説明

二次電池

【課題】発熱時の放熱性が高く、信頼性の高い電池性能を備えた二次電池を提供する。
【解決手段】正電極30と負電極40との間に帯状のセパレータ50を挟み、正電極30と、負電極40と、セパレータ50とを積層して捲回してなる電極捲回体20と、電極捲回体20を内部に収容するケース部材70とを有する電池10において、電極捲回体20では、セパレータ50が、正極塗工部32の最外周側に位置する正極塗工エンド部32E、及び負極塗工部42の外周側に位置する負極塗工エンド部42Eを越えて捲回されていること、セパレータ50の最外周側に位置するセパレータ最外周部50Eと、ケース部材70の第1,第3側部71,73との間隙s1,s2には、アルミニウム製の間隙充填材60が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次電池に関する。詳しくは、捲回電極体をケース内に挿入して収容された二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッドカーや電気自動車のほか、携帯電話やポータブル機器等の電源として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素等の二次電池が用いられている。二次電池の中には、例えば、特許文献1に開示されているような単電池がある。
【0003】
図20は、特許文献1に記載された単電池の内部構造を模式的に示す断面図である。特許文献1は、図20に示すように、直方体形状のケース170内において、ケース170の側面部と捲回電極体120の最外周との隙間に、絶縁性の間隙充填材160を挿入した角型電池である。このような隙間は、主として、収容した捲回電極体120(120A乃至120D)の形状誤差に起因して生じる。間隙充填材160は、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂で形成されている。
【0004】
複数の単電池を一列状に直列接続して拘束した組電池では、配列方向の拘束荷重が各単電池にかかるため、このような隙間が単電池にあると、拘束荷重による応力が単電池のケース170に局部的に集中し、ケース170が歪み変形してしまう。
特許文献1は、組電池を構成する単電池110毎に、上記隙間を間隙充填材160で埋めることにより、単電池110の配列方向の寸法を均一にして、拘束荷重による単電池110の変形を防止できている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−108457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、以下のような問題があった。
二次電池は、通常の充放電時のほか、過充電時等の異常時にも、ケース内の発電要素(捲回電極体及び電解質)で生じる化学反応熱によって発熱する。二次電池では、発熱温度が高くなると電池性能に悪影響を及ぼすことから、発熱した熱を効率良く放熱することが重要となる。
樹脂は、熱伝導率が金属と比べて低く、熱を伝え難い。特許文献1は、間隙充填材160を樹脂で形成しているため、熱が、捲回電極体120から間隙充填材160を介してケース170に伝わり難く、ケース170から外部への放熱を効率良くできない問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、発熱時の放熱性が高く、信頼性の高い電池性能を備えた二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題点を解決するために、本発明の二次電池は、次の構成を有している。
(1)正極合材が帯状の正電極板に塗工された正極塗工部を含む正電極、及び負極合材が帯状の負電極板に塗工された負極塗工部を含む負電極を備え、正電極と負電極との間に帯状のセパレータを挟み、正電極と、負電極と、セパレータとを積層して捲回してなる電極捲回体と、電極捲回体を内部に収容するケース部材とを有する二次電池において、電極捲回体では、セパレータが、正極塗工部の最外周側に位置する正極塗工エンド部、及び負極塗工部の外周側に位置する負極塗工エンド部を越えて捲回されていること、セパレータの最外周側に位置するセパレータ最外周部と、ケース部材との間隙には、金属製の間隙充填材が設けられていることを特徴とする。
なお、正極合材には、正極活物質が含まれている。また、負極合材には、負極活物質が含まれている。
(2)(1)に記載する二次電池において、正電極は、正電極板のうち、正極合材が塗工されていない正極未塗工部を含み、負電極は、負電極板のうち、負極合材が塗工されていない負極未塗工部を含み、正極未塗工部では、正電極板が、電極捲回体の径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っていること、負極未塗工部では、負電極板が、径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っていること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する二次電池において、セパレータ最外周部の表面に接触させる間隙充填材の面積は、セパレータ最外周部の表面積以下であることを特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する二次電池において、間隙充填材は、板状または箔状に形成されていることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する二次電池において、間隙充填材は、アルミニウム製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する本発明の二次電池の作用・効果について説明する。
本発明の二次電池では、
(1)正極合材が帯状の正電極板に塗工された正極塗工部を含む正電極、及び負極合材が帯状の負電極板に塗工された負極塗工部を含む負電極を備え、正電極と負電極との間に帯状のセパレータを挟み、正電極と、負電極と、セパレータとを積層して捲回してなる電極捲回体と、電極捲回体を内部に収容するケース部材とを有する二次電池において、電極捲回体では、セパレータが、正極塗工部の最外周側に位置する正極塗工エンド部、及び負極塗工部の外周側に位置する負極塗工エンド部を越えて捲回されていること、セパレータの最外周側に位置するセパレータ最外周部と、ケース部材との間隙には、金属製の間隙充填材が設けられているので、充放電時のほか、過充電時等の異常時に、ケース部材内の発電要素(捲回電極体及び電解質)で生じる化学反応により、発電要素が発熱したときに、熱が、捲回電極体のセパレータ外周部から間隙充填材に、間隙充填材を樹脂で形成した従来の電池に比べて伝わり易く、間隙充填材を介してケース部材外部への放熱が効率良くできる。
【0010】
特に、本発明の二次電池では、間隙充填材が、例えば、アルミニウム等の金属製であるため、アルミニウムの熱伝導率は、樹脂の熱伝導率に比べ約1000倍と大きく、間隙充填材は、樹脂製の間隙充填材よりも、発電要素の熱をケース部材に伝え易い。
その結果、ケース部材に伝わった熱として、ケース部材の表面温度をケース部材外部から計測した場合には、本発明の二次電池に係るケース部材の温度は、間隙充填材を樹脂で形成した従来の電池に係るケース部材の温度に比べ、例えば70%以下の低い温度に抑制することができる。
すなわち、発電要素の発熱時に、間隙充填材から伝熱したケース部材が外気等によって効率良く冷却され、発電要素の温度上昇が抑制できるようになるため、充放電時に、発電要素において化学反応が活性化され、信頼性の高い電池性能が得られる。
【0011】
また、ケース部材が、例えば、アルミニウム等、金属製で形成される場合がある。この場合でも、セパレータが、正極塗工部の正極塗工エンド部、及び負極塗工部の負極塗工エンド部を越えて捲回されており、電極捲回体の最外周をセパレータで絶縁できているため、間隙充填材が金属製であっても、正負電極の短絡や、ケース部材に正極電位または負極出を有することが生じず、これ等に起因した電池性能の低下が防止できている。
従って、本発明の二次電池では、発熱時の放熱性が高く、信頼性の高い電池性能を備えた二次電池を提供することができる、という優れた効果を奏する。
【0012】
(2)正電極は、正電極板のうち、正極合材が塗工されていない正極未塗工部を含み、負電極は、負電極板のうち、負極合材が塗工されていない負極未塗工部を含み、正極未塗工部では、正電極板が、電極捲回体の径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っていること、負極未塗工部では、負電極板が、径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っていること、を特徴とするので、ケース部材は、正極電位や負極電位を持たず、電気的に中立にすることから、当該二次電池に釘刺し試験を行ったときに、ケース部材に正極電位または負極電位を持った二次電池に比べ、降下する電圧を低く抑えることができる。
【0013】
すなわち、金属製の間隙充填材が充填されていても、電極捲回体の最外周には、絶縁性を有するセパレータが配置されているため、電極捲回体がケース部材に接触していても、ケース部材に電位は有しない。
また、正電極の正極未塗工部は、正極電位を有しているものの、電極捲回体の径方向内側に正電極板を圧縮させて互いに重なり合わせているため、電極捲回体がケース部材に収容された状態でも、セパレータが正極未塗工部まで配置されている如何を問わず、正電極板はケース部材とは接触せず、ケース部材に電位は有しない。
また、負電極の負極未塗工部は、負極電位を有しているものの、正電極の正極未塗工部と同様、電極捲回体の径方向内側に負電極板を圧縮させて互いに重なり合わせているため、電極捲回体がケース部材に収容された状態でも、セパレータが負極未塗工部まで配置されている如何を問わず、負電極板はケース部材とは接触せず、ケース部材に電位は有しない。
【0014】
本発明の二次電池を含め、一般的な二次電池では、電極捲回体は、帯状のセパレータ、帯状の正電極、帯状のセパレータ、及び帯状の負電極を1組として積層させ、積層した状態で捲回されている。そのため、正電極層、負電極層、及びセパレータ層の各層が、セパレータ層、正電極層、セパレータ層、負電極層、セパレータ層、正電極層、…のように、捲回数に応じて幾重にも形成される。
このような二次電池を単電池として、複数一列状に接続して拘束された組電池を構成し、例えば、ハイブリッドカーや電気自動車等の電源に、この組電池を搭載することがある。このような組電池には、その性能試験の一つに、釘刺し試験が行われている。
【0015】
ここで、ケース部材に電位(正極電位または負極電位)を有することと、そのケース部材を備えた二次電池の性能に与える影響との関係について、ケース部材が正極電位を持つ場合と、ケース部材が負極電位を持つ場合とに分けて説明する。
電極捲回体の最外周にセパレータが配置されず、電極捲回体の正電極または負電極と、金属製のケース部材との間隙に、金属製の間隙充填材が直に充填されると、金属は導電性であるため、ケース部材は、正極電位または負極電位となる。
【0016】
〔ケース部材が正極電位の場合〕
この場合、ケース部材、間隙充填材、電極捲回体の径方向外側から内側に向けた順で層別に分けると、(A−1)ケース部材(正極電位)、(A−2)間隙充填材(正極電位)、(A−3)正電極(正極電位)、(A−4)セパレータ、(A−5)負電極(負極電位)…となる。
組電池の性能を釘刺し試験で評価をするときに、電極捲回体の径方向に沿った方向から釘をケース部材に突き刺すと、(A−1)ケース部材、(A−2)間隙充填材、及び(A−3)正電極の正極電位と、(A−4)セパレータを介して(A−3)正電極と隣接する (A−5)負電極の負極電位との間は、突き刺さった釘(何らかの理由で外部から強い衝撃・応力等を受けた場合に相当)により短絡して導通し、電圧降下が生じる。
【0017】
特に、二次電池がリチウムイオン電池で、正極板と間隙充填材とをAlで、負極板をCuで形成している場合には、Alの融点はCuの融点より低いため、高温状態になると、Al製の正極板はCu製の負極板より先に溶融する。
Alを含んだ正極電位側では、(A−1)ケース部材、(A−2)間隙充填材、及び(A−3)正電極が積層してこられの厚みが厚くなるため、正極電位側が溶けて負極電位側と完全に溶断されるまでに時間を長く要し、その時間中、正極電位側が(A−5)負電極と導通し続けているため、電圧降下が大きく生じる。
【0018】
〔ケース部材が負極電位の場合〕
この場合、ケース部材、間隙充填材、電極捲回体の径方向外側から内側に向けた順で層別に分けると、(B−1)ケース部材(負極電位)、(B−2)間隙充填材(負極電位)、(B−3)負電極(負極電位)、(B−4)セパレータ、(B−5)正電極(正極電位)…となる。
組電池の性能を釘刺し試験で評価をするときに、電極捲回体の径方向に沿った方向から釘をケース部材に突き刺すと、 (B−1)ケース部材、(B−2)間隙充填材、及び(B−3)負電極の負極電位と、(B−4)セパレータを介して(B−3)負極と隣接する(B−5)正電極の正極電位との間は、突き刺さった釘により短絡して導通する。その結果、加熱した正電極板及び負電極板のうち、融点の低い電極板が溶融し、溶断によって負極電位側と正極電位側とが遮断されるまでの間、電圧降下が生じる。
【0019】
特に、二次電池がリチウムイオン電池である場合、ケース部材や間隙充填材が、例えば、イオン化傾向の高い金属の一種であるアルミニウムで形成されていると、発電時に本来、正電極側にあるLiイオンが電解質を通じて負電極側に移動する化学反応が起きるところに、正電極側にあるLiイオンが、負極電位である上記(B−1)ケース部材、及び上記(B−2)間隙充填材と化学反応してしまい、Li‐Al合金を生成してしまう。
Li‐Al合金が生成されると、電池性能が格段に悪化してしまい、電池の寿命特性が低下すると共に、電源として、安定した起電力を発生することができなくなる。
【0020】
本発明の二次電池では、ケース部材は、正極電位及び負極電位を持たず、電気的に中立である。
本発明の二次電池に基づいて、組電池を構成し、その組電池に釘刺し試験を行った場合、ケース部材、間隙充填材、電極捲回体の径方向外側から内側に向けた順で層別に分けると、(C−1)ケース部材、(C−2)間隙充填材、(C−3) セパレータ、(C−4)負電極、(C−5) セパレータ、(C−6)正電極…となる。あるいは、(C−4)正電極、(C−5) セパレータ、(C−6)負電極…となる。
(C−1)ケース部材、(C−2)間隙充填材、及び(C−3) セパレータは、電気的に中立であり、突き刺さった釘により、(C−4)負電極と(C−6)正電極とが短絡して導通し、電圧降下が生じる。あるいは、(C−4)正電極と(C−6)負電極とが短絡して導通し、電圧降下が生じる。
【0021】
二次電池がリチウムイオン電池で、正極板をAlで、負極板をCuで形成している場合には、前述したように、Alの融点はCuの融点より低いため、高温状態になると、正極板が負極板より先に溶融する。
本発明の二次電池では、釘刺し試験を行っても、突き刺さった釘により、(C−4)負電極と(C−6)正電極とが短絡して導通し、(C−6)正電極が先に溶断される。あるいは、突き刺さった釘により、(C−4)正電極と(C−6)負電極とが短絡して導通し、(C−4)正電極が先に溶断される。
【0022】
また、本発明の二次電池を含む一般的な二次電池では、ケース部材の厚みが数百(μm)であり、正極板や負極板の厚みは数十(μm)である。
前述した〔ケース部材が正極電位の場合〕と異なり、溶断する(C−6)正電極(あるいは(C−4)正電極)と、(C−1)ケース部材及び(C−2)間隙充填材とが別々になり、溶断する(C−6)正電極(あるいは(C−4)正電極)の厚みが薄いため、溶断するまでの時間が短く、短絡状態が短くなることから、電圧降下が小さく抑制される。
従って、ケース部材は、正極電位や負極電位を持たず、電気的に中立にすることから、当該二次電池に釘刺し試験を行ったときに、ケース部材に正極電位または負極電位を持った二次電池に比べ、降下する電圧を低く抑えることができる。
【0023】
(3)セパレータ最外周部の表面に接触させる間隙充填材の面積は、セパレータ最外周部の表面積以下であるので、金属製の間隙充填材は、絶縁性のセパレータ外周部によりケース部材と直に接触せず、ケース部材に正極電位または負極電位を有しない二次電池とすることがより確実にできる。
【0024】
(4)間隙充填材は、板状または箔状に形成されているので、特に、本発明の二次電池を単電池とし、この単電池を一列状に複数接続して拘束する組電池を構成するときに、各単電池とも、電極捲回体の径方向に沿う電池厚み方向の大きさを均一に揃えることが簡単にできる。
すなわち、組電池を構成するとき、複数の単電池において、ケース部材に収容された状態の電極捲回体のセパレータ最外周部の表面と、ケース部材との間隙の大きさが、単電池毎に異なることがある。この場合でも、間隙充填材は、箔状であることから、例えば、t1=0.1(mm)、t2=0.2(mm)、t3=0.3(mm)等のように、間隙充填材の厚みにバリエーションを持たせることが容易にできる。
よって、ケース部材との間隙の大きさに対応した厚みの間隙充填材を選択し、その隙間に充填すれば、電極捲回体の径方向に沿う厚み方向に対する大きさを、各単電池で均一に揃えることが簡単にできる。
【0025】
(5)間隙充填材は、アルミニウム製であるので、アルミニウムの熱伝導率は金属の中でも高く、発電要素で発熱した熱は、間隙充填材に伝熱し易い。また、熱伝導率の高い金属のうち、アルミニウムは相対的に安価な材料であるため、間隙充填材を低コストで形成することができ、ひいては本発明の二次電池にかかるコストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係る電池を示す斜視図である。
【図2】図1中、A−A矢視断面図である。
【図3】図1中、B−B矢視断面図である。
【図4】図3中、D部拡大図である。
【図5】図1中、C−C矢視断面図である。
【図6】実施形態に係る電池の電極捲回体を示す斜視図である。
【図7】実施形態に係る電池の正電極及び負電極を説明する図である。
【図8】実施形態に係る電池の間隙充填材を示す図であり、(a)は最も薄い間隙充填材、(b)は中間の厚みの間隙充填材、(c)は最も厚い間隙充填材である。
【図9】実施形態に係る電池の製造方法のうち、電極捲回体収容工程を説明する工程図を示す。
【図10】図9と同様、電極捲回体収容工程を説明する工程図を示す。
【図11】実施形態に係る電池の製造方法のうち、ケース封口工程を説明する工程図を示す。
【図12】実施形態に係る電池を搭載した車両を示す説明図である。
【図13】図12に示す車両に搭載したバッテリパックの説明図である。
【図14】組電池に対する釘刺し試験の説明図である。
【図15】実施例に係る電池と、比較例1乃至6に係る電池とについて、2つの評価試験を行ったときの試験条件と試験結果とをまとめて示した表である。
【図16】実施例に係る電池の内部構造を示す模式図である。
【図17】比較例3に係る電池の内部構造を示す模式図である。
【図18】実施例に係る電池の釘刺し試験で、釘刺し後の経過時間と、電圧降下との関係を示すグラフである。
【図19】比較例3に係る電池の釘刺し試験で、釘刺し後の経過時間と、電圧降下との関係を示すグラフである。
【図20】特許文献1に記載された単電池の内部構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る二次電池について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係る二次電池は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素二次蓄電池等の電池であり、ハイブリットカーや電気自動車等の駆動電源として用いられる。
図12に、実施形態に係る電池で構成したバッテリパックを搭載した車両を示す。図13は、図12に示すバッテリパックの説明図である。
【0028】
車両1は、図12に示すように、車体2に、エンジン3に取付けられたフロントモータ4と、リヤモータ5とを搭載し、エンジン3と、フロントモータ4及びリヤモータ5とを併用させて駆動するハイブリッドカーであり、公知の手段によりエンジン3、フロントモータ4及びリヤモータ5で走行できるようになっている。
車体2には、フロントモータ4及びリヤモータ5の駆動用電源として、バッテリパック6が搭載され、フロントモータ4及びリヤモータは、ケーブル7によりバッテリパック6と接続されている。このバッテリパック6は、図13に示すように、複数の電池10をバスバ13により直列接続して一列状に拘束された組電池10Cを複数列置した構成となっている。
【0029】
次に、電池10について、図1乃至図7を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る電池を示す斜視図である。図2は、図1中、A−A矢視断面図である。図3は、図1中、B−B矢視断面図である。図4は、図3中、D部拡大図である。図5は、図1中、C−C矢視断面図である。図6は、実施形態に係る電池の電極捲回体を示す斜視図である。図7は、図6に示す電極捲回体の正電極、負電極の説明図である。
本実施形態では、電池10(二次電池)は、図1乃至図5に示すように、略直方体形状の角型単電池である。電池10は、図示しない電解液、電極捲回体20、この電解液と電極捲回体20とを内部に収容するケース部材70、封口部材80から構成されている。
【0030】
はじめに、ケース部材70について、説明する。
ケース部材70は、例えば、アルミニウム等の金属からなり、図1に示すように、外形が略直方体形状で、挿入側(図1中、上側)が開口し、厚みが0.5(mm)の素材を深絞りすることにより有底箱状に一体成形されている。
ケース部材70は、略長方形板状の底部と、この底部の四辺から延びる4つの側部、すなわち第1側部71、第2側部72、第3側部73及び第4側部74を有している。
第1側部71と第3側部73とは、ケース部材70の長辺と高さを含む側部であり、何れも同形で互いに平行に配置されている。第2側部72と第4側部74とは、ケース部材70の短辺と高さを含む側部であり、何れも同形で互いに平行に配置されている。
このケース部材70の内部では、第2側部72及び第4側部74の沿う厚み方向T(図5中、左右方向)に対し、第1側部71の内側面と第3側部73の内側面との大きさが距離m(0<m)となっている。
【0031】
次に、封口部材80について、説明する。
封口部材80は、ケース部材70の開口を閉塞する略矩形板状に形成された蓋であり、弁孔80Hと、正極端子挿通孔81Hと、負極端子挿通孔82Hとを有している。弁孔80Hは、金属製の安全弁86により封止されている。封口部材80は、ケース部材70に、後述する電極捲回体20を収容し、図示しない電解液を注入した後に、液密に閉塞される。ケース部材70と封口部材80とは、例えば、レーザ溶接等により、これらの全周にわたる溶接部87で固着されている。
【0032】
次に、電極捲回体20について説明する。
電極捲回体20は、正極合材31Pが帯状の正電極板31に塗工された正極塗工部32を含む正電極30、及び負極合材41Pが帯状の負電極板41に塗工された負極塗工部42を含む負電極40を備えている。電極捲回体20は、この正電極30とこの負電極40との間に帯状のセパレータ50を挟み、正電極30と、負電極40と、セパレータ50とを積層し、図1に示すように、軸線AXを中心に捲回し扁平した形態で形成されている。
【0033】
具体的には、正電極板31は、アルミニウムからなり、厚み10(μm)程度のシート状に形成されている。正電極板31のうち、正極塗工部32には、図7に示すように、正極活物質を含む正極合材31Pが、正電極板31の両面側に塗工されている。
また、正電極30は、正電極板31のうち、正極合材31Pが塗工されていない正極未塗工部33を含んでいる。この正極未塗工部33では、正極側集箔部34として、正極塗工部32を除いた正電極板31の一部のみが渦巻状に重なって露出し、電極捲回体20において、軸線AXを中心とする径方向内側、すなわち厚み方向Tに圧縮されて互いに重なり合っている。
正極側集箔部34は、電極捲回体20の軸線AXに沿った方向(図2中、左右方向)の一端側(図2において右側)に配置される。
【0034】
正極側集箔部34は、アルミニウムからなる正電極端子35と、例えば、溶接、ネジ止め等による正極側接続部36によって接続し導通している。
この正電極端子35の上部は、図2に示すように、封口部材80を通じてケース部材70の外部に露出し、樹脂からなる正極シール部材37により、封口部材80と電気的に絶縁された状態で、かつ、封口部材80に液密に保持されている。
【0035】
負電極板41は、銅からなり、厚み10(μm)程度のシート状に形成されている。負電極板41のうち、負極塗工部42には、図7に示すように、負極活物質を含む負極合材41Pが、負電極板41の両面側に塗工されている。
また、負電極40は、負電極板41のうち、負極合材41Pが塗工されていない負極未塗工部43を含んでいる。この負極未塗工部43では、負極側集箔部44として、負極塗工部42を除いた負電極板41の一部のみが渦巻状に重なって露出し、電極捲回体20において、軸線AXを中心とする径方向内側、すなわち厚み方向Tに圧縮されて互いに重なり合っている。
負極側集箔部44は、電極捲回体20の軸線AXに沿った方向(図2中、左右方向)の他端側(図2において左側)に配置されている。
【0036】
負極側集箔部44は、銅からなる負電極端子45と、例えば、溶接、ネジ止め等による負極側接続部46によって接続し導通している。
この負電極端子45の上部は、図2に示すように、封口部材80を通じてケース部材70の外部に露出し、樹脂からなる負極シール部材47により、封口部材80と電気的に絶縁された状態で、かつ、封口部材80に液密に保持されている。
【0037】
セパレータ50は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂からなり、電気的に絶縁性を有し、厚み20(μm)程度のシート状に形成されている。
電極捲回体20は、図3及び図4に示すように、セパレータ50を軸芯に配置し、セパレータ50、正電極30、セパレータ50、負電極40を、1組として積層した状態で、軸線AXを中心に所定の捲回数を螺旋状に捲回してなる。
この電極捲回体20では、セパレータ50は、正電極30の正極塗工部32の最外周側に位置する正極塗工エンド部32E、及び負電極40の負極塗工部42の外周側に位置する負極塗工エンド部42Eを越えて捲回されている。本実施形態では、捲回されたセパレータ50のうち、最外周側に位置するセパレータ最外周部50Eは、負電極40の周りを完全に捲回した状態で、端部をテープTPで留めて固定されている。
【0038】
セパレータ最外周部50Eには、図6に示すように、略平面形状である間隙充填材配設予定面51(セパレータ外周部の表面)が含まれている。間隙充填材配設予定面51は、電極捲回体20をケース部材70に収容したに状態にあるときに、次述する間隙充填材60を当接させる面であり、その間隙充填材配設予定面51の面積は、表面積S(0<S)となっている。
【0039】
次に、間隙充填材60について、図8を用いて説明する。
図8は、間隙充填材を示す図であり、(a)は最も薄い厚みt1の場合、(b)は中間の厚みt2の場合、(c)は最も厚い厚みt3の場合である。
電極捲回体20をケース部材70に収容した状態では、本実施形態では、電極捲回体20のうち、セパレータ50の最外周側に位置するセパレータ最外周部50Eと、ケース部材70の第1側部71との間隙、及びセパレータ最外周部50Eと第3側部73との間隙には、アルミニウム製の間隙充填材60がそれぞれ設けられている。
なお、本実施形態以外に、場合によっては、第1側部71との間隙s1または第3側部73との間隙s2のいずれか一方に、間隙充填材60が設けられることもある。
【0040】
間隙充填材60は、箔状に形成されている。間隙充填材60は、図8に示すように、矩形形状で、例えば、t1=0.1(mm)、t2=0.2(mm)、t3=0.3(mm)等のように、厚みにバリエーションを有している。何れの厚みの間隙充填材60についても、一面60a及び他面60bの表面積Kは、間隙充填材配設予定面51の表面積S以下(0<K≦S)となっている。
【0041】
次に、電池10の製造方法について、図9乃至図11を用いて説明する。
ただし、電池10において、後に詳述する電極捲回体収容工程及びケース封口工程以外は、公知の手法によれば良いので、これらの工程を中心に説明し、その他は省略または簡略に説明する。
まず、別途、公知の方法により、正極側接続部36で正電極端子35を正極側集箔部34に接続する共に、負極側接続部46で負電極端子45を負極側集箔部44に接続して、電極捲回体20を構成しておく。
【0042】
次いで、封口部材80の正極端子挿通孔81Hに正電極端子35の上部を、及び負極端子挿通孔82Hに負電極端子45の上部をそれぞれ挿通する。
次いで、正極シール部材37により正電極端子35と正極端子挿通孔81Hとの間を、及び、負極シール部材47より負電極端子45と負極端子挿通孔34Hとの間を、それぞれ気密にシールする。
【0043】
次に、充填する間隙充填材60の厚みを決めるために、電極捲回体20及びケース部材70について計測を行う。
はじめに、図5に示すように、電極捲回体20のうち、セパレータ最外周部50Eで厚み方向Tに薄く扁平状に捲回された平坦部分の厚みn(0<n)を計測しておく。また、この電極捲回体20を収容する対象のケース部材70に対し、第1側部71の内側面と第3側部73の内側面との距離m(n<m)を計測しておく。
次に、電極捲回体20をケース部材70に収容した状態において、ケース部材70の距離mと電極捲回体20の厚みnとの差であるクリアランス(m−n)を求め、このクリアランスに対応した厚さの間隙充填材60を選択し充填する。
【0044】
次に、電極捲回体収容工程について、図9及び図10を用いて説明する。
図9及び図10に、電極捲回体収容工程の工程図を示す。電極捲回体収容工程では、図9に示すように、以下に説明する吸引装置95を用いて、ケース部材70の第1,第3側部71,73を外側に向けて弾性変形させ、第1,第3側部71,73をそれぞれ外側に凸の形状に変形させる。
そこで、まず吸引装置90を簡単に説明した後、この装置を用いた電極捲回体収容工程について説明する。
【0045】
吸引装置90は、図9に示すように、互いに対向する向きに配置され、互いが近接及び離間する方向に移動可能とされた第1吸引部90Aと第2吸引部90Bとを備えている。この吸引装置90は、第1吸引部90Aと第2吸引部90Bとの間にケース部材70を固定して配置した状態で、第1吸引部90Aによりこのケース部材70の第1側部71を、第2吸引部102により第3側部73を、それぞれケース部材70の外部から吸着し、第1,第2吸引部90A,90Bを互いに離間する方向(図9中、矢印方向)に移動させて、第1側部71及び第3側部73を、互いに反対側(外部側)に向けてそれぞれ弾性変形させるように構成されている。
【0046】
電極捲回体収容工程では、図9に示すように、第1吸引部90Aによりケース部材70の第1側部71を、第2吸引部90Bにより第3側部73を、それぞれケース部材70の外部から吸着し、第1,第2吸引部90A,90Bを互いに離間する方向に移動させて、第1側部71及び第3側部73を、互いに反対側に向けてそれぞれ弾性変形させる。
次に、ケース部材70の第1側部71と第3側部73にそれぞれ対向する位置にある電極捲回体20の間隙充填材配設予定面51に、間隙充填材60の一面60aをそれぞれ当接させておき、この状態で、封口部材80と共に一体となった電極捲回体20を、その下方からケース部材70の開口に向けて収容する。収容後、ケース部材70に電解液を注入する。
【0047】
電極捲回体20は、図10に示すように、封口部材80がケース部材70の第1乃至第4側部71,72,73,74に当接するまで、ケース部材70内に収容する。この後、第1吸引部90Aを第1側部71から、第2吸引部90Bを第3側部73から、それぞれ開放し、吸引装置90を退避させる。
この吸引装置90により、ケース部材70の第1側部71と第3側部73とを吸引して、第1側部71及び第3側部73を、互いに反対側に向けてそれぞれ弾性変形させたため、ケース部材70では、第1側部71、第2側部72、第3側部73及び第4側部74は、平板状から湾曲状に変形が生じている。
【0048】
第1乃至第4側部71,72,73,74の変形を修復するために、例えば、図11に示すような第1押圧部材91、第2押圧部材92、第3押圧部材93及び第4押圧部材94等の治具が、図示しない押圧装置と共に用いられる。
第1押圧部材91は、平板状に形成され、押圧装置により、ケース部材70の外部から第1側部71に向けて移動し、ケース部材70のうち、第1側部71全体に当接して、第1側部71を押圧する治具である。
第2押圧部材92は、直方体状に形成され、押圧装置により、ケース部材70の外部から第2側部72に向けて移動し、ケース部材70のうち、第2側部72全体に当接して、第2側部72を押圧する治具である。
【0049】
第3押圧部材93は、L字型形状に形成され、押圧装置により、ケース部材70の外部から第3側部73及び第4側部74に向けて移動し、ケース部材70のうち、第3側部73全体と第4側部74全体とに対し、互いに直角に当接して、第3側部73及び第4側部74を押圧する治具である。
第4押圧部材94は、ブロック状に形成され、押圧装置により、ケース部材70の外部から封口部材80に向けて移動し、封口部材80のうち、正電極端子35の露出部及び正極シール部材37と、負電極端子45の露出部及び負極シール部材47とを除いた範囲に当接して、封口部材80を押圧する治具である。
【0050】
次に、ケース封口工程について、図11を用いて説明する。
図11に、ケース封口工程の工程図を示す。ケース封口工程では、図11に示すように、第1乃至第4押圧部材91,92,93,94を、それぞれケース部材70の外側からケース部材70に向けて移動させる。
この移動により、第1押圧部材91をケース部材70の第1側部71に、第2押圧部材92をケース部材70の第2側部72に、第3押圧部材93をケース部材70の第3側部73及び第4側部74にそれぞれ当接させて、第1側部71及び第3側部73を、互いに近接させ平行となる向きにそれぞれ弾性変形させる。
また、第1側部71及び第3側部73が互いに外部側に弾性変形したことに伴って、第2側部72及び第4側部74が弾性変形した分を、互いに平行となる向きにそれぞれ弾性変形させる。
【0051】
第1側部71と第3側部73とが互いに平行になると、間隙充填材60の一面60aは、電極捲回体20の間隙充填材配設予定面51に当接し、間隙充填材60の他面60bは、ケース部材70の第1,第3側部71,73の内側面に当接する。
すなわち、間隙充填材60は、間隙充填材配設予定面51、及び第1,第3側部71,73の内側面に密着した状態となり、電極捲回体20と第1側部71との隙間s1と、電極捲回体20と第3側部73との隙間s2は、間隙充填材60によって埋められる。
【0052】
次いで、ケース部材70において、第1側部71と第3側部73とが互いに平行に修復され、第2側部72と第4側部74と互いに平行に修復されたら、ケース部材70の第1側部71、第2側部72、第3側部73、及び第4側部74を封口部材80に当接させて、ケース部材70と封口部材80とが合わさった部分を、例えば、レーザ溶接等により、全周にわたって溶接部87で固着する。
かくして、電池10が製造される。
【0053】
ところで、図12に示すようなハイブリッドカーのほか、電気自動車、フォークリフト等の電源として、図13に示すようなバッテリパック6が、車両1等に搭載されている。
電池10は単電池である。バッテリパック6は、図13に示すように、複数の電池10をバスバ13により直列接続して一列状に拘束された組電池10Cを、1つのユニットとして構成し、この組電池10Cを複数列置して全数の電池10を直列に接続した構成となっている。
本実施形態に係る電池10のほか、一般的な二次電池でも、組電池10Cと同様に、組電池は、複数の単電池を直列接続して一列状に拘束して構成されている。
【0054】
特に、ハイブリッドカーや電気自動車等の車両に搭載される電源に対し、組電池を対象にして、単電池の性能評価の一つに、釘刺し試験が一般的に行われている。
釘刺し試験は、電源の使用中、外部から車両に何らかの理由で衝突等の強い衝撃・応力が加わり、組電池に損傷を受けた場合を想定し、電池のケース部材に釘を突き刺すことにより、組電池の損傷を擬似的につくり出して、組電池の性能を評価する試験である。
本実施形態でも、組電池10Cについても釘刺し試験を実施し、電池10の性能評価(実施例)を行う共に、比較例1乃至6に係る単電池に基づいて構成した組電池を対象に釘刺し試験を実施し、比較例1乃至6に係る単電池についても性能評価を行った。
また、上記釘刺し試験のほかに、電池10と、この比較例1乃至6に係る単電池について、過充電試験による性能評価を併せて行った。
【0055】
図14に、組電池10Cを対象とした釘刺し試験の説明図を示す。図15は、実施例に係る電池と、比較例1乃至6に係る電池とについて、2つの評価試験を行ったときの試験条件と試験結果とをまとめて示した表である。
以下、実施例に係る電池10と、比較例1乃至6に係る単電池とについて、(1)過充電試験と(2)釘刺し試験との共通した試験条件は、
(a)正極:LiNiCoMnO、負極:炭素
(b)単セル:3つの単電池(電池10を含む)/セル
(c)ケース部材はAl製で厚み0.5mm、間隙充填材の厚み0.1〜0.3mm、正極電極板の厚み10μm、負極電極板の厚み10μm、セパレータの厚み20μm
である。
【0056】
なお、図15において、「電極未塗工部の集箔有無」は、正極未塗工部及び負極未塗工部とも、電極板が、径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っている電池を、「集箔有」とし、圧縮されず互いに重なり合っていない電池を、「集箔無」としている。
また、「電極体最外周部セパレータとAl充填材の大小関係」は、参照する電池10において、間隙充填材配設予定面51の表面積Sと間隙充填材60の表面積Kとの大小関係を意味するものである。
【0057】
(1)過充電試験
はじめに、過充電試験について説明する。試験条件は、
(d)使用電池:単セル
(e)SOC100%開始、電流20A、上限電圧10V、雰囲気温度25℃
である。
この試験では、過充電により発電要素で発熱した熱がケース部材に伝熱する温度を確認するため、ケース外部からケース部材の表面温度を測定した。
【0058】
試験結果を図15に示す。比較例1,2,4,5では、図15に示すように、何れも最高到達温度が120℃を超えていたのに対し、実施例1、比較例3,6では、何れも最高到達温度が100℃未満と相対的に低く、比較例1,2,4,5の最高到達温度の約70%に留まっている。
これは、間隙充填材60を、熱伝導率がPPの熱伝導率に比べて約1000倍も大きいアルミニウム製で形成したために、発電要素で発熱した熱が、アルミニウム製の間隙充填材を通じてケース部材に伝わり、ケース部材が外気によって効率良く冷却され、発電要素の温度上昇が抑制できるようになるためと考えられる。換言すれば、この実験結果は、電極捲回体とケース部材との間に間隙充填材を設けない場合とほぼ同じような結果となり、PP製の間隙充填材は、発電要素で発熱した熱をケース部材に伝えないことが判る。
【0059】
(2)釘刺し試験
次に、釘刺し試験について説明する。試験条件は、
(f)使用電池:3セル直列接続
である。
この試験では、図14に示すように、組電池10C中の電池10に向けて釘96を突き刺しことにより、低下する電圧(正極電位の第1端子11と負極電位の第2端子12との電位差に対し、釘刺し1分後の電圧降下量を測定した。
【0060】
試験結果を図15乃至図19に示す。図16は、実施例に係る電池の内部構造を示す模式図である。図17は、比較例3に係る電池の内部構造を示す模式図である。図18は、実施例に係る電池の釘刺し試験で、釘刺し後の経過時間と、電圧降下との関係を示すグラフである。図19は、比較例3に係る電池の釘刺し試験で、釘刺し後の経過時間と、電圧降下との関係を示すグラフである。
図15より、実施例1、比較例1,2では、中間セルの電圧降下量が40mV前後で留まっているのに対し、比較例3乃至6では、電圧降下量が200mV前後にまで達していることが判る。
【0061】
試験結果を考察する。
本実施形態に係る電池10を含み、一般的な二次電池では、単電池として、電極捲回体が、合成樹脂製の帯状のセパレータ、アルミニウム製の帯状の正電極、帯状のセパレータ、及び銅製の帯状の負電極を1組として積層させ、積層した状態で捲回されている。そのため、正電極層、負電極層、及びセパレータ層の各層が、セパレータ層、正電極層、セパレータ層、負電極層、セパレータ層、正電極層、…のように、捲回数に応じて幾重にも形成される。
【0062】
実施例は、電極捲回体の最外周にセパレータP3が配置され、「集箔有」かつ「Al<セパレータ」となっており、アルミニウム製のケース部材P1とセパレータP3との間隙に、アルミニウム製の間隙充填材P2を直に充填している。
実施例に係る組電池10Cに釘刺し試験を行うと、釘96を刺し込む方向に向けて順に層別毎に分けると、図16に示すように、ケース部材P1、間隙充填材P2、セパレータP3、負極電極板P4、セパレータP5、正極電極板P6…となる。
ケース部材P1、間隙充填材P2、及びセパレータP3は積層され、ケース部材P1は、セパレータP3の存在のほか、「集箔有」及び「Al<セパレータ」により、負極電極板P4とも接触せず、正極電位及び負極電位を持たず、電気的に中立である。
一方、セパレータP5を超えて突き刺さった釘96により、負極電極板P5と正極電極板P6とは短絡して導通する。
【0063】
実施例のように、二次電池がリチウムイオン電池で、正極電極板をAlで、負極電極板をCuで形成していると、Alの融点はCuの融点より低いため、高温状態になると、Al製の正極電極板が、Cu製の負極電極板より先に溶融する。
実施例では、突き刺さった釘96により、負極電極板P5と正極電極板P6とが短絡して導通すると、正極電極板P6が負極電極板P5より先に溶融し、負極電極板P5と正極電極板P6とが溶断される。
【0064】
このとき、ケース部材P1及び間隙充填材P2は、正極電極板と同じAl製であっても、セパレータP3と負極電極板P5とを介して、正極電極板P6と離れているため、短絡時には、厚みが僅か10μmの正極電極板P6だけが溶融し、ケース部材P1及び間隙充填材P2等まで溶融しない分、溶断するまでの時間は短い。
溶断までの時間が短いと、図15及び図18に示すように、組電池10Cの電圧降下量は42mVと小さく、電圧が急激に降下しないため、電池性能を一気に失うこともない。
【0065】
これに対し、比較例3は、「集箔有」となっているものの、電極捲回体の最外周にセパレータが配置されておらず、アルミニウム製のケース部材Q1とアルミニウム製の正極電極板Q3との間隙に、アルミニウム製の間隙充填材Q2を充填している。
比較例3の場合、釘刺し試験を行うと、釘96を刺し込む方向に向けて順に層別毎に分けると、図17に示すように、ケース部材Q1、間隙充填材Q2、正極電極板Q3、セパレータQ4、負極電極板Q5…となる。
ケース部材Q1、間隙充填材Q2、及び正極電極板Q3は積層され、ケース部材Q1は、間隙充填材Q2を介して正極電極板Q3と接触して導通し、正極電位を持つ。
一方、セパレータQ4を超えて突き刺さった釘96により、負極電極板Q5と、積層されたケース部材Q1、間隙充填材Q2、及び正極電極板Q3とが短絡する。
【0066】
Alを含んだ正極電位側では、ケース部材Q1、間隙充填材Q2、及び正極電極板Q3が積層してこられの厚みが厚くなるため、正極電位側が溶融して、負極電位側の負極電極板Q5と完全に溶断されるまでに時間が、実施例に比べて長く要し、その時間中、正極電位側が負極電極板Q5と導通し続けている。溶断までの時間が長くなると、図15及び図19に示すように、組電池の電圧降下量は210mVと非常に大きくなり、電圧が急激に降下して、電池性能を一気に失う。
【0067】
比較例1,2は、電極捲回体の最外周にセパレータが配置されている如何に関わらず、「集箔有」、かつ絶縁性を有するPPで間隙充填材を形成しているため、ケース部材は、正極電極板と接触せず、正極電位を持たず、電気的に中立である。そのため、比較例1,2は、実施例と同様、電圧降下量を40mV前後に留まっているが、(1)過充電試験において、比較例1,2は、何れも最高到達温度が120℃を超えていることから、PP製の間隙充填材に、有意性はない。
【0068】
比較例4は、「集箔有」となっているものの、電極捲回体の最外周にセパレータが配置されておらず、絶縁性を有した間隙充填材も配置されていないため、アルミニウム製のケース部材は、電極捲回体の最外周に位置する正極電極板と接触し、正極電位を持つ。その結果、比較例4は、比較例3と同様、組電池の電圧降下量は203mVと非常に大きくなり、電圧が急激に降下して、電池性能を一気に失う。
【0069】
比較例5は、電極捲回体の最外周にセパレータが配置されているものの、絶縁性を有した間隙充填材も配置されていない上、「集箔無」であるため、アルミニウム製のケース部材は、上記最外周のセパレータより覆われた正極電極板の電極未塗工部で、正極電極板と接触し、正極電位を持つ。その結果、比較例5では、組電池の電圧降下量が比較例3,4より低い185mVと大きくなり、電圧は急激に降下する。
【0070】
比較例6は、実施例と同様、(1)過充電試験においても、前述したように有意性を持つが、実施例と、「Al>セパレータ」の点で異なり、組電池の電圧降下量が実施例より大きい192mVとなり、電圧は急激に降下する。
【0071】
なお、ケース部材、間隙充填材、及び負極電極板が積層され、ケース部材が、間隙充填材を介して負極電極板と接触し導通して、負極電位を持つ電池も考えられる。
しかしながら、二次電池がリチウムイオン電池である場合、ケース部材や間隙充填材が、例えば、イオン化傾向の高い金属の一種であるアルミニウムで形成されていると、発電時に本来、正電極側にあるLiイオンが電解質を通じて負電極側に移動する化学反応が起きるところに、正電極側にあるLiイオンが、負極電位であるケース部材及び間隙充填材と化学反応してしまい、Li‐Al合金を生成してしまう。
Li‐Al合金が生成されると、電池性能が格段に悪化してしまい、電池の寿命特性が低下すると共に、電源として、安定した起電力を発生することができなくなり、好ましくない。
【0072】
前述した構成を有する本実施形態に係る二次電池の作用・効果について説明する。
(1)本実施形態に係る電池10では、正極合材31Pが帯状の正電極板31に塗工された正極塗工部32を含む正電極30、及び負極合材41Pが帯状の負電極板41に塗工された負極塗工部42を含む負電極40を備え、正電極30と負電極40との間に帯状のセパレータ50を挟み、正電極30と、負電極40と、セパレータ50とを積層して捲回してなる電極捲回体20と、電極捲回体20を内部に収容するケース部材70とを有する電池10において、電極捲回体20では、セパレータ50が、正極塗工部32の最外周側に位置する正極塗工エンド部32E、及び負極塗工部42の外周側に位置する負極塗工エンド部42Eを越えて捲回されていること、セパレータ50の最外周側に位置するセパレータ最外周部50Eと、ケース部材70の第1,第3側部71,73との間隙s1,s2には、アルミニウム製の間隙充填材60が設けられているので、充放電時のほか、過充電時等の異常時に、ケース部材70内の発電要素(捲回電極体20及び図示しない電解質)で生じる化学反応により、発電要素が発熱したときに、熱が、捲回電極体20のセパレータ最外周部50Eから間隙充填材60に、間隙充填材を樹脂で形成した従来の電池に比べて伝わり易く、間隙充填材60を介してケース部材70外部への放熱が効率良くできる。
【0073】
特に、電池10では、間隙充填材60が、アルミニウム製であるため、アルミニウムの熱伝導率236(W・m−1・K−1)は、合成樹脂の熱伝導率約0.21(W・m−1・K−1)に比べ1000倍以上に大きく、間隙充填材60は、樹脂製の間隙充填材よりも、発電要素の熱をケース部材70に伝え易い。
その結果、ケース部材70に伝わった熱として、ケース部材70の表面温度をケース部材70外部から計測した場合には、電池10に係るケース部材70の温度は、間隙充填材を樹脂で形成した従来の電池に係るケース部材の温度に比べ、前述したように、例えば70%以下の低い温度に抑制することができる。
すなわち、発電要素の発熱時に、間隙充填材60から伝熱したケース部材70が外気等によって効率良く冷却され、発電要素の温度上昇が抑制できるようになるため、充放電時に、発電要素において化学反応が活性化され、信頼性の高い電池性能が得られる。
【0074】
また、本実施形態では、ケース部材70はアルミニウム製である。ケース部材70が金属製合でも、セパレータ50が、正極塗工部32の正極塗工エンド部32E、及び負極塗工部42の負極塗工エンド部42Eを越えて捲回されており、電極捲回体20の最外周は、セパレータ50で絶縁できている。
そのため、間隙充填材60がアルミニウム等の金属製であっても、正負電極の短絡や、ケース部材70に正極電位または負極出を有することが生じず、これ等に起因した電池性能の低下が防止できている。
従って、本実施形態の電池10では、発熱時の放熱性が高く、信頼性の高い電池性能を備えた二次電池を提供することができる、という優れた効果を奏する。
【0075】
(2)本実施形態に係る電池10では、正電極30は、正電極板31のうち、正極合材31Pが塗工されていない正極未塗工部33を含み、負電極40は、負電極板41のうち、負極合材41Pが塗工されていない負極未塗工部43を含み、正極未塗工部33では、正電極板31が、電極捲回体20の径方向内側、すなわち厚み方向Tに圧縮されて互いに重なり合っている正極側集箔部34になっていること、負極未塗工部43では、負電極板41が、径方向内側、すなわち厚み方向Tに圧縮されて互いに重なり合っている負極側集箔部44になっていること、を特徴とするので、ケース部材70は、正極電位や負極電位を持たず、電気的に中立にすることから、複数の電池10により構成された組電池10Cに釘刺し試験を行ったときに、ケース部材に正極電位または負極電位を持った二次電池に比べ、降下する電圧を低く抑えることができる。
【0076】
すなわち、アルミニウム製の間隙充填材60が充填されていても、電極捲回体20の最外周には、絶縁性を有するセパレータ50が配置されているため、電極捲回体20がケース部材70に接触していても、ケース部材70に電位は有しない。
また、正電極30の正極未塗工部32は、正極電位を有しているものの、電極捲回体20の径方向内側に正電極板31を圧縮させて互いに重なり合わせている正極側集箔部34となっている。そのため、電極捲回体20がケース部材70に収容された状態でも、セパレータ50が正極未塗工部33まで配置されている如何を問わず、正電極板31は、ケース部材70とは接触せず、ケース部材70に電位は有しない。
また、負電極40の負極未塗工部42は、負極電位を有しているものの、正電極30の正極未塗工部33と同様、電極捲回体20の径方向内側に負電極板41を圧縮させて互いに重なり合わせている負極側集箔部44となっている。そのため、電極捲回体20がケース部材70に収容された状態でも、セパレータ50が負極未塗工部43まで配置されている如何を問わず、負電極板41は、ケース部材70とは接触せず、ケース部材70に電位は有しない。
【0077】
従って、本実施形態に係る電池10では、ケース部材70は、正極電位や負極電位を持たず、電気的に中立にできることから、電池10(組電池10C)に釘刺し試験を行ったときに、ケース部材に正極電位または負極電位を持った二次電池に比べ、降下する電圧を低く抑えることができる。
【0078】
(3)本実施形態に係る電池10では、セパレータ最外周部50Eの間隙充填材配設予定面51に接触させる間隙充填材60の一面60aの面積Kは、間隙充填材配設予定面51の表面積S以下であるので、アルミニウム製の間隙充填材60は、絶縁性のセパレータ最外周部50Eによりケース部材70と直に接触せず、ケース部材70に正極電位または負極電位を有しない二次電池とすることがより確実にできる。
【0079】
(4)本実施形態に係る電池10では、間隙充填材60は、箔状に形成されているので、複数の電池10を一列状に直列接続して拘束する組電池10Cを構成するときに、各電池10とも、電池10の厚み方向Tの厚みを均一に揃えることが簡単にできる。
【0080】
すなわち、車両1に搭載するバッテリパック6は、複数の組電池10Cを列置して構成され、この組電池10Cは、単電池である電池10を、バスバ13により複数直列に接続して一列状に拘束したものである。
この組電池10Cを構成するとき、複数の電池10において、ケース部材70に収容された状態の電極捲回体20のセパレータ最外周部50Eの間隙充填材配設予定面51と、ケース部材70の第1,第3側部71,73の内側面との間隙s1,s2の大きさが、電池10毎に異なることがある。この場合でも、間隙充填材60は、箔状であるため、例示したように、t1=0.1(mm)、t2=0.2(mm)、t3=0.3(mm)等と、箔の厚みにバリエーションを持たせて形成することが容易にできる。
よって、隙間s1,s2の大きさに対応した厚みの間隙充填材60を選択し、それぞれの隙間s1,s2に充填すれば、電極捲回体20の径方向に沿う厚み方向Tに対する大きさを、各電池10で均一に揃えることが簡単にできる。
【0081】
(5)本実施形態に係る電池10では、間隙充填材60は、アルミニウム製であるので、アルミニウムの熱伝導率236(W・m−1・K−1)は金属の中でも高く、発電要素で発熱した熱は、間隙充填材60に伝熱し易い。
また、熱伝導率の高い金属のうち、アルミニウムは相対的に安価な材料であるため、間隙充填材60を低コストで形成することができ、ひいては電池10にかかるコストを安価にすることができる。
【0082】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
例えば、実施形態では、電池10は角型単電池としたが、本発明に係る二次電池は、実施形態に限らず、例えば、円筒型単電池等、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 電池(二次電池)
20 電極捲回体
30 正電極
31 正電極板
31P 正極合材
32 正極塗工部
32E 正極塗工エンド部
33 正極未塗工部
34 正極側集箔部
40 負電極
41 負電極板
41P 負極合材
42 負極塗工部
42E 負極塗工エンド部
43 負極未塗工部
44 負極側集箔部
50 セパレータ
50E セパレータ最外周部
51 間隙充填材配設予定面(セパレータ最外周部の表面)
60 間隙充填材
70 ケース部材
T 厚み方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極合材が帯状の正電極板に塗工された正極塗工部を含む正電極、及び負極合材が帯状の負電極板に塗工された負極塗工部を含む負電極を備え、前記正電極と前記負電極との間に帯状のセパレータを挟み、前記正電極と、前記負電極と、前記セパレータとを積層して捲回してなる電極捲回体と、該電極捲回体を内部に収容するケース部材とを有する二次電池において、
前記電極捲回体では、前記セパレータが、前記正極塗工部の最外周側に位置する正極塗工エンド部、及び前記負極塗工部の外周側に位置する負極塗工エンド部を越えて捲回されていること、
前記セパレータの最外周側に位置するセパレータ最外周部と、前記ケース部材との間隙には、金属製の間隙充填材が設けられていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載する二次電池において、
前記正電極は、前記正電極板のうち、前記正極合材が塗工されていない正極未塗工部を含み、前記負電極は、前記負電極板のうち、前記負極合材が塗工されていない負極未塗工部を含み、
前記正極未塗工部では、前記正電極板が、前記電極捲回体の径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っていること、
前記負極未塗工部では、前記負電極板が、前記径方向内側に圧縮されて互いに重なり合っていること、を特徴とする二次電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する二次電池において、
前記セパレータ最外周部の表面に接触させる前記間隙充填材の面積は、前記セパレータ最外周部の表面積以下であることを特徴とする二次電池。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載する二次電池において、
前記間隙充填材は、板状または箔状に形成されていることを特徴とする二次電池。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する二次電池において、
前記間隙充填材は、アルミニウム製であることを特徴とする二次電池。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−138211(P2012−138211A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288611(P2010−288611)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】