説明

二色性ゲスト−ホスト偏光子

偏光子の製造のための方法を提供している。その方法は、液晶ホスト及び増粘剤を有する液晶組成物を備える段階と、基板に前記液晶組成物の薄膜を形成する段階と、第1液晶のメソフェーズにある配向膜を得るように前記液晶ホストを配向させる段階であって、前記液晶ホストは前記基板に対して平面配向に配向される、段階と、前記配向膜を凝固させるように前記増粘剤をゲル化させる段階と、前記凝固された膜において第2液晶状態を得る段階と、を有する。その組成物において増粘剤を用いることにより、液晶ホストの垂直配向が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
偏光子は、光の偏光が要求される幾つかの異なるアプリケーションにおいて広く用いられている。今日、LCDのアプリケーションについて最も広く用いられている偏光子は、1938年にE.H.Landにより発明されたHシート偏光子の派生物である。それらの二色性偏光子は、ヨウ素を含浸させた又は二色性色素をドープした一軸延伸高分子(ポリビニルアルコール)を有する。湿気に感応する高分子(ポリビニルアルコール)フィルムはTAC層(トリアセチルセルロース)により両側を保護されている。一方側において、ディスプレイに対して偏光子を積層するように接着剤が塗布されている。偏光子の積層物の全厚さは約70乃至150μmである。
【0002】
Hシート偏光子の偏光選択性に適合する又はそれをさえ超える偏光選択性をもたらすことができるが、Hシート偏光子よりかなり薄い偏光子に対する、当該技術分野における要請が存在している。従来、液晶セルの内部に適用されることが可能である偏光子についての更なる要請も存在している。
【0003】
上記の及び他の目的は、ゲストホスト型偏光子により達成することが可能である。そのような二色性ゲストホスト型偏光子については、例えば、国際公開第2005/045485A1号パンフレットに記載されている。ゲストホスト型偏光子については、光の偏光選択性吸収が二色性色素(ゲスト)により得られる偏光子として記載され、その二色性色素は、重合性液晶ホスト内で配向している。偏光子の偏光性能については、従来、吸収における二色比(DR)を用いることにより説明されている。
【0004】
今日のLCDにおいては、従来のHシート偏光子は、一般に、30又はそれ以上のDRを、そしてしばしば、50に等しい又はそれ以上のDRを示す。上記のゲストホスト型偏光子は、15又はそれ以上の二色比を有し、50又はそれ以上の二色比が、高度に配向しているスメクチック層を有する、配向した重合体膜が反応性液晶に基づいているときに、得られる。特に、スメクチックB層は、大きい二色比を有する配向重合体膜を備える上で、非常に有効である。他の高度に配向しているスメクチック相、例えば、スメクチックF相及びスメクチックI相がまた、用いられる。
【0005】
反応性液晶ホスト材料の平面配向(基板面に対して長軸が平行である)は、上記のゲスト−ホスト型偏光子を形成するには重要である。しかしながら、配向層(ラビングしたポリイミド又は光配向層)を備えた基板において薄膜として材料が適用されるとき、反応性液晶材料はしばしば、垂直配向の方に向かう傾向を有する。垂直配向の方に向かう傾向は、高い配向性のスメクチック相、例えば、スメクチックB、スメクチックF及びスメクチックIにおける液晶について、特に強い。
【0006】
上記のコーティング可能ゲストホスト型偏光子の処理中に反応性メソゲン混合物(二色性色素を含む)の垂直配向の方に向かう強い傾向は重大な課題であり、そのことは、この種類の偏光子の商業的ブレークスルーを妨げている。
【0007】
ネマチック相における反応性液晶材料については、反応性メソゲン混合物への少量の界面活性剤の添加により垂直配向を抑制することが可能である。
【0008】
界面活性剤は、例えば、欧州特許第940707号明細書において記載されているような非イオン性フルオロアルキレートであることが可能である。界面活性剤の添加はネマチック反応性メソゲンにおいて平面配向を得るための有効な手段であるが、界面活性剤の添加は、一般に、例えば、スメクチックB相のような高度に配向したスメクチック相における垂直配向を抑制しない。
【0009】
高度に配向したスメクチック相における平面配向は、偏光子フィルムにおけるメソゲン混合物の処理中に、一時的な第2基板を備えることにより得られることが可能である。
【0010】
反応性メソゲンの高度に架橋した重合体フィルムへの重合の後、平面配向が保たれる。この時点で、一時的な第2基板は取り除かれる。それ故、一時的な第2基板の使用は、高度に配向したスメクチック反応性メソゲンの薄膜において平面配向を得るための手段を提供することが可能である。しかしながら、一時的な第2基板の使用は、ゲストホスト型偏光子の大きいボリュームの製造においては好ましくない。
【0011】
上記のように、スメクチックメソゲンの平面配向を有する薄膜のゲストホスト偏光子をもたらす高度に配向したスメクチック反応性メソゲンに基づいて、ゲストホスト偏光子を製造する方法についての要請が存在することは明らかである。
【特許文献1】欧州特許第940707号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、この課題を克服すること、及びゲストホスト偏光子を提供することであり、そのことにより、一時的な第2基板を必要とせずに製造することを可能にする一方、高い二色比を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、液晶組成物へのゲル化剤の添加は垂直配向の方への傾向を妨げることが可能であることを発見した。
【0014】
重合体配向を示す液晶相において形成される液晶組成物における異方性ゲルネットワークは、スメクチックB、F及びIのような高次のスメクチック相においてさえ、平面配向を維持する内部配向ソースとしての役割を果たすことが可能である。更に、ゲル化及び付随する粘度の急な上昇は、平面配向から垂直配向への遷移を動力学的に防止する。
【0015】
それ故、第1特徴において、本発明は、偏光子の製造のための方法であって:液晶ホスト及び増粘剤を有する液晶組成物を備える段階;基板に前記液晶組成物の薄膜を形成する段階;第1液晶メソフェーズにおいて配向膜を得るように前記液晶ホストを配向させる段階であって、液晶ホストは前記基板に対して平面配向される、段階;前記膜を凝固させるように前記増粘剤をゲル化させる段階;及び、前記凝固した膜において第2液晶状態を得る段階;を有する方法に関する。
【0016】
その組成物における液晶ホストは重合可能であり、本発明の方法は、前記凝固した膜における前記第2液晶状態において前記液晶ホストを重合する段階を更に有することが可能である。
【0017】
その膜を重合することにより、その膜における異方性が不可逆的に固定され、温度依存性が小さくなる。
【0018】
液晶組成物は、該液晶組成物中に分散している二色性光吸収ゲストを有することが可能である。二色性光吸収ゲストは、例えば、アゾ色素であることが可能である。
【0019】
増粘剤は、ゲル化時に前記膜におけるフィブリル状凝集を形成する増粘剤であることが可能である。
【0020】
異方性の液晶相において形成されるフィブリル状凝集のネットワークは、液晶ホストに対して、異方性の且つ有効な内部平行ソースを構成する。そのような異方性ネットワークは、ネマチック又は低配向スメクチック相から高配向スメクチック相への遷移において、平面配向から垂直配向への遷移を妨げることができる。
【0021】
増粘剤は、例えば、脂肪酸誘導体、ステロイド誘導体、アントリル誘導体、ステロイド及び縮合芳香族環含有ゲル化剤、アゾベンゼンステロイド系ゲル化剤、アミノ酸型有機ゲル化剤、有機ゲル化化合物、有機金属化合物、大環状ゲル化剤、ソルビトール及びポリオール誘導体、オクタ(デカン酸)セロビオース、n−アルカン、部分フッ素化n−アルカン、それらの二成分系、環状及び線状ビスウレア化合物並びにそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを有する群から好適に選択されることが可能である。
【0022】
本発明の実施形態においては、第1液晶状態は、ネマチック相又はスメクチック相Sであり、又はネマチック相又はスメクチック相Sに対応し、ここで、YはA又はCである。
【0023】
そのような液晶相においては、平面配向は容易に利用可能である。更に、そのような相における秩序は、ゲル化において異方性ネットワークが形成されるのに十分に高く、そのネットワークは有効な内部配向ソースを形成する。
【0024】
第1液晶状態は、例えば、増粘剤のゲル化温度以上の温度で得られることが可能である。
【0025】
本発明の実施形態においては、前記第2液晶状態における配向は、スメクチック相Sであり、又はスメクチック相Sに対応し、ここで、XはA又はCである。
【0026】
そのように高く秩序化された液晶層においては、本発明の偏光子のために高い二色比を得ることが可能である。
【0027】
第2液晶状態は、例えば、増粘剤のためのゲル化温度以下の温度で得られることが可能である。
【0028】
本発明の実施形態において、液晶ホストは次式のような重合可能液晶を有し、
U−V−W−X−Y−X′−Y′−X′′−W′−V′−U′ (I)
ここで、X、X′及びX′′は、独立して、Ph又はCycで置換される又は置換されず、ここで、Phは1,4−フェニレン単位であり、Cycはトランス−1,4シクロヘキサン単位であり、
Y及びY′は、独立して、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−OCO−、−COO−、−N=N−、−C=C−、−C≡C−、−C=N−であり、
U及びU′は、独立して、重合性基であり、又はUは重合性基であり且つU′=Hであり、又はU=Hであり且つU′は重合性基であり、
V及びV′は、独立して、スペーサであり、そして
W及びW′は、独立して、直接結合、−O、−S−、−COO−又は−OCO−である。
【0029】
第2特徴においては、本発明は、配向液晶ホストを有する配向膜と、前記ホストにおいて分散し、配向している二色性光吸収ゲストと、例えば、本発明の方法により得られるゲル化増粘剤と、を有する偏光子に関する。
【0030】
第3特徴においては、本発明は、偏光子の製造において用いる組成物であって、液晶ホスト、二色性吸収ゲスト及び増粘剤を有する、組成物に関する。
【0031】
本発明の上記の及び他の特徴について、以下、現在、好適な本発明の実施形態を示す添付図を参照して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の例示としての実施形態について、本発明にしたがった偏光子の断面を示す図1に示す。偏光子1は、配向され且つ重合された液晶ホスト3と、配向され且つ重合された液晶ホスト3を有する配向重合体膜2と、ホスト3において分散され、ホストと共に配向された二色性光吸収ゲスト4と、その膜において異方性ゲルネットワークを構成する増粘剤5とを有する。二色性光吸収ゲストは、個別の二色性光吸収体の形で分散されている。一般に、光吸収体は、個別の分子(二色性色素)、そのような分子のネットワークの凝集、又は無機粒子(ナノ粒子)(顔料)であることが可能である。個々の二色性光吸収体の光吸収は方向依存性である。一体軸に沿って、光吸収は最大にあり、典型的には、最大吸収の軸に対して垂直方向の他の軸に沿って、吸収は最小にある。
【0033】
重合した液晶3は、長距離に亘る秩序を与えて、異方的に配向している。ゲスト4の個々の二色性光吸収体は、ホスト3と共に配向し、それ故、方向依存性光吸収特性を有する配向性重合体膜を与え、したがって、光を偏光する能力を与える。
【0034】
ゲスト4の二色体は、矩形形状を有し、重合体膜において平面一軸性配向にある。しかしながら、他の形状、例えば、ディスク状形状、及び垂直配向又は二軸性配向のような配向をまた、用いることが可能である。
【0035】
原理的には、何れかの二色性ゲストを用いることが可能である。その二色性ゲストは色素又は顔料であることが可能であり、分子スケールで分散される又は光吸収層として分散することが可能である。二色性ゲストの色は、アプリケーションの観点から選択される。代表的には、スペクトル400乃至700nmの可視領域において吸収が得られるようになっている。このことは、例えば、赤色、緑色及び青色等の着色剤の適切な組み合わせ又は黒色の二色性着色剤を用いることにより得られる。ここで、用いているように、用語“配向した”、及び
“配向”等の関連用語は、“異方的に配向した”ことを意味する。“配向した”とは、それが意味するオブジェクトが形成されている物質が、ランダムなマルチドメイン構造とは対照的に、モノドメイン(又は、好ましいパターンにしたがって配列してうる複数のものドメイン)の形にある長距離配向秩序を有することを意味する。これは、制御された好ましい様式で方向依存性のオブジェクトの光学特性のような特性を与える。
【0036】
二色性ゲストの配向は、液晶ホストにより容易化される。液晶ホストは配向され、二色性ゲストはそのホストにより配向される。
【0037】
ここで用いているように、用語“重合された液晶”とは、配向状態にある又は配向状態にもたらされる、若しくは液晶のメソフェーズからもたらされる重合体を意味する。“液晶重合体”は重合された液晶の特定の種類であり、それは重合体且つ液晶である。一般に、重合された液晶は、それ自体が液晶である必要はない。配向状態を備えているとき、その状態は液晶メソフェーズからもたらされる又はメソフェーズと相応していることを満足する。そのような化合物は、例えば、メソフェーズにある液晶を重合させることにより得ることが可能である。重合のとき、メソフェーズは動かなくされ、配向は固定される。
【0038】
ここで用いているように、用語“重合された液晶”とは、一般に、複数の異なる重合された液晶を有する組成物及び混合物のような、重合された液晶を有する何れかの組成物又は何れかの重合された液晶のことをいう。
【0039】
ゲスト4の配向は、平面一軸性配向の軸により配向された消光軸を有する偏光子を与える。
【0040】
約15及びそれ以上の二色比を有する配向重合体膜を備えるように、二色ゲスト、それ故、重合された液晶ホストは高い配向性を有する必要がある。
【0041】
ここで用いているように、用語“二色比”は、吸収における二色比を意味し、消光軸に沿った吸光度(垂直入射で測定される)と、透過軸に沿った吸光度との比として定義される。
【0042】
二色性アゾ色素は、本発明の偏光子におけるゲストとして用いるのに適切である。二色性色素の例については、米国特許第6,133,973号明細書及び国際公開第2005/045485A1号パンフレットに開示されているが、それらに限定されるものではない。
【0043】
適切な二色性ゲストとしては、次のアゾ色素を有するが、それらに限定されるものではない。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

二色性ゲストは液晶自体であることが可能であるが、非液晶二色性ゲストがまた、用いられることが可能である。
【0044】
二色性ゲストの量は、アプリケーションと、ゲストの析出前に又は好ましい高い配向性を有する相が得られる前にどれ位のゲストの量をホストが許容することが可能であるかと、に依存する。
【0045】
代表的には、その量は、約50重量%以下であり、更に、約20重量%以下であり、例えば、約10重量%以下である。
【0046】
ゲストホスト偏光子において十分に大きい二色比を得るように、液晶ホストにおいてスメクチック相を用いることが適切であることを見出した。
【0047】
また、スメクチックA相によって典型的に与えられる秩序の度合いは低過ぎ、スメクチックC相及び他の傾いたスメクチック相は、一般に、適切でないことを見出した。更に、ネマチック相はまた、好ましい二色比を与えるには低過ぎる秩序の度合いを有する。
【0048】
適切なメソフェーズは、スメクチックB及びその傾いた変形、即ち、スメクチックF及びスメクチックI相と、結晶B及びその傾いた変形、即ち、結晶G及びJ、並びに結晶E及びその傾いた変形、即ち、結晶H及びKとを有する。それらの適切なメソフェーズは、共通して、長い範囲の配向性秩序を有する。
【0049】
二色性ゲストを有する又は有しない配向した重合体膜、特に、そのような配向膜を有する偏光子は、スメクチック相S(XはA又はCでない)を有する液晶重合体を有することが可能である。そのような重合体は、線状主鎖又は側鎖重合体であり、膜の形に堆積された後に、架橋されることが可能である又は可能でない。本発明にしたがった偏光子は、そのような配向膜の特定の実施形態である。そのような肺硬膜の他のアプリケーションには、リターダ及び二焦点レンズがある。
【0050】
好適に配向した重合体膜は重合された液晶を有する膜であり、配向した液晶を重合することにより得られる。重合された液晶を構成するために本発明で用いるために適する液晶ホストは、例えば、国際公開第2005/04585A1号パンフレットに記載されている液晶ホストを含むが、それに限定されるものではない。
【0051】
例えば、次式(I)に示す重合可能液晶が、配向膜の製造において用いられることが可能であり、
U−V−W−X−Y−X′−Y′−X′′−W′−V′−U′ (I)
ここで、X、X′及びX′′は、独立して、Ph又はCycで置換される又は置換されず、ここで、Phは1,4−フェニレン単位であり、Cycはトランス−1,4シクロヘキサン単位であり、置換基は、メチル基、CN、F、Cl及びBrを有する群から選択され、
Y及びY′は、独立して、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−OCO−、−COO−、−N=N−、−C=C−、−C≡C−、−C=N−であり、
U及びU′は、独立して、重合性基であり、又はUは重合性基であり、U′=H又はU′=H及びU′は重合性基であり、U及びU′は、典型的には、
V及びV′は、独立して、スペーサであり、例えば、C1−C20−アルキル基等の従来の構造であり 1つ又はそれ以上の−O−、−S−、NH又はNH単位により任意に割り込まれ、任意に置換され、
W及びW′は、独立して、直接結合、−O、−S−、−COO−又は−OCO−である。
【0052】
配向膜の特性を調節するように、2つ又はそれ以上の重合可能液晶の混合物が、一般に、用いられ、それらの組成物の少なくとも1つ又はそれ以上は式(I)の化合物である。
【0053】
例えば、式II、III又はIVの重合可能液晶を用いることが可能である。
【化5】

【化6】

【化7】

しかしながら、本発明の一部の実施形態においては、重合した液晶膜を有する偏光子を備えることは好ましくない。そのような実施形態においてはまた、非重合性液晶ホストを用いることが可能である。
【0054】
本発明にしたがった偏光子は、基板6において備えられる自立性重合膜、重合膜又は非重合膜として備えられることが可能である。基板は、何れの基板であることが可能であり、その基板において、本発明にしたがった偏光子を備えることは適切であり、そして、典型的には、透光性の又は半透光性の異方性又は等方性重合体又は無機(例えば、側す又はセラミック)基板である。
【0055】
その基板は、任意に、配向層を有し、その配向層において、その膜が備えられ、その配向膜に対して、その膜における液晶ホストは配向される。
【0056】
本発明の偏光子は、ゲル化した増粘剤を更に有する。この増粘剤の1つの目的は、偏光子を製造する段階において、液晶ホストの平面配向を維持することである。増粘剤の他の目的は、特に、非重合性液晶ホストを有する偏光子の場合に、製造される偏光子において液晶ホストの平面配向を維持することである。
【0057】
増粘剤については、本発明にしたがった偏光子の製造についての例示としての方法についての記載において更に詳細に説明する。この例示としての方法については、図2に示している。
【0058】
本発明の偏光子の製造についての方法の例示としての実施形態においては、重合性液晶ホスト及びゲル化剤を有する液晶組成物が与えられる。
【0059】
任意に、液晶組成物は、重合を生じさせるために用いる重合開始剤と、自然重合を抑制する重合抑制剤とを有する。
【0060】
二色性重合体が、その方法により製造されるようになっている場合、液晶組成物は、二色性光吸収ゲストをまた、有利に含むことが可能である。液晶組成物は、基板における薄膜として備えられる。その薄膜は、例えば、コーティング方法又は印刷方法により従来の薄膜形成方法により形成されることが可能である。適切なコーティング方法には、スピンコーティング、ドクターブレードコーティング、スプレイコーティング、浸漬コーティング及びキャスティングがある。適切な印刷方法には、インクジェット印刷、スクリーン印刷及びオフセット印刷がある。
【0061】
必要に応じて、膜を形成するための組成物は、例えば、溶剤、接着促進剤、湿潤剤又は界面活性剤を含むことが可能である。
【0062】
その薄膜は、液晶ホストが基板において平面配向される場合には、秩序付けられたメソフェーズを形成するように、基板において配向され、即ち、液晶モノマーの長軸は、基板の垂直方向に対して垂直方向に方向付けられる。
【0063】
典型的には、配向層が、液晶を配向するように用いられる。適切な配向層は、ラビングされたポリイミド又は傾斜してスパッタリングされた酸化珪素層を有する。しかしながら、基板において平面配向した液晶ホストを備えるために光配向のような他の従来の配向方法を用いることが可能である。
【0064】
液晶ホストが基板において平面配向されるメソフェーズを備えるように、典型的には、その膜は、平面配向が得られる温度にされる。典型的には、配向層に対する(平面)配向を得るように、その膜は、液晶ホストが等方性である温度にされ(図2a)、次いで、平面配向を有する配向相の温度に冷却され、その冷却段階の間、液晶ホストは基板に対して配向する(図2b)。
【0065】
典型的には、液晶ホストは、平面配向が得られるとき、ネマチック又はスメクチックA又はC相にあり、その温度は、ゲル化剤のゲル化温度以上である。しかしながら、上記のように、このネマチック又はスメクチックA又はC相は、本発明の偏光子において用いられるように十分に高い配向性を有するものではない。好ましい高い配向性を有するスメクチックS相(XはA又はCでない)を得る一方、それらの相にかなり共通である垂直配向に向かう傾向を回避するように、増粘剤は、平面配向が尚もその膜において存在する条件下で(図2c)、その膜を凝固させるようにゲル化される。
【0066】
このことは、ゲル化剤のゲル化温度(T)以下であるが、ネマチック又はスメクチックA又はC相から好ましいスメクチックS相への遷移温度以上の温度にその膜の温度を下げることにより達成されることが可能である。
【0067】
凝固した膜におけるゲルネットワークは内部配向ソースとしての役割を果たし、垂直配向に向かう傾向が顕著に低下される。
【0068】
その場合、好ましい高い配向性のスメクチック相が得られ、平面配向を保つ。この平面配向の高い配向性の液晶状態において、液晶ホストの重合は有効である。その重合のために、個々のホストは動かなくされ、その膜における配向は固定される(図2d)。
【0069】
代替として、その膜の温度は、ゲル化剤のゲル化温度(T)以下であるが、ネマチック又はスメクチックA又はC相から好ましいスメクチックS相への遷移温度以下でもある温度にその膜の温度を下げられる。しかしながら、ネマチック又はスメクチックA又はC相から好ましいスメクチックS相への遷移は、一般に、ゲル形成の過程に比べて遅く、それ故、その温度が急激に低下する場合、好ましい高い配向性のスメクチックS相が得られる前に、ゲルが形成される。
【0070】
好ましいスメクチック相にある重合性液晶の重合は、典型的には、液晶における反応器の種類に依存し、そして用いられる開始剤の種類に任意に依存して、従来の手段により効果がもたらされる。代表的な重合の手段には、電子線及び紫外光等の活性エネルギー放射線がある。
【0071】
重合は、配向が有効に維持されるように実行される。
【0072】
本発明で用いるために適切な増粘剤は、垂直配向への非重合液晶ホストの平面配向からの遷移を妨げるように、その膜をゲル化することが可能である組成物を含む。一方、ゲル化された増粘剤は、ネマチック又はスメクチックA又はC相から好ましい高い秩序性を有するスメクチックS相(XはA又はCでない)への遷移を回避する必要はない。
【0073】
好ましくは、ゲル化を妨げる遷移が、高い秩序性を有するスメクチック相(垂直配向を有する)が入り込む前に生じる。
【0074】
好ましくは、ゲル化は、液晶ホストがスメクチックA又はC相にある、又はネマチック相にあるときに生じる必要がある。
【0075】
ここで用いているように、用語“増粘剤”及び関連する用語は、有する組成において粘度を増加させる効果を有する組成物又は組成物の組み合わせを表す。ここで用いている用語“粘度を増加させる効果”は、温度のような物理条件における変化のための液体組成物の粘度における変化が、増粘剤を用いることなくその組成物について通常、起こる場合より顕著に大きいことを表す。典型的には、増粘剤は、温度低下において、少なくとも特定の温度間隔において粘度の顕著に変化する増加をもたらす。
【0076】
例えば、特定の温度以上では、増粘剤は、液体組成物の粘度をかなりの程度までは影響しない。しかしながら、その温度以下では、その液体組成物の粘度は、顕著に増加する又は有効にゲル化させる。
【0077】
本発明においては、増粘剤の一効果は、平面配向から垂直配向への遷移が妨げられる又は回避されることである。
【0078】
増粘剤の例としては、有機ゲル化剤として一般的に既知の組成物がある。有機ゲル化剤は、長いフィブリル状凝集を生成することにより有機媒質をゲル化することができ、また三次元ネットワークを生成することができる分子である。
【0079】
ネマチック又はスメクチックA又はC相にある液晶組成物におけるように、そのようなフィブリル状凝集が異方性媒質において生成されるとき、異方性ゲルネットワークが生成されることが可能である(文献Jpn.J.Appl.Phys.2000,39,2721−2726及びLangmuir,2002,18,7086−7088を参照されたい)。
【0080】
そのような異方性ネットワークは、液晶ホストについての内部配向ソースとしての役割を果たし、それ故、垂直配向の傾向を抑制する。
【0081】
適切な有機ゲル化剤は、ネマチック又はスメクチック液晶においてゲル化されるときに、フィブリル状凝集の異方性ネットワークを生成することができる有機ゲル化剤を有する。
【0082】
典型的には、液晶組成物におけるそのゲル化剤の量は、約10重量%以下、特に約5重量%以下、例えば、約2重量%以下である。
【0083】
有機ゲル化剤の例は、文献Chem.Rev.,by Terech and Weiss,1997,97,3133−3159、Adv.Mater,by Abdallah and Weiss,2000,12,1237−1247、Macromol.Rapid Commun.,by Kato et al,2001,22,797−814及びAngewandte Chemie,Int.Edition,by Van Esch et al,2000,39,2263−2266に記載されているものを含むが、それらに限定されるものではなく、例えば、脂肪酸誘導体、ステロイド誘導体、アントリル誘導体、ステロイド及び縮合芳香族環剤含有ゲル化剤、アゾベンゼンステロイド系ゲル化剤、アミノ酸型有機ゲル化剤、有機ゲル化化合物、有機金属化合物、大環状ゲル化剤、ソルビトール及びポリオール誘導体、オクタ(デカン酸)セロビオース、n−アルカン、部分フッ素化n−アルカン、二成分系並びに環状及び線状ビスウレア化合物を有する群から好適に選択されることが可能である。
【0084】
有機ゲル化剤としての役割を果たす脂肪酸誘導体の例には、置換された脂肪酸及び一価の金属塩、例えば、12−ヒドロキシオクタデカン酸及びその関連金属塩、及び脂肪酸の二価又は三価の金属塩、例えば、ジヘキサデシルリン酸塩がある。
【0085】
有機ゲル化剤としての役割を果たすステロイド誘導体の例には、デオキシコール酸、コール酸、アポコール酸、リトコール酸及びそれらの塩がある。
【0086】
有機ゲル化剤としての役割を果たすアントリル誘導体の例には、2,3ビスn−デシルアントラセン(DDOA)がある。
有機ゲル化剤としての役割を果たすステロイド及び縮合芳香族環剤含有ゲル化剤の例には、コレステリル4−(2−アントリルオキシ)ブタノート(butanoat)(CAB)及びコレステリルアントラキノン−2−カルボン酸塩(CAQ)がある。
【0087】
アゾベンゼンステロイド系ゲル化剤の例には、ステロイドの一部のCに結合している極性アゾベンゼン基を有する化合物がある。
【0088】
アミノ酸型有機ゲル化剤の例には、2−オクチルドデシル4−[[(1−ナフチルアミノ)カルボニル]アミノ]安息香酸塩、N,N′,N′′−トリステアリルトリメサミド(trimesamid)(TSTA)、N−ベンジルオキシカルボニル−L−アラニン−4−ヘキサデカノイル−2−ニトロフェニルエステルがある。
【0089】
有機ゲル化剤としての役割を果たす有機金属化合物の例には、単環式の銅β−ジケートネート、二環式銅テトラカルボン酸がある。
大環状ゲル化剤の例には、カリックス[4−8]アレーンがある。
有機ゲル化剤としての役割を果たすソルビトール及びポリオール誘導体の例には、1,3:2,4−ジ−O−ベンジリデン−D−ソルビトール(DBS)及びその誘導体がある。
有機ゲル化剤としての役割を果たすn−アルカンの例には、n>24であるようなものがある。
【0090】
有機ゲル化剤としての役割を果たす二成分系の例には、アミノピリミジン/Ddialkylbarbituric酸系がある。
【0091】
ゲル化剤の他の特定の例については、当業者に知られている。
【0092】
典型的には、ゲル化剤は、液晶組成物の等方性からネマチック又はスメクチックA又はC相への遷移温度以下であるが、ネマチック又はスメクチックA又はCからスメクチックS(XはA又はCでない)への遷移温度以上であるゲル化温度を有するように選択される必要がある。
【0093】
当業者は、本発明はもはや、上記の好適な実施形態又は下記の例示としての実験に限定されるものではないことが理解できるであろう。それとは対照的に、同時提出の特許請求の範囲における範囲内で多くの修正及び変形が可能である。例えば、増粘剤は、膜をゲル化するようにフィブリル状凝集を構成する有機ゲル化剤でないことが可能である。増粘剤は、何れかの他の増粘剤であることが可能であり、その増粘剤は、液晶組成物の等方性からネマチック又はスメクチックA又はC相への遷移温度以下であるが、ネマチック又はスメクチックA又はCからスメクチックS(XはA又はCでない)への遷移温度以上である温度において、液晶ホストが基板に対して垂直配向しないようにする程度に非重合性膜の粘度を増加させる。
【0094】
更に、本発明の一部の実施形態においては、液晶ホストは、それ自体、二色性光吸収色素の機能を発現することが可能である、又はその機能を発現するようにそれに付着されることが可能である。そのような場合、液晶組成物においては、付加する二色性光吸収色素を必要としない。
【0095】
更に、一部の実施形態においては、ゲル化組成物において高い秩序性を有するスメクチックS相(XはA又はCでない)を得た後に備えられる偏光膜は、その膜の偏光なしに用いられることが可能であり、それ故、重合可能でない及び/又は重合されていない液晶ホストを用いることが可能である。
【0096】
本発明にしたがった偏光子は、既知の偏光子が用いられてきた何れかのアプリケーションに対して用いられることが可能である。例えば、そのような偏光子は、液晶ディスプレイ(LCD)において有利に用いられることが可能である。LCDに適用されるとき、LCDの基板は、偏光子を支持するように従来通りに用いられることが可能である。本発明の偏光子は、有利であることに、LCDの液晶セルの内側に備えられることが可能である。
【0097】
実施例1(本発明にしたがわない)
下記の反応性スメクチックメソゲンV及びVIの50対50の混合物の33重量%溶液(1%の二色性色素(NKX2029(日本感光色素研究社製))、1%の開始剤(Irgacure651(Ciba社製))、2%の界面活性剤及び0.1%の抑制剤がクロロベンゼンにおいて調製された。
【化8】

【化9】

約2μmの厚さを有する薄膜は、ラビングされたポリイミドの配向相を備えた基板にこの溶液をスピンコートすることにより得られた。
【0098】
図3は、異なる温度でスピンコートした直後に、交差する偏光子間において得られた膜の顕微鏡写真を示している。右側の顕微鏡写真は、配向層のダイレクタ及び偏光子間の45°の角度で記録された画像を示し、左側の写真は、0°の角度で記録された画像を示している。
【0099】
スピンコートの直後に、マルチドメイン膜はメソゲンの配向が所定の垂直性を有する場合に得られた。平面配向は、小さいドメインのみに存在していた(図3a)。薄膜は130℃に加熱され、その温度において、その混合物は等方性であった(図3b)。その後、その試料は冷却された。
【0100】
122℃においては、その混合物はネマチック相であった。ネマチック相におけるメソゲンの配向は平面配向であった(界面活性剤を用いているために(図3c))。
【0101】
112℃においては、その混合物はスメクチックA層にあった。その顕微鏡写真は、0°においては暗い写真であり、45°においては明るい写真であり、メソゲンの配向はこの相において尚も平面配向であることを示していた(図3d)。
【0102】
70℃においては、その混合物は高い配向性を有するスメクチック相にある。その顕微鏡写真(図3e)は0°及び45°の両方において暗く、メソゲンの垂直配向の遷移が起こったことを示していた。
【0103】
実施例2(本発明にしたがっている)
上記の反応性スメクチックメソゲンV及びVIの50対50の混合物の33重量%溶液(1%の二色性色素(NKX2029(日本感光色素研究社製))、1%の開始剤(Irgacure651(Ciba社製))、2%の界面活性剤及び0.1%の抑制剤がクロロベンゼンにおいて調製された。
この溶液においては、1重量%(固形分に対して)の12−ヒドロキシオクタデカン酸が添加された。
【0104】
薄膜は、約2μmの厚さでこの溶液からスピンコートされた。交差した偏光子間のラビングされた、それらの膜の顕微鏡写真を図4(左側は0°におけるものであり、右側は45°におけるものである)に示している。
【0105】
スピンコートの直後、その膜は透明であった。しかし、そのスピンコートされた膜においては、垂直配向及び平面配向の両方が存在していた。
【0106】
その膜が130℃に加熱され(等方性相)、次いで20℃/minで室温まで冷却される(高い配向性を有するスメクチック相)と、その膜におけるメソゲンは垂直配向を示した(図4b)。
【0107】
しかしながら、その膜が130℃に加熱され、次いで、その基板をホットプレートから金属ブロックに直接、移動させることにより室温に急冷されたとき、その顕微鏡写真は、その膜において平面配向が存在していることを示している(図4c)。
【0108】
それ故、急冷と組み合わせて反応性メソゲン混合物への低分子量の有機ゲル化剤の添加
により、反応性スメクチックメソゲンの平面配向を有する、スピンコートされたゲストホスト偏光子が得られた。
【0109】
実施例3(本発明にしたがっている)
0.6%のDBS誘導体が12−ヒドロキシオクタデカン酸の代わりにゲル化剤として用いられたことを除いて、実施例2の液晶組成物が用いられた。
【0110】
実施例2の手法にしたがったが、このゲル化剤については、その膜が130℃から20℃/minで室温まで冷却された後もまた、平面配向に維持されていた。
【0111】
この実験は、高い秩序性のスメクチック相において平面配向を得るためのこの場合には、急冷は必要ないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明にしたがった偏光子の模式図である。
【図2a】本発明にしたがった偏光子の製造のための方法の概要を示す図である。
【図2b】本発明にしたがった偏光子の製造のための方法の概要を示す図である。
【図2c】本発明にしたがった偏光子の製造のための方法の概要を示す図である。
【図2d】本発明にしたがった偏光子の製造のための方法の概要を示す図である。
【図3】図3a乃至eは実施例1についての実験結果を示す図である。
【図4】図4a乃至cは実施例2についての実験結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子の製造のための方法であって:
液晶ホスト及び増粘剤を有する液晶組成物を備える段階;
基板に前記液晶組成物の薄膜を形成する段階;
第1液晶のメソフェーズにある配向膜を得るように前記液晶ホストを配向させる段階であって、前記液晶ホストは前記基板に対して平面配向に配向される、段階;
前記配向膜を凝固させるように前記増粘剤をゲル化させる段階;及び
前記凝固された膜において第2液晶状態を得る段階;
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記液晶ホストは重合可能であり、前記方法は、前記凝固膜における前記第2液晶状態にある前記液晶ホストを重合する段階を更に有する、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、二色性光吸収ゲストは前記液晶組成物において分散されている、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法であって、前記増粘剤は、ゲル化のときに前記膜においてフィブリル状凝集を形成する、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法であって、前記増粘剤は有機ゲル化剤である、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記有機ゲル化剤は、脂肪酸誘導体、ステロイド誘導体、アントリル誘導体、ステロイド及び縮合芳香族環含有ゲル化剤、アゾベンゼンステロイド系ゲル化剤、アミノ酸型有機ゲル化剤、有機ゲル化化合物、有機金属化合物、大環状ゲル化剤、ソルビトール及びポリオール誘導体、オクタ(デカン酸)セロビオース、n−アルカン、部分フッ素化n−アルカン、それらの二成分系、環状及び線状ビスウレア化合物並びにそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを有する群から好適に選択される、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法であって、前記第1液晶状態における前記配向は、ネマチック相又はスメクチック相Sであり、又はネマチック相又はスメクチック相Sに相当し、ここで、YはA又はCである、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法であって、前記第1液晶状態は、前記増粘剤についてゲル化温度以上の温度において得られる、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法であって、前記第2液晶状態における前記配向は、スメクチック相Sであり、又はスメクチック相Sに相当し、ここで、XはA又はCでない、方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法であって、前記第1液晶状態は、前記増粘剤について前記ゲル化温度以下の温度において得られる、方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法であって、前記液晶ホストは次式(I)のような重合可能液晶を有し、
U−V−W−X−Y−X′−Y′−X′′−W′−V′−U′ (I)
ここで、X、X′及びX′′は、独立して、Ph又はCycで置換される又は置換されず、ここで、Phは1,4−フェニレン単位であり、Cycはトランス−1,4シクロヘキサン単位であり、
Y及びY′は、独立して、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−OCO−、−COO−、−N=N−、−C=C−、−C≡C−、−C=N−であり、
U及びU′は、独立して、重合性基であり、又はUは重合性基であり且つU′=Hであり、又はU=Hであり且つU′は重合性基であり、
V及びV′は、独立して、スペーサであり、そして
W及びW′は、独立して、直接結合、−O、−S−、−COO−又は−OCO−である、
方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法であって、前記二色性光吸収ゲストはアゾ色素を有する、方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法により得られる偏光子。
【請求項14】
配向された液晶ホストと、該液晶ホストにおいて分散され且つ前記液晶ホストと共に配向された二色性光吸収ゲストと、ゲル化された増粘剤と、を有する配向膜を有する偏光子。
【請求項15】
請求項14に記載の偏光子であって、前記配向された液晶ホストは平面配向にある、偏光子。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の偏光子であって、前記増粘剤は前記配向膜においてフィブリル状凝集を形成する、偏光子。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れか一項に記載の偏光子であって、前記増粘剤は有機ゲル化剤である、偏光子。
【請求項18】
請求項17に記載の偏光子であって、前記有機ゲル化剤は、脂肪酸誘導体、ステロイド誘導体、アントリル誘導体、ステロイド及び縮合芳香族環含有ゲル化剤、アゾベンゼンステロイド系ゲル化剤、アミノ酸型有機ゲル化剤、有機ゲル化化合物、有機金属化合物、大環状ゲル化剤、ソルビトール及びポリオール誘導体、オクタ(デカン酸)セロビオース、n−アルカン、部分フッ素化n−アルカン、それらの二成分系、環状及び線状ビスウレア化合物並びにそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを有する群から好適に選択される、偏光子。
【請求項19】
請求項14乃至18の何れか一項に記載の偏光子であって、前記配向された液晶ホストの配向は、スメクチック相Sであり、又はスメクチック相Sに相当し、ここで、XはA又はCでない、偏光子。
【請求項20】
請求項14乃至19の何れか一項に記載の偏光子であって、前記配向された液晶ホストの配向は重合された液晶ホストである、偏光子。
【請求項21】
請求項20に記載の偏光子であって、前記重合された液晶ホストは次式(I)のような重合可能液晶を有し、
U−V−W−X−Y−X′−Y′−X′′−W′−V′−U′ (I)
ここで、X、X′及びX′′は、独立して、Ph又はCycで置換される又は置換されず、ここで、Phは1,4−フェニレン単位であり、Cycはトランス−1,4シクロヘキサン単位であり、
Y及びY′は、独立して、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−OCO−、−COO−、−N=N−、−C=C−、−C≡C−、−C=N−であり、
U及びU′は、独立して、重合性基であり、又はUは重合性基であり且つU′=Hであり、又はU=Hであり且つU′は重合性基であり、
V及びV′は、独立して、スペーサであり、そして
W及びW′は、独立して、直接結合、−O、−S−、−COO−又は−OCO−である、
偏光子。
【請求項22】
請求項14乃至21の何れか一項に記載の方法であって、前記二色性光吸収ゲストはアゾ色素を有する、偏光子。
【請求項23】
偏光子の製造で用いる組成物であって、液晶ホストと、二色性光吸収ゲストと、増粘剤と、を有する、組成物。
【請求項24】
請求項23に記載の組成物であって。前記増粘剤は、ゲル化において前記組成物においてフィブリル状凝集を形成する、組成物。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の組成物であって。前記増粘剤は有機ゲル化剤である、組成物。
【請求項26】
請求項25に記載の組成物であって、前記有機ゲル化剤は、脂肪酸誘導体、ステロイド誘導体、アントリル誘導体、ステロイド及び縮合芳香族環含有ゲル化剤、アゾベンゼンステロイド系ゲル化剤、アミノ酸型有機ゲル化剤、有機ゲル化化合物、有機金属化合物、大環状ゲル化剤、ソルビトール及びポリオール誘導体、オクタ(デカン酸)セロビオース、n−アルカン、部分フッ素化n−アルカン、それらの二成分系、環状及び線状ビスウレア化合物並びにそれらの2つ又はそれ以上の組み合わせを有する群から好適に選択される、組成物。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の組成物であって、前記有機ゲル化剤の前記ゲル化温度は、等方性相から第1液晶相への前記液晶組成物の相遷移温度以下であり、第1液晶相から第2液晶相への前記液晶組成物の前記遷移温度以上であり、前記第1液晶相はネマチック又はスメクチックSであり、前記第2液晶相はSであり、YはA又はCであり、XはA又はCでない、組成物。
【請求項28】
請求項23乃至27の何れか一項に記載の組成物であって、前記液晶ホストは重合可能液晶ホストである、組成物。
【請求項29】
請求項23乃至28の何れか一項に記載の組成物であって、前記液晶ホストは次式(I)のような重合可能液晶を有し、
U−V−W−X−Y−X′−Y′−X′′−W′−V′−U′ (I)
ここで、X、X′及びX′′は、独立して、Ph又はCycで置換される又は置換されず、ここで、Phは1,4−フェニレン単位であり、Cycはトランス−1,4シクロヘキサン単位であり、
Y及びY′は、独立して、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−OCO−、−COO−、−N=N−、−C=C−、−C≡C−、−C=N−であり、
U及びU′は、独立して、重合性基であり、又はUは重合性基であり且つU′=Hであり、又はU=Hであり且つU′は重合性基であり、
V及びV′は、独立して、スペーサであり、そして
W及びW′は、独立して、直接結合、−O、−S−、−COO−又は−OCO−である、
組成物。
【請求項30】
請求項23乃至29の何れか一項に記載の組成物であって、前記二色性光吸収ゲストはアゾ色素を有する、組成物。
【請求項31】
請求項13乃至22の何れか一項に記載の偏光子を有する液晶ディスプレイ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2008−547062(P2008−547062A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519047(P2008−519047)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052061
【国際公開番号】WO2007/000705
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】