説明

二酸化炭素発泡低密度軟質微細セルポリウレタンエラストマー

【課題】軽量靴底成分としての使用に適した 0.3 g/cc 以下の密度を有する微細セルポリウレタン軟質フォームを、ポリウレタン形成混合物が 0.03〜0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するような量で二酸化炭素を用いて製造する。
【解決手段】a)少なくとも 1.7 のヒドロキシル官能価及び 1,000〜 12,000 Da の分子量を有するポリオール、b)触媒、c)界面活性剤、d)任意に架橋剤、e)任意に水、及び f)溶存二酸化炭素を含んでなり、(1)溶存二酸化炭素は、0.1〜0.8 g/cc のイソシアネート反応性成分発泡密度を生ずるのに十分な量で存在し、(2)溶存二酸化炭素 + 水とイソシアネートとの反応中に生じた二酸化炭素の総量が、0.03〜0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するポリウレタン形成反応混合物を生ずる、低密度多孔性ポリウレタンの製造のためのイソシアネート反応性成分。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形された靴底、インソール及び中物の製造に適した低密度軟質微細セルエラストマー、このような微細セルエラストマーの製造に有用なイソシアネート反応性成分、このような微細セルエラストマーの製造に有用なイソシアネート末端プレポリマー、このようなイソシアネート反応性成分及び/又はイソシアネート末端プレポリマーからのこのような微細セルエラストマーの製造方法に関する。該方法では、(1)二酸化炭素が、ポリウレタン形成反応混合成分の一方又は両方の中に、この成分の発泡密度が約 0.1〜約 0.8 g/cc となるのに十分な量で溶解し、(2)溶存二酸化炭素 + イソシアネートと水との反応中に生じた二酸化炭素の総量は、約 0.03〜0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するポリウレタン形成反応混合物を製造するのに十分な量である。
【背景技術】
【0002】
履物、特に運動用靴向けのクッション性のあるソールは、一般に、EVA(エチレンビニルアセテート)微細セルフォームから製造される。このようなフォームの加工は簡単ではなく、フォーム自体も最適な性質を有さない。しかしながら、このようなフォームは、非常に低い密度範囲、即ち 0.1 g/cc〜0.35 g/cc で使用できるため、使われ続けている。
【0003】
ポリウレタンポリマーは、一般に、EVA ポリマーより優れた物理特性を示す。しかしながら、低密度でポリウレタン微細セルエラストマーの成形を試みると、多くの問題が生ずる。最終用途で必要とされる硬度のため、相当量の低分子量鎖延長剤が必要となる。水発泡微細セルフォームでは、形成された尿素の短セグメントが配合物の加工性を悪くし、部材に収縮及び分裂を生ずる。物理特性も妥協される。これらの問題が、低密度(< 0.35 g/cc)ポリウレタン微細セルエラストマー、とりわけ超低密度(< 0.30 g/cc)ポリウレタン微細セルエラストマーの使用を妨げてきた。
【0004】
微細セルポリウレタンエラストマーの最も商業的に重要な用途の 1 つは、靴底の製造である。これらのエラストマーは、一般に、イソシアネート末端プレポリマー、ポリオール、鎖延長剤、発泡剤及び界面活性剤から製造される。これらの微細セルエラストマーの特性は、一般に、エラストマーを調製するために使用される特定のプレポリマーに起因する(例えば、米国特許第 5,246,977 号明細書及び同第 5,849,944 号明細書)。
【0005】
米国特許第 6,458,861 号明細書は、より均一なセル構造、及び既知の微細セルエラストマーより改善された物理特性を有する二酸化炭素発泡低密度軟質微細セルポリウレタンエラストマーを開示している。これら特性の向上は、ポリウレタン形成反応成分の一方又は両方の中の二酸化炭素発泡剤の溶解に起因する。水が第二の発泡剤として含まれる米国特許第 6,458,861 号明細書は、同じ密度を有する全水発泡微細セルエラストマーを製造するのに必要な総水量の 50 重量%未満の量で、水を使用すべきであると教示している。
【特許文献1】米国特許第 5,246,977 号明細書
【特許文献2】米国特許第 5,849,944 号明細書
【特許文献3】米国特許第 6,458,861 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、軽量靴底成分としての使用に適した 0.3 g/cc 以下の密度を有する微細セルポリウレタン軟質フォームを、ポリウレタン形成混合物が約 0.03〜約 0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するような量で二酸化炭素を用いて製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
低密度、特に超低密度のポリウレタン軟質微細セルエラストマーは、このような微細セルエラストマーを調製するのに適切であるとこれまで予想されていた量より少ない溶存二酸化炭素及び任意により多い水を含む発泡剤組成物によって調製され得ることが、意外にも見出された。溶存二酸化炭素の最適な量は、二酸化炭素が溶解しているポリオール及び/又はイソシアネート成分の発泡密度を、約 0.1〜約 0.8 g/cc、最も好ましくは約 0.2〜約 0.4 g/cc とするのに必要な量であることが見出された。以下に記載する特徴を満たすイソシアネート反応性成分及び/又は以下に記載する特徴を満たすイソシアネート末端プレポリマーを含む反応混合物用の発泡剤として、溶存二酸化炭素を水と組み合わせて使用する場合、溶存二酸化炭素 + イソシアネートと水との反応によって生じた二酸化炭素の総量は、約 0.03〜約 0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するポリウレタン形成反応混合物を製造するのに十分な量でなければならない。本発明に従って製造されるポリウレタンは、低密度での比較的高い硬度を含む機械的特性を示し、この特性により、それらは靴底成分での使用に極めて適している。
【0008】
本発明は、0.3 g/cc 以下の密度を有する軟質微細セルポリウレタンエラストマーに関する。このような微細セルエラストマーは、エラストマー状又は「ゴム状」であり、高圧 RIM(反応射出成形)法によって製造され、フェンダー、バンパー及びダッシュボードのような自動車部品を製造するために通常使用されている微細セル硬質及び半硬質フォームと混同すべきではない。本発明の微細セル軟質ポリウレタンエラストマーは、従来の多孔性軟質ポリウレタンフォームとも混同すべきではない。従来の多孔性軟質ポリウレタンフォームが、肉眼による検査によってはっきり見える粗いセル構造を有しているのに対し、微細セルエラストマーは、非常に小さいセル(即ち、200 μm 以下、一般には 100 μm 以下の平均セルサイズ)を有する。本発明のエラストマーの微細セル性は、しばしば、顕微鏡によって検査しなければ、微細セルポリウレタン部分に加えられた「テクスチャー」としてのみ観察できる。微細セルエラストマーとは異なり、従来のポリウレタンフォームは、通常、その大きいセルサイズのため 2 lb/ft3(0.17 g/cm3)以下の密度で調製される。
【0009】
本発明は、本発明の微細セルポリウレタンの製造において特に有用なイソシアネート反応性成分にも関する。
【0010】
本発明は更に、本発明の微細セルポリウレタンの製造に特に有用なイソシアネート末端プレポリマーに関する。
【0011】
本発明はまた、微細セルポリウレタン、特に成形微細セルポリウレタンの製造方法も対象としている。該方法では、二酸化炭素が、本発明のイソシアネート反応性成分及び/又は本発明のイソシアネート末端プレポリマー中に、二酸化炭素が溶解している成分の発泡密度が約 0.1〜約 0.8 g/cc となるような量で溶解しており、ポリウレタン形成反応混合物中の総二酸化炭素量(即ち、溶存二酸化炭素 + イソシアネートと水との反応によって生じた二酸化炭素の総量)は、フォーム形成混合物が約 0.03 g/cc〜約 0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するような量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明で使用している用語「ポリウレタン」は、ウレタン結合に加えて、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、オキサゾリニル、イソシアヌレート、ウレトジオン、ウレア及び他の結合も少量(即ち 5 %未満)含み得る、繰り返し単位の間に主にウレタン(-NH-CO-O-)結合を含む構造を有するポリマーを意味する。
【0013】
微細セルポリウレタンエラストマーは、イソシアネート成分とイソシアネート反応性成分との反応によって調製される。加えて、界面活性剤、触媒、安定剤、顔料、充填材などのような様々な添加剤及び加工助剤が存在し得る。適当な添加剤及び加工助剤は、軟質微細セルポリウレタンエラストマーの当業者に良く知られている。発泡剤も存在しなければならない。しかしながら、長年使用されてきた CFC 発泡剤に代えて、近年、水がこのようなフォーム用の主な発泡剤となってきた。しかしながら、本発明では、溶存二酸化炭素と水の両方を発泡剤として使用する。
【0014】
微細セルエラストマーの「系」又は「配合物」のイソシアネート成分は、一般に、主としてイソシアネート末端プレポリマーを含む。このようなプレポリマーはよく知られており、化学量論的に過剰な少なくとも 1 種のジ-又はポリイソシアネートとポリオールとの触媒又は非触媒反応によって調製され得る。容易に入手でき、このようなプレポリマーの調製に頻繁に使用されるイソシアネートの例は、トルエンジイソシアネート(TDI)、特に 2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、特に 4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4'-MDI)、重合体 MDI 及び変性 MDI を含む。他の既知のイソシアネートのいずれも使用することができ、イソシアネート混合物も含む。
【0015】
プレポリマーを調製するのに使用されるポリオール成分は、通常、2.0 と 4.0 の間の官能価を有するが、4.0 より大きい又は 2.0 未満の官能価を有するポリオール成分も使用され得る。プレポリマーのイソシアネート含有量(重量%イソシアネート基又は「%NCO」で表す)は、5 %〜30 %の範囲であり得る。靴底用途に使用されるプレポリマーのイソシアネート含有量は、最も好ましくは約 18〜 22 %の範囲である。
【0016】
本発明の実施に際して使用されるイソシアネート成分は、(1)単独のプレポリマー、又は(2)プレポリマー混合物、又は(3)イソシアネート又は変性イソシアネートとプレポリマーの組合せを含み得る。本発明のイソシアネート成分中に存在し得るイソシアネート又は変性イソシアネートは、「単量体」イソシアネート、例えば種々の TDI 異性体及び異性体混合物、種々の MDI 異性体及び異性体混合物、重合体 MDI、及び/又はウレタン、ウレア、アロファネート、及びとりわけ、カルボジイミド基のような基を含有する変性イソシアネートを含む。このようなイソシアネートはよく知られており、単独又は混合物として使用できる。イソホロンジイソシアネートのような脂肪族イソシアネートも使用できるが、好ましくはない。プレポリマーと「単量体」イソシアネートの混合物も使用できる。イソシアネート成分が、(a)少なくとも 1 種のプレポリマーと少なくとも 1 種の単量体イソシアネートの混合物、又は(b)単独の単量体イソシアネートからなる場合、イソシアネート成分の総イソシアネート含有量は 25 %より高くてよい。
【0017】
イソシアネート成分中に含まれるプレポリマーの調製において、既知のヒドロキシ官能性物質のいずれを使用してもよい。ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル-ポリエステル混合ポリオール及びこれらの混合物又は組合せを好ましくは使用する。このようなプレポリマーを調製するために使用されるヒドロキシ官能性物質のヒドロキシル官能価は、より高い官能価の物質を好ましくは少量使用し得るが、一般に、1.2〜8、好ましくは 2〜4、最も好ましくは 2〜3 の範囲であり得る。低官能性ポリオール及び高官能性ポリオールの混合物が、時には有利である。ここで記載した官能価は、ヒドロキシ官能性物質(好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリエーテル-ポリエステル混合ポリオール)が調製されるスターター分子中の活性水素数に基づく理論官能価である。与えられたポリオールのいずれにおいても、理論官能価は整数であろう。このようなポリオールの混合物、例えば、二官能性と三官能性のスターター分子の混合物から調製されたポリオールは、スターターの官能価の間にある理論官能価を有し得る。例えば、エチレングリコールとグリセリンの等モル混合物から調製されたポリオールは、2.5 の理論官能価を有する。
【0018】
ポリオールの理論官能価は、実際の又は測定された官能価と区別しなければならず、ポリエーテルポリオールの場合、ポリオキシアルキル化中に生じる副反応のため、常に理論値より小さくなる。例えば、分子量 3,000 ダルトン(Da)のポリエーテルジオールは、理論官能価 2 を有するであろう。塩基触媒オキシアルキル化によって従来通り調製された場合、実際の官能価は 1.6 であり得るが、低不飽和ポリオキシアルキル化技術を使用して調製された場合は、実際の官能価は 1.85〜約 1.97 の範囲であり得る。
【0019】
本発明に従った微細セルポリウレタンの製造に有用な、特に好ましいイソシアネート末端プレポリマーは、5〜30 %、好ましくは 15〜25 %の NCO 含有量を有し、(1)ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと(2)1.2〜8 のヒドロキシル官能価及び 3,000 Da 未満の数平均分子量を有するポリオール及び任意に(3)鎖延長剤との反応生成物である。これらのプレポリマーを調製するために好ましく使用されるポリオールは、約 0〜約 30 %のエチレンオキシド含有量を有するポリエーテルポリオール、及び 1 種以上のジオールと 1 種以上のトリオールの混合物を含む。このようなポリオールの具体例を以下に示す。これらのプレポリマーの調製に使用されるジイソシアネート又はポリイソシアネートは、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又は重合体 MDI である。これらのプレポリマーの調製に好ましい鎖延長剤は、グリコール、特にジプロピレングリコールを含む。
【0020】
ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、1.2〜8 のヒドロキシル官能価及び 3,000 未満の数平均分子量を有するポリオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーを、本発明に従った微細セルポリウレタンを調製するために使用する場合、既知のイソシアネート反応性成分を、本発明に従った微細セルポリウレタンエラストマーを調製するために使用できる。このようなイソシアネート反応性成分の例は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び混合ポリエーテル-ポリエステルポリオールを含む。しかしながら、より詳しく下記に記載した本発明のイソシアネート反応性成分を使用することが好ましい。
【0021】
本発明のイソシアネート反応性成分は、少なくとも 1.7 のヒドロキシル官能価及び約 1,000〜約 12,000 Da の分子量を有するポリオールを含み得るが、本発明の微細セルポリウレタンを調製するために好ましく使用されるイソシアネート反応性成分は、(a)約 2 の官能価及び約 1,000〜約 12,000、好ましくは約 1,500〜約 6,000 の分子量を有する、少なくとも 1 種のポリオール、好ましくは、少なくとも 1 種のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又は混合ポリエーテル-ポリエステルポリオール、及び(b)約 3 の官能価及び約 1,000〜約 12,000、好ましくは約 3,000〜約 6,000 の分子量を有する、少なくとも 1 種のポリオール、好ましくは、少なくとも 1 種のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又は混合ポリエーテル-ポリエステルポリオールを含む。加えて、所望により、約 1,000〜約 12,000、好ましくは約 1,500〜約 6,000 の分子量、及び約 1.2〜約 8、好ましくは約 2〜約 4 の官能価を有する混合官能性スターターから調製されたポリオールを使用することができる。ポリエーテルポリオールが本発明の実施において特に好ましい。他の既知のイソシアネート反応性物質のいずれも、所要の二官能性ポリオール及び三官能性ポリオールに加えてポリオール成分中に含まれ得る。
【0022】
本発明の好ましいイソシアネート反応性成分を、微細セルポリウレタンを調製するために使用する場合、既知のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートのいずれも使用できる。しかしながら、イソシアネートが、本発明の実施において特に有利であるとして上記したようなイソシアネート末端プレポリマーであることが好ましい。
【0023】
2 個以上のヒドロキシル基を含み、少なくとも約 1,000 の分子量を有する物質が、本発明の実施において使用されるイソシアネート反応性成分に含まれ得る。このような物質は、ポリオール、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル-ポリエステル混合ポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド及びポリヒドロキシポリチオエーテルを含む。ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリヒドロキシポリカーボネートが好ましい。
【0024】
適当なポリエステルポリオールは、多価アルコール(好ましくは、三価アルコールを含み得る二価アルコール)と多塩基性(好ましくは二塩基性)カルボン酸との反応生成物を含む。これらのポリカルボン酸に加えて、対応するカルボン酸無水物又は低級アルコール類とのポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物も、本発明の実施において有用なポリエステルポリオールを調製するために使用され得る。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環式であり得、例えば、ハロゲン原子によって置換されていてもよく、及び/又は不飽和であってもよい。適当なポリカルボン酸の例は、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、単量体脂肪酸と混合されていてもよい二量体及び三量体脂肪酸、例えばオレイン酸、ジメチルテレフタレート及びビス-グリコールテレフタレートを含む。適当な多価アルコールは、エチレングリコール、1,2-及び 1,3-プロピレングリコール、1,3-及び 1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、(1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンを含む。ポリエステルは、カルボキシル末端基も含んでいてよい。ラクトンのポリエステル、例えば、ε-カプロラクトン又はω-ヒドロキシカプロン酸のようなヒドロキシカルボン酸も使用され得る。
【0025】
適当なヒドロキシル基含有ポリカーボネートは、ホスゲン、ジアリールカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)又は環状カーボネート(例えばエチレンカーボネート又はプロピレンカーボネート)と、ジオールとの反応によって得られるポリカーボネートを含む。適当なジオールの例は、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールを含む。ポリエステル又はポリラクトン(例えば上記したもの)と、ホスゲン、ジアリールカーボネート又は環状カーボネートとの反応によって得られるポリエステルカーボネートも、本発明の実施において使用され得る。
【0026】
本発明の実施における使用に適したポリエーテルポリオールは、1 種以上の反応性水素原子含有出発化合物と、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン、エピクロロヒドリン、又はこれらのアルキレンオキシドの混合物との反応による既知の方法で得られるポリエーテルポリオールを含む。適当な反応性水素原子含有出発化合物は、多価アルコール(ポリエステルポリオールの調製に適当であるとして上記したもの)、水、メタノール、エタノール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、スクロース、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、及び 1,1,1-又は 1,1,2-トリス-(ヒドロキシルフェニル)-エタンを含む。
【0027】
本発明に従った微細セルポリウレタンを調製するための好ましいイソシアネート反応性成分中に存在するジオール及びトリオールは、好適には、イソシアネート反応性成分中に、ジオールのトリオールに対する(ジオールとトリオールの総重量に基づく)重量比が、好ましくは約 60〜100 重量%のジオール対約 10〜40 %のトリオール、最も好ましくは約 80〜90 重量%のジオール対約 10〜20 重量%のトリオールになるような量で存在する。
【0028】
本発明の好ましい態様の実施において必要とされるタイプのジオール又はトリオールではない他のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール、例えば、3 より大きい官能価、或いは 1,000 未満又は 12,000 超の分子量を有するものも、本発明の混合物中に、少量、即ち、イソシアネート反応性成分の総重量の 30 重量%未満、好ましくは 20 重量%未満の量で含まれ得る。このような任意物質がイソシアネート反応性成分中に含まれる場合、ポリウレタンの適当な架橋密度を維持するために、ジオールのトリオールに対する比を調整することが必要となり得る。このような調整は当業者の技術の範囲内であり、ジオールのトリオールに対する比が調整されなければならない範囲は、当業者に既知の技術に従って決定され得る。
【0029】
本発明のイソシアネート反応性成分は、通常、鎖延長剤、界面活性剤及び/又は触媒も含む。一般に、イソシアネート反応性成分中に含まれる鎖延長剤は、約 2 の官能価及び 300 Da 以下の分子量を有する。適当な鎖延長剤は、エチレングリコール、1,2-及び 1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール及び 2-メチル-1,3-プロパンジオールを含む。鎖延長剤は比較的少量で使用されるので、一般に、イソシアネート反応性成分中のジオールのトリオールに対する比を調整する必要はない。適当な界面活性剤及び触媒は、当業者に既知であり、以下に記す。
【0030】
イソシアネート反応性基を有する、鎖延長剤、他の添加剤又は加工助剤を考慮しない、ポリオール成分の全平均当量は、一般に、約 1,000 Da〜約 12,000 Da、好ましくは 1,000〜3,000 Da、より好ましくは約 1,500 Da〜約 2,000 Da の範囲である。しかしながら、より高い当量のポリエーテルポリオールも有用である。平均理論官能価は、一般に、1.5 と 4 の間、好ましくは 2 と 3 の間である。
【0031】
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル-ポリエステル混合ポリオールに加えて、「ポリマーポリオール」もイソシアネート反応性成分に含むことができ、好ましくは含む。ポリマーポリオールは、分散したポリマー粒子を含むポリオールである。多数のポリマーポリオールが理論上は可能であり、種々のものが市販されているが、最も好ましいポリマーポリオールは、しばしば不飽和「マクロマー」ポリオールを用いて、ベースポリオール中で不飽和分子をイン・サイチュー重合して調製されたものである。不飽和モノマーは最も一般的にはアクリロニトリル及びスチレンであり、アクリロニトリル/スチレンコポリマー粒子は、好ましくは総ポリマーポリオール重量に基づいて 10〜60 重量%、より好ましくは 20〜50 重量%、最も好ましくは 30〜45 重量%の量で安定に分散されている。このようなポリマーポリオールは市販されている。例えば、43 %ポリアクリロニトリル/ポリスチレン固体を含む ARCOL(登録商標)E850 ポリマーポリオールが Bayer MaterialScience から入手できる。ウレア粒子が分散されているポリマーポリオール、例えば同じく Bayer MaterialScience から入手可能な Multranol 9151 ポリオールも、本発明のイソシアネート反応性成分としての使用に特に適している。イソシアネート反応性成分として含まれる場合、ポリマーポリオールは、ジオール/トリオール比算出のためにはトリオールとして扱われる。
【0032】
ポリマーポリオールがイソシアネート反応性成分中に含まれる場合、鎖延長剤が不要になり、鎖延長剤をイソシアネート反応性成分から除外し得る。ポリマーポリオールは、使用されるなら、一般にイソシアネート反応性成分に(微細セルエラストマーの総重量に基づいて)20 重量%未満の量で含まれる。しかしながら、生成物特性に悪影響を与えなければ、より高濃度のポリマーポリオールを使用してもよい。
【0033】
本発明に従って、低不飽和(即ち 0.20 meq/g 未満)ポリオール又は超低不飽和(即ち 0.010 meq/g 未満)ポリオールを用いて調製した二酸化炭素発泡微細セルポリウレタンは、極めて低い密度で高硬度を示す。超低不飽和ポリエーテルポリオールは、Bayer MaterialScience から商品名 Accuflex(登録商標)及び Acclaim(登録商標)ポリエーテルポリオールで市販されている。これらの Bayer 製ポリオールは、典型的に、0.002 meq/g〜0.007 meq/g の範囲の不飽和度を有する。
【0034】
本明細書で使用されている「高硬度」は、類似の密度を有する従来の発泡(CFC 発泡)微細セルエラストマーと比較して高い相対硬度を意味する。超低密度エラストマーが高い相対硬度を有する一方で、これらのエラストマーは水発泡類似体よりかなり低い硬度を有する。特に低密度での、水発泡エラストマーの硬度により、このような微細セルエラストマーは靴底用途に不適当である。
【0035】
本発明の微細セルエラストマーの硬度範囲は、靴底、特に中物用途に適している。好ましくは、部品密度が約 0.22 g/cm3 以下の場合、硬度は少なくとも 40(Asker C)であり、0.3 g/cm3 以下の密度の場合少なくとも 50(Asker C)である。高硬度フォーム、例えば Asker C スケールで 75 以上の硬度を有するフォームは、好ましくは中物に使用しない。
【0036】
微細セルエラストマー配合物に添加し得る添加剤は、当業者に既知であり、界面活性剤、充填材、染料、顔料、UV 安定剤、酸化安定剤、触媒などを含む。
【0037】
非常に細かいセルの安定性を維持するために適当な界面活性剤が、通常使用される。適当な市販界面活性剤の例は、Dabco(登録商標)SC5980(Air Products Co. から入手可能なシリコーン界面活性剤)、Dabco DC-5258(Air Products Co. から入手可能なシリコーン界面活性剤)、Dabco DC-5982(Air Products Co. から入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン)、NIAX L-5614(GE Silicones から入手可能なシリコーン界面活性剤)、SH-8400(トーレ・シリコーン株式会社から入手可能なポリエーテル変性シリコーン化合物)、Tegostab B8870(Goldschmidt から入手可能な界面活性剤)、Tegostab B8905(Goldschmidt から入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン)、Tegostab B8315(Goldschmidt から入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン)、Irgastab PUR 68(Ciba Specialty Chemicals Corporation から入手可能なエステルとベンゾフラノンの混合物)を含む。当業者に既知の他の界面活性剤のいずれも適当であり得る。
【0038】
適当な充填材は、ヒュームドシリカ又は沈降シリカ、石英粉、珪藻土、沈降炭酸カルシウム又は重質炭酸カルシウム、アルミナ三水和物及び二酸化チタンを含む。
【0039】
従来のポリウレタン触媒(即ち、イソシアネートとポリオールとの反応を促進する触媒)、及びイソシアネートと水との反応を触媒する触媒のいずれを使用してもよい。適当なポリウレタン触媒の例は、各種錫触媒、特に、オクタン酸錫、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジメルカプチド、硝酸ビスマスのようなビスマス触媒、トリエチレンジアミンのような三級アミン触媒を含む。これらのポリウレタン触媒は、一般に、イソシアネート反応性成分中に、イソシアネート反応性成分中のポリオールの総重量に基づいて、約 0.01〜約 5 重量部、好ましくは約 0.1〜約 3 重量部の量で含まれる。
【0040】
適当なイソシアネート/水反応触媒の例は、GE Silicones から商品名 Niax A1 で商業的に入手可能なジプロピレングリコール中ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルを含む。これらの水/イソシアネート触媒は、一般に、イソシアネート反応性成分中に、ポリオール 100 部に基づいて、約 0.05〜約 5 重量部、好ましくは約 0.1〜約 1 重量部の量で含まれる。1 種類の触媒だけで済むので、ウレタン反応とイソシアネート/水反応の両方を触媒できる触媒を使用することが好ましい。トリエチレンジアミンは、ポリウレタン形成と水/イソシアネート反応の両方を促進できる触媒を含む、ウレタンとイソシアネート/水反応の両方を触媒する触媒の例であり、一般に、イソシアネート反応性成分中に、ポリオールの総重量に基づいて、約 0.1〜約 5 重量部、好ましくは約 0.5〜約 2 重量部の量で含まれる。
【0041】
反応性エラストマー配合物は、一般に、約 90〜約 120、好ましくは約 95〜約 105、最も好ましくは約 100 のイソシアネート指数で配合される。
【0042】
本発明の微細セルエラストマーは、二酸化炭素により発泡される。二酸化炭素の一部は気体状であり、イソシアネート又はイソシアネート反応性成分の少なくとも一方に加圧下で気体として溶解されている。気体の二酸化炭素は、イソシアネートとイソシアネート反応性成分のいずれか又は両方に溶解させることができる。好ましくは、イソシアネート反応性成分中に溶解させる。二酸化炭素の残りは、ポリウレタン形成反応時に、イソシアネート反応性成分中に存在する水とイソシアネートとの反応によって発生する。反応体成分の一方又は両方に溶解した二酸化炭素ガスの量は、一般に、約 0.1〜約 0.8 g/cc、好ましくは約 0.2〜約 0.4 g/cc の発泡密度を生じるのに十分な量である。イソシアネート反応性成分中に含まれる水の量は、フォーム形成混合物のフリーライズ密度が約 0.03〜約 0.3 g/cc、好ましくは約 0.09〜約 0.2 g/cc になるよう溶存二酸化炭素を補うのに十分な二酸化炭素を生じるために必要な量である。所望のフリーライズ密度は、軟質微細セルポリウレタン生成物の密度の約半分である。
【0043】
例えば、軟質微細セルポリウレタン生成物の所望の密度が 0.2 g/cc の場合、ポリウレタン形成反応混合物のフリーライズ密度は約 0.1 g/cc であるべきである。
【0044】
過剰の水がイソシアネート反応成分中に存在するか又は添加される場合、生成物中のウレア結合の数が増え、Ross 屈曲疲労特性が低下する。例えば、ポリウレタン形成反応混合物に水 1.3 %を添加すると、約 70,000 サイクルの低温 Ross 屈曲を有するエラストマーが調製され、反応混合物に水を 1.1 %しか添加しないと、100,000 サイクルより大きい低温 Ross 屈曲を有するエラストマーが調製される。
【0045】
反応成分中に溶存する二酸化炭素ガスは、発泡装置の各成分貯蔵タンクに適当な圧力で導入され、十分な時間をかけて必要な程度まで溶解される。溶存量は、膜検出器による相対拡散速度を含む常套技術によって測定できる。溶存量は、0.2 g/L〜 4 g/L、好ましくは 0.5 g/L〜 2 g/L、より好ましくは 0.7 g/L〜約 1.2 g/L の範囲であり得る。溶存二酸化炭素の量が多いと、成分密度が低い。二酸化炭素は、好都合には、貯蔵タンクに、二酸化炭素の所望の量を溶解するのに十分な時間、50 lb/in2 の圧力で供給され得る。別に記載がない限り、溶存二酸化炭素の量は、イソシアネート及びイソシアネート反応性成分の量に基づいた g/L での平均濃度である。
【0046】
他の既知の発泡剤、例えば、HFC、HCFC 及びペンタンのような炭化水素を少量(例えば、総発泡剤成分の 20 %未満)使用してもよいが、これらの既知の発泡剤の使用は好ましくない。
【0047】
ポリウレタン形成反応を行う容器又はチャンバー内に空気及び窒素のような気体を含むことも、本発明の範囲内である。このような気体の使用は、特に、ヘッドスペースにおける二酸化炭素濃度を制御するのに有利である。
【0048】
2 種以上の反応体流れ、通常、1 つのイソシアネート反応性成分流れと 1 つのイソシアネート流れを、低圧又は高圧混合ヘッド内での混合のような、微細セルエラストマーを調製するための適当な方法によって混合し得る。有利には、低圧靴底成形機(即ち Desma RGE 395)を使用し得る。本発明を実施する場合、イソシアネート反応性成分流れ及び/又はイソシアネート成分流れは、溶存二酸化炭素を予め含んでおく必要がある。混合ヘッドで又は発泡装置(例えば Oakes ミキサー)内のみで加えられた二酸化炭素では、満足な微細セルエラストマーは調製されないことがある。
【0049】
本発明の方法の利点は、低密度微細セルエラストマー製造時の鎖延長剤量をかなり減らすことができ、それ故、加工領域が拡大し、分裂及び収縮が減少することを含む。全水発泡微細セルフォームは許容できないほど高い硬度を有するが、本発明に従って調製した微細セルエラストマーの超低密度での高硬度は、靴底成分での使用に適した範囲である。
【0050】
本発明を一般的に記載したが、本発明の更なる理解は、説明の目的のためだけに提供され、限定を意図するものではない、下記の実施例を参照することによって得られる。
【実施例】
【0051】
実施例で使用した物質は下記の通りである。
PPOL A:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.8 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL B:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.7 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL C:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 20 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL D:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.6 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL E:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.77 %の NCO 含有量 を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL F:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.73 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL G:POLY K、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.53 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL H:POLY L、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 20 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL I:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.59 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL J:Bayer MaterialScience LLC から Mondur 501 の商品名で商業的に入手可能な 18.9 %の NCO 含有量を有する NCO-末端ポリエステルプレポリマー。
PPOL K:ジプロピレングリコール、POLY A 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.2 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL L:ジプロピレングリコール、POLY H 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 17.4 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL M:ジプロピレングリコール、POLY D 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 19.85 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL N:ジプロピレングリコール、POLY D 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 17.85 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL O:ジプロピレングリコール、POLY D 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 18.0 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
【0052】
PPOL P:6 重量部のジプロピレングリコール、26.6 重量部の POLY M、62 重量部の NCO A 及び 5.4 重量部の NCO B の反応によって生成された 17.3 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL Q:6 重量部のジプロピレングリコール、25.3 重量部の POLY N、63.2 重量部の NCO A 及び 5.5 重量部の NCO B の反応によって生成された 17.3 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL R:6 重量部のジプロピレングリコール、26.7 重量部の POLY A、61.9 重量部の NCO A 及び 5.4 重量部の NCO B の反応によって生成された 17.6 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL S:6 重量部のジプロピレングリコール、25.7 重量部の POLY D、62.9 重量部の NCO A 及び 5.5 重量部の NCO B の反応によって生成された 17.8 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL T:POLY A、ジプロピレングリコール及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 18 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL U:POLY M 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 15 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
PPOL V:POLY O 及びジフェニルメタンジイソシアネートの反応によって生成された 18 %の NCO 含有量を有する NCO-末端プレポリマー。
【0053】
POLY A:Bayer MaterialScience から Acclaim 4220 の商品名で商業的に入手可能な 4,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するエチレンオキシドキャップポリエーテルジオール。
POLY B:Bayer MaterialScience から Acclaim 6320 の商品名で商業的に入手可能な 6,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するエチレンオキシドキャップポリエーテルトリオール。
POLY C:Bayer MaterialScience から Acclaim 8220 の商品名で商業的に入手可能な 8,000 Da の分子量及び 14 の OH 価を有するプロピレンオキシド開始ポリエーテルジオール。
POLY D:Bayer MaterialScience LLC から Acclaim 2220 の商品名で商業的に入手可能な 2,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するポリエーテルジオール。
POLY E:Bayer MaterialScience LLC から Multranol 9139 の商品名で商業的に入手可能な 6,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するエチレンオキシド変性ポリプロピレンオキシドベーストリオール。
POLY F:Bayer MaterialScience LLC から Multranol 9190 の商品名で商業的に入手可能な 4,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するエチレンオキシド変性ポリプロピレンベースジオール。
POLY G:Bayer MaterialScience LLC から Multranol 9159 の商品名で商業的に入手可能なポリウレア充填ポリエーテルポリオール。
POLY H:Bayer MaterialScience から Multranol 9111 の商品名で商業的に入手可能な 4,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するエチレンオキシド変性ポリプロピレンオキシドベースジオール。
【0054】
POLY I:Bayer MaterialScience から Arcol E850 の商品名で入手可能な分散相として 43 重量%のポリアクリロニトリル/ポリスチレンを含むポリマーポリオール。
POLY J:Bayer MaterialScience LLC から Arcol 34-28 の商品名で商業的に入手可能な 27 の OH 価を有するトリオールベースポリエーテルポリマーポリオール。
POLY K:A 1205 と称される 80 の OH 価を有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルジオール。
POLY L:Bayer MaterialScience から Arcol Polyol 1027 の商品名で入手可能な 28 の OH 価を有するプロピレンオキシド/エチレンオキシドポリオール。
POLY M:Bayer MaterialScience から Acclaim 4200 の商品名で入手可能な 4,000 Da の分子量及び 28 の OH 価を有するプロピレンオキシドベースジオールポリオール。
POLY N:Bayer MaterialScience から Acclaim 2200 の商品名で商業的に入手可能な 56 の OH 価を有するポリエーテルジオール。
POLY O:Bayer MaterialScience から Acclaim Polyol 3205 の商品名で商業的に入手可能な 3,000 Da の分子量及び 35 の OH 価を有するエチレンオキシド含有ポリエーテルジオール。
BD:ブタンジオール。
EG:エチレングリコール。
【0055】
NCO A:Bayer MaterialScience から Mondur M の商品名で商業的に入手可能な 4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート。
NCO B:Bayer MaterialScience から Mondur CD の商品名で商業的に入手可能なカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート。
CAT A:Air Products から Dabco EG の商品名で商業的に入手可能なアミン触媒のエチレングリコール中 33 %溶液。
CAT B:Air Products から Dabco 1027 の商品名で入手可能なグリコール中複素環式アミン。
CAT C:Witco Corporation から Foamrez UL-32 の商品名で商業的に入手可能なジオクチル錫ジメルカプチド。
CAT D:Air Products から Dabco XDM の商品名で商業的に入手可能な N,N-ジメチル-4-モルホリンエタンアミン。
CAT E:Crompton から Fomrez UL32 の商品名で商業的に入手可能なジオクチル錫ジメルカプチド。
CAT F:Air Products から DABCO T120 の商品名で商業的に入手可能なジブチル錫ジラウリルメルカプチド。
CAT G:Air Products から PolyCat 5 の商品名で商業的に入手可能なペンタメチルジエチレントリアミン。
T 571:Ciba Geigy から Tinuvin 571 の商品名で商業的に入手可能なベンゾトリアゾールベース UV 光吸収剤。
T 765:Ciba Geigy から Tinuvin 765 の商品名で商業的に入手可能なビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート。
T 101:Ciba Geigy から Tinuvin 101 の商品名で商業的に入手可能なエチル 4-(((メチルフェニルアミノ)メチレン)アミノ)-ベンゾエート。
【0056】
SURF A:Air Products から DABCO DC-5258 の商品名で入手可能なシリコーン界面活性剤。
SURF B:GE Silicone から NIAX L-5614 の商品名で入手可能なシリコーン界面活性剤。
SURF C:Air Products から DABCO DC 5980 の商品名で入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン。
SURF D:トーレ・シリコーン株式会社から SH-8400 の商品名で商業的に入手可能なポリエーテル変性シリコーン化合物。
SURF E:Air Products から DABCO DC-5982 の商品名で入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン。
SURF F:Goldschmidt から Tegostab B8870 の商品名で商業的に入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン。
SURF G:Ciba Specialty Chemicals Corporation から IRGASTAB PUR 68 の商品名で入手可能なエステルとベンゾフラノンの混合物。
SURF H:Goldschmidt から Tegostab B8905 の商品名で商業的に入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン。
SURF I:Goldschmidt から Tegostab B8315 の商品名で商業的に入手可能な変性ポリエーテルポリシロキサン。
【0057】
基本手順
下記方法を以下の実施例において用いた。
低圧靴底成形機のイソシアネートタンクに、表に記載したプレポリマーを導入した。ポリオールタンクに、表に記載した成分からなるポリオール成分を導入した。
二酸化炭素をポリオール成分に、表に記載した圧力下、表に記載した量で溶解させた。イソシアネートとイソシアネート反応性成分を、各々のタンクを 50 psi 及び 35 ℃に維持しながら、表に記載した NCO/OH 比で混合した。混合物を、表に記載した成形密度を有する靴底に成形した。
下記の表に記載した発泡密度は溶存二酸化炭素のみによるものであり、樹脂の試料を採取し、それを十分に膨張させ、次いでその密度を測定することによって測った。ここで、ウレタンフォームで一般的な空気核形成とは異なり、溶存二酸化炭素を用いて調製した気泡は安定な気泡であり、空気を利用した場合のように崩壊しないことに注目することが重要である。
下記実施例において使用した物質の量は全て、重量部による。
【0058】
実施例 1〜6
これらの実施例は、ポリオール成分におけるジオールとトリオールの異なった相対量での微細セルエラストマーを説明する。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例 7〜9
これらの実施例は、本発明に従う微細セルポリウレタンを調製するための、実施例 1〜6 で使用したジオールより低い分子量を有するジオールを含むポリオール成分の使用を説明する。
【0061】
【表2】

【0062】
実施例 10〜11
これらの実施例は、本発明に従う微細セルポリウレタンを調製するための、2 種の異なったポリオール成分(これらの各々はポリマーポリオールを含む)の使用を説明する。
【0063】
【表3】

【0064】
実施例 12〜15
これらの実施例は、本発明に従う微細セルポリウレタンを調製するための、ポリマーを含むポリオール成分の使用を説明する。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例 16〜20
これらの実施例は、本発明に従う微細セルポリウレタンを調製するために異なったジオールが使用されているポリオール成分の使用を説明する。
【0067】
【表5】

【0068】
実施例 21〜24
これらの実施例は、本発明の微細セルポリウレタンを調製するための各種プレポリマーの使用を説明する。
【0069】
【表6】

【0070】
実施例 25〜29
これらの実施例は、本発明に従う微細セルポリウレタンを調製するためのポリマーポリオールを含むポリオール成分の使用を説明する。
【0071】
【表7】

【0072】
実施例 30〜36
下記実施例は、追加の水を含まないポリオール成分から調製される微細セルポリウレタンを説明する。
【0073】
【表8】

【0074】
本発明を十分に記載したが、ここで説明したような本発明の意図又は範囲から外れることなく多くの変更及び修正がなされ得ることが当業者には明らかであろう。請求の範囲で使用した名詞は、特に記載のない限り「1 種以上」を意味する。用語「主要な」及び「大部分」は、場合に応じて重量又はモル基準で 50 %以上を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも 1.7 のヒドロキシル官能価及び約 1,000〜約 12,000 ダルトンの分子量を有するポリオール、
b)触媒、
c)界面活性剤、
d)任意に架橋剤、
e)任意に水、及び
f)溶存二酸化炭素
を含んでなり、
(1)溶存二酸化炭素は、約 0.1〜約 0.8 g/cc のイソシアネート反応性成分発泡密度を生ずるのに十分な量で存在し、
(2)溶存二酸化炭素 + 水とイソシアネートとの反応中に生じた二酸化炭素の総量が、約 0.03〜0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するポリウレタン形成反応混合物を生ずる、
低密度多孔性ポリウレタンの製造のためのイソシアネート反応性成分。
【請求項2】
成分 a)として 1 種以上のポリオールを使用する請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項3】
成分 a)として二官能性ポリオールと三官能性ポリオールの組合せを使用する、請求項2に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項4】
二官能性ポリオールがジオール + トリオールの総重量に基づいて少なくとも約 60 重量%の量で存在する、請求項3に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項5】
水が存在する請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項6】
ポリオールが約 2〜約 4 のヒドロキシル官能価を有する請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項7】
架橋剤が存在する請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項8】
ポリオールが 2.01〜2.5 の平均ヒドロキシル官能価を有し、架橋剤が存在する、請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項9】
ポリオールが約 1,500〜約 6,000 の分子量を有する請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項10】
ポリオールがポリエーテルジオールとポリエーテルトリオールの混合物である、請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項11】
ポリオールがポリエステルポリオールである請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項12】
ポリオールが混合スターターから調製されたポリエーテルポリオールである請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項13】
溶存二酸化炭素の総量が 0.2〜0.4 g/cc の発泡密度を有するポリウレタン形成混合物を生ずるのに十分である、請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項14】
ポリマーポリオールを更に含む請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項15】
ポリマーポリオールが、イソシアネート反応性成分 100 重量部ごとに 50 重量部までの量で含まれる、請求項14に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項16】
3 より大きく 8 以下である官能価を有するポリオールを、ポリオールの総重量に基づいて 30 重量%までの量で含む、請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項17】
0.020 meq/g 以下の不飽和度を有する少なくとも 1 種のポリオールを含む、請求項1に記載のイソシアネート反応性成分。
【請求項18】
請求項1に記載のイソシアネート反応性成分と、ジイソシアネート又はポリイソシアネートとの反応によって製造されたポリウレタン。
【請求項19】
0.2〜0.4 g/cc の発泡密度を有する請求項1に記載のイソシアネート反応性成分と、ポリイソシアネートとの、十分な二酸化炭素の存在下での反応生成物であって、該ポリウレタン形成混合物が約 0.03〜約 0.3 g/cc のフリーライズ密度を有する、0.3 g/cc 以下の密度を有するポリウレタン成形物品。
【請求項20】
請求項1に記載のイソシアネート反応性成分と、ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートとの反応によって製造された成形微細セルポリウレタン。
【請求項21】
請求項20に記載の微細セルポリウレタンで作られた靴底。
【請求項22】
請求項1に記載のイソシアネート反応性成分とジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートとの二酸化炭素の存在下での反応を含んでなる、微細セルポリウレタンの製造方法。
【請求項23】
二酸化炭素以外の発泡剤も使用する本発明の製造方法。
【請求項24】
a)ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、
b)1.2〜8 の官能価及び 3,000 ダルトン未満の数平均分子量を有するポリオール、及び
c)任意に鎖延長剤
との反応生成物を含んでなる、0.3 g/cc 以下の密度を有する成形ポリウレタンの製造に有用な、5〜30 %の NCO 含有量を有するイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項25】
請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー及びその中に溶存した二酸化炭素を含む、約 0.1〜約 0.8 g/cc の発泡密度を有するイソシアネート成分。
【請求項26】
a)ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、
b)約 1,500〜約 2,500 ダルトンの数平均分子量を有するポリオール、及び
c)任意に鎖延長剤
との反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項27】
ポリオールが 30 %までのエチレンオキシド含有量を有する、請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項28】
c)としてグリコール鎖延長剤を使用する、請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項29】
鎖延長剤としてジプロピレングリコールを使用する、請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項30】
ポリオールが 1 種以上のジオールと 1 種以上のトリオールの混合物である、請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項31】
ポリオールが 1.8 と 3 の間の官能価を有する請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項32】
ジイソシアネート又はポリイソシアネートが、変性ジイソシアネート又は変性ポリイソシアネートである、請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項33】
16〜24 %の NCO 含有量を有する請求項24に記載のイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項34】
a)請求項24に記載のプレポリマーを含有するポリイソシアネート成分、
b)イソシアネート反応性成分、及び
c)反応混合物のフリーライズ密度が約 0.03〜約 0.3 g/cc になるように、反応混合物中に存在する二酸化炭素総量を増すために必要な二酸化炭素
からなる反応混合物を成形する工程を含む、成形微細セルポリウレタンの製造方法。
【請求項35】
a)請求項24に記載のプレポリマーを含有するポリイソシアネート成分、
b)イソシアネート反応性成分、及び
c)約 0.03〜約 0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するポリウレタン形成反応混合物を生ずるのに十分な二酸化炭素
を反応させる工程を含む、微細セルポリウレタンの製造方法。
【請求項36】
a)請求項25に記載のポリイソシアネート成分、
b)イソシアネート反応性成分、及び
c)約 0.03〜約 0.3 g/cc のフリーライズ密度を有するポリウレタン形成反応混合物を生ずるのに十分な二酸化炭素
を反応させる工程を含む、0.3 g/cc 未満の密度を有する微細セルポリウレタンの製造方法。
【請求項37】
成分 b)が請求項1に記載のイソシアネート反応性成分である請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
成分 b)が請求項4に記載のイソシアネート反応性成分である請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
請求項34〜38のいずれかに記載の方法によって製造された微細セルポリウレタン。
【請求項40】
請求項39に記載の微細セルポリウレタンから製造された靴底。

【公開番号】特開2006−328401(P2006−328401A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145243(P2006−145243)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】