説明

二次電池及び組電池

【課題】過充電等のガス発生を伴う異常を停止させたり緩和させることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】セパレータを介して積層された正極板及び負極板を有する発電要素108と、絶縁層の間に挟むように積層された金属層を有する外装部材106、107と、正極板及び負極板にそれぞれ接続された正極端子104及び負極端子105と、を備え、発電要素108が外装部材106、107に収容されて封止され、正極端子104及び負極端子105が外装部材106、107から外部に導出した二次電池10は、上部外装部材106が膨張した際に、当該上部外装部材106の金属層に接触して当該金属層と導通可能な導電部材109、110をさらに備え、導電部材109、110は、正極端子104及び負極端子105に電気的に接続して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極板を有する発電要素を外装部材に収容して封止すると共に、電極板に接続された電極端子が外装部材から外部に導出した二次電池及び該二次電池を複数積層した組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電極板を有する発電要素を外装部材に収容して封止すると共に電極板に接続された電極端子を外装部材から外部に導出した二次電池では、過充電等の異常時に電池内部にガスが発生して内圧が上昇する場合がある。このような内圧上昇を解消するために、外装部材が膨張した際に当該外装部材を穿孔可能な切刃を二次電池に設け、当該穿孔からガスを外部に放出させる技術が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような技術では、ガス放出により電池の内圧を低下させることが出来ても、過充電状態は引き続き継続しているのでガス発生自体を抑制することは出来ない。
【特許文献1】特開2001−222986号公報
【発明の開示】
【0004】
本発明は、過充電等のガス発生を伴う異常を停止させたり緩和させることが可能な二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、セパレータを介して積層された正極板及び負極板を有する発電要素と、少なくとも1以上の絶縁層と金属層とを有する外装部材と、前記正極板及び前記負極板にそれぞれ接続された正極端子及び負極端子と、を備え、前記発電要素が前記外装部材に収容されて封止され、前記正極端子及び負極端子が前記外装部材から外部に導出した二次電池であって、前記外装部材が膨張した際に、前記外装部材の金属層に接触して当該金属層と導通可能な導電部材をさらに備え、前記導電部材は、前記正極端子又は前記負極端子の少なくとも一方に電気的に接続して設けられている二次電池が提供される。
【0005】
本発明では、正極端子又は負極端子の少なくとも一方に電気的に接続した導電部材を設け、過充電等に伴って外装部材が膨張した際に、この導電部材を外装部材の金属層に導通させる。これにより、二次電池を短絡させて過充電等のガス発生を伴う異常を停止させたり、二次電池の自然放電を促すことにより異常を緩和させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0007】
図1(A)及び図1(B)は本発明の第1実施形態に係る薄型の二次電池(以下「薄型電池」と称する)の全体を示す図であり、図1(A)はその平面図、図1(B)はその側面図、図2は図1(A)のII-II線に沿った断面図、図3は図2のIII部の拡大断面図、図4(A)は本発明の第1実施形態に係る薄型電池の膨張前の状態を示す要部側面図、図4(B)は図4(A)の薄型電池が膨張した状態を示す要部側面図、図4(C)は図4(B)のIVC部の拡大断面図である。図1(A)〜図2は一つの薄型電池(単位電池)を示し、この薄型電池10を複数積層することにより所望の電圧、容量の組電池が構成される。
【0008】
先ず、図1(A)〜図2を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る薄型電池10の全体構成について説明すると、本例の薄型電池10はリチウム系の薄型二次電池であり、3枚の正極板101と、5枚のセパレータ102と、3枚の負極板103と、正極端子104と、負極端子105と、上部外装部材106と、下部外装部材107と、特に図示しない電解質とから構成されている。このうちの正極板101、セパレータ102、負極板103及び電解質を特に発電要素108と称する。なお、本発明においては、正極板101、セパレータ102、負極板103の枚数は何ら限定されず、1枚の正極板101、3枚のセパレータ102、及び、1枚の負極板103でも良いし、また必要に応じて正極板101、セパレータ102及び負極板103の枚数を選択して構成することが出来る。
【0009】
図2は、3枚の正極板101と、5枚のセパレータ102と、3枚の負極板103と、を備えた薄型電池10の内部を具体的に示す。同図に示すように、本実施形態の正極板101は、正極端子104に接続される正極側集電体104aと、この正極側集電体104aの両主面に形成された正極層104bと、を有する。同様に、負極板103は、負極端子105に接続される負極側集電体105aと、この負極側集電体105aの両主面に形成された負極層105bと、を有する。また、正極板101の正極層104bと負極板103の負極層105bとの間には、セパレータ102がそれぞれ介在している。
【0010】
本実施形態では、リチウム含有複合酸化物に属するLiMnを正極活物質とし、炭素系材料に属するカーボンブラックを導電材とし、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を結着剤として採用する。正極活物質と導電材とを混合し、ポリフッ化ビニリデンを溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、混合した正極活物質と導電材とを均一に分散させてスラリーを作成し、このスラリーを正極側集電体104aとなる厚さ20μmのアルミ金属箔上に均一に塗布し、NMPを蒸発させ、ローラプレス機により圧延し、アルミ金属箔104a上に正極層104bを作製する。混合されるLiMnと、カーボンブラックと、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)との重量比は、75〜85:10〜20:5〜10であり、好ましくは85:10:5乃至75:20:5である。正極層104bが作製された後、所定の大きさ(幅70mm、長さ120mm、厚さ0.18mm)に切断し正極板101を得る。
【0011】
正極活物質としては、LiMnのほか、リチウムマンガン複合酸化物(LiMnO、層状構造LiMnO、スピネル構造LiMnO、LiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)、リチウムマンガンリン酸化合物(LiMnPO)、リチウムバナジウム複合酸化物(LiV)、リチウムチタン複合酸化物(LiTi)、その他のLiM(Mは遷移元素、X、Yは定比及び不定比を含む)等のリチウム複合酸化物を挙げることが出来る。これらのリチウム複合酸化物は、出力の面ではその平均粒径rが0.1μm<r<1μmであることが好ましく、さらに、0.1μm<r<0.5μmであることが好ましい。ここで平均粒径とは、50%累積粒径であり、粒度分布図において、それぞれ0μmから積分した体積が50%となったときの粒径である。この測定においては、マイクロトラック粒度分布分析計を用い、レーザ光の散乱により粒子個数n及び粒子1個当たりの直径dを測定する。もちろん他の粒径分析装置を利用することも出来る。
【0012】
また、リチウム複合酸化物の粒子構造は、単結晶乃至単結晶に近い性状である一次粒子であることが好ましい。このとき一次粒子が凝縮して形成された二次粒子が含まれる場合もあるが、その含有量は少ないことが好ましく、具体的にはリチウム複合酸化物中の二次粒子の含有量が50%以下であることが好ましい。また、寿命の面では単結晶であることが好ましい。
【0013】
また、本実施形態では、炭素系材料の属するハードカーボンを負極活物質とし、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を結着剤として採用した。ハードカーボンとポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを90:10の重量比で混合し、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを作製し、このスラリーを負極側集電体105aとなる厚さ10μmの銅金属箔上に均一に塗布し、NMPを蒸発させ、ローラプレス機により圧延し、銅金属箔105a上に負極層105bを作製する。作製された負極層105bは所定の大きさ(幅70mm、長さ120mm、厚さ0.11mm)に切断し、負極板101を得る。
【0014】
負極活物質としては、ハードカーボンをはじめとする非晶質炭素、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、又は、黒鉛等のように、正極活物質のリチウムイオンを吸蔵及び放出する材料を挙げることが出来る。
【0015】
また、セパレータ102は、上述した正極板101と負極板103との短絡を防止するもので、電解質を保持する機能を備えても良い。セパレータ102は、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン等から構成される微多孔性膜であり、過電流が流れると、その発熱によって膜の空孔が閉塞され電流を遮断する機能をも有する。
【0016】
なお、本発明のセパレータ102は、ポリオレフィン等の単層膜のみに限られず、ポリプロピレン層をポリエチレン層でサンドイッチした三層構造や、ポリオレフィン微多孔性膜と有機不織布等を積層したものも用いることが出来る。セパレータ102を複層化することで、過電流の防止機能、電解質保持機能及びセパレータの形状維持(剛性向上)機能等の諸機能を付与することが出来る。また、セパレータ102の代わりにゲル電解質又は真性ポリマー電解質等を用いることも出来る。
【0017】
以上の正極板101と負極板103とが交互に、且つ、当該正極板101と負極板103との間にセパレータ102が位置するような順序で積層されている。そして、3枚の正極板101のそれぞれは、正極側集電体104aを介して金属箔製の正極端子104に接続される一方で、3枚の負極板103は、負極側集電体105aを介して同じく金属箔製の負極端子105に接続されている。
【0018】
なお、正極端子104も負極端子105も電気化学的に安定した金属材料であれば特に限定されないが、正極端子104としてはアルミニウムやアルミニウム合金等を挙げることが出来、負極端子105としては、ニッケル、銅又はステンレス等を挙げることが出来る。また、本例の正極側集電体104aも負極側集電体105aの何れも、正極板101及び負極板103の集電体を構成するアルミニウム箔やニッケル箔、銅箔を延長して構成されているが、別途の材料や部品により当該集電体104a、105aを構成することも出来る。
【0019】
以上の正極板101、負極板103、セパレータ102等は、上部外装部材106及び下部外装部材107により封止されている。
【0020】
上部外装部材106は、図1(A)〜図2に示すように、発電要素108を収容可能なカップ状の外形形状を有しており、図3に示すように、薄型電池10の内側から外側に向かって、内側樹脂層106a、金属層106b、及び、外側樹脂層106cを積層した樹脂−金属薄膜ラミネート材等の柔軟性を有する材料で構成されている。内側樹脂層106aは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の耐電解液性及び熱融着性に優れた樹脂フィルムである。金属層106bは、例えば、アルミニウム箔等の金属箔である。外側樹脂層106cは、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の電気絶縁性に優れた樹脂フィルムである。
【0021】
これに対し、下部外装部材107は、図1(A)〜図2に示すように、平板状の外形形状を有しており、上部外装部材106と同様に、図3に示すように、薄型電池10の内側から外側に向かって内側樹脂層107a、金属層107b、及び外側樹脂層107cを積層した樹脂−金属薄膜ラミネート材等の柔軟性を有する材料で構成されている。内側樹脂層107aは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の耐電解液性及び熱融着性に優れた樹脂フィルムである。金属箔107bは、例えば、アルミニウム箔等の金属箔である。外側樹脂層107cは、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の電気絶縁性に優れた樹脂フィルムである。
【0022】
図2に戻り、これらの上部外装部材106及び下部外装部材107によって、上述した発電要素108、正極端子104の一部及び負極端子105の一部を包み込み、当該外装部材106、107により形成される空間に有機液体溶媒に過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム等のリチウム塩を溶質とした液体電解質を注入した後、上部外装部材106及び下部外装部材107の外周縁を熱融着等の手法により封止する。
【0023】
外装部材106、107に封入される液体電解質の有機液体溶媒として、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)等のエステル系溶媒を挙げることが出来るが、本発明の有機液体溶媒はこれにのみ限定されることなく、エステル系溶媒に、γ−ブチラクトン(γ−BL)、ジエトシキエタン(DEE)等のエーテル系溶媒その他を混合、調合した有機液体溶媒を用いることも出来る。
【0024】
なお、封止された外装部材106、107の一方の端部から、正極端子104が導出するが、正極端子104の厚さ分だけ上部外装部材106と下部外装部材107との接合部に隙間を生じるので、薄型電池10内の封止性を維持するために、当該正極端子104と外装部材106、107とが接触する部分に、ポリエチレンやポリプロピレンから構成されたシールフィルムを熱融着等の方法により介在させることも出来る。同様に、封止された外装部材106、107の他方の端部からは、負極端子105が導出するが、ここにも正極端子104側と同様に、当該負極端子105と外装部材106、107とが接触する部分にシールフィルムを介在させることも出来る。なお、正極端子104及び負極端子105の何れにおいても、シールフィルムは外装部材106、107の内側樹脂層106a、107aを構成する樹脂と同系統の樹脂から構成することが熱融着性の点から望ましい。
【0025】
さらに、本実施形態に係る薄型電池10は、図1(A)〜図2に示すように、上部外装部材106が膨張した際に、金属層106bと導通可能な導電部材109、110を備えている。
【0026】
正極側導電部材109は、正極端子104の外装部材106、107から外部に導出した部分に、例えば溶接等の手法により接合されている。この正極側導電部材109は、膨張時の上部外装部材106を穿孔可能な尖鋭な先端を有しており、当該先端を突き上げるような姿勢で正極端子104に接合されている。この正極側導電部材109は、上部外装部材106の金属層106bと正極端子104とを導通可能なように金属材料等の導電性に優れた材料で構成されており、特に溶接の観点からアルミニウムやアルミニウム合金等の正極端子104と同じ材料で構成することが好ましい。
【0027】
同様に、負極側導電部材110は、負極端子105の外装部材106、107から外部に導出した部分に、例えば溶接等の手法により接合されている。この負極側導電部材110は、膨張時の上部外装部材106を穿孔可能な尖鋭な先端を有しており、当該先端を突き上げるような姿勢で負極端子105に接合されている。この負極側導電部材110は、上部外装部材106の金属層106bと負極端子105とを導通可能なように金属材料等の導電性に優れた材料で構成されており、特に溶接の観点からニッケル、銅又はステンレス等の負極端子105と同じ材料で構成することが好ましい。
【0028】
本実施形態では、導電部材109、110は、図4(A)に示すように上部外装部材106のカップ部側面が膨張する前の状態(通常の状態)では先端が上部外装部材106に接触せず、且つ、図4(B)に示すように上部外装部材106が膨張した状態で先端が上部外装部材106に接触して穿孔するように、電極端子104、105にそれぞれ接合されている。
【0029】
そして、上部外装部材106が膨張した状態では、正極側導電部材109の先端が、図4(B)及び図4(C)に示すように、上部外装部材106の外側樹脂層106c、金属層106b、及び、内側樹脂層106aを突き破り、当該穿孔を介して、過充電時等の異常に伴って薄型電池10の内部に発生したガスを外部に放出する。これにより、薄型電池10の内圧が低下する。
【0030】
これと同時に、正極側導電部材109と上部外装部材106の金属層106bとが接触しているので、正極側導電部材109を介して、上部外装部材106の金属層106bと正極端子104とが導通する。
【0031】
同様に、上部外装部材106が膨張した状態では、負極側導電部材110の先端が、上部外装部材106の外側樹脂層106c、金属層106b、及び、内側樹脂層106aを突き破り、当該穿孔を介して、過充電時等の異常に伴って薄側電池10の内部に発生したガスを外部に放出する。これにより、薄型電池10の内圧が低下する。
【0032】
これと同時に、負極側導電部材110と上部外装部材106の金属層106bとが接触しているので、負極側導電部材110を介して、上部外装部材106の金属層106bと負極端子105とが導通する。
【0033】
従って、導電部材109、110と上部外装部材106の金属層106bとを介して、正極端子104と負極端子105とが導通するので、薄型電池10が短絡し、過充電等の異常に伴うガス発生自体を停止させることが出来る。
【0034】
また、導通部材109、110を介して、薄型電池10内に蓄積された電力を金属層106bに流すことにより、当該金属層106bの発熱により薄型電池10に蓄積されたエネルギーを消費することが出来るので、過充電等のガス発生を伴う異常を緩和させることが可能となっている。
【0035】
さらに、本実施形態に係る薄型電池10では、図1(A)に示すように、正極側導電部材109と負極側導電部材110とが、過充電や過放電等を防止するために薄型電池10の電圧を監視する電圧計30に電気的に接続されている。電極端子104、105に電気的に接続された導電部材109、110を、通常時に薄型電池10の電圧検出用端子として利用することにより、部品点数の低減に寄与することが出来る。
【0036】
なお、本実施形態では、正極端子104及び負極端子105の両極に導電部材109、110を設けるように説明したが、本発明においては特に限定されず、正極端子又は負極端子の何れか一方のみに導電部材を設けても良い。上部外装部材106の内側樹脂層106aにピンホール等が形成されている場合には、このピンホールと導電部材とにより、発電要素108と上部外装部材106の金属層106bとが導通して、当該金属層106bに電位が発生するので、自然放電が促進され、ガス発生を伴う過充電等の異常を緩和させることが出来る。
【0037】
図5(A)及び図5(B)は本発明の第2実施形態に係る組電池を示す図であり、図5(A)はその平面図、図5(B)はその側面図である。
【0038】
本実施形態に係る組電池20は、図5(A)及び図5(B)に示すように、薄型電池10a〜10dが上下方向に4つ積層されて構成されている。具体的には、m段目に位置する薄型電池10の電極端子104、105と、m+1段目に位置する薄型電池10の異極端子105、104とが同一方向に向くように、m段目の薄型電池10の上にm+1段目の薄型電池10が積層されている(m:自然数)。なお、各薄型電池10a〜10dは、導電部材109、110が設けられていないこと以外は、第1実施形態にて説明した薄型電池10と同様の構成である。
【0039】
そして、導電部材21aを介装して、最上段の薄型電池10aの正極端子104と2段目の薄型電池10bの負極端子105とが例えば溶接等により接合されており、当該導電部材21aを介して、最上段の薄型電池10aと2段目の薄型電池10bとが電気的に直列接続されている。同様に、導電部材21bを介装して、2段目の薄型電池10bの正極端子104と3段目の薄型電池10cの負極端子105とが溶接等により接合されており、当該導電部材21bを介して、2段目の薄型電池10bと3段目の薄型電池10cとが電気的に直列接続されている。さらに、同様に、導電部材21cを介装して、3段目の薄型電池10cの正極端子104と最下段の薄型電池10dの負極端子105とが溶接等により接合されており、当該導電部材21cを介して、3段目の薄型電池10cと最下段の薄型電池10dとが電気的に直列接続されている。従って、4個の薄型電池10a〜10dが、導電部材21a〜21cを介して、電気的に直列接続されている。
【0040】
各導電部材21a〜21cは、図5(B)に示すように、各薄型電池10a〜10dの膨張時の上部外装部材106を穿孔可能な尖鋭な先端を有しており、当該先端が上部外装部材106に対向するような姿勢で、積層された薄型電池10a〜10dの異極端子104、105同士の間に介装されている。なお、第1実施形態と異なり、本実施形態における導電部材21a〜21cは、電極端子104、105同士を電気的に接続するため、電極端子104、105と実質的に同一の幅を有している。
【0041】
そして、最上段の薄型電池10aの正極端子104と2段目の薄型電池10bの負極端子105との間に介装された導電部材21aは、薄型電池10bの上部外装部材106が膨張した際に、当該上部外装部材106を突き破り、当該穿孔を介して、過充電等の異常に伴って薄型電池10bの内部に発生したガスを外部に放出する。同様に、導電部材21b、21cは、薄型電池10c、10dの上部外装部材106が膨張した際に、当該上部外装部材106を突き破り、当該穿孔を介して、過充電等の異常に伴って薄型電池10c、10dの内部に発生したガスを外部に放出する。これにより、薄型電池10b〜10dの内圧が低下する。
【0042】
これと同時に、導電部材21a〜21cと、上部外装部材106の金属層106bとが接触するので、内側樹脂層106aに形成されたピンホール等と導電部材とにより、発電要素108と金属層106bとが導通して、当該金属層106bに電位が発生する。その結果として、薄型電池10b〜10dの自然放電が促進され、過充電等のガス放出を伴う異常を緩和させることが出来る。
【0043】
また、本実施形態では、相互に接合された電極端子の間に形成されるデッドスペースに導電部材を設けることにより、組電池の省スペース化に寄与することが出来る。
【0044】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0045】
例えば、第2実施形態では、積層した薄型電池同士を電気的に直列接続するように説明したが、本発明においては特にこれに限定されず、例えば、積層した同士を電気的に並列接続しても良い。この場合には、積層された薄型電池の正極端子同士の間にも負極端子同士の間にも導電部材を介装することが出来るので、上部外装部材の膨張時には、第1実施形態のように、導電部材及び上部外装部材の金属層により、薄型電池を短絡させることが出来る。
【0046】
また、第2実施形態に係る組電池の各導電部材を、第1実施形態のように、各薄型電池の電圧を監視する電圧計に電気的に接続しても良い。これにより、組電池の部品点数の低減に寄与することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1(A)及び図1(B)は、本発明の第1実施形態に係る薄型電池の全体を示す図であり、図1(A)はその平面図であり、図1(B)はその側面図である。
【図2】図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、図2のIII部の拡大断面図である。
【図4】図4(A)本発明の第1実施形態に係る薄型電池の膨張前の状態を示す要部側面図であり、図4(B)は図4(A)に示す薄型電池の膨張後の状態を示す要部側面図であり、図4(C)は図4(B)のIVC部の拡大断面図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明の第2実施形態に係る組電池を示す図であり、図5(A)はその平面図であり、図5(B)はその側面図である。
【符号の説明】
【0048】
10、10a〜10d…薄型電池
101…正極板
102…セパレータ
103…負極板
104…正極端子
104a…正極側集電体
104b…正極層
105…負極端子
105a…負極側集電体
105b…負極層
106…上部外装部材
107…下部外装部材
108…発電要素
109…正極側導電部材
110…負極側導電部材
20…組電池
21…導電部材
30…電圧計


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して積層された正極板及び負極板を有する発電要素と、
少なくとも1以上の絶縁層と金属層とを有する外装部材と、
前記正極板及び前記負極板にそれぞれ接続された正極端子及び負極端子と、を備え、前記発電要素が前記外装部材に収容されて封止され、前記正極端子及び負極端子が前記外装部材から外部に導出した二次電池であって、
前記外装部材が膨張した際に、前記外装部材の金属層に接触して当該金属層と導通可能な導電部材をさらに備え、
前記導電部材は、前記正極端子又は前記負極端子の少なくとも一方に電気的に接続して設けられている二次電池。
【請求項2】
前記導電部材は、前記正極端子及び前記負極端子の両方に設けられている請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
前記導電部材は、前記外装部材を穿孔可能である請求項1又は2記載の二次電池。
【請求項4】
前記導電部材は、前記電極端子と同じ材料から構成されている請求項1〜3の何れかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記導電部材は、前記二次電池の電圧を検出する電圧検出手段に電気的に接続されている請求項1〜4の何れかに記載の二次電池。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の二次電池を複数積層すると共に、当該積層された二次電池の電極端子同士を接続して、前記複数の二次電池を電気的に接続した組電池であって、
前記導電部材は、前記複数の二次電池の電極端子同士の間に介装されている組電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−185710(P2006−185710A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376969(P2004−376969)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】