説明

二重構造吸盤

【課題】従来の吸盤付物掛け具は、吸盤に直接フックがついているため、壁面から離れて物を吊ることが出来ず、また、吸引吸盤においては外側の硬質カバーを押すだけでは充分な吸着力が得られなかった。
【解決手段】 本発明は外側の硬質カバーと内側の柔軟性吸盤からなる中央部が凸状になった逆皿型の二重構造の吸盤であって、前記柔軟性吸盤の裏面中央部には連結杆が突設され、前記硬質カバー中央部には前記連結杆が貫通して突出可能な孔が設けられ、前記連結杆に挿入された押圧分散リングを介して前記硬質カバーの孔に前記柔軟性吸盤の連結杆を貫通させて重ね合わせ、前記連結杆の先部に連結ピンを用いてアームが起倒自在に連結された二重構造吸盤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易折畳式で物干しなどに使用できる吸盤に関すものである。
【背景技術】
【0002】
吸盤を利用して物干し等を構成する発明としては、柔軟性吸盤にフック付きハンガーが直接設けられているものがある。
(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、吸引吸盤の外側の硬質カバー周縁裾部に圧接可能な環状凸部を形成することにより吸盤体の周縁部からの空気進入を仰制し、これにより吸着作用が継続して良好に行われるものがある。
(例えば、特許文献2参照)
【0004】
さらに2個の吸盤と2本のアームの組合せで壁面に対し垂直な3角形を作り、壁面から離して物品を吊り下げる構造がある。
(例えば、特許文献3参照)
【0005】
文献1〜3記載の柔軟性吸盤とは、半球形で柔軟性のある材質で構成され、壁面などに押し付けることで負圧を発生させ表面が平滑な物品に密着し吸着させる器具である。
【0006】
文献2〜3記載の吸引吸盤とは、外側は円形、又は箱型形の硬質カバーを有し、内側に柔軟性吸盤が設けられ、前期柔軟性吸盤の背面中央部に連結杆が突設され、前記硬質カバーの中央凸部に空けた孔から先端が突出した前記連結杆には連結ピンによりフック体やアームが起倒自在に軸着され、前記フック体や前記アームを起立させることにより前記フック体やアームに形成されたカム片の作動により前記連結杆が引き上げられることで前記柔軟性吸盤に負圧を発生させ表面が平滑な物品に吸着される器具である。
【0007】
【特許文献1】特開平 10−57220号 公報
【特許文献2】実登 2568453号 公報
【特許文献3】特開 2005−304642号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上述べたように文献1は、柔軟性吸盤にハンガーを直接取付けているため物品を吊り下げた時、平滑な面と物品が接触し前記平滑な面や物品を汚したり物品と平滑な面との間の空気の流通が悪く洗濯物が早く乾かない欠点と、負荷重で前記柔軟性吸盤が変形して負圧が解除され剥れ易くなる欠点と、平滑でない柱や壁面に取付けることが出来ない欠点があった。
【0009】
文献2の吸引吸盤は吸盤体に直接フックを取付けているため、物品を吊り下げた時平滑な面と物品が接触し前記平滑な面や物品を汚したり、吊下げた物品と平滑な面との間の空気の流通が悪く洗濯物が早く乾かない欠点と平滑でない柱や壁面に取付けることが出来ない欠点があった。
さらに吸引吸盤は、フック体を起立させて平滑な面に吸着させる手順が必要であった。
【0010】
文献3は、壁面から離して物品を吊り下げることはできるが、平滑でない柱や壁面に取付けることが出来ない欠点と2個の吸盤と2本の支持アームを使用するので部品が多い欠点があった。
さらにさらに吸引吸盤は、アームを起立させて平滑な面に吸着させる手順が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため、本発明は外側の硬質カバーと内側の柔軟性吸盤からなる中央部が凸状になった逆皿型の二重構造の吸盤であって、前記柔軟性吸盤の裏面中央部には連結杆が突設され、前記硬質カバー中央部には前記連結杆が貫通して突出可能な孔が設けられ、前記連結杆に挿入された押圧分散リングを介して前記硬質カバーの孔に前記柔軟性吸盤の連結杆を貫通させて重ね合わせ、前記連結杆の先部に設けられた孔に連結ピンを用いてアームが起倒自在に連結されている。
【0012】
さらに、前記アームが前期硬質カバー対し起立する方向に位置し、前記吸盤を平滑な面に吸着させた時、前記柔軟性吸盤の面と面一になる高さを有する断面から見てL字型凸片を前記硬質カバーの周縁下部に設けても良い。
【0013】
そして、平滑な面に前記吸盤を押付けて吸着させ、前記アームを起立させた時、前記アームを立てた方向から見て前記アームの先部が前記平滑な面に対して鋭角を保持する高さの凸片を前記アーム基部底が接触する前記硬質カバーの中央部上面に設けても良い。
【0014】
また、前記硬質カバーの周縁上部に欠損部を設け、該欠損部に対応した部分の前記柔軟性吸盤の上面の一端部に貫通孔を有した吊下げ小片を設けても良い。
【0015】
そして前記押圧分散リングは前記柔軟性吸盤に突設された連結杆に一体形成されても良い。
【0016】
なお、前記硬質カバーは、硬質の合成樹脂を材料として半球形の逆皿型で中央部に孔が設けられ、前記柔軟性吸盤は、軟質の合成樹脂を材料として半球形の逆皿型で裏面中央に硬質の合成樹脂を材料とした連結杆を突設している。
前記連結杆には硬質の合成樹脂を材料とした押圧分散リングが貫通されており、前記押圧分散リングは前記硬質カバーと前記柔軟性吸盤との間にあってお互いに接触し、前記連結杆の連結孔を含む先端は、前記硬質カバーの孔から突出している。
また、強度を必要とする前記硬質カバーの材料は、金属やアルミ等の非鉄金属を用いても良い。
【0017】
そして、前記連結杆と硬質の合成樹脂を材料とした連結ピンにより連結された硬質の合成樹脂を材料としたアームは直線的な棒状でもT字状でも良く、曲線的にデザインされても良い。
さらに、前記アームの上部に滑り止め用の凹部を設けて前記アームに掛けたフックの滑りを防止することも出来るし、前記アームは強度を必要とするため、横に桟を入れても良く、また、金属やアルミ等の非鉄金属を用いても良い。
【0018】
なお、前記硬質カバー周縁下部に設ける前記L字型凸片の長さの範囲は前記硬質カバーの周縁の2/3〜1/12の長さであれば良い。
本発明の二重構造吸盤は、アームに物品を吊り下げた時の負荷重を柔軟性吸盤と前記硬質カバーを通し前記L字型凸片に分散するが、前記L字型凸片の長さが2/3を超えた場合と2/3以下の場合に負荷重の分散に著しい変化はない。
また、前記L字型凸片の長さが1/12以下になると本発明の二重構造吸盤に連結したアームにフラツキ現象が起きる。
【0019】
前記アームを起立させた時、負荷重により前記アーム基部底が前記硬質カバーと接触する。
又、前記硬質カバーの上面に設けた硬質の合成樹脂を材料とした凸片に代わり前記アーム基部底に突部を設けても良い。
なお、前記平滑な面が自動車の内窓の様に手前に向かって傾斜している場合は、前記アームが水平より上向きの鋭角になる様な高さの凸片を設けても良い。
【0020】
そして、前記硬質カバーの周縁上部に設ける欠損部の範囲は、前記吸盤の安定を図るため周縁の1/2〜1/6程度が良い。
該欠損部が1/2以上になると本発明の二重構造吸盤のフラツキ現象の原因となる。
また、該欠損部が1/6以下になると前記柔軟性吸盤の上面の一端に貫通孔を有した吊下げ小片を取付けるスペースの確保が難しくなる。
【0021】
前記押圧分散リングはドーナツ状で硬質の合成樹脂で作られており、前記内側の柔軟性吸盤に突設された連結杆に貫通して該柔軟性吸盤と密着し、且つ、外側の硬質カバーと接触しているので、前記硬質カバーを押すと前記押圧分散リングが前記柔軟性吸盤を押す作用を生じ前記柔軟性吸盤が壁面に押付けられるものである。
【発明の効果】
【0022】
上述したように本発明の二重構造吸盤は、外側の硬質カバーと内側の柔軟性吸盤からなる中央部が凸状になった逆皿型の前記柔軟性吸盤の裏面中央部には連結杆が突設され、前記硬質カバー中央部には前記連結杆が貫通して突出可能な孔が設けられ、前記連結杆に挿入された押圧分散リングを介して前記硬質カバーの孔に前記柔軟性吸盤の連結杆を貫通させて重ね合わせており、前記押圧分散リングは前記硬質カバーと前記柔軟性吸盤に接触しているので、前記硬質カバーを平滑な面に対して押すと前記連結杆に挿入された押圧分散リングが押されて均等に前記柔軟性吸盤を平滑な面に押付けるようになる。
その結果前記柔軟性吸盤に負圧が発生し効果的に平滑な面に吸着する。
これは、文献2又は3記載の吸引吸盤がフック体やアームを起立させて吸着させる手順を簡単な手順に改良したものである。
【0023】
さらに、前記連結杆の先部に設けた孔に連結ピンを用いてアームが起倒自在に連結されているので、前記アームを起立させて使用する時、前記アームに設けられたフック等により物品を平滑な面より離して吊ることが出来るので文献1又は、2に記載した欠点を解消できる。
【0024】
そして、前記アームが前記硬質カバー対し起立する方向に位置し、前記吸盤を平滑な面に吸着させた時、前記柔軟性吸盤の面と面一になる高さを有する断面から見てL字型凸片を前記硬質カバーの周縁下部に設ける事により、前記アームに物品を吊り下げたとき前記アームと前記硬質カバーは接触しているので、
前記アームに掛かった負荷重を前記柔軟性吸盤と前記硬質カバーに分散することが出来るようになり、さらに本発明の二重構造吸盤のフラツキが防止できるようになったので文献1に記載された欠点は解消される。
【0025】
また、平滑な面に前記吸盤を押付けて吸着させ、前記硬質カバーに対して前記アームを起立させた時、前記アームを立てた方向から見て前記アームの先部が前記平滑な面に対して鋭角を保持する高さの凸片を前記アーム基部底が接触する前記硬質カバーの中央部上面に設けたことで、前記アームのフック等に物品を吊り下げたとき前記柔軟性吸盤が外側に引っ張られ前記アームが物品の重みで水平より下方に下がることを1個の二重構造吸盤と1本のアームで防止出来るようになったので文献3に記載された欠点は解消される。
【0026】
前記硬質カバーの周縁上部に欠損部を設けた場合、該欠損部に対応した部分の前記柔軟性吸盤の上面の一端部に吊下げ小片が設けられ、前記吊下げ小片を手前に引っ張ると前記柔軟性吸盤が変形し負圧状態が解除されるので前記柔軟性吸盤は剥し易く、且つ、前記吊下げ小片に貫通孔を有した場合、前記貫通孔に釘などを通して本発明の二重構造吸盤を柱などの平滑でない場所に取付け、小物類を吊り下げることが出来るようになったので文献1〜3に記載された欠点は解消される。
【0027】
本発明の二重構造吸盤は、旅行中や出張中のホテルでは部屋の鏡や窓ガラスの前がエアコンの空気の通る場所となっていることが多いので前記鏡や窓ガラスなどの平滑な面に本発明品を吸着させて洗濯物干しとして利用するのに最適であり、又、車両移動中に窓ガラスに本発明品を吸着させて洗濯物や物品を吊りさげることに便利で且つ、平滑な面でない壁や柱などに鍵や帽子手袋などの小物を吊下げたりするのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本考案の実施の形態を実施例となる添付図面に従って説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、平滑な面1に本発明の実施例になる二重構造吸盤を吸着させる前の状態を示している。
図2は、平滑な面1に本発明の実施例になる二重構造吸盤のアーム12を起立させて柔軟性吸盤7を吸着させた状態を示している。
【0030】
旅行用として吸盤を含んで全長200mm、幅60mm、厚み35mmに設定し、B5版サイズの袋に充分に収納出来て携帯に便利なものとした。
【0031】
外側の硬質カバー2と内側の柔軟性吸盤7からなる中央部が凸状になった逆皿型の二重構造吸盤であって、前記柔軟性吸盤7の裏面中央部には連結杆8を突設し、前記連結杆8の先部に連結孔9を設けた。
前記硬質カバー2の中央部には前記連結杆8が貫通して突出可能な孔4を設けた。
【0032】
前記柔軟性吸盤7の裏面中央部に突設された前記連結杆8に挿入された押圧分散リング10を介して前記硬質カバー2の孔4に前記柔軟性吸盤7の連結杆8を貫通させて前記柔軟性吸盤7と前記硬質カバー2を重ね合わせた。
【0033】
前記連結杆8の先部に設けられた孔9に連結ピン11を用いてアーム12を起倒自在に連結した。
前記アーム12にはフック14や先部15にU字型のフック掛け16を設けた。
【0034】
また、前記アーム12が前記硬質カバー2に対し起立する方向に位置し、前記硬質カバー2を平滑な面1に押付けた時、前記柔軟性吸盤7の面と面一になる高さを有する断面から見てL字型凸片3を前記硬質カバー2の周縁下部に設けた。
【0035】
そして、平滑な面1に前記吸盤を押付けて吸着させ、前記アーム12を起立させた時、前記アーム12を立てた方向から見て前記アームの先部15が前記平滑な面1に対して鋭角αを保持する様な高さの凸片6を、前記アーム基部底13が接触する前記硬質カバー2の中央部上面5に設けた。
【0036】
本発明の二重構造吸盤の材質は全体的にはABS,PVC,PP,などのプラスチックや合成樹脂を使用するが、特に強度を必要とする前記外側の硬質カバー2や前記アーム12等はABSに替え、金属やアルミ等の非鉄金属を用いても良い。
【0037】
次に、本発明の実施例となる二重構造吸盤の各部品の詳細な説明を図3〜図9により説明する。
【0038】
図3は硬質カバーの斜視図である。
前記硬質カバー2の直径は57mmとした。
前記硬質カバー2の中央部上面5には連結杆8を通す孔4が空いている。
平滑な面1に前記硬質カバー2を押付けて柔軟性吸盤7を吸着させ、アーム12を起立させた時、前記アーム12を立てた方向から見てアーム基部底13が接触する前記硬質カバー2の前記中央部上面5に前記アーム12の先部15が前記平滑な面1に対して70°〜80°の鋭角αを保持する様に高さ2mmの凸片6を設けた。
【0039】
図4は前記硬質カバー2の上面図である。
前記硬質カバー2の周縁下部に設けられた断面から見てL字型凸片3の長さは前記硬質カバー2の周縁の長さが17,9cmなのでその約1/2の長さの9cmとした(図4A−Aで図示)。
【0040】
図5は図4のA−A断面図であり、前記硬質カバー2の周縁の外端17から張り出した前記L字型凸片3の長さの内寸法Lは9mmとした。
前記硬質カバー2の下端周辺部18を基準とした前記L字型凸片3の高さHは4mmとした。
図2で示す様に、前記L字型凸片3の長さLと高さHは、前記硬質カバー2を平滑な面1に押付け柔軟性吸盤7を吸着させた時、前記L字型凸片3と前記柔軟性吸盤7は面一となり、さらに前記柔軟性吸盤7に前記L字型凸片3が重ならない構成とした。
【0041】
図6は内側の柔軟性吸盤7、連結杆8、連結杆先部に設けた孔9、押圧分散リング10、連結ピン11の分解斜視図の一例を示している。
【0042】
柔軟性吸盤7の直径は60mmとした。
前記柔軟性吸盤7の中央部裏面に突設された連結杆7の高さは19mm、正面幅は11mm、側面幅は6mmとした。
前記連結杆8に挿入された押圧分散リング10の高さは5mm、厚み幅は3mmとした。
前記連結杆8の先部に連結孔9を設け連結ピン11を用いて前記アーム12に連結した。
【0043】
図7〜図9は、アーム12の斜視図、側面図、上面図の一例を示している。
【0044】
アーム12は長方形型で長さ180mm、縦8mm、横11mmで基部は強度を保持するため、縦14mmとした。
前記アーム12にはフック14や先部15にU字型のフック掛け16を設けた。
【0045】
上記のような二重構造吸盤を用いて冷蔵庫の平滑なドアに取り付け、500
mmリットル入りペットボトル3本、1500グラムを吊り下げたところ240時間以上吊り下げを保持した。洗濯物であれば1週間掛けても大丈夫であった。
【実施例2】
【0046】
次に、家族用として全体のサイズを大きくし、押圧分散リングを連結杆に一体形成した実施例を説明する。
【0047】
外側硬質カバー2の直径は80mmとした。
前記硬質カバー2の周縁下部に設けられた断面から見てL字型凸片3の長さは前記硬質カバー2の周縁の長さが25,1cmなのでその約2/3の長さの16,7cmにした。(図示せず)。
前記硬質カバー2の周縁の外端17から張り出した前記L字型凸片3の長さの内寸法Lは13mmとした。
前記硬質カバー2の下端周辺部18を基準とした前記L字型凸片2の高さHは5mmとした。
前述の実施例1と同じく、前記硬質カバー2の周縁の外端17から張り出した前記L字型凸片3の長さの内寸法Lと、前記硬質カバー2の下端周辺部18を基準とした前記L字型凸片2の高さHは、前記硬質カバー2を平滑な面1に押付け柔軟性吸盤7を吸着させた時、前記L字型凸片3と前記柔軟性吸盤7は面一となり、前記柔軟性吸盤7と前記L字型凸片3は重ならない構成とした。
【0048】
アーム12は、長方形で上面にU字型窪みを形成し(図示せず)、長さ250mm、縦15mm、横14mm、で基部は強度を保持するため縦20mm、であった。
【0049】
平滑な面1に前記硬質カバー2を押付けて柔軟性吸盤7を吸着させ、アーム12を起立させた時、前記アーム12を立てた方向から見てアーム基部底13が接触する前記硬質カバー2の前記中央部上面5に前記アーム12の先部15が前記平滑な面1に対して70°〜80°の鋭角αを保持する様に高さ3mmの凸片6を設けた。
【0050】
柔軟性吸盤7の直径は83mmとした。
前記柔軟性吸盤7の中央部裏面に突設された連結杆8の高さは22mm、正面幅は13mm、側面幅は7mmとした。
前記連結杆8は前記外側の硬質カバー2の中央部上面5の孔3から突き出ていた。
前記連結杆8に一体形成(図示せず)された押圧分散リング10の高さは6mm、厚み幅は4mmであった。
前記連結杆8の先部に連結孔9を設け連結ピン11を用いて前記アーム12に連結した。
前記アーム12は先部15にU字型フック掛け16を設けた。
【実施例3】
【0051】
次に、全体のサイズを小さくし、アーム基部底に突片を設けた実施例を説明する。
【0052】
前記硬質カバー2の直径は40mmとした。
前記硬質カバー2の中央部上面5には連結杆8を通す孔4が空いている。
【0053】
前記硬質カバー2の周縁下部に設けられた断面から見てL字型凸片3の長さは前記硬質カバー2の周縁の長さが12,6cmなのでその約1/10の1,3cmの長さとした(図示せず)。
【0054】
前記硬質カバー2の周縁の外端17から張り出した前記L字型凸片3の長さの内寸法Lは7mmとした。
前記硬質カバー2の下端周辺部18を基準とした前記L字型凸片2の高さHは3mmとした。
前述の実施例1と同じく、前記硬質カバー2の周縁の外端17から張り出した前記L字型凸片3の長さの内寸法Lと、前記硬質カバー2の下端周辺部18を基準とした前記L字型凸片2の高さHは、前記硬質カバー2を平滑な面1に押付け柔軟性吸盤7を吸着させた時、前記L字型凸片3と前記柔軟性吸盤7は面一となり、前記柔軟性吸盤7と前記L字型凸片3は重ならない構成とした。
【0055】
前記内側の柔軟性吸盤7の直径は42mmとした。
前記柔軟性吸盤7の裏面中央部に突設された連結杆8の高さは17mm、正面幅10mm、側面幅5mmで前記硬質カバー1の中央部上面5の孔4から突き出した。
【0056】
前記連結杆8に挿入された押圧分散リング10の高さは4mm、厚み幅2mmとした。
【0057】
前記アーム12は、直線的な棒状で、長さ80mm、縦10mm、横幅6mmとした。
さらに、前記硬質カバー2の中央部上面5と接触するアーム基部底13に高さ1mmの突部(図示せず)を設け、平滑な面1に前記硬質カバー2を押付けて柔軟性吸盤7を吸着させ、アーム12を起立させた時、前記アーム12の先部15が前記アーム12を立てた方向から見て前記平滑な面1に対して70°〜80°の鋭角αを保持する様にした。
【0058】
前記連結杆7は連結ピン9を用いてアーム10に連結されフック12、及び先部13にU字型フック掛け14を設けた。
【実施例4】
【0059】
次に、硬質カバー上部に欠損部を設け、押圧分散リングが柔軟性吸盤の連結杆に一体形成されており、さらにアーム基部底に突部を設け、アームの形状が直線的な棒状とT字状になった実施例を図10〜図15を用いて説明する。
【0060】
図10は、前記硬質カバー2に欠損部21を設け、前記柔軟性吸盤7の一端部に貫通孔23を有した吊下げ小片22を設け、直線的な棒状アームを使用した本発明の二重構造吸盤の斜視図の一例を示している。
【0061】
図11〜図12は、硬質カバー2の周縁上部に欠損部21が設けられた斜視図、上面図の一例を示している。
【0062】
前記硬質カバー2の直径は57mmとした。
前記硬質カバー2の周縁上部に周縁の長さ17,9mmの約1/6の上辺長さ30mm、切込深さ15mm、底辺長さ15mmの欠損部19を設けた。
前記硬質カバー2の中央部上面5には連結杆8を通す孔4が空いている。
【0063】
前記硬質カバー2の周縁下部に設けられた断面から見てL字型凸片3の長さは前記硬質カバー2の周縁の長さが17,9cmなのでその約3/5の長さの108mmとした。
【0064】
前記硬質カバー2の周縁の外端17から張り出した前記L字型凸片3の長さの内寸法Lは9mmとした。
前記硬質カバー2の下端周辺部18を基準とした前記L字型凸片3の高さHは4mmとした。
前記L字型凸片3の長さLと高さHは、前記硬質カバー2を平滑な面1に押付け柔軟性吸盤7を吸着させた時、前記L字型凸片3と前記柔軟性吸盤7は面一となり、さらに前記柔軟性吸盤7に前記L字型凸片3が重ならない構成とした。
【0065】
図13〜図14は、柔軟性吸盤7の上面の一端部に貫通孔21を有した吊下げ小片20、及び、連結杆8に一体形成した押圧分散リング10、連結杆先部に設けた孔9、の上面図、斜視図の一例を示している。
【0066】
柔軟性吸盤7の直径は60mmとした。
前記柔軟性吸盤7の上面の一端部に設けた吊下げ小片20は前記柔軟性吸盤7の外周より長さ12mm、幅10mm、厚み1mm、で突出していた。
平滑でない壁面に取付けられた釘やフックを通すための吊下げ小片20の貫通孔21は縦幅3mm、横幅6mmの楕円形であった。
前記柔軟性吸盤7の中央部裏面に突設された連結杆7の高さは19mm、正面幅は11mm、側面幅は6mmとした。
前記連結杆8に一体形成された押圧分散リング10の高さは5mm、厚み幅は3mmとした。
前記連結杆8の先部に連結孔9を設け連結ピン11を用いて前記アーム12に連結した。
【0067】
アーム12は長さ180mm、縦8mm、横11mmで基部は強度を保持するため、縦14mmとした。
前記アーム12にはフック14や先部15にU字型のフック掛け16を設けた。
さらに、前記硬質カバー2の中央部上面5と接触するアーム基部底13に高さ2mmの突部22を設け、平滑な面1に前記硬質カバー2を押付けて柔軟性吸盤7を吸着させ、アーム12を起立させた時、前記アーム12の先部15が前記アーム12を立てた方向から見て前記平滑な面1に対して70°〜80°の鋭角αを保持する様にした。
【0068】
図15はT字状アーム23を使用した斜視図の一例を示している。
アームの縦棒の長さ80mm、横棒の長さ90mm、縦8mm、横11mmで基部は強度を保持するため、縦14mmとした。
【0069】
上述したように本発明の二重構造吸盤は種々の用途に応じて、外側の硬質カバー2に於いては直径、周縁下部に設けた断面から見てL字型凸片3の長さ、該凸辺3の長さの内寸法L、該凸辺3の高さH、及び中央部上面5に設けた
鋭角を保持する凸片6の高さ、及び、周縁上部に設けた欠損部19の大きさを選定すれば良く、内側の柔軟性吸盤7に於いては、直径、吊下げ小片20の大きさ、吊下げ小片20に有した貫通孔21の大きさを選定すれば良い。
また、アーム12に於いては用途により直線的な棒状や図15に示す如くT字状23などの形状、大きさを選定すれば良い。
【0070】
通常、外側の硬質カバー2の直径は20mm〜100mm、硬質カバー2の周縁上部の欠損部19の大きさは、長さ6mm〜60mm、切込深さ5mm〜
25mm程度でよく、前記L字型凸片3の長さは前記硬質カバー2の周縁の長さの1/12〜2/3程度の長さ、硬質カバー2に設けた70°〜80°の鋭角を保持する様にする凸片の高さ6は1mm〜4mm、が好ましい。
【0071】
内側の柔軟性吸盤7の直径は21mm〜103mm、吊下げ小片20は前記柔軟性吸盤7の周縁外側より張出す長さ6mm〜20mm、幅4mm〜20mm、厚み1mm〜3mm、貫通孔21の大きさは縦幅2mm〜5mm、横幅3mm〜10mmが好ましい。
【0072】
アーム12の長さは30mm〜500mm、T字状アーム23の場合、縦の長さは30mm〜200mm、横の長さは30mm〜300mmの範囲のものが好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】二重構造吸盤吸着前図
【図2】二重構造吸盤壁面吸着時図
【図3】硬質カバー斜視図
【図4】硬質カバー上面図
【図5】硬質カバー,A−A断面図
【図6】柔軟性吸盤と連結杆と連結杆に設けた孔と押圧分散リング及び連結ピンの 関係を示す分解斜視図
【図7】アーム斜視図
【図8】アーム側面図
【図9】アーム上面図
【図10】硬質カバーに欠損部を設けた二重構造吸盤の斜視図
【図11】欠損部を設けた硬質カバーの斜視図
【図12】欠損部を設けた硬質カバーの上面図
【図13】吊下げ小片と連結杆に一体形成された押圧分散リングが設けられた柔軟性 吸盤の上面図
【図14】吊下げ小片と連結杆に一体形成された押圧分散リングが設けられた柔軟性 吸盤の斜視図
【図15】硬質カバーに欠損部を設けT字状アームを使用した二重構造吸盤の斜視図
【符号の説明】
【0074】
1 平滑な面
2 外側の硬質カバー
3 硬質カバーに設けたL字型凸片
4 硬質カバーの孔
5 硬質カバー中央部上面
6 硬質カバー中央部上面に設けた凸片
7 内側の柔軟性吸盤
8 連結杆
9 連結杆に設けた孔
10 押圧分散リング
11 連結ピン
12 アーム
13 アーム基部底
14 フック
15 アーム先部
16 U字型フック掛け
17 硬質カバーの周縁外端
18 硬質カバーの下端周辺部
α 平滑面に対するアームの角度
L 硬質カバー周縁の外端から張り出したL字型凸片の内寸の長さ
H 硬質カバー下端周辺部を基準としたL字型凸片の高さ
19 硬質カバー周縁上部に設けた欠損部
20 吊下げ小片
21 吊下げ小片の貫通孔
22 アーム基部底に設けた突部
23 T字状アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側の硬質カバーと内側の柔軟性吸盤からなる中央部が凸状になった逆皿型の二重構造の吸盤であって、前記柔軟性吸盤の裏面中央部には連結杆が突設され、前記硬質カバー中央部には前記連結杆が貫通して突出可能な孔が設けられ、
前記連結杆に挿入された押圧分散リングを介して前記硬質カバーの孔に前記柔軟性吸盤の連結杆を貫通させて重ね合わせ、前記連結杆の先部に設けられた孔に連結ピンを用いてアームが起倒自在に連結されたことを特徴とする吸盤。
【請求項2】
前記アームが前記硬質カバーに対し起立する方向に位置し、前記吸盤を平滑な面に吸着させた時、前記柔軟性吸盤の面と面一になる高さを有する断面から見てL字型凸片を前記硬質カバーの周縁下部に設けたことを特徴とする請求項1記載の吸盤。
【請求項3】
平滑な面に前記吸盤を押付けて吸着させ、前記アームを起立させた時、前記アームを立てた方向から見て 前記アームの先部が前記平滑な面に対して鋭角を保持する高さの凸片を前記アーム基部底が接触する前記硬質カバーの中央部上面に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の吸盤。
【請求項4】
前記硬質カバーの周縁上部に欠損部が設けられ、該欠損部に対応した部分の前記柔軟性吸盤の上面の一端部に貫通孔を有した吊下げ小片が設けられた事を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸盤。
【請求項5】
前記押圧分散リングが前記柔軟性吸盤に突設された連結杆に一体形成された事を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸盤。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−142626(P2009−142626A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59267(P2008−59267)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(303052522)株式会社スミックス (1)
【Fターム(参考)】