説明

二次電池サービス管理システム

【課題】二次電池サービス管理システムにおける二次電池を効率的且つ経済的に管理しサービス向上を図る、またサービス向上を図る二次電池の管理方法を得る。
【解決手段】二次電池管理施設10は、二次電池管理施設10内の劣化判定装置13で基準レベル以下と判定された劣化二次電池モジュールBTM及び劣化二次電池セルBTCを二次電池再生施設20に送り、二次電池再生施設20は、劣化二次電池モジュールBTM及び劣化二次電池セルBTCから再生できた二次電池モジュールBTM及び再生できた二次電池セルBTCを二次電池管理施設10に返還し、二次電池管理施設10は、再生できた二次電池モジュールBTMを及び再生できた二次電池セルBTCを含んで組み合わせた二次電池モジュールBTMを、二次電池使用設備30に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次電池サービス管理システム、及び二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二次電池サービス管理システムは、二次電池機能品質の低下に対しては、必要な機能を維持するのに、二次電池を廃棄しそれに伴う新たな二次電池の購入を行う電池交換をしてきている。このため、メンテナンス費用が高額となっていた。
【0003】
この状況では、メンテナンス費用のコストダウンには、電池の交換サイクルを伸ばすことが重要となり、電池の寿命を伸ばす開発を待たねばならない。この電池コストの高額がネックとなり、例えば、電気自動車のインフラ設備としての大型リチュウムイオン電池の使用等が進んでいない。
【0004】
このため二次電池の再生機能を向上させた二次電池再生装置が提案されてきている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−243041号公報(要約)
【特許文献2】特開2004−201355号公報(要約)
【特許文献3】特開2006−32065号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、二次電池サービス管理システムの整備普及には、従来の電池の寿命を伸ばす開発及び二次電池の再生機能を向上させた二次電池再生装置の開発のみならず、さらに広い配慮からの提案が必要である。
【0006】
ここで解決しようとする課題は、二次電池サービス管理システムにおける二次電池を効率的且つ経済的に管理しサービス向上を図ること、また、サービス向上を図ることのできる二次電池の管理方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、電子ネットワークで結ばれた二次電池管理施設と二次電池再生施設とを含む二次電池サービス管理システムであって、前記二次電池管理施設は、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以下と判定された劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルを前記二次電池再生施設に送り、前記二次電池再生施設は、前記劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルから再生できた二次電池モジュール及び/又は再生できた二次電池セルを前記二次電池管理施設に返還し、前記二次電池管理施設は、前記再生できた二次電池モジュールを及び/又は前記再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールを、二次電池使用設備に供給する二次電池サービス管理システムとする。これによって、再生できた二次電池モジュール、また、再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールが、活用できるため、相対的にユーザーの電池コストを下げることができ、資源の有効活用にも貢献できる。
【0008】
また、前記二次電池管理施設は、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以上と判定された二次電池セルを保管二次電池セルとして保管する二次電池サービス管理システムとすれば、二次電池管理施設での二次電池セルの再活用を具体的に実現可能とできる。
【0009】
また、前記再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールを、劣化同レベルの二次電池セルからなる二次電池サービス管理システムとすれば、効率よく、劣化し難い二次電池モジュールを供給できる。
【0010】
また、前記再生できた二次電池セル及び/又は前記保管二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールが、劣化同レベルの二次電池セルからなる二次電池サービス管理システムとすれば、効率よく、劣化し難い二次電池モジュールを供給できる。
【0011】
また、前記二次電池モジュール及び前記二次電池セルのそれぞれに、それぞれのIDを記憶したICタグを付し、少なくとも前記二次電池管理施設と前記二次電池再生施設のそれぞれの前記二次電池モジュール及び前記二次電池セルの出入り部、及び前記二次電池管理施設内の劣化判定装置に、それぞれの管理サーバと通信可能なICタグリーダを設置する二次電池サービス管理システムとすれば、二次電池の管理を確実且つ緻密にできる。
【0012】
また、電子ネットワークで結ばれた二次電池管理施設と二次電池再生施設とを含む二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法であって、前記二次電池管理施設が、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以下と判定された劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルを前記二次電池再生施設に送る工程と、前記二次電池再生施設が、前記劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルから再生できた二次電池モジュール及び/又は再生できた二次電池セルを前記二次電池管理施設に返送する工程と、前記二次電池管理施設が、前記再生できた二次電池モジュールを及び/又は前記再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールを、二次電池使用設備に供給する工程と含む二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法とする。これによって、再生できた二次電池モジュール、また、再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールが、活用できるため、相対的にユーザーの電池コストを下げることができ、資源の有効活用にも貢献できる。
【0013】
また、前記二次電池管理施設が、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以上と判定された二次電池セルを保管二次電池セルとして保管する工程を含む二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法とすれば、二次電池管理施設での二次電池セルの再活用を具体的に実現可能とできる。
【0014】
また、前記再生できた二次電池セルを含んで劣化同レベルの二次電池セルを組み合わせ二次電池モジュールを構成する工程を含む二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法とすれば、効率よく、劣化し難い二次電池モジュールを供給できる。
【0015】
また、前記再生できた二次電池セル及び/又は前記保管二次電池セルを含んで劣化同レベルの二次電池セルを組み合わせ二次電池モジュールを構成する工程を含む二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法とすれば、効率よく、劣化し難い二次電池モジュールを供給できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、再生できた二次電池モジュール、また、再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールが、活用できるため、相対的にユーザーの電池コストを下げることができ、資源の有効活用にも貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を図を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明による一実施の形態としての二次電池サービス管理システムの構成概念図である。図2は、図1の実施の形態の二次電池サービス管理システムに用いる二次電池の構造例を示す斜視図である。
【0019】
(1)まず、二次電池BTの構成に付き説明する。二次電池BTは、複数の二次電池セルBTCを含む二次電池モジュールBTM(これは、二次電池BTそのものであるが、混乱を避けるため、あえて、二次電池モジュールBTMとの用語も使う。)として構成されている。それぞれの二次電池セルBTCには、それぞれのIDを記憶したICタグTGBTCが半埋め込み接着等で取り付けられる。二次電池モジュールBTMには、IDを記憶したICタグTGBTMが埋め込み接着等で取り付けられる。この実施の形態での、二次電池は例えば3kWh以上の容量を持つ自動車用のNiCo系或はMn系のリチウム電池である。このような二次電池BTすなわち二次電池モジュールBTMが、充電された電池との交換のために、二次電池管理施設10の保管庫11或は別に設けた交換所などでユーザーが乗ってきた車の負荷31に対して交換される。
【0020】
(2)次に、二次電池サービス管理システム1の全体構成を説明する。
【0021】
二次電池サービス管理システム1は、インターネットなどの電子ネットワーク40で結ばれた二次電池サービス会社の二次電池管理施設10と二次電池メーカの二次電池再生施設20とを含む。二次電池管理施設10は、管理サーバ14を有する。二次電池再生施設20は、管理サーバ22を有する。通信ルートF1を介して、管理サーバ14は、二次電池BTの返還情報、受給情報のやり取りを行い、管理サーバ22は、通信ルートF2を介して、二次電池BTの回収情報、供給情報のやり取りを行う。二次電池管理施設20は、二次電池管理施設20内に充電装置12と劣化判定装置13を備え、交換された二次電池モジュールBTM及び/又は二次電池セルBTCを、充電し、劣化判定を行う。
【0022】
二次電池モジュールBTM及び二次電池セルBTCのそれぞれに、それぞれのIDを記憶したICタグTGBTM、TGBTCを付し、少なくとも二次電池管理施設10と二次電池再生施設20のそれぞれの二次電池モジュールBTM及び二次電池セルBTCの出入り部、及び二次電池管理施設10内の劣化判定装置13に、それぞれの管理サーバ14,22と通信可能なICタグリーダTRE1乃至TRE10を設置している。この例では、保管庫11を二次電池モジュールBTMのモジュール保管部11Aと二次電池セルBTCのセル保管部11Bに分けたため、さらに、ICタグリーダTRE11とTRE12を設置している。このように、ICタグリーダは、必要に応じ出入りの必要なゲート部に設置することが出きる。ICタグリーダは、ID番号が付与され、管理サーバ14、管理サーバ22で管理される。又この管理情報は必要に応じて両管理サーバ間で交換される。
【0023】
(3)次に交換された使用済二次電池モジュールBTM及び/又は使用済二次電池セルBTCの動きを説明する。二次電池BTは、この例ではユーザーが乗ってきた車の負荷31に対して交換される。二次電池BTMを位置B2で放出し、位置B1で別の充電された二次電池(モジュール)BTMを受けて、交換される。二次電池BTM(位置B2)は、ルートR2で充電装置12に送られる。ここで充電装置12により充電された後の二次電池モジュールBTM及び/又は、二次電池セルBTCは、ルートR3を通して劣化判定装置13に入る。
【0024】
劣化判定装置13では、取り扱う二次電池の性能から選定された基準レベル以下と判定された、劣化二次電池モジュールBTMのうち基準レベルよりかなり低いものをルートT1を通して、その他の劣化二次電池モジュールBTM及び/又は劣化二次電池セルBTCをルートT2を通して、二次電池再生施設20(ここでは、工場21に送るものとして図1には図解されている。)に送る。この流れを、位置B6とルートR4と位置B7、位置B9とルートR5と位置B10で示す。これら劣化した二次電池モジュールBTM及び/又は劣化二次電池セルBTCは一旦回収される。なお、劣化判定装置13で、劣化二次電池モジュールBTMが、基準レベル以下としても、そのうちの劣化二次電池セルBTCが、セルの基準レベル以上であれば、その劣化二次電池セルBTCは、ルートT3を通じて保管庫11のセル保管部11Bに保管二次電池セルBTCとして残される。
【0025】
二次電池再生施設20は、劣化二次電池モジュールBTM及び/又は劣化二次電池セルBTCから再生できた二次電池モジュールBTM及び/又は再生できた二次電池セルBTCを二次電池管理施設10に返送(返還)する。すなわち、位置B7からのものは、ルートR7を通してし、位置B8に入り、再生の可否を判定され、殆どのものは再生不能として、ルートR9を通じ廃棄処分される。位置B10からルートR8を通じて入ってきたものは、再生の可否を判定され、ルートR10を通じ一部廃棄されるが、残りは再生され、ルートR11を通じて位置B12に再生できた二次電池モジュールBTM、再生できた二次電池セルBTCとして置かれた後、ルートR12から位置B13、ルートR13、位置B14へと戻される。
【0026】
上記のルートR9を通じ廃棄処分された二次電池モジュールBTMに見合う数の、また需要動向に合わせた数の新たな二次電池モジュールBTMが、位置B17からルートR14、位置B18、ルートR15を通じて、位置B19に供給される。
【0027】
位置B14からは、再生できた二次電池モジュールBTMはルートR16を通じ保管庫11のモジュール保管部11Aに、再生できた二次電池セルBTCは、ルートR17を通じて保管庫11のセル保管部11Bに、送られる。位置B19の新たな二次電池モジュールBTMは、ルートR18を通じて、保管庫11のモジュール保管部11Aに送られる。
【0028】
二次電池管理施設10は、再生できた二次電池モジュールBTMを及び/又は再生できた二次電池セルBTCを含んで組み合わせた二次電池モジュールBTMを、二次電池使用設備(この例では自動車を想定)30に供給する。すなわち、保管庫11のモジュール保管部11Aには、二次電池使用設備30に供給可能な二次電池モジュールBTMがすでに保管されている。ここに、保管庫11のセル保管部11Bの、再生できた二次電池セルBTC及び/又は劣化程度が低いため残された二次電池セルBTCから、劣化同レベルの二次電池セルBTCが組み合わされて、二次電池モジュールBTMとされ、収容される。勿論、この新たに組み合わせて作られた二次電池モジュールBTMは、劣化程度に応じて、値引きされて二次電池使用設備30に供給される。このことは、ルートR16を通じて入ってきた、再生できた二次電池モジュールBTMについても同様であり、劣化程度に応じて値引きされる。
【0029】
上記のように、二次電池管理施設10は、二次電池管理施設10内の劣化判定装置13で上記の基準レベル以上と判定された二次電池セルBTCを保管二次電池セルBTCとして保管する。これらの二次電池セルBTCは、これら自身で集合され、又は、再生できた二次電池セルBTCを含んで組み合わせた二次電池モジュールBTMとされ、或は、再生できた二次電池セルBTCのみで集合された、二次電池モジュールBTMとされ、二次電池使用設備30に供給されることになるのである。これらの再集合された二次電池モジュールBTMが、劣化同レベルの二次電池セルBTCから構成されるのは、二次電池セルBTCを組み合わせた場合、二次電池モジュールBTMとしての性能は、最もレベルの低い二次電池セルBTCに引かれて低下するからである。
【0030】
(4)次に、上記の実施の形態の二次電池サービス管理システムにおける回路構成と回路の作用をその回路構成のブロック図である図3に基づき説明する。
【0031】
(4−1)二次電池管理施設(二次電池サービス会社)10は、管理サーバ14と、ここでは保管庫内又はそれに隣接して設けられる充電装置12、劣化判定装置13、と、さらに、管理サーバ14と通信可能に接続された複数のICタグリーダTRE1乃至5、及びTRE11とTRE12を有する。
【0032】
管理サーバ14は、二次電池管理施設10が所有するコンピュータであり、所定のネットワーク40に通信可能に接続されている。記憶手段M10として複数のデータベースD1乃至D6を有する。
【0033】
充電装置12は、二次電池管理施設10の管理サーバ14とLANやVANで通信可能に接続されている。二次電池モジュールBTMに設けられたICタグTGBTによりモジュールIDを読み取り、そのモジュールBTMを充電する。また二次電池セルBTCを充電した場合には、セルBTCのICタグTGBTCからセルIDを読み取りそのセルを充電する。これらのICタグに対応するICタグリーダTRE2が、充電装置12には設けられている。モジュールBTGやセルBTCのICタグTGBTM,TGBTCから受電した場合には、それぞれ管理サーバ14のデータベースD4に記憶されている充電情報データ(テーブル)にそれぞれのICタグTGBTM,TGBTCのIDと充電日時を書き込み、二次電池管理情報データ(テーブル)の区分を充電済みとする。
【0034】
劣化判定装置13は、二次電池管理施設10の管理サーバ14とLANやVANで通信可能に接続されている。充電済みの二次電池モジュールBTMに設けられたICタグTGBTMによりモジュールIDを読み取り、そのモジュールがどの程度劣化しているかの度合いを判定する。またセル単位についても、セルBTCのICタグTGBTCからセルIDを読み取り、セルがどの程度劣化しているかの度合いを判定する。
【0035】
モジュールBTM及びセルBTCが劣化している場合には、ICタグTGBTM,TGBTCに劣化している情報を書き込むと共に、管理サーバ14のデータベースD3に記憶されている劣化情報データ(テーブル)に書き込むと共に、データベースD2の二次電池管理情報データ(テーブル)の区分を再生中にして、二次電池再生施設20へ返還する処理を行う。例えば、二次電池返還保管庫等に運搬に見合う個数がまとまるまで保管しておいても良く、保管庫を出た時点で管理サーバ14によって返還情報を二次電池再生施設20へ送信する。
【0036】
記憶手段M10には、各種のデータベースが設けられている。
【0037】
二次電池管理情報データは、データベースD2にあり、二次電池をモジュール単位、あるいはセル単位で管理する情報が記憶されている。二次電池がどこにあるかは、ICタグリーダTRE付きのゲート或はICタグリーダTRE近傍などを通過する毎にチェックする。ICタグリーダTREは充電装置12、劣化判定装置13、保管庫11、などに設置され、利用者貸出、再生施設へ返還、など移動を伴う場合にICタグリーダTRE近傍を通過させ、ICタグリーダTREから受信した状態をデータベースD2に反映する。
【0038】
モジュール単位の場合は、モジュールID、セルID(複数)、製造ID、製造メーカ(メーカ管理情報データテーブルのメーカIDとリンク)、製造年月日、充電済み/保管中/貸出中/再生中の区分、などが記憶されている。
【0039】
セル単位の場合は、セルID(モジュールIDとリンク)、製造ID、製造メーカ(メーカ管理情報データテーブルのメーカIDとリンク)、製造年月日、充電済み/保管中/貸出中/再生中の区分、などが記憶される(ここでの保管中は、貸し出せる状態に充電された物、再生中とは再生施設に返還したものを示し再生施設に返却するために保管した物も含む)。また、再生された場合には、最新の再生年月日、再生出来ない場合には、再生不能として記憶する。
【0040】
充電情報データは、データベースD4にあり、充電装置12とLANやVANで通信可能に接続され、充電装置12から送信される情報を記憶する。負荷(この例では電気自動車)30から回収した使用済みの二次電池モジュールBTMを充電装置12で充電したモジュールID、受電日時を記憶する。
【0041】
劣化情報データは、データベースD3にあり、劣化判定装置13から送信される情報を記憶する。劣化判定装置13でモジュール単位、セル単位に劣化判定が行われた結果が書き込まれる。モジュール単位の場合は、二次電池管理情報データのモジュールIDに関連付けられ、該当するモジュールBTMの劣化度合い(充電率)が、例えば%で記憶され、劣化が判定した日時、劣化判定装置ID、などが順次履歴として記憶される。セル単位の場合は、二次電池管理情報データのセルIDに関連付けられて該当するセルの劣化度合い(充電率)が%で記憶される。また劣化が判定した日時、劣化判定装置ID、などが順次履歴として記憶される。
【0042】
メーカ管理情報データ(再生施設管理情報データ)は、データベースD5にあり、二次電池モジュールBTMやセルBTCを製造および再生する施設の情報が記憶されており、施設ID、施設名、施設住所、連絡先、などが記憶される。
【0043】
ユーザー管理情報データ(利用者管理情報テーブル)は、データベースD6にあり、当該二次電池管理施設10を利用する利用者の情報が記憶されている。情報として、個人の場合は、利用者ID、利用者氏名、利用者住所、連絡先、性別、生年月日、職業、課金情報(過去数ヶ月の課金と集金情報)などが記憶されている。法人の場合は、法人ID、法人名、法人住所連絡先などが記憶され、さらに実際に利用する法人に所属する複数の個人ID、個人名と、請求日などが記憶される。100%新品の二次電池を要望する利用者はその区分を記憶する。
【0044】
料金テーブルは、データベースD1にあり、二次電池の使用に耐えうる劣化状態に応じて、料金を設定し記憶する。例えば、新品のみを要望する利用者の場合には、1回の交換料金が1万円、劣化度合いが80%の二次電池を提供した場合には、1回の交換料金が6千円、劣化度合いが60%の二次電池を提供した場合には、1回の交換料金が4千円、などである。また利用者の二次電池使用状況に応じてさらに劣化度合いに優良利用者のランクを付け、それを考慮した料金としても良い。
【0045】
返還情報送信手段15は、二次電池モジュールBTM又はセルBTCを二次電池再生施設20に返還した場合に、そのモジュールID、セルID、劣化情報とともに送信する。ここで返還情報を送信するポイントは、二次電池を1つ1つ返却することは実際には不可能なので、返還用に保管された二次電池が実際に荷出された時に二次電池再生施設20へ送信される。処理が煩雑になるが、定期便などで二次電池の授受を行う場合には、返還予定として処理することも可能である。
【0046】
受給情報受信手段16は、二次電池モジュールBTM又はセルBTCが二次電池再生施設20から提供されときに、モジュールID、セルID、再生品か新品か、再生不能か(再生不能として処理されたか)の区分を受信する。受信した情報に基づいて、データベースD2の二次電池管理情報データの書換を行う。書換は、再生品の場合は、再生年月日を記載し、新品の場合は、新たに二次電池管理情報データ(テーブルなど)を作成し、再生不能の時には再生不能を区分に書き込む。
【0047】
(4−2)二次電池再生施設(二次電池メーカ)20は、管理サーバ22と、再生処理のための工場21と、管理サーバ22と通信可能に接続され、工場21の各所に設置された複数のICタグリーダTRE6乃至9からなる。
【0048】
管理サーバ22は、二次電池再生施設20が有するコンピュータであり、所定の電子ネットワーク40に通信可能に接続されている。また記憶手段としてデータベース25Dを有する。
【0049】
二次電池管理データは、データベース25Dに記録され、二次電池をモジュール単位、あるいはセル単位で管理する情報が記憶されている。モジュール単位の場合は、モジュールID、セルID(複数)、二次電池管理施設ID、二次電池管理施設名称、住所、連絡先、製造ID、製造年月日、提供中/再生中/再生済み/再生不能の区分、劣化度合い、新品の区分などが記憶されている。
【0050】
回収情報受信手段23が管理サーバ22内にここでは設けられており、二次電池管理施設10から送信された返還情報を受信する。受信した後、データベース25D内の二次電池管理データ(又はテーブル)の該当する箇所にモジュールID、セルIDのデータに再生中の区分を書き込む。その後、該当する情報を再生処理部21aに伝達する。
【0051】
提供情報送信手段24が管理サーバ22内にここでは設けられており、二次電池管理施設10へ供給する二次電池モジュールBTM及び二次電池セルBTCの情報を送信する。二次電池管理データ(又は、テーブル)の中から区分が再生済みで、その該当する二次電池管理施設10のものを抽出して送信する(この例では、二次電池管理施設10は、図面上1つのみしか記されていないが、二次電池再生施設20が、複数の二次電池管理施設10に対してサービスを行うのが現実となろう。)。また、区分が再生不能のものについては、代わりの新品を用意し、その新品区分の二次電池のモジュールID及びセルIDを送信する。なお、当該情報を送信するのは、実際に荷出しされるときでも良いし、荷出し予定として先に二次電池管理施設へ送信してもよい。
【0052】
さらに、再生情報処理手段26が管理サーバ22内にここでは設けられており、二次電池モジュールBTM、二次電池セルBTCを再生する際に、各モジュール、セルに設けられたICタグTGBTM、TGBTCを読み取り、二次電池の状態を確認し、再生処理を行ったか、再生不能であったかの区分を書き込む(例えば、二次電池の搬送ラインを再生分、再生不能分として、それぞれICリーダ付きのゲートを通過させ、各ゲートをくぐったもののICタグを書き換える。ゲートから管理サーバ22へ二次電池の状態がIDとともに送信され、二次電池管理データ(又は、テーブル)の情報を書き換える。)。
【0053】
(本実施の形態における効果)
上記の実施の形態における、二次電池サービス管理システム、及び二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法は、二次電池サービスを効率よく、かつ経済的に提供するために、高度情報通信及び、個体管理技術及び、再生品としての二次電池モジュール及び二次電池セルをサービスに活用可能とできる。二次電池供給サービスにおいて、電池を管理・サービス事業を営む事業会社と、電池サービス会社に電池を提供するメーカと、電池サービスを利用するユーザーの間で、一定の品質を保証しつつサービス提供をスムーズに行うために、二次電池のモジュール及びセル単位での品質チェックをベースとするサービス提供フローを効率よくシステム化できる。
【0054】
未使用の電池モジュールの容量を100%とした場合、繰り返し使用することにより、性能が低下し、80%、60%と容量が落ちていくが、その電池をサービス提供する場合は、使用前の電池容量と、電池重量(交換の手間も)を考慮した課金がユーザーからは求められるであろう。また、使用に耐えられる限界を超えて劣化した電池については、メーカへの返送により、再生品としての利用の可能性がある。このとき、再生された電池の容量は、必ずしも、未使用品と同等の100%回復をしている必要は無く、サービス提供に供しうる性能を確保することが求められる。また、サービス提供に供する電池については、再生の品質管理はセル単位、またはモジュール単位でおこなうことを特徴とし、そのセルの組み方により、サービスのメニューが構成される。
【0055】
従来は、品質の低下により、廃棄と購入を繰り返すため、必要な機能を維持するために、電池交換を行い、メイテナンス費用が高コストとなっていた。従って、電池のサイクル特性の改善が課題であり、コストに見合う寿命を保証する開発を待たなければ、電池の利用・普及が困難な状況であり、電気自動車のインフラ設備として、例えば大型リチウムイオン電池の使用を考えるときに、電池コストがネックとなっていた。
【0056】
それに対して、この実施の形態によれば、メーカは電池寿命をユーザーに保証する必要はない。一定のサービス品質を確保できるだけの電池を、サービス会社の基準で供給することが課題となる。メーカの開発努力により、品質を高めた場合、サービスで提供しうる寿命が延び、メーカは開発によるメリットを受ける。逆に品質が悪い場合は、短寿命で回収、再生、供給を行うため、メーカ負担が大きくなる。また、メーカは、電池管理のデータを取得しつつ、再生技術を向上させることにより、より安価なコストでサービス会社に提供する電池を供給できる。
【0057】
ここでの一定品質は、電池寿命によらず、充電中及び充電後のチェックにより、サービス会社によって管理され、ユーザーに提供される。そのため、電池性能の基準は電池サービス会社が認定し、各電池メーカに対して、品質・安全の認定マークをセル単位またはモジュール単位に付すことも出きる。認定マークには、個体管理のための必要な情報を蓄えるICタグ等を応用して用いることもできる。
【0058】
上記の実施の形態では、二次電池サービス管理システムの二次電池として、例えばとして自動車用の二次電池に言及したが、本発明の二次電池サービス管理システム、及び二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法は、他の例えば、アイポット(iPod)や携帯、ゲーム端末、デジカメ、ノートパソコン等の外部電源として、ポータブルバッテリーを持ち運びする場合の二次電池にも、活用できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明による二次電池サービス管理システム、及び二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法は、再生できた二次電池モジュール、また、再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールが、活用できるため、相対的にユーザーの電池コストを下げることができ、資源の有効活用にも貢献でき、産業上の利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による一実施の形態としての二次電池サービス管理システムの構成概念図である。
【図2】図1の実施の形態の二次電池サービス管理システムに用いる二次電池の構造例を示す斜視図である。
【図3】図1の実施の形態の二次電池サービス管理システムにおける回路構成のブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 二次電池サービス管理システム、10 二次電池管理施設、11 保管庫、11A モジュール保管部、11B セル保管部、12 充電装置、13 劣化判定装置、14 管理サーバ、15 返還情報送信手段、16 受給情報受信手段、20 二次電池再生施設、22 管理サーバ、21 工場、21a 再生処理部、23 回収情報受信手段、24 提供情報送信手段、26 再生情報処理手段、30 二次電池使用設備、31 負荷、40 電子ネットワーク、B1〜B19 位置、BT 二次電池、BTC 二次電池セル、BTM 二次電池モジュール、C1〜C4 二次電池セルの位置、D1〜D6 データベース、25D データベース、F1,F2 通信ルート、M10 記憶手段、R1〜R18 ルート、T1,T2 ルート、TGBTC ICタグ(セル用)、TGBTM ICタグ(モジュール用)、TRE1〜TRE12 ICタグリーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ネットワークで結ばれた二次電池管理施設と二次電池再生施設とを含む二次電池サービス管理システムであって、前記二次電池管理施設は、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以下と判定された劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルを前記二次電池再生施設に送り、前記二次電池再生施設は、前記劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルから再生できた二次電池モジュール及び/又は再生できた二次電池セルを前記二次電池管理施設に返還し、前記二次電池管理施設は、前記再生できた二次電池モジュールを及び/又は前記再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールを、二次電池使用設備に供給することを特徴とする二次電池サービス管理システム。
【請求項2】
前記二次電池管理施設は、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以上と判定された二次電池セルを保管二次電池セルとして保管することを特徴とする請求項1に記載の二次電池サービス管理システム。
【請求項3】
前記再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールは、劣化同レベルの二次電池セルからなることを特徴とする請求項1に記載の二次電池サービス管理システム。
【請求項4】
前記再生できた二次電池セル及び/又は前記保管二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールは、劣化同レベルの二次電池セルからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池サービス管理システム。
【請求項5】
前記二次電池モジュール及び前記二次電池セルのそれぞれに、それぞれのIDを記憶したICタグを付し、少なくとも前記二次電池管理施設と前記二次電池再生施設のそれぞれの前記二次電池モジュール及び前記二次電池セルの出入り部、及び前記二次電池管理施設内の劣化判定装置に、それぞれの管理サーバと通信可能なICタグリーダを設置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池サービス管理システム。
【請求項6】
電子ネットワークで結ばれた二次電池管理施設と二次電池再生施設とを含む二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法であって、前記二次電池管理施設が、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以下と判定された劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルを前記二次電池再生施設に送る工程と、前記二次電池再生施設が、前記劣化二次電池モジュール及び/又は劣化二次電池セルから再生できた二次電池モジュール及び/又は再生できた二次電池セルを前記二次電池管理施設に返送する工程と、前記二次電池管理施設が、前記再生できた二次電池モジュールを及び/又は前記再生できた二次電池セルを含んで組み合わせた二次電池モジュールを、二次電池使用設備に供給する工程と含むことを特徴とする二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法。
【請求項7】
前記二次電池管理施設が、前記二次電池管理施設内の劣化判定装置で基準レベル以上と判定された二次電池セルを保管二次電池セルとして保管する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法。
【請求項8】
前記再生できた二次電池セルを含んで劣化同レベルの二次電池セルを組み合わせ二次電池モジュールを構成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法。
【請求項9】
前記再生できた二次電池セル及び/又は前記保管二次電池セルを含んで劣化同レベルの二次電池セルを組み合わせ二次電池モジュールを構成する工程を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の二次電池サービス管理システムにおける二次電池の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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