説明

二種混合容器

【課題】 容器体口頸部へ嵌合させた主筒部材へ収納筒付きのキャップ部材を嵌合させ、該キャップ部材離脱で上記収納筒が容器体内液体中に落下してその落下物から成分が液体中に溶け出すよう設けた。
【解決手段】 口頸部3を起立する容器体1と、該容器体口頸部へ嵌合させた主筒11と、該主筒の内筒14内へ嵌合させた保持筒24を頂壁から垂下し、その頂壁外周から、主筒から起立する嵌合筒15へ嵌合させた周壁23を垂下するキャップ部材21と、該キャップ部材の保持筒24内へ嵌合させた収納筒31とを有し、上記キャップ部材離脱で収納筒31が保持筒24内から外れて容器体内へ落下可能に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器体内液体と茶葉、或いは粉体等二種の内容物を使用直前に混合できるよう設けた二種混合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
肩部を介して口頸部を起立する容器体内へ液体等を収納させておき、又装着筒上端の内向きフランジで有頂筒体を吊持ちさせ、その有頂筒体内へ異種収納物を収納させてその筒体下端面を係合片付き下蓋で閉塞した収納室付きキャップ部材を、上記内向きフランジ下方筒体部分を容器体内へ入れて口頸部外面へ装着筒を螺合させ、該装着筒を口頸部から螺脱すると上記下蓋の係合片が容器体肩部の内面へ係合するため筒体下端から脱落し、従って筒体内収納物が容器体内液体中へ混入するよう設けた二種混合容器が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−300162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記公知例容器は、異種容器のほか、収納室内へ粉末、或いは茶葉等を収納させることも出来るが、粉末であれば収納室内の湿度は大となったとき収納室壁面へ付着し易く、又茶葉であればその一部が収納室壁面へ引掛って一部が収納筒内に残り、そのため粉末等混入後の液体濃度が不足するおそれがあった。
【0004】
本発明は収納体全体が容器体内液体中に落下して、該筒内の茶葉等成分が液体中に滲出するよう設けることで上記従来の欠点を除去できるよう設けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として口頸部3を起立する容器体1と、
上記口頸部外面へ嵌合させた装着筒12の内向きフランジ13で内筒14を吊下げてフランジ下方部分を容器体内へ垂下させると共にフランジ上方部分を嵌合筒15とした主筒11と、 上記嵌合筒15へ嵌合させた周壁23を頂壁22外周から垂下すると共に、該頂壁から垂設した保持筒24を上記内筒14内へ垂下するキャップ部材21と、
上記保持筒24内へ、有頂の孔付き筒32を抜落ち不能に嵌合させると共に、その孔付き筒下端へ付設した外向きフランジ34を上記内筒14の下端面へ係合させ、又孔付き筒32下端開口面を下蓋36で閉塞した収納筒31とからなり、
上記主筒11からの離脱によるキャップ部材21の抜取りで、収納筒31が容器体1内へ落下可能に形成した。
【0006】
第2の手段として口頸部3を起立する容器体1と、
上記口頸部外面へ着脱自在に嵌合させた装着筒12の内向きフランジ13で内筒14を吊下げてフランジ下方部分を容器体内へ垂下させると共にフランジ上方部分を嵌合筒15とした主筒11と、
上記嵌合筒15へ嵌合させた周壁23を頂壁22外周から垂下すると共に、該頂壁から垂設した保持筒24を上記内筒14内へ垂下するキャップ部材21と、
有頂の孔付き筒32下端部を大外径部33として上記内筒14の下端部内面へ嵌合させると共に、大外径部33上方の筒部分を保持筒24内へ挿入させ、又孔付き筒下端に付した外向きフランジ34を内筒14の下端面へ係合させると共に孔付き筒の下端開口面を下蓋36で閉塞した収納筒31とからなり、
該収納筒31は、強制押下げにより大外径部33が内筒14下端から離脱可能に形成した。
【0007】
第3の手段として、上記第1又は第2の手段を有すると共に上記下蓋36を、ヒンジ35を介して外向きフランジ34一部へ付設した。
【0008】
第4の手段として、上記第1、第2、又は第3の手段を有すると共に上記口頸部3と装着筒12とを第1螺合部として螺合させると共に、上記嵌合15と周壁23とを第2螺合部として、上記第1螺合部に対して第2螺合部を逆ねじとした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のように構成することで、消費者は、容器体内液体使用時にキャップ部材21を離脱すればよく、その離脱により該キャップ部材頂壁から垂下する保持筒24は、下端外向きフランジ34を主筒11の内筒14下端面へ係合させて抜落ち不能に保持筒内へ嵌合された収納筒31から抜け出し、よって該収納筒31を容器体内へ落下させることが出来、収納筒内へ収納された茶葉等はそのまま容器体内液体中に落下するから、従来のようにその一部の落下が不能となって無駄となることがない。又容器体口頸部3と装着筒12を螺合させれば、保持筒24内面への収納筒31外面の嵌合がかたく嵌合されていても、上記螺合は倍力機構をなすため、その螺脱を容易に行うことが出来る。
【0010】
請求項2のようにすることで、収納筒31はキャップ部材21取外し後、その収納筒21上部を強制押下げして容器体内へ落とせばよく、この場合も収納筒内へ収納された茶葉等は収納筒と共に落下するから従来のようにその一部の落下が不能となって無駄となることがない。
【0011】
請求項3のようにすることで、請求項1又は2の効果を有するほか、下蓋36を収納筒31と一体成形でき、よってその下蓋を探すようなことがなく、又その下蓋の閉塞が容易でかつその閉塞を忘れることがない。
【0012】
請求項4のようにすることで、キャップ部材螺脱時に、主筒の嵌合筒15に対するキャップ部材周壁23の締め過ぎにより、キャップ部材21と主筒11とが共に回動して主筒11に対するキャップ部材21の螺脱が不能となることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面について説明すると、1は胴部2上端から肩部を介して口頸部3を起立する容器体で、その口頸部外面へは雄ねじを付設している。
【0014】
上記口頸部外面へは主筒11を螺合させている。該主筒は口頸部外面へ螺合させた装着筒12上端の内向きフランジ13で内筒14を吊下げ支持するもので、その内向きフランジ下方の筒部分は容器体口頸部内へ垂下し、又内向きフランジ13上方の内筒部分はその外面へ雄ねじを付設して嵌合筒15としている。
【0015】
上記内向きフランジ下方の内筒部分の上部は口頸部3内面へ水密に接する大外径部14a とし、又該大外径部下方の筒部分は小外径部14b としている。
【0016】
21はキャップ部材で、頂壁22外周から周壁23を垂下して上記嵌合筒15外面へ嵌合させると共に、該周壁内方の頂壁部分から保持筒24を垂下して、該保持筒を既述主筒の内筒14内へ小間隙をおいて挿入させている。該保持筒は内筒14よりも図示のようにやや短く形成するとよい。尚嵌合筒15と周壁23との螺合部は、既述口頸部3と装着筒12との螺合部に対して逆ねじとするがよく、このようにすることで、嵌合筒15に対する周壁23の締め過ぎで、周壁弛め方向への回動で口頸部3に対して装着筒12が弛んで、主筒11に対するキャップ部材21の螺脱が不能となることがない。又このように主筒11に対するキャップ部材21の螺脱が困難となることを避けるためには、口頸部3に対する装着筒12の螺合を止め、凹凸条の嵌合等で回動不能に嵌合させてもよい。
【0017】
31は収納筒で、有頂の網目状の孔付き筒32下部を上向き段部を介して大外径部33としており、かつ大外径部下端には外向きフランジ34を付設し、又その外向きフランジ一部へヒンジ35を介して下蓋36を付設し、該下蓋で上記収納筒の下端開口面を密閉させている。
【0018】
図示例において、収納筒31下部は網目状孔を有しない筒部とし、該筒部を含めて大外径部上方の筒部分を抜け落ち不能に保持筒24内へ嵌合させ、又大外径部33を内筒14の下端部内面へ嵌合させて外向きフランジ34を内筒下端面へ係合させている。収納筒31は、例えば別部材である網目状孔を有する部材(メッシュ部材)などの部分と、その他部分とをインサート成形で一体成形してもよい。収納室31内への茶葉等の収納は、図3が示すように、容器体口頸部へ主筒11を嵌合させるに先だち、該主筒へキャップ部材21および収納筒31を組付けておき、倒立状態で上記収納筒31内へ収納させればよい。収納物が粉体である場合は例えば公知の紙パック内へ入れ密封し、該粉体入り紙パックをその収納筒内へ入れてもよい。収納物としては固体、粉体、ジェル状物が考えられる。次いで下蓋36で収納筒下端面を閉塞した後に図1のように収納筒31、キャップ部材21を組付けた主筒11を容器体口頸部へ嵌合させる。
【0019】
図1の状態から図3のようにキャップ部材21を螺脱し、上方へ引き抜けば、収納筒31は下端の外向きフランジ34を内筒14下端面へ係合させて上昇不能としているため、保持筒24が収納筒31外面から上方へ外れると同時に収納筒31は容器体内液体中に落下し、茶葉等成分がその液体中に溶け込むものである。
【0020】
尚上記図示例では収納筒31外面を保持筒24内面へ自然落下不能に、つまり強制抜出し可能に嵌合させたが、既述大外径部33外面を内筒14の下端部内面へ強制抜出し可能に嵌合させ、又収納筒31は保持筒24内面へ遊挿ないし強制抜出し可能に嵌合させてもよく、このようにすれば、キャップ部材上方抜出しによっても収納筒31は主筒11内に残るから、該状態から収納筒上面を強制押下げすることで内筒14下端部内面への大外径部33の嵌合を外し、その収納筒31を容器体内液体中に落下させることが出来る。
【0021】
尚孔付き筒32は、図4が示すように多数の透孔37付きの筒体としてもよい。その他構造は既述実施例の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明容器の縦断面図である。
【図2】収納体取外し方法の説明断面図である。
【図3】収納液体内への茶葉等収納方法の説明図である。
【図4】上記収納体を変形例で示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 容器体 11 主筒
12 装着筒 14 内筒
15 嵌合筒 21 キャップ部材
22 頂壁 23 周壁
24 保持筒 31 収納筒
32 孔付き筒 35 ヒンジ
36 下蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部3を起立する容器体1と、
上記口頸部外面へ嵌合させた装着筒12の内向きフランジ13で内筒14を吊下げてフランジ下方部分を容器体内へ垂下させると共にフランジ上方部分を嵌合筒15とした主筒11と、 上記嵌合筒15へ嵌合させた周壁23を頂壁22外周から垂下すると共に、該頂壁から垂設した保持筒24を上記内筒14内へ垂下するキャップ部材21と、
上記保持筒24内へ、有頂の孔付き筒32を抜落ち不能に嵌合させると共に、その孔付き筒下端へ付設した外向きフランジ34を上記内筒14の下端面へ係合させ、又孔付き筒32下端開口面を下蓋36で閉塞した収納筒31とからなり、
上記主筒11からの離脱によるキャップ部材21の抜取りで、収納筒31が容器体1内へ落下可能に形成した
ことを特徴とする二種混合容器。
【請求項2】
口頸部3を起立する容器体1と、
上記口頸部外面へ着脱自在に嵌合させた装着筒12の内向きフランジ13で内筒14を吊下げてフランジ下方部分を容器体内へ垂下させると共にフランジ上方部分を嵌合筒15とした主筒11と、
上記嵌合筒15へ螺合させた周壁23を頂壁22外周から垂下すると共に、該頂壁から垂設した保持筒24を上記内筒14内へ垂下するキャップ部材21と、
有頂の孔付き筒32下端部を大外径部33として上記内筒14の下端部内面へ嵌合させると共に、大外径部33上方の筒部分を保持筒24内へ挿入させ、又孔付き筒下端に付した外向きフランジ34を内筒14の下端面へ係合させると共に孔付き筒の下端開口面を下蓋36で閉塞した収納筒31とからなり、
該収納筒31は、強制押下げにより大外径部33が内筒14下端から離脱可能に形成した
ことを特徴とする二種混合容器。
【請求項3】
上記下蓋36を、ヒンジ35を介して外向きフランジ34一部へ付設した
ことを特徴とする請求項1又は2記載の二種混合容器。
【請求項4】
上記口頸部3と装着筒12とを第1螺合部として螺合させると共に、上記嵌合筒15と周壁23とを第2螺合部として、上記第1螺合部に対して第2螺合部を逆ねじとした
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の二種混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−44693(P2006−44693A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224934(P2004−224934)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】