説明

二次元バーコード読取装置、プログラム、二次元バーコード及び媒体

【課題】二次元バーコードの復号精度の向上を図る。
【解決手段】取得した画像からQRコードを検出するQRコード検出部22と、クワイエットゾーン内にある補助パターンを検出する補助パターン検出部23と、検出された補助パターンと基準パターンとを比較することによりQRコードの画像の歪み、伸縮及び濃度変動の各変動量を検出し、この検出した変動量に基づき検出したQRコードを補整する画像補整部24と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元バーコード読取装置、プログラム、二次元バーコード及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
歪み、伸縮等が発生するなどして画像が劣化している二次元バーコードを、復号可能かどうかを評価するための技術が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−128469号公報
【特許文献2】特許第2946945号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、二次元バーコードの復号精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る二次元バーコード読取装置は、二次元バーコードを含む画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された画像から予め決められた領域内にある補助パターンであって、コード画像の歪みを検出するための歪み検出パターン、コード画像の伸縮を検出するための伸縮検出パターン又はコード画像の濃度の変動を検出するための濃度変動検出パターンの少なくともいずれか1つを含む補助パターンを検出する補助パターン検出手段と、前記領域内に設定される補助パターンを基準パターンとして記憶する基準パターン記憶手段と、前記補助パターン検出手段により検出された補助パターンと前記基準パターンとを比較することにより二次元バーコードの画像の変動量を検出する変動量検出手段と、前記変動量検出手段により検出された変動量に従って前記取得手段により取得された画像に含まれる二次元バーコードの画像を補整する補整手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、前記補助パターン検出手段は、矩形形状であるコード画像に対して水平方向及び垂直方向の双方に設けられている補助パターンを検出することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、二次元バーコードを含む画像を取得する取得手段、前記取得手段により取得された画像から予め決められた領域内にある補助パターンであって、コード画像の歪みを検出するための歪み検出パターン、コード画像の伸縮を検出するための伸縮検出パターン又はコード画像の濃度の変動を検出するための濃度変動検出パターンの少なくともいずれか1つを含む補助パターンを検出する補助パターン検出手段、前記補助パターン検出手段により検出された補助パターンと、前記領域内に設定される補助パターンの基準パターンとを比較することにより二次元バーコードの画像の変動量を検出する変動量検出手段、前記変動量検出手段により検出された変動量に従って前記取得手段により取得された画像に含まれる二次元バーコードの画像を補整する補整手段、として機能させる。
【0008】
本発明に係る二次元バーコードは、付近の予め決められた領域内に、コード画像の歪みを検出するための歪み検出パターン、コード画像の伸縮を検出するための伸縮検出パターン又はコード画像の濃度の変動を検出するための濃度変動検出パターンの少なくともいずれか2つを組み合わせて配置されたことを特徴とする。
【0009】
また、前記領域は、クワイエットゾーン内であって前記各パターンを形成するモジュールがコード画像の領域と隣接しない位置に設けられることを特徴とする。
【0010】
また、前記領域は、矩形形状であるコード画像に対して水平方向及び垂直方向の双方に設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る媒体は、上記いずれかの発明の二次元バーコードが付加されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1,3記載の発明によれば、復号精度を向上させるべく二次元バーコードの補整を行うことができる。
【0013】
請求項2,6記載の発明によれば、二次元方向の歪み、伸縮又は濃度変動などを検出することができる。
【0014】
請求項4,7記載の発明によれば、二次元バーコードの復号精度の向上を図ることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、検出パターンを二次元バーコードの側近に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る二次元バーコード読取装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。
【図2】本実施の形態における二次元バーコード読取装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態において取り扱う補助パターンの配置領域の一例を示した図である。
【図4】本実施の形態における配置領域に対する補助パターンの配置例を示した図である。
【図5】本実施の形態におけるQRコードの復号処理を示したフローチャートである。
【図6】本実施の形態において用いる歪み検出パターンの一例を示した図である。
【図7】本実施の形態において検出された、歪みを有する補助パターンと基準パターンとを上下に並べて示した図である。
【図8】本実施の形態において検出された伸縮を有する補助パターンを基準パターンの上下に並べて示した図である。
【図9】本実施の形態において検出された濃度変動を有する補助パターンを基準パターンの上下に並べて示した図である。
【図10】本実施の形態において検出された濃度変動を有する補助パターンを、他の基準パターンの上下に並べて示した図である。
【図11】本実施の形態において、補助パターンの配置領域に配置する補助パターンの配置の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る二次元バーコード読取装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。また、図2は、本実施の形態における二次元バーコード読取装置20を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【0019】
図2において、コンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、二次元バーコード読取装置20を形成するコンピュータは、図2に示したようにCPU1、ROM2、RAM3、ハードディスクドライブ(HDD)4を接続したHDDコントローラ5、入力手段として設けられたマウス6とキーボード7、及び表示装置として設けられたディスプレイ8をそれぞれ接続する入出力コントローラ9、通信手段として設けられたネットワークコントローラ10を内部バス11に接続して構成される。
【0020】
図1に戻り、本実施の形態における二次元バーコード読取装置20は、画像取得部21、QRコード検出部22、補助パターン検出部23、画像補整部24、復号部25及び基準パターン記憶部26を有している。なお、本実施の形態では、二次元バーコードとしてQRコードを取り扱う場合を例にして説明する。画像取得部21は、QRコードを含む画像を取得する。QRコード検出部22は、取得された画像からQRコードの画像を検出し、抽出する。補助パターン検出部23は、QRコードの画像の中から補助パターンを検出する。補助パターンについては、後述する。基準パターン記憶部26には、検出された補助パターンの変動量を検出するための基準となる補助パターン、すなわちQRコードと共に画像に埋め込まれた歪みや伸縮等の何ら影響を受けていない(変動されていない)補助パターン(以下、「基準パターン」)に関する情報が記憶されている。基準パターンに関する情報には、基準パターンの画像、配置、形状、大きさなどが含まれる。画像補整部24は、変動量検出手段及び補整手段として設けられ、検出された補助パターンを基準パターンと比較することによりQRコードの画像の変動量を検出し、その検出した変動量に従って前記取得手段により取得された画像に含まれるQRコードの画像を補整する。復号部25は、補整されたQRコードを復号することによってコード化されていたデータを取り出す。
【0021】
二次元バーコード読取装置20における各構成要素21〜25は、二次元バーコード読取装置20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU1で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、基準パターン記憶部26は、二次元バーコード読取装置20におけるHDD4にて実現される。あるいは、記憶手段を有する外部のコンピュータ上に設け、二次元バーコード読取装置20は、そのコンピュータから直接若しくはネットワーク経由で必要な情報を取得するように構成してもよい。
【0022】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがインストールプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0023】
図3は、本実施の形態において取り扱う補助パターンの配置領域の一例を示した図である。また、図3には、QRコードの要部拡大図も含まれている。図3には、補助パターンが適用されるQRコードと、補助パターンの配置領域34とが示されている。通常、QRコードが付加される媒体上の他の情報と区別できるように、QRコードの周囲には、一般にクワイエットゾーン31と呼ばれる何も表示されない領域が設けられる。クワイエットゾーン31は、最低4モジュールの幅を有し、余白を形成する。1モジュールは、QRコードの描画基準サイズである。本実施の形態では、このクワイエットゾーン31を有効利用して、この部分に少なくとも1モジュール幅の補助パターンの配置領域34を設けるようにした。補助パターンの配置領域34は、クワイエットゾーン31の内側のQRコード画像と接しないように、かつクワイエットゾーン31の外側の他の画像と接しないように設ける必要がある。よって、4モジュール幅のクワイエットゾーン31の場合は、2モジュール幅で補助パターンの配置領域34を設けてもよい。図3に示したように、本実施の形態では、QRコードの画像部分32から2モジュール分離れた位置であり、かつクワイエットゾーン31の外縁33から1モジュール分離れた位置のモジュールの位置を補助パターンの配置領域34としている。
【0024】
図4は、補助パターンの配置例を示した図である。図3では、補助パターンの配置領域34を、QRコード全周を取り囲むように最大限の領域を示したが、実際には、図4に例示したように、QRコード全周とは限らず、縦の辺又は横の辺、すなわち垂直方向又は水平方向の少なくとも一方に部分的に設けるようにしてもよい。図4の最上段は補助パターンをQRコードの一辺に配置する場合の例、2段目はQRコードの二辺に配置する場合の例、3段目はQRコードの三辺に配置する場合の例である。そして最下段には、全周に配置する例と、辺の一部分に配置した領域を連結させることで一つの角部分に配置する例と、一辺とその辺を挟む辺の一部分に配置する例と、が示されている。なお、図4に示した例に限らず、例えば辺の中央部分のみなど、種々のパターンで補助パターンの配置領域34を設定してもよい。
【0025】
次に、本実施の形態におけるQRコードの復号処理について図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0026】
画像取得部21は、QRコードを含む画像を取得する(ステップ110)。これは、図示しないスキャナにより紙文書等の媒体の読取画像でもよいし、予めスキャンされて形成された画像データをHDD4から読み出したり、あるいはネットワーク経由で取得してもよい。続いて、QRコード検出部22は、画像取得部21により取得された画像の中からQRコードを検出し、QRコードの画像を抽出する(ステップ120)。QRコード等の二次元バーコードには、予め決められた位置に位置検出パターンがコード画像内に埋め込まれているので、これを画像の中から検出することによってQRコードの位置を特定する。QRコードの検出は、既存の技術を利用してよい。QRコードの位置が特定されると、補助パターン検出部23は、補助パターンの配置領域内から補助パターンを検出する。本実施の形態の場合は、QRコードの画像の周囲に存在するクワイエットゾーンに含まれる補助パターンの配置領域内としているように、補助パターンの設定位置は予め決められている。本実施の形態では、QRコード内にある基準点と補助パターンとの位置関係が予め決められているものとしている。従って、補助パターン検出部23は、QRコードから、その基準点を特定し、その基準点からの位置関係に基づいて補助パターンの位置を特定する。基準点は、例えば、QRコードの位置検出パターンの中心座標としてもよいし、他の規則に従って決めてもよい。あるいは、QRコードから得られる基準点から補助パターン内にある基準点を特定し、その補助パターンにおける基準点からの位置関係によって補助パターンを検出するようにしてもよい。本実施の形態では、前述したように、クワイエットゾーン内に、図4に例示したように配置の補助パターンが検出される(ステップ130)。
【0027】
取得された画像から補助パターンが検出されると、画像補整部24は、基準パターン記憶部26から基準パターンを読み出し、その基準パターンと、検出された補助パターンとを比較することによって、検出された補助パターンの変動量を検出する(ステップ140)。基準パターンと検出された補助パターンとのずれ(変動)は、読取精度の低い機器を用いた画像読取り、ハンディスキャナによる画像読取り、スキャナの原稿ガラスの状態、読取面が平らにできない冊子等の見開き原稿の読取り等により発生しうる。そして、変動量は、矩形形状であるQRコードの歪み、横の伸縮、濃度変動等によって表される。この変動量の検出方法については、追って詳述する。
【0028】
画像補整部24は、変動量を検出すると、その変動量により歪み補整(アフィン変換等)、膨張収縮、また多値スキャン時には濃度補整を行ってQRコード画像を補整する(ステップ150)。ここでは、QRコードを復号できればよいのでQRコードのみを補整するが、取得した画像全体を補整してもよい。
【0029】
そして、復号部25は、補整された画像からQRコードを復号する(ステップ160)。復号方法はQRコードの仕様に基づく。QRコードは既に検出されているので、その結果を用いる。画像補整の結果、QRコードの座標が変更になっている場合には、その座標情報も補整する。
【0030】
以下、本実施の形態における補助パターン及び変動量の検出について説明する。
【0031】
本実施の形態では、補助パターンの機能として歪み測定、縦横伸縮測定及び濃度変動測定、という3つの機能を提供する。
【0032】
図6は、本実施の形態において用いる歪み検出パターンの一例を示した図である。歪み検出パターンは、QRコード画像の歪みを検出するために用いる補助パターンである。本実施の形態の場合、クワイエットゾーン内に1モジュール幅で補助パターンを配置するので、補助パターンの所定の配置領域内に1×1モジュールの黒パッチを、QRコードのタイミングパターンに合わせて1モジュールの等間隔に並べることで歪み検出パターンを形成する。なお、図6では、黒パッチを横方向に並べているが、縦方向の配置領域には縦方向に並べることは言うまでもない。
【0033】
図7は、検出された補助パターン(図においては「検出パターン」と称する)と基準パターンとを上下に並べて示した図である。QRコードのクワイエットゾーンには、基準パターンが描画されることになるが、前述した理由により検出パターンには歪みが発生しうる。図7に例示したように、歪みが発生している場合、検出パターンを構成する黒パッチは、整然と並んで検出されない。そこで、本実施の形態では、検出パターンの各黒パッチの中心座標を求め、この中心座標の並びと、基準パターンに含まれる黒パッチの中心座標の並び(通常は、直線)とを比較することによって変動量を検出する。この場合の変動量は、周知の統計処理等を利用して分散等により表される変動量を算出してもよい。なお、図7に示したような横並びの黒パッチによる基準パターンは、横方向の歪みのみを検出するので、縦方向の歪みを検出するには、縦に並んだ黒パッチによる基準パターンを補助パターンの配置領域34に配置すればよい。また、本実施の形態では、黒パッチの中心座標を用いて変動量を検出するようにしたが、例えば黒パッチの左上の角のように他の基準点を用いるようにしてもよい。
【0034】
なお、図6に示した黒パッチは、1×nモジュール(nは正整数)で形成してもよいし、必ずしも一定の間隔で配置しなくてもよい。また、色も黒に限定する必要はない。ただ、歪み検出パターンにおける黒パッチの位置、形状(大きさ)が事前に求められ基準パターン記憶部26に登録されていればよい。
【0035】
次に、縦横伸縮測定のための補助パターンについて説明するが、この補助パターンは、コード画像の伸縮を検出するための補助パターンであるが、この伸縮検出パターンは、図6に示したのと同じパターンで形成してよい。つまり、伸縮検出パターンと歪み検出パターンとは兼用してもよい。なお、兼用したときの補助パターンは、「歪み伸縮検出パターン」と称することにする。図8は、基準パターンと、その上下に検出パターンを並べて示した図である。検出パターン(収縮)は、例えば読取画像がかすんでしまうようなスキャナを使用することで形成されうるが、基準パターンと比較して幅の小さいパターンで検出される。一方、検出パターン(膨張)は、例えば読取画像が黒ずんでしまうようなスキャナを使用することで形成されうるが、基準パターンと比較して幅の広いパターンで検出される。この場合の変動量は、辺の長さの比率等により表される変動量を算出してもよい。なお、図8に示したような横並びの黒パッチによる基準パターンは、横方向の伸縮のみを検出するので、縦方向の伸縮を検出するには、縦に並んだ黒パッチによる基準パターンを補助パターンの配置領域34に配置すればよい。黒パッチは、1×nモジュール(nは正整数)で形成してもよいし、必ずしも一定の間隔で配置しなくてもよい。また、色も黒に限定する必要はない。伸縮検出パターンにおける黒パッチの位置、形状(大きさ)が事前に求められ基準パターン記憶部26に登録されていればよい。
【0036】
図9及び図10は、それぞれ本実施の形態において用いる濃度変動検出パターンの一例を示した図である。なお、図9,10には、濃度変動検出パターン42,44の両端に配置した歪み伸縮検出パターン41,43も合わせて図示している。濃度変動検出パターンは、コード画像の濃度の変動を検出するために用いる補助パターンである。本実施の形態の場合、2種類の濃度変動検出パターンを提供する。
【0037】
このうち、濃度変動検出パターン42は、図9に示したようにグラデーションタイプのパッチであり、1×nモジュールの黒パッチを採用し、この黒パッチ内の画素値を、一方から他方に行くに連れ(図9では右から左)、濃度が徐々に薄くなるように、つまり画素値が徐々に小さくなるように濃度に勾配を付ける。グラデーションタイプの濃度変動検出パターンの場合、検出パターンを例えば2値化すると、濃度の濃い検出パターンは、基準パターンと比較して黒部分が長くなり、濃度の薄い検出パターンは、基準パターンと比較して黒部分が短くなる。この長さを変動量として検出してもよい。なお、パッチの色は、黒に限定する必要はない。
【0038】
もう1つの濃度変動検出パターン44は、図10に示したように1×1モジュールを1モジュールの等間隔に並べ、つまり黒パッチを分離した状態で並べ、そして一方から他方に行くに連れ(図10では右から左)、黒パッチの濃度が徐々に連続的に薄くなるように、つまり黒パッチの画素値が徐々に小さくなるように濃度に勾配を付ける。
【0039】
分離タイプの濃度変動検出パターンの場合、検出パターンを例えば2値化すると、濃度の濃い検出パターンは、黒パッチの検出数が基準パターンと比較して多くなり、濃度の薄い検出パターンは基準パターンと比較して少なくなる。この黒パッチの検出数を変動量として検出してもよい。黒パッチは、1×nモジュール(nは正整数)で形成してもよいし、必ずしも一定の間隔で配置しなくてもよい。また、色も黒に限定する必要はない。
【0040】
なお、図9に示したような横方向に長い濃度変動検出パターン及び図10に示したような横並びの黒パッチによる基準パターンは、横方向の濃度変動のみを検出するので、縦方向の濃度変動を検出するには、横方向に長い濃度変動検出パターン又は縦に並んだ黒パッチによる基準パターンを補助パターンの配置領域34に配置すればよい。濃度変動検出パターンにおける黒パッチの位置及び画素値が事前に求められ基準パターン記憶部26に登録されていればよい。
【0041】
なお、歪み検出パターンと伸縮検出パターンとを兼用してもよいことについては前述したが、濃度が濃い場合などの条件のもとでは、濃度変動検出パターンを他の検出パターンと兼用することは可能である。
【0042】
図11は、補助パターンの配置領域に配置する補助パターンの配置の例を示した図である。図11では、点線で歪み伸縮検出パターン用の配置領域を、実線で濃度変動検出パターン用の配置領域を、それぞれ示している。図11(a)は、QRコードの位置検出パターンがある角部に濃度変動検出パターンを、濃度変動検出パターンの間に歪み伸縮検出パターンを配置する場合の例である。一方、図11(b)は、その逆のパターンである。図11(c)は、歪み伸縮検出パターンと濃度変動検出パターンとをそれぞれ縦と横に配置した例である。連続した配置領域を用意したいときに好適である。図11(d)は、歪み伸縮検出パターンのみを配置した例である。濃度変動が極めて少ない二値プリントスキャンが前提になっている場合には好適である。短いQRコードの場合にも有効である。この逆に濃度変動検出パターンのみを配置してもよい。二次元バーコード読取装置20は、このように少なくとも1つの補助パターンが配置されたQRコードを読み取る。図11(e)は、縦と横の各一辺のみに濃度変動検出パターンを配置した例である。図11(f)は、変動量を検出する上で機能を最小限にまとめた例であって、縦と横の辺に部分的に濃度変動検出パターンを、横の辺に部分的に歪み伸縮検出パターンを配置した例である。
【0043】
本実施の形態では、以上のように補助パターンを配置するQRコード付近の予め決められた領域として、クワイエットゾーンを例にして説明した。ただ、補助パターンは、このクワイエットゾーンに限定する必要はない。例えば、QRコードが設けられた文書画像内であれば、どこに配置してもかまわない。もちろん、QRコードが受ける歪み等に近い変動を認識するためにはQRコードの付近に配置することが好適である。
【0044】
また、補助パターンの配置を検出するために、本実施の形態では、QRコード内に基準点を設定した。この基準点もQRコード内に限定する必要はなく、QRコードが設けられた文書画像内であれば、どこに配置してもかまわない。もちろん、補助パターンが配置されるQRコードの付近やQRコード内であることが好適である。
【0045】
QRコードには、以上説明したように歪み検出パターン、伸縮検出パターン又は濃度変動検出パターンの少なくともいずれか2つを組み合わせて配置した。本実施の形態では、各補助パターンについてパッチの配置例をいくつか示したが、このパッチの配置パターンは、QRコードのバージョン(型番)、QRコードを使用する既知の条件、例えば、QRコードを付加する画像、QRコードを印刷するプリンタ、あるいはQRコードを読み取るスキャナ等の各特性に適合させて設定すればよい。
【0046】
また、本実施の形態では、二次元バーコードとしてQRコードを例にして説明したが、これに限定しない。
【符号の説明】
【0047】
1 CPU、2 ROM、3 RAM、4 ハードディスクドライブ(HDD)、5 HDDコントローラ、6 マウス、7 キーボード、8 ディスプレイ、9 入出力コントローラ、10 ネットワークコントローラ、11 内部バス、20 二次元バーコード読取装置、21 画像取得部、22 QRコード検出部、23 補助パターン検出部、24 画像補整部、25 復号部、26 基準パターン記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元バーコードを含む画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された画像から予め決められた領域内にある補助パターンであって、コード画像の歪みを検出するための歪み検出パターン、コード画像の伸縮を検出するための伸縮検出パターン又はコード画像の濃度の変動を検出するための濃度変動検出パターンの少なくともいずれか1つを含む補助パターンを検出する補助パターン検出手段と、
前記領域内に設定される補助パターンを基準パターンとして記憶する基準パターン記憶手段と、
前記補助パターン検出手段により検出された補助パターンと前記基準パターンとを比較することにより二次元バーコードの画像の変動量を検出する変動量検出手段と、
前記変動量検出手段により検出された変動量に従って前記取得手段により取得された画像に含まれる二次元バーコードの画像を補整する補整手段と、
を有することを特徴とする二次元バーコード読取装置。
【請求項2】
前記補助パターン検出手段は、矩形形状であるコード画像に対して水平方向及び垂直方向の双方に設けられている補助パターンを検出することを特徴とする請求項1に記載の二次元バーコード読取装置。
【請求項3】
コンピュータを、
二次元バーコードを含む画像を取得する取得手段、
前記取得手段により取得された画像から予め決められた領域内にある補助パターンであって、コード画像の歪みを検出するための歪み検出パターン、コード画像の伸縮を検出するための伸縮検出パターン又はコード画像の濃度の変動を検出するための濃度変動検出パターンの少なくともいずれか1つを含む補助パターンを検出する補助パターン検出手段、
前記補助パターン検出手段により検出された補助パターンと、前記領域内に設定される補助パターンの基準パターンとを比較することにより二次元バーコードの画像の変動量を検出する変動量検出手段、
前記変動量検出手段により検出された変動量に従って前記取得手段により取得された画像に含まれる二次元バーコードの画像を補整する補整手段、
として機能させるプログラム。
【請求項4】
付近の予め決められた領域内に、コード画像の歪みを検出するための歪み検出パターン、コード画像の伸縮を検出するための伸縮検出パターン又はコード画像の濃度の変動を検出するための濃度変動検出パターンの少なくともいずれか2つを組み合わせて配置されたことを特徴とする二次元バーコード。
【請求項5】
前記領域は、クワイエットゾーン内であって前記各パターンを形成するモジュールがコード画像の領域と隣接しない位置に設けられることを特徴とする請求項4に記載の二次元バーコード。
【請求項6】
前記領域は、矩形形状であるコード画像に対して水平方向及び垂直方向の双方に設けられることを特徴とする請求項4に記載の二次元バーコード。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の二次元バーコードが付加されたことを特徴とする媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−175314(P2011−175314A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36836(P2010−36836)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】