説明

二重特異性オリゴヌクレオチドを使用した方法

【課題】高い特異性で鋳型依存的反応を行う二重特異性オリゴヌクレオチド、二重特異性オリゴヌクレオチドを用いて鋳型依存的伸長反応により核酸分子を製造する方法を提供する。
【解決手段】二重特異性オリゴヌクレオチドを使用した鋳型依存性(template−dependent)伸長反応(extension reaction)による多様な方法、及び3つの異なるT部位を含む二重特異性オリゴヌクレオチド。高混成化特異性及びミスマッチ許容性を有する二重特異性オリゴヌクレオチドの特徴を強調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重特異性オリゴヌクレオチド(dual specific oligonucleotide)を使用した多様な方法及び二重特異性オリゴヌクレオチドに関するものである。より詳細には、本発明は、二重特異性オリゴヌクレオチドを使用した鋳型依存性(template−dependent)伸長反応(extension reaction)による多様な方法及び二重特異性オリゴヌクレオチドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
核酸増幅は、分子生物学分野で利用される多様な方法において必須的な過程であって、多様な増幅方法が提示された。例えば、Miller, H. I.ら(WO 89/06700)は、プロモーター/プライマー配列をターゲット一本鎖DNA(ssDNA)に混成化させた後、前記配列の多いRNAコピーを転写する過程を含む核酸配列増幅方法を開示している。他の公知の核酸増幅方法は、転写増幅システムを含む(Kwoh,D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,86:1173(1989);及びGingeras T.R.et al.,WO88/10315)。
【0003】
重合酵素連鎖反応(以下、‘PCR’という)として公知された、最もよく利用される拡散増幅方法は、二本鎖DNAの変性、DNA鋳型へのオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング及びDNA重合酵素によるプライマー伸長の繰り返されたサイクル過程を含む(Mullisら、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、及び第4,800,159号;Saiki et al.,(1985)Science 230,1350−1354)。PCRに利用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、DNA鋳型の反対側鎖にアニーリングされるようにデザインされる。DNA重合酵素によりプライマーは伸長されて、その伸長生成物は、次の過程で他のプライマーのための鋳型鎖として作用する。PCR増幅過程は、DNA断片の指数的増加を招来し、増幅されたDNA断片の長さは、オリゴヌクレオチドプライマーの5’−末端により決定される。
【0004】
核酸増幅、特に、PCR増幅における成功は、一つのプライマーが自分のターゲット配列のみにアニーリングする特異性に依存するため、上記の分子間相互作用を最適化することが重要である。プライマーが、それの完全な相補体のみにアニーリングするか、あるいは一つまたはそれ以上のミスマッチ(mismatch)ヌクレオチド配列を有する配列にもアニーリングするかは、アニーリング温度により決定され得る。一般に、アニーリング温度が高いと、完全なマッチ(match)鋳型に対するプライマーの特定アニーリング可能性がさらに高くなって、これにより、ターゲット配列だけが増幅される可能性がさらに高くなる。逆に、低いアニーリング温度では、鋳型とプライマー間のより多いミスマッチが発生する可能性がある。このような現象の観点で、アニーリング温度を調節すると、鋳型とプライマー間の結合特異性を変化させることができる。例えば、もし産物がなかったとしたら、アニーリングするには温度が高すぎた可能性がある。もし、一つのプライマーだけが存在する対照群において、多様な長さの生成物が発生したなら、このような結果は、前記単一プライマーが鋳型の一つ以上の部位にアニーリングしたことを示す。このような場合、アニーリング温度を上げることが好ましい。
【0005】
アニーリング温度だけではなく、プライマー長、GC量、及びPCR生成物の長さのようなプライマーサーチパラメーター(primer search parameters)は、プライマーのアニーリング特異性のために考慮すべきである。もし、上述のパラメーターを満足するプライマーを利用したら、プライマーアニーリングは特定化されて、ターゲットDNA増幅においてプライマーのアニーリング特異性は非常に改善され、プライマーにより招来されるバックグラウンド問題と非特異性生成物の問題が解決される。よくデザインされたプライマーは、非特異的アニーリング及びバックグラウンド問題を解決するだけではなく、RNA−PCRにおいて、cDNAsまたはゲノム鋳型を区別できるようにする。
【0006】
プライマーアニーリング特異性を改善して、所望の生成物の増幅を可能にするために、様々な方法が開発された。例えば、タッチダウンPCR(Don et al.,(1991)Touchdown PCR to circumvent spurious priming during gene amplification.Nucleic Acids Res.,19,4008)、ホットスタートPCR(DAquila et al.,(1991)Maximizing sensitivity and specificity of PCR by pre−amplification heating.Nucleic Acids Res.,19,3749)、ネスティッドPCR(Mullis and Faloona,(1987)Specific synthesis of DNA in vitro via a polymerase−catalyzed chain reaction.Methods Enzymol.155,335−350)、及びブースターPCR(Ruano et al.,(1989)Biphasic amplification of very dilute DNA samples via booster PCR.Nucleic Acids Res.17,5407)がある。
【0007】
他の接近方式も報告されているが、これらは、多様なエンハンサー化合物を利用してPCRの特異性を改善する。エンハンサー化合物には、効果的なアニーリング反応温度を増加させる化学物質、DNA結合蛋白質、商業的に利用可能な反応物質などが含まれる。しかしながら、全てのPCRにおいて成功が保障できる魔術的な添加剤はなく、アニーリング温度のような多様な条件下で、他の添加物をテストすることは、非常に退屈な作業である。たとえ上述の接近方式は、プライマーアニーリング特異性を改善するにある程度寄与するとしても、上述の方法は、PCR増幅に利用されるプライマーから招来される問題点、例えば、非特異的生成物及び高いバックグラウンドに対する根本的な解決策にはならない。
【0008】
PCR関連技術は、ターゲットDNA配列の増幅だけではなく、生物学と医学の研究分野において多様な応用と方法に広く利用されており、例えば、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、分別ディスプレイ(Differential Display)PCR(DD−PCR)、知られたあるいは知られていない遺伝子のクローニング、cDNA末端の高速増幅(RACE)、アービトラリープライミング(arbitrary priming)PCR(AP−PCR)、マルチプレックス(multiplex)PCR、SNPゲノムタイピング、PCR関与ゲノム分析(McPherson and Moller,(2000)PCR.BIOS Scientific Publishers,Springer−Verlag New York Berlin Heidelberg,NY)がある。
【0009】
たとえ各方法毎に、改善された接近方法が次々と紹介されているが、上述のように核酸増幅、特に、PCR増幅過程を含むあらゆる方法及び技術は、利用されるプライマーの非特異性から引き起こされる制限と問題点、例えば、偽陽結果(false positives)、再現可能性の悪化、及び高いバックグラウンド問題から完全に自由になったわけではない。
【0010】
一方、DNA混成化は、分子生物学では基本的な過程であって、イオン強度、塩基組成、核酸分子が結合する断片の長さ、ミスマッチ程度、及び変性剤の存在により影響を受ける。このようなDNA混成化を利用した技術は、特異的核酸塩基配列決定に非常に有用であって、臨床診断、遺伝子関連研究、及び法医学的分析においても、非常に価値がある。例えば、Wallance及び共同研究者らは、単一塩基変化のような微妙な配列差も、短いオリゴマー(例えば、14−mer)を利用して十分区別でき、これが、β−グロビン遺伝子において、点突然変異の分子的分析においてどのように適用されるかを提示した(Wallace,B.R.,et al.,(1981)The use of synthetic oligonucleotides as hybridization probes.Hybridization of oligonucleotides of mixed sequence to rabbit β−globin DNA.Nucleic Acids Res.9,879−894;及びConner,B.J.,et al.(1983)Detection of sickle cell β−globin allele by hybridization with synthetic oligonucleotides.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,278−282)。
【0011】
相補的な鎖を正確に同定するオリゴヌクレオチド混成化方法の強力な力にも拘わらず、この技術は未だに限界に直面している。オリゴヌクレオチドを含むハイブリッド(hybrid)は、長い核酸のハイブリッドより非常に不安定であって、これは、低い融解温度で反映される。ハイブリッドの不安定性は、オリゴヌクレオチド混成化をデザインする時に考慮される最も重要な要素の一つである。完全にマッチされる相補体(complement)と、ただ一つの塩基がミスマッチされる相補体との安定性の差は、Ts(二重体融解温度)において、約0.5℃の差が発生する程度に非常に小さい。オリゴマーが短いほど(より複雑な混合物において、相補的な鎖の同定を可能にする)、単一塩基ミスマッチが全体二重体の安定性に及ぼす影響がさらに大きくなる。しかしながら、このような短いオリゴヌクレオチドの短所は、これらが完全に相補的な配列に対しても弱く混成化されるということである。したがって、このような点を考慮し、混成化は、減少された厳格条件で実施されなければならなく、これは結局、混成化の特異性を大いに減少させる結果を招来する。
【0012】
オリゴヌクレオチド混成化の特異性を改善するための様々な試みがあった。高敏感性混成化のために、DNA塩基を化学的に変性する方法(Azhikina et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,90:11460−11462(1993))、及びミスマッチを区別する能力を改善するために、混成化を低い温度で長時間実施した後、洗浄する方法(Drmanac et al.,DNA and Cell Biology,9:527−534(1990))が提案された。最近は、人為的なミスマッチを利用し、DNA混成化において、単一ヌクレオチド多形性(SNPs)の区別程度を増加できる他の方法が紹介された(Guo et al.,Nature Biotechnology,15:331−5(1997))。また、米国特許第6,077,668号、第6,329,144号、第6,140,054号、第6,350,580号、第6,309,824号、第6,342,355号、及び第6,268,128号を含む多数の米国特許は、混成化のためのプローブ及びそれの応用に関して開示している。開発されたそれぞれの方法において、改善された接近が次々と紹介されているが、オリゴヌクレオチド混成化を含む全ての方法及び技術は、非特異的オリゴヌクレオチド混成化による制限及び問題から完全に自由ではない。
【0013】
さらに、スポッティング(spotting)及び基質上にオリゴヌクレオチドを固定化すること、そして最適混成化条件の樹立失敗などのような人為的な要因は、混成化のネガティブデータに影響を与える可能性がある。特に、間違った結果の影響は、高速スクリーニング(high throughput screening method)により得られた結果において大きく現れる。スポッティング及び混成化に内在する人為的な要因は、オリゴヌクレオチド−基盤のDNAマイクロアレイの大きい短所となる。
【0014】
また、向上された速度、敏感性、及び効率を有するDNA配列分析技術の開発は、生物学研究においても非常に重要である。20余年前に開発された伝統的なDNA配列化方法(Sanger et al.Proc. Natl. Acad. Sci.,74:5463−5467)は、追加的な応用分野において、速度及び費用の側面で制限があった。そのため、様々な新しい技術が提案された。有望な三つの方法には、混成化によるシーケンシング(Brain and Smith,J.Theor.Biol.,135:303−307(1988);Dramanac et al.,Genomics,4:114−128(1989);Sourthern,E.M.Patent WO/10977(1989))、連結(ligation)と切断(cleavage)に基づいたparallel signature sequencing(Brenner et al.,Proc.Natl.AcadSci.,97:1665−1670(2000))、及びパイロシーケンシング(pyrosequencing)(Ronaghi et al.,Anal.Biochem.,242:84−89(1996); Science 281:363−365(1998))などがある。前記技術において、シーケンシングの成功可否は、絶対的にシーケンシングプライマーのターゲット核酸に対する混成化特異性に依存する。シーケンシングプライマーの混成化特異性を考慮すると、現在の方法等は、シーケンシング反応を行うために入れる鋳型核酸の長さにおいて制限がある。一般に、シーケンシングプライマーの特異的混成化後、伸長するためには、好ましくは数百塩基対より小さい核酸鋳型を使用してシーケンシング反応が行われる。
【0015】
しかしながら、進歩された研究のためには、増加された速度、敏感性、大容量化されたDNAシーケンシングが、核酸鋳型の大きさにより制限されてはいけない。このような観点で、シーケンシングプライマーが高い特異性でターゲット核酸と混成化されたら、核酸鋳型のポピュレーションから一つのターゲット核酸の直接的なシーケンシングが可能である。
【0016】
本明細書全体にかけて多数の特許文献及び論文が参照されて、その引用が表示されている。引用された特許文献及び論文の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明者は、プライマーまたはプローブとして使用された従来のオリゴヌクレオチド、そして核酸混成化過程が含まれた数々の方法の問題点と短所を除去するために、より高い特異性で鋳型依存的反応を行う二重特異性オリゴヌクレオチドを発明し、オリゴヌクレオチド混成化またはアニーリングを含む様々な方法において、これの優れた応用性を究明した。
【0018】
したがって、本発明の目的は、二重特異性オリゴヌクレオチドを用いて鋳型依存的伸長反応により核酸分子を製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、1つのDNAまたは核酸混合物においてターゲット核酸配列を選択的に増幅させる方法を提供することにある。
【0020】
本発明のまた他の目的は、同一な反応において、2つ以上のプライマー対を使用し、同時に2つ以上のターゲットヌクレオチド配列を増幅する方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、一つのDNAまたは核酸混合物において核酸分子をシーケンシングするための方法を提供することにある。
【0022】
本発明のまた他の目的は、遺伝的多様性を有する核酸分子を、鋳型依存的伸長反応により検出する方法を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、二重特異性オリゴヌクレオチド−固定マイクロアレイを使用し、核酸試料においてターゲットヌクレオチド配列を検出する方法を提供することにある。
【0024】
本発明のまた他の目的は、鋳型依存的伸長反応により、核酸分子を製造するための二重特異性オリゴヌクレオチドを提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性が、オリゴヌクレオチド構造を通じて二重に決定されるようにする方法を提供することにある。
【0026】
本発明のまた他の目的は、オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性を改善させるための方法を提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、(a)二重特異性オリゴヌクレオチドを利用した多様な方法、及び(b)前記方法に利用される二重特異性オリゴヌクレオチドに関するものである。本発明の二重特異性オリゴヌクレオチド(以下、“DS oligo”という)は、改善された特異性でプライマーまたはプローブがターゲット核酸にアニーリングされるようにして、核酸増幅(特に、PCR)の特異性及び混成化反応を大いに改善できるようにする。
【0029】
二重特異性オリゴヌクレオチド(DS oligo)
本発明の一様態によると、本発明は、下記の一般式1で示されて、鋳型依存的伸長反応により核酸分子を合成するための二重特異性オリゴヌクレオチドを提供する:
[式1]
5’−X−Y−Z−3’
は、混成化される鋳型核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有する5’−高T特異性部位を示して、Yは、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含む分割部位を示し、Zは、鋳型核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有する3’−低T特異性部位を示して、p、q、及びrは、ヌクレオチドの個数であり、X、Y、及びZは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドであって、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記鋳型核酸にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、前記鋳型核酸に対するアニーリング特異性側面において、前記5’−高T特異性部位が3’−低T特異性部位から分離されるようにして、前記オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性は、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位の両方ともにより決定され、前記オリゴヌクレオチドの全体アニーリング特異性が増加される。
【0030】
DSオリゴヌクレオチド(以下、“DS oligo”という)を言及しながら使用される用語“二重特異性(dual specificity)”は、DSオリゴヌクレオチドの特徴を表現するための造語であって、ターゲット配列に対するDSオリゴヌクレオチドのアニーリング特異性が、分離された二つの部位、即ち、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位により二重に決定されることを意味する。一般に、プライマーまたはプローブのアニーリング特異性は、その連続する全体配列により支配される。その反面、DS oligoのアニーリング特異性は、分割部位により分離された二つの部位(5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位)により二重に決定されて、前記三つの部位は、一つのオリゴヌクレオチド配列内に位置する。このような二重特異性は、DS oligoがプライマー及びプローブとしてさらに高い特異性を示すようにして、これは、従来技術に対して、本発明が新規性及び進歩性を有するようにする。
【0031】
一方、本発明者は、WO03/050303に開示のように、アニーリング特異性を増加させるために、既にACP(annealing control primer)を開発したことがあり、前記特許文献の教示内容は、本明細書に参照として取り込まれる。本発明のDS oligoは、以下のような側面において、ACPと明らかに異なる:(i)DS oligoは、ターゲット配列と混成化されるように、二つの特異性部位を有するが、ACPは、一つの特異性部位を有して;(ii)DS oligoにおける三つの部位は、T側面で明確に区別される反面、ACPにおける部位は、そうではなく;(iii)DSプライマーは、5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位部位とでアニーリングが発生する時にのみ、鋳型に相補的な核酸分子を合成するために伸長される反面、ACPは、3’−末端部位にアニーリングが発生する場合にも伸長されて;(iv)したがって、DS oligoの伸長または混成化特異性は、二つの分割された部位、即ち5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位により二重に決定されるが、ACPの場合は、ただ3’−末端部位のみにより支配される。したがって、DS oligoのターゲット配列に対するアニーリングまたは混成化特異性は、APCより遥かに大きく、これは、DS oligoがACPに対して新規且つ進歩的であることを示す。
【0032】
DS oligoの格別な特徴は、一つのオリゴヌクレオチド分子内に、区分される特徴を有する三つの部位を有することである:5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位。
【0033】
DS oligoは、鋳型依存的伸長反応を含む多様な方法と分析に有用である。本明細書に使用された用語“鋳型依存的伸長反応(template−dependent extension reaction)”は、ターゲット配列に混成化されたオリゴヌクレオチド分子を伸長する反応を意味し、これは、オリゴヌクレオチドの末端に連続的なヌクレオチドを結合してなり、この場合伸長された配列は、相補的な鋳型配列により決定される。
【0034】
DS oligoの混成化(アニーリング)特異性を説明する原理の代表的な例は、図1Aに示されている。図1Aを参照すると、DS oligoがより詳細に説明される。
【0035】
DS oligoの5’−高T特異性部位のみが鋳型にアニーリングされる場合、前記部位は、鋳型依存的伸長のためのプライミング位置として作用できず、結局伸長反応が発生しない。
【0036】
DS oligoの5’−高T特異性部位は、非ターゲット配列にアニーリングされる反面、より短い配列を有する3’−低T特異性部位は、非ターゲット配列にアニーリングしない。その理由は、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位は、アニーリング側面で、分割部位により分離されるからである。即ち、3’−低T特異性部位は、5’−高T特異性部位とは相対的に独立的な方式でアニーリングに関与し、3’−低T特異性部位のアニーリングは、5’−高T特異性部位のアニーリングによる影響をより少ししか受けない。このような脈絡で、3’−低T特異性部位が非ターゲット配列にアニーリングする可能性は、非常に低い。
【0037】
3’−低T特異性部位のみが非ターゲット位置に相補的な配列を有する場合は、特定の高い厳格条件、例えば、5’−高T特異性部位のアニーリングのための厳格条件ではアニーリングが起こらない。好ましい具現例によると、3’−低T特異性部位のTより高いアニーリング温度を有する厳格条件下で、DS oligoを使用して鋳型依存的伸長反応を実施することが有利である。
【0038】
5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位が両方とも鋳型に実質的に相補的な配列を有する場合、DS oligoはその鋳型にアニーリングされることができて、これにより、成功的な伸長反応が発生する。
【0039】
理論に拘束されずに判断すると、分割部位は、3’−低T特異性部位を、アニーリング条件(例えば、温度及び配列相補性)にさらに敏感になるようにすると判断される。したがって、3’−低T特異性部位と非ターゲット配列との間に非特異的混成化が生じる可能性は、特定アニーリング(または厳格)条件下でさらに低くなる。5’−高T特異性部位だけではなく、3’−低T特異性部位がそのターゲット配列にアニーリングされる場合、3’−低T特異性部位の3’−末端は、DNA重合酵素により伸長される位置を作る。
【0040】
本明細書で使用する用語“オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)”は、天然のまたは変形されたモノマーまたは連鎖(linkages)の線形オリゴマーを意味し、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含み、ターゲットヌクレオチド配列に特異的に混成化できて、天然的に存在するかあるいは人為的に合成されるものである。オリゴヌクレオチドは、混成化において、最大効率のために、好ましくは一本鎖である。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。本発明のオリゴヌクレオチドは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP,dGMP,dCMP及びdTMP)、ヌクレオチド類似体または誘導体を含むことができる。また、オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドも含むことができる。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは、骨格変形されたヌクレオチド、例えば、ペプチド核酸(PNA)(M.Egholm et al.,Nature,365:566−568(1993))、ホスホロチオエートDNA、ホスホロジチオエートDNA、ホスホルアミデードDNA(phosphoramidate DNA)、アミド−連結されたDNA、MMI−連結されたDNA、2’−O−メチルRNA、アルファ−DNA及びメチルホスホン酸DNA、糖変形されたヌクレオチド例えば、2’−O−メチルRNA、2’−フルオロRNA、2’−アミノRNA、2’−O−アルキルDNA、2’−O−アリルDNA、2’−O−アルキニルDNA、ヘキソースDNA、ピラノシルRNA及びアンヒドロヘキシトールDNA(anhydrohexitol DNA)、及び塩基変形を有するヌクレオチド例えば、C−5置換されたピリミジン(置換基は、フルオロ−、ブロモ−、クロロ−、ヨード−、メチル−、エチル−、ビニル−、ホルミル−、エチニル−、プロピニル−、アルキニル−、チアゾリル−、イミダゾリル−、ピリジル−含み)、C−7置換基を有する7−デアザプリン(置換基は、フルオロ−、ブロモ−、クロロ−、ヨード−、メチル−、エチル−、ビニル−、ホルミル−、アルキニル−、アルケニル−、チアゾリル−、イミダゾリル−、ピリジル−)、イノシン及びジアミノプリンを含むことができる。
【0041】
本明細書で使用される用語“プライマー”は、オリゴヌクレオチドを意味するもので、核酸鎖(鋳型)に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件、即ち、ヌクレオチドとDNA重合酵素のような重合剤の存在、そして適合な温度とpHの条件で、合成の開始点として作用できる。増幅の最大効率のために、好ましくは、プライマーは一本鎖である。好ましくは、プライマーは、デオキシリボヌクレオチドである。本発明のプライマーは、天然(naturally occurring)dNMP(即ち、dAMP,dGMP,dCMP及びdTMP)、変形ヌクレオチドまたは非天然ヌクレオチドを含むことができる。また、プライマーは、リボヌクレオチドも含むことができる。
【0042】
プライマーは、重合剤の存在下で伸長産物の合成をプライミングさせることができる程度に十分長くなければならない。プライマーの適合した長さは、多数の要素、例えば、温度、応用分野及びプライマーのソース(source)により決定される。用語、“アニーリング”または“プライミング”は、鋳型核酸に、オリゴデオキシヌクレオチドまたは核酸が並置(apposition)されることを意味し、前記並置は、重合酵素がヌクレオチドを重合させて、鋳型核酸またはそれの一部分に相補的な核酸分子を形成するようにする。本発明の用語“混成化(hybridization)”は、相補的な一本鎖核酸から二本鎖核酸を形成することを意味する。用語“アニーリング”と“混成化”とは同じ意味で、本明細書で混用される。
【0043】
本明細書で使用された用語“プローブ(probe)”は、ターゲットヌクレオチド配列に実質的に部位を含む一本鎖核酸分子である。
【0044】
本発明において、本発明のDS oligoを言及しながら使用する用語“部位(portion)”は、分割部位により分離されるヌクレオチド配列を意味する。用語“5’−高T特異性部位(5’−high T specificity portion)”または用語“3’−低T特異性部位(3’−low T specificity portion)”は、それぞれ本発明のDS oligoの5’−末端と3’−末端におけるヌクレオチド配列を意味し、これは、分割部位により分離される。DS oligoを言及しながら使用する用語“5’−高T特異性部位”は、3つの部位のうち、最も高いTを有して、鋳型核酸の一位置に対し実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有する部位を意味する。DS oligoと関連し、“3’−低T特異性部位”は、5’−高T特異性部位よりは低いTを有するが、分割部位よりは高いTを有して、鋳型核酸の一位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有する部位を意味する。
【0045】
本発明で使用する用語“T”は、核酸二本鎖分子の半分が一本鎖となる溶融温度(melting temperature)を意味する。DS oligoの部位を言及しながら使用される用語“高T”及び“低T”は、絶対T値ではなく、相対T値を意味する。即ち、5’−高T特異性部位のTが3’−低T特異性部位のTより相対的に高いことが要求されるだけである。
【0046】
前記5’−高T特異性部位 と3’−低T特異性部位は、混成化される鋳型核酸の一位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有するようにデザインされる。DS oligoと関連して使用される用語“実質的に相補的な(substantially complementary)”は、オリゴヌクレオチドが十分相補的であるため、指定されたアニーリング条件または厳格条件下で、選択的に鋳型核酸配列に混成化され得て、アニーリングされたオリゴヌクレオチドが重合酵素により伸長され、鋳型に相補的なコピーを形成することができることを意味する。したがって、この用語は、“完全に相補的な”またはこれに係わる用語とは異なる意味を有する。DS oligoの5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位は、前記DS oligoがプライマーまたはプローブとして作用できる範囲内で、鋳型に対し一つ以上のミスマッチを有することができる。最も好ましくは、DS oligoの5’−高T特異性部位及び/または3’−低T特異性部位は、鋳型の一位置に対して完全に相補的な、即ち、ミスマッチのないヌクレオチド配列を有する。
【0047】
DS oligoの成功的な実施のために、5’−高T特異性部位のTが3’−低T特異性部位のTより高くなければならない。好ましくは、5’−高T特異性部位のTは、40〜80℃、より好ましくは、40〜75℃、さらに好ましくは、50〜68℃、最も好ましくは、50〜65℃である。好ましくは、3’−低T特異性部位のTは、10〜40℃、より好ましくは、15〜40℃、最も好ましくは、20〜35℃である。好ましくは、5’−高T特異性部位のTは、3’−低T特異性部位のTより少なくとも3℃高く、より好ましくは、少なくとも10℃、さらに好ましくは、少なくとも15℃、最も好ましくは、少なくとも20℃高い。
有利にするためには、5’−高T特異性部位のTは、3’−低T特異性部位のTより5〜70℃高く、好ましくは、10〜70℃、より好ましくは、10〜60℃、さらに好ましくは、10〜50℃、よりさらに好ましくは、10〜40℃、最も好ましくは、20〜40℃高い。
【0048】
好ましい具現例によると、5’−高T特異性部位は、3’−低T特異性部位より長い。5’−高T特異性部位は、好ましくは、15〜40ヌクレオチド長を有して、より好ましくは、15〜30ヌクレオチド、最も好ましくは、20〜25ヌクレオチド長を有する。3’−低T特異性部位は、好ましくは、3〜15ヌクレオチド長を有して、より好ましくは、5〜15ヌクレオチド、最も好ましくは、6〜12ヌクレオチド長を有する。
【0049】
少なくとも2つのユニバーサル塩基を含む分割部位は、DS oligoの利点と特徴を決定する一つの要素である。本明細書で使用される用語、“ユニバーサル塩基(universal base)”は、天然のDNA/RNA塩基に対し、区別なく天然のDNA/RNA塩基のそれぞれと塩基対を形成することができる塩基を意味する。
【0050】
縮退性プライマーにおいて不確実な位置のヌクレオチドがユニバーサル塩基により置換されることは、公知のことであり、前記ユニバーサル塩基は、デオキシイノシン(Ohtsuka et al,(1985)J.Biol.Chem.260,2605−2608; Sakanari et al.,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.86,4863−4867)、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール(Nichols et al.,(1994)Nature 369,492−493)及び5−ニトロインドール(Loakes and Brown,(1994)Nucleic Acids Res.22,4039−4043)を含み、前記塩基は、4種の従来の塩基と非特異的に塩基対を成すため、縮退性プライマーのデザインに係わる問題点を解決するに利用される。しかしながら、このようなユニバーサル塩基が、アニーリング(混成化)または増幅の間にバブル構造を生成し、その時、二つの反対隣接した配列を分離するようにオリゴヌクレオチド分子において一つの部位を形成し、結局、二つの分割特異性(アニーリング)部分を通じて、二重特異性により、ターゲット配列にプライマーまたはプローブのアニーリング特異性を増加させることができるという研究は、未だにない。
【0051】
好ましい具現例によると、分割部位の前記ユニバーサル塩基は、デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、デオキシ3−ニトロピロール、3−ニトロピロール、2’−OMe3−ニトロピロール、2’−F3−ニトロピロール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、デオキシ5−ニトロインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe5−ニトロインドール、2’−F5−ニトロインドール、デオキシ4−ニトロベンズイミダゾール、4−ニトロベンズイミダゾール、デオキシ4−アミノベンズイミダゾール、4−アミノベンズイミダゾール、デオキシネブラリン、2’−Fネブラリン、2’−F4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−5−イントロインドール、PNA−ネブラリン、PNA−イノシン、PNA−4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−3−ニトロピロール、モルフォリノ−5−ニトロインドール、モルフォリノ−ネブラリン、モルフォリノ−イノシン、モルフォリノ−4−ニトロベンズイミダゾール、モルフォリノ−3−ニトロピロール、ホスホルアミデート−5−ニトロインドール、ホスホルアミデート−ネブラリン、ホスホルアミデート−イノシン、ホスホルアミデート−4−ニトロベンズイミダゾール、ホスホルアミデート−3−ニトロピロール、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルネブラリン、2’−O−メトキシエチル5−ニトロインドール、2’−O−メトキシエチル4−ニトロ−ベンズイミダゾール、2’−O−メトキシエチル3−ニトロピロール、及び前記塩基の組み合せからなる群から選択される。より好ましくは、前記ユニバーサル塩基または非区別性塩基類似体は、デオキシイノシン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、または5−ニトロインドールであり、最も好ましくは、デオキシイノシンである。
【0052】
分割部位において、前記ユニバーサル塩基は、連続的な方式により含まれるか、またはdNMPsのような他のヌクレオチドと共に間欠的に含まれる。好ましくは、前記分割部位は、ユニバーサル塩基、好ましくは、デオキシイノシンを有するヌクレオチドの連続配列を含む。
【0053】
DS oligoにおいて、分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有することが必須的であって、これにより、5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が鋳型核酸にアニーリングされる条件下で、分割部位は非塩基対バブル構造を形成し、鋳型核酸に対するアニーリング特異性側面で、5’−高T特異性部位は3’−低T特異性部位から分離され、結局前記オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性は、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位により二重に決定され、オリゴヌクレオチドの全体アニーリング特異性が非常に改善される。好ましくは、分割部位のTは、3〜15℃であり、より好ましくは、4〜15℃であって、最も好ましくは、5〜10℃である。
【0054】
好ましい具現例によると、5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位との間の分割部位は、少なくとも3個のユニバーサル塩基を含み、より好ましくは、少なくとも4個のユニバーサル塩基を、そして最も好ましくは、少なくとも5個のユニバーサル塩基を含む。好ましい具現例によると、前記分割部位は、2〜10個のユニバーサル塩基を含み、より好ましくは、3〜10個のユニバーサル塩基を、さらに好ましくは、4〜8個のユニバーサル塩基を、最も好ましくは、5〜7個のユニバーサル塩基を含む。
【0055】
より長い配列を有するプライマーまたはプローブが必要な場合、DS oligoの利点は、最も著しい。例えば、従来技術によると、混成化配列として35bp以上のヌクレオチド配列を有するプライマーは、非特異的増幅物(amplicon)を生成しやすい。その反面、DS oligoは、長い配列を有する場合も、特異的増幅物のみを生成するが、その理由は、DS oligoが鋳型との相互作用(即ち、アニーリング)側面で、それぞれ分離された2つの混成化配列(即ち、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位)を有するからである。例えば、DS oligoは、ターゲット配列に相補的な35〜45bpの混成化配列を含むことができる。このような観点から、本発明は、従来プライマーデザイン戦略では非実用的であるとみなされる、より長い配列を有するプライマーをデザインできるようにするということが分かる。
【0056】
好ましい具現例によると、前記5’−高T特異性部位は、15〜25ヌクレオチド長、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド長、そして前記3’−低T特異性部位は、3〜15ヌクレオチド長を有する。
【0057】
より好ましくは、前記5’−高T特異性部位は、15〜25ヌクレオチド長、前記分割部位は、3〜10ヌクレオチド長、及び前記3’−低T特異性部位は、5〜15ヌクレオチド長を有する。最も好ましくは、前記5’−高T特異性部位は、15〜25ヌクレオチド長、前記分割部位は、5〜7ヌクレオチド長、そして前記3’−低T特異性部位は、6〜10ヌクレオチド長を有する。実施例に説明された典型的且つ例示的なDS oligoによると、5’−高T特異性部位は、約20ヌクレオチド長であり、分割部位は、約5ヌクレオチド長であって、3’−低T特異性部位は、約8〜10ヌクレオチド長である。
【0058】
最も好ましい具現例において、DS oligoは、次の一般式で示される:5’−X−(dI)−Zr−3’(X及びZの定義及び特徴は、上述のようであり、dIは、デオキシイノシンを、(dI)は、ユニバーサル塩基を有するヌクレオチドの連続配列を含む分割部位を示し、qは、5〜7の整数である)。
【0059】
面白いことは、ターゲット配列に対するミスマッチを許容(tolerate)する厳格条件下で、本発明のDS oligoは、ミスマッチ許容性を有するということである。
【0060】
DS oligoのミスマッチ許容性を支配する原理に対する構造的代表例は、図1Bに示されている。5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位とのいずれも鋳型にアニーリングされる条件下で、5’−高T特異性部位では、1個以上、好ましくは1個〜3個の塩基ミスマッチが許容される。3’−低T特異性部位では、1個以上、好ましくは1個〜2個の塩基ミスマッチが、5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位とのいずれも鋳型にアニーリングされる条件下で許容され得る。また、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位のいずれも鋳型にアニーリングされる条件下で、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位では1個以上、好ましくは、1個〜5個の塩基ミスマッチが許容され得る。
【0061】
DS oligoにミスマッチ許容性を付加するために、アニーリング条件、特にアニーリング温度が重要である。3’−低T特異性部位単独によってはアニーリングが発生しない条件でアニーリングが実施されて、5’−高T特異性部位及び/または3’−低T特異性部位がターゲット位置に対して一つ以上(しかし制限された数)のミスマッチ塩基を有する場合、全ての部位によるアニーリングが発生する。ミスマッチ許容性を有するDS oligoは、遺伝的多様性を有するヌクレオチド配列を増幅するか検出するために要求される。ミスマッチ許容性を有するDS oligoは、遺伝的多様性を示すターゲット配列にアニーリングできて、結局成功的な増幅と目的のヌクレオチドを検出できるようにする。即ち、もともとアニーリングと混成化の特異性を劇的に増加させるために開発されたDS oligoは、アニーリングまたは厳格条件が好適に調節される条件下で、ミスマッチ許容を要求する方法においても使用することができる。
【0062】
本発明の他の様態によると、本発明は、以下の段階を含む、オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性をオリゴヌクレオチドの構造により二重的に決定されるようにする方法を提供する:(a)ターゲット核酸配列を選択する段階、(b)(i)前記ターゲット核酸に実質的に相補的な混成化配列と(ii)少なくとも二つのユニバーサル塩基を含む分割部位とを有するオリゴヌクレオチドの配列をデザインして、前記分割部位が前記混成化配列間に入り込み(intervene)、前記オリゴヌクレオチドにおいて3つの部位を形成するようにする段階、そして(c)前記分割部位の5’−方向側の部位は、分割部位の3’−方向側部位より高いTを有して、前記分割部位が前記三つの部位のうち最も低いTを有するように、前記オリゴヌクレオチドにおいて前記分割部位の位置を決定する段階であって、これにより、(i)前記オリゴヌクレオチドの5’−高T特異性部位は、前記ターゲット核酸に実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有し、(ii)前記オリゴヌクレオチドの3’−低T特異性部位は、前記ターゲット核酸に実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、(iii)前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位との間の前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち最も低いTを有して、互いに異なるT値を有する3つの区分された部位を有するオリゴヌクレオチドを提供して、上記の構成により、前記オリゴヌクレオチドのターゲット核酸に対するアニーリング特異性は、前記5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位により二重に決定される。
【0063】
本方法は、オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性を劇的に増加させて、ターゲット配列と混成化されるようにする新しい接近を提供する。また、本方法は、オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性を改善するための方法として表現できる。さらに、本発明は、ターゲット配列に混成化されるオリゴヌクレオチドのアニーリング特異性を改善するために、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含む分割部位を使用する方法として表現できる。
【0064】
本発明は、上述のDS oligoを製造するために利用される。したがって、不要な重複記載を避けるために、共通内容は、その記載を省略するが、その共通内容は、本発明の方法の詳細な説明に取り込まれる。
【0065】
プライマーやプローブをデザインするために、従来の大部分の方法は、ターゲット配列に混成化できる配列のみを使用する。また、オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性を増加させるために、従来は、温度とイオン濃度のような、増幅または混成化条件を調節した。
【0066】
その反面、本発明の方法は、オリゴヌクレオチド自体に新しい特徴を導入することにより、アニーリング特異性を増加させる新しい戦略を提供する。オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性が二重に決定できることと関連し、本明細書で使用される用語“オリゴヌクレオチド構造により(through a structure of the oligonucleotide)”は、アニーリング特異性が二重的に決定されるようにする新しい特徴をオリゴヌクレオチドに付与することにより、オリゴヌクレオチドの構造がオリゴヌクレオチドのアニーリング特異性に大きく寄与することを意味する。
【0067】
本発明の方法において、(i)ターゲット核酸に実質的に相補的な混成化配列及び(ii)少なくとも2つのユニバーサル塩基を含む分割部位を有するオリゴヌクレオチドの配列をデザインすることが重要である。この段階において、前記オリゴヌクレオチドの構造輪郭は、5’−末端部位/分割部位/3’−末端部位として表れる。5’−末端及び3’−末端は、ターゲット核酸に実質的に相補的な混成化配列を有して、分割部位がその間に入り込む(intervene)。
【0068】
本発明において最も重要な段階は、分割部位の5’−方向側の部位が分割部位の3’−方向側部位より高いTを有して、前記分割部位は、前記三つの部位のうち、最も低いTを有するように、前記オリゴヌクレオチドにおいて前記分割部位の位置を決定する段階であって、これにより異なるT値を有する三つの区分された部位を有するオリゴヌクレオチドが提供される。
【0069】
本発明によりオリゴヌクレオチド内に挿入された新しい構造的特徴は、次のようである:(i)オリゴヌクレオチド配列内の三つの区分された部位(5’−高T特異性部位、分割部位、及び3’−低T特異性部位);(ii)三つの部位の互いに異なるT値;(iii)5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位との間に位置し、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含む分割部位;(iv)分割部位によりアニーリング側面で分離され、アニーリング段階でターゲットと相互作用する2つの部位;(v)5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位順のT値。このような構造的特徴は、本発明により最終的に提供されるオリゴヌクレオチドのアニーリング特異性が5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位により二重的に決定されるようにして、これは、ターゲット配列に対するオリゴヌクレオチドのアニーリング特異性を大きく増加させる。
【0070】
本発明の方法によりデザインされて製造されたオリゴヌクレオチドは、上述の三つの部位を有しないものに比べ、非常に高いアニーリング特異性を示す。
【0071】
DS oligoの特徴と利点は、次のように説明できる:
(a)DS oligoの分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、これはDS oligoにおいて最も低いTを生成するようにして、5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が鋳型核酸にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成するようにする。このような非塩基対バブル構造は、アニーリング特異性側面で5’−高T特異性部位が3’−低T特異性部位から分離されるようにして;
(b)5’−高T特異性部位のTが3’−低T特異性部位のTより高く、分割部位は、最も低いTを有して、この特徴は、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが発生しない厳格条件を設定することを可能にして;
(c)したがって、DS oligoの全体的アニーリング特異性は、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位により二重に決定されて;
(d)結局、DS oligoの全体アニーリング特異性は、大いに増加される。
【0072】
本発明のDS oligoは、多様な分野(i)Miller,H.I.方法(WO89/06700)及びDavey,C.ら(EP329,822)、リガーゼ連鎖反応(LCR,Wu,D.Y.et al.,Genomics 4:560(1989))、重合酵素リガーゼ連鎖反応(Barany,PCR Methods and Applic.,1:5−16(1991)),ギャップ−LCR(WO90/01069)、復旧連鎖反応(EP439,182)、3SR(Kwoh et al.,PNAS,USA,86:1173(1989))、及びNASBA(U.S.Pat.No.5,130,238)などのようなプライマー関連核酸増幅方法と、(ii)サイクルシーケンシング(Kretz et al.,(1994)Cycle sequencing.PCR Methods Appl.3:S107−S112)、及びパイロシーケンシング(Ronaghi et al.,(1996)Anal.Biochem.,242:84−89;及び(1998)Science 281:363−365)などのようなプライマー伸長関連技術、及び(iii)オリゴヌクレオチドマイクロアレイを使用したターゲットヌクレオチド配列の探知のような混成化関連技術において、非常に有用である。
【0073】
本発明のDS oligoは、多様な核酸増幅、シーケンシング及び混成化関連技術に適用できる。以下、DS oligoの応用性を立証する代表的な例を示す。
【0074】
I.核酸分子の製造に応用
本発明の他の様態によると、本発明は、次の段階を含む二重特異性オリゴヌクレオチドを用いて鋳型依存的伸長反応により核酸分子を製造する方法を提供する:
(a)前記二重特異性オリゴヌクレオチドを鋳型核酸分子にアニーリングさせる段階であって、前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位(5’−high T specificity portion)、3’−低T特異性部位(3’−low T specificity portion)、及び分割部位(separation portion)の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記鋳型核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記鋳型核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記鋳型核酸にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、前記アニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されて、
(b)前記二重特異性オリゴヌクレオチドを伸長して前記鋳型核酸分子に相補的な核酸分子を製造する段階。
【0075】
本発明の製造方法は、本発明のDS oligoを利用するため、不要な重複記載による過度なる複雑性を避けるために、共通事項は、その記載を省略する。
【0076】
DS oligoを使用する本発明の応用は、アニーリングと伸長段階を含む鋳型依存的伸長反応により、ターゲット配列に相補的な核酸配列を選択的に製造する、改善された方法を提供する。特に、ターゲット配列に相補的な核酸配列の製造は、アニーリング、伸長、及び変性過程を含む鋳型依存的伸長反応の過程を繰り返すことによりなされる。
【0077】
本発明の方法は、鋳型核酸分子に相補的な核酸分子を製造するために使用できる。そのような分子はDNAまたはRNAである。前記分子は、二本鎖または一本鎖の形態である。出発物質としての核酸が二本鎖である場合、二つの鎖を一本鎖に、または部分的な一本鎖形態にすることが好ましい。鎖を分離する方法は、熱、アルカリ、ホルムアミド、ウレア及びグリコキサル(glycoxal)処理、酵素的方法(例えば、ヘリカーゼ作用)及び結合蛋白質などを含むが、これに限定されるものではない。例えば、鎖分離は、80〜105℃の温度で熱処理して達成できる。上述の処理を施すための一般的な方法は、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)から提供される。
【0078】
mRNAが出発物質として利用される場合、アニーリング段階を実施する前に逆転写段階が必要であり、逆転写段階の詳細な内容は、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001);及びNoonan,K.F.et al.,Nucleic Acids Res.16:10366(1988))に開示されている。逆転写のために、mRNAのポリAテールに混成化できるオリゴヌクレオチドdTプライマーが利用される。オリゴヌクレオチドdTプライマーは、dTMPsからなっており、dTプライマーがプライマーとして作用できる限り、その中の一つまたはそれ以上は、他のdNMPsに代替できる。逆転写段階は、RNase H活性を有する逆転写酵素をもって行える。RNase H活性を有する酵素を利用する場合、反応条件を注意して選択すれば、個別的なRNase H切断段階を省略することができる。
【0079】
本発明の方法は、鋳型核酸分子が特定配列または長さを有するように要求しない。特に、前記分子は、自然の原核細胞核酸、真核細胞(例えば、原生動物と寄生動物、菌類、酵母、高等植物、下等動物、及び哺乳動物と人間を含む高等動物)核酸、ウイルス(例えば、ヘルペスウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、 Epstein−Barrウイルス、肝炎ウイルス、ポリオウイルスなど)核酸、またはウイロイド核酸を含む。また、前記核酸分子は、化学的に合成されたまたは合成できる核酸分子を含む。したがって、前記核酸配列は、自然から発見されるかまたは発見されないものである。
【0080】
本発明のために使用されるDS oligoは、鋳型の一部位に混成化またはアニーリングされて、二重鎖構造を形成する。このような二重鎖構造を形成するに好適なアニーリング条件は、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)及びHaymes,B.D.ら,Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press,Washington,D.C.(1985)に説明されている。
【0081】
DS oligoの5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位の配列は、厳格な相補性を有する必要はなく、ただ配列に実質的に相補的であって安定的な二重鎖構造を形成できればよい。したがって、二重鎖構造を形成できる範囲内で、完全な相補性からの離脱が許容される。鋳型核酸の一位置に対するDS oligoのアニーリングは、重合酵素による鋳型依存的重合反応のための前提条件である。DS oligoが相補的な核酸に塩基対を形成した要素(参照:Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、及びHaymes,B.D.ら,Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach, IRL Press,Washington,D.C.(1985))は、実質的にプライミング効率に影響を与える。DS oligoのヌクレオチド組成は、アニーリングが最適化される温度に影響を与え、結局プライミング効率に影響を及ぼすことになる。
【0082】
アニーリング段階の間に、DS oligoの5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位は、混成化部位または特異性決定位置(即ち、二重特異性決定位置)として重要な役割をするが、その反面、分割部位は、混成化位置としての役割をせず、鋳型と結合しない。
【0083】
多様なDNA重合酵素が本発明の方法の伸長段階に使用でき、これは、E. coli DNA重合酵素Iの“クレノウ(Klenow)”断片、熱安定性DNA重合酵素、及びバクテリオファージT7 DNA重合酵素を含む。好ましくは、重合酵素は、多様なバクテリア種から得られる熱安定性DNA重合酵素であり、これは、Thermus aquaticus(Taq),Thermus thermophilus(Tth),Thermus filiformis,Thermis flavus,Thermococcus literalis及びPyrococcus furiosus(Pfu)を含む。重合反応を行う時、反応容器に、反応に必要な成分を過量に提供することが好ましい。増幅反応に必要な成分の過量は、増幅反応が成分の濃度に実質的に制限されない程度の量を意味する。Mg2+のような助因子、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを、所望の増幅程度が達成できる程度に反応混合物に提供することが望まれる。
【0084】
本発明において、アニーリングまたは混成化は、DS oligoと鋳型核酸との間に特異的結合を可能にする厳格条件下で行われる。アニーリングのための厳格条件は、配列依存的であり、周囲環境的変数により多様である。本発明において、アニーリング段階は、一般に高い厳格条件下で実施される。しかしながら、もし本発明がミスマッチ許容を要求する方法に適用されたら、一つ以上(しかし、制限された数)のミスマッチにも拘らず5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が鋳型にアニーリングする厳格条件下でアニーリング段階を行うことが好ましい。そのようなミスマッチ許容は、遺伝的多様性を有する遺伝子の増幅または検出において、非常に有用である。厳格条件は、公知の基準から容易に決定できる。
【0085】
アニーリング段階は、3’−低T特異性部位のTより高いアニーリング温度で実施し、3’−低T特異性部位のみによるアニーリングが発生しないようにすることが有利である。好ましくは、アニーリング温度は、3’−低T特異性部位のTより少なくとも5℃、より好ましくは、少なくとも10℃、さらに好ましくは、少なくとも15℃、最も好ましくは、少なくとも20℃高い。
【0086】
好ましい具現例において、アニーリング温度は、40〜75℃、より好ましくは、45〜72℃、さらに好ましくは、50〜68℃、最も好ましくは、55〜65℃である。本発明に好適なアニーリング温度は、5’−高T特異性部位のT値と3’−低T特異性部位のT値を独立的に考慮することにより決定できる。即ち、本発明のアニーリング温度は、5’−高T特異性部位及び3’−低T特異性部位の全体長さと全体ヌクレオチド組成により決定されるものではなく、5’−高T特異性部位及び/または3’−低T特異性部位の個別的長さとヌクレオチド組成により決定される。通常5’−高T特異性部位のT値のみを考慮してアニーリング温度を決定するようになり、3’−低T特異性部位のT値より非常に高く、これが最適のものとなる。
【0087】
アニーリング段階において、ミスマッチ許容が要求されたら、アニーリング温度を、上記で提示した温度より低くなるように調整することが好ましい。
【0088】
本発明は、特定目的を達成するために、公知の他の過程と結合することができる。例えば、製造された産物の分離(または精製)は、伸長過程に後続できる。前記過程は、ゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーまたは混成化により実施できる。また、本発明の増幅産物は、適合したクローニングベクターに挿入できる。また、本発明の製造産物は、発現ベクターを有する適合した宿主から発現できる。
【0089】
II.ターゲット核酸配列増幅に応用
本発明のまた他の様態によると、本発明は、プライマーとして一対の二重特異性オリゴヌクレオチドを使用し、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び変性過程を、少なくとも2サイクル実施し、ターゲット核酸配列を増幅させる段階を含み、前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記ターゲット核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記ターゲット核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記鋳型核酸にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、前記増幅反応におけるアニーリングは、前記3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されることを特徴とする、DNAまたは核酸混合物においてターゲット核酸配列を選択的に増幅する方法を提供する。
【0090】
本発明の増幅方法は、本発明のDS oligoを利用するため、不要な重複記載による過度なる複雑性を避けるために、共通事項は、その記載を省略する。 また、本方法は、アニーリングと伸長過程を含むため、不要な重複記載による過度なる複雑性を避けるために、共通事項は、その記載を省略する。例えば、使用された DS oligoの組成と構造、及びアニーリングと伸長のための条件は、本方法と、上述の核酸分子を製造するための方法において、共通する。
【0091】
本発明のDS oligoを使用する本応用は、核酸増幅、好ましくは、PCR(重合酵素連鎖反応)を実施することにより、一つの核酸または核酸混合物(DNAまたはmRNA)からターゲット核酸配列を選択的に増幅する、改善された方法を提供することができる。
【0092】
上述のように、DS oligoを使用して、二本鎖DNAのターゲット核酸を選択的に増幅することは、図2に示されている。図2に示されたように、DS oligoの一対は、変性された二本鎖DNA鋳型にアニーリングされる。
【0093】
アニーリングの間に5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位は、混成化部位または特異性決定位置(即ち、二重特異性決定位置)として重要な役割をするが、その反面、分割部位は、混成化位置としての役割をせず、鋳型と結合しない。この時、分割部位は、二末端部位、即ち、5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位とを空間的に分離させて、DS oligoの全体特異性が二重的に決定されるように、DS oligoにおいてバブル構造を形成する。後続の反応の詳細内容は、上述の当業界に公知の従来プライマー関連核酸増幅と類似している。
【0094】
核酸配列を増幅するための本方法は、公知の多様なプライマー関連核酸増幅により行うことができる。好ましくは、その方法は、米国特許第4,683,195号、第4,683,202、及び第4,800,159号に開示されたPCR工程、より好ましくは、ホットスタートPCR方法により行うことができる。
【0095】
図3は、DS oligoを使用してmRNAのターゲット核酸を選択的に増幅することを示す。最初の段階において、多様な生物試料から得られたmRNAは、mRNAのポリAテールに混成化可能なオリゴdTプライマー及び逆転写酵素を使用して逆転写される。逆転写の詳細なメカニズムは、Joseph Sambrookら,Molecular Cloning,A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)及びHaymes,B.D.ら,Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press,Washington,D.C.(1985))から見つけることができる。後続の反応の詳細な内容は、上述の公知の従来プライマー関連核酸増幅と類似している。
【0096】
III.マルチプレックスDNA増幅に応用
本発明の他の様態によると、本発明は、プライマーとして2つ以上の二重特異性オリゴヌクレオチド対を利用し、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び変性過程を、少なくとも2サイクル実施し、ターゲットヌクレオチド配列を増幅させる段階を含み、前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記ヌクレオチド配列の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記ターゲットヌクレオチド配列の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記ターゲットヌクレオチド配列にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、増幅反応におけるアニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されることを特徴とする、同一な反応において、2つ以上のプライマー対を同時に使用し、2つ以上のターゲットヌクレオチド配列を増幅する方法を提供する。
【0097】
本発明のDS oligoを使用した本応用は、同一な反応で一対以上のプライマーを使用して、一つ以上のターゲット配列を増幅する改善された方法を提供する。一般に、10個以上のターゲット配列を同時に増幅させるようにマルチプレックスPCR条件を設計することは、非常に難しいが、その理由は、一つの特定部位(locus)であっても、非特異的副産物無しに増幅できるように、最適のPCR反応が要求されるためである。反応において完璧なDNA−DNAマッチが発生するようにするためには、十分高い温度でアニーリングがなされるようにする必要があるため、本発明のDS oligoは、増幅の特異性を改善させるその機能のため、マルチプレックスDNA増幅の最適化に理想的である。本明細書で使用された“マルチプレックスPCR(Multiplex PCR)”は、一つの重合酵素連鎖反応(PCR)混合物において、マルチプレックスDNAターゲットを同時に増幅することを意味する。
【0098】
本発明の特定具現例において、マルチプレキシング工程は、前記DS oligoのプライマー対を使用し、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び変性過程を、少なくとも2サイクル実施する段階を含む増幅反応を実施する段階を含み、前記プライマーは、二重特異性オリゴヌクレオチドであって、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記ヌクレオチド配列の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記ターゲットヌクレオチド配列の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記ターゲットヌクレオチド配列にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、増幅反応におけるアニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されることを特徴とする。
【0099】
本発明のDS oligoを使用した本応用は、一つ以上のターゲットヌクレオチド配列及びプライマー対を使用することを除いては、上述の核酸配列の増幅方法にしたがって実施されるため、不要な重複記載による過度なる複雑性を避けるために、共通事項は、その記載を省略する。例えば、使用されたDS oligoの組成及び構造、そして増幅のための条件などは、上述の核酸分子の増幅方法と共通する。
【0100】
好ましい具現例によると、アニーリング温度は、約40〜70℃であり、より好ましくは、45〜68℃、さらに好ましくは50〜65℃、及び最も好ましくは、55〜65℃である。
【0101】
好ましい具現例において、ターゲットヌクレオチド配列のそれぞれから増幅された産物は、後続する分析のために大きさが異なる。好ましい具現例によると、マルチプレックスターゲットヌクレオチド配列の増幅産物は、大きさ分別を通じて分析できる。大きさ分別比較は、公知の多様な方法、即ち、ポリアクリルアミドゲルマトリックスまたはアガロースゲルマトリックスを介した電気泳動及びヌクレオチドシーケンシングを通じて実施される。ヌクレオチドシーケンシングは、多様な製造会社から購入可能な自動化シーケンサーにて迅速に実施できる。
【0102】
後述の実施例で例示されたように、本発明のマルチプレキシングは、公知の従来マルチプレックス方法の非特異性の問題だけではなく、バックグラウンド問題を除去する。
【0103】
マルチプレックス増幅の利点は、数多い疾病または特異的ヌクレオチド配列変異(例えば、単一ヌクレオチド多形性または点突然変異)を、同じ反応で分析できるということにある。同時に分析できる分析物の数は、無制限である;しかしながら、上限は、約20個であって、これは、分析のために要求される大きさの差異及び増幅された産物を分析できる方法などに依存するとして判断される。
【0104】
本発明の方法は、遺伝的及び伝染性疾病の診断、性決定、遺伝的連関分析、及び犯罪科学研究などに適用できる。
【0105】
IV.DNAシーケンシングに応用
上述の改善された特異性は、溶液相(solution−phase)シーケンシング(特に、サイクリング)のプライマーとして、または固相シーケンシング(特に、オリゴヌクレオチドチップシーケンシング)のプローブとして、DS oligoが直接シーケンシング(direct sequencing)に使用されるようにする。
【0106】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、次の段階を含む、二重特異性オリゴヌクレオチドを用いて、DNAまたは核酸混合物においてターゲット核酸分子をシーケンシングする方法を提供する:
(a)前記二重特異性オリゴヌクレオチドをシーケンシングプライマーとして利用し、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び変性過程を、少なくとも2サイクル実施し、シーケンシングする前記核酸分子に相補的な核酸分子を製造する段であって;前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記ターゲット核酸分子の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記ターゲット核酸分子の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記ターゲット核酸にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、製造反応におけるアニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されて、
(b)前記製造された相補的な核酸分子のヌクレオチド配列を決定する段階。
【0107】
一般に、DNAシーケンシングは、マクサム・ギルバートシーケンシング、サンガーシーケンシング、パイロシーケンシング、及びエキソヌクレアーゼ切断シーケンシングのような多様な方法により実施されてきた。本発明のシーケンシング方法は、熱サイクルシーケンシングだけではなく、パイロシーケンシングを改善する。
【0108】
本発明は、サンガージデオキシ方法の多様な変形された方法により実施できる。本発明の熱サイクルシーケンシングは、PCR増幅された核酸鋳型に対し実施できる。また、本発明によると、熱サイクルシーケンシングは、シーケンシング前にPCR増幅されない核酸鋳型に対して実施できる。
【0109】
簡略に、サンガーシーケンシングは、DNA重合酵素が2’,3’−ジデオキシヌクレオチドを核酸連鎖に挿入して連鎖反応を終結させることに基づく(Sanger et al., (1977) PNAS. USA 74:5463)。サンガーにより発明された前記方法は、ジデオキシ連鎖終結方法を意味する。この方法の最も伝統的な過程において、シーケンシング対象のDNA切片は、M13のような一本鎖DNAファージにクローニングされる。DNA重合酵素Iのクレノウ断片により相補的鎖がプライミング合成される時、前記ファージDNAは、鋳型として利用される。前記プライマーは、クローニングされたインサートの3’末端近くのM13ベクター区域と特異的に混成化するために製造されたオリゴヌクレオチドである。四つのシーケンシング反応のそれぞれにおいて、4種のデオキシヌクレオチドの1種に対するジデオキシ類似体の十分な量が存在する下で、プライミング合成が実施されて、これにより、前記終結末端ヌクレオチドの挿入により無作為的に伸長反応が終結される。ジデオキシのデオキシ形態に対する相対的な濃度は、ゲル電気泳動を通じて分析できる、全ての可能な連鎖長さに該当する一連の終結反応がなされるように調節される。合成される連鎖で挿入される標識(tag)は、電気泳動の各トラックにおいて、DNAパターンのオートラジオグラムイメージを得るために使用される。クローニングされた核酸鋳型において、デオキシヌクレオチドの配列は、四つのレーンでバンドのパターンを調査することにより決定される。
【0110】
サンガー方法の変形として、熱サイクルシーケンシング方法は、一般に核酸シーケンシングプライマー、デオキシヌクレオシドトリホスフェート、一つ以上のジデオキシヌクレオシドトリホスフェート(ddNTPs)、適切な緩衝液、熱安定DNA重合酵素(例えば、Taq重合酵素)、及びシーケンシングされる核酸鋳型を含む溶液の使用を含む。熱サイクルシーケンシングの詳細な内容は、米国特許第5,432,065号、第5,723,298号、5,756,285号、第5,817,797号、及び第5,831,065号から分かり、その内容は、本明細書に参照として取り込まれる。前記方法の工程は、通常、一般的なPCRと類似した熱サイクリング条件下で実施される。
【0111】
核酸鋳型に対し、シーケンシング反応を実施して、次いで反応産物を分析して配列を決定する。相当な数の検出方法が公知された。このような方法は、Ausubel, F. M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, (1993) John Wiley & Sons, Inc., New Yorkに説明されたように、一般に、ラジオヌクレオチド、蛍光、赤外線、及び化学発光ラベルなどを含む標識の検出を含む。
【0112】
ラベルは、プライマーまたはddNTP、好ましくは、ddNTPで標識できる。最も好ましいラベルは、6−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシ−X−ロダミン、3−(ε−カルボキシフェニル)−3’−エチル−5,5’−ジメチルオキサカルボシアニン、6−カルボキシ−X−ロダミン、4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3α、4α−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸誘導体、及び4,7−ジクロロロダミン染色剤などを含む蛍光物質である。
【0113】
好ましくは、アニーリング温度は、40〜70℃、より好ましくは、45〜68℃、及び最も好ましくは50〜65℃である。
【0114】
本方法は、後述の実施例に示されたように、ターゲット核酸分子の高い特異的シーケンシングを示す。より詳細には、マウス胎盤−特異的ホメオボックスファミリー遺伝子であるPsx1及びPsx2は、DS oligoの独特の構造を有するようにデザインされたシーケンシングプライマーを使用して、分別的にシーケンシングできる。シーケンシングプライマーの全体配列が、3’−低T特異性部位において、ただ一つの塩基に差異があるということを考慮すれば、上述の分別的シーケンシングをより明確に把握することができる。
【0115】
驚くことに、本発明は、ゲノムDNAまたはcDNAポピュレーション内に含まれたターゲット核酸分子が、精製または分離無しにも、直接シーケンシングされるようにする。ゲノムDNAまたはcDNAポピュレーション内にあるターゲット核酸分子を成功的に直接シーケンシングしたという報告は、未だにない。本発明のシーケンシング方法が、総RNAから得たcDNAポピュレーション内に含まれたターゲット核酸分子を直接的にシーケンシングするように適用される場合、本方法は、次の段階を含む:
(a)鋳型誘導の酵素的デオキシリボヌクレイン酸合成が発生するに十分な条件で、mRNAsのポピュレーションを、mRNAのポリA末端に混成化されるオリゴヌクレオチドdTプライマーと接触させる段階;
(b)オリゴヌクレオチドdTプライマーが混成化された前記mRNAを逆転写する段階であって、前記オリゴヌクレオチドdTプライマーが混成化されたmRNAに相補的な第1次cDNA鎖を生成する段階;
(c)二重特異性オリゴヌクレオチドをシーケンシングプライマーとして利用し、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び変性過程を、少なくとも2サイクル実施し、シーケンシングする第1次cDNA鎖に相補的な核酸分子を合成する段階であって;前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記ターゲット核酸分子の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記ターゲット核酸分子の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記ターゲット核酸分子にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、前記合成反応におけるアニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されて、
(d)前記製造された第1次cDNA鎖のヌクレオチド配列を決定する段階。
【0116】
V.遺伝的多様性を有した核酸分子の検出に応用
本発明の他の様態によると、本発明は、次の段階を含む二重特異性オリゴヌクレオチドの鋳型依存的伸長反応により、遺伝的多様性を有する核酸分子を検出する方法を提供する:
(a)二重特異性オリゴヌクレオチドを鋳型核酸分子にアニーリングさせる段階であって、前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記鋳型核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記鋳型核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記鋳型核酸にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、前記アニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じなく、前記5’−高T特異性部位及び/または前記3’−低T特異性部位がそのターゲット位置に対し1つ以上のミスマッチ塩基を有する場合に発生する条件でアニーリングが発生し、
(b)前記二重特異性オリゴヌクレオチドを伸長して前記鋳型に相補的な前記核酸分子を製造する段階と、
(c)前記二重特異性オリゴヌクレオチドの前記鋳型依存的伸長反応の発生有無を検出する段階。
【0117】
本発明のDS oligoを使用した本応用は、前述した核酸配列を製造するための方法に従って実施されるため、不要な重複記載による過度なる複雑性を避けるために、共通事項は、その記載を省略する。
【0118】
本発明のDS oligoを使用する本応用は、アニーリングと伸長段階を含む鋳型依存的伸長反応により、遺伝的多様性を有した核酸配列を選択的に検出する改善された方法を提供することができる。特に、遺伝的多様性を有したターゲット核酸配列の検出は、アニーリング、伸長及び変性段階を含む鋳型依存的伸長反応の過程を繰り返すことによりなされる。
【0119】
本発明は、DS oligoのミスマッチ許容性(tolerance)に基づく。
【0120】
遺伝的多様性は、多様なゲノムで報告されている。このような現象は、関心対象の遺伝子またはゲノムを失敗なく検出するにおいて、妨害物とみなされてきた。本発明は、ミスマッチ許容性を有するDS oligoを使用し、上記のような従来問題を解決する方法を提供する。一定な配列を有したDS oligoは、遺伝的多様性を示す様々な配列にアニーリングできて、結局目的のヌクレオチド配列を成功的に増幅して検出できる。即ち、アニーリングと混成化特異性を急激に向上させる目的で、最初に発明されたDS oligoは、アニーリングまたは厳格条件が適切に調節される条件下でミスマッチ許容性を要求する方法にも使用できる。
【0121】
ミスマッチ許容性を示すDS oligoを提供するために、得られる全てのヌクレオチド配列を整列して、把握された核酸分子の保存区域に基づいてDS oligoをデザインすることが好ましい。
【0122】
本明細書で使用された用語“保存区域(conserved region)”は、多様なヌクレオチド配列間に非常に類似した、遺伝子のヌクレオチド配列または蛋白質のアミノ酸配列の断片を意味する。この用語は、“保存配列(conserved sequence)”と混用される。
【0123】
好ましい具現例において、保存区域内の最も保存された配列は、DS oligoの3’−末端部位に位置して、最も低く保存された配列は、分割部位に位置する。5’−高T特異性部位及び/または3’−低T特異性部位、好ましくは、5’−高T特異性部位は、DS oligoのミスマッチ許容性のため、ターゲット位置に一つ以上、好ましくは、一つ乃至三つ、より好ましくは、一つまたは二つのミスマッチ塩基を有する。DS oligoにミスマッチ許容性を付加するために、アニーリング条件、特にアニーリング温度は、重要である。前記アニーリングは、5’−高T特異性部位及び/または3’−低T特異性部位が一つ以上のミスマッチ塩基を有する場合、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングは発生されないが全ての部位によるアニーリングが発生する条件下で実施される。
【0124】
好ましくは、アニーリング温度は、約40〜70℃、より好ましくは、45〜68℃、最も好ましくは、50〜65℃である。
【0125】
好ましい具現例によると、本発明は、重合酵素連鎖反応(PCR)により実施される。
【0126】
本発明の検出段階は、多様な従来技術により実施できる。例えば、ゲル上で検出するに十分な産物を生成するように、本発明の方法が繰り返して実施される場合、鋳型依存伸長産物の検出は、従来のゲル電気泳動により容易に実施できる。分光学的測定、光化学的測定、生化学的測定、生電子的測定、免疫化学的測定、電子的測定、及び化学的測定により検出可能なラベルを含む場合、鋳型依存的伸長反応の発生有無を検出するために、適した測定が実施できる。
【0127】
遺伝的多様性は、ウイルスゲノムで最も頻繁に発見され、かつ発生する(Nathalie B. et al., (2004) Journal of Clinical Microbiology, 42, 3532; Tersa C.ら, (2002) Journal of Infectious Diseases, 185, 1660; Takashi E.ら, (2004) Journal of Clinical Microbiology, 42, 126; and Elizabeth R.ら, (2001) Clinical Infectious Diseases, 32, 1227)。従って、本発明により検出される遺伝的多様性を有した核酸分子は、遺伝的多様性を示すウイルスの核酸が好ましい。例えば、本発明が、遺伝的多様性を示すヒトメタニューモウイルスをPCRにより検出するに適用される場合、DS oligo構造を有するようにデザインされた最も好ましいプライマーセットは、第39配列(5’プライマー)及び第40配列(3’プライマー)、または第39配列及び第41配列(3’プライマー)に記載されている。
【0128】
VI.マイクロアレイに固定されたDS oligoを使用し、ターゲットヌクレオチド配列の検出に応用
本応用は、DS oligo固定されたマイクロアレイ上で、鋳型依存的反応を繰り返し実施してターゲットヌクレオチド配列を検出する新規な方法である。
【0129】
本発明の他の様態によると、本発明は、次の段階を含む二重特異性オリゴヌクレオチドの鋳型依存的伸長反応により、核酸試料においてターゲットヌクレオチド配列を検出する方法を提供する:
(a)混成化、鋳型依存的伸長、及び変性過程を少なくとも1サイクル含む、基質上に固定されたプローブとしての二重特異性オリゴヌクレオチドを伸長する段階であって、前記混成化は、二重特異性オリゴヌクレオチドを核酸試料に接触させることにより行われて、前記二重特異性オリゴヌクレオチドは、5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位の、3つの部位を含み、前記5’−高T特異性部位は、混成化される前記ターゲットヌクレオチド配列の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記分割部位は、少なくとも2つのユニバーサル塩基を含み、前記3’−低T特異性部位は、前記ターゲット核酸の1位置に対し、実質的に相補的な混成化ヌクレオチド配列を有して、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有して、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位が前記ターゲットヌクレオチド配列にアニーリングされる条件下で、非塩基対バブル構造を形成し、増幅反応におけるアニーリングは、3’−低T特異性部位単独によるアニーリングが生じない条件下で実施されて、
(b)鋳型依存的伸長反応の発生有無を分析する段階。
【0130】
DS oligo固定マイクロアレイを使用し、核酸試料においてターゲットヌクレオチド配列を検出するための図示は、図4に示されている。
【0131】
DS oligoを使用する本方法は、最適化手順により決定される、適合した混成化条件下で実施できる。温度、成分の濃度、混成化及び洗浄時間、緩衝液成分及びこれらのpH、及びイオン強度などの条件は、オリゴヌクレオチドの長さ及びGC量、そしてターゲットヌクレオチド配列などの多様な因子に依存する。例えば、相対的に短いオリゴヌクレオチドが使用される場合、低い厳格条件が好ましい。混成化のための詳細な条件は、Joseph Sambrook,et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001);及びM.L.M. Anderson,Nucleic Acid Hybridization,Springer−Verlag New York Inc.N.Y.(1999)から確認できる。
【0132】
DS oligoは、基質上に固定される。好ましい基質は、膜、フィルター、チップ、スライド、水、ファイバー、磁気または非磁気ビーズ、ゲル、管(tubing)、プレート、巨大分子、微細粒子、及び毛細管チューブのような、適合した固体または半固体支持体を含む。固定化は、化学反応または紫外線による共有結合によりなされる。本発明の具現例において、DS oligoは、エポキシ化合物またはアルデヒドグループを含むように変形されたガラス表面またはポリリジンコーティングされた表面に結合される。また、DS oligoDSは、リンカー(例えば、エチレングリコールオリゴマー及びジアミン)を通じて基質に結合される。フォトリソグラフィー、インクゼッティング、機械的マイクロスポッティング及びこれの類似方法のような従来製造技術により、DS oligoはアレイまたは複数のアレイに製作され得る。
【0133】
本発明によると、伸長段階で使用されるdNTPsは、好ましくはラベルされる。ラベリングのために、分光学的測定、光化学的測定、生化学的測定、生電子的測定、免疫化学的測定、電子的測定、及び化学的測定により検出可能な物質が使用される。例えば、ラベルには、P32及びS35のような放射能同位元素、化学発光化合物、蛍光マーカーと染料のような分光学的マーカー、そして磁気ラベルなどを含むが、これに限定されるものではない。例えば、染料には、キノリン染料、トリアリルメタン染料、フタレイン、アゾ染料、及びシアニン染料などを含むが、これに限定されるものではない。蛍光マーカーには、フルオレセイン(fluorescein)、フィコエリトリン(phycoerythrin)、ロダミン、リサミン(lissamine)、そしてCy3とCy5(Pharmacia)を含むが、これに限定されるものではない。ラベリングは、公知の多様な方法により行われる。
【0134】
基質に、好ましくは固体支持体に固定されたプローブとしてのDS oligoと核酸試料のターゲットヌクレオチド配列が混成化された後、ターゲットヌクレオチド配列と混成化されたDS oligoは、鋳型依存的段階において、dNTPs、好ましくは、蛍光ラベルされたdNTPs及びDNA重合酵素を使用して伸長される。(a)段階を反復的に実施して、DS oligoの全てまたは大部分がターゲットヌクレオチド配列と混成化されるようにして、より再現性のある混成化分析結果が得られるようにすることが好ましい。
【0135】
混成化の発生は、使用されたラベルタイプによって、公知の多様な方法により確認される。例えば、蛍光顕微鏡、好ましくは、コンフォーカル蛍光顕微鏡が蛍光ラベルを検出するために使用されて、このような装置により検出された信号の強度は、混成化程度に比例して増加する。一般に蛍光顕微鏡には、混成化強度の定量的な二次元イメージを形成するスキャニング装置が付着される。このような装置により検出される信号の強度は、混成化程度と鋳型依存的伸長の程度に比例する。
【発明の効果】
【0136】
本発明によると、高混成化特異性及びミスマッチ許容性を有する二重特異性オリゴヌクレオチドの特徴が強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1A】図1Aは、鋳型依存的伸長反応において、本発明の二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドの原理を示す。図1Aは、高い厳格条件下でDSオリゴヌクレオチドの高混成化特異性を示す。
【図1B】図1Bは、鋳型依存的伸長反応において、本発明の二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドの原理を示す。図1Bは、DSオリゴヌクレオチドのミスマッチ許容(tolerance)を示す。
【図2】本発明のDSオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、二本鎖DNAのターゲット核酸を選択的に増幅する過程を示す。
【図3】本発明のDSオリゴヌクレオチドを使用し、mRNAのターゲット核酸を選択的に増幅する過程を示す。
【図4】オリゴヌクレオチドマイクロアレイ上の二重特異性オリゴヌクレオチドを使用し、ターゲット核酸を選択的に決定する鋳型依存的伸長反応を示す。
【図5】サイトカインファミリー遺伝子であるIL−1ベータ及びIL−19をプライマーセット(IL−1b−5’−0及びIL−1b−3’−0、レーン1;IL−19−5’−0及びIL−19−3’−0、レーン3)と二重特異性オリゴヌクレオチド(IL−1b−5’及びIL−1b−3’、レーン2;IL−19−5’及びIL−19−3’、レーン4)を使用したPCR増幅の結果を示すアガロースゲル写真である。
【図6A】二重特異性オリゴヌクレオチドのPCR特異性を証明するDEG10遺伝子の3’−RACE(cDNA末端の高速増幅)結果を示すアガロースゲル写真である。レーン1は、完璧なマッチ配列を有するプライマーに対するものであり、レーン2〜4は、3’−低T特異性部位でそれぞれ3、2及び1個の塩基ミスマッチを有するプライマーに対するものであり、レーン5〜7は、5’−高T特異性部位でそれぞれ5、3及び2個の塩基ミスマッチを有するプライマーに対するものである。Mは、Forever 100−bp Ladder Personalizerにより生成された100−bp大きさのマーカーである。
【図6B】PCRで二重特異性オリゴヌクレオチドのミスマッチ許容を証明するDEG10遺伝子の3’−RACE結果を示すアガロースゲル写真である。レーン1は、完璧なマッチ配列を有する一つのプライマーに対するものであり、レーン2〜4は、3’−低T特異性部位でそれぞれ3、2及び1個の塩基ミスマッチを有するプライマーに対するものであり、レーン5〜7は、5’−高T特異性部位でそれぞれ5、3及び2個の塩基ミスマッチを有するプライマーに対するものである。Mは、Forever 100−bp Ladder Personalizerにより生成された100−bp大きさのマーカーである。
【図7A】マウス胎盤−特異的ホメオボックスファミリー遺伝子であるPsx1とPsx2の3’−RACEのための5’プライマーの配列を示す。Psx1−5’−40及びPsx2−5’−40は、従来プライマーであり、Psx1−5’−41及びPsx2−5’−41は、本発明によりデザインされたプライマーである。
【図7B】Psx1とPsx2の3’−RACEの結果を示すアガロースゲル写真である。レーン1は、二重特異性オリゴヌクレオチドプライマーであるPsx1−5’−41を使用したPsx1の3’−RACEであり;レーン2は、二重特異性オリゴヌクレオチドプライマーであるPsx2−5’−41を使用したPsx2の3’−RACEであり;レーン3は、従来プライマーであるPsx1−5’−40を使用したPsx1の3’−RACE;及びレーン4は、従来プライマーであるPsx2−5’−40を使用したPsx2の3’−RACE結果である。Mは、Forever 100−bp Ladder Personalizerにより生成された100−bp大きさのマーカーである。
【図8】二重特異性オリゴヌクレオチドプライマーのPsx1−5’−41(Psx1場合)及びPsx2−5’−41(Psx2場合)をシーケンシングプライマーとして使用し、マウス胎盤cDNAプールでPsx1とPsx2遺伝子を直接サイクリングシーケンシングした結果を示す。
【図9】9セットのサイトカインファミリー遺伝子特異的二重特異性プライマーを使用したマルチプレックスPCR結果を示す。レーン1は、9個のサイトカイン遺伝子に対するマルチプレックスPCRを;レーン2は、IL−3(200bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン3は、IL−15(250bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン4は、IL−18(300bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン5は、IL−25(350bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン6は、IL−2(400bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン7は、IL−6(450bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン8は、IL−19(500bp)に対するモノプレックスPCRを;レーン9は、IL−1ベータ(550bp)に対するモノプレックスPCRを;及びレーン10は、IL−10(600bp)に対するモノプレックスPCRの結果を示す。Mは、Forever 100−bp Ladder Personalizerにより生成された100−bp大きさのマーカーである。
【図10】ヒトメタニューモウイルス(hMPV)融合糖蛋白質(F)遺伝子を二重特異性オリゴヌクレオチドプライマーを使用してPCR増幅した結果を示す。レーン1、hMPV5’−585及びhMPV3’−689プライマーセットを使用したターゲットPCR;レーン2、hMPV5’−585及びhMPV3’−1007プライマーセットを使用したターゲットPCR;レーン3、ヒトベータ−アクチンプライマーを使用したターゲットPCR;レーン4、鋳型のないターゲットPCR;レーン5、鋳型のないターゲットPCR。
【発明を実施するための形態】
【0138】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0139】
実施例1:二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドを利用したPCR特異性
マウスサイトカインファミリー遺伝子であるIL−19とIL−1ベータのターゲットヌクレオチド配列を増幅するために、本発明により開発されたDSオリゴヌクレオチドをプライマーとして利用した。DSプライマーを利用したIL−19とIL−1ベータのターゲットヌクレオチド配列の増幅過程と結果が記載されている。
【0140】
次の従来プライマー配列を選択して、これは、DSオリゴヌクレオチドとPCR特異性を比較するために使用した:
実施例で使用されたIL−19特異的従来プライマーは、次のようである(500bp):
IL19−5’−0 5’−GTCTCATCTGCTGCCCTTAAGTCTCTAGGAGAACT−3’(第1配列);及び
IL19−3’−0 5’−CATAGGCCTGGAAGAAGCCGCTTTACAATAAGTTAG−3’(第2配列)。
実施例で使用されたIL−1ベータ特異的従来プライマーは、次のようである(550bp):
IL1b−5’−0 5’−GGAGAGTGTGGATCCCAAGCAATACCCAAAGAAG−3’(第3配列);及び
IL1b−3’−0 5’−AGACCTCAGTGCAGGCTATGACCAATTCATCCC−3’(第4配列)。
【0141】
バックグラウンド及び非特異的産物生成のような、従来プライマー配列から引き起こされる主な問題点を、DSオリゴヌクレオチドが解決できるかどうかを検証するために、本発明のDSオリゴヌクレオチドを従来のプライマー配列に適用した。
【0142】
5’部位と3’部位との間にポリデオキシイノシン[poly(dI)]リンカーを有する分割部位を除いては、DSプライマーは、従来プライマーと同一な配列を含む。DSプライマーは、5’−高T特異性部位のTが3’−低T特異性部位のTより高く、且つ分割部位のTが三つの部位のうち最も低いTを有するようにデザインされる。
【0143】
実施例で使用されたIL−19に対するDSプライマーは、次のようである(500bp):
IL19−5’ 5’−GTCTCATCTGCTGCCCTTAAIIIIITAGGAGAACT−3’(第5配列);及び
IL19−3’ 5’−CATAGGCCTGGAAGAAGCCGIIIIICAATAAGTTAG−3’(第6配列)である。ここでIは、デオキシイノシンである。
実施例で使用されたIL−1ベータに対するDSプライマーは、次のようである(550bp):
IL1b−5’ 5’−GGAGAGTGTGGATCCCAAGCIIIIICCAAAGAAG−3’(第7配列);及び
IL1b−3’ 5’−AGACCTCAGTGCAGGCTATGIIIIITTCATCCC−3’(第8配列)である。ここでIは、デオキシイノシンである。
【0144】
ICRマウスの胎盤組織から分離したゲノムDNA 2μl(50ng)、15mM MgCl(Roche)を含む10×PCR緩衝液2μl、dNTP 2μl(dATP, dCTP, dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)、5’DSまたは従来プライマー1μl(10μM)、3’DSまたは従来プライマー1μl(10μM)、及びTaq重合酵素0.5μl(5units/μl;Roche)を含む20μlの最終容量でターゲットPCR増幅を実施し;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で1分、60℃で1分、及び72℃で1分の過程を30回繰り返した後、72℃で7分間処理した。
【0145】
増幅された産物を2%アガロースゲルで電気泳動により分析し、EtBr(ethidium bromide)で染色して検出した。PCR産物は、オートラジオグラフィー、またはシルバー染色のような非放射能検出法(Gottschlich et al.,(1997)Res.Commun.Mol.Path.Pharm.97,237−240;Kociok,N.,et al.(1998)Mol.Biotechnol.9,25−33)、または蛍光標識オリゴヌクレオチドを利用した方法(Bauer D.,et al.,(1993)Nucleic Acids Res.21,4272−4280;Ito,T.et al.,(1994)FEBS Lett.351,231−236.;Luehrsen,K.R.et al.,(1997)BioTechniques 22,168−174;Smith,N.R.et al.,(1997)BioTechniques 23,274−279)、及びバイオチン化プライマーを利用した方法(Korn,B.et al.,(1992)Hum.Mol.Genet.1,235−242;Tagle,D.A.et al.,(1993)Nature 361.751−753;Rosok,O.et al.,(1996)BioTechniques 21,114−121)により変性ポリアクリルアミドゲル上で検出することができる。
【0146】
図5から分かるように、サイトカインファミリー遺伝子であるIL−1bとIL−19を、IL−1b−5’とIL−1b−3’、そしてIL−19−5’とIL−19−3’の各プライマーセットを使用してターゲットPCR増幅した結果、それぞれIL−1ベータ(レーン2)では550−bp、IL−19(レーン4)の場合は500−bpと予想された大きさに該当する単一バンドを形成する。この後、クローンのクローニングと配列分析を通じて、そのバンドは、IL−1ベータとIL−19断片であることが確認できた。その反面、[Poly(dI)]を含まない従来プライマーセット(IL19−5’−0とIL19−3’−0;IL1b−5’−0とIL1b−3’−0)の場合は、非特異的産物が生成された(図5、レーン1とレーン3)。このような結果は、三つの異なるT部位(5’−高T特異性部位、3’−低T特異性部位、及び分割部位)を有するようにデザインされたDSプライマーは、バックグラウンドと非特異的産物の生成のような、従来プライマー配列が誘発する問題点を克服し、PCR特異性を大いに向上させることができることを示す。
【0147】
実施例2:二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドを利用したPCR特異性の評価
本発明の二重特異性オリゴヌクレオチドは、その独特な構造により高い混成特異性及びミスマッチ許容性(tolerance)を示すことを特徴とし、これは、混成化厳格性(stringency)に依存する。DSオリゴヌクレオチドの高い混成特異性は、5’−と3’−部位のいずれも鋳型にアニーリングされる高い厳格条件下でなされる。その反面、DSオリゴヌクレオチドのミスマッチ許容性は、制限されない一つ以上の塩基対ミスマッチが存在するにも拘らず、5’−と3’−部位のいずれも鋳型にアニーリングされる厳格条件下でなされる。
【0148】
マウス胎盤から発現されると確認された新しい遺伝子のDEG10(Kim,Y.J.et al.,(2004)Annealing control primer system for identification of differentially expressed genes on agarose gels.BioTechniques 36:424−434;XM_129567)の3’−RACE実験により、本発明により開発されたDSオリゴヌクレオチドの二重特異性を、混成特異性とミスマッチ許容性の観点で評価した。この評価のために、両側部位の幾つかのヌクレオチドを他のヌクレオチドで置換し、ターゲット鋳型配列にミスマッチされるようにした。
【0149】
実施例で使用された5’−DEG10−特異的DSプライマーは、次のようである:
DEG10−5’−108: 5’−TGTAGTTTTGGGTTTCCTCCIIIIICTCCGATG−3’(第9配列);
DEG10−5’−103: 5’−TGTAGTTTTGGGTTTCCTCCIIIIICTGCCATC−3’(第10配列);
DEG10−5’−102: 5’−TGTAGTTTTGGGTTTCCTCCIIIIICTCCCATC−3’(第11配列);
DEG10−5’−101: 5’−TGTAGTTTTGGGTTTCCTCCIIIIICTCCCATG−3’(第12配列);
DEG10−5’−158: 5’−TGTACTTATGCGTATCGTCCIIIIICTCCGATG−3’(第13配列);
DEG10−5’−138: 5’−TGTACTTTTGCGTTTCGTCCIIIIICTCCGATG−3’(第14配列);及び
DEG10−5’−128: 5’−TGTAGTTATGGGTATCCTCCIIIIICTCCGATG−3’(第15配列)である。
ここで、置換されたヌクレオチドは、下線とボールド体で表示して、Iは、デオキシイノシンを示す。
【0150】
A.高い厳格条件下におけるPCR特異性の増加
上記説明した通り、逆転写酵素により第1次cDNA鎖を合成するために、ICRマウスの17.5−dpc(E17.5)胎盤組織から総RNAを分離及び利用した(Hwang,I.T.,et al.,(2003)Annealing control primer system for improving specificity of PCR amplification. BioTechniques 35:1180−1184)。総RNAを、次のように組成された反応容量20μlで、42℃で1.5時間逆転写反応を実施した:総RNA3μl、5×緩衝液(Promega, USA)4μl、dNTPs 5μl(それぞれ2mM)、10μM cDNA合成プライマー2μl(oligo(dT)20−Adapter)、RNase阻害剤(40units/μl,Promega)、及び逆転写酵素1μl(200 units/μl, Promega)。超精製されたHO 180μlを入れて、第1次cDNA鎖を希釈した。cDNA合成プライマーのオリゴ(dT)18 −ACP1は、5’−CTGTGAATGCTGCGACTACGATIIIII(T)18−3’であり、ここで、Iはデオキシイノシンである。
【0151】
希釈した第1次cDNA鎖2μl(30ng)、15mM MgCl(Roche)が含まれた10×PCR緩衝液2μl、dNTP(dATP, dCTP, dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)2μl、DEG10−特異的DSプライマー(10μM)1μl、オリゴ(dT)15−ACP2(10μM)1μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl; Roche)0.5μlを含む最終容量20μlでDEG10の3’−RACEを実施し;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で1分、68℃で1分、及び72℃で1分の過程を30回繰り返した後、72℃で7分間恒温処理した。オリゴ(dT)15−ACP2は、5’−CTGTGAATGCTGCGACTACGATIIIII(T)15−3’であり、ここで、Iはデオキシイノシンである。
【0152】
B.DSオリゴヌクレオチドのミスマッチ許容
DEG10の3’−RACEを実施するためのサンプルDSプライマー、鋳型及びPCR条件を実施例2Aと同一にして、アニーリング温度は異ならせた。次の条件でPCR増幅を実施した:94℃で5分、60℃で3分、及び72℃で3分の過程を1回実施;その後94℃で40秒、65℃で1分、及び72℃で40秒の過程を29回繰り返して実施、及び72℃で7分間最終伸長サイクル。
【0153】
結果的に、図6Aは、DEG10の3’−RACE実験で、DSオリゴヌクレオチドプライマーの高混成特異性を示す。5’−DEG10−特異的DSプライマー(DEG10−5’−108)は、DEG10 3’−RACEで予想した677bp産物を生成させた(レーン1)。その反面、5’部位または3’部位でミスマッチ配列を有した他のプライマー(DEG10−5’−103,DEG10−5’−102,DEG10−5’−101,DEG10−5’−158,DEG10−5’−138及びDEG10−5’−128)は、いかなる産物も生成しなかった:3’部位で3個(レーン2)、2個(レーン3)、または1個(レーン4)塩基のミスマッチ;5’部位で5個(レーン5)、3個(レーン6)、または2個(レーン7)塩基のミスマッチ。
【0154】
このような結果は、DSプライマーの二重特異性が、高い厳格条件下で3’−末端だけではなく、5’−末端でミスマッチ塩基を区別することができることを証明する。
【0155】
一般に、鋳型に完璧に相補的であるべきプライマー部位は、3’−末端であるが、その理由は、この末端がDNA重合酵素により伸長される部位であって、正確なターゲット配列にアニーリングが発生するようにする最も重要な部位であるからである。その反面、プライマーの5’−末端は、ターゲット配列にアニーリングの特異性を決定するにそれほど重要ではなく、鋳型に相補的ではない制限酵素部位(restriction site)とプロモーター配列のような追加配列を有するように変形され得る(McPherson,M.J.,Moller,S.G.(2000)PCR.BIOS Scientific Publishers,Springer−Verlag New York Berlin Heidelberg,N.Y.)。これとは対照的に、独特な構造に起因する二重特異性により現れるDSプライマーの格別な利点は、3’−末端だけではなく、5’−末端でミスマッチ塩基を区別することができるようにすることである。
【0156】
図6Bは、DSオリゴヌクレオチドのミスマッチ許容の一例をDEG10の3’−RACEで示したものである。5’−または3’−末端部位にミスマッチヌクレオチドが全くないか、幾つかあるとしても、DSプライマー(DEG10−5’−108,DEG10−5’−101,DEG10−5’−128及びDEG10−5’−138)は、DEG10 3’−RACEの予想される677bp産物を依然として生成した(レーン1,4,6及び7)。その反面、5’または3’部位にさらに多いミスマッチヌクレオチドを有する他のプライマー(DEG10−5’−103,DEG10−5’−102,DEG10−5’−158)は、如何なる産物も生成しなかった(レーン2、3及び5)。前記結果は、ミスマッチ許容を要求する多様なヌクレオチド配列の増幅にDSプライマーが利用できることを示す。
【0157】
要するに、前記結果は、DSプライマーの次のような原理を裏付ける:
1)アニーリングが5’−高T特異性部位と3’−低T特異性部位との両側部分で発生する場合でのみ、DSプライマーは、鋳型と相補的な核酸分子を合成するために伸長されて(レーン1);しかしながら、
2)アニーリングが3’−低T特異性部位ではなく、ただ5’−高T特異性部位で発生する場合は、DSプライマーは、鋳型に相補的な核酸分子を合成するために伸長されず(レーン2〜4);そして、
3)3’−低T特異性部位の配列が鋳型と完璧にマッチされる場合でさえも、高い厳格条件下では、3’−低T特異性部位のみではアニーリングが発生しない(レーン5〜7)。アニーリング部位と関連し、DSプライマーは、初期PCR段階で3’−末端部位のみがアニーリングされる場合に伸長されるアニーリング調節プライマー(ACP)と明らかに違う(Hwang,I.T.,et al.,(2003)Annealing control primer system for improving specificity of PCR amplification.BioTechniques 35:1180−1184)。
【0158】
実施例3:二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドを利用した単一塩基の区別
単一塩基区別に対するDSオリゴヌクレオチドの二重特異性を証明するために、マウス胎盤特異的ホメオボックスファミリー遺伝子であるPsx1とPsx2のcDNAsを、従来のプライマーまたはDSプライマーのいずれか一つを使用して増幅した。2つのPsx cDNAs間の全体配列相同性は、ヌクレオチド水準で91%であった(Han,Y.J.,et al.,(2000)Identification and characterization of Psx2,a novel member of the Psx(placenta−specific homeobox)family.Gene 241:149−155)。一つまたは二つの塩基差によりPsx1とPsx2が区別されるように、5’−プライマーをデザインした(図7A)。しかし、3’−プライマーは、2つのPsx cDNAsの保存された配列を有するようにデザインした。Psx1−とPsx2−特異的従来及びDSプライマー配列は次のようである:
Psx1−5’−10: 5’−AAGGAAGACATGCTGGTGATGGTGCTTCTAGCT−3’ (第16配列);
Psx2−5’−10: 5’−AAGGAAGACATGCTGGTGATGGTGCTTCTGGCC−3’ (第17配列);
Psx1−5’−11: 5’−AAGGAAGACATGCTGGTGATIIIIITTCTAGCT−3’ (第18配列);
Psx2−5’−11: 5’−AAGGAAGACATGCTGGTGATIIIIITTCTGGCC−3’ (第19配列);
Psx1−5’−40: 5’−TCTTGCACGATGGATGGGTGTGGATGAATGTGA−3’ (第20配列);
Psx2−5’−40: 5’−TCTTGCACGATGGATGGGTGTGGATGAATCTGA−3’ (第21配列);
Psx1−5’−41: 5’−TCTTGCACGATGGATGGGTGIIIIIGAAIGIGA−3’ (第22配列);
Psx2−5’−41: 5’−TCTTGCACGATGGATGGGTGIIIIIGAAICIGA−3’ (第23配列);及び
Psx−3’−2: 5’−TTCATCCACACCCATCCATCIIIIIAGATCCCT−3’ (第24配列)、
ここで、Psx1−またはPsx2−特異的ヌクレオチドは、下線とボールド体で示した。
【0159】
A.第1次cDNA鎖の合成
3’−RACEとPsx cDNAのターゲットPCRの出発物質として、実施例2で合成されたマウス胎盤の第1次cDNA鎖を使用した。
【0160】
B.Psx1−とPsx2−特異的DSプライマーを利用したPsx1とPsx2の3’RACE
希釈された1次cDNA鎖2μl(30ng)、15mM MgClを含む10×PCR緩衝溶液(Roche)2μl、dNTP(dATP, dCTP, dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)2μl、5’−Psx1−と5’−Psx2−特異的DSまたは従来プライマー(10μM)1μl 、オリゴ(dT)15−ACP2(10μM)1μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl; Roche)0.5μlを含む最終容量20μlでPsx1及びPsx2の3’−RACEを行って;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で1分、60〜65℃で1分、72℃で1分の過程を30回繰り返した後、72℃で7分間恒温処理した。
【0161】
C.Psx1−及びPsx2−特異的DSプライマーを使用したPsx1及びPsx2ターゲット核酸増幅
希釈された1次cDNA鎖2μl(30ng)、15mM MgClを含む10×PCR緩衝溶液(Roche)2μl、dNTP(dATP, dCTP, dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)2μl、5’−Psx1−または5’−Psx2−特異的DSプライマーまたは従来プライマー(10μM)1μl 、Psx−3’−2(10μM)1μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl; Roche)0.5μlを含む最終容量20μlでPsx1及びPsx2のターゲットPCR増幅を行って;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で1分、60〜65℃で1分、72℃で1分の過程を30回繰り返した後、72℃で7分間恒温処理した。
【0162】
結論的に、図7Bは、5’Psx1−またはPsx2−特異的プライマーが3’−RACEとターゲットPCRの産物を生成することを示す。2つのPsx cDNAは、3’−末端側で29bpが除去または添加され、お互い異なるため、3’−RACEにより29bp差のある産物が増幅されることを予想することができる。Psx1−またはPsx2−特異的DSプライマーであるPsx1−5’−41及びPsx2−5’−41を使用したPsx1 cDNAの3’−RACEは、それぞれ311bp(レーン1)と282bp(レーン2)と、予想の大きさと一致する単一バンドを生成した。3’−RACEにより生成された産物の配列分析を通じて、5’−Psx1−及び−Psx2−特異性プライマーは、それぞれPsx1とPsx2 cDNAを増幅したことを確認した。その反面、DSオリゴヌクレオチドの原理に従わない従来プライマー(Psx1−5’−40とPsx2−5’−40)は、2つのPsx cDNAsを区別できなかった(レーン3とレーン4)。
【0163】
前記結果は、本発明によるDSプライマーが一つの単一塩基ミスマッチを区別することができることを示す。したがって、点突然変異を同定するかまたは単一ヌクレオチド多形性(SNPs)をゲノタイピングすることにおいて、本発明のDSオリゴヌクレオチドが適用できる。
【0164】
実施例4:二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドを利用したcDNAプールで、ターゲットcDNAの直接シーケンシング
新しいcDNAを同定して分離しようとする殆どの試みは、mRNA配列の一部分だけを代表するクローンを得るような結果を招来する。一応部分配列を確認したら、転写体の残りの部分は、典型的なcDNAライブラリースクリーニングまたはRACE(cDNA末端高速増幅)のようなPCRに基づいた方法によりしばしば得るようになり、その後、その得られたcDNAをシーケンシングするようになる。したがって、現在の全ての方法は、転写体の残りの部分に対する配列情報を得るための必須段階である。もしミッシング(missing)配列情報を、ターゲット細胞から得たcDNAポピュレーションから直接得れば、このような時間消費的な必須過程を完全に回避するようになり、かつ粗生物試料(crude biological sample)からターゲットcDNA配列を直接的に決定することができる。
【0165】
胎盤の第1次cDNA鎖プールを使用して、マウス胎盤特異的ホメオボックス遺伝子であるPsxのcDNAを直接シーケンシングするために、本発明のDSオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用した。胎盤cDNAプールから胎盤特異的遺伝子cDNAを直接シーケンシングする方法と結果をここに説明した。実施例3で利用されたものと同一な5’−Psx特異的DSプライマーを使用した。これらのプライマーは、Psx 1−5’−11、Psx 2−5’−11、Psx 1−5’−41及びPsx 2−5’−41である。
【0166】
A.第1次cDNA鎖の形成
Psx cDNAsを直接シーケンシングするために、鋳型として実施例2で合成されたマウス胎盤の第1次cDNA鎖を使用した。
【0167】
B.Psx特異的DSプライマーを利用して、胎盤cDNAプールでPsx cDNAの直接シーケンシング
希釈した第1次cDNA鎖13μl(150ng)、ABI PRISM Big Dye Terminator反応混合物(Applied Biosystems,USA)2μl、5×シーケンス緩衝液(Appled Biosystems)2μl、及び5’−Psx1−または5’−Psx2−特異的DSプライマー(1μM)1.6μlを含む最終容量20μlでサイクルシーケンシング反応を実施し;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で10秒、50〜60℃で3分、及び60〜65℃で4分の過程を40〜50回繰り返した。シーケンシング産物を次のように精製した。1)3Mのアセト酸ナトリウム(pH4.6)2μlと、新鮮で且つ冷たい100%EtOH 50μlを添加、2)30分間75℃に維持、3)13,000gで15〜30分間遠心分離及び上清液の除去、4)70%EtOH 200μlで洗浄、5)13,000gで15〜30分間遠心分離及び上清液を除去及び乾燥。シーケンシング産物をABI PRISM 3100遺伝分析器で分析する直前にHiDiホルムアミド10μlでペレットを再懸濁した。
【0168】
驚くことに、Psx DSプライマーは、それらの特異的Psx cDNAsを正確にシーケンシングした。即ち、Psx1特異的DSプライマー(Psx1−5’−41)は、専らPsx1 cDNAのみをシーケンシングして、Psx2特異的DSプライマー(Psx2−5’−41)は、専らPsx2 cDNAのみをシーケンシングした(図8)。Psx2における29bp欠損地域がブラックバーで表示された。その反面、DSオリゴヌクレオチドの原理に従わない従来プライマー(Psx1−5’−40及びPsx2−5’−40)は、2つのPsx cDNAsを区別できなかった。
【0169】
このような結果は、DSプライマーがPCR増幅でのみならず、サイクルシーケンシングでも単一塩基ミスマッチを区別することができることを示す。
【0170】
実施例5:DSオリゴヌクレオチドを利用したマルチプレックス(multiplex)PCR
マルチプレックスPCRにおいて、DSオリゴヌクレオチドプライマーの応用を証明するために、9個の異なるサイトカインファミリー遺伝子をDSプライマーで増幅した。DSプライマーを利用したマルチプレックスPCR増幅の方法及び結果をここに説明した。各サイトカイン遺伝子の最も長いエキソン配列を利用して、50bpラダー(ladder)を生成するようにサイトカインファミリー遺伝子特異的DSプライマーをデザインした。
【0171】
実施例で使用されたIL−3に対するDSプライマーは、次のようである(200bp):
IL3−5’ 5’−GCTGCCAGGGGTCTTCATTCIIIIICTGGATGA−3’ (第25配列);及び
IL3−3’ 5’−GGCCATGAGGAACATTCAGAIIIIIGGTGCTCT−3’ (第26配列)。
実施例で使用されたIL−15に対するDSプライマーは、次のようである(250bp):
IL15−5’ 5’−ATGTAGCAGAATCTGGCTGCIIIIIATGTGAGG−3’ (第27配列); 及び
IL15−3’ 5’−ATGTGATCCAAGTGGCTCATIIIIICCTTGTTAGG−3’ (第28配列)。
実施例で使用されたIL−18に対するDSプライマーは、次のようである(300bp):
IL18−5’ 5’−AGGAAATGGATCCACCTGAAIIIIITGATGATATA−3’ (第29配列); 及び
IL18−3’ 5’−ATGGAAATACAGGCGAGGTCIIIIIAAGGCGCA−3’ (第30配列)。
実施例で使用されたIL−25に対するDSプライマーは、次のようである(350bp):
IL25−5’ 5’−AGCTCTCCAAGCTGGTGATCIIIIICAAGGCGG−3’ (第31配列) ; 及び
IL25−3’ 5’−GAGCTGCCCTGGATGGGGTTIIIIIGTGGTCCT−3’ (第32配列)。
実施例で使用されたIL−2に対するDSプライマーは、次のようである(400bp):
IL2−5’ 5’−CTCTGACAACACATTTGAGTGCIIIIICGATGATGAG−3’ (第33配列); 及び
IL2−3’ 5’−GTGCTGTCCTAAAAATGACAGAIIIIIGAGCTTATTT−3’ (第34配列)。
実施例で使用されたIL−6に対するDSプライマーは、次のようである(450bp):
IL6−5’ 5’−CCAATGCTCTCCTAACAGATAAIIIIIAGTCACAGAA−3’ (第35配列); 及び
IL6−3’ 5’−AGGTAAACTTATACATTCCAAGAAAIIIIITGGCTAGG−3’ (第36配列)。
実施例で使用されたIL−19に対するDSプライマーは、次のようである(500bp):
IL19−5’ 5’−GTCTCATCTGCTGCCCTTAAIIIIITAGGAGAACT−3’ (第5配列); 及び
IL19−3’ 5’−CATAGGCCTGGAAGAAGCCGIIIIICAATAAGTTAG−3’ (第6配列)。
実施例で使用されたIL−1ベータに対するDSプライマーは、次のようである(550bp):
IL1b−5’ 5’−GGAGAGTGTGGATCCCAAGCIIIIICCAAAGAAG−3’ (第7配列); 及び
IL1b−3’ 5’−AGACCTCAGTGCAGGCTATGIIIIITTCATCCC−3’ (第8配列)。
実施例で使用されたIL−10に対するDSプライマーは、次のようである(600bp):
IL10−5’ 5’−AAGGCCATGAATGAATTTGAIIIIITCATCAACTG−3’ (第37配列); 及び
IL10−3’ 5’−TGACAGTAGGGGAACCCTCTIIIIIGCTGCAGG−3’ (第38配列)。
【0172】
A.サイトカインファミリー遺伝子特異的DSプライマー1セットを利用したモノプレックス(monoplex)PCR
マウスゲノムDNA2μl(50ng)、15mM MgClを含む10×PCR緩衝液(Roche)2μl、dNTP(dATP,dCTP,dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)2μl、各サイトカインファミリー遺伝子特異的5’DSプライマー(10μM)1μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl;Roche)0.5μlを含む最終容量20μlで、それぞれのサイトカインファミリー遺伝子に対する単一ターゲットPCR増幅を行って;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で1分、60〜65℃で1分、72℃で1分の過程を30回繰り返した後、72℃で7分間恒温処理した。
【0173】
B.サイトカインファミリー遺伝子特異的DSプライマー9セットを利用したマルチプレックスPCR
サイトカインファミリー遺伝子特異的DSプライマー9セットを利用して単一のチューブでマルチプレックスPCR増幅を実施し:マウスゲノムDNA 100ng、15mM MgClを含む10×PCR緩衝液(Roche)5μl、dNTP(dATP, dCTP, dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)5μl、各サイトカインファミリー遺伝子特異的5’DSプライマー(0.2〜5μM)1μl、各サイトカインファミリー遺伝子特異的3’DSプライマー(0.2〜5μM)1μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl; Roche)0.5μlを含む最終容量50μlで反応混合物を製造し;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;PCR条件は、94℃で5分、50℃で3分、及び72℃で3分の過程を1回行った後;94℃で40秒、60℃で1分、及び72℃で40秒の過程を29回繰り返し、72℃で5分間最終伸長サイクル。
【0174】
図9から分かるように、マルチプレックスPCR増幅は、9個の異なるサイトカイン遺伝子産物に対し、200bpから600pbまで、予想大きさと一致する多様なバンドを生成する(図4、レーン1)。各モノプレックスPCR増幅は、IL−3場合の200bp(図4、レーン2)、IL−15場合の250bp(図4、レーン3)、IL−18場合の300bp(図4、レーン4)、IL−25の場合の350bp(図4、レーン5)、IL−2の場合の400bp(図4、レーン6)、IL−6の場合の450bp(図4、レーン7)、IL−19場合の500bp(図4、レーン8)、IL−1ベータの場合の550bp(図4、レーン9)、及びIL−10場合の600bp(図4、レーン10)と、それぞれ予想大きさと一致する単一バンドを生成した。
【0175】
したがって、本発明により開発されたDSプライマーを、マルチプレックスPCRに成功的に適用することができることが分かる。DSオリゴヌクレオチドの独特な構造は、従来のマルチプレックスPCRが有している一般的な問題、即ち、プライマー干渉及びダイマー(dimer)形成の問題を解決する。
【0176】
実施例6:二重特異性(DS)オリゴヌクレオチドのミスマッチ許容(tolerance)を利用したヒトメタニューモウイルス(metapneumovirus)の検出
ミスマッチ許容において、DSオリゴヌクレオチドプライマーの応用を証明するために、診断試料内のヒトメタニューモウイルス(hMPV)を検出するために、DSプライマーを利用した。DSプライマーを利用してヒトメタニューモウイルスを検出する方法と結果をここに説明した。本実施例は、特定の一つのウイルスを検出するに本発明の適用が限定されるように解釈されてはならない。
【0177】
全てのhMPV分離物の配列を整列して得た融合糖蛋白質(F)遺伝子の保存地域を基にして、DSプライマーをデザインした(表1参照)。この分離物の遺伝的多様性を許容するために、プライマーを次の基準に従ってデザインした:(a)保存地域は、一つ以上のミスマッチ塩基対が存在するとしても、少なくとも30ヌクレオチドとなるようにして(表1);(b)保存地域でミスマッチが最も比率で現れる配列は、好ましくはDSプライマーの分割部位に位置するようにして(例えば、hMPV 5’−585,hMPV 3’−698,及びhMPV 3’−1007);(c)そうでなければ、ミスマッチヌクレオチドを5’−末端部位に位置するようにして、この中、幾つかはデオキシイノシンのようなユニバーサル塩基で代替可能であり(例えば、hMPV 3’−698及びhMPV 3’−1007);(d)3’−末端部位でミスマッチされた一つまたは二つのヌクレオチドを縮退性(degenerate)塩基やユニバーサル塩基で代替することができる(例えば、hMPV 3’−1007)。
【0178】
【表1】

*hMPV分離物間の遺伝的変異は、下線を引いたヌクレオチドで表示された。
【0179】
実施例で使用されたhMPV F遺伝子に特異的なDSプライマーは、次のようである:
hMPV 5’−585 5’−AGCTTCAGTCAATTCAACAGAAIIIIICTAAATGTTG−3’ (第39配列);
hMPV 3’−698 5’−AACATCAITTTTATITGTCCTGCAIIIIITGGCATGT−3’ (第40配列);及び
hMPV 3’−1007 5’−TTGAITGCTCAGCIACATTGATIIIIICWGCTGTGTC−3’ (第41配列)。
ここで、Wは、AまたはTであり、Iは、デオキシイノシンである。
【0180】
製造会社のプロトコールにしたがって、RNAzol B方法を利用し、ウイルス総RNAを抽出した(RNAzol LS;Tel−Test,Inc)。次のように組成された20μlの反応容量で、ウイルスRNAを使用し、42℃で1.5時間cDNAを合成するように逆転写反応を行った:総RNA5μl(約100ng)、5×緩衝液4μl(Invitrogen,USA)、dNTPs(各5mM)5μl、10μMランダムヘキサデオキシヌクレオチド2μl、RNAase阻害剤0.5μl(40units/μl,Promega)、及びモロニーマウス白血病(Moloney murine leukemia)ウイルス逆転写酵素1μl(200units/μl,Promega)。
【0181】
第1次cDNA鎖2μl(30ng)、15mM MgClを含む10×PCR緩衝液(Roche)2μl、dNTP(dATP,dCTP,dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)2μl、5’hMPV−特異的DSプライマー(hMPV 5’−585;10μM)1μl、3’−hMPV−特異的DSプライマー(hMPV 3’−698またはhMPV 3’−1007;10 μM)1μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl;Roche)0.5μlを含む最終容量20μlでhMPV F遺伝子のターゲットPCR増幅を行って;反応混合物を含むチューブを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置して;サンプルを94℃で5分間変性させて、94℃で1分、60〜65℃で1分、72℃で1分の過程を30回繰り返した後、72℃で7分間恒温処理した。
【0182】
図10Bから分かるように、hMPV−特異的DSプライマーの各対(hMPV 5’−585及びhMPV 3’−698、そしてhMPV 5’−585及びhMPV 3’−1007)は、それぞれ予想大きさである150bpと459bpに相応する単一バンドを生成する(レーン1及びレーン2)。その後、産物の配列分析で、前記増幅産物は、hMPV融合糖蛋白質(F)遺伝子の部分配列であることを確認した。その反面、前記プライマーは、鋳型のないネガティブコントロールPCRでは、如何なる産物も生成しなかった(レーン4及びレーン5)。ポジティブコントロールとして、ヒトベータアクチン特異的プライマーセットを使用した(レーン3)。
【0183】
このような結果は、呼吸器疾患を有した患者からhMPVsを検出する時に、DSプライマーが適用できることを示す。したがって、診断分野で直面する全ての状況に対し、本発明のDSオリゴヌクレオチドは、PCR増幅のプライマー、またはオリゴヌクレオチドチップではてプローブとして利用できることが分かる。
【0184】
実施例7:DSオリゴ固定マイクロアレイ(Oligo−Immobilized Microarray)を利用したターゲットヌクレオチドの検出
DNA合成機(Expedite 8900 Nucleic Acid Synthesis System, Applied Biosystems (ABI))を利用して、標準プロトコールにしたがって、ターゲット核酸分子の一領域に相補的なDSオリゴを合成する。マイクロアレイのために、ガラススライドに、合成されたDSオリゴを固定する。その後、DNA試料50〜200ng、10×PCR緩衝液(Promega)5μl、15mM MgCl5μl、蛍光標識されたdNTP(dATP,dCTP,dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)5μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl;Promega)0.5μlを含む鋳型依存性伸長反応混合物をマイクロアレイに添加して、その後、マイクロアレイを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置する。鋳型依存性伸長反応は、次の熱サイクルに従って実施する:94℃で5分間変性させた後、94℃で1分、50〜65℃で1〜3分、及び60〜72℃で1〜4分の過程を15〜50回繰り返した後、72℃で5分間伸長。鋳型依存性伸長反応後、伸長されたDSオリゴを洗浄し、マイクロアレイスキャナーで得た蛍光イメージを通じてオリゴを検出した後、そのイメージ分析を行う。
【0185】
実施例8:DSオリゴヌクレオチドを利用した単一ヌクレオチド多形性(SNPs)ゲノタイピング(genotyping)
DNA合成機(Expedite 8900 Nucleic Acid Synthesis System, Applied Biosystems (ABI))を利用して、標準プロトコールにしたがって、3’−低T特異性部位の中央に多形性塩基(疑問位置)が位置したDSオリゴを合成する。マイクロアレイを行うために、合成されたオリゴヌクレオチドをガラススライドに固定する。その後、DNA試料50〜200ng、10×PCR緩衝液(Promega)5μl、15mM MgCl5μl、蛍光標識されたdNTP(dATP,dCTP,dGTP及びdTTPそれぞれ2mM)5μl、及びTaq重合酵素(5unit/μl;Promega)0.5μlを含む鋳型依存性伸長反応混合物をマイクロアレイに添加して、その後、マイクロアレイを、予熱された(94℃)熱サイクラーに載置する。鋳型依存性伸長反応は、次の熱サイクルに従って実施する:94℃で5分間変性させた後、94℃で1分、50〜65℃で1〜3分、及び60〜72℃で1〜4分の過程を15〜50回繰り返した後、72℃で5分間伸長。鋳型依存性伸長反応後、伸長されたDSオリゴを洗浄し、マイクロアレイスキャナーで得た蛍光イメージを通じてオリゴを検出した後、そのイメージ分析を行う。
【0186】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1で示されアニーリング特異性を増加させる2つの二重特異性オリゴヌクレオチドを含むプライマーセットを利用し、プライマーアニーリング、プライマー伸長、及び変性過程を、少なくとも2サイクル実施し、ターゲット核酸配列を増幅させる段階を含むことを特徴とする、DNA又は核酸混合物においてターゲット核酸配列を選択的に増幅する方法。
[式1]
5’−X−Y−Z−3’
は、アニーリングされる鋳型核酸配列の1位置に対し、相補的にアニーリングするヌクレオチド配列を有する5’−高T特異性部位を示し、Yは、少なくとも3つのユニバーサル塩基を含む分割部位を示し、Zは、前記鋳型核酸配列の1位置に対し、相補的にアニーリングするヌクレオチド配列を有する3’−低T特異性部位を示し、p、q、及びrは、ヌクレオチドの個数であり、前記pは15乃至40の整数であり、前記qは少なくとも3の整数であり、rは3乃至15の整数であり、X、Y、及びZは、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドであり、前記5’−高T特異性部位のTは、前記3’−低T特異性部位のTより高く、前記分割部位は、3つの部位のうち、最も低いTを有し、前記5’−高T特異性部位は、前記3’−低T特異性部位より長さが長く、前記分割部位は、前記5’−高T特異性部位と前記3’−低T特異性部位が前記鋳型核酸配列にアニーリングされる条件下で、非塩基対構造を形成し、前記鋳型核酸配列に対するアニーリング特異性の観点において、前記5’−高T特異性部位が前記3’−低T特異性部位から分離されるようにして、前記二重特異性オリゴヌクレオチドのアニーリング特異性は、前記5’−高T特異性部位及び前記3’−低T特異性部位の両方ともにより決定され、前記二重特異性オリゴヌクレオチドの全体アニーリング特異性が増加され、
前記増幅させる段階中のアニーリングが、前記3’−低T特異性部位のみでアニーリングが起こらない条件下で行われ、前記増幅させる段階の1サイクル目及び2サイクル目が、前記二重特異性オリゴヌクレオチドの前記5’−高T特異性部位と前記3’−低T特異性部位の前記ターゲット核酸配列へのアニーリングを引き起こす。
【請求項2】
アニーリングが、45℃〜68℃の温度で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分割部位の前記ユニバーサル塩基が、デオキシイノシン、イノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、2’−OMeイノシン、2’−Fイノシン、デオキシ3−ニトロピロール、3−ニトロピロール、2’−OMe3−ニトロピロール、2’−F3−ニトロピロール、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、デオキシ5−ニトロインドール、5−ニトロインドール、2’−OMe5−ニトロインドール、2’−F5−ニトロインドール、デオキシ4−ニトロベンズイミダゾール、4−ニトロベンズイミダゾール、デオキシ4−アミノベンズイミダゾール、4−アミノベンズイミダゾール、デオキシネブラリン、2’−Fネブラリン、2’−F4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−5−イントロインドール、PNA−ネブラリン、PNA−イノシン、PNA−4−ニトロベンズイミダゾール、PNA−3−ニトロピロール、モルフォリノ−5−ニトロインドール、モルフォリノ−ネブラリン、モルフォリノ−イノシン、モルフォリノ−4−ニトロベンズイミダゾール、モルフォリノ−3−ニトロピロール、ホスホルアミデート−5−ニトロインドール、ホスホルアミデート−ネブラリン、ホスホルアミデート−イノシン、ホスホルアミデート−4−ニトロベンズイミダゾール、ホスホルアミデート−3−ニトロピロール、2’−O−メトキシエチルイノシン、2’−O−メトキシエチルネブラリン、2’−O−メトキシエチル5−ニトロインドール、2’−O−メトキシエチル4−ニトロ−ベンズイミダゾール、2’−O−メトキシエチル3−ニトロピロール、及び前記塩基の組み合せからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ユニバーサル塩基が、デオキシイノシン、1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−3−ニトロピロール、又は5−ニトロインドールである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ユニバーサル塩基が、デオキシイノシンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
3’−低T特異性部位は、アニーリングされる鋳型核酸の前記位置に対し、完璧に相補的にアニーリングするヌクレオチド配列を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
pが、15乃至25の整数である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
qが、3乃至10の整数である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
pが、15乃至25の整数であり、qが、3乃至10の整数であり、rが、3乃至15の整数である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
5’−高T特異性部位のTが、40℃〜80℃である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
3’−低T特異性部位のTが、10℃〜40℃である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
分割部位のTが、3℃〜15℃である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ターゲット核酸配列が、2以上のターゲット核酸配列を含み、プライマーセットが、2以上のプライマーセットを含み、マルチプレックス増幅に用いられる請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−65655(P2012−65655A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222941(P2011−222941)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2007−557937(P2007−557937)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(507292955)
【Fターム(参考)】