説明

五ホウ酸ナトリウム五水和物(NaB5O8・5H2O)の合成の改良、これを含有する医薬組成物及びその使用

本発明は、五ホウ酸ナトリウム五水和物(NaB58・5H2O)の改良された合成法に関する。該方法は四ホウ酸二ナトリウム十水和物(DTBD、ホウ砂)とオルトホウ酸(OBA、ホウ酸)とを反応させることにある。工程は、5日未満で実施され、菌株を必要としない。本発明は、この方法により得られた生成物にも言及し、この生成物により、細菌及びウイルスが原因の疾病において免疫系を強化することを意図とする。これを含む医薬組成物及びこれらの疾病の治療におけるその使用にも言及する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホウ素及びナトリウムの環状化合物を合成する改良された工程、これを含有する化合物及び化合物の新規使用を開示し、これは、哺乳類における免疫調節効果に関係する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV−1)が、AIDSを引き起こす作用因子であることは、一般に容認されている。最初のAIDSの症例が、疾病管理センター(CDC)で1981年に報告されて以来、10000を上回る症例が米国で報告されてきた。これらの患者のうち50%を超える患者が既に死亡している。推定に基づき、100万から200万人までのアメリカ人が、今日HIVに感染し、現在は無症候ではあるものの、その20〜30%は、5年以内に発症し、2008年までには、症状のある患者がほぼ1300000人存在し、そのうちの約10000人が子供であろう。この疾病のウイルスの性質によりHIV−1阻害剤の研究が推進された。ウイルス複製サイクルへの阻害効果により、これらの阻害剤は、疾病の進行を妨げ、患者の回復をできるかぎり促進することが期待できる。HIVは免疫系の弱体化を引き起こすので、この取り組みのほかに、幾つかの免疫調節薬が研究された。抗ウイルス免疫応答を増進できる薬剤がウイルスの撲滅を支援するであろうと、考察することができる。
【0003】
誘発されたHIV−1疾患に対する抗ウイルス療法の有効性は、スラミン(有効なレトロウイルス阻害剤)が、逆転写酵素と共同して、インビボ及びインビトロでHIV−1複製を抑制することを示す際に明白であった。それにもかかわらず、薬物の毒性のために治療を終了せねばならなかったので、6週間の治療期間後に臨床的又は免疫学的改善は見られなかった。より長期の(37週間)治療は、臨床的又は免疫学的改善を生じなかった。
【0004】
以下の研究化合物は、AZT(3’−アジド−2’,3’−ジデオキシチミジン)であり、これは、スラミンで観察される場合より著しく低い濃度で、著しく高い阻害レベルでHIV−1を阻害した。AIDS及びAIDS関連症候群(ARC)の両方の患者への6週間にわたるAZT治療は、臨床的及び免疫学的改善を生じ、24週間の治療期間中の日和見疾患(opportunist diseases)の頻度の減少及び死亡率の減少も生じた。レトロビル(Retrovir)又はジドブジン(Zidovudine)としても知られているAZTは、FDAにより認可された、この疾病治療の唯一の薬物である。24週間までの間に治療を受けたAIDS又はARC患者の一部にとり、AZTは効果があるという事実にもかかわらず、薬物の薬効は、6ヶ月の期間の間に下降する。
【0005】
実際の臨床アッセイで有効のように思われる新規薬物は、DDC(2’,3’−ジデオキシシチジン)、DDI(2’,3’−ジデオキシイノシン)及びDDA(2’,3’−ジデオキシアデノシン)を含む。これら3つのうちで、DDIは、毒性を全く示さないか又は低い毒性を示し、著しい臨床的又は免疫学的改善を引き起こした。
【0006】
免疫系が破壊されると直ちに、抗ウイルス療法と免疫応答調節剤、例えばインターフェロン(HuIFN−α、−β又は−γ)又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、との併用が保証され得る。通常、免疫調節薬は、抗ウイルス剤と一緒に投与される。例えば、GM−CSFは、HIV−1での単球産生を高めるが、AZTと併用すると、完全なAZT抗ウイルス活性を高めることが示された。
【0007】
今日まで、他のウイルス性又は細菌性疾患の治療に関して、五ホウ酸ナトリウム五水和物(NaB58・5H2O)の使用は開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
1.技術水準に記載されるより迅速な製造方法により免疫調節薬を提供すること。
2.免疫系を強化する物質を合成する迅速な方法を提供すること。
3.AIDSを含むウイルスが関与する特定の疾病で、免疫系を強化し、高めるために免疫調節薬を使用することを提案すること。
4.ウイルスが関与する幾つかの疾病の治療への本発明の免疫調節薬の使用すること。
5.幾つかの細菌性疾患で、免疫系を強化し、高めるために免疫調節薬を使用することを提案すること。
6.細菌が関与する幾つかの疾病の治療への本発明の免疫調節薬の使用すること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、国際出願番号PCT/US90/06331、国際公開番号WO 91/06304(Dressman et al.)でのPCT出願で公開された発明の改良である。前記出願は、環状五ホウ酸塩の合成、該化合物及びその医学的適用に関する。五ホウ酸塩から誘導された幾つかの化学化合物に言及し、その適用は、AIDSの治療のみを対象とした。
【0010】
前記出願は、8段階からなる非常に大規模な工程を請求し、かつ後にヒト免疫不全症候群の治療に使用される五ホウ酸塩誘導体を得るのに約40日間の作業日を要した。
【0011】
本発明は、細菌及びウイルスが原因の疾病の治療の間、免疫系を強化することを目的とする単一生成物を得るのに5日も要しない方法にある。本発明は、前記出願の前記発明の改良として考えられる、この生成物を得る方法及び新規用途に関する。
【0012】
下記合成法は、五ホウ酸ナトリウム五水和物(今からはPSPと呼ぶ)を得るのに使用される。この方法では、前記化合物を5日未満で得ることができるが、他方、親出願PCT/US90/06331の合成法によると、少なくとも40日を要する。
【0013】
この合成法で使用される原料は、四ホウ酸二ナトリウム十水和物(ホウ砂又はDTBD)、オルトホウ酸(OBA、ホウ酸)及び精製水であり、前の2つは両方ともU.S.Boraxにより提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
四ホウ酸二ナトリウム十水和物アッセイ
参考文献:U.S.Pharmacopoeia XXII/NF XVII
目的:本明細書中に記載のPSPを得るための方法における原料としての四ホウ酸二ナトリウム十水和物(DTBD)の純度の測定。
原理:水溶液中のDTBDに、標準塩酸を用いて、メチルレッドの終点までの滴定を行う。
装置:
50mlビュレット
撹拌棒付き磁気アジテーター
250mLビーカー
mg精度の分析秤
化学薬品:
水酸化ナトリウム標準に対して標定された0.5N塩酸(HCl)
メチルレッド指示薬の0.1%メタノール溶液
【0015】
手順:
1.DTBDサンプル約3.0gをできるだけmgの単位まで精確に計量。重量を記録。このサンプルを撹拌棒の付いた250mLビーカー中の精製水50mLに添加し、飽和溶液を得るために10〜15分間、マグネティックスターラー上で撹拌する。メチルレッド指示薬溶液5滴を添加。標定済みHCl 0.5Nで滴定。溶液のpHを終点(pH4.8)より上に保持しながら、できるだけ迅速に滴下させることにより、滴定溶液の最初の30mLを添加。どの残留ナトリウムDTBD結晶も溶解させる。滴定剤を終点までゆっくりと滴下させる。要したHCl 0.5Nの全容積を記録。
2.DTBDサンプル3.0gを更に2つ用いて、ステップ1を繰り返す。全ての結果を記録。
【0016】
原料としての四ホウ酸二ナトリウム十水和物Na247・10H2O(DTBD)についてのアッセイの検証
装置:
25mL Kimax(登録商標)Schellbach Automatic Burette,Kimble 17170F
Mettlerの分析秤、モデルH54
Cole−Palmerのスターラー/ホットプレート、モデル4658
化学薬品:以下の化学薬品を使用した(商標及び規格を示す)。
四ホウ酸二ナトリウム十水和物、EM Suprapur(登録商標)No.6309−1、バッチ9118
水酸化ナトリウム0.5N、VWRにより1N溶液から調製、Biotech Resourcess Inc.(BTR)によるバッチ90072601
塩酸0.5N、RICAAの2N溶液から調製、BTRのバッチNo.90060601
フタル酸水素カリウム(KHP)、Baker分析グレード、標準アシジメトリーNo.2958−01、バッチD18084
メチルレッド、ナトリウム塩、Baker分析グレード、No.R086−02、バッチD14708
水は、18メガオーム−cmを上回る比抵抗を用いて、Continental Water Systems Modulab unitから得た。
【0017】
手順:水酸化ナトリウムを、フタル酸水素カリウムアリコート3.000gを使用して、3回(tripticate)標定し、115度で1時間オーブン乾燥させ、使用するまでデシケーター中に保管した。
塩酸は、標定済みNaOH 0.5Nの10mLアリコートを使用して、3回標定した。
滴定は、他に記載がない場合は、測定ごとにサンプル(Suprapur(登録商標))3.000gを使用して、3回遂行した。
【0018】
計算:
【数1】

滴定されたDTBD重量=DTBDeqs.×DTBDeq.重量
Eqs.=当量(複数)
Eq.=当量
DTBD当量(複数)=(mL HCl)(N HCl)/1000
【数2】

HCl 0.5Nの各mLは、95.34mgのNa247・10H2Oに相当するので、等式は、以下のように表すことができる。
【数3】

無水DTBD、例えばSuprapur(登録商標)については、
【数4】

である。DTBD純度は、99.0〜105.0%であるにちがいない。
結果:以下のデータが、実験室で得られた現実の結果であり、例として記載される。
【0019】
A.酸−塩基標定
1.NaOH 0.5N、バッチ90072601;3gのKHP 0.5Nによる滴定5回(5×)
2.HCl 0.5N、バッチ90060601;NaOH 0.5N、バッチNo.90072601、による滴定;NaOHの規定度、0.501、0.500、0.502;平均0.501N
B.精度は、無水DTBD EM Suprapur(登録商標)で確認された。
【0020】
例6:DTBDサンプル4つを、3.000gに最大限正確に計量した。各サンプルの純度は、前記の方法により、前記の等式を用いて計算した。
【表1】

記:最後の2つの測定は、サンプルが不十分なため、3.00g未満であった。
【0021】
同様にして、3つのサンプルの各純度を、本発明でPSPを得る方法に原料として使用する前に、種々のDTBDバッチから計算した。結果は表1にまとめた。
【表2】

【0022】
オルトホウ酸アッセイ
参考文献:U.S.PHARMACOPOEIA XXII/National Formulary XVII,p.1906
目的:PSPの製造に使用する予定のオルトホウ酸の純度の測定。
原理:サンプルを、グリセロールの存在下で、標準水酸化ナトリウムで滴定する。グリセロールは、オルトホウ酸と錯体を形成して、これをより可溶性にし、終点を上昇させ、精度を改善する。
装置:
250mLビーカー
マグネティックスターラー及び撹拌子
50mlビュレット
パスツールピペット
分析秤(mg精度)
化学薬品:
標準1N水酸化ナトリウム溶液(NaOH 1N)
グリセロール
0.1N水酸化ナトリウム溶液(0.1NのNaOH)
指示薬としての1%フェノールフタレインアルコール溶液
【0023】
手順:
1.250mLフラスコ中で、グリセロール50mL及び脱イオン水50mLを、撹拌子を使用して、マグネティックスターラー上で注意深く混合する。指示薬としてフェノールフタレイン溶液を5滴添加する。0.1NのNaOH数滴を添加して、pHを「フェノールフタレイン終点」に調整し、滴定に要した液滴数を記録する。グリセロールを中和させる際に最も重要な因子は、精度よりも粘稠度である。0.1NのNaOHほんの数滴(1〜3)を要した。この値は、所定のグリセロール値について一定である。
2.サンプルから、mgの精度で約2.0gのオルトホウ酸を計量する。重量を記録。このサンプルを50%グリセロール水サンプルに添加し、1Nの標準NaOHで滴定を開始する。オルトホウ酸の溶解を促進するため、30mLのNaOHを添加する。全てのオルトホウ酸が完全に溶解するまで撹拌する。15分未満である。フェノールフタレイン終点に到達するまで滴定を続ける。要した1Nの標準NaOHの容積を、0.01mLまで精確に記録する。100%純粋のオルトホウ酸2.000gの滴定のために、32.35mLの1Nの標準NaOHを要する。
3.オルトホウ酸の錯体形成を行うために、更に50mLのグリセロールを添加する。ステップ3で記録された、グリセロールを中和させるのに必要な液滴数の0.1NのNaOHを添加する。1Nの標準NaOHを用いる滴定を続ける。要した滴定溶液の最終容積を0.01mlまでの精度で記録する。
4.ステップ3から5までをオルトホウ酸の2.0gサンプルを更に2つ使用して繰り返す。得られた結果全てを記録する。
オルトホウ酸は、99.5〜100.5%の純度であるにちがいない。
【0024】
原料としてのオルトホウ酸のアッセイについての検証
装置:
50−mL ビュレット クラスB Kimax
Mettlerの分析秤、モデルH54
Cole−Palmerのスターラー/ホットプレート、モデル4658
化学薬品:以下の化学薬品を使用した(商標及び規格を示す)。
オルトホウ酸、EM Suprapur(登録商標)No.765−1、バッチNo.9249、
1.0N水酸化ナトリウム、RICCA社製、No.7450、バッチNo.B071、BTRにより調製されたバッチ01382
フタル酸水素カリウム、Baker、分析グレード、標準アシジメトリーNo.2958−01、バッチNo.D18084
フェノールフタレイン、EM Science No.PX 0525−1、バッチNo.9142、エタノール中1%溶液
グリセロール、Baker分析グレードNo.M778−09、バッチC33610
水は、18メガオーム−cmを上回る比抵抗を用いて、Continental Water Systems Modulab unitから得た。
【0025】
手順:水酸化ナトリウムは、フタル酸水素カリウム6.000g量に対し、3回、標定し、115度で1時間オーブン乾燥させ、使用するまでデシケーター中に保管した。滴定は、測定により、サンプル2.000gを使用して3回実行した。
【0026】
計算:
【数5】

滴定されたオルトホウ酸の重量=オルトホウ酸の当量(複数)×オルトホウ酸の当量の重量
オルトホウ酸の当量(複数)=(mL NaOH)(N NaOH)/1000
Eqs.=当量(複数)
Eq.=当量
純度計算のために、等式中に置き換える
【数6】

1NのNaOHの各mLは、オルトホウ酸(H3BO3)の61.83mgに相当するので、等式は、以下のように記述することができる。
【数7】

オルトホウ酸純度は、99.5〜99.8%であるにちがいない。
結果:以下のデータが、実験室で得られた現実の結果であり、例として提出される。
【0027】
A.水酸化ナトリウム標定
1NのNaOH、バッチ01382、を使用して、6g量のフタル酸水素カリウム6つを滴定した(3×):1.007N
B.オルトホウ酸バッチ9249の精度は、EM Suprapur(登録商標)で実証された。
【0028】
例1:3つのオルトホウ酸サンプルを、2.000gなるべく正確に計量した。各サンプルの純度を前記の方法により、前記の等式を用いて計算した。
【表3】

【0029】
同様にして、3つのサンプルの各純度を、本発明でPSPを得る方法に原料として使用する前に、異なるオルトホウ酸バッチから計算した。結果は表2に示す。
【表4】

【0030】
実験室で生成物1kgを得る場合の、五ホウ酸ナトリウム五水和物(PSP)(NaB58・5H2O)の合成法
装置
ハンドル付き3000mLビーカー
108×38mmテフロン(登録商標)製浮遊型撹拌子、Nalgene(商標)
秤、Ohaus GT4000
秤量皿(2)
200mLガラス製メスシリンダー
ホットプレートスターラー、Corning PC520(2)
プラスチック容器、1/3−カップ容量(2)
温度計(−20〜150℃)
組み合わせ電極を備えるCorning pH計 220
24cmブフナー漏斗
ゲージ付き真空ボンベ
4L Kitasato
Whatmanろ紙No.41、24cm
Whatmanろ紙No.1、24cm
5Lプラスチック容器、Rubbermaid
プラスチック撹拌棒
プラスチックスパーテル
水浴、プラスチック容器
1000mL広口瓶、Nalgene PMP、ねじ蓋(2)付き
125mL細口瓶、Nalgene、ねじ蓋付き
ガラス繊維製盆、MFG
化学薬品:
四ホウ酸二ナトリウム十水和物(DTBD、ホウ砂)、U.S.Borax,NF
オルトホウ酸(OBA、ホウ酸)、U.S.Borax,NF
精製水
【0031】
手順:
I.容器の準備
A.300mLパイレックス(登録商標)ビーカーにラベルをつける。
B.108×38mm撹拌棒を内部に挿入する。
II.計量手順
A.計算量の四ホウ酸二ナトリウム十水和物(DTBD)を風袋測定済みの秤量容器中で計量した(純度100%のほぼ700.0gに相当)。
B.オルトホウ酸を風袋測定済みの秤量容器中で、純度100%オルトホウ酸のほぼ680.0gに相当するように、計量した。
III.溶液の調製
A.精製水ほぼ1600mLを反応ビーカー中に添加する。
B.Cole−Palmer モデル4658のホットプレートスターラーを加熱レベル5に設定し、水を加熱し、時々温度計で温度をチェックする。
C.温度が57〜59℃に達したならば、加熱レベルを4に下げる。200RPMでゆっくり撹拌しながら、計量されたDTBDとOBAを交互に添加する。即ち、最初にDTBD分、次いでOBA分を、それぞれ約50g添加し、もう一度DTBD分を、というように、全ての化学薬品が完全に添加されるまで続け、次の部分の添加前に、先に添加された部分が完全に溶解しているようにし、その間、撹拌子の動きを停止させない。全ての化学薬品をほぼ12分で添加する。
D.化学薬品が完全に溶解するまで混合する。温度は、61℃を超えないようにする。温度が約55℃に達した時に、加熱レベルをレベル3に下げるならば、最良の制御である。熱溶液のpHを測定し、記録する。pHは、6.42であるにちがいない。ホットプレートからはずし、pHを再度測定すると、6.37であるにちがいない。容器中で冷却されるままにする。pHは、約6.20である。
VI.調製の完了
A.冷却の間、またpHが約6.20の時に、熱溶液を、5〜10cmHg真空下に、24cmブフナー漏斗でWhatmanろ紙No.41を通して濾過する。撹拌子を外し、精製水で洗浄する。
B.5Lプラスチック容器に、濾液を撹拌子と一緒に移す。結晶形成を促進するために、150RPMで撹拌しながら、溶液が33〜34℃に冷却されるままにする。これは、任意の公知の方法で行われるが、冷却法が好ましい。容器を約21℃の水浴内に移し、150RPMで撹拌し続ける。温度が25〜27℃の時に、氷を水浴に添加して、温度を10〜12℃に下げ、ゆっくりと撹拌を続ける。この時点で、溶液を冷蔵する。
C.溶液を、約6℃で18〜20時間冷蔵する。
D.結晶を、陰圧20〜30cmHg(真空)下に、24cmのWhatmanろ紙No.1に収集し、収集された塊を真空下に60〜70分間乾燥させる。
E.紙繊維を損なって、生成物に混ざらないように注意し、結晶をガラス繊維製盆上に広げ、オーブン中に、約35℃の温度で48〜72時間放置する。塊を定期的に撹拌し、乾燥させる。
F.収集した濾液の容積を測定し、記録する。定性分析のために、プラスチック瓶に100mL採る。
G.乾燥結晶を収集し、計量する。理論的には、1084g得られる。生成物をラベルを貼ったねじ蓋付きのポリプロピレン瓶に保管する。
【0032】
【表5】

【0033】
合成工程は、工業的規模では、所望最終生成物100kg当たり、以下のようになろう。
I.計量手順
a.生成物108.4kg(理論)のために、好適な容器中で、計算量を計量する(純度100%の四ホウ酸二ナトリウム十水和物(DTBD)70.0kgにほぼ相当)。
b.オルトホウ酸を別の容器中で、約68.0kg計量する。
II.溶液の調製
a.精製水ほぼ160.0Lを反応容器中に添加する。
b.200RPMで撹拌しながら、水を加熱し、温度計で温度を定期的にチェックする。
c.温度が57〜61℃に達したならば、温度が61℃以下に保持されるように加熱を減じる。200RPMで撹拌しながら、連続的な撹拌下に、全てが完全に溶解するまで、計量されたDTBDとOBAをゆっくりと添加する。
d.温度は、61℃を超えないようにする。熱溶液のpHを測定し、記録する。pHは、6.42でなくてはならない。
III.調製の完了
a.熱溶液を、真空下に、濾過し、固体を除去する。
b.濾液を容器に移し、150RPMで撹拌しながら、約10〜12℃まで溶液を冷却する。
c.溶液を、約6℃で18〜20時間冷蔵する。
d.結晶を、20〜30cmHgの真空を使用して、収集し、収集された塊を35℃のオーブンで48〜72時間、静かに乾燥させる。塊を定期的に撹拌して乾燥させる。
e.集めた濾液の容積を測定し、記録する。定性分析のために、100mL採る。
f.乾燥結晶を収集し、計量する。理論的には、108.4kgが得られる。生成物をラベルを貼ったねじ蓋付きのポリプロピレン容器に保管する。
【0034】
この工程は、既に包装された乾燥結晶の形での最終生成物を得るのに5日以上はかからず、ほぼ40日かかる、WO 91/06304(Dressman et al.)として公開された国際番号PCT/US90/06331でのPCT出願とは異なる。また一方、業界は、Tender No93−0113−A、Spray Dryer、Mobil Minor 2000等の市販の装備を有し、それにより、生成物は、1日以内に乾燥結晶の形態で得ることができる。
【0035】
PSPは、以下の特徴を示す:
簡略化した式:NaB58・5H2
NaB58・5H2Oの理論的組成は:
Na2O(10.5%)、B23(59.0%)、H2O(30.5%)
であり、酸化ナトリウム、三酸化ホウ素及び水の組み合わせとして表される化合物及びその成分について公開された分子量から計算される。
【0036】
図1は、CINVESTAV(Center for Research and Advanced Studies)、メキシコ、で実施された、重水中の11Bの核磁気共鳴による分析の結果である。これから、PSPが、ホウ酸ナトリウム及びホウ酸により主に形成された混合物であることが示される。
【0037】
構造:
【化1】

分子量:295.17
融点:融解しない。100℃以上で、脱水し、昇華により減成産物を放出し、その後、より高温で分解する。
【0038】
同定パラメータ
外観:白色微細結晶粉末
アッセイ:95%を超え、少なくとも105%の含有(NaB58・5H2O)。この隔たりは、水和度の多少の違いによる。
熱重量分析による湿度含分は、28.5〜32.5%である。
pH:7.6〜8.2(4%溶液)
溶剤含有率:1%未満
【0039】
五ホウ酸ナトリウム五水和物(NaB58・5H2O)アッセイ
目的:PSPの純度の決定。
原理:ホウ酸ナトリウム組成物は、酸化ナトリウム、三酸化ホウ素及び水当量により表すことができる。PSPの経験式(NaB58・5H2O)は、Na2O、5B23、10H2Oとして表すことができる。Na2O含分は、標準HCl滴定により確認される。B23含分は、標準NaOH滴定により確認される。PSPの純度は、B23含分から計算され、ホウ素に依存する。
装置:
400mLビーカー
9cmウオッチクリスタル(3.5インチ)
マグネティックスターラー/ホットプレート
撹拌子
50mLビュレット
25mLビュレット
化学薬品:
塩酸0.5N(HCl)
水酸化ナトリウム0.5N(NaOH)
マンニトール
1%アルコール溶液中の指示薬としてのフェノールフタレイン
1%アルコール溶液中の指示薬としてのメチルレッド
0.25%水溶液中の指示薬としてのメチレンブルー
【0040】
手順:
1.精製水100mL中にPSP 1.00+/−1mgを溶解。正確な重量を記録。
2.メチルレッド5滴添加。溶液を酸性にするために、赤くなるまで、0.5NのHClを25mLビュレットから添加。0.3〜0.4mL過剰に添加。最終容積を記録。
3.CO2を除去するために、3分間沸騰させ、冷却して、150mLの容積をとる。
4.メチレンブルー1滴を添加し、過剰のHClを0.5NのNaOHで滴定する。容積を記録。
5.Na2Oの中性滴定溶液にマンニトール約15g、フェノールフタレイン5滴を添加、0.5NのNaOHで終点まで滴定。容積を記録(注意参照)。
6.溶液の色が消えていく場合は、少量のマンニトール(2〜3g)を添加し、滴定を続ける。
7.変化が永続するまで、ステップ6を繰り返す。
8.酸と塩基のパーセンテージを評価。
%Na2O=0.5NのHClの正味容積(mL)×1.550
%B23=0.5NのNaOHの正味容積(mL)×1.741
注意:マンニトールを中和溶液に添加する場合、その色は緑から紫に変化する。この色は、形成された錯体マンニトール−ホウ酸の酸性によるのであって、フェノールフタレイン変化の紫色と混同してはならない。溶液中の水酸化ナトリウムは、紫色を緑色へと変え、溶液がフェノールフタレインでアルカリ性になると再び紫になる。全てのホウ酸がメタホウ酸ナトリウムに変換された時に、終点に到達する。
2H3BO3+2NaOH+4H2O=Na224・8H2
【0041】
五ホウ酸ナトリウム五水和物(NaB58・5H2O)アッセイの検証
装置:以下の物質は、実験室で遂行されたアッセイ及び検証に使用し、本明細書中に例として示される。
Cole−Palmerのスターラー/ホットプレート、モデル4658(滴定混合物を撹拌するために2回使用)
Corning スターラー/ホットプレート、モデル6795−520(テスト溶液を沸騰させるために)
0.5NのHClを分注するための、25mL Kimax(登録商標)Schellbach Automatic Burette,Kimble 17170F
0.5NのNaOHを分注するための、酸化カルシウムで保護された、50mL Kimax(登録商標)Schellbach Automatic Burette,Kimble 17170F
セミミクロ電極組み合わせを備えたpH計、モデル220、No.476540
Mettlerの分析秤、モデルH54
化学薬品:
マンニトール、EM Science、USPグレード、No.MX0216
オルトホウ酸、EM Suprapur(登録商標)、NO.756−1、バッチ9249
無水四ホウ酸二ナトリウム、EM Suprapur(登録商標)、No.6309−1、バッチ9118
0.5N水酸化ナトリウム、VWR社により溶液で調製、バッチ90060602及び90072601BTR
0.5N塩酸、RICAA社から溶液で調製、バッチ90060601BTR
フタル酸水素カリウム、Baker分析試薬、標準アシジメトリーNo.2958−01、バッチD18084
フェノールフタレイン、EM ScienceNo.PX 0525−1、バッチ9142
メチレンブルー、Baker分析試薬、No.Q475−03、バッチD03728
メチルレッド、ナトリウム塩、Baker分析試薬、No.R086−02、バッチD14708
水は、18メガオーム−cmを上回る比抵抗を用いて、Continental Water Systems Modulab unitから得た。
【0042】
手順:
アッセイの精度のために、5連続再現測定を行った。サンプルは、滴定前に50℃で約24〜36時間乾燥させた。
【0043】
アッセイの精度のために、オルトホウ酸及び四ホウ酸二ナトリウム、Sience Suprapur(登録商標)、グレードEM、は、使用するまで、乾燥剤(desiccator)を含有するプラスチックバッグ中に保管した。
【0044】
感受性及び特異性研究のために、乾燥粉末の混合物をアッセイ直前に調製し、追加の処置をせずに滴定を行い、五ホウ酸ナトリウム五水和物のための手順に使用した。
【0045】
サンプルの重量は、他に指示が無ければ、1.000+/−0.0001gであり、全ての計算について、1.000gと考えた。
【0046】
水酸化ナトリウムの標定は、最初にフタル酸水素カリウム(KHP)1g量で試みたが、最良の結果が、測定により、より多量のKPHを用いて得られた(0.5NのNaOHで3g、1NのNaOHで6g)ことが判明したので、最終容積は、未知物質の測定に使用されるものとほぼ変わらなかった。KPHは、ほぼ115℃で1時間オーブン乾燥させ、使用するまで乾燥して保管した。
【0047】
計算:
【数8】

サンプル中のB23重量は、掛算:
(サンプル中のB23当量(複数))×(B23当量の重量)
により得られる。
【数9】

【0048】
酸化ナトリウム含有率
計算は、
【数10】

を除いて、B23についての計算と同じである。
【数11】

【0049】
結果:
酸−塩基標定
1.0.5NのNaOH、バッチ90072601、を、KPH3gに対して5回滴定した。
2.0.5NのHCl、バッチ90060601、を、0.5NのNaOH、バッチ90072601に対して、3回滴定した。以下の結果が得られた。
0.501N;0.500N;0.502N;平均=0.501N
3.0.5NのNaOH、バッチ900609602、を、0.5NのHCl、バッチ90060601に対して6回滴定した。以下の結果が得られた。
0.501N;0.501N;0.501N;0.501N;0.501N;0.501N;平均=0.501N
PSP純度
【数12】

【0050】
PSPの使用
最初のアプローチは、ペニシリンに類似の抗生物質を発見することであったが、過敏性反応などの望ましくない作用のため、初期の段階では、薬物製造に異なる菌株を使用した(非常に大規模で、複雑な工程であったが、多数のアッセイと研究の後、現在ではほんの数日までに減っている)。動物でのアッセイの後、ヒトについて用量及び安全な休止期間が決定された。種々の動物種(マウス、ラット、犬、サル等)で毒性検査をして、健康な人間に使用が許され、その後、病気のヒトに対し使用され、主に細菌性の疾患に、例えば、血液、腎臓、肝臓又はその他の人体器官に、どのレベルでも有害な副作用の無い優れた結果を示した。この薬物の使用を抜本的に変えたものは、この記述された報告書中に記載の、ウイルス性病因の髄膜脳炎と診断された2歳の子供への使用であった。このことが、他の種々のウイルス性病因の疾病にこの薬物を使用し、優れた結果を得ることに気づかせた。
【0051】
ヒューストン、テキサスの微生物学専門家により行われた抗菌作用の評価は、インビトロで行われた。この研究では、PSP実験薬物の水溶液を使用して、紙ディスクにしみこませ、凍結乾燥させ、その後、予めテスト微生物を播種した寒天表面に適用した。5つのPSP希釈液、40μg/mL、400μg/mL、4mg/mL、40mg/mL及び400mg/mLを、400mg/mLNaCl対照に対してテストした。14の細菌種をテストし、その全てが、インビトロで、PSP400mg/mLの効力に対し感受性を有した(表3)。
【0052】
【表6】

菌株とディスク番号を結びつける数字は、阻害輪(mm)に相当する。
ディスク表題の下の数字は、以下の希釈を表す:
PSP:1=4mg/mL、2=40mg/mL、3=400mg/mL、4=40μg/mL、5=400μg/mL
NaCl:6=400mg/mL(対照)
【0053】
得られた結果は、PSPを抗生物質として使用できることを示唆する。
インビトロでのテストの後、マウス、ラット、サル、及び犬にインビボテストを実施した。この結果を使用して、ヒトに使用するための投薬量を設定した。
【0054】
動物におけるインビボ毒性試験
マウスにおける急性及び亜急性毒性アッセイ
単回投与量の毒性を決定し、最大耐量(MTD)を発見するために、1000mg PSP/kgの1日の用量を、マウスに静脈内投与した。全ての動物が、14日まで、正常であり、剖検では、重要な損傷は観察されなかった。平均のマウスは、体重減少を示さなかったが、1匹の動物が、7日から14日の間に、3.6gの体重減少を示した。しかし0日から7日の間には体重が増加しており、かつ剖検で重要な組織変質の臨床的兆候が見られないため、この動物の体重減少は厳密ではないと考えられた。これらの発見から、テスト状態でのPSPは、マウスでは低い毒性を有することが判明した。1000mg PSP/kg用量で、マウスが健康を維持しているので、この用量は、マウスにとり最大耐量(MTD)と考えられた。20日間続けて、カテーテルを介して経口で又は腹腔内注入によりMTDを投与した。PSPを、1.2又は3mg/mLの用量で、20日間続けて、飲料水に投与した。この種のアッセイでの毒性サインは、20日の実験期間、PSPを摂取した動物の体重減少である。各グループにつき平均体重を計算した。飲料水にPSP3mg/mLの用量を入れて処理されたグループのみが、リバルビン対照より高い体重の増加を示した。
【0055】
水1mLにつき3mgのPSPの用量では、処理グループは、リバルビン対照グループと比較して、41.1%の体重増加を示した。全ての処理グループが、71%を上回る体重の増加を示した。
【0056】
ラットにおける急性毒性アッセイ
単回投与毒物学アッセイをラットで実施した。用量間隔は、100mgPSP/kg〜4000mgPSP/kgであり、カテーテルにより経口投与した。4000mg/kg用量で、雄のラットが11%の体重減少を示した。雌のグループには、体重減少の徴候は観察されなかった。連続して毎日投薬するために、4000mg/kgの用量を選択した。4000mg/kgの2日続けての投与後、テスト動物はいずれも生存しなかった。用量を1000mg/kgまで減じ、他のラット(各性それぞれ3匹)のグループに3日間投与した。この3日間、異常な徴候は観察されなかった。用量を2000mg/kgまで上げた。2000mg/kgでの連続処置4日の後に全てのラットが死亡した。これらの結果は、ラットにおけるPSPのMTDは、約1000mg/kgであることを示唆する。これは、マウスのMTD用量と一致する。
【0057】
サルにおける急性及び亜急性毒性アッセイ
急性及び亜急性毒性アッセイをサルで実施した。対照動物とテスト動物に500mgPSP/kg及び250mgPSP/kgの用量を投与した。両方の投薬で、動物は、各用量服用後に嘔吐及び/又は無食欲を特徴とする毒性応答を示した。サルに関するMTDは、100mg/kgと決定した。連続14日間、投与を続けた。投薬計画が終了するとすぐに、全ての動物に剖検を実施した。重要な損傷は、識別されなかった。
【0058】
結論
急性及び亜急性毒物アッセイの結果は、以下のMTDを示唆する:
マウスでは1000mgPSP/kg体重
ラットでは略1000mgPSP/kg体重
サルでは100mgPSP/kg体重
これらの結果を基に、ヒトには10〜20mg/kgの用量を使用するのが、道理上、安全であると考えられる。
【0059】
ホウ酸は急性毒とは考えられない。大量のホウ酸の血液中への摂取又は吸収後に、24〜72時間で症状が現れることがある。ホウ酸塩は、尿中に除去され、最初の24時間の間に、その70%が除かれる。
【0060】
食物に入れたPSPでラット及び犬を飼育するアッセイを行った2年後に、体内にホウ素蓄積の徴候は観察されなかった。食事の0.31%でのPSP摂取では、副作用はない。
【0061】
薬学的研究
インビボでのRauscher Murine Virus(Rauscher MuLV:Rauscherマウス白血病ウイルス)系
Rauscher MuLVウイルスに感染させた動物について、感染7日後の脾腫を観察した。時間とともに脾臓重量が増加する理由とその大きさは、投与されたウイルスの用量に左右され、ウイルス複製に直接又は間接に干渉する薬剤により緩和することができる。
【0062】
マウスにRauscher MuLVを接種し、1.2又は3mg/mL用量を含む飲料水によるPSP投与、カテーテルを介して用量250、500又は1000mg/kg/日のPSP投与又は静脈内への用量250、500又は1000mg/kg/日のPSP投与で治療した。一般に、感染は、治療を受けていない動物では脾腫をもたらした。結果から、治療を受けなかった感染動物に比較して、飲料水中の3mg/mLのPSP用量は、脾臓のサイズを72%減じ、リバビリンは、脾臓のサイズを74%減じたことが示された。
【0063】
インビトロでの薬物学的特性
「新鮮(fresh)」T細胞及びH9細胞へのPSP作用を評価するために、毒性研究を実施した。PSP希釈液を2個の細胞培養に添加した。333μg/mLと1000μg/mLのPSPが細胞に毒性であったことを、結果が示した。細胞発達が影響され、明らかな細胞変性効果が増加した。
【0064】
PSP薬理活性を決定するために使用されるインビトロ方法は、抗菌活性を示すが、抗ウイルス又は殺ウイルス活性は示さない。PSPは、脾腫サイズを減じることにより、Rauscher MuLVに感染したマウスを保護することが示された。インビトロで抗ウイルス活性又は殺ウイルス活性がないということを考慮すると、PSPの作用の考えられ得るメカニズムは、免疫調節である。
【0065】
ヒトでのインビボアッセイ
前記研究から、体重1kg当たり10〜20mgの用量を確認でき、この投与量間隔を、様々な細菌及びウイルス疾患、例えば、喉頭気管気管支炎、帯状ヘルペス、B型肝炎、水痘、敗血症等で試験した。
【0066】
喉頭気管気管支炎
7ヶ月の男児、体重7kg、栄養状態良好、喉頭気管気管支炎の症状あり。全身状態は悪く、眠らず、泣き叫ぶ、チアノーゼ(+)、Silverman−Andersenスコア7(鼻孔細動(nasal flapping)、肋間筋引っ張り、うめき声、剣状突起部の陥没、胸腹の収縮運動のずれ)、多病巣性及び食欲不振(hyporexic)。
【0067】
PSP50mgを経口で12時間ごとに投与した。これは15mg/kg/日に相当する。最初の数時間の内に回復し始め、入院の必要は無かった。48時間後、症状が消えた。子供は、更に1週間治療を受けた。
【0068】
帯状ヘルペス
男性患者(54歳)は、胸部右側に疼痛を1週間患っていた。肋骨の帯域は、神経路に沿って、非常な疼痛のある膨れを示した。患者は、予めステロイド及び鎮痛剤の治療を受けていたが、改善はみられなかった。PSP500mgを経口で12時間ごとに投与して治療を開始し、72時間毎に鎮痛剤とB錯体(IM)を併用した。治療を開始して24時間後に、著しい改善が見られ、治療を開始して1週間後、患者は無症候となった。患者に、1日あたり500mgでの治療を更に3週間続けた。
【0069】
B型肝炎
7歳女児に、全身状態の軽度の変化として、軽度の黄疸、衰弱、脱力、食欲不振(hyporexia)、微熱、胆汁欠乏(acoholia)、胆汁尿、右側下肋部に軽度の痛み、目立たない肝腫大、の症状が始まった。実験室でのテストは、ビリルビンレベルの増加、ALT、AST及びアルカリ性ホスファターゼの増加を伴う肝機能テストの変化を示した。
【0070】
PSP100mgを経口で24時間ごとに1月投与した。治療開始後最初の数日で、すべての症状の緩慢な減少が見られ、10日以内に症状が消え、1ヶ月後の実験室検査では、正常のレベルが示された。
【0071】
水痘
3歳の女児が、殆ど全身を覆う、丘疹、小水疱及び膿胞を伴う特徴的な発疹を示し、また、全身状態の軽度の変化、軽度の衰弱及び脱力、微熱並びに食欲不振を示した。
【0072】
発病3日後に、100mg PSP/24時間で、治療を開始した。病的症状は消失した。72時間後、患者は、多少の皮膚の病巣以外は、ほぼ無症候となった。この皮膚の病巣は2日後に消失した。
【0073】
敗血症
敗血症の26歳女性患者。入院48時間前の帝王切開の手術記録がある。全身状態は非常に悪く、40℃の発熱、低血圧、頻脈、外科手術傷及び膣から血液の混じった化膿性滲出液が記録された。8時間毎のPSP(IV)150mgと、24時間ごとにペニシリン及びゲンタマイシンと共に1.5gを静脈内溶液により点滴で、全身経路を介して投与することで、治療を始めた。24時間後に、感染徴候は消失し始め、72時間後に無症候となった。患者は、合併症を発症せず、5日目に退院した。
【0074】
髄膜脳炎
2歳男児、非常に悪い全身状態で入院。熱は無く、神経学的症候:髄膜刺激データ、頸部硬直、ケルニッヒ徴候(+)、ブルジンスキー徴候(+)、バビンスキー徴候(+)、全身性反射亢進、増大された筋肉強直間代性痙攣、昏迷、後に昏睡。診断:ウイルス性髄膜炎、脊髄液分析により診断。12時間毎の150mg PSP IV(20mg/kg/日)による治療を開始した。患者は、意識喪失から回復し始め、全身症状は消え始めた。治療開始5日後に患者は退院した。神経学的病状経過の唯一の後遺症は、VI頭蓋対(cranial pair)の不全麻痺であり、これは、患者の退院3ヶ月後、もとの状態に戻った。家での治療は、12時間毎の100mg PSP IM の投与を1週間、その後、更に2週間、24時間毎に同一の用量を投与した。患者は、如何なる事後の問題も報告せず、普段どおりの生活を行っている。
【0075】
C型肝炎
C型肝炎と診断された、32歳男性患者。総体的徴候:肝腫、全身状態の中程度の変化、衰弱、脱力、頭痛、筋肉痛、黄疸無し、微熱、食欲不振。24時間毎のPSP500mg(15mg/kg/日)での治療を開始し、15ヶ月行った。全病状経過は元に戻り、これは正常な実験室テスト(ALT、AST及びアルカリ性ホスファターゼ等)を含む。現在、患者は無症候であり、体重が増加し、なんの症状も示さない。
【0076】
前記結果により、ウイルス疾患の領域内で、薬物をテストすることが促され、その結果、AIDS患者で薬物をテストし、以下の結果を得た:
臨床アッセイをセットアップし、AIDSに対するPSPの治療的有用性を評価した。
PSPは、水溶性なので、投与すべき酸塩の形状を得る必要が無く、直接に使用して、所要の濃度で薬物を得ることができる。
PSPは、薬学的許容性賦形剤と共に医薬組成物を様々な薬剤形態に処方するのに有用であり、前記形態は、例えば、錠剤、カプセル、ロゼンジ、点滴剤用溶液、シロップ、膣座剤、座薬、ゲル、ローション、及びその経口、鼻、眼、耳、局所、腔内、膣、直腸、皮膚、毛細管、筋肉内、静脈内、皮内、皮下投与又は身体に投与及び吸収されるために好適なその他の手段のためのアンプルバイアル(ampoule vials)である。
【0077】
臨床アッセイ
臨床アッセイの目的は、以下であった:
1.疾病経過を緩和するのに必要な薬物用量を同定すること。
2.そのような用量の危険性を立証すること。
3.客観的及び主観的病状を管理すること。
4.PSPの利点及び効能を立証すること。
これらの研究は、抗体研究、ウイルス抗原制御研究及びリンパ球表現型を含む完全血球カウントを含んだ。
【0078】
第一の研究では18人の患者を含んだ。研究の開始時に、全ての被験者は、HIV−1抗体に陽性であり、表4のとおりの、Walter Reed(WR)分類WR2〜WR6であった。18人の被験者のうち9人が、WR2及びWR3(検出可能な免疫学的損傷無し)と格付けされた。2人がWR5と格付けられ、残りの5人の患者はWR6と格付けられた。
【0079】
5ヶ月の間、患者は経口投与により、薬物を1日2〜3回投与された。合計用量は、1日当たり500〜2500mgであり、これは、治療開始時のCD4カウントに依存する。この期間後、治療を中断し、被験者は、追跡調査通院をし、定期的な実験室及び臨床テストが実施された。これらの研究は、継続中である。
【0080】
治療開始後、HIV感染した個々の患者全員にPSP治療に対する顕著で見込みのある応答パターンが観察された。患者全員が、以下の副作用1つ以上を発現した:体重減少、発汗、うつ病、掌及び足の皮膚の軽微の剥がれ、下痢又は便秘、及び頭痛。同期間、患者の多くに、総リンパ球の減少が観察され、特にCD8及びCD4の減少が見られた。治療の8〜12週で、症状の中断が観察され、総リンパ球、特にCD8、の著しい増加が報告された(非感染の人間の正常の限界値より大)。活性化T細胞マーカー、HLA−DR、の同様のパターンが観察された。T細胞活性化の第二のマーカー(IL−2)は、分析が実施できる前に、細胞の寿命のため、この研究で立証できなかった。
【0081】
治療終了の5ヵ月後、患者18人のうち14人が良好な健康を示した。治療の最初の21週以内に3人の患者が死亡し、そのうちの2人は、進行したカポジ肉腫(KS)が原因であり、3人目は進んだ栄養障害が原因であった。精神症状を有した(治療前、第二AIDS痴呆)4番目の患者は、2〜3ヶ月の間、好ましい応答をしたが、後に精神状態はもとに戻った。治療後5ヶ月の間、PSP(500mg/日)が継続されたが、最終的に、治療が始まって1年後に患者は死亡した。
【0082】
【表7】

【0083】
有利な応答をしなかった4人の患者は、治療開始時に40未満(絶対値)のCD4カウントを有した。正常なCD4カウントは、400以上である。これら4人の患者の治療への最後の応答不全にもかかわらず、彼らは、少なくとも4ヶ月の間、食欲の増進及び最初の月の症状の減少を伴う生活の質の改善を経験した。KS病変部は、好ましい応答をし、治療の2〜8週の間、乾性のままであった。このような次第であるが、この応答は、一時的であり、KSを有する2人の患者の死の前に、病変部は一層侵襲性になった。
【0084】
良好な健康を示した12人の患者に関して、PSP治療を中断した5ヵ月後に、応答パターンに2つの特徴が観察された。テストされた患者のうちの7人は、ウイルスの存在に対し陰性であり、CD4細胞が著しく増加された(統計的に、これらの増加は、症例の1%でランダムに起こった)。これらの患者は、治療開始後、9ヶ月の期間に体重を維持又は増加させた。残りの5人の患者は、ウイルスに対し陽性のままであり、CD4細胞は減少又は一定のままであるが、見たところ良好な健康状態にあった。更に、ELISA市販のテストにより測定された抗−HIV抗体活性は、この9ヶ月の間、16人の生存患者のうち10人で2〜12倍上昇した。
【0085】
ウイルスに対し陽性であった患者全員は、コントロール下に、テストが陰性(ウイルスがもはや検出されない)になるかどうかの測定を続け、CD4細胞が増加する時を確認する。
【0086】
臨床アッセイの結論
1日当たり2500mg用量下で、PSPは、疾病の進行を修正するように思える。そうはいっても、一部の患者に強い副作用が見られた。40未満のCD4細胞で始まった4人の患者は、治療に対し好ましい応答をしなかった。そのうちの1人は、治療の間、無症候であり、治療終了後の5ヶ月の間、外見的には優れた健康状態にあった。患者18人のうち14人は、治療の中断後40週間生存した。治療の間、CD4細胞の著しい増加を示した7人の患者は、ウイルスに陰性のままであり、治療後の期間の間、p24抗原に対し陰性のままで、治療後のCD4細胞は、正常の力価にとどまった。好ましい応答をした残りの4人の患者は、治療後にCD4細胞の減少を示し、最近、PSPによる二回目の治療を始めた。これらの患者は注意深く観察されるであろう。これら4人の患者がp24陽性にとどまったことに言及すべきである。PSP治療の前に予めAZTで治療された1人の患者に、治療後の40週間の追跡調査の間、如何なる変化も見られなかったが、もう1人の患者は、ニューモシスティス・カリニによる肺感染(PCP)を発現し、スルファメトキサゾールに部分的に応答した。後にこの患者は同一の感染により死亡した。両患者は、PSPでの治療を2回うけた。この最初のアッセイに対する重要な結果は、AZT治療を止めた患者の即座の悪化とは対照的に、無症候の患者は、治療を一時中断した後の5ヶ月の間、無症候のままであったことである。最初の臨床アッセイは、疾病の経過を緩和させる治療に有効な低い薬物用量を定めるために、更なる調査を必要とする。
【0087】
これらのアッセイの観察から、1日の用量2500mgは、重度の発疹、うつ病、下痢、及び体重の平均3.1kg減を伴う胃の問題のような副作用を、一部の患者に引き起こすことが示唆される。大抵の患者において、治療の最初の6〜8週の間、総リンパ球の力価、主にCD4とCD8、における減少も観察された。例えば、1人の患者では、治療の最初の8週で、CD4は、269から66までに減じた。インビボ及びインビトロで得られた結果は、PSPの作用のメカニズムが免疫調節によることを示唆した。臨床アッセイにおいて、典型的にはCD8刺激及び遅れてCD4刺激が後に続く、CD4及びCD8の減少を観察した。現実に、この作用のメカニズムは研究中である。これらの臨床の観察は、他の臨床アッセイを実施することを促す。医療記録形式が考案され、Epi−infoバージョン3を履行した。Epi−infoは、これらの種類の臨床アッセイのために、Centers for Disease Control at Atlanta,Georgia,U.S.Aにより考案された統計ソフトウェアである。
【0088】
第二グループに関する研究プロトコールを修正した。修正は、1日当たり2500mgに対し1日当たり最大1500mgまでとする薬物用量の減少、治療の前後の一連の皮膚反応テスト、及び追加の臨床実験室テストを含んだ。臨床アッセイは、19人のHIV−1陽性患者を含み、そのうちの17人が、WR4からWR6までに分類され、残りの2人がWR3と分類された。WR4からWR6までの患者全員が免疫不全であり、これは、細胞仲介免疫応答の直接の尺度である、皮膚反応テストの抗体シリーズに対する応答が部分的又は皆無であることを意味する。
【0089】
各患者は、1日当たり用量500〜1500mgのPSPを経口で4ヶ月間投与された。治療の7週間後副作用が観察された。これらの研究では、副作用は類似するが、最初の研究において観察されたものより重症ではない。例えば、より少ない容量のために、このグループでは比較的軽度の体重減少が観察された(平均の体重減少は、第一アッセイの3.1kgに対し、0.5kgであった)。第二グループでの臨床的観察は、研究の間、2週間ごとに記録された。治療の前の日まで、及び治療開始後の12週間の観察記録から、アッセイの開始時に症状のない患者はいなかったことが示された。14人が、3つ以上の症状を有していた。治療の12週間後、13人の患者に、主観的な苦痛の訴えもなく改善が見られ、3つを上回る症状のある患者は見られなかった。例えば、寝汗、体重減少、吐き気、嘔吐、上腹部の疼痛、HSV(単純ヘルペスウイルス)などの問題が、治療の最初の数週の間に消えることが観察されたに違いない。
【0090】
初期KSの患者についての報告に特に関心がある。スクリーニング後の患者及び最初の血液サンプルでKSが検出された(PSPでの治療開始の直前)。この患者に、当初、PSPとビンクリスチンスルフェートを併用して投与した。治療12週間後、KS病変部は、増加せず、即ち病理学により確認されず、5ヶ月間陰性にとどまった。実験室での発見及び/又は医学的観察により、臨床的改善が確認された。副腎過形成及びカンジダ症等の徴候は、12週以内に解決した。リンパ節疾患の頻度は、研究開始から研究のほぼ最後までの、3回の観察結果で、減少し、同様にカンジダ症の頻度も12から1まで減少した。
【0091】
第一の臨床アッセイのグループと対照的に、第二アッセイの間及びその終結まで、初期CD4及びCD8カウントからの顕著な変化はなかった。他方、HLA−DR及びIL−2マーカーにより検出されたリンパ球T活性に、統計的に顕著な増加があった。両方の細胞タイプが、治療の開始後3週間で減少した。その日から、両表現型の細胞(HLA−DR及びIL−2)の力価は、増加し、明らかに正常値を超えプラトーに達した。
【0092】
一連の皮膚反応のテストは、治療開始前及び治療開始後5ヶ月間に、第二研究に関係する患者全員に実施した。患者19人のうちの9人に、5ヶ月の治療の間、皮膚テストの抗原1つ以上への陽性の応答が発現した。これは、予め直面した感染症1つ以上に対する、細胞仲介免疫応答の回復を示唆する。
【0093】
第二臨床研究では3人の患者が死亡した。患者は、それぞれ、CD4力価30、10、及び10で出発した。1人目の患者は、PCPを発現し、肺感染症へのトリメトプリム及びスルファメトキサゾールの治療に一時的に応答したが、直ぐに原因不明の理由のため死亡した。2人目の患者は、境界決定及び消耗を伴う痴呆及び栄養失調を発現した。3人目の患者は脳トキソプラズマ症を発現した。最初の2人の患者は、治療12週目で死亡し、3人目は治療終了後25週で死亡した。
【0094】
正常対照として、2人のHIV−抗体陰性成人被験者を第二アッセイに含む。6〜8週間の間、各患者に、1日2回PSPカプセル2個(1日1000mg)をそれぞれ投与した。治療6週間の間、1人目の正常対照は、2週目に胃の不快感を少々有し、体重約3kgを減じた。この体重減少は、患者が個人的な家族の問題によるものとした。2人目の対照は、PSPを8週間服用したが、副作用は見られなかった。これらの限定的な観察に基づき、PSPは、正常成人では、毒性を生じない又は最小の毒性があるように思われる。
【0095】
第二臨床アッセイの結論
第二臨床アッセイでの患者の応答の予備的評価に基づき、HIV−1陽性で無症候の各人及び、ARC(AIDS関連症候群)又はAIDS(WR4、WR5及びWR6)の臨床的進行を有する誰にとっても、PSPは、有効かつ安全であるように思えると結論される。治療12週間後に、徴候及び症状が消えたようである。16人の生存患者のうち9人がPSPの治療を4ヶ月継続した。残りの7人の患者に、2ヶ月の間、1日当たり500mgのカプセル1つを投与した。毎日500〜1500mgのPSPを摂取する患者の主観的及び客観的コントロールは、副作用が最小であることを示唆する。
【0096】
高いPSP投薬(2500mg/日)で治療されるAIDS患者の免疫応答及びウイルス学的応答の実際の概念は以下のとおりである:
1.PSP治療の開始時に、HLA−DRマーカーを担うT細胞及びCD8の力価は、正常の力価より増加し、治療終了後には、正常の力価まで下がった。
2.ウイルスの存在を示さない(ウイルスに陰性である)患者は、CD4細胞の力価増加により、抗−HIV抗体活性の増加を経験する。ウイルス複製を阻害するCD*細胞の能力は、予め報告されていた。
【0097】
第二臨床アッセイで用量を減じた(最大1500mg/日)時点で、リンパ球表現型の主な変化が、活性T細胞集団、HLA−DR又はIL−2、に観察された。疾病が進展するにつれHLA−DR細胞数は減少することを、大部分の報告書が示す。これは、WR4、WR5及びWR6の患者におけるPSP治療の応答としてのTリンパ球活性化が、固有の免疫調節のためのマーカーとして働き得ることを示唆する。これらの細胞集団の性能について、引き続いてのアッセイを実施することが期待される。
【0098】
WR3と分類された、第二臨床アッセイの患者2人が、治療の18週間後、CD4及びCD8細胞の増加を有したと述べられているのは興味深い。これら2人の患者において、T細胞活性化の変化は変動しやすかった。PSP治療に感応するリンパ球集団は、薬物の用量ではなく疾病の病期に多く依存し得るらしい。
【0099】
1人の患者では、KS病変部は、PSPとビンクリスチンの併用治療への応答として消散するようであり、そのため他の併用療法を研究するのは価値があることを注記するのは重要である。
【0100】
感染症の治療におけるPSPの利点は、顕著な毒性の副作用が無いこと、他の薬物に反応しなかった感染症に対する効能、及びHIVなどの慢性ウイルス感染症に罹患した患者及びウイルス感染過程の患者への治療能力を含む。ウイルス感染過程は、例えば麻疹、水痘、帯状ヘルペス、B型肝炎、ウイルス性髄膜脳炎、C型肝炎、インフルエンザ、喉頭気管炎、咽頭炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎、感冒、ウイルス性病因からの胃腸病、単純ヘルペス、及び帯状ヘルペス、流行性耳下腺炎、天然痘、リンパ肉芽腫、サイトメガロウイルス、デング熱、一般的脳炎、狂犬病、ポリオ、及びエボラである。
【0101】
最初の病期及び最終病期でのTD4とTD8濃度の差が示唆するように、PSPは、免疫調節効果を有し、即ち免疫系を調節し、生命体が自然回復するのを助け、均衡状態を見つけ、かつ健康状態を再構築する。
【0102】
PSPの低い毒性レベルのため、作用の特異なメカニズムのため、かつ他の細胞抗ウイルス活性とのその可能性ある併用のために、PSPは、AIDS治療及び他の細菌性及びウイルス性疾患の治療の分野で、特異で高度に優位な立場にたつことができると信ずる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】重水中の11Bの核磁気共鳴スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、
a)適切な容器内の精製水に、59〜61℃の温度で攪拌しながら、反応物を交互に徐々に添加することにより、反応物を精製水にゆっくりと溶解させるステップと、
b)溶液を攪拌するステップと、
c)溶液が透明になるまで反応させておくステップと、
d)溶液を濾過するステップと、
e)結晶を成長させるステップと、
f)形成された結晶を濾液から分離するステップと、
g)最終生成物を冷蔵するステップと、
h)結晶を乾燥させるステップと、
i)生成物を包装するステップと
からなる、合成法。
【請求項2】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、反応物はオルトホウ酸及び四ホウ酸ナトリウム十水和物であり、これらの重量は、純度100%として計算される、請求項1に記載の合成法。
【請求項3】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、最終生成物1kgを得るために、オルトホウ酸680.0g及び四ホウ酸ナトリウム十水和物約700.0gが、いずれも100%の純度で必要であり、これらの反応物を約59〜61℃で精製水約1600mL中に溶解させる、請求項2に記載の合成法。
【請求項4】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、反応物は、200RPMで攪拌しながら、少しずつ、交互に水に添加する、請求項3に記載の合成法。
【請求項5】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、温度は61℃を越してはならない、請求項1に記載の合成法。
【請求項6】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、反応物が完全に溶解すると直ちに、溶液を熱源からはずし、濾過して、残存する固体はいずれも除去する、請求項1に記載の合成法。
【請求項7】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、200RPMで攪拌しながら、溶液温度を21℃にし、結晶を成長させ、結晶は、どの方法でも成長させることができるが、冷却法が好ましい、請求項1に記載の合成法。
【請求項8】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、150RPMでゆっくり攪拌しながら、溶液温度を10〜12℃まで降下させる、請求項7に記載の合成法。
【請求項9】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、溶液と結晶を有する容器を6℃で18〜20時間保持する、請求項7に記載の合成法。
【請求項10】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、結晶を取り出し、乾燥させる、請求項1に記載の合成法。
【請求項11】
五ホウ酸ナトリウム五水和物を得るための改良された合成法であって、包装ステップは、ねじ蓋付きプラスチック容器の中で実施される、請求項1に記載の合成法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の改良された合成法により得られる生成物。
【請求項13】
五ホウ酸ナトリウム五水和物(NaB58・5H2O)である、請求項12に記載の生成物。
【請求項14】
五ホウ酸ナトリウム五水和物は、唯一の活性成分であり、これを薬学的に許容されるキャリア又は希釈剤のうち少なくとも1つと共に有する、医薬組成物。
【請求項15】
薬剤形態は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、点滴剤用溶液、シロップ、膣座剤、座薬、ゲル、ローション、及びその経口、鼻、眼、耳、局所、腔内、膣、直腸、皮膚、毛細管、筋肉内、静脈内、皮内、皮下投与又は身体に投与及び吸収されるために好適なその他の手段のためのアンプルバイアルであってよい、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
好ましい薬剤形態はカプセルである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
活性化合物としての少なくとも1つ以上の五ホウ酸ナトリウム五水和物及び活性化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリア又は希釈剤と共に有する、医薬組成物。
【請求項18】
細菌が原因の疾病を治療するための医療品の製造への、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法により得られる五ホウ酸ナトリウム五水和物の使用。
【請求項19】
ウイルスが原因の疾病を治療するための医療品の製造への、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法により得られる五ホウ酸ナトリウム五水和物の使用。
【請求項20】
疾病を引き起こす細菌は、例えば、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、腸チフス菌、大腸菌、プロテウス・ブルガリス、インフルエンザ菌、豚流産菌、ブドウ球菌、クレブシエラ菌、ライ菌、ヒト型結核菌である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法により得られる五ホウ酸ナトリウム五水和物の、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
ウイルスにより引き起こされる疾病は、例えば、慢性ウイルス感染症、例えばHIV、及び急性ウイルス感染過程、例えば麻疹、水痘、帯状ヘルペス、B型肝炎、ウイルス性髄膜脳炎、C型肝炎、インフルエンザ、喉頭気管炎、咽頭炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎、感冒、ウイルス性病因からの胃腸病、単純ヘルペス及び帯状ヘルペス、流行性耳下腺炎、天然痘、リンパ肉芽腫、サイトメガロウイルス、デング熱、一般的脳炎、狂犬病、ポリオ、及びエボラである、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法により得られる五ホウ酸ナトリウム五水和物の、請求項19に記載の使用。

【公表番号】特表2008−511532(P2008−511532A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529743(P2007−529743)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/MX2005/000079
【国際公開番号】WO2006/025724
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507068109)
【Fターム(参考)】