説明

二種混合容器

【課題】 容器体口頸部へ嵌合させた下蓋上部へ破断帯を介して上蓋を螺合させてそれ等内部に収納筒を形成させ、破断帯除去後の上蓋螺降で収納筒底板が下方へ垂下し、収納物が容器体内へ落下するよう設けた。
【解決手段】 容器体口頸部へ嵌合させた装着筒12上端の内向きフランジ13で、有底筒14を保持させ、該有底筒の底板外周へ周設した破断用線17内方に沿ってC字形状板押下げ板18を起立させ、又有底筒上部内面へ嵌合させた内筒25一部を垂下して形成したカッター26内面に押下げ板27を付設し、内筒上面を閉塞する頂板22外周から垂下した雌ねじ筒23を有底筒14の上部外面へ螺合させ、内向きフランジ13と雌ねじ筒23との間へ介在させた破断帯除去後の上蓋螺降でカッターが底板外周一部を切欠き、又押下げ板27が被押下げ板18を押下げて、被押下げ板外方の破断用線17を破断可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種の液体ないし液体と粉体等二種の内容物を使用直前に混合できるよう設けた二種混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
肩部を介して口頸部を起立する容器体内へ液体等を収納させておき、又装着筒上端の内向きフランジで有頂筒体を吊持ちさせ、その有頂筒体内へ異種収納物を収納させてその筒体下端面を係合片付き下蓋で閉塞した収納室付きキャップ部材を、上記内向きフランジ下方筒体部分を容器体内へ入れて口頸部外面へ装着筒を螺合させ、該装着筒を口頸部から螺脱すると上記下蓋の係合片が容器体肩部の内面へ係合するため筒体下端から脱落し、従って筒体内収納物が容器体内液体中へ混入するよう設けた二種混合容器が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−300162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記容器は、キャップ部材螺脱により下蓋が容器体内へ落下するため液体等注出時に下蓋がその液体流出を邪魔するおそれがあった。
【0004】
本発明はそのような欠点を除去するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として口頸部2を起立する容器体1と、
該口頸部外面へ嵌合させた装着筒12上端の内向きフランジ13で有底筒14を吊持ちさせて、そのフランジ下方部分を口頸部2内へ嵌合させると共にフランジ上方部分を雄ねじ筒15となし、又底板16外周部を薄肉破断用線17とすると共に該破断用線内縁に沿って平面C字形状とした被押下げ板18を起立する下蓋11と、
上記雄ねじ筒15外面へ螺合させた雌ねじ筒23を頂板22外周から垂下すると共に、該頂板から雄ねじ筒15内面へ嵌合されて垂下する内筒25一部を下方へ延長してカッター26とし、該カッター内面から押下げ板27を内方突出する上蓋21と、
上記内向きフランジ13と雌ねじ筒23との間の雄ねじ筒部分外面へ嵌合させた破断帯31とからなり、
上記カッター26は、破断帯除去跡の雄ねじ筒部分への上蓋螺降で被押下げ板18の一端に近接する破断用線部分を破断可能に、かつ押下げ板27は、上記上蓋21螺降で被押下げ板18を介し底板を押下げることで、上記破断部分先端に連続する破断用線部分が順次引裂かれて、被押下げ板18側方の全破断用線部分を破断可能に、それぞれ形成した。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共に上記内筒25を雄ねじ筒23内面へ気密に嵌合させた。
【0007】
第3の手段として、上記第1又は第2の手段を有すると共に上記破断帯31を、雌ねじ筒23下端面から破断用弱化線24を介して垂下させた。
【0008】
第4の手段として、上記第1、第2、又は第3の手段を有すると共に上記口頸部2と装着筒12とを螺合させてこれ等を第1螺合部とし、かつ雄ねじ筒15と雌ねじ筒23とを第2螺合部として、これ等第1螺合部に対して第2螺合部を逆ねじとした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のように下蓋11の内向きフランジ13と上蓋21の雌ねじ筒23との間の雄ねじ筒部分外面へ破断帯31を嵌合させるから、人為的にその破断帯を除去しない限りカッター26が、有底筒14と頂板から垂下して有底筒内へ嵌合する内筒25とが形成する収納筒を傷つけ、その気密性を損なうことがなく、又その収納筒開封の際は上蓋21螺降によるカッターでの破断および押下げ板27の螺降で一部を残して底板外周部を切裂いて、その底板を垂下させるだけで容器体内へ落下させないから、容器体内液体使用時にその底板が邪魔となることがない。又上記上蓋螺降の際にカッターに付設した押下げ板27が底板16から起立する被押下げ板18を押下げするから、上記のように一部を非切離し部として残している底板を、その非切離し部を有底筒の筒壁下端に接続させたままで確実に垂下させ、その収納筒内収納物を確実に容器体内液体中へ落下させることが出来る。
【0010】
請求項2のようにすることで、収納筒内収納物の酸化等による品質低下を防止でき、又その収納室内へ不活用ガス等の封入も出来てその劣化防止等の効果を更に高めることが出来る。
【0011】
請求項3のようにすることで上蓋21と破断帯31とを一体成形でき、よって破断帯を別部材とした場合に比べて組付け作業が容易となるる。
【0012】
請求項4のようにすることで雄ねじ筒15に対する雌ねじ筒23の締め付けが強すぎても、そのため上蓋21螺脱時に下蓋11が口頸部2から螺脱して、下蓋11からの上蓋21の螺脱が困難となることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面について説明すると、1は胴部上端から肩部を介して口頸部2を起立する容器体で、その口頸部は下端部を大外径部2aとし、その上方部分を雄ねじ筒としている。
【0014】
上記口頸部の雄ねじ筒へは、下蓋11を螺合させている。該下蓋は上記雄ねじ筒へ螺合させた装着筒12上端の内向きフランジ13を上記口頸部の上端面へ載置させ、その内向きフランジ内端で有底筒14を吊持ちさせ、フランジ下方の筒部分を口頸部内へ嵌合させ、又フランジ上方の筒部分を雄ねじ筒15として起立させている。その有底筒の底板16外周には薄肉の破断用線17を周設しており、又図4が示すように底板外周に近接する部分からは、上方からみて同心円状にC字形状の被押下げ板18を起立する。該被押下げ板の上面は、反時計回り方向において上昇斜面19としている。
【0015】
21は上蓋で、頂板22外周から既述雄ねじ筒15へ螺合させる雌ねじ筒23を垂下する。図示例ではその雌ねじ筒下端面から破断用弱化線24を介して筒一部を切欠きした破断帯31を垂下し、該破断帯内面にも雌ねじを付形している。該破断帯はリング一部を切欠いた形状としており、その一端から破断帯除去用の摘み片を外方突出させている。
【0016】
頂板内面から内筒25を垂下し、該内筒を既述雄ねじ筒15の上部内面へ気密に嵌合させ、かつその内筒一部を下方へ延長してカッター26としており、該カッター内面からは押下げ板27を内方突出させている。
【0017】
上記上蓋21は、図2が示すように下蓋の雄ねじ筒15外面へ雌ねじ筒23を螺合させ、雌ねじ筒から垂下する破断帯31下端が既述下蓋の内向きフランジ13上面へ接する状態で、上記雄ねじ筒15上端と上蓋頂板22との間には破断帯31の高さとほぼ同一高さの間隙が形成されるよう設けたものであり、破断帯31除去後、上蓋21はその破断帯跡の雄ねじ筒部分を螺降可能としている。
【0018】
41はシュリンクフィルムで、上記上蓋21、下蓋11、口頸部下端の大外径部2aを共に包持させている。
【0019】
既述構成において、シュリンクフィルム41を除去し、かつ破断帯31を除去した後に上蓋21を図示例において反時計回り方向へ回して上蓋を螺降させるとカッター26は被押下げ板18の一端に近接する破断用線部分を切裂いて破断し、又押下げ板27は被押下げ板18の一端上面へ接座する。該状態から続けて上蓋21を螺降させると被押下げ板18を介して底板16が押下げられることで上記のようにカッター26が切裂いた破断部分先端と連続する破断用線部分が順次引裂かれ、このようにして押下げ板24が被押下げ板の他端上面近くまで摺動したとき、被押下げ板側方の全破断用線部分はすべて破断され、又被押下げ板18が下方へ押下げるため、底板16は破断されていない破断用線部分を中心として下方へ垂下することとなり、よって収納筒内の収納物は容器体内液体中に落下するものである。尚収納筒内への充填物は粉体、異種の液体、又茶葉等でもよく、又茶葉のように液体中を遊動するものであれば公知の紙製パック等に収納させてもよい。
【0020】
既述実施形態において、容器体口頸部と下蓋11との螺合を、口頸部への下蓋時計回りで行うようにし、下蓋11と上蓋21とは反時計回りで螺合するよう設けたが、それ等は逆ねじとされておればよく、又口頸部に対して下蓋を回動不能に嵌合させても上蓋時計回りの回動で下蓋へ螺合させることが出来る。尚上記のように時計回りの回動で上蓋が螺降するよう設けた場合は、被押下げ板18上面を時計回り方向への上昇斜面とすることとなる。
【0021】
又被押下げ板18上面は反時計回り方向への上昇斜面としたが、上蓋21は下蓋11と螺合させているから、螺条のリードが大であれば水平面とすることが出来る。
【0022】
破断帯31は別部材で形成してもよく、この場合は破断帯をリング状とし、又内径を雄ねじの歯先円外径よりも大として、その取外しは上蓋21を雄ねじ筒から螺脱した状態で、雄ねじ筒15から抜取りするよう設けてもよい。
【0023】
被押下げ板一端近くの破断用線部分へのカッター下端切裂きの位置合わせは、螺条を一条ねじとして雄ねじ筒15の雄ねじ始端と上蓋雌ねじ筒23下端の始端との位置合わせで行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明容器要部の半縦断面図である。
【図2】図1半断面図の斜視図である。
【図3】図1下蓋と上蓋との分解斜視図である。
【図4】図1の横断面である。
【符号の説明】
【0025】
1 容器体 11 下蓋
12 装着筒 14 有底筒
15 雄ねじ筒 16 底板
17 破断用線 18 被押下げ板
21 上蓋 22 頂板
23 雌ねじ筒 24 破断用弱化線
25 内筒 26 カッター
27 押下げ板 31 破断帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部2を起立する容器体1と、
該口頸部外面へ嵌合させた装着筒12上端の内向きフランジ13で有底筒14を吊持ちさせて、そのフランジ下方部分を口頸部2内へ嵌合させると共にフランジ上方部分を雄ねじ筒15となし、又底板16外周部を薄肉破断用線17とすると共に該破断用線内縁に沿って平面C字形状とした被押下げ板18を起立する下蓋11と、
上記雄ねじ筒15外面へ螺合させた雌ねじ筒23を頂板22外周から垂下すると共に、該頂板から雄ねじ筒15内面へ嵌合されて垂下する内筒25一部を下方へ延長してカッター26とし、該カッター内面から押下げ板27を内方突出する上蓋21と、
上記内向きフランジ13と雌ねじ筒23との間の雄ねじ筒部分外面へ嵌合させた破断帯31とからなり、
上記カッター26は、破断帯除去跡の雄ねじ筒部分への上蓋螺降で被押下げ板18の一端に近接する破断用線部分を破断可能に、かつ押下げ板27は、上記上蓋21螺降で被押下げ板18を介し底板を押下げることで、上記破断部分先端に連続する破断用線部分が順次引裂かれて、被押下げ板18側方の全破断用線部分を破断可能に、それぞれ形成した
ことを特徴とする二種混合容器。
【請求項2】
上記内筒25を雄ねじ筒23内面へ気密に嵌合させた
ことを特徴とする請求項1記載の二種混合容器。
【請求項3】
上記破断帯31を、雌ねじ筒23下端面から破断用弱化線24を介して垂下させた
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の二種混合容器。
【請求項4】
上記口頸部2と装着筒12とを螺合させてこれ等を第1螺合部とし、かつ雄ねじ筒15と雌ねじ筒23とを第2螺合部として、これ等第1螺合部に対して第2螺合部を逆ねじとした
ことを特徴とする、請求項1、2又は3記載の二種混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−44669(P2006−44669A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224136(P2004−224136)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】