説明

二酸化ケイ素を含有するゴム混合物の製造方法

他の構成物質とともに、密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)が185〜700g/lであるクラストの形態の熱分解法二酸化ケイ素を使用することにより、ゴム混合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混合物の製造方法に関する。
【0002】
ゴム混合物は、広く使用されている。最もよく知られた方法として、タイヤの製造にゴム混合物を使用する。これらのタイヤゴム混合物は、種々のゴム構成要素とともに、補強充填剤、例えば、カーボンブラックおよび/または非晶質二酸化ケイ素を含む。
【0003】
使用される非晶質二酸化ケイ素は、おもに沈降シリカを含む。これとともに、熱分解法二酸化ケイ素も使用される。
【0004】
例として、米国特許第6455613B1号は、タイヤゴム混合物における、熱分解法二酸化ケイ素の使用を開示する。この熱分解法二酸化ケイ素の嵩密度は、40〜60g/lである(流動密度、ASTM D1513)。
【0005】
ゴム混合物において、シラン結合剤と合わせた熱分解法二酸化ケイ素の使用は、公知である(米国特許第5430087号および米国特許第5294253号)。
【0006】
公知の方法の不利な点は、熱分解法二酸化ケイ素を粉体形態で使用し、それゆえ、塵埃汚染を考慮しなければならないことである。嵩密度が小さく、さらに、粉体状の、熱分解法二酸化ケイ素の添加に複数のステップを必要とするため、その結果、混合時間が増加する。嵩密度を増加し、塵埃汚染を減少させる公知の方法は、分散性が低下する恐れがある。他の嵩密度の増加を含む方法は、同時に塵埃汚染を回避することができない。
【0007】
本発明の目的は、これらの不利な点が生じないゴム混合物の製造方法を開発することである。
【0008】
本発明は、他の構成物質とともに、熱分解法二酸化ケイ素を混合することによるゴム混合物の製造方法であって、熱分解法二酸化ケイ素を、密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)が185〜700g/lであるクラストの形態で使用することを特徴とする方法を提供する。
【0009】
密充填嵩密度は、191〜700g/l、好ましくは200〜700g/lであってよい。
【0010】
本発明の特に好ましい一実施形態において、クラストの密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)は、200〜450g/lであってよい。
【0011】
本発明において、クラストを得るために圧縮された親水性の、熱分解法二酸化ケイ素の密充填嵩密度は、好ましくは191〜700、特に200〜700およびさらに200〜450g/lであってよい。
【0012】
クラストを得るために圧縮された疎水性の、熱分解法二酸化ケイ素の密充填嵩密度は、210〜700g/l、好ましくは210〜700g/l、特に好ましくは210〜450g/lであってよい。
【0013】
クラストは、いくらか帯状の中間体生成物に使用される語句であり、これは、ロール圧縮中の出発材料への圧力により生成される。第2ステップで、これらを粉体状にする。
【0014】
クラストの特性は、方法の変数、例えば、提供される方法制御装置、圧縮力、2つのロール間の隙間の広さおよび圧縮ロールの回転速度の適当な変更により調節される圧力残留時間により影響される。
【0015】
圧縮は、結合剤を添加することなく機械的手段により嵩密度の増加を実現することを意味する。本発明の特定の一実施形態において、クラストは、明確に定義された形状を有し、本明細書において、サイズ分布は、ふるい分けにより調節することができる。
【0016】
本発明で使用されるクラストを得るために圧縮された熱分解法二酸化ケイ素は、移動中、非常に安定している。
【0017】
本発明において使用され、密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)が185〜700g/lである熱分解法二酸化ケイ素からなるクラストの生成において、熱分解法二酸化ケイ素は、予備脱気およびそれぞれ予備的に嵩密度を増加させ、圧縮してクラストを得、クラストを粉砕し、適宜、分類する。
【0018】
図1は、プロセス図である。
【0019】
図1において、熱分解法二酸化ケイ素は、予備的に嵩密度を増加させ、または「予備脱気」ステップの公知の方法および装置により脱気させる。使用される熱分解法二酸化ケイ素が嵩密度を増加させず、おそらく新しく製造されている場合、このステップは必要である。
【0020】
使用される熱分解法二酸化ケイ素が、これまでに予備的に嵩密度を増加させていた場合、この予備脱気ステップを省略することができる。
【0021】
「圧縮」ステップにおいて、予備脱気されている熱分解法二酸化ケイ素は、所望の密充填嵩密度に嵩密度を増加(圧縮)させる。
【0022】
圧縮後、クラストを粉砕する。次いで、適宜、分類またはふるい分けを実施することができる。
ふるい分け中に生成される微細粒を予備脱気ステップに戻すことができる。
【0023】
予備脱気の出発材料は、嵩密度を増加させていない、または予備的に嵩密度を増加させている二酸化ケイ素を含むことができる。
【0024】
予備脱気プロセスは、圧縮プロセスに移動前または移動中に実施することができる。
【0025】
圧縮プロセスに移動前に、真空を利用し、焼結材料、例えば焼結金属からなるパイプにより、予備脱気プロセスを実施することができる。
【0026】
さらに、予備脱気プロセスは、移動スクリュー内で実施することができ、本明細書の移動スクリューは、真空を利用するパイプを包含する装置の下流にあってよい。
【0027】
本発明の別の実施形態において、移動スクリューを予備脱気プロセスの単独装置として使用することができる。
【0028】
さらに、真空を利用するパイプ内に配置された移動スクリューにより、予備脱気プロセスを実施することができる。真空を利用するパイプは、焼結材料、例えば焼結金属からなりうる。
【0029】
装置が予備脱気パイプ、例えば、真空を利用するパイプおよび下流移動スクリューからなる場合、嵩密度を増加させてない二酸化ケイ素を使用する場合、予備脱気プロセスをパイプ内で実施することができる。
【0030】
予備的に嵩密度を増加させている二酸化ケイ素を使用する場合、同様に予備脱気プロセスをパイプ内で実施することができる。また、この予備脱気ステップを省略することも可能である。
【0031】
移動スクリューのみを予備脱気プロセスで使用する場合、予備的に嵩密度を増加させている二酸化ケイ素を使用する必要がある。
【0032】
予備脱気プロセスが、真空を利用するパイプ内に移動スクリューを有する装置を使用する場合、嵩密度を増加させていない二酸化ケイ素または予備的に嵩密度を増加させている二酸化ケイ素のどちらかを使用することが可能である。
【0033】
さらに、フィルター媒体、例えば、布または焼結材料、例えば、焼結金属、焼結プラスチック、焼結セラミック、多孔質ガラスでの濾過により、熱分解法二酸化ケイ素の予備脱気を行い、例えばコンベヤースクリューまたはゴムへらにより、連続的なフィルターケーキを除去することができる。一実施形態において、焼結金属パイプを計測スクリューとともに使用することができる。
【0034】
さらに、予備脱気を沈降法により行うことができ、この場合、固体架橋の粉砕を、振動または音波をさらに使用することにより、またはゆっくり撹拌することにより促進する。
【0035】
使用される出発材料は、親水性の熱分解法二酸化ケイ素または疎水性の熱分解法二酸化ケイ素であってよい。
【0036】
表面修飾により、疎水性の熱分解法二酸化ケイ素を製造することができる。
【0037】
以下の群由来の1つまたは複数の化合物を表面修飾プロセスに使用することができる:
a)(RO)3Si(Cn2n+1)および(RO)3Si(Cn2n-1)型の有機シラン
R=アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル
n=1〜20
b)R´x(RO)ySi(Cn2n+1)およびR´x(RO)ySi(Cn2n-1)型の有機シラン
R=アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル
R´=アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル
R´=シクロアルキル
n=1〜20
x+y=3
x=1,2
y=1,2
c)X3Si(Cn2n+1)およびX3Si(Cn2n-1)型のハロ有機シラン
X=Cl、Br
n=1〜20
d)X2(R´)Si(Cn2n+1)およびX2(R´)Si(Cn2n-1)型のハロ有機シラン
X=Cl、Br
R´=アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル
R´=シクロアルキル
n=1〜20
e)X(R´)2Si(Cn2n+1)およびX(R´)2Si(Cn2n-1)型のハロ有機シラン
X=Cl、Br
R´=アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル
R´=シクロアルキル
n=1〜20
f)(RO)3Si(CH2m−R´型の有機シラン
R=アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル
m=0、1〜20
R´=メチル、アリール(例えば、−C65、置換フェニル基)
−C49、OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si−(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、式中、X=1〜10およびRは、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルであってよく、
−SH
−NR´R´´R´´´(R´=アルキル、アリール、R´´=H、アルキル、アリール、R´´´=H、アルキル、アリール、ベンジル、C24NR´´´´R´´´´´、式中、R´´´´=A、アルキルおよびR´´´´´=H、アルキル)
g)(R´´)x(RO)ySi(CH2m−R´型の有機シラン
R´´=アルキル x+y=2
=シクロアルキル x=1,2 y=1,2 m=0、1〜20
R´=メチル、アリール(例えば、−C65、置換フェニル基)
−C49、−OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si−(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、式中、X=1〜10およびRは、メチル、エチル、プロピル、ブチルであってよく、
−SH−NR´R´´R´´´(R´=アルキル、アリール、R´´=H、アルキル、アリール、R´´´=H、アルキル、アリール、ベンジル、C24NR´´´´R´´´´´、式中、R´´´´=A、アルキルおよびR´´´´´=H、アルキル)
h)X3Si(CH2m−R´型のハロ有機シラン
X=Cl、Br
m=0、1〜20
R´=メチル、アリール(例えば、−C65、置換フェニル基)
−C49、OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2
−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si−(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、式中、X=1〜10およびRは、メチル、エチル、プロピル、ブチルであってよく、
−SH
i)(R)X2Si(CH2m−R´型のハロ有機シラン
X=Cl、Br
R=アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル
m=0、1〜20
R´=メチル、アリール(例えば、−C65、置換フェニル基)
−C49、OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si−(OR)3
式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、−Sx−(CH23Si(OR)3であってよく、式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびXは、1〜10であってよく、
−SH
j)(R)2XSi(CH2m−R´型のハロ有機シラン
X=Cl、Br
R=アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル
m=0、1〜20
R´=メチル、アリール(例えば、−C65、置換フェニル基)
−C49、OCF2−CHF−CF3、−C613、−O−CF2−CHF2
−NH2、−N3、−SCN、−CH=CH2、−NH−CH2−CH2−NH2
−N−(CH2−CH2−NH22
−OOC(CH3)C=CH2
−OCH2−CH(O)CH2
−NH−CO−N−CO−(CH25
−NH−COO−CH3、−NH−COO−CH2−CH3、−NH−(CH23Si−(OR)3
−Sx−(CH23Si(OR)3、式中、X=1〜10およびRは、メチル、エチル、プロピル、ブチルであってよく、
−SH
k)
【化1】

型のシラザン
R=アルキル
R´=アルキル、ビニル
l)D3、D4、D5型の環式ポリシロキサン、この場合、D3、D4およびD5は、−O−Si(CH32−型の3、4または5単位を有する環式ポリシロキサンである。
例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン=D4
【化2】

m)以下の型のポリシロキサンまたはシリコーン油
【化3】

m=0、1、2、3、・・・∞
n=0、1、2、3、・・・∞
u=0、1、2、3、・・・∞
Y=CH3、H、Cn2n+1 n=1〜20
Y=Si(CH33、Si(CH32
Si(CH32OH、Si(CH32(OCH3
Si(CH32(Cn2n+1) n=1−20
R=アルキル、例えば、Cn2n+1、式中n=1〜20、アリール
例えば、
フェニルおよび置換フェニル基、(CH2n−NH2、H
R´=アルキル、例えば、Cn2n+1、式中n=1〜20、アリール
例えば、
フェニルおよび置換フェニル基、(CH2n−NH2、H
R´´=アルキル、例えば、Cn2n+1、式中n=1〜20、アリール
例えば、
フェニルおよび置換フェニル基、(CH2n−NH2、H
R´´´=アルキル、例えば、Cn2n+1、式中n=1〜20、アリール
例えば、
フェニルおよび置換フェニル基、(CH2n−NH2、H。
【0038】
一実施形態において、使用される出発材料は、予備的に嵩密度を増加させる熱分解法二酸化ケイ素を含むことができる。
【0039】
使用される熱分解法二酸化ケイ素が嵩密度を増加させない場合、その密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)は、50g/l以下、好ましくは20〜30g/lであってよい。予備的に嵩密度を増加させる、使用される熱分解法二酸化ケイ素は、50〜190g/l、好ましくは100〜150g/lの密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)を有することができ、本明細書の予備的に嵩密度を増加させる疎水性の熱分解法二酸化ケイ素の密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)は、90〜120g/lであってよい。
嵩密度を増加させない状態において、使用される疎水性の二酸化ケイ素は、50g/l以下、好ましくは20〜30g/lの密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)を有することができる。
【0040】
予備的に嵩密度を増加させる状態において、親水性の二酸化ケイ素は、50〜190g/l、好ましくは100〜150g/lの密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)を有することができる。
【0041】
予備的に嵩密度を増加させる状態において、疎水性の二酸化ケイ素は、密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)50〜190g/l、好ましくは90〜120g/lを有することができる。
【0042】
使用される熱分解法二酸化ケイ素の主要な粒子径は、5〜50nmであってよく、そのBET表面積は、40〜400m2/g、好ましくは100〜250m2/gであってよい。
【0043】
使用される熱分解法二酸化ケイ素の水分量は、1質量%以下であってよい。
【0044】
熱分解法二酸化ケイ素は、公知の方法および装置により、予備的に嵩密度を増加させることができる。例えば、米国特許第4325686号、米国特許第4877595号、米国特許第3838785号、米国特許第3742566号、米国特許第3762851号、米国特許第3860682号における装置を使用することができる。
【0045】
さらに、欧州特許第0280851B1号または米国特許第4877595号における圧力帯フィルターにより、予備的に嵩密度を増加させる熱分解法二酸化ケイ素を使用することが可能である。
【0046】
例えば、熱分解法二酸化ケイ素の圧縮プロセスへの移動は、スクリューにより行うことができる。
【0047】
この移動は、熱分解法二酸化ケイ素を圧縮ロールのニップに強制的に挟ませることからなる。コンベヤースクリューを使用しない場合、予備的に嵩密度を増加させている熱分解法二酸化ケイ素を使用する必要がある。
【0048】
コンベヤースクリューを使用する場合、熱分解法二酸化ケイ素は、予備的に嵩密度を増加させることができず、それは、ここで予備脱気が生じるためである。
【0049】
クラストの嵩密度を高めるために、コンベヤースクリューおよび予備的に嵩密度を増加させる熱分解法二酸化ケイ素を使用することが可能である。
【0050】
使用されるコンベヤースクリューは、体積を減らし、またはピッチを増加し、あるいは径を小さくしたスクリューを含むことができる。
【0051】
コンベヤースクリューの周りは、真空を利用するパイプであってよい。このパイプは、焼結ジャケットからなりうる。本明細書において、二酸化ケイ素の予備脱気は、ニップに移動するのと同時に、移動スクリュー内で生じる。
【0052】
クラストを得るための圧縮は、2つのロールにより生じることができ、そのうち1つは、または2つ同時に脱気機能を有することができる。
【0053】
2つの圧縮ロールを使用することが好ましく、これは、平滑であってよい。また、これらは、輪部曲線を有することができる。輪部曲線は、1つの圧縮ロールのみまたは両方の圧縮ロールのどちらかに存在することができる。
【0054】
輪部曲線は、軸に平行な溝からなりうる。別法として、それは、いくつかの所望の様式で配置された、いくつか所望の形状の陥凹(窪み)からなりうる。
【0055】
本発明の別の実施形態において、ロールの少なくとも1つは、真空ロールであってよい。本実施形態において、ロールは、焼結金属で被覆していてよい。
【0056】
脱気機能を引き起こすために、ロールは、焼結金属から生成されていてよく、またはフィルター媒体、例えば布で被覆することができる。
【0057】
ロールにより、熱分解法二酸化ケイ素の脱気が可能である場合、それは、コンベヤースクリュー内またはフィードパイプ内で生じることができる追加の予備脱気を省略することが可能である。
【0058】
ロールを予備脱気に使用する場合、ロールは、平滑なまたは輪部曲線の表面を有することができ、この表面は、生成物の除去を改善するために、ほんのわずか溝を作ってよい。
【0059】
均質な密度のクラストを得るために、圧縮プロセスでは、熱分解法二酸化ケイ素の圧縮が均一なことを確かめるべきである。
【0060】
図2に示される装置を使用して圧縮プロセスを実施することができる。
【0061】
図2において、熱分解法二酸化ケイ素をスクリュー1により2つのロール3の間のチャンバー2に入れ、2つのロールの間で圧縮し、クラストを得る。
【0062】
さらにプロセスを独国特許出願第1807714B号に記載される装置を使用することにより実施することができる。
【0063】
塵を避けるために、圧縮プロセスにおいて、平滑なロールを使用することが好ましい。さらに脱気を生じることができる方法により、焼結材料、例えば焼結金属または焼結セラミックからなる1つまたは2つのロールを使用することが可能である。
【0064】
圧縮プロセス後、クラストを粉砕する。ふるい型造粒機(Sieving granulator)をこのために使用することができ、そのふるいの網目の広さが粒径を規定する。網目の広さは、250μm〜20mmであってよい。
【0065】
クラストを粉砕するために、さらに、一定の隙間または歯付きロールのついた2つの反回転ロールを有する装置を使用することが可能である。
【0066】
粉砕されたクラストは、篩機、ふるいまたは分類器により分類することができる。それにより、微細粒(200μm以下の粒子)を除去することができる。
【0067】
使用することができる篩機は、直交流型篩機、向流バッフル型篩機等である。
【0068】
分類器として、サイクロンを使用することができる。
【0069】
分類中に除去した微細粒(200μm以下の粒子)をプロセスに戻すことができる。
【0070】
密充填嵩密度の決定
密充填嵩密度をDIN EN ISO 787−11により測定した。測定前に、大きな凝集体を粉砕し、再現可能な寸法を得るために検体を5mmのふるいにかけた。
【0071】
塵埃量の決定
塵埃量をDIN 55992−2により決定する。
【0072】
大きな凝集体を粉砕し、再現可能な寸法を得るために、測定前に欧州特許第0280851A1号における装置による嵩密度を増加させる比較の熱分解法シリカ生成物および本発明のクラストを5mmのふるいにかけた。
【0073】
図3は、塵埃量決定のための試験器具の図を示す。
【0074】
塵埃量を決定するため、計量(3g)の本発明のクラストまたは欧州特許第0280851A1号における比較の生成物を、垂直パイプの上端部のフィード装置に入れる。試験開始前、これは、折り蓋により下方に密閉されている。垂直パイプの末端を密閉している。試験開始時に、検体が垂直パイプに落下することができるように、この折り蓋を一定の期間開く。検体は、落下中および垂直パイプの底地の衝撃で塵埃を空気に分散する。落下中の空気の乱流は、パイプ内の塵埃を均一に分散する。次いで、懸濁していた材料の沈降が始まる。光度計センサーにより、垂直パイプの下端部の懸濁材料により生じた消光を測定する。PCにより、沈降曲線を時間の関数の消光として示す。消光は、相対的な粒子濃度を測定する。
【0075】
時間の関数の消光曲線から、累積塵埃数を決定することが可能である。累積塵埃数を以下のように、開始時間taから30秒後の試験終了までを測定した沈降曲線から決定する:
【数1】

【0076】
これらの累積塵埃数は、遊離した塵埃量を示す。また、16秒〜30秒の累積塵埃数を「塵埃数」と称する。それは、微細塵埃の情報を含有し、または微細塵埃量を測定する。
【0077】
1秒〜30秒の累積塵埃数は、粗い塵埃および微細塵埃からなる塵埃の合計量を示す。
【0078】
これら2つの値において、本発明のクラストの熱分解法シリカは、欧州特許第0280851A1号における装置による嵩密度を増加させる熱分解法シリカと異なる。
【0079】
実施例
欧州特許第0280851A1号における装置の嵩密度を増加させる熱分解法シリカと本発明のクラストの熱分解法シリカの塵埃性能の比較。両検体のBET表面積は、150m2/gである。
【0080】
図7は、上記2つの検体の塵埃量の決定中の時間の関数の消光または相対的塵埃濃度の曲線を示す。この曲線は、本発明の圧縮物が実質的に急速に沈積し、16秒後、懸濁液に残る微細塵埃は、欧州特許第0280851A1号における嵩密度を増加させる熱分解法シリカのものに比べ少なかったことを示す。全試験期間にわたり、本発明のクラストは、欧州特許第0280851A1号における嵩密度を増加させる熱分解法シリカに比べ、実質的に塵埃の遊離が少ない。図7において、本発明のクラストの消光は、顕著に低い値であると推測する。
【0081】
第1表:塵埃合計量と微細塵埃量の比較(塵埃数=1秒〜30秒および16秒〜30秒の累積塵埃数)
【表1】

*2つの実験生成物の塵埃数の統計的な独立性は、T検定により実証した。各検体から12回の反復試験を実施した。
【0082】
上記測定の塵埃量の累積塵埃数は、互いに顕著に異なる。第1に、I(1秒)値207である、欧州特許第0280851A1号における嵩密度を増加させる熱分解法シリカは、I(1秒)値113である本発明のクラストに比べ、顕著に粗く微細な塵埃を発生する。さらに、クラストは、微細塵埃数(I(16秒))40を有し、この場合、欧州特許第0280851A1号における装置による嵩密度を増加させる熱分解法シリカは、実質的に高い塵埃数:62を有する。欧州特許第0280851A1号における嵩密度の増加と比較した場合、クラストを得るための本発明の圧縮プロセスは、塵埃合計量だけでなく、微細塵埃量も顕著に減少することができることを意味する。
【0083】
図4は、クラストを得るために圧縮された熱分解法二酸化ケイ素の微細塵埃量と公知の方法で嵩密度を増加させる熱分解法シリカの微細塵埃量を比較する。
【0084】
クラストを生成するためのプロセスで使用される出発材料は、欧州特許第0280851B1号における圧力帯フィルターにより嵩密度を増加させる熱分解法二酸化ケイ素を含む。
【0085】
図4は、遊離粉体の粒子径分布および平均粒子径ならびに遊離クラストのそれぞれの測定を示す。本明細書において、本発明において使用され、熱分解法二酸化ケイ素からなるクラストは、顕著にさらに沈降し、欧州特許第0725037A1号における顆粒状材料に比べ顕著に塵埃の発生が少ないことが明らかである。
【0086】
さらに、図4は、微細または懸濁塵埃量の測定を示す。本明細書において、懸濁塵埃量を、本発明において使用されるクラストにおいて大幅に減少することができることが明らかである。欧州特許第0725037A1号における顆粒状材料の場合、大部分が非常に長い時間懸濁したままである。
【0087】
図5は、欧州特許第0725037A1号および本発明における顆粒状材料の累積分布(第3四分位点分布)を示す。
【0088】
レーザー回折分光法において、X<250μmの、本発明において使用されるクラストは、欧州特許第0725037A1号における顆粒状材料と同じ平均粒子径を有する。両方の場合、それは、〜35μmである。
【0089】
しかし、本発明において使用されるクラストは、顕著に塵埃の発生が少ない。
【0090】
クラストの小片を、網目の広さが500μmのふるいを使用して顆粒をふるい分けし、続いて250μmでふるい分けすることにより製造した。小片x<250μmは、ふるい分けプロセスの微細生成物であった。粒子径が250〜500μmである小片は、粗い生成物であった。
【0091】
図6は、クラストを得るために圧縮し、本発明において使用された熱分解法二酸化ケイ素の粉砕およびふるい分け後の顆粒形態を示す。それは、角ばった形状を有する。
【0092】
独国特許第19601415号における顆粒状材料は、球状の形状を有する。
【0093】
本発明の好ましい一実施形態において、得られたクラストの密充填嵩密度(DIN EN ISO787−11)は、210〜450g/lである。次いで、これらのクラストは、続くステップで再度分裂しないために必要な強度を有する。しかし、これらを再度、容易に分散することができる。
【0094】
さらに、得られたクラストは、多孔性である。
【0095】
有利なことに、本発明において使用されるクラストは、ふるい分けまたは分類しない場合でも、粉砕後に低塵埃量を有する。
【0096】
本発明において使用されるクラストの凝集体の硬度は、ERWEKA30で測定した場合、50N以下である。
【0097】
クラストを得るために圧縮された熱分解法二酸化ケイ素は、ふるい分け後、200μm径以下の微細量を含まなかった。
【0098】
クラストを得るために圧縮され、本発明において使用される熱分解法二酸化ケイ素は、塵埃濃度が低く、これは、全ての用途において有利である。それは、遊離することなく、かつ塵埃汚染することなく、混合物に組み込むことができる。
【0099】
熱分解法二酸化ケイ素は圧縮されているが、本発明のクラストは、ゴム混合物において十分な再分散性を有する。しかし、シリコーンゴムの再分散性は、十分でない。
【0100】
本発明における、クラストを得るために圧縮された熱分解法二酸化ケイ素は、結合剤を含まない。
【0101】
特に、空気タイヤおよび技術ゴム製品の製造において使用されるゴム混合物型で充填剤を補強する場合のシリカの使用は、厳しい必要条件が課せられる。材料は、軽量であり、十分にゴム内に組み込みかつ分散することができ、結合試薬、好ましくは、二官能性有機ケイ素化合物と合わせて、ゴムと化学反応することができ、これは、ゴム混合物の所望の高濃度の補強につながることを意図する。補強特性は、特に、高い静的応力値および低い摩耗値に関連することができる。シリカの補強特性に決定的に重要な特定の因子は、粒径、それらの表面および形態、表面活性およびさらに結合試薬の結合能力である。
【0102】
当業者に公知の別の因子は、低分子量化合物、例えば、二官能性有機ケイ素化合物および加硫促進剤が微孔性シリカの孔の物理的および化学的吸着プロセスに関与することができ、その結果、ゴムの架橋のためのゴム結合剤または加硫促進剤としてのそれらの機能を発揮するごく限られた残存能力を生じることである。
【0103】
当業者に公知の別の因子は、例えば、S.Wolff"Chemical Aspects of Rubber Reinforcement by Fillers",Rubber Chem.Technol.69,325(1996)により公知の結合剤、通常、二官能性有機ケイ素化合物が、ゴムに関する活性を有する表面修飾の均質性および定量性を最大にすることを意図することである。修飾は、バルクシリカのプレコートにより、または溶液/懸濁液(ex−situ)(U.Goerl,R.Panenka,"Silanisierte Kieselsaeuren−Eine neue Produktklasse fuer zeitgemaesse Mischungsentwicklung",Kautsch.Gummi Kunstst.46,538(1993))[Silanized silicas−a new class of product for contemporary mixture development]あるいは混合プロセス中(in−situ)(H.−D.Luginsland,"Processing of silica/silane−filled tread compounds",paper No.34 2000年4月4〜6日、米国/テキサス州ダラス、ACS学会で提起)で行うことができ、in−situ修飾は、好ましく、さらに従来使用されている方法である。
【0104】
本発明において使用されるシリカは、場合により、直鎖、環式および/または分岐鎖シラン、シラザン、シロキサン化合物および/または有機ケイ素化合物で修飾することができる。置換基は、例えば−SCN、−SH、−Cl、−NH2、−OC(O)CH=CH2、−OC(O)C(CH3)=CH2、−S、−S2、−S3、−S4、脂肪族、オレフィン、芳香族、アリール芳香族、有無に関わらず、ヒドロキシ、アミノ、アルコキシ、シラノール、シアン化物、チオシアン化物、ハロゲン、スルホン酸、スルホン酸エステル、チオール、安息香酸、安息香酸エステル、カルボン酸、カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸および/または有機シラン基からなりうる。
【0105】
二官能性シランを使用することが好ましく、これらは、はじめにシラノール基含有充填剤に結合し、次に、重合体に結合することが可能である。これらの有機ケイ素化合物の例として:
ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランがある。使用することができる他の有機ケイ素化合物は、国際公開第99/09036号、独国特許第10163945号、独国特許第10223658号に記載される。上記の特許明細書の内容が本出願の内容に参考として援用される。本発明の好ましい一実施形態において、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルファンまたはビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルファンをシランとして使用することができる。
【0106】
「部」という語句は、以降、質量による割合において使用する。
【0107】
上記の1つまたは複数の化合物を用いたクラスト形態の二酸化ケイ素の修飾は、析出されるシリカ100部に対して、0.5〜50部、特に、二酸化ケイ素100部に対して1〜15部およびさらに特に1〜10部で混合物中で行うことができ、この場合、二酸化ケイ素と上記の化合物との間の反応をゴム混合物の製造中(in situ)または外部から噴霧添布により実施することができ、次いで、1つまたは複数の上記の化合物でプレコートされた二酸化ケイ素を調整する。
【0108】
修飾シリカの炭素量は、合計0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%および特に好ましくは0.5〜5質量%になってよい。
【0109】
本発明において、クラストを得るために圧縮された二酸化ケイ素を、エラストマー混合物、タイヤ等の加硫物に使用することができ、これらには、空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、運転ベルト、コンベヤーベルト、Vベルト、ロールカバー、靴底、ガスケットおよび減衰要素がある。
【0110】
本発明において、修飾または修飾しないかのどちらかでゴム100部に対して5〜200部量の補強充填剤の形態で、エラストマー混合物、タイヤまたは加硫可能なゴム混合物に混合することにより、クラストを得るために圧縮された二酸化ケイ素を組み込むことができる。
【0111】
本発明の目的において、ゴム混合物およびエラストマー混合物を等価物と考える。
【0112】
上記の有機の後処理の有無に関わらず、充填剤のみが存在する場合の混合物が、クラストを得るために圧縮され、本発明において使用される二酸化ケイ素であるとともに、エラストマー混合物またはゴム混合物もまた、相対的に高いまたは相対的に低い補強能力の1つまたは複数の充填剤で充填していてよい。
【0113】
以下の材料を追加の充填剤として使用することができる:
カーボンブラック:本明細書において使用されるカーボンブラックは、フレームブラックプロセス、ファーネスブラックプロセスまたはガスブラックプロセスにより製造されており、BET表面積20〜200m2/gを有し、例えば、SAF、ISAF、HSAF、HAF、FEFまたはGPFカーボンブラックである。また、カーボンブラックは、適宜、ヘテロ原子、例えばケイ素を含有することができる。
【0114】
例えば、ハロゲン化ケイ素の火炎加水分解により製造される微細粒熱分解法シリカは、他の金属酸化物、例えば、Al、Mg、Ca、Ba、Znおよび酸化チタンで混合酸化物の形態で存在することができる。
【0115】
さらに、BET表面積20〜400m2/gを用いた析出プロセスで製造された市販のシリカ。
【0116】
BET表面積20〜400m2/gおよび主要な粒径10〜400nmの合成ケイ酸塩、例えば、ケイ酸アルミニウム、アルカリ土類金属ケイ酸塩、例えば、ケイ酸マグネシウムまたはケイ酸カルシウム。
【0117】
合成または天然酸化アルミニウムおよび当該水酸化物。
【0118】
天然ケイ酸塩、例えば、カオリンおよび他の天然二酸化ケイ素化合物。
【0119】
ガラス繊維およびガラス繊維生成物(マット、ストランド)またはガラスマイクロビーズ。
【0120】
デンプンおよび修飾型デンプン。
【0121】
天然充填剤、例えば、ケイ質チョーク。
【0122】
本明細書において、最終ゴム混合物を得るための混和比は、ここでも輪部曲線の特性に左右される。クラストを得るために圧縮され、本発明において使用される二酸化ケイ素と上記の他の充填剤(混合物の形態のものを含む)との間の5〜95%の比は、本目的において、予想でき、さらに実現可能である。
【0123】
特定の好ましい一実施形態において、混合物の製造は、全体またはある程度、クラストを得るために圧縮され、本発明において使用される二酸化ケイ素からなる二酸化ケイ素10〜150質量部を、適宜、カーボンブラック0〜100質量部と合わせて使用することができ、または有機ケイ素化合物1〜10質量部を使用することができ、それぞれは、ゴム100質量部に対する。
【0124】
本発明におけるクラストを得るために圧縮される二酸化ケイ素、有機シランおよび他の充填剤とともに、重合体は、ゴム混合物のさらなる重要な構成物質を形成する。本明細書において、個々の重合体の形態でまたは他のゴムと混和された形態で、油展または油展されない、天然および合成重合体ついて記述することができ、例として、天然ゴム、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、特に溶液重合プロセスにより製造される1〜60質量%、好ましくは2〜50質量%のスチレン量を有するスチレンブタジエン共重合体(SBR)、ブチルゴム、イソブチレンイソプレン共重合体(IIR)、5〜60質量%、特に10〜50質量%のアクリロニトリル量を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体(NBR)、部分的に水素化または完全に水素化されたNBRゴム(HNBR)、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)およびさらにこれらのゴム混合物がある。
【0125】
さらに、以下の追加のゴムを上記のゴムを用いたゴム混合物に使用することができる:カルボキシゴム、エポキシゴム、トランスポリペンテナマー、ハロゲン化ブチルゴム、2−クロロ−ブタジエンからなるゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピレン共重合体およびさらに、適宜、天然ゴムおよび修飾天然ゴムの化学誘導体。
【0126】
好ましい合成ゴムの例は、W.Hofmann,"Kautschuktechnologie"[Rubber technology],Genter Verlag,Stuttgart 1980に記載される。
【0127】
本発明のタイヤ製造において、陰イオン性重合S−SBRゴム(溶液SBR)のガラス転移温度は、−50℃以上であり、さらにそれらのジエンゴムとの混合物は、特に関心のあるものである。
【0128】
ゴム産業では、クラストを得るために圧縮される二酸化ケイ素の組み込みおよびこの二酸化ケイ素を含む混合物を製造する方法は、密閉式混合機またはロールミルで好ましくは80〜200℃が慣行である。
【0129】
本発明のゴム加硫物は、通常量の追加のゴム補助剤を含むことができ、例えば、反応促進剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、膨張剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、凝結遅延剤、金属酸化物およびさらに活性剤、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコールおよび/またはヘキサントリオールである。これらの化合物は、ゴム産業において公知である。
ゴム補助剤の使用量は、特に目的の使用に応じた公知の量であってよい。従来の量の例は、ゴムに対して0.1〜50質量%である。
【0130】
使用される架橋剤は、硫黄または硫黄供与物質あるいはゴム産業で公知の他の架橋系を含むことができる。
【0131】
さらに、本発明のゴム混合物は、主要な促進剤および共促進剤の形態で使用される加硫促進剤を含むことができる。
【0132】
適切な主要な促進剤の例は、0.5〜3質量%のメルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミド、チウラムおよびジチオカルバメートである。
【0133】
共重合体の例は、0.5〜5質量%のグアニジン、チオ尿素およびチオカルバメートである。硫黄は、通常、ゴムに対して0.1〜10質量%、好ましくは1〜3質量%を使用することができる。
【0134】
クラストを得るために圧縮され、本発明において使用される二酸化ケイ素を促進剤および/または硫黄で架橋可能な、あるいは過酸化により架橋可能なゴムに使用することができる。
【0135】
本発明のゴム混合物の加硫は、100〜200℃、好ましくは130〜180℃にて、適宜、10〜200barの圧力下で行うことができる。ゴムと充填剤、適宜、ゴム補助剤および有機シラン化合物を混和することは、公知の混合組立て体、例えば、ロール、密閉式混合機および混合押出機内/上で実施することができる。
本発明のゴム混合物は、鋳型製造、例えば、空気タイヤ、夏、冬および通年タイヤのタイヤトレッド、自動車タイヤ、多用途車タイヤ、バイクタイヤ、タイヤ従属部品、ケーブルシース、ホース、運転ベルト、コンベヤーベルト、ロールカバー、靴底、ガスケットリングおよび減衰要素の製造に適切である。
【0136】
本発明のゴム混合物は、自動車のタイヤトレッドおよびバイクのタイヤトレッド、さらに、良好な摩耗抵抗性および良好な冬性能と合わせて走行抵抗性を軽減した多用途車用のタイヤ製造に特に適切である。
【0137】
さらに、本発明のゴム混合物は、有機ケイ素化合物を添加しない、建築用機械のタイヤ、農業用機械のタイヤおよび採鉱機械のタイヤのカット&チップ性能改善のための典型的なタイヤトレッドカーボンブラックの混和物に適切である。(定義および詳細について、"New insights into the tear mechnism"およびドイツ、ハンブルグ、Tire Technology2003でW.Niedermeier博士により提起された参考文献を参照)。
【0138】
以下の実施例で使用される物理試験を第1表に示す。
【0139】
分散係数の決定
分散係数を"Entwicklung eines Verfahrens zur Charakterisierung der Fuellstoffdispersion in Gummimischungen mittels einer Oberflaechentopographie"[Development of a method for characterizing filler dispersion in rubber mixtures by means of surface topography]A.Wehmeier;degree thesis,1998,at the Technical University of Muenster,Steinfurt site,Chemical Engineering Department,and"Filler Dispersion Analysis by Topography Measurements" Degussa AG,Applied Technology Advanced Fillers,Technical Report TR 820に記載のトポグラフィー法により決定することができる。
【0140】
別法として、分散係数はまた、ドイツ、ハノーバーのDeutsches Institut fuer KautschuktechnologieのDIAS法(光学)により測定することができる(H.Geisler,DIK aktuell,1st edition(1997)およびMedalia,Rubber Age,April 1965を参照)。
【0141】
最高分散達成度は、100%であり、それに応じて、最小は、理論的に0%であるだろう。分散係数が90%以上であるシリカは、高分散性(HD)とみなす。
【0142】
表面トポグラフィーによる分散係数決定の説明として
【数2】

分散係数=100%−(ピーク下面積の合計)・10000%・Medaliaの因数/充填剤体積・(試験面積の合計)%
Medaliaの因数=充填剤体積/100%+0.78/2
分散係数%
ピーク下面積の合計(粗度測定)mm2
充填剤体積%
試験面積の合計mm2
第1表:物理試験方法
【表2】

【0143】
実施例1
AEROSIL(登録商標)150を使用したBr/S−SBRゴム混合物および加硫物の製造
一般方法の仕様:
ゴム混合物に使用される混合物(グリーンタイヤ)を以下の第2表に明記する。本明細書において、「phr」の単位は、使用される粗製ゴムの100質量部に対する質量による割合を意味する。
【0144】
重合体VSL5025−1は、スチレン量(UV分光計により)約25質量%(23質量%〜27質量%)およびビニル量(IR分光計により)約50質量%(46質量%〜54質量%)を有する、バイエル社(現在Lanxess Europe GmbH&Co.KG)製の溶液重合SBR共重合体である。共重合体は、芳香族鉱油約27質量%(25.8質量%〜28.8質量%)を含み、そのムーニー粘度(ASTM D1646)は、約50MU(45MU〜55MU)である。
【0145】
重合体Buna CB24は、シス−1,4−量(IR分光計により)少なくとも96質量%およびムーニー粘度(DIN53523)約45MU(39MU〜49MU)を有する、バイエル社(現在Lanxess Europe GmbH&Co.KG)製のシス−1,4−ポリブタジエン(チタン型)である。
【0146】
第2表:グリーンタイヤ混合物
【表3】

【0147】
ゴム混合物およびそれらの加硫物の一般的な製造方法は、以下の本に記載される:"Rubber Technology Handbook",W.Hofmann,Hanser Verlag 1994。第3表は、本明細書において使用されるグリーンタイヤの混合仕様および混合条件を記載する。
【0148】
第3表:グリーンタイヤ混合物の混合仕様および混合条件
【表4】

【0149】
実施例1において、被検体の加硫時間は、それぞれ17分間、165℃である。
第4表は、加硫物試験の結果を示す。AEROSIL(登録商標)150を含む3試料全ては、別々に後処理した:試料Aは、欧州特許第0280851号において予備的に嵩密度を増加させ、試料BおよびCは、図1に図示されるように、本発明において圧縮した。試料Bの出発材料は、試料Aであり、試料Cにおいは、予備的に嵩密度を増加させないAEROSIL(登録商標)150である。
【0150】
3試料全ては、同一の加硫物特性を示し、高分散性とみなす。
【0151】
本発明において使用されるクラストは、ゴム混合物に対して少しも悪影響を示さない。
【0152】
第4表:実施例1の加硫物試験の結果
【表5】

【0153】
実施例2
種々の型の顆粒状AEROSIL(登録商標)材料を使用したBr/S−SBRゴム混合物および加硫物の製造
実施例2の混合は、実施例1に対応し、X50−S量のみが12.8phrに増加した。第5表は、混合仕様および混合条件を示し、第6表は、物理試験の結果を示す。実施例2において、被検体の加硫時間は、それぞれ30分、165℃である。
【0154】
試料Dは、欧州特許第0725037A1号において顆粒化したAEROSIL(登録商標)200であり、試料Eは、少しの塵埃もないDegussa社製AEROCAT(登録商標)(顆粒状AEROSIL(登録商標)200)であり、試料Cは、実施例1に記載される。
【0155】
試料Dは、高比表面積のため、試料Cに比べ高い補強水準を呈する。試料はともに、高分散性とみなされるが、試料Dは、高い塵埃汚染濃度を呈する(図4参照)。公知の試料Eでは、補強の点または分散係数の点のどちらかが他の2試料の値に達しておらず、それは、本発明の値でも達していない。
【0156】
第5表:実施例2の混合仕様および混合条件
【表6】

【0157】
第6表:実施例2の加硫物試験の結果
【表7】

【0158】
実施例3
AEROSIL(登録商標)150を使用したNRゴム混合物および加硫物の製造
大型車のタイヤトレッドに対する第7表に示された混合物において、第8表に示された混合仕様に従い混合することにより、実施例1由来の検体を組み込んだ。
【0159】
第9表は、加硫物試験の結果を照合する。実施例3において、被検体の加硫時間は、それぞれ40分間、150℃である。予備的に嵩密度を増加させる粉体および本発明において圧縮されたクラストは、同一の結果を表す。3検体全ては、高分散性とみなす。本発明において使用されるクラストは、ゴムに対して少しも悪影響がない。
【0160】
第7表:実施例3の天然ゴム混合物における混合
【表8】

【0161】
第8表:実施例3の混合仕様および混合条件
【表9】

【0162】
第9表:実施例3の加硫物試験の結果
【表10】

【0163】
実施例4
AEROSIL(登録商標)R972を使用したEPDMゴム混合物および加硫物の製造
第10表は、実施例4の混合物を示す。第5表は、一般的な混合仕様および混合条件を示し、第6表は、物理試験の結果を示す。実施例4において、被検体の加硫時間は、それぞれ20分、170℃である。
【0164】
当業者に公知のように、密充填嵩密度が低く、塵埃発生が高い生成物の混合仕様に適合することはあり得ない。その後、粉体は、複数のステップで添加されなければならない。それに応じて、試料G(3回)の場合、シリカを5等分に分け、これらを連続して添加した。結果は、本発明のクラストと比較した場合、混合時間が長かった。
【0165】
試料はともに、高分散性である。試料G(5回)は、引張強度、粉砕時の引張歪みおよび球反発の値がいくらか低いことを表す。
【0166】
第10表:実施例4のEPDMゴム混合物の混合
【表11】

【0167】
第11表:実施例4の混合仕様および混合条件
【表12】

【0168】
第12表:実施例4の加硫物試験の結果
【表13】

【0169】
実施例5
配合
第1ステージ
シロプレン対シリコーン重合体(バイエル社) 100部、400g
合成シリカ 40部、160g
VP AC3031シリコーン油加工助剤(バイエル社) 6部、24g
第2ステージ
Interox DCLBP−50−PSI ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド(Peroxid−Chemie GmbH) 0.5%
混合仕様 (室温で実施)
Schwabenthan製Polymix200U 2ロールミル
ロール径:200mm
ロール長:400mm
ニップ:0.9±0.05mm
回転速度:20rpm、摩擦:1:1.3
第1ステージ
シリコーン重合体400gを2ロールミルに添加する。
【0170】
均質のミル状シートがオペレーターロール(高速運転ロール)上で形成するとすぐ、充填剤を添加することができる。シリカを2ロール間でゆっくりおよび少しずつ添加する。充填剤を約50%添加後、化合材料をゴムへらでロールから取り出し、回転させる。
【0171】
加工助剤の配合において、これを、加工助剤24gおよびシリカ10gの混合物の形態(へらでいくらか混合)で2ロールミルにここで添加する。次いで充填剤の残りの50%の量を添加する。
【0172】
シリカの分散および均質化において、充填剤を組み込んだ後、ミルをさらに5分間継続する。プロセス中、混合物を5回以上回転させる。従って、シリカを継続して湿らせるため、調整された混合物を1週間保存する。このために、化合材料をPEフィルムで包む。
【0173】
第2ステージ
可塑化において、均質なミル状シートを生成するまで、化合材料をロールミルで混合する。次いで、これまでに計量した過酸化物を(木製またはプラスチック製の)へらで投入する。過酸化物の分散および均質化のために、ミルをさらに8分間継続し、本明細書において、ゴムへらを使用し、ロールから混合物を取り出し、8回回転させる。
【0174】
室温で24時間保存後(PEフィルムが有利である)、再度続ける。
【0175】
加硫の前に、化合材料を再度2ロールミルで可塑化する。
【0176】
加硫
加熱プレスを予熱する:140℃
厚さ2mm(プレス時間7分)および6mm(プレス時間10分)のシリコーンシートをクロム鋼板の間の予熱したプレスで加硫する。
【0177】
過酸化物の切断生成物を除去するために、シートを熱風オーブンで6時間200℃にて後加硫する。最初の1時間で、オーブンドアを約10分毎に60秒間開ける。2時間および3時間目において、30分毎に行う。加硫物1200g以下がオーブン内に懸濁し、その体積は、0.125m3である。
【0178】
第13表:表面トポグラフィーにより決定した、実施例5の分散係数
【表14】

【0179】
本発明のクラストをシリコーン重合体に十分に分散できないことが明らかである。本発明のクラストは、相対的に高強度を有する。
【0180】
第8表は、シリコーン重合体の分散実験を示す。実施例5において、写真品質の、加硫の表面トポグラフィー("Entwicklung eines Verfahrens zur Charakterisierung der Fuellstoffdispersion in Gummimischungen mittels einer Oberflaechentopographie"[Development of a method for characterizing filler dispersion in rubber mixtures by means of surface topography]A.Wehmeier;degree thesis,1998,at Muenster Technology University,Steinfurt Division,Department of Chemical Engineeringに記載)を表す。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】図1は、プロセス図である。
【図2】図2は、圧縮プロセスが実施される装置を示している。
【図3】図3は、塵埃量決定のための試験器具の図を示す。
【図4】図4は、クラストを得るために圧縮された熱分解法二酸化ケイ素の微細塵埃量と公知の方法で嵩密度を増加させる熱分解法シリカの微細塵埃量を比較する。
【図5】図5は、欧州特許第0725037A1号および本発明における顆粒状材料の累積分布(第3四分位点分布)を示す。
【図6】図6は、クラストを得るために圧縮し、本発明において使用された熱分解法二酸化ケイ素の粉砕およびふるい分け後の顆粒形態を示す。
【図7】図7は、上記2つの検体の塵埃量の決定中の時間の関数の消光または相対的塵埃濃度の曲線を示す。
【図8】図8は、試料Hと試料Jとの比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の構成物質とともに、熱分解法二酸化ケイ素を混合することによるゴム混合物の製造方法であって、熱分解法二酸化ケイ素を密充填嵩密度(DIN EN ISO 787−11)が185〜700g/lのクラストの形態で使用することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−524714(P2009−524714A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551742(P2008−551742)
【出願日】平成19年1月2日(2007.1.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050013
【国際公開番号】WO2007/085503
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】