説明

二種収納物混合容器

【課題】 同一容器内に二室を設けてそれぞれの室内へ収納させたい異種の液体等を、使用時に混合できるよう設けた容器に関する。
【解決手段】 第1内容物a入りの容器体1と、該容器体口頸部4へ、起立筒12下部外面から第1外向きフランジ13を介して垂設した第1雌ねじ筒14を螺合させ、起立筒12下端面をシート類19で密閉する主キャップ筒11と、天板22外周から垂下させた第2雌ねじ筒24を螺降余地を残して起立筒12の上部外面へ螺合させると共に起立筒内面へ水密に接して天板22から下端面にカッター27を有する収納筒28を垂下し、その収納筒内へ第2内容物bを収納させた副キャップ筒21とからなり、該副キャップ筒21の螺降でカッター27がシート類19を破断して収納筒内第2内容物bを容器体内へ落下可能に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二種収納物混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来多くの二種収納物、例えば二種の液体、又一種の液体と他種の粉体との混合容器が知られており、例えば一種の液体を収納させた容器体口頸部へ、他種の液体を収納させた蛇腹状周壁付きの小容器体を装着させ、又該小容器体内へ破断筒を垂下させて、該破断
筒を有するキャップを小容器体上端部へ嵌合させ、該キャップを押下げすると上記蛇腹状周壁が圧搾されて小容器体下端面を閉塞するシートが上部破断筒で破断されて小容器体内の他種液体が容器体内へ落下し、それ等二種液体が混合するよう設けた容器が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−128251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例は不使用時における蛇腹状周壁の圧搾を避けるために蛇腹状周壁の上下両部分にストッパを設け、該ストッパを除去しない限りその蛇腹状周壁圧縮による二液の混合が生じないよう設けているが、そのストッパが邪魔となることもあり、又上記小容器体組付けの必要上、容器全体の構造が複雑となる欠点があった。
【0004】
本発明はそのような欠点を除去すると共に容器の外見もすぐれ、使用上も便利であるよう設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として口頸部4を起立する第1内容物a入り容器体1と、
上記口頸部外面へ、起立筒12の下部外面から第1外向きフランジ13を介して垂設した第1雌ねじ筒14を螺合させた主キャップ筒11と、
上記起立筒12の上部外面へ、天板22から垂設した第2雌ねじ筒24を螺降余地を残して螺合させると共に、下端にカッター27を有する第2内容物b入りの収納筒28を天板22から起立筒12内へ垂設させた副キャップ筒21とからなり、
上記起立筒12へ下端面をシート類19で密閉して、上記主キャップ筒11に対する副キャップ筒21の螺降で、カッター27がシート類19を破断して第2内容物bを容器体内へ落下可能に形成した。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共に上記第2雌ねじ筒24の下部外面へ付設した複数連結子25を介して垂設した脚筒26下端を第1外向きフランジ13上へ載置させ、主キャップ筒11に対する副キャップ筒21の螺降で、上記各連結子25が破断可能に形成した。
【0007】
第3の手段として、上記第1又は第2の手段を有すると共に上記口頸部4と第1雌ねじ筒14との各螺条と、起立筒上部と第2雌ねじ筒24との各螺条とを、逆ねじに形成した。
【0008】
第4の手段として、上記第3の手段を有すると共に項壁32から内外二重周壁を垂下する外キャップ31を設けて、その頂壁32を副キャップ筒21の天板22上面へ載置ないし近接させると共に長く設けた外周壁33は第1雌ねじ筒14外面へ上下動不能かつ回動可能に、又内周壁34は第2雌ねじ筒24外面へ上下動可能かつ回動不能に、それぞれ嵌合させた。
【0009】
第5の手段として、上記第1、第2又は第3の手段を有すると共に第1雌ねじ筒14の中間部外面から第2外向きフランジ15を介して把持筒16を垂下させておき、又頂壁32から内外二重周壁を垂下する外キャップ31を設けて、その頂壁32を副キャップ筒天板22上面へ載置ないし近接させると共に、長く設けた外周壁33は第1雌ねじ筒14外面へ上下動不能かつ回動可能に、又内周壁34は第2雌ねじ筒24外面へ上下動可能かつ回動不能に、それぞれ嵌合させた。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のようにすることで、主キャップ筒11に対して副キャップ筒21を螺合させるだけで容器に副キャップ筒内の第2内容物bを容器体内へ落下させて第1内容物と第2内容物とを容易に混合できる。
【0011】
請求項2のようにすることで上記請求項1の効果を有するほか、主キャップ筒11に対して副キャップ筒21を強く回動させない限り、各連結子25が破断されて副キャップ筒21が、下降し、従ってカッター27が下降してシート類19が破断されることがなく、よって不用意に第1内容物に第2内容物が混合することを防止できる。
【0012】
請求項3のようにすることで、上記請求項1又は2記載の効果を有するほか、例えば副キャップ筒螺降のための回動により、容器体に口頸部に対する第1雌ねじ筒14の螺合締付けが固くなり過ぎることがない。
【0013】
請求項4記載のようにすることで、請求項3記載の効果を有するほか、副キャップ筒21螺降状態から外キャップ31を第1雌ねじ筒14螺昇方向へ回すことで、容器体口頸部から主キャップ筒11を螺脱出来る。
【0014】
請求項5記載のようにすることで、請求項1、2又は3記載の効果を有すると共に、容器体1の主キャップ筒11の開蓋は、容器体1に対して把持筒16を第1雌ねじ筒14螺脱方向へ回せばよく、容器体内の第1、第2内容物混合体の使用が便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面について説明すると、1は容器体で胴部2上端から肩部3を介して雄ねじ筒としての口頸部4を起立する。該容器体内へは第1内容物、例えば第1液体aを収納させる。
【0016】
上記口頸部4外面へは、主キャップ筒11の第1雌ねじ筒14を螺合させている。該主キャップ筒11は、起立筒12の下部外面から第1外向きフランジ13を介して上記第1雌ねじ筒14を、又該第1雌ねじ筒の中間部から第2外向きフランジ15を介して把持筒16を、更に第1外向きフランジ13下面から口頸部4内面へ水密に嵌合させてシール筒17を、それぞれ垂下し、第1外向きフランジ下方の起立筒部分を口頸部内へ垂下させ、第1外向きフランジ上方の起立筒部分外面へは雄ねじ18を付設している。起立筒下端面は、アルミ薄板、ないしプラスチックシート等のシート類19で密閉している。
【0017】
上記起立筒12上部外面へは副キャップ筒21を螺合させる。該副キャップ筒は天板22外周から外面に複数縦溝23を縦設した第2雌ねじ筒24を、又該第2雌ねじ筒の下部外面へ付設した複数の破断用連結子25を介して脚筒26を垂下し、該脚筒下端を第1外向きフランジ13上面へ載置させ、更に起立筒12内面へ水密に接して天板22から下端にカッター27を有し、第2内容物bを入れた収納筒28を垂下する。尚水密嵌合による摩擦抵抗増大防止のためにその下部は多少小外径とするとよい。該副キャップ筒は、起立筒外面への螺合状態において図1が示すように天板22下面と起立筒12上端との間に螺降用間隙を設けるもので、主キャップ筒11に対して副キャップ筒21を螺降方向へ強制回動すると既述連結子25が破断されて副キャップ筒21が螺降し、すると収納筒28下端のカッター27がシート類19を破断し、よって収納筒28内の第2内容物bが容器体1内へ落ち、該容器体内の第1内容物aと第2内容物bが混合する。第2内容物としては異種の液体又は粉等とする。
【0018】
31は外キャップで、頂壁32から内外二重周壁を垂下し、その頂壁32は副キャップ筒の天板22上面へ近接ないし当接させ、外周壁33下端を第2外向きフランジ15上面ヘ載置させてその下部を第1雌ねじ筒14の上部外面へ回動可能に、かつ上下動不能に嵌合させている。該嵌合は図示のようにその嵌合部の一方に突条を周設し、他方にその突条を嵌合させた凹溝を周設する。その突条は逆刺状に抜出し不能に形成するとよい。又内周壁34は第2雌ねじ筒24外面へ、上下動可能かつ回動不能に嵌合させる。該嵌合はその嵌合部の一方に複数溝を縦設し、他方にその溝内へ嵌合させる複数の突条を縦設して行っている。
【0019】
既述容器体口頸部4に対する第1雌ねじ筒14の螺合と、起立筒12上部外面に対する第2雌ねじ筒24の螺合とは逆ねじの関係とすることが望ましい。
【0020】
図4は第2実施形態を示すもので、同一部分については同一符号を付することで説明を省略し、相違部分についてだけ説明すると、既述第1実施形態における主キャップ筒11の把持筒16を、第1雌ねじ筒14下端に付設した第3外向きフランジ20で形成し、該第3外向きフランジ上へ外キャップ31の外周壁33下端を載置させている。
【0021】
以上の構成において、例えば始めに主キャップ筒11と、副キャップ筒21と、外キャップ31とを組付けておき、収納筒28内へ第2内容物bを入れ、起立筒12下端面をシート類19で密閉させておき、これ等を第1内容物aを充填した容器体1に、口頸部4へ第1雌ねじ筒14を螺合させることで装着させる。該状態で、ないしはその容器を包装等した状態で輸送、展示等を行い、容器使用に際しては外キャップ外周壁33を第2雌ねじ筒24螺降方向へ回す。主キャップ筒11に対して外キャップ31は回動するため、主キャップ筒は内周壁34を介して第2雌ねじ筒24を回し、よって副キャップ筒21は起立筒12に対して螺降し、カッター27がシート類19を破断することで収納筒28内の第2内容物bを容器体内へ落下させ、容器体内の第1内容物と混合する。
【0022】
その混合液等の使用に際して、把持筒16を設けた場合は、該把持筒を主キャップ筒螺脱方向へ回せばよく、又図4のように把持筒を設けず、かつ第1雌ねじ筒14と第2雌ねじ筒24とを逆ねじとした場合は、外キャップ31を第1雌ねじ筒14螺脱方向へ回せばよい。このとき、第2雌ねじ筒24は螺降方向へ回転しようとするが、このとき副キャップ筒21は下限に位置して回動できないため外キャップ31の上記回転はそのまま主キャップ筒11に伝達されることとなり、従って該主キャップ筒11は螺脱することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明容器の半断面図である。
【図2】副キャップ筒螺降でシート類が破断された状態を示す半断面図である。
【図3】容器体から、主キャップ筒等を螺脱させた状態で示す半断面図である。
【図4】第2実施形態で示す、容器の半断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器体 11 主キャップ筒
12 起立筒 14 第1雌ねじ筒
16 把持筒 19 シート類
21 副キャップ筒 22 天板
24 第2雌ねじ筒 25 連結子
26 脚筒 27 カッター
28 収納筒 31 外キャップ
32 頂壁 33 外周壁
34 内周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部4を起立する第1内容物a入り容器体1と、
上記口頸部外面へ、起立筒12の下部外面から第1外向きフランジ13を介して垂設した第1雌ねじ筒14を螺合させた主キャップ筒11と、
上記起立筒12の上部外面へ、天板22から垂設した第2雌ねじ筒24を螺降余地を残して螺合させると共に、下端にカッター27を有する第2内容物b入りの収納筒28を天板22から起立筒12内へ垂設させた副キャップ筒21とからなり、
上記起立筒12へ下端面をシート類19で密閉して、上記主キャップ筒11に対する副キャップ筒21の螺降で、カッター27がシート類19を破断して第2内容物bを容器体内へ落下可能に形成した
ことを特徴とする二種収納物混合容器。
【請求項2】
上記第2雌ねじ筒24の下部外面へ付設した複数連結子25を介して垂設した脚筒26下端を第1外向きフランジ13上へ載置させ、主キャップ筒11に対する副キャップ筒21の螺降で、上記各連結子25が破断可能に形成した
ことを特徴とする、請求項1記載の二種収納物混合容器。
【請求項3】
上記口頸部4と第1雌ねじ筒14との各螺条と、起立筒上部と第2雌ねじ筒24との各螺条とを、逆ねじに形成した
ことを特徴とする請求項1又は2記載の二種収納物混合容器。
【請求項4】
頂壁32から内外二重周壁を垂下する外キャップ31を設けて、その頂壁32を副キャップ筒21の天板22上面へ載置ないし近接させると共に長く設けた外周壁33は第1雌ねじ筒14外面へ上下動不能かつ回動可能に、又内周壁34は第2雌ねじ筒24外面へ上下動可能かつ回動不能に、それぞれ嵌合させた
ことを特徴とする請求項3記載の二種収納物混合容器。
【請求項5】
第1雌ねじ筒14の中間部外面から第2外向きフランジ15を介して把持筒16を垂下させておき、又頂壁32から内外二重周壁を垂下する外キャップ31を設けて、その頂壁32を副キャップ筒天板22上面へ載置ないし近接させると共に、長く設けた外周壁33は第1雌ねじ筒14外面へ上下動不能かつ回動可能に、又内周壁34は第2雌ねじ筒24外面へ上下動可能かつ回動不能に、それぞれ嵌合させた
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の二種収納物混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−232319(P2006−232319A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48801(P2005−48801)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】