説明

二重壁断熱球状物を備える輸送および/または保管装置

【課題】生成物を輸送および/または保管するための装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、生成物を輸送および/または保管するための装置(10)、特にクライオスタット型のものであって、装置は、内容積(16)を画定する壁を備える外部パッケージ構造(14)を有し、その中に二重壁の断熱球状物(12)があり、その本体は外壁(34)と内容積(38)を画定する内壁(36)とによって形成され、球状物は上方充填開口部を画定する上方首部(40)を備えることを特徴とする、装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、二重壁の断熱球状物(bulb)を備える、輸送および/または保管装置に関する。
【0002】
特に、本発明は、より具体的には、液体窒素等の低温流体によって非常に低温で保存される生成物であるが、それに限定されない生成物の輸送および/または保管の分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
液化ガスを輸送するための容器の分野では、主に2つの既知の技術が存在し、すなわち、1つは、内部圧力を制御可能なシステムを備える密閉容器であって、もう1つは、本発明が特に関連する非密閉容器である。
【0004】
これらの非密閉容器は、大気圧下における液化ガスの輸送および/または保管のために使用され、これらの容器は、液化ガスの再加熱とともに徐々に産生される空気よりも大きな密度を有する蒸気の自由な漏出を可能にするように装備される。
【0005】
例えば、液体窒素等の低温流体は、密閉の不浸透性を確保するシステムの無いクライオスタットとも呼ばれる断熱容器の中で輸送可能である。しかしながら、容器は、その代わりに、液体窒素の不慮の流出を回避するために、垂直姿勢に維持されなければならない。
【0006】
この種の容器は、例えば、非常に低温での保存が要求される生体物質を輸送するために、非常に広く使用されている。
【0007】
したがって、輸送装置として使用される既知の容器の大部分は、空隙によって分離される2つの金属壁から成り、球状物の首部の領域において、壁の、それぞれの上方遊離端間の接続を確保するリングによって接続される断熱球状物を備えるクライオスタットである。
【0008】
したがって、これらの容器では、断熱球状物の外側金属壁は、輸送装置の外側パッケージを直接構成することになるが、しかしながら、その中に金属クライオスタットを有する、付加的パッケージ構造を有することも可能である。
【0009】
そのようなクライオスタットを製造するための金属材料の使用は高い製造費を伴い、その結果、単回利用は不可能となることが容易に理解される。
【0010】
その結果、時として、その商業的価値が低い生成物の輸送に対する輸送装置として、そのようなクライオスタットの使用によって発生する出荷費用は、非常に重要である。
【0011】
一方では、金属クライオスタットの重量は、輸送費を増大させることになり、他方では、返却によって生じる費用が、通常、新しいユニットの購入価格に満たないために、元の出荷場所への空の容器の返却を手配しなければならない。
【0012】
この委託システムは、特に、飛行機による遠隔地への出荷を伴う場合、または荷主が、回避困難な生体に関する法律に従って、突発的かつ季節的な高い需要を満たす必要がある場合に著しく制約される。これは、特に、凍結配偶子または胚子からの特定動物種の繁殖の場合である。
【0013】
さらに、これらの金属クライオスタットは、その高さに比べ、比較的に面積が小さい底部を呈するためにあまり安定していない場合が多い。クライオスタットの高さは、特に、生成物を運ぶパイプに関連して決定され、パイプは容器の内容積の中に垂直に導入されるよう予定されており、容器間の移送を容易にする。
【0014】
最後に、金属材料の使用にもかかわらず、そのようなクライオスタットを構成する輸送装置は、特に、輸送中の衝撃および落下を受けやすく、その安定性の欠如のため、変形の危険性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
実際、衝撃または落下の際に、特に、パッケージ構造がない場合に、断熱球状物の外壁が力を直接受けて、内壁との接続を確保するリングに伝達される。
【0016】
そのような力は、接続リングを破壊させる場合が多く、球状物の首部の領域に敷設されるリングのそのような破壊は、壁の間の真空を損失させ、したがって、球状物は、その断熱特性を失ってその低温保存を確保できないために、輸送される生成物にとって致命的である。
【0017】
その上、クライオスタットによって持続される衝撃または落下から生じるこれらの外力に対し、反対方向の他の力が加えられ、球状物の内容物、特に、液体窒素等の低温流体によって内壁に伝達される。
【0018】
内壁および外壁上の、これらの力の組み合わせは、リングに激しい損傷をもたらし、したがって、蒸発によって冷却低温液体の全体的または部分的な損失につながり、必然的に輸送または保管される生成物の損失をもたらす。
【0019】
概して、複合または類似の材料から成り、熱の逃げ道が形成されることを防止するリングの抵抗は、そのような力、特に、ねじりを支持するには十分ではない。これが、球状物の二重壁の内壁と外壁との間の接触点または接触領域のみを構成する接続リングの領域において、多くの破壊が顕著であることの理由である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
生成物を輸送および/または保管するための装置(10)、特にクライオスタット型のものであって、装置(10)は、内容積(16)を画定する壁を備える外部パッケージ構造(14)を有し、内容積(16)の中に外側壁(34)と内容積(38)を画定する内壁(36)とによって形成される本体(32)を有する二重壁の断熱球状物(12)があり、球状物(12)は上方充填開口部(42)を画定する上方首部(40)を備え、装置(10)は、球状物(12)の外壁(34)とパッケージ構造(14)の壁(24、22)との間の接触を伴わずに、球状物(12)がパッケージ構造(14、18、22)によって画定される内容積(16)内の空間の中にフリーの状態で吊設されるように、それの首部(40)によって球状物(12)を垂直に懸架するために、球状物(12)の内壁(36)のみと係合可能である取設手段(48)を含む球状物(12)支持手段(46)を備えており、球状物(12)の懸架支持のための手段(46)は、パッケージ(14)の該壁の少なくとも1つ(20)から成ることを特徴とする、装置。
(項目2)
球状物(12)の上記支持壁(20、46)は弾性変形能力を呈することにより、特に衝撃または落下の際に、懸架された球状物(12)の外壁(34)がパッケージ構造(14)の壁に接触することなく、パッケージ内容積(16)内の球状物(12)の制限された移動を可能にすることを特徴とする、項目1に記載の装置(10)。
(項目3)
支持壁(20、46)は弾性的に変形することが可能であって、パッケージ構造(14)が受ける衝撃から生じる機械力の全部または一部を吸収することにより、特に上記装置の落下の際に、球状物(12)へのそのような力の伝達を防止または制限することを特徴とする、項目1または項目2に記載の装置(10)。
(項目4)
球状物(12)の懸架による取設手段(48)を備える支持壁(46)は、多面体または円筒形型のパッケージ構造(14)のカバー(20)であることを特徴とする、項目1から項目3のいずれか一項に記載の装置(10)。
(項目5)
支持壁(20、46)は、少なくとも部分的に球状物(12)の上方開口部(42)を通って延出し、球状物(12)の内容積(38)内へと導くオリフィス(56)を画定する管状要素(50)を備え、取設手段(48)は管状要素(50)に接続されることを特徴とする、項目1から項目4のいずれか一項に記載の装置(10)。
(項目6)
取設手段(48)は後退位置と係止位置との間で可動である態様で搭載され、装置(10)は制御構成要素(70)を備え、制御構成要素(70)の管状要素(50)のオリフィス(56)内へのその下方垂直導入は、該係止位置への該取設手段(48)の変位を生じさせ、制御構成要素(70)は取設手段(48)を該係止位置に掛止可能であることを特徴とする、項目5に記載の装置(10)。
(項目7)
装置(10)は制御構成要素(70)の中に垂直に導入されることが意図される閉鎖構成要素(94)を備えることにより、単回使用のための装置の完全性を保証することを特徴とする、項目6に記載の装置(10)。
(項目8)
閉鎖構成要素(94)は、フランジ(98)を備え、フランジ(98)は制御構成要素(70)のフランジ(84)と相補的にその外側垂直面上に制御構成要素(70)のフランジと係合可能な環状係止リング(102)を備え、環状係止リング(102)は制御構成要素(70)と係合可能であり、制御構成要素(70)の内側垂直面は少なくとも1つの係止戻り止め(104)を備え、それにより、閉鎖構成要素(94)および制御構成要素(70)を不可逆的に係止することを特徴とする、項目7に記載の装置(10)。
(項目9)
装置(10)は、制御構成要素(70)の位置決め手段(92)を備え、位置決め手段(92)は、衝撃または落下の際に力が内壁(36)全体に分散されるように、中心位置にそれを維持し、かつ、構成要素(70)と内壁(36)との間の機械的接続を確保することが可能であることを特徴とする、項目6または8に記載の装置(10)。
(項目10)
装置(10)は、液体窒素等の低温流体を吸収することが可能である吸収手段(92)を備え、該吸収手段は、球状物(12)の内容積(38)の全部または一部の中に配置されることを特徴とする、項目1から項目9のいずれか一項に記載の装置(10)。
(項目11)
吸収手段(92)は、制御構成要素(70)の上記位置決め手段を構成することを特徴とする、項目9と組み合わせた項目10に記載の装置(10)
【0021】
可能性のある解決策の1つは、少なくとも、直接的な衝撃からの保護を試みるために、クライオスタットをパッケージ構造内に梱包することであるが、しかしながら、そのような解決策は、同様に、そのようなクライオスタットの製造費および使用費の両方と、合計の輸送重量を増大させる。
【0022】
さらに、それにもかかわらず、接続リングを激しく損傷させる危険性は、排除されず、特に、激しい衝撃または落下の際に、結果として生じる力が、パッケージ構造によってクライオスタットの金属外壁に直接伝達されるため、その危険性が依然として存在する。
【0023】
したがって、そのような輸送装置または金属クライオスタットは、特に、その製造費および使用費、輸送中に生じ得る衝撃および落下に対するその脆弱性を考慮すると、完全に満足できるものではなく、また、単回使用を不可能にする。
【0024】
本発明は、具体的には、最新技術の上述した欠点の改善を可能にする、輸送および/または保管装置のための新しい設計を提案する。
【0025】
この目的を達成するために、本発明は、生成物を輸送および/または保管するための装置、特に、クライオスタット型のものであって、内容積を画定する壁を備える外部パッケージ構造を有し、その中に二重壁の断熱球状物があって、その本体は、外壁と、内容積を画定する内壁とによって形成され、球状物は、上方充填開口部を画定する上方首部を備え、装置は、球状物の外壁とパッケージ構造の壁との間の接触を伴わずに、球状物が、パッケージ構造によって画定される内容積内の空間内にフリーな状態で吊設されるように、その首部によって球状物を垂直に懸架するために、球状物の内壁のみと係合可能な取設手段を含む球状物支持手段を備え、球状物の懸架支持のための手段は、パッケージの壁の少なくとも1つから成ることを特徴とする、装置を提案する。
【0026】
有利には、輸送装置は、二重壁ガラス球状物を備え、金属壁クライオスタットと比較して、その製造費は、非常に安価である。
【0027】
そのような二重壁ガラス球状物を使用するという選択は、衝撃に対するクライオスタットの脆弱性の課題に直面した場合、その脆弱性がより重大であると考えるのが当然であって、ガラス球状物の使用ではなく、その保護のための強化パッケージ構造の開発を支持する当業者の予想に反するものであることに留意されたい。
【0028】
有利には、内壁のみと係合可能な取設手段を介して、その首部によって球状物を懸架することによって、衝撃または落下の際に、球状物への激しい損傷の危険性が大幅に低減されるように、そのような二重壁ガラス球状物から優れた機械抵抗を得ることが可能である。
【0029】
球状物の懸架による取設の結果、外壁が、衝撃または落下の際に、球状物の首部を破裂させ、断熱を損失する危険性が大幅に排除されるように、特に、パッケージ構造の壁または底とのいかなる接触からも完全に免れている。
【0030】
有利には、懸架された二重壁ガラス球状物の使用によって、単回使用に利用可能な低製造費および低重量の輸送装置が達成可能であって、そのパッケージ構造は、例えば、厚紙から成る。
【0031】
実際、パッケージ構造は、有利には、球状物の外壁または底と外側パッケージ構造との間の「緩衝」を形成する空間が存在するため、必ずしも、球状物との接触を誘発することなく、局所圧入を持続可能である。
【0032】
さらに、非常に剛性の金属構造と比較して、そのような制限された変形能力は、構造が、少なくとも部分的に、変形を介して直接力を吸収可能であるために、球状物に伝達される力をさらに低減する傾向がある。
【0033】
次いで、輸送装置は、単回使用を対象としているため、パッケージ構造の可能性のある劣化の課題が関連してくる。絶対不可欠なこととして、二重壁ガラス球状物によって作製されるクライオスタットが損なわれず、輸送される生成物が保存されることであることは明白である。
【0034】
本発明によると、カバーを構成する着脱可能壁等の壁の1つによる、支持手段と取設手段との完全一体化によって、構成要素の数を減らすことによって、装置の製造費をさらに削減し、信頼性があって、低コストで製造および使用可能な単回使用輸送装置を提案可能となる。
【0035】
有利には、そのような輸送装置は、再利用可能材料から全体的または部分的に製造可能であるため、最新装置よりも経済的である。
【0036】
本発明の他の特徴によると、
−支持壁は、ある程度の弾性変形を呈し、特に、衝撃または落下の際に、懸架された球状物の外壁がパッケージ構造の壁と接触することなく、パッケージ内容積中の球状物の制限された移動を可能にする。
【0037】
−球状物の支持壁は、弾性的に変形可能であって、パッケージ構造によって受ける衝撃から生じる機械力を全体的または部分的に吸収し、特に、装置が落下する場合、球状物へのそのような力の伝達を防止または制限する。
【0038】
−球状物の懸架による取設手段を備える支持壁は、多面体または円筒形型のパッケージ構造のカバーである。
【0039】
−支持壁は、少なくとも部分的に、球状物の上方開口部を通って延出し、球状物の内容積内へと導くオリフィスを画定する、管状要素を備え、取設手段は、管状要素と接続される。
【0040】
−取設手段は、待避位置と係止位置との間で可動なように搭載され、装置は、制御構成要素を備え、管状要素のオリフィス内へのその下方垂直導入によって、係止位置への取設手段の変位を生じさせ、制御構成要素は、取設手段を係止位置に固着可能である。
【0041】
−制御構成要素は、その上方端に、半径方向フランジを有し、その下には、少なくとも1つの孔を備える管状本体が、垂直に延出し、球状物の内容積を充填する場合、低温流体の通過を可能にする。
【0042】
−装置は、制御構成要素の管状本体内に垂直に導入されることが意図される閉鎖構成要素を備え、単回使用のための装置の完全性を保証する。
【0043】
−閉鎖構成要素は、制御構成要素のフランジに加え、その外側垂直面上に、制御構成要素のフランジと係合可能な環状係止リングを備え、その内側垂直面は、少なくとも1つの係止戻り止めを備え、閉鎖構成要素および制御構成要素を不可逆的に係止する、フランジを備える。
【0044】
−装置は、衝撃または落下の際に、力が内壁全体に分散されるように、中心位置に維持し、装置と内壁との間の機械的接続を確保可能な、制御構成要素を位置付ける手段を備える。
【0045】
−装置は、液体窒素等の低温流体を吸収可能な吸収手段を備え、吸収手段は、球状物の内容積の全部または一部内に配列される。
【0046】
−吸収手段は、制御構成要素を位置付ける手段を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の他の特徴および利点は、その理解のために、非限定的な実施例として提供される、添付の図面を参照して、以下の発明を実施するための形態を熟読することによって明白となる。
【図1】図1は、主要構成要素の組み立ておよび搭載前の、本発明による輸送および/または保管装置の実施例を示す、分解図である。
【図2】図2および3は、それぞれ、本発明による支持手段を形成し、球状物を懸架するための掛止タブを備えるカバーである、垂直平面を通る軸方向断面における第2の部品を示す、斜視図である。
【図3】図2および3は、それぞれ、本発明による支持手段を形成し、球状物を懸架するための掛止タブを備えるカバーである、垂直平面を通る軸方向断面における第2の部品を示す、斜視図である。
【図4】図4は、それぞれ、組み立て位置と係止位置における装置の制御および閉鎖構成要素を示す、軸方向断面である。
【図5】図5は、最終搭載位置における図1の輸送で装置を示す、軸方向断面である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
発明の概要および請求項では、以下の用語が、非制限的に、従来通りに使用される。用語「上方」および「上方」、ならびに配向「縦方向」、「垂直方向」、および「横方向」は、それぞれ、説明内に提供される定義に従い、図面上に示される3面体(L、V、T)と関連する要素を指す。
【0049】
図1は、本発明による輸送および/または保管装置10の実施例を示す。
【0050】
実際に、本発明による装置10は、特に、低温流体によって保存される生成物保管および/または輸送装置として使用可能である。
【0051】
有利には、本発明による装置10は、生体または他の生成物の輸送および/または保管に限定されず、低温流体自体の輸送および/または保管にも使用可能である。
【0052】
有利には、装置10は、これらの使用のいずれかのために、すなわち、その輸送の前および/または後の低温流体等の生成物または液化ガスを保管するために使用可能である。
【0053】
輸送および/または保管装置10は、主として、有利には、ガラスから成る二重壁断熱球状物12と、外側パッケージ構造14とを備える。
【0054】
外側パッケージ構造14は、図5に示されるように、内容積16を画定する一組の壁から成り、その中に、輸送および/または保管装置10が搭載姿勢で配置される断熱球状物12を有する。
【0055】
実施例では、パッケージ構造14は、バレル、キャスク、またはドラムの形態で見られ、全体的に見ると、円形断面を有する円筒形である容器である。
【0056】
また、必然的に、パッケージ構造14は、非常に多数の形態をとることができ、例えば、パッケージ構造は、変形例として、多面体型である。
【0057】
好ましくは、パッケージ構造14は、円筒形壁18と、着脱可能カバー20から成る上方水平壁と、ドラムの底を形成する下方水平壁22とを有する、主垂直軸Xを伴うドラムを備える。
【0058】
主垂直軸Xは、有利には、輸送および/または保管装置10の全構成要素に対して対称の全体軸を構成する。
【0059】
パッケージ構造14においては、ドラムの壁18は、内側円筒形面24(図5参照)および外側円筒形面26を画定し、円形カバー20は、上方水平面28および下方水平面30を備える。
【0060】
二重壁断熱球状物12は、略平行であって、空間によって分離される、外壁34および内壁36から成る本体32を備える。
【0061】
内壁36は、球状物12の内容積38を画定する(図5参照)。
【0062】
球状物12は、具体的には、低温流体による球状物12の内容積38の充填を可能にするように意図される、上方開口部42を画定する上方首部40を備える。また、球状物42は、首部40と垂直方法に対向する、ここでは、主として半球である底44を備える。
【0063】
有利には、装置10は、その首部40によって、球状物12を垂直に懸架するために、球状物の内壁36のみと、直接的または間接的に係合可能な取設手段48を含む、球状物12の支持手段46を備える。
【0064】
したがって、装置10の搭載姿勢(図5)においては、球状物12は、パッケージ構造14によって画定される内容積16内の空間中にフリーな状態で、すなわち、球状物12の外壁34とパッケージ構造14の壁、特に内壁24または底22の上方面との間の接触がなく、吊設される。
【0065】
本発明によると、球状物12が懸架される支持手段46は、パッケージ構造14の壁の少なくとも1つから成る。
【0066】
有利には、支持手段46は、例えば、留具等を備える中間担持構造を提供する必要なく、外側パッケージ構造14によって、直接形成される。
【0067】
好ましくは、支持手段46を形成する壁は、ここでは、着脱可能であって、円筒形ドラム上に結合するように付加されることが意図される、パッケージ構造14のカバー20から成る。球状物12の懸架による取設手段48は、有利には、カバー20内に一体化され、具体的には、鋳造によって製造可能な一体型要素を形成する。
【0068】
必然的に、本発明による支持壁46は、パッケージ構造14の壁の任意の1つ、例えば、平行六面体構造の場合、箱の壁の任意の1つから成り得る。
【0069】
また、有利には、本発明による支持壁46を形成するカバー20は、特に、衝撃または落下の際に、パッケージ内容積16中の球状物12の制限された移動を可能にし、懸架された球状物12の外壁34がパッケージ構造14の壁22、24に接触しないように決定および画定される弾性変形能力を呈する。
【0070】
加えて、好ましくは、球状物12の支持壁46を形成するカバー20は、局所的に、弾性変形可能である。
【0071】
有利には、カバー20は、カバー20の半径方向周縁に位置する環状の弾性変形領域29を備える。この弾性変形領域は、特に、装置10の垂直落下の際に、パッケージ構造14、特に、外壁26または底22によって受ける衝撃から生じる機械力の全部または一部を吸収可能である。
【0072】
ある程度の弾性変形を有する、カバー20のそのような領域29によって、パッケージ構造14上へのそのような衝撃あるいは輸送および/または保管装置10の落下に起因する機械力の球状物12の内壁36への伝達を防止もしくは少なくとも制限可能である。
【0073】
変形例として、カバー20は、例えば、球状物12が懸架される第1の中心部品と、弾性的に変形可能であって、中央担持部品の周囲に半径方向に敷設され、パッケージ構造14のドラムと弾性接続を確保可能な、第2の低剛性周縁部品等、いくつかの部品から成る。
【0074】
そのような第2の部品は、例えば、弾性蛇腹から成り、減衰および/またはフィルタリング機能を確保し、パッケージ構造14と球状物12との間の機械力の伝達を制限する。
【0075】
好ましい実施例は、特に、図2および3に示される、本発明による球状物12の支持壁46を形成するカバー20に関して後述される。
【0076】
好ましくは、カバー20は、落下または衝撃の際に、力を吸収するために十分な、ある程度の弾性変形能力を呈する一体成形エラストマー材料から成る。
【0077】
しかしながら、カバー20は、輸送中、アセンブリの重量、特に、低温流体によって後に充填された後に球状物12の重量を担持可能でなければならない。これが、弾性変形能力が用途に従って決定される理由である。
【0078】
その結果、カバー20の弾性変形能力は、具体的には、球状物の重量であるが、しかしながら、結果として、球状物12を構造14に接触させずに、球状物12の可能な移動または可能な変位を決定する、容積16内の球状物12の周囲に残る空間に応じる。
【0079】
有利には、カバー20は、懸架された球状物12の重量を支持する一方で、衝撃または落下の際に、力を吸収するように、カバー20を局所的に剛性化が可能であるリブ21等の補強手段を備える。
【0080】
好ましくは、カバー20は、外側縁25からカバーの中心に向かって、半径方向に延出する腕部23の形状に作製され、例えば、角度的または規則的に、「星型」に分布するリブ21を備える。
【0081】
有利には、カバー20は、ここでは、円形断面を有する中央管状要素50を備える支持手段46を組み込む。管状要素50は、搭載位置において、それぞれ、少なくとも部分的に球状物12の上方開口部42を通って、球状物12の首部40の外側および上方に延出する、上方ブロック52および下方ブロック54を備える。
【0082】
中央管状要素50は、上方縁58から下方へ徐々に拡開し、外壁34と内壁36との間の接続領域のみを構成する、球状物12の内容積38内へと導くオリフィス56を画定する。
【0083】
有利には、装置10は、搭載姿勢において、取設手段48を備える管状要素50と、その形状に追従するように拡開した首部40の近くに位置する球状物12の内壁36との間に、半径方向に介在した環状スリーブ60を備える。
【0084】
装置10は、カバー20を含む管状要素50のオリフィス56を塞ぐことが可能な、閉合ストッパ62を備える。
【0085】
好ましくは、ストッパ62は、差込型取り付け具によって、カバー20上に付加され、その外周の周囲においてカバー20の切り欠き66と係合するように意図されるピン64を含む。
【0086】
好ましくは、切り欠き66は、カバー20の上方面28上のオリフィス56の周囲に、外周方向に分散される。
【0087】
有利には、ストッパ62は、垂直に延出し、装置10の垂直軸X上に中心がある、環状スカート68を備える。
【0088】
有利には、ストッパ62は、20よりも直径が小さく、搭載位置において、球状物12が懸架される管状要素50を備えるカバー20の中央部の剛性化に貢献し、環状領域は、切り欠き66と、衝撃の際に、力を吸収するように意図される弾性的に変形可能な領域29を形成するカバー20の縁との間に、半径方向に延出する。
【0089】
装置10は、管状要素50のオリフィス56内への下方垂直導入によって、係止位置への取設手段48の移動を生じさせることが可能な、制御構成要素70を備える。
【0090】
好ましくは、取設手段48は、搭載後、球状物12とカバー20の管状要素50との間の結合接続を確保するように意図される、突起から成る。
【0091】
突起48は、後退位置と係止位置との間を可動であるように搭載され、例えば、管状要素50のブロック54の内端円周方向に、規則的に分散される。
【0092】
各突起48は、図2または3に示されるように、取設手段48が後退位置にあるときに、「L」断面を呈し、管状要素50内で半径方向水平に延出する制御腕部72と、垂直に下方に延出するフックを形成する係止腕部74とを含む。
【0093】
後退位置から係止位置への取設突起48の枢動は、管状要素50の上方オリフィス56を通して、制御構成要素70の下方垂直導入によって達成される。
【0094】
制御構成要素70が軸方向に導入される場合、管状本体76が、突起48の制御腕部72と係合し、後退位置から係止位置への突起の45°枢動を生じさせるように、制御構成要素70は、管状要素50の上方ブロック54よりも小径の管状本体76を備える。
【0095】
図5により詳しく見られ得るように、制御構成要素70が、有利には、突起48を係止位置に掛止する手段を構成するように、制御構成要素70の管状本体76は、次いで、突起48を係止位置に固定する。
【0096】
実際に、制御腕部72は、次いで、制御構成要素70の管状本体76の外側円筒形壁80に沿って垂直に延出する。
【0097】
好ましくは、取設突起48は、係止位置に斜めに延出し、首部40の近くで内壁36と一体化されるスリーブ60に対向する面61に対する支持部として機能する。
【0098】
搭載位置において、スリーブ60は、球状物12の内壁36と、首部40の領域において、球状物12内に穿通する管状要素50の上方ブロック54の外側円筒形表面との間に、半径方向に介在される。
【0099】
変形例として、装置10はスリーブを備えず、突起48が、係止位置において、球状物12の首部40の内壁36の拡開部分と直接係合する。
【0100】
好ましくは、制御構成要素70は、管状本体76を備え、その上方端78は、底によって閉合され、開放変形例では、その円筒形壁80は、少なくとも1つの孔82を備え、具体的には、充填中、低温流体の通過を可能にする。
【0101】
有利には、管状本体76は、外周方向に円筒形壁80の周囲と、垂直にいくつかの重畳列上に分散される、複数の孔82を備え、孔82は、1列毎に交互に敷設される。
【0102】
制御構成要素70は、その上方端に、制御構成要素70の管状本体76の上方端から外側に半径方向に延出する水平壁86と、垂直壁88とを含む、上方「L」フランジ84を備える。
【0103】
搭載位置(図5)において、制御構成要素70の半径方向フランジ84は、管状要素50の上方ブロック52と上方ブロック54とを接続することによって形成される相補的な肩部90に接触してその壁86によって支持される。
【0104】
好ましくは、制御構成要素70は、その本体76またはその端部78と球状物12の内壁36との間で直接接触することなく、内容積38を通って、垂直に延出する。
【0105】
有利には、装置10は、輸送中、ここでは、中心位置に制御構成要素70を維持可能な位置決め手段92を備える。
【0106】
位置決め手段92は、特に、衝撃または落下の際に、伝達され得る力が、有利には、首部40およびスリーブ60の領域内の内壁36の部分だけではなく、球状物12の内壁36全体に分布されるように、制御構成要素70の管状本体76と球状物12の内壁36との間の機械的接続を確保する。
【0107】
図示されていない第1の解決策によると、位置決め手段92は、リングから成り、その外径は、球状物12の内径に一致し、その内径は、制御構成要素70の管状本体76に一致する。
【0108】
有利には、構成要素70の位置決めリングは、いわゆる、発泡体フィルタ等の発泡体から成り、その気泡構造は、球状物12の内容積38に影響を及ぼすことはない、または最小限にしか影響を及ぼさない。
【0109】
そのような位置決めリングは、例えば、装置10の球状物12が、輸送および/または保管される生成物を直接構成する低温流体のための輸送および/または保管タンクとして使用されることが意図される場合に、好ましい。
【0110】
図5に示される第2の解決策によると、位置決め手段は、例えば、液体窒素等の低温流体を吸収可能な手段から成る。
【0111】
有利には、位置決めおよび吸収手段92は、制御構成要素70の導入前に、球状物12の内容積38の全部または一部の中に配置され、例えば、薄片または膨張形態のポリウレタン発泡体またはフェノール樹脂発泡体から成る。
【0112】
その吸収能力のために、手段92は、液体がスポンジによって吸収されるように、充填時に低温流体を吸収し、続いて、流体は、輸送中、球状物12の外に拡散不可能となる。
【0113】
有利には、そのような生成物輸送および/または保管装置10は、特に、航空貨物の場合、溢出し得る危険物質を含有するクライオスタット型容器に課される規制上の制限によって影響を受けることなく、したがって、装置10は、特定の制限なく、任意のパッケージ同様に輸送可能である。
【0114】
本発明の好ましい実施形態によると、装置10は、制御構成要素70の管状本体76内に垂直に導入されることが意図される、閉鎖構成要素94を備える。
【0115】
好ましくは、閉鎖構成要素94は、制御構成要素70を通る低温流体の循環と、輸送および/または保管される生成物との可能な接触とを制限するために、孔82を塞ぐことが可能である。
【0116】
実際、閉鎖構成要素94は、有利には、搬送管から成り、その中で生成物が輸送または保管される。変形例では、生成物は、閉鎖構成要素94内に導入される従来のパイプによって搬送される。
【0117】
閉鎖構成要素94は、管状本体96と、制御構成要素70のフランジ84とともに、その外側半径方向端に、環状係止リング102を備える、略水平壁100から主に成る、フランジ98とを備える。
【0118】
好ましくは、フランジ98の環状係止リング102は、単回使用装置の完全性を保証する一方で、後の再使用を不可能にするために、制御構成要素70のフランジ84の垂直壁88の内部垂直面を備える、少なくとも1つの係止戻り止め104と係合可能であって、閉鎖構成要素94全体と制御構成要素70とを不可逆的に係止する。
【0119】
図4Aおよび4Bに示される実施例によると、制御構成要素70は、少なくとも1つの上方パッド106および1つの下方パッド108を含み、それぞれ、上下パッド間に位置する第1の切り欠き110と、内側パッド108の下方に位置し、切り欠き104に対応する第2の切り欠きとを画定する、切り欠き付き垂直面を備える。
【0120】
図4Aに示されるように、閉鎖構成要素94は、第1の、いわゆる、組み立て位置を占有可能であって、閉鎖構成要素94の係止リング102は、制御構成要素70のフランジ84の第1の切り欠き110内に導入される。
【0121】
図4Bに示されるように、閉鎖構成要素94は、第2の、いわゆる、係止位置をさらに占有することが可能であって、リング102は、制御構成要素70の第2の、いわゆる、係止戻り止め104内に導入される。
【0122】
好ましくは、閉鎖構成要素94は、組み立て位置において、制御構成要素70を通って低温流体によって球状物12の内容積38を充填させることが意図される、制御構成要素70の通過孔82と少なくとも部分的に一致する、孔112を備える。
【0123】
有利には、係止位置では、制御構成要素70の孔82は、閉鎖構成要素94の本体96によって、少なくとも部分的に塞がれ、低温流体の後の追加を防止し、エンドユーザに、装置の完全性およびその単回使用による利用を保証する。
【0124】
有利には、吸収手段92は、装置10内に、一方では構成要素70の位置決めを、他方では、構成要素70と球状物12の内壁36との間の機械的接続を確保する。
【0125】
閉鎖構成要素94および制御構成要素70は、係止位置において、輸送および/または保管中、低温流体によって徐々に放出されるガスの漏出を可能にするように意図される、換気手段114を備える。
【0126】
有利には、閉鎖構成要素94および制御構成要素70を通る換気手段114は、それらのそれぞれの上部に位置する各構成要素70および94の孔82、112の少なくとも1つによって形成される、少なくとも1つの換気オリフィス114から成る。
【0127】
上方換気オリフィス114は、球状物12の首部40の開口部42を通過する際に、内容積38から外部に漏出する、低温流体によって放出されるガスの排出を可能にする。
【0128】
構成要素70および94の上方換気オリフィス114は、アセンブリが図4Aに示される組み立て位置にあるときには軸方向に一致しないが、構成要素70および94が図4Bに示される係止位置にあるときには一致する。
【0129】
好ましくは、閉鎖構成要素94の上方管状部は、いわゆる、内部ストッパ116を受容可能であって、低温流体によって産生されるガスを外部に排出させることによって、球状物の換気を可能にする。
【0130】
有利には、ストッパ116は、また、手段92の最大吸収能力に関連して、自発的であるかどうかにかかわらず、過剰量が導入されたときに、球状物12の外への低温流体の溢出を制限することが可能である。
【0131】
そのようなストッパ116によって、一方では、球状物12の内容積38と外部との間の熱交換を制限し、他方では、球状物の内外間の温度差による首部40の近くにおける凝結の形成を防止することが可能となる。
【0132】
次に、図5に示される最終搭載位置を達成するために、輸送および/または保管装置10の実装に必要な主な段階が説明される。
【0133】
好ましくは、球状物12は、一方では、容積38内に導入される吸収位置決め手段92を、他方では、首部40内に搭載されるスリーブ60を備える。
【0134】
輸送装置10は、具体的には、カバーの管状要素50を球状物12の上方開口部42内に導入し、係止を実行することによって、事前搭載可能である。
【0135】
管状要素50が導入されると、突起48は、球状物12内に延出するが、後退位置にある。これは、突起48をその係止位置に枢動させる、カバー20の通過オリフィス56を通しての制御構成要素70の垂直導入である。
【0136】
制御構成要素70が導入されると、カバー20および球状物12は、次いで、制御構成要素70によって、係止位置に維持される突起48を通って互いに接続される。
【0137】
好ましくは、制御構成要素70は、全体的に、すなわち、そのフランジ84が管状要素50の上方ブロック52内に受容され、壁86が肩部90と係合するまで、球状物12内に導入される。
【0138】
好ましくは、閉鎖構成要素94は、これらの第1の組み立て操作、特に、取設手段48の係止後、制御構成要素70内に搭載される。
【0139】
変形例では、閉鎖構成要素94は、上述されたように、構成要素70と同時に搭載されるために、事前に構成要素70と組み立てられる。
【0140】
好ましくは、次いで、カバー20は、本目的のために、カバー20の相補的な縁120と係合することが意図された上方縁118を含む、ドラム18と一体的に搭載される。
【0141】
有利には、ドラムの上方縁118は、カバー20の縁120を備える相補的な環状溝内に密に固定されることが意図された雄部を形成する。
【0142】
球状物12によってその中心に付与される負荷にかかわらず、カバー20が外側パッケージ構造14を形成するドラムに接続されたままであるように、ドラム18およびカバー20の縁118と120との間の係合形態が決定される。
【0143】
したがって、必然的に、カバー20とドラムの上方縁118との間の接続を確保するために、多数の変形例が考えられる。
【0144】
外側パッケージ構造14のドラムとのカバー20の組み立てが完了すると、球状物12は、次いで、内容積16内に懸架され、垂直に延出する。
【0145】
次いで、球状物12の内容積38は、閉鎖構成要素94のフランジ98によって画定される上方開口部を通して、低温流体を注入されることによって、頂部を通して充填される。
【0146】
導入されるある一定量の低温流体は、有利には、そのような目的のために提供される吸収手段92によって完全に吸収される。
【0147】
充填が完了すると、輸送および/または保管される生成物は、例えば、次いで、搬送管を構成する閉鎖構成要素94によって画定される容積内に直接導入される。
【0148】
変形例では、生成物は、閉鎖構成要素94内の上から下に垂直に導入される支持パイプ(図示せず)によって搬送される。
【0149】
有利には、輸送および/または保管装置10は、生成物の出荷を可能にするために閉合されることが可能である。
【0150】
有利には、ストッパ62のスカート68は、組み立て位置から係止位置へのその変位を生じさせるために、閉鎖構成要素94のフランジ98の水平壁100と係合可能である、作動部を構成する。
【0151】
ストッパ62が、装置10を閉合する目的のために、下方に垂直に導入されると、スカート68の上方端は、次いで、制御構成要素70内へのその降下と、第1の戻り止め110から第2の戻り止め104への係止リング102の通過とを生じさせる、構成要素94のフランジ98上に、閉合力F(図4B)印加する。
【0152】
有利には、ストッパ62は、その上方面を備えるハンドルによって、同時または継続的に、回転駆動され、差込型搭載後に、閉合を完了する。
【0153】
実際、各切り欠き66は、有利には、段階的経路(図示せず)を備え、各ピン64は、ストッパ62が回転されると係合され、ストッパ62のピン64がパッケージ構造14の支持カバー20の相補的切り欠き66内に導入されると、スカート68の下向き移動を自動的に生じさせる。
【0154】
したがって、輸送および/または保管装置10は、頂部のカバー20が垂直位置に維持されている間、輸送可能となる、または低温流体の量によって決定される一定期間、生成物の保管が可能となる。
【0155】
有利には、閉鎖構成要素94またはストッパ116の使用は、決して、とりわけ、税関局によって行なわれ得る、輸送または保管される生成物の制御を妨げることはない。
【0156】
図示されていない変形例によると、輸送装置10は、1つの制御構成要素70のみを備える。
【0157】
次いで、制御構成要素70は、搬送管を直接構成し、その中に、輸送または保管される生成物、あるいは生成物を含有する支持パイプが留められる。
【0158】
上述のように、構成要素70の管状本体76の上方部は、ストッパ116を受容可能であって、低温流体によって産生されるガスの球状物外への放出を可能にして、熱交換を制限し、また、球状物12外への低温流体の排出を制限する。
【0159】
本発明によって、輸送装置10は、構成要素数の減少、低製造費をもたらし、単回使用による利用を可能にする。
【0160】
有利には、外壁34は、いかなる接触からも免れ、衝撃または落下の際に伝達される機械力は、内壁36のみに付与されるだけである。
【0161】
実際、衝撃または落下によって生じる機械力は、必要に応じて、一方では、直接またはスリーブ60の介入を介して、前記内壁36と係合する取設手段48によって、他方では、吸収性であるかどうかにかかわらず、位置決め手段92を介して、管状本体76によって、球状物12の内壁36に伝達される。
【0162】
内壁36全体への力の分散によって、特に、二重壁ガラス断熱球状物12の外壁34と内壁36との間の接続領域58に近い首部40を破裂させる危険性が排除される。
【0163】
本発明によるそのような装置10は、有利には、配偶子または胚子等の生体生成物だけではなく、輸送の場合、少なくともその運搬のために十分な一定期間、液体窒素等の低温流体によって、非常に低温で保存される必要があるあらゆる生成物の輸送および/または保管のために使用される。
【0164】
したがって、また、輸送または保管される生成物は、ウイルス、ワクチン、および分析されることが意図される医療用試料等の生成物であり得る。
【0165】
好ましくは、本発明による装置10はまた、液体窒素等の低温流体の輸送および/または保管を行なうために使用可能であって、したがって、球状物12の内容積は、全体として、生成物を構成する流体自体のためのタンクを構成する。
【0166】
有利には、装置10は、そのような低温流体の輸送または保管の目的のためのタンクとして使用される場合、吸収性型の位置決め手段92を含まない。
【0167】
球状物12内に含有される低温流体の量が、生成物の保存を確保するために十分である限り、装置10は、特に、その使用を待機している間、保管のために使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成物を輸送するための装置であって、
a)断熱球状物を受容する内容積を画定する複数の壁を備える外部パッケージ構造;
b)外壁および内壁によって形成される本体を備える断熱球状物であって、該内壁が内容積を画定し、そして該本体が該断熱球状物の該内容積内に導く開口部を有する、断熱球状部;および
c)該外部パッケージ構造の該複数壁のうちの1つから形成されるカバーであって、該カバーが、該断熱球状物を受容する該内容積内で該断熱球状物を懸架するように該断熱球状物と接触し得る管状要素を有し、該断熱球状物が懸架された場合に、該カバーが該開口部を通る物質の通過を可能にする、カバー、
を備える、装置。
【請求項2】
前記管状要素が、前記開口部を少なくとも部分的に通って延びる下方ブロックを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下方ブロックが、前記断熱球状物を懸架するように、該断熱球状物の前記内壁に接触し得る半径方向に配列された突起を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記半径方向に配列された突起が、後退位置と係止位置との間で可動であり、該係止位置にある場合に、該突起が、前記球状物の前記外壁と前記外部パッケージ構造の前記壁との間の接触無しに該外部パッケージ構造によって画定される前記内容積内で垂直に該球状物を懸架するように、該球状物の該内壁を係合する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置であって、さらに制御構成要素を備え、該制御構成要素が、前記管状要素内に導入された場合に、前記下方ブロックが前記内壁と接触して、前記断熱球状物を受容する前記内容積内で該断熱球状物を懸架するように、該下方ブロックを半径方向外側に変位させる、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、閉鎖構成要素をさらに備え、該閉鎖構成要素は、その外側垂直面上に備えられたフランジを有し、該フランジは、前記制御構成要素のフランジと相補的に係合可能な環状係止リングを備え、該制御構成要素は、該閉鎖構成要素を該制御構成要素に不可逆的に係止するための少なくとも1つの係止戻り止めを備える内側垂直面を有する、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、位置決め手段を備え、該位置決め手段は、前記断熱球状物の前記内容積内の中心位置に前記制御構成要素を維持し得、かつ、該制御構成要素と前記内壁との間の機械的接続を確保し得る、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、低温流体を吸収することが可能である吸収手段を備え、該吸収手段は、前記断熱球状物の前記内容積の全部または一部の中に配置される、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記位置決め手段が、低温流体を吸収することが可能である吸収手段を備え、該吸収手段が、前記断熱球状物の前記内容積の全部または一部の中に配置される、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記カバーが一体型要素を備える、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記一体型要素が、弾性変形能力を呈し、断熱球状物を受容する前記内容積内の該断熱球状物の移動を制限する、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記一体型要素が、上方水平面および下方水平面を備える、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記上方水平面の少なくとも一部が、前記外部パッケージ構造の外側面を備える、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置であって、前記カバーが、着脱可能なカバーを含む、装置。
【請求項15】
請求項1に記載の装置であって、前記外部パッケージ構造が、円筒形側壁、底を形成する水平壁および前記カバーを備える、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置であって、前記カバーが、さらにリブを備え、該リブが、該カバーの外側縁から該カバーの中心に向かって、半径方向に延出する腕部の形状で作製されている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−76564(P2013−76564A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−238014(P2012−238014)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2010−500249(P2010−500249)の分割
【原出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(510297347)エスティー リプロダクティブ テクノロジーズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】