第2冷媒通路とを有する、請求項1に記載の二次コイルユニット。
【請求項3】
前記筐体は、円筒形状のボビンを有し、
前記キャパシタおよび前記整流器は、前記ボビンの内周面側に配置され、
前記二次共鳴コイルおよび前記電磁誘導コイルは、前記ボビンの外周面に装着され、
前記ボビンの内周面側に前記第1冷媒通路が設けられ、
前記ボビンの外周面側に前記第2冷媒通路が設けられる、
請求項2に記載の二次コイルユニット。
【請求項4】
前記冷媒流れの方向から見て、前記整流器の下流側に前記二次共鳴コイルおよび前記電磁誘導コイルが配置されている、請求項1に記載の二次コイルユニット。
【請求項5】
前記筐体は、円筒形状のボビンを有し、
前記二次共鳴コイルおよび前記電磁誘導コイルは、前記ボビンの外周面に装着され、
前記キャパシタおよび前記整流器は、前記ボビンの内周面側に配置され、
前記ボビンは、その側壁に貫通孔を有し、
前記冷媒通路として、前記ボビンの内周面側に導入された冷媒が、前記貫通孔を通じて前記ボビンの外周側に送り出される通路が形成される、請求項4に記載の二次コイルユニット。
【請求項6】
前記整流器は、
機器と、
前記機器を収容し、通風孔を有する整流器筐体と、を含み、
前記冷媒通路内において、前記冷媒流れの方向に前記通風孔が対向するように、前記整流器筐体が配置される、請求項1から5のいずれかに記載の二次側コイルユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の二次コイルユニットと、
前記二次共鳴コイルと間隔をあけて配置され、前記二次共鳴コイルと電磁界共振結合を行なう前記一次側共鳴コイルを含む一次コイルユニットと、を備える電力伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−244722(P2012−244722A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111293(P2011−111293)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】