説明

二酸化炭素を導入するための方法

本発明は接着剤層の製造方法に関し、ここで、塩素化ポリオレフィンは、10〜13のpHを有する水性接着剤分散体およびさらなる添加剤を含有し、提供され、上記の接着剤をCOの導入により9.0以下のpHに調整し、その後、接着剤層を塗布する、ここで、分散体のpHを測定することにより、導入するCOの量を決定し、制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素化ポリオレフィンに基づく接着剤分散体中に、二酸化炭素を計量するための方法に関する。さらに、本発明は、二酸化炭素と反応して塗布できる状態の接着剤を与える水性接着剤分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロプレンに基づく溶媒含有接着剤は既知である。これに関し、溶液または分散体として接着剤を塗布した後、溶媒を蒸発させねばならない。この塗布方法は、時間がかかり、溶媒を含有するために、昨今の環境的要求を満たさない。分散体としての水性接着剤も同様に既知である。これに関し、接着剤分散体のアルカリ性のpHを調整するために、あらゆる剤が使用される。
【0003】
国際公開第01/77248号には、結晶性ポリエステル、ポリクロロプレン、アクリレートポリマー、さらなる熱可塑性樹脂、および選択された安定剤を含有する、水性接着剤分散体が記載されている。安定剤として、分枝状のアミノアルコールが記載されている。COを導入することによりpHを変えることは記載されていない。
【0004】
国際公開第98/53019号には、ホウ酸を含有するポリクロロプレンに基づく水性接着剤が記載されている。これに関し、アルカリ性のpHが確立されて、接着剤を使用することができる。pHは、ホウ酸またはアミノ酸を用いて調整される。塗布における変化は記載されていない。
【0005】
米国特許出願第6,087,439号には、脂肪族イソシアネートと共に接着剤として使用され得る、クロロブタジエンポリマーでできた水性分散体が記載されている。これに関し、イソシアネートを混ぜ合わせた後に、COを形成させている。これによってpHが変化した後、結果として、結合剤が析出し、続いて架橋される。
【0006】
独国特許出願公開第102008045805号には、ポリクロロプレンでできた水性分散体が記載されている。これは、pHに関し、COを用いて調整しているといえ、振動または撹拌によって炭酸が導入される。体積が測定され、正確なpH測定は行われていない。
【0007】
弱無機酸または弱有機酸を添加する際、分散体における酸の均一分散の問題が常に生じる。分散は、より高粘性の接着剤で特に困難であり、その結果、不均質な製品となる。これに関し、pH変化が化学反応によってももたらされるイソシアネートの添加は、高価であり、選択するイソシアネートによっては、健康有害性の点において問題でもある。
【0008】
上記の分散体を後に適用するためにCOを添加することによる、クロロプレン分散体のpHを変化させるための方法も記載されている。しかしながら、これに関して、種々の接着剤分散体に対して、再現性のあるpH値を確立する点において、問題が生じる。結合剤あるいは中和剤はバッチで製造されることが多いため、導入させたCOに対して、分散体の感度が異なる。水性相中への移行が、処理条件に依存することも多い。接着剤は、変動する中和挙動を示すため、必要となるCOの量が接着剤の成分の作用として変化する。不純物も、適当なpHを達成するために必要とされるCOの量に影響を与え得る。しかしながら、これらの異なる量のため、使用者にとって接着剤特性が異なることとなり、すなわち、規格化された結合処理が妨げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第01/77248号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/53019号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願第6,087,439号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102008045805号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術から、塩素化ポリオレフィンに基づく水性接着剤分散体のpH値を調整するための方法(これに関し、分散体中にCOを導入させる)を提供可能にするという課題が生じる。これに関し、必要となる気体のCOの量は、再現性のある利用および接着剤層の製造のためにモニターされる。その上、塩素化ポリオレフィンに基づく水性接着剤が利用可能となり、その接着剤はアルカリ性のpH範囲において安定であるが、導入されたCOによりpHが低下した結果、分散体から接着剤層をすばやく形成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、塩素化ポリオレフィンおよびさらなる添加剤を含有し、10〜13のpHを有する、貯蔵安定な水性接着剤分散体を提供し、上記の接着剤を、COの導入により9.0以下のpHに調整し、その後、接着剤層を塗布する、接着剤層の製造方法により達成され、この方法は、分散体のpHの連続測定により、導入されるCOの量が測定され調整されることを特徴とする。
【0012】
本発明の方法は、塩素化ポリオレフィンを主な結合剤として含有する、水性接着剤分散体に適する。このような分散体は、さらなるポリマーおよび補助剤を、追加的に含有することができる。それらは、好ましくは、溶媒を含まず、35〜80%の固形分を有する。それらは、通常、アルカリ性環境下で貯蔵安定であるが、pHを低下させた結果、不安定な相へと変化し得、その後、接着剤として塗布され得る。本発明のさらなる主題は、塩素化ポリオレフィンに基づく水性接着剤分散体であり、それは、所定量のCOを受け入れた後、長い加工時間を有する適用可能な接着剤を与える。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の主題は、接着剤層の製造方法であり、これに関し、10〜13のpHを有する貯蔵安定な形態における、本発明に適する接着剤の水性分散体は、添加され、共に混合された、気体のCOを含有する。COの添加によって、アルカリ性溶液のpHがより低くなる(すなわち、溶液がより酸性になる)ことは既知である。本発明の方法にしたがって、接着剤分散体は、COの導入によって均質化される。本発明の方法にしたがって、pH測定電極は、分散体中に存在する。COの計量の間、短い間隔でまたは連続的に分散体のpHを測定する。得られる分散体のpHが7.0〜9.0の範囲となるように、添加したCOの量を選択する。この範囲において、分散体は、まだ加工可能であるが、加工直後に凝固し、接着剤層を与える。
【0014】
pH測定用の既知の測定装置を、変換器として使用することができる。これは、連続測定を行うのに好ましい。例えば、片ロッド電極を使用することができる。このような電極および指示装置は、当業者に既知である。
【0015】
本発明の方法に関して、導入したCOを、確実に、混合容器内に均質に分布させるべきである。一態様では、例えば穴あき板を通して、気体を導入させ、上昇する気体によって分散体が均質化されるというような方法で働く。別の態様において、混合を、攪拌によりまたはポンプ循環により行う。本発明によれば、撹拌により混合を行うことが好ましい。導入されるCOの量は、pHによって決定される。本発明の方法において、出荷された状態から塗布状態(例えば、pH7〜pH9)までpHが変化する時間が、0.5分〜20分の時間で達成される場合が有利である。これは、導入させたCOの量、および、接着剤分散体の均質化の速度に影響され得る。当業者は、pHの機能としての適当な測定を、簡単な実験により、確実にすることが可能である。製造した多量の接着剤が、2〜15分間で必要なpHに調整される場合、特に有利である。pH平衡が、この時点で整えられる場合、有利である。
【0016】
本発明の方法でpH7〜9に調整した接着剤は、貯蔵安定であり、かつ、分散体として8時間までの時間で加工可能である。この分散体を、さらなるせん断加工または加熱を行うことなく塗布することができる。この塗布を、例えばノズル、ロール、ローラー、ドクターブレードを用いて、または特にスプレー塗布によって行うことができる。接着剤を、直接塗布することができ、あるいは、追加の気流によって、スプレーを補助することができる。スプレー塗布の間に、一部の水を蒸発させることも可能である。接触させた直後に、接着剤層が基材上に作られる。上記の層は、通常、もはや流動性ではなく、第2の基材に直ちに結合させることができる。しかしながら、それによって生じた接着剤層を、15分までの待機時間の後にのみ結合させることも可能である。軽い圧力を適用することにより、接着結合を補助することができる。これに関して、1つの基材に対してコートすることが可能であるが、両方の基材表面に対して相当する接着剤層を有するようにすることも可能である。いずれの理論にも関わらず、塗布および基材の結合に際し、接着性凝固、および結合される基材間の即座の接着が生じると考えられる。
【0017】
オープンタイムは、塗布できる状態の接着剤分散体に対して選択したpH、および導入したCOの量によって影響される。例えば7.8以下の、より低い範囲のpHを選択する場合、良好な加工が可能であり、基材の結合に際して、接着の迅速な強化が見られる。例えば8.0〜9.0の、より高い領域のpHを選択する場合、接着剤分散体の加工時間が増加する。これに関して、結合した基材の接着強化は、ややより遅く、加工および結合のためのオープンタイムは、より長い。
【0018】
本発明のさらなる主題は、塩素化ポリオレフィンを含有し、接触接着剤として適当な、水性接着剤分散体である。本発明の分散体ベース接着剤は、結合剤として、少なくとも1つの塩素化ポリオレフィンを含有する。このような結合剤の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブテン、ポリへキセン、ポリオクテン、ポリデセン、およびポリオクタデセンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリスチレン;p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエーテル、イソブチレン、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルアクリレート、アクリル酸、およびメタクリル酸などの置換モノマー含有ポリマー;ブタジエン−1,3イソプレン、および他のブタジエン−1,3炭化水素などの、同様のモノオレフィン重合性化合物であり、置換基として塩素を含有する。これらのポリマーを、重合の後に、溶解させたまたは溶融させた生成物として、塩素化を施すことができる。しかしながら、別の方法としては、塩素化させたモノマーとの共重合により、適当なポリマーをを生成する。このための既知のモノマーは、例えば、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、クロロプレン、スチレン、およびモノアルケニル芳香族アルキルハライド、塩化ビニルベンジル、p−クロロスチレン、3,5−ジクロロスチレン、p−トリクロロメチルビニルベンゼン、塩化ビニルベンジル−(4−塩化メチルビニルベンゼン)、または2,3−ジハロゲン−1,3−ブタジエンである。クロロスルホン化エチレンポリマーまたは塩化ゴムも適当である。
【0019】
約20〜75重量%の塩素含量を有する塩素化ポリマーが、好ましくは適当であり、例えば約20〜50重量%での塩素化ポリプロピレン/ポリエチレンまたはポリクロロプレン、または約60〜75重量%の塩素含量を有する塩素化ポリビニルクロリドである。ポリクロロプレンが特に適当である。塩素化ポリオレフィンを混合物において使用することができるが、1種のみのポリマーを使用することもできる。この種の塩素化ポリオレフィンは、市販されている。塩素化ポリマーの量は、接着剤分散体の全体に基づいて、20〜50重量%、特に25〜40重量%に等しくされることが意図される。それらは、特に水性分散体として使用される。これに関して、このような分散体は、pHが10〜13であるアルカリ性溶液として存在する。
【0020】
さらなるベースポリマーを、本発明に適する接着剤中に、さらに含有させることもできる。これらは、例えば、(メタ)アクリレートコポリマー、スチレンコポリマー、スチレンアクリレート、またはスチレンブタジエンであり得る。このようなポリ(メタ)アクリレートは、例えば、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、クロトン酸のエステル、またはマレイン酸のエステルなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステルの共重合により得ることができる。既知の(メタ)アクリル酸エステルのC〜C12アルキルエステルを重合することが好ましい。これに関し、官能性モノマー、例えばOH基またはCOOH基を有するモノマーを含有させることもできる。さらなる共重合性モノマー、例えばエチレン、スチレン、置換スチレンを含有させることもできる。これによって、官能性または非官能性コポリマーが得られ、このコポリマーは、高いガラス転移温度(T)または低いTを有し得る。
【0021】
スチレン共重合体は、別の種類のベースポリマーである。これらは、スチレンおよびその誘導体の共重合体である。ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、および/またはアクリレート構造などの、追加の構造単位を含有してもよい。これらのさらなるポリマーを、分散体として製造することもでき、既知の界面活性剤を用いて任意に安定化させることができる。この種類のアクリレートポリマーまたはスチレンコポリマーは、分散体として、溶液として、または溶媒を含まない形態において、市販されている。追加のベースポリマーの量は、接着剤分散体に基づいて、5〜35重量%にされ得る。
【0022】
可塑剤は、適当な接着剤のさらなる成分である。これらの可塑剤は、流動性または接着剤層の柔軟性を調整するために好ましく使用される。適当な可塑剤は、例えば、医療用白色鉱油、ナフテン系鉱油、ポリプロピレンまたはポリブチレンまたはポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、安息香酸エステル、フタレート、またはアジペートである。水素化された可塑剤、例えばパラフィン系炭化水素油、またはポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびポリメチレングリコールも適当であり、アルキルモノアミンおよび脂肪酸も同様に使用できる。可塑剤として、エステル、例えばフタル酸エステル、安息香酸エステル、またはアジピン酸エステルを使用することが好ましい。可塑剤は、通常、0〜25重量%、好ましくは1〜15重量%の濃度で含まれる。
【0023】
さらに、接着剤分散体は、添加剤として、少なくとも1つの界面活性物質を、接着剤分散体全体に基づいて0.01〜5重量%、追加的に含有することができる。これは、消泡剤、界面活性剤、湿潤剤などの、水と比較してより低い表面張力の物質であると理解される。原則として、それらは、親水性基および疎水性基、特に親油性基を含有する。含有させる界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、または両性、またはそれらの2種以上の混合物であり得る。
【0024】
適当なアニオン性界面活性剤の例は、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェートおよびアルキルアリールエーテルサルフェート、例えばアルキルフェノールエーテルサルフェート、脂肪アルコールおよび脂肪アルコールエーテルスルホネート、特にアルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、タウリド、任意にエトキシ化されたスルホコハク酸エステルおよびスルホコハク酸の半エステル、カルボン酸(例えば脂肪酸)のアルカリ塩およびアンモニウム塩、リン酸部分エステルおよびそれらのアルカリ塩およびアンモニウム塩であり得る。
【0025】
両性界面活性剤の例は、N−アルキル−ジ(アミノエチル)グリシンまたはN−アルキル−2−アミノプロピオン酸塩などの長鎖置換アミノ酸、N−(3−アシルアミドプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩またはアルキルイミダゾリウムベタインなどのベタインである。
【0026】
非イオン性界面活性剤の例は、アルキルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールEO/PO付加物およびアルキルフェノールEO/PO付加物、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー(約8〜約50のEOまたはPO単位を有することが好ましい)、アルキルアミン、脂肪酸および樹脂酸の付加生成物、8〜約24個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状、飽和または不飽和アルキル基および1個のオリゴグリシジル基を有するアルキルポリグリコシド、天然物質およびその誘導体、例えばレシチン、ラノリン、またはサルコシン、極性基含有直鎖状有機(ポリ)シロキサン、特に10個以下の炭素原子を有するアルコキシ基および約50個以下のEOまたはPO基を有するもの。
【0027】
pHを調整するための剤は、本発明により適する接着剤の重要な成分である。塩素化ポリオレフィン分散体は、通常、アルカリ性媒体中で安定であり、これに関し、pHは10〜13に等しくなる。これは、中和剤の選択および量によってもたらされ得る。例えば水酸化アルカリまたは水酸化アンモニウム、炭酸塩、または第3級有機アミンなどの塩基を含有させることができ、例えば、NaCO、KCO、NaHCO、KHCO、NaPO、NaHPO、CaCO、Ca(OH)、NaOHまたはKOH、DBU、DBN、またはホウ砂である。上記のpHを確立する混合物を使用することが好ましい。接着剤系を安定化させる緩衝溶液を形成する。
【0028】
通常の補助剤および添加剤を、接着剤にさらに添加することができる。これらは、安定剤、顔料、または接着促進剤であり得る。これらを、通常、接着剤分散体の5重量%以下の量、好ましくは約0.1〜3.0重量%の量で添加する。分散体の有機溶媒含量を、(3重量%未満に)低くすることが意図される。特には、溶媒を添加しない。接着剤は溶媒を含まず、出発物質からの不純物のみが存在する。
【0029】
接着剤は、分散体の状態で存在する。出発物質、例えば塩素化ポリオレフィンの分散体、特にクロロプレンの分散体、およびさらなる結合剤の分散体、例えばポリアクリレートまたはスチレンコポリマーの分散体が、水性分散体の状態で、すでに存在し得る。これらの分散体を混合することができ、これに関して、安定な混合物が得られるように、この場合(上記のように)アルカリ性のpH範囲に、pHを調整することに注意すべきである。さらなる添加剤をここに混合し、分散させることができる。
【0030】
接着剤は、約200〜5000mPas(25℃で、Brookfield、EN ISO 2555により測定)の粘性を有し、特に、粘性は200〜2000mPasにされる。分散体の成分は、全固形物が、35〜80重量%、特に45〜65%に等しくなるように選択される(固形物は、DIN 53189により、105℃で測定)。
【0031】
したがって、pHが10より高い貯蔵安定な接着剤分散体が得られる。分散体のpHが低くなる際、分散体が不安定な相へと移行する。pHがさらに低下するに際して、固形物が析出する。接着剤が凝固し、もはや塗布できない。本発明の接着剤は、特に、不安定な形態としての、(COで調整した)7.0〜9.0の低いpHを有する接着剤分散体としても理解される。
【0032】
水性接着剤の本発明による形態は、塩素化ポリオレフィン20〜50重量%(固形物)、さらなるポリマー5〜35重量%、可塑剤0〜25重量%、および界面活性剤0.01〜5重量%、ならびに中和剤および水で構成され、全固形物は、40〜80%に等しくなる。好ましい態様では、pHが7.0〜9.0になるような量で溶解させたCOを、追加的に含有する。本発明の接着剤は、特に、ポリクロロプレン25〜40重量%、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはスチレンコポリマー5〜35重量%、エステルベース可塑剤0.1〜15重量%、およびアニオン性または非イオン性界面活性剤0.1〜5重量%、ならびに中和剤および水を含有し、全固形物は45%〜65%に等しくなることが意図される。本発明の接着剤を、特に本発明の方法において、使用することができる。
【0033】
本発明のさらなる主題は、本発明の方法を提供するためのおよび行うための装置である。装置に必須の構成要素は、攪拌容器である。これは、なめらかな、掃除しやすい内部表面であるように選択される。さらに、その形状は、撹拌の間にデッドボリュームが存在しないように構成される。反応容器は、対応する攪拌ユニット、例えばパドル攪拌装置を含む。対応する反応容器を、流入および流出を通して、貯蔵安定な接着剤分散体で満たすことができる。
【0034】
この反応容器は、さらに、pH測定電極および気体の導入装置を備える。電極は、水性接着剤分散体が満たされる高さになるように配置され、その中に浸され、連続測定が可能となる。気体注入口は、通常、攪拌装置容器の下部に位置するように配置される。したがって、中に流れ込む気体(この場合はCO)は、それにより、分散体の中に導入され、撹拌により、分散体と均質化される。
【0035】
任意に存在する装置の構成要素は、過圧弁である。過圧弁は、予定される液面の上方に位置するように配置される。接着剤分散体中にCOを導入しすぎたとしても、容器内が過圧状態になることができず、過剰のCOを排出できるようにすることを意図している。
【0036】
本発明に従う装置は、さらに、反応容器中の溶液のpHを測定する制御装置を含む。上記の装置は、所定のpH値が設定される設定要素を有する。実際の値が目的とする値と異なるならば、COの添加が調節される。目的とする値に達する際、COの導入が中断されるか、あるいは、本発明の別の態様では信号装置を含む。後者は、目的とする値に達する際、使用者がはっきりと認識できる方法で、警戒信号(例えば信号音)が発せられる。
【0037】
本発明の方法によれば、所定量の貯蔵安定な接着剤分散体を混合装置中に入れる。その後、COの導入を開始し、pHを連続的に追跡する。あらかじめ設定した、目的とする分散体のpHに達する際、COの導入を減少または中断させる。その上、警戒信号が発せられ、使用者に目的とする値に達したことを知らせる。1つの方法によれば、その後、接着剤を貯蔵容器としての反応容器中に残すことができる。導入された接着剤の一部が、塗布される特定量で、流出口から取り出される。この取り出された量の接着剤を、例えばスプレー装置を通して、基材上に塗布することができる。別の方法においては、反応容器から処理できる状態の接着剤を出し、空にする。
【0038】
本発明に従う装置により、本発明の方法を簡便なやり方で行うことが可能となる。
【0039】
本発明の方法を、あらゆる基材に対して使用することができる。例えば、固体基材、剛体基材、または軟質基材を、互いに結合することができる。これらは異なる物質から製造されてよく、これらの物質は、天然のもの、例えば木材、MDF、天然繊維でできた繊維製品、ガラス、皮等であってよい。しかしながら、ポリマーまたは金属に基づく基材も、接着結合される。基材は固体であり得るが、軟質基材、例えばフィルムまたはフォームでもあり得る。同一基材を互いに結合させることができ、異なる基材を互いに結合させることもできる。本発明の方法に関して、少なくとも1つの基材が吸収性である場合、有利である。接着剤層を1つの基材上に塗布することができるが、接着結合する両方の表面を接着剤でコートすることもできる。当業者により、異なる基材に適する方法で、量が選択される。
【0040】
本発明により使用できる接着剤は、実質的に溶媒を含まないという利点を有する。このことは、有機溶媒で作業環境が汚染されるのを防ぐ。追加の化学架橋剤が存在する必要がないため、接着のより早い強化が確保されることがさらに有利である。さらには、接着剤を、届けられたままの状態で、その特性を失うことなく、より長い期間、貯蔵することができる。正確に測定されたCOの量により、再現性のある接着剤の特性および接着剤層の特性が得られるため、均一な加工が可能となる。
【0041】
本発明の方法は、使用前に、予め設定した値までpHが低くなるように、COが接着剤に添加されるという利点を有する。この方法のために、再現性のある均質で迅速な接着結合が、接着剤を用いて、例えより長い加工時間を有するにしても可能となる。分散体の量において、気体が均質化されるため、pHの均一な低下が可能となる。溶液のpHにより、導入されるCO量が制御された結果、異なる接着剤バッチで、および、異なる加工条件(例えば異なる混合装置、異なる混合温度、または異なる熟成)下でさえ、それぞれの場合において、再現性のある加工が可能な接着剤分散体が製造される。したがって、製造された接着を確認するための検査結合を省略することができ、自動化された方法が可能である。
【0042】
対応する接着剤は、湿式塗布接触接着剤として使用することができる。これに関し、接着剤層の結合は、残留水分が示される限り生じる。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〕
混合物を以下から製造する。
【表1】

【0044】
成分を高速撹拌系で混合する。その結果、固形分約55重量%を有する貯蔵安定な接着剤が得られる。pHは約12である。接着剤の粘度は、約300mPasである。
【0045】
接着剤混合物2500gを、パドル攪拌装置を有する容器中に準備する。水面下方の導管を通じて溶液中へCOを導入し、撹拌しながら混合物を均質化する。混合容器は、pHを直接に測定するpH電極を備える。10分後にpH7.6に達するように、COの量が計量される。
【0046】
処理できる状態の接着剤は、室温で5時間より長い貯蔵安定性を示す。
【0047】
導入されたCOを含有する接着剤の粘度は、300mPasである。
【0048】
接着剤を、スプレー塗布により、200g/mの層厚で、基材上に塗布することができる。
【0049】
以下の基材のそれぞれの試験試料(5×10cm)をコートする:
アルミニウム、MDF、軟質フォーム材料、PVC、硬質フォーム、無垢材。
【0050】
接着剤塗布の後、試験試料を2分間放置し、その後、同一の(コートされていない)基材と、わずかな圧力で結合する。
【0051】
コートされた木製基材を、それぞれ、他の基材に結合させると、類似する結合が生じる。
【0052】
初期接着および最終接着は良好である。
【0053】
接着結合の破壊は、基材内部の材料破壊となる。
【0054】
本発明の実験におけるCOの量は決定されている。この量は、同量の分散体中に導入される。
比較例1:撹拌装置なし
比較例2:40℃で、攪拌装置あり
比較例3:6ヶ月貯蔵した分散体を有する。
【0055】
接着剤分散体のpHを測定する。測定値は、7.2〜8.0である。接着結合は、異なる接着性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素化ポリオレフィンおよびさらなる添加剤を含有し、10〜13のpHを有する、水性接着剤分散体を提供し、該接着剤をCOの導入により9.0以下のpHに調整し、その後、接着剤層を塗布する、接着剤層の製造方法であって、分散体のpHを測定することにより、導入するCOの量を決定し調整する、方法。
【請求項2】
COの導入に際し分散体が均質化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
0.5〜20分、特に2〜15分の混合時間で所望のpHに調整されるように、COを導入させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
分散体は、200〜5000mPas(20℃、EN ISO 2555)の粘度を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
分散体は、7.0〜9.0のpHに調整され、40〜80%の固形分を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
接着剤をスプレーにより塗布する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
コートされた基材表面を、特に1つの基材が吸水性表面を有するように、第2の基材表面に、圧力下で接着結合させる、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
コートされた基材表面を、結合前に1〜15分間放置する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項10〜15のいずれかに記載の接着剤を使用する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
硬質基材、軟質基材または可撓性基材を接着結合するための、請求項1〜9のいずれかにより製造した接着剤層の使用。
【請求項11】
フィルム、皮、繊維製品、木、木材、金属、硬質フォーム、軟質フォーム、ガラス、セラミックまたは他のポリマーでできた基材を接着結合するための、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
湿式接触接着剤としての、請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2013−501836(P2013−501836A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524197(P2012−524197)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061246
【国際公開番号】WO2011/018386
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】