説明

二次元コード設置部構造

【解決手段】搬送装置により搬送されるパレットPや容器Vに形成された二次元コード設置部構造において、互いに略直角な外側壁面1b、v1a間に、二次元コードCが設置される垂直な湾曲面A1を形成したものである。
【効果】搬送装置により搬送されるパレットや容器に形成された二次元コード設置部構造において、互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な湾曲面を形成したので、リーダーにより、2方向から二次元コードに蓄積された情報を読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))を、物品を載置して搬送するパレットや物品を収容して搬送する容器に設置するためのパレットや容器における二次元コード設置部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二次元コードは、パレットや容器の側壁の平坦面に、レザーマーキングや印刷により設置されており、このような二次元コード設置部構造は、一例として、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−182352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ローラーコンベヤーやベルトコンベヤー等の搬送装置により、自動倉庫へパレットや容器を入庫する際には、パレットや容器に設置された二次元コードをリーダーで読み取り、パレットや容器を、所定の棚へ収容したり、また、自動倉庫からパレットや容器を出庫する際にも、同様にして、読み取られた二次元コードの情報に基づいて、パレットや容器の搬送先等の種々の情報を得ることが行われている。
【0005】
上述したリーダーは、パレットや容器の搬送装置に沿って、一つ配設されており、作業者が、搬送装置に、パレットや容器を載置する際には、二次元コードが設置されているパレットや容器の側壁を確認して、搬送装置に、パレットや容器を載置する必要があり、この二次元コードの設置側壁の確認作業により、パレットや容器の入出庫作業の作業効率が悪くなるという問題があった。特に、平坦な側壁に設置されている二次元コードの確認作業には、時間がかかるとともに、パレットや容器の適正位置への移動作業の作業者への作業負担が増加することになる。このような問題を解決するためには、パレットや容器の四つの側面に、それぞれ、二次元コードを設置するとともに、パレットや容器の四つの側面に対応して、四つのリーダーを配設する必要があり、従って、パレットや容器のコストや搬送装置のコストが増加することになる。
【0006】
また、二次元コードを、パレットや容器の平坦な側壁に設置した場合には、他のパレットや容器等に当接し易くなり、従って、二次元コードが損傷する頻度が増えるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来の二次元コード設置部構造が有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した目的を達成するために、搬送装置により搬送されるパレットや容器に形成された二次元コード設置部構造において、第1には、互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な湾曲面を形成したものであり、第2には、互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な平坦面を形成したものであり、第3には、互いに略直角な外側壁面の上端部と上面とにより形成される上端部角部に、二次元コードが設置される略逆三角形状の傾斜した平坦面を形成したものであり、第4には、二次元コードが設置される垂直な湾曲面或いは垂直な平坦面の上下部に、突出部を形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
搬送装置により搬送されるパレットや容器に形成された二次元コード設置部構造において、互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な湾曲面を形成したので、リーダーにより、2方向から二次元コードに蓄積された情報を読み取ることができる。
【0010】
互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な平坦面を形成したので、リーダーによる二次元コードの情報の読み取りミスを減少することができる。
【0011】
互いに略直角な外側壁面の上端部と上面とにより形成される上端部角部に、二次元コードが設置される略逆三角形状の傾斜した平坦面を形成したので、上方に配置されたリーダーにより、二次元コードに蓄積された情報を読み取ることができ、従って、リーダーの配置の自由度が高くなる。
【0012】
二次元コードが設置される垂直な湾曲面或いは垂直な平坦面の上下部に、突出部を形成したので、二次元コードが、外部部材に当接し、二次元コードが損傷するようなことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の二次元コード設置部構造が形成されたパレットの斜視図である。
【図2】図2は、図1の二次元コード設置部構造の部分拡大斜視図である。
【図3】図3は、二次元コードが設置された従来のパレットの平面図である。
【図4】図4は、二次元コードが設置された本発明のパレットの平面図である。
【図5】図5は、本発明の別の実施例の二次元コード設置部構造の部分拡大斜視図である。
【図6】図6は、図5に示されている二次元コード設置部構造の部分拡大平面図である。
【図7】図7は、本発明の更に別の実施例の二次元コード設置部構造の部分拡大斜視図である。
【図8】図8は、本発明のなお更に別の実施例の二次元コード設置部構造の部分拡大斜視図である。
【図9】図9は、本発明の二次元コード設置部構造が形成された容器の斜視図である。
【図10】図10は、図9の二次元コード設置部構造の部分拡大斜視図である。
【図11】図11は、図10に示されている二次元コード設置部構造とは別の実施例の部分拡大斜視図である。
【図12】図12は、同じく、図10に示されている二次元コード設置部構造とは更に別の実施例の部分拡大斜視図である。
【図13】図13は、同じく、図10に示されている二次元コード設置部構造とはなお更に別の実施例の部分拡大斜視図である。
【実施例】
【0014】
先ず最初に、図1及び図2を用いて、本発明の実施例について説明する。
【0015】
図1において、Pは、パレットであり、パレットPは、上部デッキp1と下部デッキp2とを有しており、上部デッキp1と下部デッキp2の4つの角部は、隅桁1により連結されており、また、隅桁1間に位置する上部デッキp1と下部デッキp2とは、中間桁2により連結されており、更に、上部デッキp1と下部デッキp2の中央部は、中央桁3により連結されている。f1は、隅桁1と中間桁2及び中間桁2と中央桁3間に形成されたフォーク挿入用開口である。
【0016】
隅桁1は、四角筒状に形成されており、隅桁1は、外側角部1aと、該外側角部1aを挟んで、互いに、略直角な平坦な外側壁面1bとを有している。外側角部1aは、略円筒の円周面の一部を形成する、垂直な湾曲面A1として形成されている。このような、湾曲面A1は、四つの隅桁1のうちの、一つの隅桁1のみに形成されていることが好ましい。
【0017】
隅桁1の互いに略直角な外側壁面1b間に形成された垂直な湾曲面A1に沿った上部デッキp1の角部には、垂直な湾曲面A1から水平方向に突出した上端水平突出縁部p1aが形成されており、また、隅桁1の互いに、略直角な外側壁面1b間に形成された垂直な湾曲面A1に沿った下部デッキp2の角部にも、垂直な湾曲面A1から水平方向に突出した下端水平突出縁部p2aが形成されている。このように、隅桁1の互いに略直角な外側壁面1b間に形成された垂直な湾曲面A1は、上部デッキp1の角部に形成された上端水平突出縁部p1aの縁端及び下端水平突出縁部p2aの縁端とから引っ込んで形成されている。
【0018】
本実施例においては、上述した上部デッキp1の角部に形成された上端水平突出縁部p1aの縁端及び下端水平突出縁部p2aの縁端とから引っ込んで形成されている垂直な湾曲面A1に、二次元コードCが配設されている。二次元コードCは、公知のように、レザーマーキングや印刷により形成することができる。
【0019】
パレットPが、搬送装置により、図3の矢印X方向に搬送される際に、図3(a)に示されているように、リーダーRが、パレットPの側壁の平坦面に設置されている二次元コードCと対向するように位置している場合には、リーダーRが、二次元コードCに蓄積された情報を読み取ることができる。しかしながら、図3(b)に示されているように、パレットPが、誤って、90度回転された状態で、矢印X方向に搬送された際には、リーダーRが、パレットPの側壁の平坦面に配設されている二次元コードCと対向するように位置していないので、リーダーRが、二次元コードCに蓄積された情報を読み取ることができないことになる。
【0020】
上述したような問題を解決するためには、作業者が、搬送装置に、パレットPを載置する際には、同一形状のパレットPの側壁を目視し、二次元コードが設置されている側壁を確認しなければならず、側壁に設置されている二次元コードの確認作業には、時間がかかることになる。ところが、本発明においては、二次元コードCが設置されている隅桁1と、二次元コードCが設置されていない隅桁1とを、二次元コードCが設置されている隅桁1に湾曲面A1を形成することにより、二次元コードCが設置されている隅桁1を、隅桁1の形状により、簡単に識別することができるので、パレットPの二次元コードCが設置されている隅桁1を、迅速に見極めることができ、従って、二次元コードCが設置されている隅桁1の湾曲面A1が、リーダーR側に位置するように、迅速に、且つ、確実に、パレットPを、搬送装置に載置することができる。
【0021】
また、本発明においては、上述したように、隅桁1の互いに略直角な外側壁面1b間に形成された垂直な湾曲面A1に、二次元コードCが設置されている。従って、図4(a)に示されているように、湾曲面A1が、リーダーR側に位置する場合には、リーダーRが、二次元コードCと対向するように位置しているので、二次元コードCに蓄積された情報を読み取ることができるとともに、図4(b)に示されているように、パレットPが、誤って、90度回転された状態においても、リーダーRが、二次元コードCと対向するように位置しているので、二次元コードCに蓄積された情報を読み取ることができる。
【0022】
上述したように構成されているので、搬送されるパレットPが、誤って、90度回転された状態においても、リーダーRが、二次元コードCに蓄積された情報を読み取ることができ、従って、リーダーRの二次元コードCに蓄積された情報の読み取りミスを、減少することができる。
【0023】
更に、上部デッキp1の角部に形成された上端水平突出縁部p1aの縁端及び下端水平突出縁部p2aの縁端とから引っ込んで形成されている垂直な湾曲面A1に、二次元コードCが配設されているので、パレットPが、互いに当接した際には、パレットPの当接した同士の上部デッキp1の角部に形成された上端水平突出縁部p1aと下端水平突出縁部p2aが当接することになり、従って、一方のパレットPに配設された二次元コードCに、もう一方のパレットPが当接するようなことがないので、パレットP同士の当接により、二次元コードCが損傷するようなことを防止することができる。
【0024】
図5及び図6に示されている実施例は、上述した実施例における湾曲面A1を、平坦面A2として形成したものである。また、隅桁1の平坦な外側壁面1bと平坦面A2とのなす角度θ1は、略135度に形成されている。このように、上述した実施例における垂直な湾曲面A1を、垂直な平坦面A2に形成したので、平坦面A2に配設された二次元コードCのリーダーRによる情報の読み取りミスを減少することができる。
【0025】
図7には、本発明の更なる実施例が示されており、この実施例においては、図2に示されている実施例における、隅桁1の互いに、略直角な外側壁面1b間に形成された垂直な湾曲面A1に、天面1c1と、底面1c2と、平坦な垂直奥壁面A3とからなる切欠き凹部1cを形成したものである。また、隅桁1の平坦な外側壁面1bと切欠き凹部1cを構成する垂直奥壁面A3とのなす角度が、図5と図6に示されている実施例と同様に、略135度に形成されている。そして、平坦な垂直奥壁面A3に、二次元コードCが設置されている。
【0026】
上述したように、上述した図2に示されているように、二次元コードCが、上部デッキp1に形成された上端水平突出縁部p1aと下部デッキp2に形成された下端水平突出縁部p2aとの間に形成された垂直な湾曲面A1に設置された場合に比べて、切欠き凹部1cの天面1c1と底面1c2との間隔が狭い切欠き凹部1cに設置されているので、より確実に、二次元コードCの損傷を防止することができる。
【0027】
図8には、また更なる実施例が示されており、この実施例においては、隅桁1の互いに略直角な外側壁面1bの上端部と、上部デッキp1のデッキ面p1bとにより形成される隅桁上端部角部に、略逆三角形状の傾斜した平坦面A4を形成したものであり、隅桁上端部角部に形成された略逆三角形状の傾斜した平坦面A4に、二次元コードCを設置したものである。このように、隅桁上端部角部に形成された略逆三角形状の傾斜した平坦面A4に、二次元コードCを配設することにより、パレットPの上方に配置されたリーダーRにより、二次元コードCに蓄積された情報を読み取ることができ、従って、リーダーRの配置の自由度が高くなる。例えば、パレットPが搬送される場所によって、パレットPの側方に、リーダーRが配置される十分な空間がない場合があるが、このような場合にも、リーダーRを、パレットPの上方に位置する空間に配置することができる。
【0028】
上述したように、パレットPの隅桁1の外側角部1aに形成された湾曲面A1や平坦面A2〜A4に、二次元コードCを設置するように構成したので、湾曲面A1や平坦面A2〜A4に対向するように、リーダーRを配置した際には、平面的に見て、パレットPが、搬送装置の搬送方向Xに対して、例えば、反時計方向に対して、90度、回動された状態で、搬送装置に載置されたとしても、二次元コードCに蓄積されている情報を、リーダーRにより、読み取ることができることになる。
【0029】
また、二次元コードCが設置される垂直な湾曲面A1及び垂直の平坦面A2、A3の上方及び下方に、垂直な湾曲面A1や垂直な平坦面A2、A3から外側に突出する突出部を形成したので、パレットP同士の当接や、外部部材のパレットPへの当接により、二次元コードCが損傷するようなことを防止することができる。
【0030】
更に、隅桁1の隅桁上端部角部に形成された略逆三角形状の傾斜した平坦面A4に、二次元コードCを配設したので、隅桁1の外側壁面1bに対向するように配置されたリーダーRを、隅桁1の上方に配置することができ、従って、リーダーRの配置自由度が高くなる。
【0031】
図9及び図10には、上述した実施例に示されているパレットPの隅桁1の外側角部1aに形成された湾曲面A1や平坦面A2〜A4を、容器Vの下端角部v1に形成したものである。
【0032】
容器Vの下端角部v1は、下端角部v1を挟んで、互いに、略直角な平坦な外側壁面v1aを有しており、下端角部v1には、垂直状の略円筒の円周面の一部を形成する、垂直な湾曲面A1’が形成されている。この垂直な湾曲面A1’に、上述した図2に示されている実施例と同様に、二次元コードCが設置されている。
【0033】
図11に示されている実施例は 図10に示されている垂直な湾曲面A1’の全体を、図5に示されている実施例のように、平坦面A2’として形成したものであり、この平坦面A2’に、二次元コードCが設置されている。
【0034】
図12に示されている実施例は、図10に示されている垂直な湾曲面A1’の上部のみを、平坦面A3’としたものであり、この平坦面A3’に、二次元コードCが設置されている。
【0035】
図13に示されている実施例は、上述した図8に示されている実施例と同様に、容器Vの下端角部v1を構成する互いに、略直角な平坦な外側壁面v1aの上端部と、下端角部v1の水平平面v1bとにより形成される上端部角部に、略逆三角形状の傾斜した平坦面A4’を形成したものであり、この略逆三角形状の傾斜した平坦な平坦面A4’に、二次元コードCが配設されている。
【0036】
上述した、図9〜図13に示されている実施例は、二次元コードCが設置されている対象物が、図1〜図8に示されているパレットPに対して、容器Vに代替されただけであり、その作用効果についても同じであるので、その詳細な説明については、省略する。
【符号の説明】
【0037】
A1・・・・・・・・・・垂直な湾曲面
A2、A3・・・・・・・垂直な平坦面
P・・・・・・・・・・・パレット
V・・・・・・・・・・・容器
1b、v1a・・・・・・外側壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により搬送されるパレットや容器に形成された二次元コード設置部構造において、互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な湾曲面が形成されていることを特徴とする二次元コード設置部構造。
【請求項2】
搬送装置により搬送されるパレットや容器に形成された二次元コード設置部構造において、互いに略直角な外側壁面間に、二次元コードが設置される垂直な平坦面が形成されていることを特徴とする二次元コード設置部構造。
【請求項3】
搬送装置により搬送されるパレットや容器に形成された二次元コード設置部構造において、互いに略直角な外側壁面の上端部と上面とにより形成される上端部角部に、二次元コードが設置される略逆三角形状の傾斜した平坦面が形成されていることを特徴とする二次元コード設置部構造。
【請求項4】
二次元コードが設置される垂直な湾曲面或いは垂直な平坦面の上下部に、突出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二次元コード設置部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−1096(P2011−1096A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146086(P2009−146086)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】