二次電池および電極群製造装置
【課題】扁平状の軸芯にセパレータが常に安定した強度で溶着された電極群を有する二次電池と電極群製造装置の提供。
【解決手段】二次電池は、電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有している。電極群は、軸芯にセパレータの先端部分が熱溶着された熱溶着部を有しており、その熱溶着部が軸芯に曲面形状の凹みを形成している。また、電極群製造装置は、電極とセパレータを互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯に捲回して二次電池の電極群を製造するものであり、セパレータを軸芯に押圧して熱溶着するヒータブロック70を有しており、ヒータブロック70は、軸芯に押圧されるヒータ先端部70Aが凸曲面形状を有している。
【解決手段】二次電池は、電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有している。電極群は、軸芯にセパレータの先端部分が熱溶着された熱溶着部を有しており、その熱溶着部が軸芯に曲面形状の凹みを形成している。また、電極群製造装置は、電極とセパレータを互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯に捲回して二次電池の電極群を製造するものであり、セパレータを軸芯に押圧して熱溶着するヒータブロック70を有しており、ヒータブロック70は、軸芯に押圧されるヒータ先端部70Aが凸曲面形状を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有する二次電池と、その電極群を製造する電極群製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、電池容器内に、電極群が収容され、電解液が注入された構造を有している。電極群は、正・負極の電極を、セパレータを間に介在させて軸芯に捲回することによって形成されている。電極群を形成する場合に、軸芯にセパレータの巻取り側端部を溶着させてから、軸芯にセパレータを巻き付けることが従来から行われている。
【0003】
例えば、円筒形の二次電池に用いられる円筒電極群では、軸芯に複数枚のセパレータの各巻取り側端部を溶着し、その後回転させて巻き取る過程で、各セパレータの間に正極電極と負極電極を差し入れて捲回し、電極群を形成する方法が紹介されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、軸芯とセパレータの溶着方法としては、樹脂性の円柱形の軸芯にセパレータを重ね、その状態でヒータブロックを押し付けて熱溶着する方法が紹介されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−185220号公報
【特許文献2】特開2009−259747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2による方法は、円筒電極群に関するものである。円筒電極群に用いられる軸芯は、断面が円形であり、溶着する際の軸芯の回転角(回転停止位置)がいかなる角度であっても、軸芯に押圧される溶着ヒータとの接触状態は変わらない。したがって、円筒電極群に用いられる軸芯の場合は、セパレータと軸芯の溶着強度に影響を与えることはなく、常に一定の溶着面積でセパレータを溶着させることができる。
【0007】
しかしながら、例えば角形二次電池の扁平電極群に用いられる扁平状の軸芯は、断面が非円形であるので、僅かでも回転角に誤差が生じると、軸芯に押圧される溶着ヒータとの接触状態が変化する。すなわち、扁平な電極群の軸芯とセパレータをヒータで溶着する際、軸芯とヒータの接触角度のずれで溶着が不安定となる。
【0008】
したがって、接触状態によっては、接合強度が低下して、セパレータの溶着部が剥離しやすくなるおそれがある。軸芯からセパレータの溶着部が剥離すると、セパレータが正極と負極の間の所定の場所から位置ずれし、短絡や電圧低下を引き起こす可能性があり、電池の安全性および性能の信頼性が低下する課題があった。また、溶着部と非溶着部の界面でセパレータにやぶれが生じ、その結果、電池の短絡や電圧低下が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、扁平状の軸芯にセパレータが常に安定した強度で溶着された電極群を有する二次電池、及び、電極群製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の二次電池は、電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有する二次電池であって、電極群は、軸芯にセパレータの先端部分が熱溶着された熱溶着部を有しており、その熱溶着部が軸芯に曲面形状の凹みを形成していることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の電極群製造装置は、電極とセパレータを互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯に捲回して二次電池の電極群を製造する電極群製造装置であって、セパレータを軸芯に押圧して熱溶着するヒータブロックを有し、ヒータブロックは、軸芯に押圧されるヒータ先端部が凸曲面形状を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二次電池および二次電池の製造方法によれば、セパレータを軸芯に安定した強度で接合でき、かつセパレータのやぶれも防止できるので、接合不良ややぶれによりセパレータが所定の場所にない場合に生じる短絡や電圧低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係わる角形二次電池の外観斜視図。
【図2】図1に示された角形二次電池の分解斜視図。
【図3】図2に示された電極群の詳細を示し、一部を展開した状態の外観斜視図。
【図4】電極群製造装置の構成を説明する図。
【図5】電極群製造装置の動作フローを示す図。
【図6】電極群製造装置のヒータブロックの斜視図。
【図7】図6のA方向矢視断面図。
【図8】図6のB方向矢視断面図。
【図9】図4の電極群の製造装置の溶着時の拡大図。
【図10】図4の電極群の製造装置の溶着時の拡大図。
【図11】ヒータブロックの他の実施形態
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について、角形のリチウムイオン二次電池の場合を例として図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態における角形二次電池の外観斜視図、図2は、図1に示された角形二次電池の分解斜視図である。
【0016】
角形二次電池1は、薄型のほぼ直方体形状の電池容器2内に、電極群40が収容され、図示はしないが非水電解液が注入されて構成されている。電池容器2は、図1に示すように、電池蓋3と電池缶4を有している。電池蓋3および電池缶4は、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金により形成されている。
【0017】
電池蓋3には、図2に示すように、正極集電板21、負極集電板31等が一体的に組み付けられており、電池蓋ユニット10として構成されている。電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、電極群40の正極金属箔41aまたは負極集電箔42aに、例えば、超音波溶接により接合されることにより、電池蓋・発電ユニット50とされ、電池缶4の上端部の開口部から収容される。
【0018】
なお、図2においては、電池蓋・発電ユニット50は、直接、電池缶4内に収容される図となっているが、電池蓋・発電ユニット50を一旦、電気を絶縁するシートで包んでから電池缶4内に収容する構造であってもよい。
【0019】
電池蓋3には、非水電解液を注入するための注液口(図示せず)が設けられており、注液栓11で密閉される。また、電池蓋3には、過充電等によりリチウムイオン二次電池1の内部圧力が予め設定された上限値を超えて上昇した際に、電池容器2内を開放して圧力を抜くための開裂弁12が設けられている。開裂弁12には、開裂用の破断溝12aが形成されている。
【0020】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
【0021】
電池蓋3は、レーザ溶接によって電池缶4に接合されて、電池缶4の上方開口を閉塞する。そして、注液口(図示せず)から電解液を注入した後に、注液栓11で注液口を塞ぎ、注液栓11を電池蓋3にレーザ溶接して、外部から封口される。
【0022】
電池蓋ユニット10は、電池蓋3と、正極側端子構成部20と、負極側端子構成部30を備える。正極側端子構成部20は、外部正極端子24、正極接続端子25、正極端子板26、絶縁板27、ガスケット(図示せず)および正極集電板21から構成される。外部正極端子24、正極端子板26、正極接続端子25および正極集電板21は、一体的に固定され、電池蓋3に取り付けられている。
【0023】
正極側端子構成部20を作製するには次のようにする。予め、正極集電板21を正極接続端子25にかしめて固定しておく。そして、電池蓋3の貫通孔にガスケットを嵌入しておく。そして、電池蓋3上に絶縁板27を、電池蓋3の貫通孔と絶縁板27の貫通孔とを位置合わせして配置する。
【0024】
次に、外部正極端子24を正極端子板26に設けられた貫通孔に嵌入し、絶縁板27上で正極端子板26に固定する。外部正極端子24と正極端子板26にかしめてもよい。また、正極集電板21がかしめられた正極接続端子25を電池蓋3の裏側からガスケットの貫通孔に挿入し、正極接続端子25の先端部側を絶縁板27および正極端子板26の貫通孔に挿通する。正極接続端子25の先端側は、正極端子板26の貫通孔よりも僅かに小さい円筒形状を有しており、この正極接続端子25の先端部分をかしめることにより、正極側端子構成部20が電池蓋3に一体的に組み付けられる。
【0025】
この状態において、正極集電板21、正極接続端子25、正極端子板26および外部正極端子24は、電気的に接続されている。また、正極集電板21、正極接続端子25、正極端子板26および外部正極端子24は、絶縁板27およびガスケット(図示せず)により電池蓋3と絶縁されている。
【0026】
負極側端子構成部30は、外部負極端子34、負極接続端子35、負極端子板36、絶縁板37、ガスケット(図示せず)および負極集電板31から構成される。外部負極端子34、負極端子板36、負極接続端子35および負極集電板31は、電池蓋3に一体的に組み付けられている。
【0027】
負極側端子構成部30を作製するには次のようにする。予め、負極集電板31を負極接続端子35にかしめて固定しておく。そして、電池蓋3の貫通孔にガスケットを嵌入しておく。そして、電池蓋3上に絶縁板37を、電池蓋3の貫通孔と絶縁板37の貫通孔とを位置合わせして配置する。
【0028】
次に、外部負極端子34を負極端子板36に設けられた貫通孔に嵌入し、絶縁板37上で負極端子板36に固定する。また、負極集電板31がかしめられた負極接続端子35を電池蓋3の裏側からガスケットの貫通孔に挿入し、負極接続端子35の先端部側を絶縁板37および負極端子板36の貫通孔に挿通する。
【0029】
負極接続端子35の先端側は、負極端子板36の貫通孔よりも僅かに小さい円筒形状を有しており、この負極接続端子35の先端部分をかしめることにより、負極側端子構成部30が電池蓋3に一体的に組み付けられる。
【0030】
この状態において、負極集電板31、負極接続端子35、負極端子板36および外部負極端子34は、電気的に接続されている。また、負極集電板31、負極接続端子35、負極端子板36および外部負極端子34は、絶縁板37およびガスケット75により電池蓋3と絶縁されている。
【0031】
電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、電極群40の正極金属箔41aまたは負極集電箔42aに、超音波溶接により接合されて電気的に接続され、電池蓋・発電ユニット50とされる。
【0032】
以上により角形二次電池1は、外部正極端子24および外部負極端子34に接続された外部電子機器に対して、充放電が可能な構造となる。
【0033】
図3は、図2に示された電極群の詳細を示し、一部を展開した状態の外観斜視図である。
【0034】
電極群40は、正極電極41と負極電極42とを、それぞれの間に第1、第2のセパレータ43、44を介在させた状態で、軸芯40aの周りに扁平状に捲回して形成されたものである。
【0035】
軸芯40aは、加熱されたヒータブロック70によって第1のセパレータ43の先端部分及び第2のセパレータ44の先端部分を熱溶着可能な合成樹脂製材料からなり、一対の扁平面を有する矩形の平板部材によって構成されている。軸芯40aには、第1のセパレータ43の先端部分及び第2のセパレータ44の先端部分が互いに重ね合わされた状態で熱溶着されており、熱溶着部80(図7を参照)が設けられている。熱溶着部80は、後述するように軸芯40aに曲面形状の凹みを形成している。
【0036】
正極電極41は、例えば、アルミニウム箔等からなる正極金属箔41aの表裏両面に正極合剤層41bが形成されたものである。正極合剤層41bは、一側縁に、正極金属箔41aが露出された正極合剤未処理部41cが形成されるように正極金属箔41aに正極合剤が塗工されて形成される。
【0037】
負極電極42は、例えば、銅箔等からなる負極金属箔42aの表裏両面に負極合剤層42bが塗工されたものである。負極合剤層42bは、正極合剤未処理部41cが配置された側縁と対向する側縁である他側縁に、負極金属箔42aが露出された負極合剤未処理部42cが形成されるように負極金属箔42aに正極合剤が塗工されて形成される。
【0038】
正極合剤層41bは、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)とを添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練して作製する。この正極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に正極合剤未処理部41cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)90μmの正極電極41を得る。
【0039】
負極合剤層42bは、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のPVDFを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練して作製する。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔の両面に負極合剤未処理部42cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)70μmの負極電極42を得る。
【0040】
電極群40を形成するには、軸芯40aに巻始め端部が溶着された第1、第2のセパレータ43、44の間に、それぞれ、負極電極42の巻始め端部を、正極電極41の巻始め端部よりも内側に位置するように配置して捲回する。
【0041】
この場合、負極合剤層42bの幅、換言すれば、捲回方向に直交する方向の長さ(捲回軸方向長さ)は、正極合剤層41bの幅よりも広く形成されている。また、第1のセパレータ43の幅は、正極電極41の正極合剤未処理部41cを一側縁側において外部に露出する寸法とされている。第2のセパレータ44の幅は、負極電極42の負極合剤未処理部42cを他側縁側において外部に露出する寸法とされている。
【0042】
図4は、電極群製造装置の構成を説明する図である。
電極群製造装置73は、正極電極41と負極電極42との間に第1及び第2のセパレータ43、44を介在させて互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯40aに捲回して角形二次電池1の電極群40を製造する構成を有する。
【0043】
電極群製造装置73は、第1及び第2のセパレータ43、44を軸芯40aに押圧して熱溶着するヒータブロック70と、軸芯40aを捲回軸回りに回転可能に保持する保持手段と、保持手段に保持された軸芯40aの扁平面に対して直交する方向にヒータブロック70を押圧する押圧手段を有している。
【0044】
保持手段は、図4に示すように、装置中央に、扁平な軸芯40aを捲回軸方向両側から位置決め把持し、回転させる把持回転機構66を備える。本実施の形態では、把持回転機構66は、水平方向に沿って軸芯40aの捲回軸が配置されるように把持する。
【0045】
押圧手段は、ヒータブロック70を所定位置まで上昇させ、軸芯40aに加圧するヒータ昇降機構71と、その加圧により軸芯40aが負けて曲がらないようにする裏抑え機構72を備える。ヒータブロック70の詳細については後述する。
【0046】
そして、上方から下方に向かって順番に正極電極41、第1のセパレータ43、負極42、第2のセパレータ44がロール状に配置されており、把持回転機構66に供給できるようになっている。また、各々の電極やセパレータを所定長さ供給する送りローラ60a〜60dと所定の長さで切断するカッタ61a〜61dを備える。
【0047】
第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を、送り出し機構60a、60cで軸芯40aとヒータブロック70の間に送り込んだ後、軸芯40aに第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を押し付け仮位置決めするセパレータ仮押さえ68を備える。
【0048】
電極群40を捲回した後、ほどけないようにテープ63を貼る貼り付け手段67を備える。テープ63は送り出し機構64を介し、カッタ65で所定長さにカットされる。
【0049】
前述した送り機構60a〜dは、捲回中に正極電極41、第1のセパレータ43、負極電極42、第2のセパレータ44に対し、バックテンションをかける役割も合わせ持つ。
【0050】
次に、製造装置の動作について図5を用いて説明する。
図5は、図4に示す製造装置の動作フローを示す図である。
予めロール状にした正極41、第1のセパレータ43、負極42、第2のセパレータ44を電極群製造装置73にセットしておく。正極41と負極42は、正極合剤未処理部41cと負極合剤未処理部42cが、幅方向の反対側(捲回方向両側)の側縁に位置するようにセットする。この状態で、図5に示す自動スタートS1が開始されると、把持回転機構66が開き、軸芯40aが位置決め固定されて両端からクランプ固定される。これにより、軸芯装着S2が完了する。
【0051】
軸芯装着S2の完了後、把持回転機構66は、軸芯40aが所定の回転角になるように回転し、予め設定された回転角度位置に停止させる。その後、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を送り機構60b、60dにより所定量送り出し、軸芯40aとヒータブロック70の間に挿入する。挿入したらセパレータ仮押さえ68で軸芯40aの扁平面に第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を押し付けて仮固定する。これによりセパレータセットS3が完了する。
【0052】
その後、ヒータ昇降機構71でヒータブロック70を上昇させ、裏押さえ機構72を下降させ、軸芯40aと第1のセパレータ43、第2のセパレータ44とを挟み込み加圧、加熱する。ヒータブロック70の温度は、セパレータの材質によるが、例えばポリエチレンの場合は180℃から240℃程度が望ましい。ヒータ昇降機構71は、サーボモータとボールねじを備えており、軸芯40aに対するヒータブロック70の位置や加圧力を調整できるので、軸芯40aに溶かし込んで形成する凹みの深さH2(図7を参照)を調整することができる。尚、加圧、加熱保持時間は0.2〜2秒程度とした。このようにしてセパレータ熱溶着S4が完了する。
【0053】
次に、把持回転機構66を1回転〜8回転程回転させ、軸芯40aに第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を巻き取り、一時停止してからこの2つのセパレータの間に負極42を差し込む。送り機構60dにより負極42の巻始め端部を所定位置まで差し込むと負極挿入S5が完了する。
【0054】
負極42の巻始め端部を差し込む前に第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を巻き取るのは、熱溶着にて発生した凹凸で捲回の巻きずれが生じないようにするためである。また、この凹凸が電極に局所的な応力を与え、合材膜が剥がれたりするのを防止させる役割も持つ。セパレータを巻き取る回数は多いほど凹凸が均されていく。また、この第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の巻き取り時には送り機構60b,60dによりバックテンションがかけられるので、溶着部はこの引張応力をかけても破れず、かつ接合部が剥離しない。
【0055】
次に、把持回転機構66を半回転〜3/4回転程回転させ、正極41の巻始め端部を送り機構60aで第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の間に挿入すると、正極挿入S6が完了する。尚、正極41の巻始め端部を挿入する前に把持回転機構66を回転させるのは、負極42と第1のセパレータ43、第2のセパレータ44との間で生じる摩擦で、負極42が抜けない安定な状態を作り出した後に正極41を挿入するためである。この回転角は各々の材料に特有の摩擦係数に応じ選定すればよい。
【0056】
次に、正極挿入S6完了後、負極挿入S5後と同様の理由で半回転〜3/4回転程回転程低速度で回転させて、正極41と第1のセパレータ43、第2のセパレータ44との間に十分な摩擦が得られたら高速回転に切り替える。そして、高速回転で所定回転数だけ捲回すると捲回S7が完了する。尚、捲回する際は正極41、第1のセパレータ43、負極42、第2のセパレータ44各々のテンションと幅方向位置ずれを防止する機構を設け、制御するのが望ましい。
【0057】
次に、捲回S7完了後、正極41をカットし、その後、同様に負極42、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の順にカットする。これにより、正極カットS8、負極カットS9、セパレータカットS10が完了する。
【0058】
尚、このような順番で長さをずらしてカットすることにより、電極群40の巻終り側は、最外周が第2のセパレータ44となり、その内側が負極電極42となる。従って、正極合剤層41bは、巻始め側から巻終り側までの全長に亘り、幅方向においても、すべての部分が、負極合剤層42bにより覆われ、負極合材層42bはセパレータに覆われる。
【0059】
最後に、巻き終わり部分がほどけないように巻止めのテープを貼付する巻止めテープ貼付S11を行う。テープ63は、送り出し機構64を介して、カッタ65で所定長さにカットされ、貼り付け手段67で電極群40の巻き終わりに貼られる。これら動作を経て、電極群製造装置73による電極群40の捲回動作は自動終了S12となる。
【0060】
図6は、図4に示す電極群製造装置のヒータブロックの外観斜視図である。
ヒータブロック70は、一定のヒータ幅W1で一直線状に延在する長尺状のブロック形状を有しており、ヒータブロック70の長手方向の長さであるヒータ長さLは、軸芯40aの扁平面に対して捲回軸方向と平行に所定長さに亘って当接する長さ寸法に設定されており、例えば、負極合剤層42bの横幅(捲回軸方向の長さ)とほぼ同一の長さ寸法に設定されている。
【0061】
ヒータブロック70は、軸芯に押圧される凸曲面形状のヒータ先端部70Aを有している。ヒータ先端部70Aは、ヒータブロック70のヒータ長さLに亘って設けられており、軸芯40aの扁平面に対向して捲回軸と平行に所定長さに亘って延在する形状を有している。
【0062】
ヒータ先端部70Aは、ヒータブロック70の短手方向に沿った断面、換言すると、捲回軸方向に直交する方向の断面が略円弧形状を有しており、例えば、一対の円弧形状部分と一対の円弧形状部分の間を押圧方向に直交する直線で結ぶ直線形状部分とを有している。具体的には、軸芯40aに押圧する押圧方向に直交する方向に延在する平面状のフラット部70aと、フラット部70aのヒータ幅W1方向両側に滑らかに連続する曲面状の第1のR部70bと第2のR部70cを有している。
【0063】
ヒータ先端部70Aには、ヒータブロック70の長手方向に所定間隔をおいて複数の溝70Bが刻まれて設けられている。溝70Bは、互いに捲回軸と平行な長さ方向、換言すると、ヒータブロック70の長手方向に離れて対向し、溝70Bの底方向に移行するにしたがって漸次接近する一対の傾斜面70d、70eを有しており、本実施の形態では、断面が略V字の溝形状を有している。
【0064】
ヒータブロック70は、熱変形しにくい素材が望ましく、本実施例では冷間工具鋼を焼き入れしたものを用いた。ヒータブロック70の各々の寸法は、ヒータ幅W1に対して、第1のR部70bと第2のR部70cの半径を0.6倍とした。また、フラット部70aの幅は、ヒータ幅W1の0.1倍とした。溝70Bの傾斜面70dと70eの角度は60度とした。
【0065】
ヒータ先端部70Aの形状は、フラット部70aが無い完全なR形状、すなわち、捲回軸方向に直交する方向であるヒータブロック70の短手方向の断面が円弧形状を有するものでもよいが、完全なR形状よりも、フラット部70aのように、やや平坦な部分を一部に設けた方が摩耗による接触状態の変化を抑制できるという長所がある。それから、もうひとつの理由としては、ヒータブロック70の素材を熱処理した場合、歪みによりヒータ先端部70Aに歪みが発生することがあり、このような歪みが発生した場合に、ヒータ先端部70Aをやや平坦に再研磨した方が、ヒータ先端部70Aの精度が上がって接触状態が安定するからである。
【0066】
図7及び図8は、ヒータブロック70で軸芯40aに第1のセパレータ43と第2のセパレータ44を溶着した状態を示す横断面図と縦断面図である。図7の断面90は、図6の矢視A方向から見て、ヒータ凸部で切った断面であり、図8の断面91は、図6の矢視B方向から見て、ヒータ中央で切った断面である。
【0067】
電極群40は、軸芯40aの扁平面に第1のセパレータ43と第2のセパレータ44の先端部分が重なり合った状態で熱溶着された熱溶着部80を有しており、その熱溶着部80が軸芯40aに曲面形状の凹みを形成している。熱溶着部80は、ヒータブロック70のヒータ先端部70Aの凸曲面形状にならった凹曲面形状の凹みを有している。凹みは、電極群40の捲回軸方向に所定間隔をおいて複数設けられている。
【0068】
凹みは、電極群40の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が略円弧形状を有しており、例えば、一対の円弧形状部分とこれら一対の円弧形状部分の間を軸芯40aの扁平面と平行な直線で結ぶ直線形状部分とを有している。凹みは、具体的には、軸芯40aの扁平面に平行に延在する平面状のフラット部80aと、フラット部80aの両側に滑らかに連続する一対の円弧形状部分である第1のR部80c及び第2のR部80bとを有している。
【0069】
熱溶着部80は、ヒータ昇降機構71(図4参照)でヒータブロック70の加圧力や押し付け時間を調整することにより、軸芯40aに対するヒータ先端部70Aの進入深さである溶着深さH2と、溶着幅W2が一定に保持される。
【0070】
熱溶着部80の凹みは、軸芯の扁平面との境界位置に形成される角部の内角が鈍角となる。具体的には、熱溶着部80の第1のR部80cの接線と軸芯40aの扁平面とがおりなす内角θ1、及び、溶着部80の第2のR部80bの接線と軸芯40aの扁平面とがおりなす内角θ2は、ヒータブロック70のヒータ先端部70AがR形状なので、ともに鈍角(90度<鈍角<180度)に形成することができる。
【0071】
そして、溶着部80は、図8の断面91に示されるように、軸芯40aの扁平面に、ヒータ先端部70Aの溝形状にならった凹みを有する。溶着部80は、ヒータ先端部70Aの溝70Bの傾斜面70dと70eの形状にならった形状である、溶着部80の溝の面80fと80dと80eを有している。
【0072】
溝70Bの傾斜面70dと70eは、ヒータ先端に移行するに従って開く形状になっているので、軸芯40aの表面と溝の面80dがおりなす内角θ3、軸芯40aの表面と溝の面80dがおりなす内角θ4は、全て鈍角に形成することができる。
【0073】
このようにして、溶着部80の内角θ1〜θ4は、すべて鈍角(90度<鈍角<180度)に形成される。内角θ1〜θ4の頂点は、熱溶着部80と非溶着部の界面である。セパレータに引張応力がかかった場合、これら界面には局所応力がかかる。
【0074】
本発明のヒータブロック70により形成されるこれらの界面は、すべて鈍角で構成されるので、巻き取り時に第1及び第2のセパレータ43、44に生じるバックテンションFにより、引張応力を受けた場合に、かかる局所応力集中を緩和させることができる。そのため、第1及び第2のセパレータ43、44がやぶれにくくなり、セパレータの引張強度を向上させることができる。
【0075】
図9、図10は、図4に示す製造装置によって軸芯にセパレータを熱溶着する状態を説明する図である。
【0076】
図9では、軸芯40aは、ヒータブロック70の移動方向に対して直交する方向に扁平面が配置されている。より具体的には、軸芯40aは、上下方向に移動するヒータブロック70の移動方向に対して扁平面が垂直となる回転角に配置されている。
【0077】
そして、ヒータ昇降機構71と裏押さえ機構72を作動させて、ヒータブロック70と裏押さえヘッドとの間に、軸芯40aと第1のセパレータ43及び第2のセパレータ44を挟み込み加圧しながらヒータブロック70で加熱し、軸芯40aに第1のセパレータ43及び第2のセパレータ44を熱溶着している。
【0078】
熱溶着後、回転把持機構66が巻き取り動作をする際、送り出し機構60b,60d(図4参照)によりバックテンションF1、F2がかかる。尚、軸芯40aの扁平面であれば、D方向のどの位置に熱溶着してもよい。
【0079】
図10では、軸芯40aは、ヒータブロック70の移動方向に対して直交する方向から僅かにずれた角度に扁平面が配置されており、例えば、回転角δが基準角度位置から3度ずれた場合を示す。
【0080】
ヒータ先端部70Aは、ヒータブロック70の短手方向に沿った断面が略円弧形状を有して突出する凸曲面形状(R形状)を有しているので、軸芯40aがヒータブロック70の移動方向に対して直交する方向から3度ずれた場合でも、図9に示す場合と同様の接触状態が得られる。したがって、溶着部80は、図9に示す場合と同一の溶着深さH2と溶着幅W2を有し(図7を参照)、常に一定の溶着面積を得ることができる。
【0081】
これに対して、例えばヒータブロック70のヒータ先端部が角型でフラットな形状の場合には、回転角がずれてしまうと、ヒータ先端部の角のみで加圧することになり、溶着面積が大きく低下してしまう。
【0082】
本発明のヒータブロック70を用いると、回転角のずれの有無にかかわらず、溶着部80の溶着深さH2と溶着幅W2を常に一定にすることができ、一定の溶着面積を得ることができる。したがって、溶着強度を安定させることができる。
【0083】
尚、裏押さえ機構72の裏押さえヘッドは、回転角がずれた場合でも面で加圧できるように、図9及び図10に示すように、軸芯40aの扁平面の角度に追従するように首振り可能な角度追従機構72aをもたせた方がよい。
【0084】
ヒータの溶着で与えるべき熱量Q(J)は、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の熱伝導率をλ(W/mK)、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の厚さをb(m)、ヒータ温度をT2(K)、溶着前の第1のセパレータ43、第2のセパレータ44と軸芯の温度をT1(K)、ヒータブロック70と軸芯40a、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44との接触面積をS(t)(m2)、溶着時間をM(sec)とすると、下記の式(1)で表すことができる(積分区間は 時間t=0〜M)。
【0085】
[数1]
Q=∫{λS(t)(T2−T1)/2b}dt …(式1)
【0086】
上記の式(1)において、M、λ、T2,T1、bは一定なので、熱量Qは接触面積S(t)に依存する関数となる。即ち、この接触面積を安定にすると、ヒータブロック70から伝達する熱量が安定するので、溶着が安定するといえる。
【0087】
上記構成を有する角形二次電池15および電極群製造装置73によれば、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を軸芯40aに安定した強度で接合でき、かつ、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44のやぶれも防止できる。したがって、接合不良ややぶれにより第1のセパレータ43、第2のセパレータ44が所定の場所にない場合に生じる短絡や電圧低下を防止する電池を提供することができる。
【0088】
図11は、ヒータブロックの他の実施例を示した図である。
ヒータブロック101は、ヒータブロック70と比較してヒータ先端部101aにフラット部を有しておらず、断面が半径r1を有する完全なR形状(円弧形状)を有している。そして、ヒータブロック102は、ヒータ先端部102aの断面が長軸半径r2と短軸半径r3を有する楕円の円弧形状を有している。
【0089】
ヒータブロック101、102のように、ヒータ先端部101a、102aにフラット部を有していなくても、ヒータ先端部の摩耗や加工精度に問題が無ければ、ヒータブロック70と同様の効果が得られる。摩耗はセパレータの材質やヒータの素材の硬度により大きく変化する。
【0090】
ヒータブロック103は、ヒータ先端部103aの断面が平坦な2面の先端を半径r4でR加工して面取りした形状を有している。ヒータブロック104は、ヒータ先端部104aの断面が完全なR形状ではなく、細分化された平坦面でR形状を模した形状を有しており、換言すると、複数の直線形状部分を円弧状に連結して形成された近似円弧形状を有している。
【0091】
ヒータブロック103、104のように、ヒータ先端部103a、104aの断面が円弧状を有していなくてもよく、ヒータ先端部を軸芯40aに一定の押圧力で押圧した場合に、回転角のずれの有無にかかわらず、溶着部80の溶着深さH2と溶着幅W2を常に一定にすることができる形状を有するものであればよい。
【0092】
図11のヒータブロック101を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が円弧形状となる。そして、ヒータブロック102を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が楕円の円弧形状となる。また、ヒータブロック103、104を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が近似円弧形状となる。
【0093】
したがって、ヒータブロック101〜104の場合は、ヒータブロック70と同様に、回転角のずれの有無にかかわらず、溶着部80の溶着深さH2と溶着幅W2を常に一定にすることができ、一定の溶着面積を得ることができる。したがって、溶着強度を安定させることができる。また、ヒータブロック101、102により形成される熱溶着部80の界面は、ヒータブロック70と同様に、すべて鈍角で構成されるので、巻き取り時に第1及び第2のセパレータ43、44に生じるバックテンションFにより、引張応力を受けた場合に、かかる局所応力集中を緩和させることができ、第1及び第2のセパレータ43、44がやぶれにくくなり、セパレータの引張強度を向上させることができる。
【0094】
ヒータブロック105は、ヒータ先端部105aの断面が先端角にRを持つ台形形状を有しており、具体的には、押圧方向に直交する方向に直線状に延在する上辺部分と、その上辺部分の両端からヒータ先端部105aの基端側に移行するにしたがって互いに離反する一対の斜辺部分と、これら一対の斜辺部分と上辺部分との間に介在されて円弧状に湾曲する湾曲部分とを有する近似台形形状を有している。そして、ヒータブロック105を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が近似台形形状となる。
【0095】
ヒータブロック105の場合、回転角の誤差による熱伝達量の安定化は小さくなるが、溶着部と非溶着部の界面の角度を鈍角にすることができるので、従来のようなフラットな面を有するヒータブロックよりも、熱溶着部80では高い引張強度が得られる。
【0096】
なお、上述の実施の形態では、ヒータ先端部70Aに溝70Bを有するくし歯状のヒータブロックの場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、くし歯のない、かまぼこ状のヒータブロックであっても、本発明のR形状の効果は同様である。
【0097】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 角形二次電池
2 電池容器
40 電極群
40a 軸芯
41 正極電極(電極)
42 負極電極(電極)
43 第1のセパレータ(セパレータ)
44 第2のセパレータ(セパレータ)
60a〜60d 送り機構
61a〜60d カッタ
64 テープ送り出し機構
66 把持回転機構(保持手段)
68 仮押さえ
70、101〜105 ヒータブロック
70A、101a〜105a ヒータ先端部
70B 溝
70a フラット部(直線形状部分)
70b 第1のR部(円弧形状部分)
70c 第2のR部(円弧形状部分)
71 ヒータ昇降機構(押圧手段)
72 裏押さえ機構
73 電極群製造装置
80 熱溶着部
80a フラット部(直線形状部分)
80b 第2のR部(円弧形状部分)
80c 第1のR部(円弧形状部分)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有する二次電池と、その電極群を製造する電極群製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、電池容器内に、電極群が収容され、電解液が注入された構造を有している。電極群は、正・負極の電極を、セパレータを間に介在させて軸芯に捲回することによって形成されている。電極群を形成する場合に、軸芯にセパレータの巻取り側端部を溶着させてから、軸芯にセパレータを巻き付けることが従来から行われている。
【0003】
例えば、円筒形の二次電池に用いられる円筒電極群では、軸芯に複数枚のセパレータの各巻取り側端部を溶着し、その後回転させて巻き取る過程で、各セパレータの間に正極電極と負極電極を差し入れて捲回し、電極群を形成する方法が紹介されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、軸芯とセパレータの溶着方法としては、樹脂性の円柱形の軸芯にセパレータを重ね、その状態でヒータブロックを押し付けて熱溶着する方法が紹介されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−185220号公報
【特許文献2】特開2009−259747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2による方法は、円筒電極群に関するものである。円筒電極群に用いられる軸芯は、断面が円形であり、溶着する際の軸芯の回転角(回転停止位置)がいかなる角度であっても、軸芯に押圧される溶着ヒータとの接触状態は変わらない。したがって、円筒電極群に用いられる軸芯の場合は、セパレータと軸芯の溶着強度に影響を与えることはなく、常に一定の溶着面積でセパレータを溶着させることができる。
【0007】
しかしながら、例えば角形二次電池の扁平電極群に用いられる扁平状の軸芯は、断面が非円形であるので、僅かでも回転角に誤差が生じると、軸芯に押圧される溶着ヒータとの接触状態が変化する。すなわち、扁平な電極群の軸芯とセパレータをヒータで溶着する際、軸芯とヒータの接触角度のずれで溶着が不安定となる。
【0008】
したがって、接触状態によっては、接合強度が低下して、セパレータの溶着部が剥離しやすくなるおそれがある。軸芯からセパレータの溶着部が剥離すると、セパレータが正極と負極の間の所定の場所から位置ずれし、短絡や電圧低下を引き起こす可能性があり、電池の安全性および性能の信頼性が低下する課題があった。また、溶着部と非溶着部の界面でセパレータにやぶれが生じ、その結果、電池の短絡や電圧低下が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、扁平状の軸芯にセパレータが常に安定した強度で溶着された電極群を有する二次電池、及び、電極群製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の二次電池は、電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有する二次電池であって、電極群は、軸芯にセパレータの先端部分が熱溶着された熱溶着部を有しており、その熱溶着部が軸芯に曲面形状の凹みを形成していることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の電極群製造装置は、電極とセパレータを互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯に捲回して二次電池の電極群を製造する電極群製造装置であって、セパレータを軸芯に押圧して熱溶着するヒータブロックを有し、ヒータブロックは、軸芯に押圧されるヒータ先端部が凸曲面形状を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の二次電池および二次電池の製造方法によれば、セパレータを軸芯に安定した強度で接合でき、かつセパレータのやぶれも防止できるので、接合不良ややぶれによりセパレータが所定の場所にない場合に生じる短絡や電圧低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係わる角形二次電池の外観斜視図。
【図2】図1に示された角形二次電池の分解斜視図。
【図3】図2に示された電極群の詳細を示し、一部を展開した状態の外観斜視図。
【図4】電極群製造装置の構成を説明する図。
【図5】電極群製造装置の動作フローを示す図。
【図6】電極群製造装置のヒータブロックの斜視図。
【図7】図6のA方向矢視断面図。
【図8】図6のB方向矢視断面図。
【図9】図4の電極群の製造装置の溶着時の拡大図。
【図10】図4の電極群の製造装置の溶着時の拡大図。
【図11】ヒータブロックの他の実施形態
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について、角形のリチウムイオン二次電池の場合を例として図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態における角形二次電池の外観斜視図、図2は、図1に示された角形二次電池の分解斜視図である。
【0016】
角形二次電池1は、薄型のほぼ直方体形状の電池容器2内に、電極群40が収容され、図示はしないが非水電解液が注入されて構成されている。電池容器2は、図1に示すように、電池蓋3と電池缶4を有している。電池蓋3および電池缶4は、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金により形成されている。
【0017】
電池蓋3には、図2に示すように、正極集電板21、負極集電板31等が一体的に組み付けられており、電池蓋ユニット10として構成されている。電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、電極群40の正極金属箔41aまたは負極集電箔42aに、例えば、超音波溶接により接合されることにより、電池蓋・発電ユニット50とされ、電池缶4の上端部の開口部から収容される。
【0018】
なお、図2においては、電池蓋・発電ユニット50は、直接、電池缶4内に収容される図となっているが、電池蓋・発電ユニット50を一旦、電気を絶縁するシートで包んでから電池缶4内に収容する構造であってもよい。
【0019】
電池蓋3には、非水電解液を注入するための注液口(図示せず)が設けられており、注液栓11で密閉される。また、電池蓋3には、過充電等によりリチウムイオン二次電池1の内部圧力が予め設定された上限値を超えて上昇した際に、電池容器2内を開放して圧力を抜くための開裂弁12が設けられている。開裂弁12には、開裂用の破断溝12aが形成されている。
【0020】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
【0021】
電池蓋3は、レーザ溶接によって電池缶4に接合されて、電池缶4の上方開口を閉塞する。そして、注液口(図示せず)から電解液を注入した後に、注液栓11で注液口を塞ぎ、注液栓11を電池蓋3にレーザ溶接して、外部から封口される。
【0022】
電池蓋ユニット10は、電池蓋3と、正極側端子構成部20と、負極側端子構成部30を備える。正極側端子構成部20は、外部正極端子24、正極接続端子25、正極端子板26、絶縁板27、ガスケット(図示せず)および正極集電板21から構成される。外部正極端子24、正極端子板26、正極接続端子25および正極集電板21は、一体的に固定され、電池蓋3に取り付けられている。
【0023】
正極側端子構成部20を作製するには次のようにする。予め、正極集電板21を正極接続端子25にかしめて固定しておく。そして、電池蓋3の貫通孔にガスケットを嵌入しておく。そして、電池蓋3上に絶縁板27を、電池蓋3の貫通孔と絶縁板27の貫通孔とを位置合わせして配置する。
【0024】
次に、外部正極端子24を正極端子板26に設けられた貫通孔に嵌入し、絶縁板27上で正極端子板26に固定する。外部正極端子24と正極端子板26にかしめてもよい。また、正極集電板21がかしめられた正極接続端子25を電池蓋3の裏側からガスケットの貫通孔に挿入し、正極接続端子25の先端部側を絶縁板27および正極端子板26の貫通孔に挿通する。正極接続端子25の先端側は、正極端子板26の貫通孔よりも僅かに小さい円筒形状を有しており、この正極接続端子25の先端部分をかしめることにより、正極側端子構成部20が電池蓋3に一体的に組み付けられる。
【0025】
この状態において、正極集電板21、正極接続端子25、正極端子板26および外部正極端子24は、電気的に接続されている。また、正極集電板21、正極接続端子25、正極端子板26および外部正極端子24は、絶縁板27およびガスケット(図示せず)により電池蓋3と絶縁されている。
【0026】
負極側端子構成部30は、外部負極端子34、負極接続端子35、負極端子板36、絶縁板37、ガスケット(図示せず)および負極集電板31から構成される。外部負極端子34、負極端子板36、負極接続端子35および負極集電板31は、電池蓋3に一体的に組み付けられている。
【0027】
負極側端子構成部30を作製するには次のようにする。予め、負極集電板31を負極接続端子35にかしめて固定しておく。そして、電池蓋3の貫通孔にガスケットを嵌入しておく。そして、電池蓋3上に絶縁板37を、電池蓋3の貫通孔と絶縁板37の貫通孔とを位置合わせして配置する。
【0028】
次に、外部負極端子34を負極端子板36に設けられた貫通孔に嵌入し、絶縁板37上で負極端子板36に固定する。また、負極集電板31がかしめられた負極接続端子35を電池蓋3の裏側からガスケットの貫通孔に挿入し、負極接続端子35の先端部側を絶縁板37および負極端子板36の貫通孔に挿通する。
【0029】
負極接続端子35の先端側は、負極端子板36の貫通孔よりも僅かに小さい円筒形状を有しており、この負極接続端子35の先端部分をかしめることにより、負極側端子構成部30が電池蓋3に一体的に組み付けられる。
【0030】
この状態において、負極集電板31、負極接続端子35、負極端子板36および外部負極端子34は、電気的に接続されている。また、負極集電板31、負極接続端子35、負極端子板36および外部負極端子34は、絶縁板37およびガスケット75により電池蓋3と絶縁されている。
【0031】
電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、電極群40の正極金属箔41aまたは負極集電箔42aに、超音波溶接により接合されて電気的に接続され、電池蓋・発電ユニット50とされる。
【0032】
以上により角形二次電池1は、外部正極端子24および外部負極端子34に接続された外部電子機器に対して、充放電が可能な構造となる。
【0033】
図3は、図2に示された電極群の詳細を示し、一部を展開した状態の外観斜視図である。
【0034】
電極群40は、正極電極41と負極電極42とを、それぞれの間に第1、第2のセパレータ43、44を介在させた状態で、軸芯40aの周りに扁平状に捲回して形成されたものである。
【0035】
軸芯40aは、加熱されたヒータブロック70によって第1のセパレータ43の先端部分及び第2のセパレータ44の先端部分を熱溶着可能な合成樹脂製材料からなり、一対の扁平面を有する矩形の平板部材によって構成されている。軸芯40aには、第1のセパレータ43の先端部分及び第2のセパレータ44の先端部分が互いに重ね合わされた状態で熱溶着されており、熱溶着部80(図7を参照)が設けられている。熱溶着部80は、後述するように軸芯40aに曲面形状の凹みを形成している。
【0036】
正極電極41は、例えば、アルミニウム箔等からなる正極金属箔41aの表裏両面に正極合剤層41bが形成されたものである。正極合剤層41bは、一側縁に、正極金属箔41aが露出された正極合剤未処理部41cが形成されるように正極金属箔41aに正極合剤が塗工されて形成される。
【0037】
負極電極42は、例えば、銅箔等からなる負極金属箔42aの表裏両面に負極合剤層42bが塗工されたものである。負極合剤層42bは、正極合剤未処理部41cが配置された側縁と対向する側縁である他側縁に、負極金属箔42aが露出された負極合剤未処理部42cが形成されるように負極金属箔42aに正極合剤が塗工されて形成される。
【0038】
正極合剤層41bは、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn2O4)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)とを添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練して作製する。この正極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に正極合剤未処理部41cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)90μmの正極電極41を得る。
【0039】
負極合剤層42bは、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のPVDFを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練して作製する。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔の両面に負極合剤未処理部42cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)70μmの負極電極42を得る。
【0040】
電極群40を形成するには、軸芯40aに巻始め端部が溶着された第1、第2のセパレータ43、44の間に、それぞれ、負極電極42の巻始め端部を、正極電極41の巻始め端部よりも内側に位置するように配置して捲回する。
【0041】
この場合、負極合剤層42bの幅、換言すれば、捲回方向に直交する方向の長さ(捲回軸方向長さ)は、正極合剤層41bの幅よりも広く形成されている。また、第1のセパレータ43の幅は、正極電極41の正極合剤未処理部41cを一側縁側において外部に露出する寸法とされている。第2のセパレータ44の幅は、負極電極42の負極合剤未処理部42cを他側縁側において外部に露出する寸法とされている。
【0042】
図4は、電極群製造装置の構成を説明する図である。
電極群製造装置73は、正極電極41と負極電極42との間に第1及び第2のセパレータ43、44を介在させて互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯40aに捲回して角形二次電池1の電極群40を製造する構成を有する。
【0043】
電極群製造装置73は、第1及び第2のセパレータ43、44を軸芯40aに押圧して熱溶着するヒータブロック70と、軸芯40aを捲回軸回りに回転可能に保持する保持手段と、保持手段に保持された軸芯40aの扁平面に対して直交する方向にヒータブロック70を押圧する押圧手段を有している。
【0044】
保持手段は、図4に示すように、装置中央に、扁平な軸芯40aを捲回軸方向両側から位置決め把持し、回転させる把持回転機構66を備える。本実施の形態では、把持回転機構66は、水平方向に沿って軸芯40aの捲回軸が配置されるように把持する。
【0045】
押圧手段は、ヒータブロック70を所定位置まで上昇させ、軸芯40aに加圧するヒータ昇降機構71と、その加圧により軸芯40aが負けて曲がらないようにする裏抑え機構72を備える。ヒータブロック70の詳細については後述する。
【0046】
そして、上方から下方に向かって順番に正極電極41、第1のセパレータ43、負極42、第2のセパレータ44がロール状に配置されており、把持回転機構66に供給できるようになっている。また、各々の電極やセパレータを所定長さ供給する送りローラ60a〜60dと所定の長さで切断するカッタ61a〜61dを備える。
【0047】
第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を、送り出し機構60a、60cで軸芯40aとヒータブロック70の間に送り込んだ後、軸芯40aに第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を押し付け仮位置決めするセパレータ仮押さえ68を備える。
【0048】
電極群40を捲回した後、ほどけないようにテープ63を貼る貼り付け手段67を備える。テープ63は送り出し機構64を介し、カッタ65で所定長さにカットされる。
【0049】
前述した送り機構60a〜dは、捲回中に正極電極41、第1のセパレータ43、負極電極42、第2のセパレータ44に対し、バックテンションをかける役割も合わせ持つ。
【0050】
次に、製造装置の動作について図5を用いて説明する。
図5は、図4に示す製造装置の動作フローを示す図である。
予めロール状にした正極41、第1のセパレータ43、負極42、第2のセパレータ44を電極群製造装置73にセットしておく。正極41と負極42は、正極合剤未処理部41cと負極合剤未処理部42cが、幅方向の反対側(捲回方向両側)の側縁に位置するようにセットする。この状態で、図5に示す自動スタートS1が開始されると、把持回転機構66が開き、軸芯40aが位置決め固定されて両端からクランプ固定される。これにより、軸芯装着S2が完了する。
【0051】
軸芯装着S2の完了後、把持回転機構66は、軸芯40aが所定の回転角になるように回転し、予め設定された回転角度位置に停止させる。その後、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を送り機構60b、60dにより所定量送り出し、軸芯40aとヒータブロック70の間に挿入する。挿入したらセパレータ仮押さえ68で軸芯40aの扁平面に第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を押し付けて仮固定する。これによりセパレータセットS3が完了する。
【0052】
その後、ヒータ昇降機構71でヒータブロック70を上昇させ、裏押さえ機構72を下降させ、軸芯40aと第1のセパレータ43、第2のセパレータ44とを挟み込み加圧、加熱する。ヒータブロック70の温度は、セパレータの材質によるが、例えばポリエチレンの場合は180℃から240℃程度が望ましい。ヒータ昇降機構71は、サーボモータとボールねじを備えており、軸芯40aに対するヒータブロック70の位置や加圧力を調整できるので、軸芯40aに溶かし込んで形成する凹みの深さH2(図7を参照)を調整することができる。尚、加圧、加熱保持時間は0.2〜2秒程度とした。このようにしてセパレータ熱溶着S4が完了する。
【0053】
次に、把持回転機構66を1回転〜8回転程回転させ、軸芯40aに第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を巻き取り、一時停止してからこの2つのセパレータの間に負極42を差し込む。送り機構60dにより負極42の巻始め端部を所定位置まで差し込むと負極挿入S5が完了する。
【0054】
負極42の巻始め端部を差し込む前に第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を巻き取るのは、熱溶着にて発生した凹凸で捲回の巻きずれが生じないようにするためである。また、この凹凸が電極に局所的な応力を与え、合材膜が剥がれたりするのを防止させる役割も持つ。セパレータを巻き取る回数は多いほど凹凸が均されていく。また、この第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の巻き取り時には送り機構60b,60dによりバックテンションがかけられるので、溶着部はこの引張応力をかけても破れず、かつ接合部が剥離しない。
【0055】
次に、把持回転機構66を半回転〜3/4回転程回転させ、正極41の巻始め端部を送り機構60aで第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の間に挿入すると、正極挿入S6が完了する。尚、正極41の巻始め端部を挿入する前に把持回転機構66を回転させるのは、負極42と第1のセパレータ43、第2のセパレータ44との間で生じる摩擦で、負極42が抜けない安定な状態を作り出した後に正極41を挿入するためである。この回転角は各々の材料に特有の摩擦係数に応じ選定すればよい。
【0056】
次に、正極挿入S6完了後、負極挿入S5後と同様の理由で半回転〜3/4回転程回転程低速度で回転させて、正極41と第1のセパレータ43、第2のセパレータ44との間に十分な摩擦が得られたら高速回転に切り替える。そして、高速回転で所定回転数だけ捲回すると捲回S7が完了する。尚、捲回する際は正極41、第1のセパレータ43、負極42、第2のセパレータ44各々のテンションと幅方向位置ずれを防止する機構を設け、制御するのが望ましい。
【0057】
次に、捲回S7完了後、正極41をカットし、その後、同様に負極42、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の順にカットする。これにより、正極カットS8、負極カットS9、セパレータカットS10が完了する。
【0058】
尚、このような順番で長さをずらしてカットすることにより、電極群40の巻終り側は、最外周が第2のセパレータ44となり、その内側が負極電極42となる。従って、正極合剤層41bは、巻始め側から巻終り側までの全長に亘り、幅方向においても、すべての部分が、負極合剤層42bにより覆われ、負極合材層42bはセパレータに覆われる。
【0059】
最後に、巻き終わり部分がほどけないように巻止めのテープを貼付する巻止めテープ貼付S11を行う。テープ63は、送り出し機構64を介して、カッタ65で所定長さにカットされ、貼り付け手段67で電極群40の巻き終わりに貼られる。これら動作を経て、電極群製造装置73による電極群40の捲回動作は自動終了S12となる。
【0060】
図6は、図4に示す電極群製造装置のヒータブロックの外観斜視図である。
ヒータブロック70は、一定のヒータ幅W1で一直線状に延在する長尺状のブロック形状を有しており、ヒータブロック70の長手方向の長さであるヒータ長さLは、軸芯40aの扁平面に対して捲回軸方向と平行に所定長さに亘って当接する長さ寸法に設定されており、例えば、負極合剤層42bの横幅(捲回軸方向の長さ)とほぼ同一の長さ寸法に設定されている。
【0061】
ヒータブロック70は、軸芯に押圧される凸曲面形状のヒータ先端部70Aを有している。ヒータ先端部70Aは、ヒータブロック70のヒータ長さLに亘って設けられており、軸芯40aの扁平面に対向して捲回軸と平行に所定長さに亘って延在する形状を有している。
【0062】
ヒータ先端部70Aは、ヒータブロック70の短手方向に沿った断面、換言すると、捲回軸方向に直交する方向の断面が略円弧形状を有しており、例えば、一対の円弧形状部分と一対の円弧形状部分の間を押圧方向に直交する直線で結ぶ直線形状部分とを有している。具体的には、軸芯40aに押圧する押圧方向に直交する方向に延在する平面状のフラット部70aと、フラット部70aのヒータ幅W1方向両側に滑らかに連続する曲面状の第1のR部70bと第2のR部70cを有している。
【0063】
ヒータ先端部70Aには、ヒータブロック70の長手方向に所定間隔をおいて複数の溝70Bが刻まれて設けられている。溝70Bは、互いに捲回軸と平行な長さ方向、換言すると、ヒータブロック70の長手方向に離れて対向し、溝70Bの底方向に移行するにしたがって漸次接近する一対の傾斜面70d、70eを有しており、本実施の形態では、断面が略V字の溝形状を有している。
【0064】
ヒータブロック70は、熱変形しにくい素材が望ましく、本実施例では冷間工具鋼を焼き入れしたものを用いた。ヒータブロック70の各々の寸法は、ヒータ幅W1に対して、第1のR部70bと第2のR部70cの半径を0.6倍とした。また、フラット部70aの幅は、ヒータ幅W1の0.1倍とした。溝70Bの傾斜面70dと70eの角度は60度とした。
【0065】
ヒータ先端部70Aの形状は、フラット部70aが無い完全なR形状、すなわち、捲回軸方向に直交する方向であるヒータブロック70の短手方向の断面が円弧形状を有するものでもよいが、完全なR形状よりも、フラット部70aのように、やや平坦な部分を一部に設けた方が摩耗による接触状態の変化を抑制できるという長所がある。それから、もうひとつの理由としては、ヒータブロック70の素材を熱処理した場合、歪みによりヒータ先端部70Aに歪みが発生することがあり、このような歪みが発生した場合に、ヒータ先端部70Aをやや平坦に再研磨した方が、ヒータ先端部70Aの精度が上がって接触状態が安定するからである。
【0066】
図7及び図8は、ヒータブロック70で軸芯40aに第1のセパレータ43と第2のセパレータ44を溶着した状態を示す横断面図と縦断面図である。図7の断面90は、図6の矢視A方向から見て、ヒータ凸部で切った断面であり、図8の断面91は、図6の矢視B方向から見て、ヒータ中央で切った断面である。
【0067】
電極群40は、軸芯40aの扁平面に第1のセパレータ43と第2のセパレータ44の先端部分が重なり合った状態で熱溶着された熱溶着部80を有しており、その熱溶着部80が軸芯40aに曲面形状の凹みを形成している。熱溶着部80は、ヒータブロック70のヒータ先端部70Aの凸曲面形状にならった凹曲面形状の凹みを有している。凹みは、電極群40の捲回軸方向に所定間隔をおいて複数設けられている。
【0068】
凹みは、電極群40の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が略円弧形状を有しており、例えば、一対の円弧形状部分とこれら一対の円弧形状部分の間を軸芯40aの扁平面と平行な直線で結ぶ直線形状部分とを有している。凹みは、具体的には、軸芯40aの扁平面に平行に延在する平面状のフラット部80aと、フラット部80aの両側に滑らかに連続する一対の円弧形状部分である第1のR部80c及び第2のR部80bとを有している。
【0069】
熱溶着部80は、ヒータ昇降機構71(図4参照)でヒータブロック70の加圧力や押し付け時間を調整することにより、軸芯40aに対するヒータ先端部70Aの進入深さである溶着深さH2と、溶着幅W2が一定に保持される。
【0070】
熱溶着部80の凹みは、軸芯の扁平面との境界位置に形成される角部の内角が鈍角となる。具体的には、熱溶着部80の第1のR部80cの接線と軸芯40aの扁平面とがおりなす内角θ1、及び、溶着部80の第2のR部80bの接線と軸芯40aの扁平面とがおりなす内角θ2は、ヒータブロック70のヒータ先端部70AがR形状なので、ともに鈍角(90度<鈍角<180度)に形成することができる。
【0071】
そして、溶着部80は、図8の断面91に示されるように、軸芯40aの扁平面に、ヒータ先端部70Aの溝形状にならった凹みを有する。溶着部80は、ヒータ先端部70Aの溝70Bの傾斜面70dと70eの形状にならった形状である、溶着部80の溝の面80fと80dと80eを有している。
【0072】
溝70Bの傾斜面70dと70eは、ヒータ先端に移行するに従って開く形状になっているので、軸芯40aの表面と溝の面80dがおりなす内角θ3、軸芯40aの表面と溝の面80dがおりなす内角θ4は、全て鈍角に形成することができる。
【0073】
このようにして、溶着部80の内角θ1〜θ4は、すべて鈍角(90度<鈍角<180度)に形成される。内角θ1〜θ4の頂点は、熱溶着部80と非溶着部の界面である。セパレータに引張応力がかかった場合、これら界面には局所応力がかかる。
【0074】
本発明のヒータブロック70により形成されるこれらの界面は、すべて鈍角で構成されるので、巻き取り時に第1及び第2のセパレータ43、44に生じるバックテンションFにより、引張応力を受けた場合に、かかる局所応力集中を緩和させることができる。そのため、第1及び第2のセパレータ43、44がやぶれにくくなり、セパレータの引張強度を向上させることができる。
【0075】
図9、図10は、図4に示す製造装置によって軸芯にセパレータを熱溶着する状態を説明する図である。
【0076】
図9では、軸芯40aは、ヒータブロック70の移動方向に対して直交する方向に扁平面が配置されている。より具体的には、軸芯40aは、上下方向に移動するヒータブロック70の移動方向に対して扁平面が垂直となる回転角に配置されている。
【0077】
そして、ヒータ昇降機構71と裏押さえ機構72を作動させて、ヒータブロック70と裏押さえヘッドとの間に、軸芯40aと第1のセパレータ43及び第2のセパレータ44を挟み込み加圧しながらヒータブロック70で加熱し、軸芯40aに第1のセパレータ43及び第2のセパレータ44を熱溶着している。
【0078】
熱溶着後、回転把持機構66が巻き取り動作をする際、送り出し機構60b,60d(図4参照)によりバックテンションF1、F2がかかる。尚、軸芯40aの扁平面であれば、D方向のどの位置に熱溶着してもよい。
【0079】
図10では、軸芯40aは、ヒータブロック70の移動方向に対して直交する方向から僅かにずれた角度に扁平面が配置されており、例えば、回転角δが基準角度位置から3度ずれた場合を示す。
【0080】
ヒータ先端部70Aは、ヒータブロック70の短手方向に沿った断面が略円弧形状を有して突出する凸曲面形状(R形状)を有しているので、軸芯40aがヒータブロック70の移動方向に対して直交する方向から3度ずれた場合でも、図9に示す場合と同様の接触状態が得られる。したがって、溶着部80は、図9に示す場合と同一の溶着深さH2と溶着幅W2を有し(図7を参照)、常に一定の溶着面積を得ることができる。
【0081】
これに対して、例えばヒータブロック70のヒータ先端部が角型でフラットな形状の場合には、回転角がずれてしまうと、ヒータ先端部の角のみで加圧することになり、溶着面積が大きく低下してしまう。
【0082】
本発明のヒータブロック70を用いると、回転角のずれの有無にかかわらず、溶着部80の溶着深さH2と溶着幅W2を常に一定にすることができ、一定の溶着面積を得ることができる。したがって、溶着強度を安定させることができる。
【0083】
尚、裏押さえ機構72の裏押さえヘッドは、回転角がずれた場合でも面で加圧できるように、図9及び図10に示すように、軸芯40aの扁平面の角度に追従するように首振り可能な角度追従機構72aをもたせた方がよい。
【0084】
ヒータの溶着で与えるべき熱量Q(J)は、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の熱伝導率をλ(W/mK)、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44の厚さをb(m)、ヒータ温度をT2(K)、溶着前の第1のセパレータ43、第2のセパレータ44と軸芯の温度をT1(K)、ヒータブロック70と軸芯40a、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44との接触面積をS(t)(m2)、溶着時間をM(sec)とすると、下記の式(1)で表すことができる(積分区間は 時間t=0〜M)。
【0085】
[数1]
Q=∫{λS(t)(T2−T1)/2b}dt …(式1)
【0086】
上記の式(1)において、M、λ、T2,T1、bは一定なので、熱量Qは接触面積S(t)に依存する関数となる。即ち、この接触面積を安定にすると、ヒータブロック70から伝達する熱量が安定するので、溶着が安定するといえる。
【0087】
上記構成を有する角形二次電池15および電極群製造装置73によれば、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44を軸芯40aに安定した強度で接合でき、かつ、第1のセパレータ43、第2のセパレータ44のやぶれも防止できる。したがって、接合不良ややぶれにより第1のセパレータ43、第2のセパレータ44が所定の場所にない場合に生じる短絡や電圧低下を防止する電池を提供することができる。
【0088】
図11は、ヒータブロックの他の実施例を示した図である。
ヒータブロック101は、ヒータブロック70と比較してヒータ先端部101aにフラット部を有しておらず、断面が半径r1を有する完全なR形状(円弧形状)を有している。そして、ヒータブロック102は、ヒータ先端部102aの断面が長軸半径r2と短軸半径r3を有する楕円の円弧形状を有している。
【0089】
ヒータブロック101、102のように、ヒータ先端部101a、102aにフラット部を有していなくても、ヒータ先端部の摩耗や加工精度に問題が無ければ、ヒータブロック70と同様の効果が得られる。摩耗はセパレータの材質やヒータの素材の硬度により大きく変化する。
【0090】
ヒータブロック103は、ヒータ先端部103aの断面が平坦な2面の先端を半径r4でR加工して面取りした形状を有している。ヒータブロック104は、ヒータ先端部104aの断面が完全なR形状ではなく、細分化された平坦面でR形状を模した形状を有しており、換言すると、複数の直線形状部分を円弧状に連結して形成された近似円弧形状を有している。
【0091】
ヒータブロック103、104のように、ヒータ先端部103a、104aの断面が円弧状を有していなくてもよく、ヒータ先端部を軸芯40aに一定の押圧力で押圧した場合に、回転角のずれの有無にかかわらず、溶着部80の溶着深さH2と溶着幅W2を常に一定にすることができる形状を有するものであればよい。
【0092】
図11のヒータブロック101を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が円弧形状となる。そして、ヒータブロック102を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が楕円の円弧形状となる。また、ヒータブロック103、104を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が近似円弧形状となる。
【0093】
したがって、ヒータブロック101〜104の場合は、ヒータブロック70と同様に、回転角のずれの有無にかかわらず、溶着部80の溶着深さH2と溶着幅W2を常に一定にすることができ、一定の溶着面積を得ることができる。したがって、溶着強度を安定させることができる。また、ヒータブロック101、102により形成される熱溶着部80の界面は、ヒータブロック70と同様に、すべて鈍角で構成されるので、巻き取り時に第1及び第2のセパレータ43、44に生じるバックテンションFにより、引張応力を受けた場合に、かかる局所応力集中を緩和させることができ、第1及び第2のセパレータ43、44がやぶれにくくなり、セパレータの引張強度を向上させることができる。
【0094】
ヒータブロック105は、ヒータ先端部105aの断面が先端角にRを持つ台形形状を有しており、具体的には、押圧方向に直交する方向に直線状に延在する上辺部分と、その上辺部分の両端からヒータ先端部105aの基端側に移行するにしたがって互いに離反する一対の斜辺部分と、これら一対の斜辺部分と上辺部分との間に介在されて円弧状に湾曲する湾曲部分とを有する近似台形形状を有している。そして、ヒータブロック105を用いた場合、熱溶着部80の凹みは、断面が近似台形形状となる。
【0095】
ヒータブロック105の場合、回転角の誤差による熱伝達量の安定化は小さくなるが、溶着部と非溶着部の界面の角度を鈍角にすることができるので、従来のようなフラットな面を有するヒータブロックよりも、熱溶着部80では高い引張強度が得られる。
【0096】
なお、上述の実施の形態では、ヒータ先端部70Aに溝70Bを有するくし歯状のヒータブロックの場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、くし歯のない、かまぼこ状のヒータブロックであっても、本発明のR形状の効果は同様である。
【0097】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 角形二次電池
2 電池容器
40 電極群
40a 軸芯
41 正極電極(電極)
42 負極電極(電極)
43 第1のセパレータ(セパレータ)
44 第2のセパレータ(セパレータ)
60a〜60d 送り機構
61a〜60d カッタ
64 テープ送り出し機構
66 把持回転機構(保持手段)
68 仮押さえ
70、101〜105 ヒータブロック
70A、101a〜105a ヒータ先端部
70B 溝
70a フラット部(直線形状部分)
70b 第1のR部(円弧形状部分)
70c 第2のR部(円弧形状部分)
71 ヒータ昇降機構(押圧手段)
72 裏押さえ機構
73 電極群製造装置
80 熱溶着部
80a フラット部(直線形状部分)
80b 第2のR部(円弧形状部分)
80c 第1のR部(円弧形状部分)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有する二次電池であって、
前記電極群は、前記軸芯に前記セパレータの先端部分が熱溶着された熱溶着部を有しており、該熱溶着部が前記軸芯に曲面形状の凹みを形成していることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が円弧形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が一対の円弧形状部分と該一対の円弧形状部分の間を前記軸芯の扁平面と平行な直線で結ぶ直線形状部分とを有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が楕円の円弧形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が複数の直線形状部分を円弧状に連結して形成された近似円弧形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が、底辺部分と、該底辺部分の両端から前記軸芯の扁平面側に移行するにしたがって互いに離反する一対の斜辺部分と、前記底辺部分と前記一対の斜辺部分との間に介在されて円弧状に湾曲する湾曲部分とを有する近似台形形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記凹みは、前記軸芯の扁平面との境界位置に形成される角部の内角が鈍角であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記凹みは、互いに前記捲回軸方向に離れて対向し、前記凹みの底方向に移行するにしたがって漸次接近する一対の傾斜面を有することを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
電極とセパレータを互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯に捲回して二次電池の電極群を製造する電極群製造装置であって、
前記セパレータを前記軸芯に押圧して熱溶着するヒータブロックを有し、
該ヒータブロックは、前記軸芯に押圧されるヒータ先端部が凸曲面形状を有することを特徴とする電極群製造装置。
【請求項11】
前記軸芯を捲回軸回りに回転可能に保持する保持手段と、
該保持手段に保持された前記軸芯の扁平面に対して直交する方向に前記ヒータブロックを押圧する押圧手段と、を有し、
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が円弧形状を有することを特徴とする請求項10に記載の電極群製造装置。
【請求項12】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が一対の円弧形状部分と該一対の円弧形状部分の間を前記押圧方向に直交する直線で結ぶ直線形状部分とを有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項13】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が楕円の円弧形状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項14】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が複数の直線形状部分を円弧状に連結して形成された近似円弧形状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項15】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が、前記押圧方向に直交する方向に直線状に延在する上辺部分と、該上辺部分の両端から前記ヒータ先端部の基端側に移行するにしたがって互いに離反する一対の斜辺部分と、前記上辺部分と前記一対の斜辺部分との間に介在されて円弧状に湾曲する湾曲部分とを有する近似台形形状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項16】
前記ヒータ先端部は、前記軸芯の扁平面に対向して前記捲回軸と平行に所定長さに亘って延在する形状を有することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項17】
前記ヒータ先端部は、前記捲回軸と平行な長さ方向に所定間隔をおいて複数の溝を有することを特徴とする請求項16に記載の二次電池。
【請求項18】
前記溝は、互いに前記捲回軸と平行な長さ方向に離れて対向し、前記溝の底方向に移行するにしたがって漸次接近する一対の傾斜面を有することを特徴とする請求項17に記載の二次電池。
【請求項1】
電極とセパレータを重ね合わせて扁平状の軸芯に捲回した電極群を有する二次電池であって、
前記電極群は、前記軸芯に前記セパレータの先端部分が熱溶着された熱溶着部を有しており、該熱溶着部が前記軸芯に曲面形状の凹みを形成していることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が円弧形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が一対の円弧形状部分と該一対の円弧形状部分の間を前記軸芯の扁平面と平行な直線で結ぶ直線形状部分とを有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が楕円の円弧形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が複数の直線形状部分を円弧状に連結して形成された近似円弧形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に直交する方向に沿った断面が、底辺部分と、該底辺部分の両端から前記軸芯の扁平面側に移行するにしたがって互いに離反する一対の斜辺部分と、前記底辺部分と前記一対の斜辺部分との間に介在されて円弧状に湾曲する湾曲部分とを有する近似台形形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記凹みは、前記軸芯の扁平面との境界位置に形成される角部の内角が鈍角であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記凹みは、前記電極群の捲回軸方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記凹みは、互いに前記捲回軸方向に離れて対向し、前記凹みの底方向に移行するにしたがって漸次接近する一対の傾斜面を有することを特徴とする請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
電極とセパレータを互いに重ね合わせた状態で扁平状の軸芯に捲回して二次電池の電極群を製造する電極群製造装置であって、
前記セパレータを前記軸芯に押圧して熱溶着するヒータブロックを有し、
該ヒータブロックは、前記軸芯に押圧されるヒータ先端部が凸曲面形状を有することを特徴とする電極群製造装置。
【請求項11】
前記軸芯を捲回軸回りに回転可能に保持する保持手段と、
該保持手段に保持された前記軸芯の扁平面に対して直交する方向に前記ヒータブロックを押圧する押圧手段と、を有し、
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が円弧形状を有することを特徴とする請求項10に記載の電極群製造装置。
【請求項12】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が一対の円弧形状部分と該一対の円弧形状部分の間を前記押圧方向に直交する直線で結ぶ直線形状部分とを有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項13】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が楕円の円弧形状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項14】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が複数の直線形状部分を円弧状に連結して形成された近似円弧形状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項15】
前記ヒータ先端部は、捲回軸方向に直交する方向の断面が、前記押圧方向に直交する方向に直線状に延在する上辺部分と、該上辺部分の両端から前記ヒータ先端部の基端側に移行するにしたがって互いに離反する一対の斜辺部分と、前記上辺部分と前記一対の斜辺部分との間に介在されて円弧状に湾曲する湾曲部分とを有する近似台形形状を有することを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項16】
前記ヒータ先端部は、前記軸芯の扁平面に対向して前記捲回軸と平行に所定長さに亘って延在する形状を有することを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項17】
前記ヒータ先端部は、前記捲回軸と平行な長さ方向に所定間隔をおいて複数の溝を有することを特徴とする請求項16に記載の二次電池。
【請求項18】
前記溝は、互いに前記捲回軸と平行な長さ方向に離れて対向し、前記溝の底方向に移行するにしたがって漸次接近する一対の傾斜面を有することを特徴とする請求項17に記載の二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−4192(P2013−4192A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131088(P2011−131088)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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