説明

二次電池の充電システム及び充電方法

【課題】
電気自動車などで使用する充電容量の大きな二次電池に充電する場合、充電初期に発生する過大な電流を抑制し、二次電池の異常発熱を防止し、充電装置の電流容量を小さくすると共に、充電装置の電力会社との契約費用を軽減する。
【解決手段】
充電初期は、充電装置内に設けた二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段から出力電圧を調整するDC/DCコンバータを介して充電電流を供給し、一定量または一定時間供給後、商用電源に切換て充電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し充放電可能な二次電池の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
充電装置4により、繰り返し充放電が可能な二次電池2に充電を行う場合、充電初期に過大な電流が流れ、充電装置4はこの電流に見合った電力会社との契約が必要となる。
二次電池2への充電初期には過大な電流は流れるが、時間と共に減少しほぼ定電流が、充電が完了するまで流れる(図3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2007−267561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繰り返し充放電が可能な電気自動車1などで使用する充電容量の大きいリチウムイオン電池などの二次電池2に充電を行う場合、充電初期には定常的な充電電流の2倍程度の過大な電流が充電初期に通電され、リチウムイオン電池などの二次電池2が異常発熱する可能性がある。
【0005】
また、短時間に充電するためには、それに見合った電流容量を持つ充電装置4を準備する必要がある。その場合、電力会社との契約は充電装置4に一時的に通電される過大な電流値で定まってしまう。
【0006】
本発明は、充電初期における商用電源から供給される過大な電流を抑制することで、充電装置4の電流容量を小さくでき、電力会社との契約費用を抑制した二次電池2の充電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
繰り返し充放電が可能で、充電容量の大きいリチウムイオン電池などの二次電池2に充電を行う場合、充電初期に過大な電流が流れる。一時的に過大電流が流れた後の電流は減少しほぼ定電流となる。
【0008】
充電装置4を商用電源に接続して充電する場合に、充電初期に発生する商用電源から供給される一時的な過大電流を抑えるため、繰り返し充放電可能な二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5を充電装置4内に組み込む。
充電初期には充電装置4内に組み込んだ二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5から、コンバータ7、変圧器8およびインバータ9から構成されるDC/DCコンバータ6を経由して、二次電池2の充電に必要な電圧に調整した後充電を開始する。充電装置4内の二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5からの電流は、蓄電手段5の容量により定まる一定の値より大きくならないので過大電流による二次電池2の異常発熱を防ぐ事が出来る。
具体的には、スイッチ13は接続のない中間位置に、スイッチ14はaの位置にして、二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5からの電流をDC/DCコンバータ6で適当な電圧に調整して充電する。
電流計測手段15により計測された、二次電池2へ充電された積算電力量が、充電装置4内に組み込んだ二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5の充電容量に対して予め決められた値となったとき、または充電電流の値が所定の値になったとき、或いは、充電開始から一定時間が超過したとき、電流計測手段15により充電装置4内のスイッチ13、14をaからbの商用電源側に切換て、コンバータ12の出力をコンデンサ11で平滑した後引き続きDC/DCコンバータ6にて、二次電池2の充電に必要な電圧に調整して引き続き充電を行う。
【発明の効果】
【0009】
繰り返し充放電が可能な二次電池に充電する場合に、商用電源から供給される過大な充電電流を抑え、充電電流を低減することで、電力会社との契約費用の削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例を示す充電接続図である。
【図2】本発明の充電システム図である。
【図3】充電時の通電電流の変化を示す電流変化図である。
【図4】従来の充電接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
二次電池2への充電の初期においては、充電装置4内に設置された、二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5により充電を行って、充電初期に発生する過大な電流を供給する。充電装置4内に設置された二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5からの供給が減少し、予め設定した電流値、或いは積算電力量が値になったとき、または充電開始から一定時間を経過したとき、充電装置4内のスイッチ13、14をコンデンサ側に電流計測手段15の指示により自動的に切換て、商用電源からコンバータ12にてAC/DC変換し、DC/DCコンバータ6にて必要な電圧に調整し充電を開始する。
なお、ここでの電流計測手段15は、単に電流を計測する機能、或いは積算電力量を計測する機能、または、単に充電が始まってからの時間を記録する機能に加え、それぞれの機能にしたがってスイッチ13及び14に入り切りの指示を出す機能を持つものとする。

【実施例】
【0012】
図1は本発明の実施例を示す接続図であり、図2は本発明の充電システム図、図3は充電時の通電電流変化例を示す電流変化図、図4は従来の実施例を示す接続図である。
繰り返し充放電が可能な電気自動車1などで使用する充電容量の大きいリチウムイオン電池などの二次電池2に充電を行う場合は、充電装置4を使用して高電圧、大電流で短時間で充電を行う方法と家庭用電源などを使用して低電圧、小電流により一晩程度の長時間掛けて充電する方法がある。
後者は二次電池をただちに使用する予定がない場合に、時間を掛けて充電を行うことが可能である。しかし、充電が不十分な二次電池を急遽使用したい場合には、一晩掛けて充電する事はできずそのため、高電圧、大電流で短時間に充電する充電装置4の需要が高まる。
【0013】
図1に示す本発明による充電方法では、二次電池2と充電装置4をケーブル3で連結して充電に関する信号のやりとりを行う。スイッチ13を中間位置に、スイッチ14をバッテリ側に切換えて、二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5からコンバータ7、変圧器8およびインバータ9から構成されるDC/DCコンバータ6を経由して二次電池の充電に必要な電圧に調整した後、充電を開始する。図3に示す通電電流変化のように、充電開始初期の大きい通電電流から徐々に減少し、予め設定した通電電流になったらまたは積算電力量が予め設定された量に達したとき、或いは一定時間の後に、電流計測手段15の指示により自動的に充電装置4内にあるスイッチ13、14をコンデンサ11側bに切換て、二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5からの二次電池2への充電を停止すると同時に、商用電源に切換、商用電源をコンバータ12にてAC/DC変換し、コンデンサ11で平滑した後、DC/DCコンバータ6にて必要な電圧に調整して充電を継続する。
図4に示す従来の接続図では、充電装置4内に二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段5が無いため、商用電源を使用してのみの充電となり、充電初期には過大な電流が通電されていた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の充電システムは、電気自動車などで使用する充電容量の大きな二次電池に充電する場合、充電初期に発生する過大な電流を抑制し、二次電池の異常発熱を防止し、充電装置の電流容量を小さくすると共に、充電装置の電力会社との契約費用を軽減し、効率的な充電システムを提供する。
【符号の説明】
【0015】
1 電気自動車
2 二次電池
3 ケーブル
4 充電装置
5 二次電池や電気二重層キャパシタなどの蓄電手段
6 DC/DCコンバータ
7 コンバータ
8 変圧器
9 インバータ
10 二次電池や電気二重層キャパシタ
11 コンデンサ
12 コンバータ
13 スイッチ
14 スイッチ
15 電流計測手段
16 スイッチ
17 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し充放電が可能な二次電池を充電するシステムであって、充電電流計測手段と、これにより計測される充電電流が大きい充電の初期段階においては、既に充電されている蓄電手段と、これに接続された蓄電手段の出力電圧を調整するDC/DCコンバータにより、二次電池を充電し、充電電力量が予め設定した積算値より大きくなった時以降、または予め設定した充電時間が経過した時以降において、回路を切換る切換手段によって、別の交流商用電源から、直流に変換するAC/DCコンバータと、この出力の直流を平滑にする平滑手段と、充電に必要な電圧に調整する前記DC/DCコンバータにより構成される回路を、切換える前記切換手段を備えて充電することを特徴とする二次電池の充電システム。
【請求項2】
繰り返し充放電が可能な二次電池を充電する方法であって、充電電流を計測し、充電電流が大きい充電の初期には、既に充電されている蓄電手段からの電流を取り出し、DC/DCコンバータにより必要な電圧に調整した後、充電対象の二次電池を充電し、請求項1の充電電流計測手段により計測された電流値が所定の値より小さくなる初期部以降、または充電電力量が予め決めた値になったとき以降、或いは充電開始から一定の時間が経過した以降の充電には、回路を切換、商用電源からの交流電流を直流電流に変換し、平滑手段により滑らかにし、その直流を必要な電圧に調整した後充電することを特徴とする二次電池の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−4482(P2011−4482A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143919(P2009−143919)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】