説明

二酸化炭素の捕捉および再生のための構造および技術

二酸化炭素を含む空気のフローから二酸化炭素を除去するための新規で有用なシステムおよび方法の概念を提供する。
より具体的に言えば、この新規で有用な構造および技術では、二酸化炭素を含む空気ストリーム中で二酸化炭素と結合するために吸着剤構造が用いられ、さらに、吸着剤構造から二酸化炭素を分離して、吸着剤構造を再生するためにプロセス熱が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許出願第12/124,864号
【背景技術】
【0002】
[0001]公開された米国特許出願第12/124,864号で説明したように、
a.現在のところ、1)経済発展のための手頃なエネルギーの供給;2)エネルギー安全保障の達成;および、3)地球温暖化によって引き起こされる有害な気候変動の回避という3つのやや相反するエネルギー関連の目的を達成しようとする試みに対して多大な関心が寄せられている。気候変動問題に取り組むための多くの様々なアプローチが考えられつつあり、例えば、生物燃料、太陽光、風力および原子力などのクリーンで無公害の再生可能エネルギー源の使用を増やすこと、化石燃料プラントから排出された二酸化炭素の捕捉および封鎖を試みること、加えて保護努力を高めることといったアプローチがある。例えば太陽光発電などのこれらのアプローチのうちいくつかは、現状のコストが化石燃料に基づく発電コストと比較して高いためにそれらの大規模実施が阻止されたままであり、加えて、例えば原子力などのその他のアプローチは、それらの環境および安全面での危険のために制限されている。実際に、再生可能エネルギーのためのインフラストラクチャーと供給は発展途上であるため(例えば太陽光によって提供されるエネルギーは、我々のエネルギーのわずか約0.01%でしかない)、我々が経済的な繁栄に必要なエネルギーを確保したくとも、今世紀の残りの間、化石燃料の使用を回避する一方で、それとは相反してエネルギー不足を回避する実行可能な方法はない。
【0003】
b.地球温暖化によって引き起こされる気候変動の脅威に加えて、我々の地球を傷つけない再生可能な資源を使用する必要があるというより一般的な認識は、1972年の最初のアースディ(Earth Day)から徐々に大きくなりつつある。二酸化炭素のようないわゆる温室効果ガス(それ以外の主要な温室効果ガスとしては、メタンおよび水蒸気がある)の量が増加すると、地球の温度上昇をもたらすであろうことは、ほとんど議論の余地がない。このような温室効果ガスは、地球から大気に逃げる熱量を少なくする作用がある。大気中の温室効果ガスの濃度が高ければ高いほど、地球はどんどん温暖化すると予想される。人間の影響が無い状況下であっても、二酸化炭素およびその他の温室効果ガスの量を自然に変化させる複雑なフィードバックがある。気候変動は、地質学的な歴史を通して数多くの絶滅を引き起こしてきた。人間が誘発した気候変動(すなわち地球温暖化)の脅威に関する懸念のために、165ヵ国を超える国々によって承認され、先進国は自国の炭素排出量を減少させなければならないということを取り決めた国際協定である京都議定書が採択された。
【0004】
c.気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が地球温暖化が脅威であると考えている理由の一つは、地球温暖化が進むにつれて氷河が溶け、海が広がった結果として海水面が上昇したためというものである。島または海岸のちょうど海水位上に生活する何億もの人々は、海水面が1メートルでも上昇すれば、移転または護岸の建設を必要とする破壊的な洪水の脅威に晒されている。また、人間が引き起こした気候変動の速度に順応できない生態系を破壊すると予想される気候変動は、他の種にとっても脅威である。追加の脅威としては、感染症の増加や、さらなる異常気象、加えて猛暑による直接的な脅威が挙げられる。
【0005】
d.単純なモデルを用いて、地球温暖化に取り組む挑戦を実証することが可能である。Cca(Y)は、Y年で大気に追加された二酸化炭素を1年あたりのギガトン単位で示したものである。同様に、CEX(Y)は、人間によって抽出された量、CEM(Y)は人間によって排出された量に等しく、さらにC(Y)は、炭素サイクルにおいて自然に起こる変化のために追加された量または除去した量のいずれかであり得る。今日、陸地は、毎年およそ1.8ギガトン(10トン)の二酸化炭素を蓄え、海洋はおよそ10.5ギガトン(注:二酸化炭素は、炭素よりも3.66倍重い)を蓄えているが、一方で排出によって人間が追加した二酸化炭素量は、約24ギガトンである。
より一般的には、我々は、以下の式:
ca(Y)=−CEX(Y)+CEM(Y)+C(Y)、
(YN+1)=C(Y)+Cca(Y)、
を示す。上記式中、C(Y)は、Y年における大気中の炭素の量であり、現状では、二酸化炭素2780ギガトンである。その他の炭素の形態は、最も注目すべきはメタンであり、質量的に小さい成分を代表するものであるが地球温暖化の一因となる。
【0006】
e.CEX(Y)をゼロにしたとして、大気への二酸化炭素の追加を止めるかもしれない唯一の方法は、人間による排出を自然における取り込みと等しくなるように減少させることと思われる。しかしながらCn(Y)はそれ自身大きく変動するものであり、はるかに大きい自然の炭素サイクルから大気への、年間約750ギガトンの炭素を加減した結果の正味の追加量である可能性がある。このような自然平衡における推移は、人類が現れる前から気候変動を引き起こし、未来もそれを繰り返し続けるであろう。従って、二酸化炭素の排出に対する人間の寄与率を減少させることだけでは、気候変動の危険をなくすことができる解決法にはならないことは明かである。空気の抽出と、大気中の二酸化炭素の量を増加または減少させる能力とがあれば、原則的に、濃度を変化させて気候変動を引き起こす可能性があるメタンのような他の温室効果ガスを埋め合わせることができる。
【0007】
f.従って、化石燃料を燃やすことによって生じた大気中の二酸化炭素の量を減少させ、化石燃料の代替として低コストで無公害の再生可能エネルギー源を提供するシステムおよび方法への必要性が、広く認識されている。
【0008】
g.公開された米国特許出願第12/124,864号は、そのような必要性を処理するためのいくつかのシステムおよび方法の概念を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第12/124,864号
【発明の概要】
【0010】
[0002]本発明は、COを含む空気を、COを結合させる(捕捉する)吸着剤構造に通過させ、プロセス熱を用いて吸着剤構造を加熱することにより吸着剤構造からCOを除去する(およびそれによって効果的に吸着剤構造を再生する)ことによって、二酸化炭素を含む空気の集合体から二酸化炭素を除去するためのさらなる新規の有用なシステムおよび方法の概念を提供する。本願において、吸着剤構造は、好ましくはCOと結合するアミンを含んでおり、このアミンは、基板に担持されているか、または、一体型吸着剤構造の一部を形成する。加えて、本願において、「COを含む空気(または二酸化炭素を含む空気)」の「集合体」(または、「フロー」もしくは「ストリーム」)と述べられる場合、それらは、特定の位置における大気中のCO濃度と似たCO濃度を有する、特定の位置における空気を意味する。
【0011】
[0003]公開された米国特許出願第12/124,864号のシステムおよび方法の概念において、空気から二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素を含む空気は、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤でコーティングされた(または、それらに埋め込まれた)基板を通過するよう方向付けられる。蒸気の形態またはその他の媒体(例えばガス)に変換されたプロセス熱を吸着剤に向けることによって、吸着剤から二酸化炭素を分離し(従って、二酸化炭素を抜き取って隔離し)、吸着剤を再生することができる(このようにして、吸着剤は、空気から二酸化炭素を除去するのに使用し続けることができる)。
【0012】
[0004]その基本の形態の1つにおいて、本願は、特許出願第12/124,864号(具体的にはその出願の図6)で開示されたシステムをさらに改善した、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を分離し、続いてプロセス熱を用いて吸着剤から二酸化炭素を分離し吸着剤を再生するための、さらなる構造および技術を提供する
[0005]さらにその形態のその他の態様において、本願は、別の方法でその源からじかに発生して二酸化炭素を含む空気が大気に向かっている煙道ガス源と同じライン上で二酸化炭素の分離および再生を直接実施できるように、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を捕捉し、プロセス熱を用いて吸着剤から二酸化炭素を分離して吸着剤を再生するのに用いることができるいくつかの追加の構造および技術を提供するものである。
【0013】
[0006]本発明のこれらおよびその他の特徴は、以下の詳細な説明および添付の図面および提示で説明されるか、または、それらから明かである。
[0007]図1〜9は、公開された米国特許出願第12/124,864号で説明されているシステムおよび方法の概念を説明するものであり、具体的には以下の通りである:
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第12/124,864号に記載の発明の代表的な実施態様に係る、大気から二酸化炭素を除去するシステムの一般的なブロック図である。
【図2】図2は、第12/124,864号に記載の発明の代表的な実施態様に係る、、大気から二酸化炭素を除去するシステムのブロック図である。
【図3】図3は、第12/124,864号に記載の発明の代表的な実施態様に係る、空気抽出システムのブロック図である。
【図4】図4は、第12/124,864号に記載の発明の代表的な実施態様に係る、グローバルサーモスタットを説明するマップである。
【図5】図5は、第12/124,864号に記載の発明の代表的な実施態様に係る、大気から二酸化炭素を除去するシステムのブロック図である。
【図6】図6は、第12/124,864号に記載の発明に係る、大気から二酸化炭素を除去するための媒体、および、その媒体から二酸化炭素を除去するための媒体の形態の1つの概略図である。
【図7】図7は、第12/124,864号に記載の発明に係る、大気から二酸化炭素を除去するための媒体、および、その媒体から二酸化炭素を除去するための媒体のその他の形態の概略図である。
【図8】図8は、第12/124,864号に記載の発明に係る、大気から二酸化炭素を除去するための媒体、および、その媒体から二酸化炭素を除去するための媒体のさらにその他の形態の概略図であり;および、
【図9】図9は、第12/124,864号に記載の発明に係る、大気から二酸化炭素を除去するための媒体、および、その媒体から二酸化炭素を除去するための媒体のさらにその他の形態の概略図である。
【図10a】図10aは、本発明の原理に従って、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を再生するための構造および技術の2つの形態を図式的に説明する。
【図10b】図10bは、本発明の原理に従って、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を再生するための構造および技術の2つの形態を図式的に説明する。
【図10c】図10cは、図10aおよび10bに記載のシステムおよび方法で使用するための、1つの運転位置におけるエレベーター構造の一形態の上面および側面図である。
【図10d】図10dは、図10aおよび10bに記載のシステムおよび方法で使用するための、1つの運転位置におけるエレベーター構造の一形態の上面および側面図である。
【図10e】図10eは、図10cおよび10dの、その運転位置の他方におけるエレベーター構造の上面および側面図である。
【図10f】図10fは、図10cおよび10dの、その運転位置の他方におけるエレベーター構造の上面および側面図である。
【図10g】図10gは、本発明の原理に従って、捕捉されたCOを分けて、吸着剤を再生するのに使用することができる構造の詳細を図式的に示す。
【図10h】図10hは、図10aおよび10bに記載の実施態様のエレベーター構造の基本的な原理の図式的な拡大図である。
【図11a】図11aは、本発明の原理に従って、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を再生するための構造および技術の2つのその他の形態を図式的に説明する。
【図11b】図11bは、本発明の原理に従って、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を再生するための構造および技術の2つのその他の形態を図式的に説明する。
【図12】図12は、本発明の原理に従って吸着剤の基板として用いることができる、コーニング(Corning)によってセルコール(Celcor(R))という商品名で製造されているタイプの一体型吸着剤の支持体構造の概略図である。添付書類A〜Bは、図10a〜10bの拡大カラー画像であり、図10a〜10bの実施態様に記載の構造および操作をさらに説明するコメントも併記した;および、添付書類CおよびDは、図11a、11bの拡大したカラー画像であり、図11a、11bの実施態様に記載の構造および操作をさらに説明するコメントも併記した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
出願第12/124,864号のシステムおよび方法の概念の背景技術の説明
[0017]本発明がさらにこれらの原理を発展させる追加の方法に関する背景を提供するために、まず最初に米国特許出願第12/124,864号の方法およびシステムを説明することが有用であると考えられる。図1〜10は、出願第12/124,864号のシステムおよび方法を説明する。図1は、本発明の代表的な実施態様に従って、大気から二酸化炭素を除去するためのシステム(全般的に参照番号1で示される)の一般的なブロック図である。システム1は、空気抽出システム40および回収システム50を含み、これらは、再生可能な炭素燃料の封鎖、貯蔵および生成、または、例えば肥料や建設資材などの非燃料製品の生成の少なくとも1つのための位置に(または、温室で使用するため、または、生物燃料の微生物生産速度を強化するための位置に)、除去した二酸化炭素を孤立させるためのものである。空気抽出システム40は、好ましくはあらゆる既知の、または、最近開発されたCO抽出方法を包含しており、このような方法としては媒体(また吸着剤とも称される)を使用する方法が挙げられ、この方法では、媒体を、捕捉された空気中でCOとの化学的、電気的なおよび/または物理的相互作用に晒すことによって大気の空気からCOを吸収および/または結合(吸着)することができる。このような媒体は液体、気体または固体のいずれでもよいし、または、液体、気体および固体物質の組み合わせでもよく、固体の場合は、このような物質は好ましくは多孔質である。このような媒体は好ましくは再利用可能であり、従ってそのような場合、COを媒体によって捕捉し、封鎖用媒体から分離した後に、この媒体をさらなるCOを吸収/結合するために再利用できるようになる。しかしながら、その他の実施態様において、このような媒体は、捕捉されたCOと共に封鎖される場合もある。図1で示すように、媒体からのCOの分離、加えて、例えば封鎖システム50で行われるCOの吸収/結合およびCOの封鎖のようなその他のプロセスは、空気抽出システム40に熱を加えることによってより効率的にすることもできる。本発明において、このような熱は、例えば太陽光集熱器のような太陽光エネルギー発生器によって生成したプロセス熱であり、以下のさらなる詳細で説明する。その他の実施態様において、プロセス熱は、例えば化石燃料、地熱、原子力、バイオマス、およびその他の再生可能エネルギー源などのその他のタイプのエネルギー源によって提供されてもよい。本明細書で用いられる「プロセス熱」という用語は、発電に高温の熱を用いた後に残ったそれより低温の熱を意味する。一次プロセスより一般的に言えば、「プロセス熱」という用語は、一次プロセスの後に残った低温の熱、または、プロセスそれ自身によって加えられたあらゆる低温の熱を意味し、例えば二酸化炭素が無機物質として保存される際の発熱性の炭酸化反応によって、または、実際には二酸化炭素が媒体に結合して捕捉される際に加えられたあらゆる低温の熱を意味する。さらに「プロセス熱」は、電力または発電以外の製品を製造するためのエネルギー源の使用によって提供される場合もある。例えば化学処理、セメント、鋼またはアルミニウムの生産、石炭液化によるエネルギー産物のようなエネルギー産物の生産、精製のような一次処理は、その一次処理を駆動させるための熱を使用する可能性があり、このような一次処理の後に残った、または、一次処理中に生成した未使用の熱がこのような処理のプロセス熱であり、本発明の原理に係るシステムまたは方法で用いられる可能性がある。プロセス熱を提供する特に好ましい方法は、コジェネレーションプロセスによる方法であり、このような方法において、(例えば発電のための)一次プロセスは、プロセス熱の源を(直接的には蒸気の形態、または、蒸気を生産するために液体を加熱するのに使用できる形態のいずれかで)提供し、さらにプロセス熱は、本明細書で説明した基板からCOを除去し、基板によって担持された吸着剤を再生する形でさらに利用される。
【0016】
[0018]大気から二酸化炭素を抽出し、プロセス熱を使用して回収用媒体から二酸化炭素を分離するという出願人が望む概念は、地球温暖化問題に取り組む有意義な方法であり、当業界における一般的な通念に反している(さらに当業者の直感に反している)。具体的に言えば、低濃度の周囲空気から二酸化炭素(CO)を抽出することにより地球温暖化問題を解決するためにプロセス熱を使用することは、高濃度の煙道ガス源からCOを抽出する従来のアプローチや、当業界でよく知られている周囲大気からCOを抽出するその他のスキームの両方と比較しても非常に魅力的である。前者のケースにおいて、これは、分離コストは通常、濃度と反比例すると考えられるため、周囲大気中のCO濃度が300倍低いとコストが300倍高くなであろうという一般的な通念にあからさまに反している。従って、連邦政府が資金援助している試みは、発電所の煙道ガスの排出物(例えば精炭)からCOを抽出することに向けられており、専門家は、煙道ガスとは対照的に、周囲空気の使用は無意味であるということを公然と主張してきた。しかしながら、一般的には有限の1つの煙道ガス源および複数の煙道ガス源と比較して、周囲空気の源は無限大であることが、一般的な通念および実際の状況にもかかわらず出願人のアプローチを有効なものにし得る1つの特徴である。煙道ガスのケースにおいて、COを含む排出物はより高温(セ氏65〜10度)であり、従って再生にはそれより高温の熱が使用されるが、それには冷たい周囲空気(およそセ氏25〜10度)の場合に必要なコストよりも高いコストが必要である。出願人のアプローチのその他の利点としては、さらなるプロセスの改善を提供することができる極めて薄い分離装置を使用する能力が挙げられる。従って、プロセス熱を、出願人の発明の原理に基づき稼働するグローバルサーモスタット施設に配管してCOを除去する方が、その煙道排出物を直接清浄化するよりもコストをより少なくすることが可能である。加えて、出願人のアプローチは、炭素の収支をマイナスにして実際に大気中のCO量を減少させると予想されるが、一方で、煙道ガスを清浄化することは、単に空気中のCO含量が増加しないようにするだであろう。
【0017】
[0019]さらなる分析によれば、石炭プラントのような大きな静止した化石燃料源を単に清浄化することにより、またはついでに言えば保護または再生可能エネルギーの使用により地球温暖化を引き起こす大きな危険を減少させるという時期的に適切な形で地球温暖化問題を解決することは不可能であることが示されている。実際に、本発明におけるケースのように、大気からCOを抽出することによって、周囲の濃度を減少させ(「マイナスの炭素」)、地球温暖化の脅威を減少させることを可能にする必要がある。周囲大気からCOを抽出するためのその他の公開されたスキームでは、一般的にはより高温の熱が用いられ、特にプロセス熱は用いられておらず、従って、それらの高いエネルギーコストのためにまじめに検討されてこなかった。
【0018】
[0020]図2は、本発明の代表的な実施態様に従って、大気から二酸化炭素を除去するためのシステム(全般的に参照番号2で示される)のブロック図である。システム2は、太陽光集熱器10、任意の補充エネルギー源20、発電機30、空気抽出システム42、および、回収システム50を含む。これらのシステム1の構成要素はそれぞれ、以下で詳細に説明する。
【0019】
[0021]太陽光集熱器10は、あらゆる既知の、または、将来的に発見される太陽光エネルギー回収システムであってもよく、これは、太陽光エネルギー回収ユニット、例えば密集した太陽光パワー放物面鏡、および、密集したソーラーパワータワーを含んでいてもよい。当業界でよく知られているように、太陽光集熱器10は、太陽光エネルギーを熱エネルギーに変換するものであり、これは、発電機30を駆動させるのに用いることができる。残留した熱エネルギー(すなわちプロセス熱)は、空気抽出システム42および/または回収システム50を駆動させるのに用いることができる。例えばプロセス熱は、空気からCOを吸収するため、および/または、媒体からCOを追い出すために空気抽出システム42で用いられる化学的および/または物理的反応の効率を改善するのに用いることができる。加えて、その他の代表的な実施態様において、図2において破線矢印で示した通り、太陽光集熱器10からの直接的な熱は、空気抽出システム42および/または回収システム50を駆動させるのに用いることができる。
【0020】
[0022]発電機30は、例えば、太陽光集熱器によって提供された熱エネルギーを電気に変換する火力発電機であってもよい。当業界でよく知られているように、太陽の熱を溶融塩などの媒体に集中させて、続いてその熱を用いて発電するためにタービンを駆動させる高温高圧の蒸気を生成することもできる。続いて生成した電気は、送電網の一部として一般の人々に電力を提供することに加えて、システム2のその他の構成要素に電力を送るのに使用してもよい。この点において、太陽光集熱器10によって提供された熱エネルギーは、補充エネルギー源20によって生成されたエネルギーによって補充してもよい。例えば、補充エネルギー源20は、ごみ焼却プラントであってもよく、これは、発電機30を駆動させるための追加の熱エネルギーを提供する。また当然のことながら、太陽光エネルギーに加えてその他のあらゆるタイプの再生可能エネルギー源が使用可能であり、好ましくは、発電の前駆体として熱を生産する再生可能エネルギー源が使用される。太陽光エネルギーに加えて使用可能なその他の可能性のある再生可能エネルギー源としては、例えば、原子力、バイオマス、および、地熱エネルギー源が挙げられる。
【0021】
[0023]あるいは、発電機30は、発電のために例えば石炭、燃料油、天然ガスおよび頁岩油のような化石燃料を燃やすことに頼る、あらゆる既知の、または、将来的に発見される化石燃料施設(プラント)であってもよい。このような発電機はまた、発電以外の他の目的のためであってもよい(例えば発電機は、化学処理のためであってもよいし、または、アルミニウム生産のような様々なその他の目的のためであってもよい)。化石燃料発電所30によって生産された熱エネルギーは発電に用いられ、残留した熱エネルギー(すなわちプロセス熱)は、空気抽出システム42および/または封鎖システム50を駆動させるのに用いることができる。例えば、化石燃料発電所30からのプロセス熱を用いて、空気からのCOを吸収/結合するため、および/または、媒体からCOを追い出すために空気抽出システム42で用いられる化学的および/または物理的反応の効率を改善することもできる。化石燃料発電所30によって提供されたプロセス熱は、補充エネルギー源によって生成されたエネルギーによって補充される場合もある。例えば、補充エネルギー源は、ごみ焼却プラントであってもよいし、または、再生可能エネルギー源、例えば太陽光、原子力、バイオマス、および、地熱エネルギー源であってもよく、これらは、空気抽出システム42および/または回収システム50を駆動させるための追加の熱エネルギーを提供する。また補充エネルギー源からのプロセス熱も、空気抽出システム42および/または回収システム50を駆動させるのに用いられる可能性がある。
【0022】
[0024]さらに上述したように、「プロセス熱」は、電力または発電以外の製品を製造するためのエネルギー源の使用によって提供される場合もある。例えば、コジェネレーションシステムにおいて、例えば化学処理、セメント、鋼またはアルミニウムの生産、精製、石炭および液状エネルギー産物のようなエネルギー産物生産のような一次処理は、一次処理を駆動させるために熱を使用することができるが、この一次処理の後に残った熱、または一次処理中に生成した未使用の熱がこのような処理のプロセス熱であり、本発明の原理に係るシステムまたは方法で使用することができる。一次処理が発電のためになされる場合、プロセス熱は、蒸気の形態で(または、蒸気を生成するために流体を加熱することができる形態で)生産され、さらに蒸気は、本明細書において説明した基板からCOを除去し、基板によって担持された吸着剤を再生する形で利用される。
【0023】
[0025]図3は、本発明の代表的な実施態様に従って、システム2と共に使用できる空気抽出装置システム42のブロック図である。空気抽出装置システム42は、空気接触器41、苛性化装置(causticizer)43、石灰消和装置45、か焼炉47、および、捕捉ユニット49を含む。空気接触器41は、空気からCOを選択的に捕捉する吸着剤材料を使用していてもよく、さらに、例えば大型のコンベクションタワー、開放型の停滞プール(stagnant pool)、および、充填型のスクラバー塔のような、あらゆる既知の、または、将来的に発見される接触器構造体で構成されていてもよい。本発明の実施態様において、空気からCOを容易に吸収/結合する吸着剤材料はアミンであってもよく、アミンは、比較的低温(例えば約120℃未満)で作用することができ(例えば、COを捕捉し、COを回収して、吸着剤を再生するように処理することができる)、または、水酸化ナトリウム(NaOH)であってもよく、水酸化ナトリウムは、それより有意に高い温度で作用すると予想される。当然のことながら、その他の既知の、または、将来的に発見される捕捉方法を用いてもよく、このような方法としては、例えば、化学的な吸収、物理的および化学的な吸着、低温での蒸留、ガス分離膜、無機質化/バイオミネラリゼーション、および、植生が挙げられる。さらなる例として、当業界で知られているように、アミン水溶液、または、アミン豊富な固体吸着剤が、COを吸収/結合するのに用いられる可能性がある。好ましくは吸着剤材料は再生され、吸着剤材料を再生するために、捕捉方法において必要な熱は約100〜120℃より低い熱である。従って、好ましい吸着剤材料は、アミンである。注目すべきことに、低温の熱で再生する能力を有するさらに改善された吸着剤も使用することができる。その上、NAOHのような吸着剤(それらは高温を必要性とするため)は、熱が発生する一次プロセス(例えば鋼の製造)が完了した後に利用可能なプロセス熱が比較的高温であるプロセスの場合の本発明のコジェネレーション様式でしか使用できないと予想される。しかしながら現段階では、この熱は利用できる分がそれほど多くなく高価なため、その使用は、気候変動に十分に対処することが危ぶまれるような実施に本発明の最大の範囲を限定する可能性があり、従って、吸着剤としてのNAOHの使用は、現段階では好ましくない。
【0024】
[0026]捕捉ユニット49は、COが大気中の中に存在するような低濃度でも効果的であり、再生のために低温の熱しか必要としないあらゆる既知の、または、将来的に発見されるCO捕捉方法を用いて、か焼炉47から追い出されたCOを捕捉する。例えば捕捉ユニット49はアミンベースの捕捉システムを使用してもよく、このようなシステムとしては、例えば2003年4月15日付けのGray等の米国特許第6,547,854号で、さらに2005年6月21日付けのSirwardaneの米国特許第6,908,497号(これらはいずれも、参照により本明細書に含める)で説明されているシステムが挙げられる。また捕捉ユニット49で、COをより容易に封鎖できるように、捕捉されたCOを液体の形態に圧縮してもよい。
【0025】
[0027]回収システム50は、除去した二酸化炭素を、封鎖、貯蔵、および再生可能な炭素燃料の生成、または、例えば肥料および建設資材のような非燃料製品の製造の少なくとも1つのための位置に孤立させる。回収システム50は、あらゆる既知の、または、将来的に発見される炭素の封鎖および/または貯蔵技術を使用してもよく、このような技術としては、例えば、地層への注入、または、鉱物隔離が挙げられる。注入のケースにおいて、捕捉されたCOは、地層中に封鎖してもよく、例えば油およびガス貯蔵容器、採掘不可能な炭層、および、深海の海水の貯留層などに封鎖してもよい。これに関して、多くの場合において、地層へのCO注入は、炭化水素の回収を促進することができ、CO捕捉および回収のコストを相殺することができる付加価値のある副産物を提供することができる。例えば、油または天然ガス貯蔵容器へCOを注入すると、石油増進回収として知られているプロセス中の生成物が押し出される。捕捉されたCO2は、本発明の実施態様の少なくとも一つに従って、システム2のその他の構成要素から風上の遠隔地で地下に封鎖してもよく、それにより、その地域から漏れたあらゆるものがシステム2によって再度捕捉することができる。
【0026】
[0028]鉱物隔離の場合、COは、鉱床として天然に存在するケイ酸カルシウムおよびマグネシウムとの炭酸化反応によって封鎖することができる。例えば以下の反応(1)および(2)で示すように、COを苦土カンラン石および蛇紋石と反応させて、それにより、発熱反応で固体の炭酸カルシウムおよびマグネシウムを生成させてもよい。
(1)1/2MgSiO+CO=MgCO+1/2SiO+95kJ/モル
(2)1/3MgSi(OH)+CO=MgCO+2/3SiO+2/3HO+64kJ/モル
[0029]これらの反応はいずれも低温条件が望ましく、吸着剤としてはアミンが望ましい。これに関して、本明細書において説明される空気捕捉および空気封鎖プロセスはいずれも、太陽光集熱器10によって生成した電気および/または熱エネルギー(またはその他の再生可能エネルギー源)を使用して、必要な反応を進行させ、適切なシステムの構成要素に電力を送ることができる。本発明の代表的な実施態様において、高温の担体を約400℃〜約500℃の範囲の温度まで加熱して、発電機を稼働させるための蒸気を生成してもよく、さらに、発電タービンから出るより低い温度および圧力の蒸気を用いてCOを追い出し、吸着剤(例えば、低温ではアミン、または、より高温ではNaOH)を再生することができる。高温の熱の温度、生成した電気、および、発電後に残った低温のプロセス熱の温度を調節することによって、所定のコジェネレーションの適用において最適とみなされる発電とCO除去との共存が生じるようすることができる。加えて、代表的な実施態様において、捕捉および封鎖工程から生じるさらに低温のプロセス熱を用いて、これらの工程で用いられる器具を冷却してもよい。
【0027】
[0030]大気から二酸化炭素を除去するための1またはそれより多くのシステムを、本発明の代表的な実施態様に従って、グローバルサーモスタットの一部として用いることもできる。大気中の二酸化炭素の量を管理し、そして二酸化炭素およびその他のガス排出によって引き起こされた温室効果を管理することによって、本明細書において説明されるシステムを用いて地球の平均気温を変化させることが可能である。本発明の少なくとも1つの代表的な実施態様によれば、数種の二酸化炭素捕捉および封鎖システムを世界中の異なる場所に配置して、それにより複数のシステムを稼働させて、大気中のCO濃度を変化させることによって温室効果ガスによる地球温暖化を改善することができる。それぞれの場所は、大規模な工業中心地や人口密度の高い都市のような地域、または、自然のCO源に最大の効果が与えられるように選択してもよく、これらの地域はいずれも、よりコスト効果の高い捕捉を可能にすると予想される局所的に高いCO濃度を形成することができる。例えば、図4で示すように、複数のシステム1が世界中に散在していてもよいし、例えば国際的な資金援助や合意などの国際協調を用いて、システム1の構築および制御を管理してもよい。これに関して、人間および生態系に害を与える恐れがある気温低下および温暖化期間を回避するために、温室効果ガスの濃度を変化させて、地球の平均気温を変更することができる。我々の地球の過去の歴史において、例えば、絶滅だけでなく動物相絶滅をも引き起こしてきた氷河期や急速な温度変化の期間が数多くあった。このような将来的な温度変化は、直接的には甚大なダメージを引き起こす可能性があり、さらに起こり得る資源減少の結果生じる紛争から人間社会に動揺を引き起こす可能性がある。本明細書において説明されるグローバルサーモスタットは、この先10年間このような災害を防ぐ鍵になり得る。
【0028】
[0031]図5は、本発明のその他の代表的な実施態様に従って大気から二酸化炭素を除去するためのシステム(全般的に参照番号100で示される)のブロック図である。システム100は、再生可能エネルギー源110、任意の補充エネルギー源120、発電機130、空気抽出システム142、および、回収システム150を含む。本発明の実施態様は、再生可能エネルギー源110が、例えば原子力、地熱およびバイオマスエネルギー源のような、太陽光以外のあらゆる既知の、または、将来的に発見されるエネルギー源となり得るという点で図2の実施態様とは異なっている。好ましくは、再生エネルギー源は熱エネルギーを生産し、それを用いて電気を生成し、空気抽出システム142および回収システム150内で起こる様々な化学的および/または物理的反応の効率を改善することができる。これに関して、空気抽出システム142および回収システム150は、前述の実施態様を参照しながら説明したものと同じであってもよいし、または、あらゆるその他の既知の、または、将来的に発見される空気抽出および回収システムに関連する構成要素を含んでいてもよい。加えて、前述の実施態様を参照して図4で示したように、複数のシステム100を世界中に戦略的に設置してもよく、システム100の制御は、グローバルサーモスタットとして共同して機能するように調節することもできる。
【0029】
[0032]図6〜10は、本発明の原理に従って、二酸化炭素を大気から除去することができる数種の方法の概略図である。
[0033]具体的に言えば、図6では一対の基板600、602を説明しているが、これらはそれぞれ、大気と接触して大気から二酸化炭素を除去することができる媒体(例えばNAOH、アミン、または、その他の適切な吸着剤)を有する。基板600、602は、垂直に方向付けられたパンケーキ型であり(それらの厚さと比べて比較的面積が大きいという意味で)、それらははそれぞれ(表面積が)比較的大きくてもよく、さらに比較的薄くてもよい(例えば数ミリメートルの規模であり、好ましくは厚さが1メートルよりも薄い)。それぞれの基板は、空気から二酸化炭素を除去するために二酸化炭素を含む空気を基板によって担持された媒体と接触させる上部位置と、媒体から二酸化炭素を除去するために基板にプロセス熱が向けられる下部位置との間で移動することができる(例えば滑車または水力によるシステムによって、示さず)。基板600、602は大きい表面積を有する多孔質であるため、基板に向けられた空気は基板を通って流動することが可能である。基板が上部位置(例えば基板600の位置)に存在する場合、二酸化炭素を含む空気が(例えば点線で示されるファン604によって)基板に向けられると、結果として空気が基板を通って流動する際に、二酸化炭素が媒体と接触して、実質的に空気から除去される。従って、二酸化炭素を含む空気が基板に向けられ、それを通過すると、その結果として、二酸化炭素が媒体と接触した状態になり、二酸化炭素が媒体によって実質的に空気から除去され、さらに、二酸化炭素が実質的に除去された空気は基板から離れるように方向付けられる。基板が下部位置(例えば基板602の位置)に移動した場合、プロセス熱は(例えば流体管606を介して)基板に向けられ、(矢印608で示された方向に)基板に向けられた流体源と、媒体から除去された二酸化炭素を基板から離すように抜き出す吸引源610とによって二酸化炭素が除去される(抜き取られる)。基板600、602は上部位置と下部位置との間を交互に移動することもでき、その結果として、上部位置の基板が空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素が下部位置の基板から除去される。注目すべきことに、ファンではなく強い風が利用できる状況であれば、自然の風の流れを用いて、空気が基板を通って流れるようにすることができる。加えて、以下で説明されているように、ファンは、太陽光による駆動源(または、風力または熱による気流)で代用することができ、このような場合、大気中の空気からの二酸化炭素抽出にかかる効率およびコストの減少をさらに促進することができる。その上、当業者にとっては明らかであると思われるが、基板の位置を入れ替えるのではなく、空気流、プロセス熱のフロー、および基板から離れる二酸化炭素のフローを生成するための手段を、空気から二酸化炭素が捕捉され、続いて媒体から抽出される際に入れ替えてもよい。
【0030】
[0034]図7は、本発明の原理に係る、大気から二酸化炭素を除去するための媒体、および、その媒体から二酸化炭素を除去するための媒体のその他の形態の概略図である。具体的に言えば、図7では一対の基板700、702を説明しているが、それらはそれぞれ、大気と接触して大気から二酸化炭素を除去することができる媒体(例えばNAOH、アミン、または、その他の適切な吸着剤)を有する。基板700、702は水平に方向付けられており、これらはそれぞれ(表面積が)比較的大きくてもよいし、比較的薄くてもよい(例えばミリメートルまたはセンチメートルの規模であり、1メートル以下である)。それぞれの基板は、空気から二酸化炭素を除去するために二酸化炭素を含む空気を基板によって担持された媒体と接触させる空気抽出位置と、媒体から二酸化炭素を除去するために基板にプロセス熱が向けられる炭素抽出位置との間で水平に移動することができる(例えば滑車システムによって、示さず)。基板700、702は多孔質であるため、基板に向けられた空気が基板を通って流動することが可能である。基板が空気抽出位置(例えば基板700の位置)に存在する場合、二酸化炭素を含む空気が(例えば点線で示されるファン704によって)基板に向けられると、結果として空気が基板を通って流動する際に、二酸化炭素が媒体と接触して、実質的に空気から除去される。従って、二酸化炭素を含む空気が基板に向けられ、それを通過すると、その結果として、二酸化炭素が媒体と接触した状態になり、二酸化炭素が媒体によって実質的に空気から除去され、さらに、二酸化炭素が実質的に除去された空気は基板から離れるように方向付けられる。基板が炭素抽出位置(例えば基板702の位置)に移動した場合、プロセス熱は(例えば流体管706を介して)基板に向けられ、(矢印708で示された方向に)基板に向けられた流体の源と、媒体から除去された二酸化炭素を基板から離すように抜き出す吸引源710とによって二酸化炭素が除去される(抜き取られる)。基板700、702は空気抽出位置と炭素抽出位置との間を交互に移動することもでき、その結果として、空気抽出位置中の基板が空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素が炭素抽出位置の基板から除去される。注目すべきことに、ファンではなく強い風が利用できる状況であれば、自然の風の流れを用いて、空気が基板を通って流れるようにすることができる。加えて、以下で説明されているように、ファンは、太陽光による駆動源(または、風力または熱による気流)で代用することができ、このような場合、大気中の空気からの二酸化炭素抽出にかかる効率およびコストの減少をさらに促進することができる。その上、当業者にとっては明らかであると思われるが、基板の位置を入れ替えるのではなく、空気流、プロセス熱のフロー、および基板から離れる二酸化炭素のフローを生成するための手段を、空気から二酸化炭素が捕捉され、続いて媒体から抽出される際に入れ替えてもよい。
【0031】
[0035]図9に示される本発明の形態は、全般的には図7の水平に方向付けられた形態に類似しているが、図9の形態において、炭素を含む空気を空気抽出位置の基板(例えば基板900)を通って移動させる源はファンではなく、太陽熱を利用した塔またはチムニー(図9の912で図式的に示す)から生成したガスフロー源である。ソーラーチムニーは、空気の集合体を太陽で加熱することによって発電することができる。ソーラーチムニーは、太陽光によって加熱された空気をチムニーに集中させることを可能にする「スカート」(図9では点線913で示される)を有すると予想される。従って、ソーラーチムニーを有する太陽光エネルギー利用の現場は、図7に関連して示され説明された形で大気から二酸化炭素を除去し、媒体から二酸化炭素を除去するシステムおよび構造と連携していてもよい。しかしながら、二酸化炭素を含む空気の基板における一次駆動装置としてファン704を用いるのではなく、二酸化炭素を含む空気が太陽光エネルギーによって加熱されることにより、その空気が太陽漏斗または塔912中で上昇するようになる。熱い空気は上昇する傾向があるため、二酸化炭素を含む空気を運搬すると予想される上昇気流が生じ、従って基板900は、その上昇気流の通り道に配置されると予想される。従って、二酸化炭素を含む空気は、空気抽出位置中の基板900を通過するよう方向付けられると予想され、二酸化炭素は、図7で示しそれに関して説明したのと同じ方法で、炭素抽出位置における基板902から除去されると予想される。太陽光エネルギーによって空気からの二酸化炭素抽出を促進することによって、抽出コストをさらに低くすることができ、さらに操作全体を何度も繰り返しすることができる。当然ながら、日照がない期間に対する備えをする必要があると予想され、ファン704(図7)に類似したある種の形態の駆動装置が必要と予想される。ただしどのような場合においても、ファンの代わりに、太陽光による駆動源(または、風力または熱による気流)を用いる期間があるため、大気中の空気からの二酸化炭素抽出にかかる効率およびコストの減少をさらに促進することができる。
【0032】
[0036]図8は、本発明の原理に係る、大気から二酸化炭素を除去するための媒体、および、その媒体から二酸化炭素を除去するための媒体のさらにその他の形態の概略図である。図8において、媒体は、大気中の空気から二酸化炭素を除去し、それから二酸化炭素を除去するためのものであり、このような媒体は、例えば吸着剤800を含むペレットで構成されている連続移動する基板上に配置される。基板は空気抽出ゾーン814を通って移動し、ここで二酸化炭素を含む空気が基板(これも、前述の実施態様と同様に多孔質である)に向けられ、それを通過することによって、二酸化炭素が空気から除去される。続いて基板800は炭素抽出ゾーン816に移動し、ここでプロセス熱が基板に向けられ、図6、7に関して上述した形で炭素が基板から離れるように抜き出される。続いて基板800は熱交換ゾーン818に移動してそこを通過し、そこで基板の温度が(例えば、空気抽出ゾーン中で基板を通って流れた空気によって、さらにあらゆる追加の冷却装置によって)下げられるが、そのようにすることは、基板が抽出ゾーン814を通って戻ってくる場合に、空気から二酸化炭素を効率的に除去できるようなレベルに基板の温度を低くすることにおいて有用な可能性がある。加えて、図8のシステムはその他の炭素抽出ゾーン816を有していてもよく、そこでプロセス熱は基板に向けられ、図6、7に関して上述した形で炭素が基板から離れるように抜き出される。
【0033】
[0037]注目すべきことに、上述した本発明の全ての形態において、空気からの二酸化炭素の除去は、非平衡条件下でも少なくとも部分的に実施することができる。加えて、注目すべきことに、大気から二酸化炭素を抽出することに関する出願人の望ましい概念は、大気から二酸化炭素を除去する媒体(例えばアミン)と共に、比較的薄く大きい表面積を有する基板を用いること、および、媒体から二酸化炭素を除去するのにプロセス熱を用いることを含む。大気中の二酸化炭素は比較的低濃度であるために(例えば煙道ガス中で通常見出されると思われる比較的高濃度の場合とは対照的である)、比較的大面積を有し空気流方向に対して垂直な基板を用いることが特に有用である。
【0034】
本発明に係る二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去するための新規のシステム、構成要素および方法の概念
吸着剤構造および吸着剤の一般的な取り扱い
[0038]図12は、本発明の原理に従って吸着剤構造で用いることができる、コーニング(Corning)によってセルコール(Celcor(R))という商品名で製造されているタイプのセル状セラミック基板構造の概略図である吸着剤(例えばアミン)は高い表面積を有し、COを含む空気が基板を通って流動する際の圧力低下が少ないセル状セラミック基板であるセルコールの1またはそれより多くの内部に(例えばコーティングによって、または、その他の方法でそこに固定することによって)担持される。吸着剤構造は、例えばセル状セラミック基板であるセルコール(R)を複数含んでいてもよいし、または、図6に関連して上述したパンケーキ型(すなわち表面積が厚さよりもかなり大きい)タイプの基板を1つだけ含んでいてもよく、COを含む空気は、吸着剤構造のセルを通過するよう方向付けられる。また、セル状セラミック構造であるセルコール(R)に吸着剤材料を埋め込み、一体型吸着剤構造を形成することによっても、吸着剤構造を形成できることも考慮される。
【0035】
[0039]加えて、注目すべきことに、基板は、好ましくはセラミック、無機材料であるが、有機材料であってもよい。
[0040]COを含む空気は、好ましくはパンケーキ型の吸着剤構造を通過し、続いて、吸着剤構造が特定の飽和レベルに到達するか、または吸着剤構造の出口におけるCOレベルが特定の値に到達する(これは、COの破過が始まったことを意味する)まで、吸着剤構造はCOと結合する(COの破過は、有意な量の追加のCOがそれ以上吸着剤構造で捕捉されないほど吸着剤構造がCOで飽和していることを意味する)。
【0036】
[0041]吸着剤構造からCOを除去して回収する(および、吸着剤構造を再生する)ことが望ましい場合、以下で図10a〜hに関連してさらに説明される形で、吸着剤構造は二酸化炭素を含む空気ストリームから除去され、空気ストリームから、およびその他の空気進入源から孤立させる。続いて蒸気が吸着剤構造を通過する。まず最初にこの蒸気を凝集させ、その凝集による潜熱が吸着剤構造に移動させられると予想される。最終的に吸着剤構造が飽和温度に達すると、蒸気は凝集せずに吸着剤構造を通過すると予想される。凝集体、それに続いて蒸気が吸着剤構造を通過し、それを加熱する際に、吸着剤構造によって捕捉されたCOが吸着剤構造から遊離すると予想され、ここで、吸着剤構造からCOを開放するための反応に必要な熱を提供する際に、より高度に凝集した水が生産され、さらに蒸気によって吸着剤構造から押し出されるか、または、ファン/ポンプによって抽出されると予想される。従って、蒸気は、吸着剤構造を通過して吸着剤からCOを追い出すものであることから、加えてエネルギー効率にかかるコストの面からも、COと混合される蒸気の量を最小化したいと考えるであろう。従って、再生チャンバーから排出される際に凝集する(または凝集することができる)あらゆるものおよび凝集体を、再生チャンバーで生成した凝集体に加えて、再循環させることによって、それらを加熱して蒸気に戻して使用することができるこの技術は「蒸気ストリッピング」と称され、以下でもさらに説明される。
【0037】
図10a〜10fおよび10hに記載の垂直エレベーターの概念
[0042]図10a、10bは、本発明の原理に係る、二酸化炭素をCOを含む空気から除去することができる原理をさらに発展させた構造および方法の概念の概略図である。具体的に言えば、図10a、10bは、米国特許出願第12/124,864号の図6に開示された原理をさらに発展させたものである。図10c〜hならびに添付書類AおよびBはさらに、図10aおよび10bの構造および方法の詳細を示す。
【0038】
[0043]具体的に言えば、図10aでは、長方形の二酸化炭素捕捉構造1000が説明されており、この構造1000は、本明細書において説明されているような、COを含む空気と接触させてCOを含む空気から二酸化炭素を除去することができる吸着剤構造を有する。この長方形の二酸化炭素捕捉構造は、その厚さと比べて比較的大きい面積を有しており、COを含む空気のフローに対して垂直に方向付けられているという意味で、図6のパンケーキ型の基板に類似している。二酸化炭素捕捉構造1000は、上部部材1002(これは、好ましくは固体金属プレートである)、および、上部部材1002から垂れ下がる吸着剤構造1004を含む。吸着剤構造1004がCO2を含む空気のストリーム中に配置されている場合、吸着剤構造1004は、COを含む空気ストリームに大きい面積を有する面を晒しており、空気は、ファン1010または卓越風によってそこを通過するように方向付けられ、さらに吸着剤構造1004は、吸着剤構造を通過して流動する二酸化炭素と結合する吸着剤を担持しており、それにより、吸着剤構造を通過するように方向付けられた二酸化炭素を含む空気のフローから二酸化炭素を捕捉することができる。吸着剤構造1004は高い表面積を提供することから、COを含む空気が吸着剤構造1004を通って流動する際の圧力低下が少ない。
【0039】
[0044]二酸化炭素捕捉構造1000は、図10aおよび10bに関する概説で示され説明されており、さらにその詳細が図10c〜fおよび10hに関してさらに説明され示されたエレベーター構造による垂直の動きに耐えるようになっている。図10aで示すように、液圧シリンダー1006は、上部部材1002と連結されており、液圧シリンダーを周囲の環境から保護する構造的なフレーム1008中で動かすことができる。液圧シリンダー1006は、二酸化炭素捕捉構造1000を、二酸化炭素を含む空気のフローと同じライン上にある二酸化炭素を捕捉する位置と、再生位置(以下でさらに説明される)との間で選択的に移動させることができる。二酸化炭素を捕捉する位置において、二酸化炭素を含む空気のフロー(図10aでは「新鮮空気注入口」と表記される)は、(例えば、モーター1012で駆動するファン1010によって生じた誘引通風によって)二酸化炭素捕捉構造1000を通って引き込まれる。二酸化炭素を含む空気が、吸着剤の支持体構造1004を通って流動し、ここで吸着剤は二酸化炭素と結合することによって、二酸化炭素捕捉構造1000から排出される空気から、実質的に二酸化炭素が枯渇するように(好ましくは二酸化炭素の約95%が枯渇するように)空気から二酸化炭素を除去することができる。
【0040】
[0045]二酸化炭素捕捉構造1000は、(液圧シリンダー1006によって、または、それと類似した、二酸化炭素捕捉構造を吸着位置と再生位置との間で移動させるための機能を発揮すると予想される滑車システムによって)選択的に再生位置に移動することができ、ここで、二酸化炭素が吸着剤構造1004から分離されることによって、二酸化炭素を回収し封鎖し、さらに吸着剤構造を再生することができ、その結果、吸着剤構造は、二酸化炭素を含む空気のフローと同じライン上に存在する位置に戻り、二酸化炭素を含む空気のフロー中の空気から追加の二酸化炭素を除去することができる。再生ボックス1014は、二酸化炭素捕捉構造1000の下に配置される。再生ボックス1014は、好ましくは、5面が固体金属プレートであり、上部が開放されているため、二酸化炭素捕捉構造1000がボックス1014に向かって降下すると、上部プレート1002が、再生ボックス1014の上部で閉じられると予想される。再生ボックス1014は、熱を保存するために十分に断熱されており、(好ましくは、本明細書においてさらに説明されるように、コジェネレーションシステムおよびプロセスからの)プロセス熱のフローにより選択的に加熱されることが可能である。再生ボックス1014が(好ましくは本明細書において説明される「蒸気ストリッピング」プロセスによって)加熱されると、二酸化炭素が吸着剤構造から分離され、抜き取られることによって、二酸化炭素を封鎖することができる。二酸化炭素が吸着剤構造から分離され、再生ボックス1014から抜き出されると、吸着剤構造は再生され、その結果、二酸化炭素を含む空気のフローと同じライン上にある位置に二酸化炭素捕捉構造1000を移動させて、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去することができる。
【0041】
[0046]図10bは、図10aに記載の構造および技術の別の形態を図式的に説明しており、ここで、一対の二酸化炭素捕捉構造1000が提供され、その対のそれぞれは図10aの二酸化炭素捕捉構造に従って設計されており、それらはそれぞれ炭素を含む空気のフローと同じライン上にある炭素を捕捉する位置と再生位置との間で液圧シリンダー1002によって移動し、ここで、二酸化炭素捕捉構造は、図10aの再生ボックス1014のように設計され、それに類似した形で稼働する再生ボックス1014に向かって降下する。図10bおよび図10bに記載の炭素捕捉構造および技術の唯一の重要な違いは、図10bにおいて、一方の二酸化炭素捕捉構造は、常に二酸化炭素を含む空気のフローと同じライン上に存在することができ、一方で、他方の二酸化炭素捕捉構造は、図10aに関して上述した形で再生することができるという点である。従って、図10bにおいて(および、図6に示される方式に類似している形で)、二酸化炭素捕捉構造1000が上部位置(例えば図10bに示される上部位置)に存在する場合、二酸化炭素を含む空気は、吸着剤構造を通過するよう方向付けられ、その結果、吸着剤構造が二酸化炭素を含む空気中で二酸化炭素と結合するようになる。二酸化炭素捕捉構造1000が再生ボックス1014に向かって下部位置に移動する場合、プロセス熱は基板に向けられ、二酸化炭素が(ここでも、好ましくは本明細書において説明される「蒸気ストリッピング」プロセスによって)吸着剤の支持体構造から除去される(抜き取られる)。あるいは、一対の二酸化炭素捕捉構造1000は、上部位置と下部位置との間で移動させることもでき、その結果、上部位置中の二酸化炭素捕捉構造は、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去し、二酸化炭素は、下部位置中にある吸着剤構造から除去されるようになる。
【0042】
[0047]図10aおよび10bはそれぞれ、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去するため、および、二酸化炭素吸着剤構造を再生するための単一の吸着剤構造を示しているが(本明細書では、このような吸着剤構造はたびたびユニットとも称さる)、実際には、グローバルサーモスタットシステムは多数のユニットを有すると予想され、それらはそれぞれ、当業者には明白であると思われるが、上述の構造および技術に従って設計され稼働する。その上、図10hは、さらに詳細にエレベーター構造を示し、それを説明するものであり、図10c、d、eおよびfで示すように、エレベーター構造は、例えば一対の液圧シリンダーを含んでいてもよく、これらは吸着剤構造を通過する二酸化炭素を含む空気のフローに干渉しないように配置される。
【0043】
[0048]添付書類AおよびBは、図10a、10bの拡大したカラー画像であり、図10a、10bの実施態様に記載の構造および操作をさらに説明するコメントも併記した。
【0044】
[0049]さらに以下に、図10aおよび10bならびに添付書類AおよびBに記載の構造および技術の追加の特徴も示す。
a.低レベルのプロセス熱源/供給母管(典型的には低圧の蒸気)のための配管、バルブなど:これらは、図10a、10bならびに添付書類AおよびBに示される「寸法W」と平行に並べられた横一列の同一のグローバルサーモスタット(GT)ユニットの真下に設置された水平の一連のパイプラックであることが最も多いと予想される。グローバルサーモスタット(GT)ユニットの数をさらに上に向かって垂直に増やす場合、適切な高さに追加のプラットフォームレベルを有する構造を構築することによって、横一列の同一のGTユニットの一番下に、適度な高さの追加のプラットフォームレベルを含む構造に隣接して設置された垂直の母管または垂直の一連のパイプラックも存在することになる。
【0045】
b.低レベルのプロセス熱を返還する母管(典型的には低圧の蒸気の凝集体)のための配管、バルブなど:これは、図10a、10bならびに添付書類AおよびBに示される「寸法W」と平行に並べられた横一列の同一のグローバルサーモスタット(GT)ユニットの真下に設置された水平の一連のパイプラックであることが最も多いと予想される。グローバルサーモスタット(GT)ユニットの数をさらに上に向かって垂直に増やす場合、適切な高さに追加のプラットフォームレベルを有する構造を構築することによって、横一列の同一のGTユニットの一番下に、適度な高さの追加のプラットフォームレベルを含む構造に隣接して設置された垂直の母管または垂直の一連のパイプラックも存在することになる。
【0046】
c.任意の冷却用水供給(CWS)のための母管のための配管、バルブなど:これは、図10a、10bならびに添付書類AおよびBに示される「寸法W」と平行に並べられた横一列の同一のグローバルサーモスタット(GT)ユニットの真下に設置された水平の一連のパイプラックであることが最も多いと予想される。グローバルサーモスタット(GT)ユニットの数をさらに上に向かって垂直に増やす場合、適切な高さに追加のプラットフォームレベルを有する構造を構築することによって、横一列の同一のGTユニットの一番下に、適度な高さの追加のプラットフォームレベルを含む構造に隣接して設置された垂直の母管または垂直の一連のパイプラックも存在することになる。
【0047】
d.任意の冷却用水返還(CWR)のための母管のための配管、バルブなど:これは、図10a、10bならびに添付書類AおよびBに示される「寸法W」と平行に並べられた横一列の同一のグローバルサーモスタット(GT)ユニットの真下に設置された水平の一連のパイプラックであることが最も多いと予想される。グローバルサーモスタット(GT)ユニットの数をさらに上に向かって垂直に増やす場合、適切な高さに追加のプラットフォームレベルを有する構造を構築することによって、横一列の同一のGTユニットの一番下に、適度な高さの追加のプラットフォームレベルを含む構造に隣接して設置された垂直の母管または垂直の一連のパイプラックも存在することになる。
【0048】
e.CO(95.00モル%を超える)をCO産物貯蔵のための母管に送るための配管、バルブなど:これは、図10a、10bに示される「寸法W」と平行に並べられた横一列の同一のグローバルサーモスタット(GT)ユニットの真下に設置された水平の一連のパイプラックであることが最も多いと予想される。グローバルサーモスタット(GT)ユニットの数をさらに上に向かって垂直に増やす場合、適切な高さに追加のプラットフォームレベルを有する構造を構築することによって、横一列の同一のGTユニットの一番下に、適度な高さの追加のプラットフォームレベルを含む構造に隣接して設置された垂直の母管または垂直の一連のパイプラックも存在することになる。
【0049】
f.CO受け取り/貯蔵のための容器、および、高圧のCO除去パイプラインに連結または連携させるのに必要なあらゆる器具。
g.現存する工業施設(発電所、化学プラント、または、製油所など)における低レベルのプロセス熱源への供給および返還のための連携(配管、バルブなど):これは、通常の低圧の蒸気の供給/低圧の蒸気の凝集を返還するためのものであることが最も多いと予想される。
【0050】
h.現存する工業施設(発電所、化学プラント、または、製油所など)における低レベルの冷却源への供給および返還のための連携(配管、バルブなど):これは、通常の、または一般的な冷却用水供給(CWS)/冷却水返還(CWR)のためものであることが最も多いと予想される。
【0051】
i.全ての機器、全ての電気系設備(例えば変電所、配線など)、全ての汎用のコネクション(例えば計器用空気、飲料水など)、全ての安全停止システムなど:これらはまた、典型的なコンピューターデータの自動記録装置/コンピューターの制御システムを備えた制御室も含むと予想される。
【0052】
j.図10a、10bならびに添付書類AおよびBで示される遮断弁はいずれも、具体的に言えば「漏れが最小の」遮断弁またはTSO(tight shut−off(かたく締まる))遮断弁のいずれかであると予想され、どちらも実用性が最も高いか、または、実施可能性が最も高い。
【0053】
k.図10a、10bならびに添付書類AおよびBで示される遮断弁はいずれも、完全に自動化された遮断弁(モーター、液圧または空気圧のいずれかで操作される)と予想される。これらの遮断弁はいずれも、コンピューター制御のタイマー/シーケンサーシステムによって一緒に連動すると予想される。また、制御油ポンプおよびCO産物/再利用のためのガス送風機もコンピューター制御のタイマー/シーケンサーシステムに連結され、それにより連動すると予想される。
【0054】
l.本明細書において説明される好ましい吸着剤構造は、セル状基板のセルコール(R)の内部に担持された(例えば、コーティングされた、または、その他の方法で固定された)吸着剤材料(すなわちアミン)を含むが、このような吸着剤構造はまた、一体型吸着剤構造を形成するためにセル状構造であるセルコール(R)に吸着剤材料を埋め込むことによっても形成が可能であることも考慮される。
【0055】
m.酸素による吸着剤構造の汚染(これは、酸素が吸着剤構造を酸化することによって吸着剤構造を劣化させることに起因すると予想される)を回避するために、吸着剤構造を再生する前と後の両方に吸着剤構造周辺の環境から酸素を除去することが重要である可能性も認識されている。以下で、酸素を除去することができる手法を「パージガスを用いた蒸気ストリッピング」と称される技術と併せて説明する。
【0056】
蒸気ストリッピング
[0050]蒸気ストリッピングプロセスに関して考えられる2つの技術がある。1つの技術は、「蒸気のみを用いた蒸気ストリッピング」と称される。もう一方の技術は、「パージガスを用いた蒸気ストリッピング」と称される。いずれの技術も、図10gで図示されるシステム構成要素およびプロセス工程を利用する。
【0057】
[0051]「蒸気のみを用いた蒸気ストリッピング」と称される技術は、以下のようにして作用する:
a.空気を吸着剤構造中の経路に通過させ、吸着剤構造が特定の飽和レベルに到達するか、または、吸着剤構造の出口におけるCOレベルが特定の値に到達するまで(これは、COの破過が始まったことを意味する)、または、試験で決定した特定の期間、COを吸着剤構造によって空気から除去する。
【0058】
b.吸着剤構造を空気ストリームから除去し、空気流および空気の進入口から孤立させ、COを空気の外側に移動させる。
c.低圧の蒸気を吸着剤構造中の経路に通過させる。まず最初にこの蒸気を凝集させ、その凝集による潜熱を、吸着剤構造の前部にある吸着剤構造に移動させる。凝集による熱によって吸着剤構造の温度が上昇し、吸着剤構造からCOを脱離させるプロセスを駆動させるためのエネルギーが提供される。最終的に、吸着剤構造の前部は飽和温度に達し、遊離したCOが蒸気によって押し出されるか、または、ファンによって抽出されると予想される。このプロセスは、吸着剤構造の前部から吸着剤構造のより深いところに進行すると予想され、ここで蒸気はCOが遊離するまで進入する(注:排出された分画は、用いられた吸着剤構造および蒸気温度に依存すると予想される)。用いられる蒸気を最小限にし、さらに遊離したCOと共に混合される蒸気の量も最小限にしつつ吸着剤構造からのCO脱離を達成するために、適切な量の蒸気だけが提供されると予想される。凝集体およびそれに続いて蒸気が吸着剤構造を通過し、吸着剤を加熱すると、COが吸着剤構造から遊離し、蒸気および凝集体に移行すると予想される。凝集体のCOを「保持する」能力は限定的であり、一度飽和すると、「酸性化した」水はそれより多くのCOをまったく保持できなくなるために、それらが蒸気によって押し出されるか、またはファンで抽出される際にCOは蒸気相中に残存すると予想される。一度蒸気が吸着剤構造を通過すると、蒸気は凝集されてCOを放出する。これは、熱を除去するのに冷却用水を用いるコンデンサーで達成される。回収されたストリームにはある程度の蒸気が混入しているものと予想され、これは可能な限り最小化して、さらに蒸気をCOから分離するために蒸気を凝集させなければならない。あるいは、このような蒸気は、断熱されていないパイプまたはフィン付きのパイプ中で大気への放熱を利用して凝集してもよい。この熱はシステムへの放熱であるが、その代わりの方法としては、吸着工程(上記の工程1)で吸着剤構造から出る空気を利用して蒸気を凝集させる方法がある。それにより、吸着剤構造の出口における空気の温度は高められ、空気を吸着剤構造を通って移動させるための追加の駆動力が提供されると予想されるため、エネルギー必要量を減らすことができる。
【0059】
d.吸着剤構造からCOが除去されてしまったら、吸着剤構造は持ち上げられて空気ストリームに戻る。吸着剤構造は空気により冷却され、残った全ての水分が除去されると予想される。続いて、COが特定の破過が起こるまで吸着剤構造から除去され(工程1を参照)、続いて吸着剤構造を再生位置に降下させ、このプロセスが繰り返されると予想される。
【0060】
e.(吸着剤構造からCOを除去する)脱離プロセスからの凝集体は、COを飽和レベルで含む。この凝集体は飽和温度に近く(これは、COの除去を達成するのに必要な量の蒸気しかシステムに加えられないためである)、これをボイラーに再循環することによって、そこで施設(石油化学プラントまたは商用電力プラント)からの低圧の蒸気を用いて、吸着剤構造を加熱するのに用いられた蒸気を再生することができる。CO飽和蒸気の再利用により、大量の酸性水を処理する必要性がなくなる。
【0061】
[0052]「パージガスを用いた蒸気ストリッピング」と称される技術は、以下のようにして作用する:
a.空気を吸着剤構造中の経路に通過させ、吸着剤構造が特定の飽和レベルに到達するか、または、吸着剤構造の出口におけるCOレベルが特定の値に到達するまで(これは、COの破過が始まったことを意味する)、または、試験で決定した特定の期間、COを吸着剤構造によって空気から除去する。
【0062】
b.吸着剤構造を空気ストリームから除去し、空気流および空気の進入口から孤立させ、COを空気の外側に移動させる。
c.不活性ガスのパージを吸着剤構造に短時間で通過させて、吸着剤構造中の経路から酸素を除去する。
【0063】
d.低圧の蒸気を吸着剤構造中の経路に通過させる。まず最初にこの蒸気を凝集させ、その凝集による潜熱を、吸着剤構造の前部にある吸着剤構造に移動させる。凝集による熱によって吸着剤構造の温度が上昇し、吸着剤構造からCOを脱離させるプロセスを駆動させるためのエネルギーが提供される。最終的に、吸着剤構造の前部は飽和温度に達し、遊離したCOが蒸気によって押し出されるか、または、ファンによって抽出されると予想される。このプロセスは、吸着剤構造の前部から吸着剤構造のより深いところに進行すると予想され、ここで蒸気はCOが遊離するまで進入する(注:排出された分画は、用いられた吸着剤構造および蒸気温度に依存すると予想される)。用いられる蒸気を最小限にし、さらに遊離したCOと共に混合される蒸気の量も最小限にしつつ吸着剤構造からのCO脱離を達成するために、適切な量の蒸気だけが提供されると予想される。凝集体およびそれに続いて蒸気が吸着剤構造を通過し、吸着剤を加熱すると、COが吸着剤構造から遊離し、蒸気および凝集体に移行すると予想される。凝集体のCOを「保持する」能力は限定的であり、一度飽和すると、「酸性化した」水はそれより多くのCOをまったく保持できなくなるために、それらが蒸気によって押し出されるか、またはファンで抽出される際にCOは蒸気相中に残存すると予想される。一度蒸気が吸着剤構造を通過すると、蒸気は凝集されてCOを放出する。これは、熱を除去するのに冷却用水を用いるコンデンサーで達成される。回収されたストリームにはある程度の蒸気が混入しているものと予想され、これは可能な限り最小化して、さらに蒸気をCOから分離するために蒸気を凝集させなければならない。あるいは、このような蒸気は、断熱されていないパイプまたはフィン付きのパイプ中で大気への放熱を利用して凝集してもよい。この熱はシステムへの放熱であるが、その代わりの方法としては、吸着工程(上記の工程1)で吸着剤構造から出る空気を利用して蒸気を凝集させる方法がある。それにより、吸着剤構造の出口における空気の温度は高められ、空気を吸着剤構造を通って移動させるための追加の駆動力が提供されると予想されるため、エネルギー必要量を減らすことができる。
【0064】
e.空気ストリーム中で交換する前に吸着剤構造を冷却するために、吸着剤構造が特定の温度に冷却されるまで不活性ガスを吸着剤構造に通過させ、吸着剤構造を空気ストリームに戻した際に吸着剤構造へのダメージが起こらないようにする。
【0065】
f.一度吸着剤および冷却された吸着剤構造からCOが除去されてしまったら、吸着剤構造は持ち上げられて空気ストリームに戻る。吸着剤構造は空気によって冷却され続け、残った全ての水分が除去されると予想される。続いて、COが特定の破過が起こるまで吸着剤構造から除去され(工程1を参照)、続いて吸着剤構造を再生位置に降下させ、このプロセスが繰り返されると予想される。
【0066】
g.(吸着剤構造からCOを除去する)脱離プロセスからの凝集体は、COを飽和レベルで含む。この凝集体は飽和温度に近く(これは、COの除去を達成するのに必要な量の蒸気しかシステムに加えられないためである)、これをボイラーに再循環することによって、そこで施設(石油化学プラントまたは商用電力プラント)からの低圧の蒸気を用いて、吸着剤構造を加熱するのに用いられた蒸気を再生することができる。CO飽和蒸気の再利用により、大量の酸性水を処理する必要性がなくなる。
【0067】
[0053]注目すべきことに、上述の蒸気ストリッピング技術いずれにおいても、熱交換器によって連結された2つの閉じた蒸気ループを有する。1つの蒸気ループは、プロセス熱を供給してボイラーに戻り、それにより、蒸気ストリッピングを行うループが加熱されて熱い凝集体が生じる。もう一方の蒸気ループは、蒸気ストリッピングと吸着剤構造の再生を行う蒸気ループである。
【0068】
[0054]上述したように、蒸気ストリッピングは前述の形で行われるが、一方で吸着剤構造は、図10a、10bに関して示され説明されている再生ボックス1014中で処理される。吸着剤構造からCOが除去されてしまったら、続いて吸着剤構造は再生ボックス1014から持ち上げられて二酸化炭素を含む空気ストリームに戻る(これもまた、図10a、10bに関して示され説明されている通り)。吸着剤構造は二酸化炭素を含む空気ストリームによって冷却され、残った全ての水分が除去されると予想される。続いて、COが特定の破過が起こるまで吸着剤構造から除去されると予想され、続いて吸着剤構造は再生ボックス1014中の再生位置に降下する。
【0069】
吸着剤の特徴
[0055]一般的に、吸着剤構造を形成する吸着剤は、低温および低濃度でCOを吸着し(COと結合し)、高温および高濃度で再生する(なぜなら吸着剤構造によって捕捉されるCOは高いCO濃度を有すると予想されるためである)能力を特徴とする。COを含む空気中のCO濃度は、煙道ガス(主要な大気中へのCO発生源)中のCO濃度よりも300倍もの規模で低いため、COは、COを含む空気のストリームから周囲温度で(例えば、多くの気候において約20℃)捕捉され、さらに、上述の蒸気ストリッピングプロセスで用いられる蒸気の温度は、ラングミュア等温線またはラングミュア吸着等温式(当業者にはよく知られている)に基づき約100〜120℃の温度であり、COが捕捉される比較的低い温度では、吸着剤構造からCOを除去するのに必要な温度が高くなると予想されるため、吸着剤構造における吸着剤の適用率はあまり高くすべきではない。吸着剤の原料は好ましくはアミンであるが、多様な気候に応じて特定のアミン材料またはその他の適切な吸着剤に変更して、本発明のシステムおよびプロセスが使用される捕捉および再生サイクルごとに回収された正味のCO量を最適化してもよい。
【0070】
コジェネレーションおよびプロセス熱
[0056]上記で説明したように、本発明によれば、吸着剤構造からCOを除去し、吸着剤構造を再生するために、本明細書において説明される「蒸気ストリッピング」プロセスおよびシステムで用いられる蒸気を提供するのにプロセス熱が用いられる。また、プロセス熱がコジェネレーションプロセスおよびシステムによって提供されることも好ましく、ここで一次プロセス(例えば、石油化学プラント、商用発電施設(utility facility)など)によって蒸気が生産され、この蒸気が本発明のシステムに直接提供されて、吸着剤構造からCOを除去して吸着剤構造を再生するのに用いられる。
【0071】
[0057]発電所や石油化学プラントなどの工業プラントは、大量の蒸気を生成する。蒸気が生成する圧力が高ければ高いほど、達成可能な熱効率はより高くなり、さらに、コジェネレーションシステムの使用(ここでガスタービンは発電し、タービンからの熱いガスがより多くの蒸気を生成するのに用いられる)も、本発明の原理に係るCO捕捉システムおよびプロセスの総体的な熱効率を改善する。
【0072】
[0058]石油化学産業分野において、ポンプおよび圧縮機のための電気およびタービンドライバー、円柱型リボイラーに必要な温度および予熱の義務などの様々な組み合わせに応じて多くの様々な蒸気システムの設計がある。これらは、生成した蒸気の量に加えて、プロセスに蒸気が供給される圧力レベルの数にも影響を与える。これらの条件が与えられたと仮定すると、「典型的な」石油化学的な蒸気システム設計は、大きいボイラーおよびコジェネレーション施設によって超高圧(VHP)で蒸気を生成することを含む。このVHP蒸気は、モーターまたは圧縮機を駆動させるのに用いられるタービンに送られ、比較的低い圧力で排気の蒸気を生成する。次のレベルの蒸気はHPおよびMPであり、これらは、抽出タービンから提供されるか、または、VHP蒸気主管からの直接的な降下(let−down)によって提供される。最後の蒸気レベルはLPであり、これは、タービンからの出口の蒸気によって、さらに直接的な降下によって提供される。いずれの蒸気レベルも様々な使用者に蒸気を提供し、そこで余った蒸気は全て次の蒸気レベルに繰り越される。従って、LP蒸気は、それより高次の蒸気レベルで有効に用いることができなかった全ての蒸気を受け取る。石油化学系の施設において、様々なプロセスのセクションがオフライン状態である場合もあるし、または、始動している場合もあるし、中断している場合もあるし、または、異なる回数で設定速度よりも低い速度である場合もあるため、蒸気システムは柔軟でなければならないことを理解することが重要である。これは、蒸気が1つの機能(すなわち発電)を提供しさえすればよい商用電力プラントとは異なる。
【0073】
[0059]蒸気の値段は、圧力レベルに依存する。VHP蒸気の基本コストは、資本、および、発電にかかる運転費用によって決定される。しかしながら、蒸気がタービンを通過することによってその圧力が低下するたびにエネルギーが生成するので、それにより蒸気のコストが下がる。
【0074】
[0060]吸着剤構造からCOを排出するためにLP蒸気を使用する案において、典型的な大規模な石油化学系の施設の場合、以下の利点があると考えられる:
a.本発明で提唱されている蒸気レベル(2〜10psig)で必要とされる蒸気のコストは、一般的な施設の場合は極めて低いと予想されるが、これは、利用可能なLPの量に応じて施設によって様々であると予想される。
【0075】
b.およそ60psigの蒸気を必要とする従来のアミンを用いたシステムと比較すると、このレベルにおける蒸気のコストは、2〜10psigの蒸気の場合のコストよりも有意に高いと予想される。加えて、適切な60psigの供給が利用できないと予想されることから、追加のVHP蒸気を生成せざるをえない可能性が高い。これは、VHP蒸気の最も高いコストで料金がかかるか、または、電力を得るために追加のタービンを取り付けざるをえないと予想されるため(ただしこれは、有意な資本コストにも関連すると予想される)、60psigの蒸気のコストは高くなると予想される。
【0076】
[0061]ほとんどの発電所において、蒸気の供給は低圧のタービンから抽出され、システムへの給水を加熱することができる。このようにして抽出された蒸気は電気と工業的な熱とのコジェネレーションで生じるものであるため、提唱されている吸着剤構造からCOを除去するためのプロセスで使用するのに適していると予想される。この実施態様において説明された電気とCOとのコジェネレーションにおいて、極めて低い圧力(2lbより高い大気圧、および、約105℃の温度)を使用することが可能であり、さらに、使用されるプロセス熱は蒸気の潜熱だけであるため、凝集体を戻してボイラーを加熱することができる。電気と工業的な熱とのコジェネレーションは、発電量は低くなるが、生成した熱を有用なエネルギーに利用する全体的な熱効率を35〜10%から85〜10%に高める。従って、低温および低圧の蒸気(一般的には120℃、大気圧よりも2lb高い蒸気)に関しては、すぐ近くで使用することが望ましい。電気とCO捕捉とのコジェネレーションにおいて、施設を低温および低圧の蒸気を使用するのに十分近い位置に配置することができ、加えて、さらに低い圧力および温度の蒸気を使用可能にすることによって、および、ボイラーを熱するためにプロセス熱の蒸気ループで熱い凝集体を再循環させて戻すことによって、発電に与える影響、従って蒸気のコストを最小化することができる。
【0077】
図11a、11bの吸着剤でコーティングされたペレットの構造および概念
[0062]図11aおよび11bは、本発明の原理に従って、二酸化炭素を含む空気のフローから二酸化炭素を除去し、使用された吸着剤を再生して、二酸化炭素を吸収させるか、または、二酸化炭素に結合させることができるその他の構造および技術の2種の実施例を示す。
【0078】
[0063]図11aおよび11bに記載の構造および技術において、粒子、好ましくはペレットサイズの粒子は、重力によってペレット供給源/貯蔵庫1100に流動する。ペレットは吸着剤(例えばアミン)でコーティングされており、この吸着剤が、ペレットを通って流動する二酸化炭素を含む空気のフロー中で、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する。このようなペレットを、バルブ構造1102を通って空気と接触させる容器1104に選択的に供給することができ、さらに二酸化炭素を含む空気のフローをこの容器1104を通過するよう方向付けることによって、吸着剤が二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合して空気から二酸化炭素が除去されるようになる。再生用容器1106は、空気と接触させる容器1104の下に提供される。ペレットは選択的に再生用容器1106に方向付けることができ、ここでプロセス熱はペレットに対して向けられ、それにより吸着剤から二酸化炭素を除去し、吸着剤を再生することができる。続いて、再生した吸着剤を有するペレットは、垂直に持ち上げるための構造1108に向けられ、ここでペレットは再度、供給源/貯蔵庫1100に流動させることができる場所に向けられ、二酸化炭素除去プロセスが継続される。垂直に持ち上げるための構造1108は、例えば空気を送る構造、エレベーター、スクリューコンベアなどを含んでいてもよく、これらは、ペレットを、二酸化炭素除去プロセスを開始させることが可能な場所に戻るように方向付けるものである。図11aおよび11bに記載のシステムおよび技術の違いは、図11aに記載のシステムおよび技術において、二酸化炭素を含む空気は、空気と接触させる容器1104に含まれるペレットの集合体を通過して下方へ流動するが、それに対して図11bに記載のシステムおよび技術において、二酸化炭素を含む空気は、ペレットを通過して水平に流動し、続いて空気と接触させる容器1104に流動する点である。
【0079】
[0064]図11a、11bに記載の構造および技術は、二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去することにおいて有用であり、さらに除去においても有用である可能性がある。
【0080】
[0065]添付書類CおよびDは、図11a、11bの拡大したカラー画像であり、図11a、11bの実施態様に記載の構造および操作をさらに説明するコメントも併記した。
【0081】
[0066]注目すべきことに、図11a、11bに記載の構造は垂直に方向付けられているが、所定の構造(例えば粒子床)を傾けた状態(再生中に蒸気から凝集した水が粒子床の底に落ちやすくし、粒子床を詰らせないため)が望ましい場合があり、または、水平に方向付けられた状態でも望ましい場合がある(これもまた、凝集した水の問題に対処するためである)。
【0082】
空気ストリームを煙道ガスと組み合わせることに関する追加のコメント
[0067]本発明の原理は、COを含む空気と(例えば化石燃料プラントからの)煙道ガスとの組み合わせからCOを除去する新規の有用な方法に適用することができる。比較的大きい体積比(例えば98〜10%)のCOを含む空気が、比較的少ない体積の煙道ガス(これは、最終的にはCOを含む空気から除去されるはずの比較的高濃度のCOを含む)と共に流体ストリームを形成し、ここで煙道ガス中のCOが空気に十分なCOを追加することによって、CO除去にかかるコストをより有利にし、さらに、COを含む空気は煙道ガスを冷却するという点で利点も提供する。このような流体ストリームを形成することに本発明の原理を適用することによって、上述の本発明の原理はとりわけ効率的になると考えられる。比較的大きい体積のCOを含む空気中のCOはそれでもなお比較的低濃度であるが、出願人のパラダイムの基本概念によれば、少量の煙道ガスが流体ストリーム中のCO濃度を高め、周囲の流体ストリームからCOを除去する形で出願人のプロセスはさらによりコスト効率の高いものになる。同時に、周囲空気は、吸着剤としてアミンを用いてプロセスを機能させることができる形で煙道ガスを冷却するが、このプロセスは、吸着剤からCOを除去し低い温度範囲で再生し、アミンを効率的に再生することができるため、効率的であると考えられる。
【0083】
まとめ
[0068]従って、図10a〜10hに記載の構造および技術によれば、二酸化炭素を含む空気を、空気から二酸化炭素を除去するために二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を有する垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造1000を通過するよう方向付け、続いて、垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を再生のための囲い(regeneration enclosure)1014まで降下させ、ここで吸着剤から二酸化炭素を分離し吸着剤を再生するために、プロセス熱を二酸化炭素捕捉構造に向け、続いて二酸化炭素捕捉構造1000を、再生のための囲いから二酸化炭素を含む空気のフローが存在する位置まで選択的に上昇させ、その結果として、再生した吸着剤を連続的に使用して、二酸化炭素を含む空気のフローから二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合し、二酸化炭素を除去することが可能になる。さらに図11a、11bに記載の構造および技術によれば、吸着剤を有する粒子のフローを選択的に二酸化炭素除去チャンバー1104に供給し、ここで流体を二酸化炭素除去チャンバー中の粒子を通過するよう方向付け、その結果、吸着剤が二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合することにより流体から二酸化炭素が除去され、続いて粒子を炭素分離/再生チャンバー1106に方向付け、ここでプロセス熱をもちいて吸着剤から二酸化炭素を分離し、粒子が担持する吸着剤を再生することができ、続いて再生した吸着剤を有する粒子を粒子供給源に戻るように方向付け、その結果として、再生した吸着剤を有する粒子を再利用して、流体中の二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合することができるようになる。
【0084】
[0069]さらにその上、本発明の原理は、COを捕捉する方法に提供することができ、本方法は、COを含む空気のフローを提供し、続いてCOを含む空気のフローに(体積が)少量の煙道ガスを加えることによりCOを含む空気のフロー中のCO濃度と比較してCO濃度が有意に高められた流体フローを生産し、続いて、この流体フローを、流体中でフロー中でCOと結合する吸着剤構造に通過させるものである。
【0085】
[0070]従って、本発明の原理は、米国特許出願第12/124,864号で説明されている原理(具体的には、その出願の図6に記載の実施態様)をさらに発展させ、米国特許出願第12/124,864号の一般原則に従って、流体から二酸化炭素を除去する概念をさらに開示するために用いられる。当業者であれば、前述の開示を考慮して、本願の原理に従って流体から二酸化炭素を除去する様々なその他の方法は明らかになるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去する方法であって、
該方法は、
二酸化炭素を含む空気のフローを、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を有する垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を通過するよう方向付けることによって、該空気から二酸化炭素を除去すること、
垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を再生のための囲いに移動させ、プロセス熱を再生のための囲い中の二酸化炭素捕捉構造に向かわせることによって、吸着剤から二酸化炭素を分離し吸着剤を再生すること、および、
垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を、再生のための囲いから二酸化炭素を含む空気のフローが存在する位置まで選択的に移動させ、その結果、再生した吸着剤を連続的に使用して、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合して、二酸化炭素を含む空気のフローから二酸化炭素を除去できるようにすること、
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記垂直に方向付けられた炭素捕捉構造が、上部支持部材、および、上部支持部材から垂れ下がる吸着剤の支持体構造を含み、ここで前記再生のための囲いは実質的に密閉されており、ただし二酸化炭素捕捉構造が再生のための囲いに移動される際は、上部開口部は上部支持構造によって閉じられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造が提供され、それらはそれぞれ選択的に設計されており、かつ請求項2で説明されている形で機能することができ、ここで一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造の一方は、二酸化炭素を含む空気の軌道上にあり、一方で一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造のもう一方は、請求項2で説明されている形で、プロセス熱で加熱されることにより、吸着剤から二酸化炭素が分離され、吸着剤が再生される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造が提供され、それらはそれぞれ選択的に設計されており、かつ請求項1で説明されている形で機能することができ、ここで一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造の一方は、二酸化炭素を含む空気の軌道上にあり、一方で一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造のもう一方は、請求項1で説明されている形で、プロセス熱で加熱されることにより、吸着剤から二酸化炭素が分離され、吸着剤が再生される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
流体から二酸化炭素を除去する方法であって、該方法は、
粒子のフローを、選択的に粒子を二酸化炭素除去チャンバーに供給することができる粒子供給源に向かわせること(ここでそれぞれの粒子は、流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を担持しており、それにより流体から二酸化炭素を除去することができる)、
流体を、二酸化炭素除去チャンバー中の粒子を通過するよう方向付け、その結果、二酸化炭素が吸着剤に吸収または結合され、流体から二酸化炭素を除去できるようにすること、
二酸化炭素除去チャンバーからの粒子を、炭素分離/再生チャンバーに向かわせ、さらにプロセス熱を二酸化炭素分離/再生チャンバーに向かわせ、その結果、吸着剤から二酸化炭素を分離し、粒子が担持する吸着剤を再生するようにすること、および、
再生した吸着剤を有する粒子を粒子供給源に戻るように方向付け、その結果、この請求項で前述されたように、再生した吸着剤を有する粒子を再利用して、流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合できるようにすること、
を含む、上記方法。
【請求項6】
前記流体が、二酸化炭素除去チャンバー中の吸着剤を有する粒子の集合体を通過して下方へ向けられることにより、前記吸着剤が流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合できるようにする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記吸着剤を有する粒子が二酸化炭素除去チャンバー中で垂直に降下し、前記流体が、二酸化炭素除去チャンバー中で垂直に降下する吸着剤を有する粒子を通って水平に方向付けられることにより、二酸化炭素除去チャンバー中で垂直に降下する吸着剤を有する粒子上に存在する吸着剤が、流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合できるようにする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
二酸化炭素を含む空気から二酸化炭素を除去するシステムであって、該システムは、
空気から二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を有する、垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造、
垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を、二酸化炭素を含む空気のフローの軌道中に移動させるための動力手段;
再生のための囲い、および、垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を再生のための囲いに選択的に移動させるように設計された動力手段、
プロセス熱を再生のための囲い中の二酸化炭素捕捉構造に向かわせて、流吸着剤から二酸化炭素を分離し吸着剤を再生するための流体管、および、
再生した吸着剤を連続的に使用して、二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合して、二酸化炭素を含む空気のフローから二酸化炭素を除去するために、垂直に向けられた二酸化炭素捕捉構造を、二酸化炭素を含む空気のフローが存在する位置に選択的に移動させるように設計された動力手段、
を含む、上記システム。
【請求項9】
前記垂直に方向付けられた炭素捕捉構造が、上部支持部材、および、上部支持部材から垂れ下がる吸着剤の支持体構造を含み、ここで前記再生のための囲いは実質的に密閉されており、ただし二酸化炭素捕捉構造が再生のための囲いに移動される際は、上部開口部は上部支持構造によって閉じられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造が提供され、それらはそれぞれ選択的に設計されており、かつ請求項9で説明されている形で機能することができ、ここで一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造の一方は、二酸化炭素を含む空気の軌道上にあり、一方で一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造のもう一方は、請求項9で説明されている形で、プロセス熱で加熱されることにより、吸着剤から二酸化炭素が分離され、吸着剤が再生される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造が提供され、それらはそれぞれ選択的に設計されており、かつ請求項8で説明されている形で機能することができ、ここで一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造の一方は、二酸化炭素を含む空気の軌道上にあり、一方で一対の垂直に方向付けられた炭素捕捉構造のもう一方は、請求項8で説明されている形で、プロセス熱で加熱されることにより、吸着剤から二酸化炭素が分離され、吸着剤が再生される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
流体から二酸化炭素を除去するシステムであって、該システムは、
選択的に二酸化炭素除去チャンバーに粒子のフローを向かわせるように設計された粒子供給源(ここでそれぞれの粒子は、流体から二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素除去チャンバーに方向付けられる流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合する吸着剤を担持する)、
二酸化炭素除去チャンバーからの粒子を受け取るように配置された炭素分離/再生チャンバー、および、吸着剤から二酸化炭素を分離し、粒子が担持する吸着剤を再生するために、二酸化炭素分離/再生チャンバーにプロセス熱を向かわせる流体管、および、
再生した吸着剤を有する粒子を粒子供給源に戻るように方向付け、その結果、この請求項で前述されたように、再生した吸着剤を有する粒子を再利用して、流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合できるようにする、粒子を移動させるシステム、
を含む、上記システム。
【請求項13】
前記流体管が、流体を、二酸化炭素除去チャンバー中の吸着剤を有する粒子の集合体を通過するように下方へ方向付けることにより、吸着剤が流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合できるようにする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記粒子供給源および二酸化炭素除去チャンバーが、吸着剤を有する粒子が二酸化炭素除去チャンバー中で垂直に降下するように互いに向き合った状態であり、さらに、前記流体管が、二酸化炭素除去チャンバー中で垂直に降下する吸着剤を有する粒子を通過するように流体を水平に方向付けるように設計されることにより、吸着剤を有する粒子上に存在する吸着剤が二酸化炭素除去チャンバー中で垂直に降下して、流体中で二酸化炭素を吸収するかまたは二酸化炭素と結合できるようにする、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
COを捕捉する方法であって、該方法は、
a.COを含む空気のフローを提供すること、
b.COを含む空気のフローに(体積が)少量の煙道ガスを追加して、COを含む空気のフロー中のCO濃度と比較してCO濃度が有意に高められた流体フローを生産すること、および、
c.該流体フローを、流体フロー中のCOと結合する固体吸着剤構造に通過させること、
を含む、上記方法。
【請求項16】
前記二酸化炭素捕捉構造に向けられるプロセス熱が、コジェネレーションプロセスによって提供され、ここで一次プロセスから提供されるプロセス熱は、二酸化炭素捕捉構造に向けられる、請求項1または8に記載の方法。
【請求項17】
前記二酸化炭素捕捉構造に向けられるプロセス熱が、蒸気の形態で提供される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸気が二酸化炭素捕捉構造から捕捉された二酸化炭素を解放し、解放された二酸化炭素を予め決められた場所に輸送するような形で、前記蒸気が二酸化炭素捕捉構造に向けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化炭素捕捉構造に向けられるプロセス熱が、蒸気の形態で提供される、請求項1または8に記載の方法。
【請求項20】
前記蒸気が二酸化炭素捕捉構造から捕捉された二酸化炭素を解放し、解放された二酸化炭素を予め決められた場所に輸送するような形で、前記蒸気が二酸化炭素捕捉構造に向けられる、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10g】
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【図4】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図10f】
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【図10h】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−520766(P2012−520766A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500933(P2012−500933)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027700
【国際公開番号】WO2010/107942
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(509321996)
【出願人】(509322007)
【Fターム(参考)】