説明

五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子、該微粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材

【課題】干渉縞が無く、透明性に優れるとともに帯電防止性能に優れ、且つ、基材との密着性、耐擦傷性、スクラッチ強度、鉛筆硬度等に優れた透明被膜を形成しうる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を提供する。
【解決手段】平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子と、該微粒子表面を被覆した酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム層とからなる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子が鎖状に連結し、平均連結数が2〜30個の範囲にある鎖状五酸化アンチモン微粒子と、該微粒子表面を被覆した酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム層とからなる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。前記五酸化アンチモン微粒子がリン酸化物をP25として0.1〜15重量%の範囲で含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子、該微粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材とに関する。
【0002】
さらに詳しくは、導電性を有し、屈折率が所望の範囲に調整された五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子、該微粒子を用いた、干渉縞が無く、透明性に優れるとともに帯電防止性能に優れ、且つ、基材との密着性、耐擦傷性、スクラッチ強度、鉛筆硬度等に優れた透明被膜を形成することのできる透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材とに関する。
【背景技術】
【0003】
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート機能を有する透明被膜を形成することが知られており、このような透明被膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに耐擦傷性を向上させることが行われている。また、このようなハードコート膜付の樹脂基材を表示装置前面板等に貼り付けて使用される場合がある。
【0004】
一方、透明被膜を表示装置等に使用する場合、ハードコート性に加えてゴミ、埃などが静電気による付着することを防止するために導電性を有する透明被膜を形成することも行われている。
【0005】
このような導電性を付与するために導電性酸化物粒子を配合することが知られている。
【0006】
導電性酸化物粒子としては、酸化錫、Sb、FまたはPドープ酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFドープ酸化インジウム、五酸化アンチモン、低次酸化チタン等が知られている。(特許文献1:特開2002−79616号公報)
このなかで、五酸化アンチモンは、導電性とともに透明性をも有しているので、このような強度と導電性を具備した透明被膜用に期待されている。
【0007】
本願出願人は、導電性酸化物粒子としてパイロクロア構造を有する五酸化アンチモン微粒子を含む透明帯電防止膜付基材(特許文献2:特開2001−72929号公報)を提案しており、またハードコート膜として、五酸化アンチモン微粒子含む被膜付基材を提案している。(特許文献3:特開2004−50810号公報)
しかしながら、従来の導電性酸化物粒子を用いたハードコート膜、透明帯電防止膜では、例えば、五酸化アンチモン微粒子を用いた場合、透明性には優れるものの導電性が低く帯電防止性能が不充分であった。また、Pドープ酸化錫を用いた場合は、五酸化アンチモン微粒子を用いた場合に比較して帯電防止性能は向上するものの透明性が不充分となり、Sbドープ酸化錫を用いると帯電防止性能はさらに向上するものの透明性が低下し、着色する場合があった。また、五酸化アンチモン微粒子についても、本願出願人の出願による特開2005−139026号公報(特許文献4)に、鎖状酸化アンチモン微粒子にスズ、リン等のドーピング剤が含まれていると、さらに体積抵抗値の低い鎖状酸化アンチモン微粒子が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−79616号公報
【特許文献2】特開2001−72929号公報
【特許文献3】特開2004−50810号公報
【特許文献4】特開2005−139026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来より知られていた五酸化アンチモン微粒子、鎖状酸化アンチモン微粒子にリンをドーピングすると体積抵抗値は若干低下するものの、黄色に変色する問題があった。このため、着色あるいは変色のない導電性の向上した五酸化アンチモン微粒子およびそのための有効な製造方法は知られていなかった。
【0010】
さらに、従来の導電性酸化物粒子を用いたハードコート膜、透明帯電防止膜では、まず、基材を選定し、基材との密着性、ハードコート性等を考慮してマトリックス成分が選定され、これに、さらに基材との密着性、ハードコート性等を向上させ、帯電防止性能を付与するために導電性酸化物粒子を配合することが行われる。
【0011】
しかしながら、導電性酸化物粒子の屈折率が低いために用いる基材の屈折率、マトリックスの屈折率によっては干渉縞を生じる場合があり、このため、導電性酸化物粒子の配合量を増加したり減少させて調節すると、干渉縞は抑制できるものの、本来必要とされるハードコート性、基材との密着性、膜強度等が不充分となる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、五酸化アンチモン微粒子、またはリン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子を、高屈折率の金属酸化物で被覆することによって、得られる被膜の導電性を大きく阻害することなく、干渉縞を抑制し、屈折率を調整することができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子と、
該微粒子表面を被覆した酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム層とからなる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
[2]平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子が鎖状に連結し、平
均連結数が2〜30個の範囲にある鎖状五酸化アンチモン微粒子と、
該微粒子表面を被覆した酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム層とからなる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
[3]前記五酸化アンチモン微粒子がリン酸化物をP25として0.1〜15重量%の範囲
で含有している[1]または[2]の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
[4]前記酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムの被覆量が、五酸化アンチモン微粒
子100重量部に対して、TiO2、ZrO2として、0.5〜100重量部の範囲にある[1]
〜[3]の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
[5]屈折率(NP)が1.66〜2.0の範囲にある[1]〜[4]の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
[6]前記[1]〜[5]の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子と有機樹脂マトリックス形成成
分と分散媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
[7]塗布液中の前記五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の濃度が、固形分として0.5
〜57重量%の範囲にあり、
前記有機樹脂マトリックス形成成分の濃度が固形分として0.5〜57重量%の範囲にあり、
全固形分の濃度が1〜60重量%の範囲にある[6]の透明被膜形成用塗布液。
[8]前記有機樹脂マトリックス形成成分が電子線硬化型樹脂である[6]または[7]の透明被
膜形成用塗布液。
[9]基材と、基材の一方の表面上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が全奇異[1]〜[5]の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とマトリックス成分とを含んでなること
を特徴とする透明被膜付基材。
[10]前記透明被膜中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の含有量が固形分として5〜95重量%の範囲にあり、マトリックス成分の含有量が5〜95重量%の範囲にある[9]
の透明被膜付基材。
[11]前記基材の屈折率(NS)が1.55〜1.75の範囲にあり、前記透明被膜の屈折
率(NH)が1.55〜1.75の範囲にあり、基材の屈折率(NS)と透明被膜の屈折率(NH)の屈折率差が0.01以下である[9]または[1]の透明被膜付基材。
[12]前記透明被膜の表面抵抗値が106〜1013Ω/□の範囲にある[9]〜[11]のいずれかに記載の透明被膜付基材。
【発明の効果】
【0014】
本発明の五酸化アンチモン系複合酸化物粒子は、導電性を有するとともに、屈折率が所望の範囲に調整されている。このためかかる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を使用するので、干渉縞が無く、透明性に優れるとともに帯電防止性能に優れ、且つ、基材との密着性、耐擦傷性、スクラッチ強度、鉛筆硬度等に優れた透明被膜を形成することができる透明被膜形成用塗布液と透明被膜付基材とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子]
(i)単粒子
本発明に係る五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の第1の態様は、酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムで被覆した五酸化アンチモン微粒子からなる単粒子である。
【0016】
このような五酸化アンチモン微粒子としては、導電性を有し、平均粒子径(被覆層を含めない大きさ)が概ね5〜50nm、好ましくは10〜40nmの範囲にある。
【0017】
この粒子径の範囲にあると、五酸化アンチモン自体の結晶性が高いため導電性が高く、しかも被覆層を形成することで達成される効果も十分に発現される。
【0018】
五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径が前記範囲下限未満の場合は、結晶性が不充分なためか、充分な低体積抵抗値、導電性が得られない場合がある。また、粒子が凝集する傾向があり、透明被膜に用いた場合、充分な導電性が得られない場合がある。
【0019】
五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径が前記上限を超えると、導電性が不充分となる場合があり、さらに可視光の散乱が大きくなり、透明被膜の透明性が不充分となる場合がある。
【0020】
本発明では、五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径は微粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として測定することができる。
【0021】
また、第1の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の体積抵抗値が102〜106Ω・cm、さらには102〜5×105Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
このような五酸化アンチモン微粒子としては、本願出願人の出願による(特開平2−180717号公報、特開2001−72929号公報、特開2004−50810号公報
に開示した五酸化アンチモン微粒子は好適に用いることができる。
(ii)鎖状粒子
本発明に係る五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の第2の態様は、平均粒子径が5〜50nmの範囲にある酸化アンチモン微粒子が平均連結数2〜30個の範囲で鎖状に連結した鎖状五酸化アンチモン微粒子を酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムで被覆した五酸化アンチモン微粒子である。
【0023】
酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムの被覆量は第1の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子と同様である。
【0024】
このような第2の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を用いるとハードコート性(耐擦傷性、膜強度等)と、より帯電防止性能に優れた透明被膜を得ることができる。
【0025】
また、鎖状五酸化アンチモン微粒子として、本願出願人の出願による特開2005−139026号公報に開示した鎖状五酸化アンチモン微粒子を好適に用いることができる。
【0026】
通常、五酸化アンチモン微粒子(鎖状粒子を含む)は導電性を有しており、体積抵抗値は概ね106Ω・cm程度である。また、屈折率は概ね1.65である。
被覆層
本発明では、五酸化アンチモンの単粒子ないし鎖状粒子が酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムで被覆されている。
【0027】
酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムの被覆量は前記酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムの被覆量が、五酸化アンチモン微粒子100重量部に対して、TiO2、ZrO2として、0.5〜100重量部、さらには1〜80重量部の範囲にあることが好ましい。
【0028】
この範囲の被覆量であれば、屈折率が高く、かつ導電性も高い五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を得ることができる。被覆量が前記範囲の下限未満の場合は、屈折率を高める効果が不充分であり、被覆量が大すぎると導電性が不充分となり、これを用いた透明被膜の帯電防止性能が不充分となることがある。
その他成分
本発明の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子はリン酸化物をP25として0.1〜15重量%、さらには0.5〜12重量%の範囲で含有していることが好ましい。リン酸化物は、酸化物としてのみならず、リン酸イオンないし塩として、微粒子内またはその表面に含有されたり、担持されている。このようにリン酸化物成分を含有することで、体積抵抗値が向上し、導電性をさらに高めることが可能となる。
【0029】
リン酸化物含有量が少ないと、リン酸化物を含まない場合と実質的に変化がない。またリン酸化物を前記範囲を越えて含有させることは困難であり、できたとしてもさらに体積抵抗値が低下することもない。
【0030】
本発明に用いる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子は、下記式(1)で表される有機ケ
イ素化合物で表面処理されていることが望ましい。
n−SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素、n:0〜3の正数)
このような式(1)で表される有機珪素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプ
ロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエ
トキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
【0031】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の表面処理は、例えば、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子のアルコール分散液に前記有機ケイ素化合物を所定量加え、これに水を加え、必要に応じて有機ケイ素化合物の加水分解用触媒として酸またはアルカリを加え、有機ケイ素化合物を加水分解する。この時の有機ケイ素化合物の使用量は五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の大きさにもよるが、Rn-SiO(4-n)/2として五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の概ね2〜50重量%、さらには5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。
【0032】
このような表面処理については、特に制限されるものではないが、より望ましくは、まず4官能アルコキシドで、表面処理してOH基を付与し、ついで3官能以下のアルコキシドで処理すると、3官能以下のアルコキシドの反応性、結合性が増すために利用率が向上し、
その結果、表面処理効果が向上して、少量でも分散性に優れた粒子を得ることができる。
【0033】
さらに、本発明の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子は、前記有機ケイ素化合物に代えて、あるいは有機珪素化合物に加えて樹脂で被覆されていてもよい。
【0034】
樹脂としては、特に制限されるものではないが、たとえば塗布液に使用する場合、有機樹脂マトリックス形成成分と同様の樹脂を用いることができる。
【0035】
被覆方法としては、樹脂で被覆できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子と樹脂との混合物をメカノケミカル処理する方法、あるいは、鎖状の五酸化アンチモン系微粒子を用いる場合は、紫外線硬化樹脂と混合し、紫外線を照射する方法などが挙げられる。
【0036】
このように、有機ケイ素化合物で表面処理あるいは樹脂が被覆されていると後述する透明被膜形成用塗布液に均一に高分散するとともに安定性が向上し、基材との密着性、耐擦傷性、透明性等に優れた透明被膜を得ることができる。
微粒子特性
本発明の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の屈折率(NP)は1.66〜2.0、
さらには1.70〜1.90の範囲にあることが好ましい。この範囲の屈折率にあれば、基材とマトリックス成分との屈折率差を小さくできるので、干渉縞を抑制できる。
【0037】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の屈折率(NP)が低すぎると、基材の屈折率が1.62以上と高く、マトリックス成分の屈折率が1.5以下と低い場合、基材の屈折率(NS)と透明被膜の屈折率(NH)の屈折率差を0.01以下にできない場合があり、干渉縞を生じる場合がある。五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の屈折率(NP)が上記上
限を超えるものは、酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムの被覆量を前記範囲より増加させる必要があり、この場合導電性が不充分となり、得られる透明被膜の帯電防止性能が不充分となる。
【0038】
本発明における粒子の屈折率は、マトリックス形成成分と五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とを、固形分としての重量比(マトリックス成分:五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子)がそれぞれ100:0、80:20、60:40、40:60、80:20、95:5となるように混合し、かつ全固形分濃度を30重量%に調整した塗布液を調製し、シリコーンウェハー上に塗布し、乾燥し、硬化して透明被膜を形成し、各透明被膜の屈折率をエリプソメーターで測定し、屈折率と粒子の混合割合をプロットし、外挿法によって五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が100重量%のときの屈折率として求めた。
【0039】
本発明の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の体積抵抗値が1〜106Ω・cm、さ
らには10〜5×105Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
【0040】
この範囲で、五酸化アンチモン微粒子の平均粒子径や、リン酸化物の含有量を調整することで、被膜の体積抵抗値を所望のに調整することが可能である。
【0041】
たとえば、第1の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子、すなわち単粒子の五酸化アンチモン微粒子を使用した場合の体積抵抗値が、通常102〜106Ω・cm、さらには102〜5×105Ω・cmの範囲にある。なお、リン酸化物を含有する場合、導電性が向上するため、五酸化アンチモン微粒子の体積抵抗値は102〜105Ω・cm、さらには102
〜5×104Ω・cmの範囲にある。
【0042】
第2の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子、すなわち鎖状の五酸化アンチモン微粒子を使用した場合の体積抵抗値は、1〜104Ω・cm、さらには1〜5×103Ω・cmの範囲にある。鎖状粒子にすることで、連結部によって、粒子間の抵抗が低減され、導電性が向上する。さらに、このような鎖状粒子にリン酸化物が含まれていると、さらに導電性が向上するため、第2の酸化アンチモン系複合酸化物微粒子にリン酸化物が含有される場合、体積抵抗値は1〜103Ω・cm、さらには1〜5×102Ω・cmの範囲にある。
【0043】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の体積抵抗値を前記範囲の下限よりも低くすることは困難である。体積抵抗値を前記範囲の上限以上にすると、従来の五酸化アンチモン微粒子の体積抵抗値と大きく変わらず、導電性を向上させる効果、帯電防止性能を向上させる効果が充分得られない場合がある。
【0044】
本発明での体積抵抗値(Ω・cm)は、セラミックス製セル(内部に円柱状のくりぬき
(断面積:0.5cm2)を有する)を用い、まず、架台電極上にセルを置き、内部に試
料粉体を充填し、円柱状突起を有する上部電極の突起を挿入し、油圧機にて上下電極を加圧し、100kg/cm(9.80MPa)加圧時の抵抗値(Ω)と試料の高さ(cm)を測定し、抵抗値(Ω)に断面積を乗じ、これを高さで除することによって求めることができる。試料粉体は、分散液を100℃で24時間乾燥して得た粉体を用いる。
製造方法
本発明にかかる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の製造方法は、屈折率を調整でき、前記導電性を有し、凝集することなく単分散した粒子が得られ、後述する透明被膜形成用塗布液に均一に高分散する粒子が得られれば特に制限はないが、以下の方法が推奨される。
【0045】
五酸化アンチモン微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子等の五酸化アンチモン系微粒子分散液に、
(1)酸化チタンゾルおよび/または酸化ジルコニウムゾルを添加し、熟成する方法、
(2)水酸化チタンゲル(酸化チタン水和物)および/または水酸化ジルコニウムゲル(酸化ジルコニウム水和物)を添加し、熟成する方法、
(3)水酸化チタンゲル(酸化チタン水和物)および/または水酸化ジルコニウムゲル(酸化ジルコニウム水和物)を過酸化水素で溶解した溶液を添加し、熟成する方法
等が挙げられる。
【0046】
この場合、添加されるいずれの酸化チタン源および/または酸化ジルコニウム源も陽イオン、陰イオン、および電解質を実質的に含まないことが重要である。電解質等が含まれていると、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が凝集し(鎖状とは異なる)、本発明の透明被膜形成用塗布液に用いると透明被膜の耐擦傷性、強度、透明性等が問題となる。
【0047】
また、ゾルを用いる場合、平均粒子径は五酸化アンチモン系微粒子の粒子径より小さいことが好ましい。
【0048】
過酸化水素溶解溶液を用いる場合、溶解後、加熱熟成して用いることが好ましい。加熱熟成すると、溶解が促進するとともに、温度が高温になると酸化チタンあるいは酸化ジルコニウムのゾルが生成する。
【0049】
上記した酸化チタン源および/または酸化ジルコニウム源を用いると、五酸化アンチモン系微粒子の導電性を大きく低下することなく、凝集することなく、屈折率の調整された五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を調製することができる。
【0050】
酸化チタン源および/または酸化ジルコニウム源の添加量は、得られる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子中の五酸化アンチモン微粒子100重量部に対し、TiO2および/またはZrO2として0.5〜100重量部、さらには1〜80重量部の範囲となるように
添加する。
【0051】
酸化チタン源および/または酸化ジルコニウム源の添加量が少ないと、所望の屈折率に調整できない場合があり、添加量が多すぎても、体積抵抗値が大きく上昇し、導電性が不充分となる場合がある。
【0052】
酸化チタン源および/または酸化ジルコニウム源を添加後、熟成するが、温度は50〜300℃、さらには80〜250℃の範囲にあることが好ましい。
【0053】
熟成温度が低すぎると、酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムで五酸化アンチモン微粒子を均一に被覆することができない場合がある。また、熟成温度が高すぎても、得
られる五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が、単分散した粒子でもなく、鎖状の粒子でもなく、凝集した粒子が生成するとともに体積抵抗値が高くなり、本発明の透明被膜に用いた場合、導電性が不充分となるとともに、基材との密着性、透明性等が低下する。
【0054】
また、熟成時間は、温度によっても異なるが、1〜24時間、さらには2〜20時間の範囲にあることが好ましい。
【0055】
なお、リン酸化物を含有させる場合、通常、被覆前の五酸化アンチモン微粒子、鎖状五酸化アンチモン微粒子に含有される。リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子、リン酸化物含有鎖状五酸化アンチモン微粒子は、前記した五酸化アンチモン微粒子分散液、鎖状五酸化アンチモン微粒子分散液にリン酸化合物を添加し、乾燥することによって調製することができる。
【0056】
なお、リン酸化合物としてはリン酸(オルトリン酸)、メタリン酸、リン酸アンモニウム等のリン化合物を用いることもできるが、これらのうちリン酸(オルトリン酸)が好適に採用される。
【0057】
このときの、五酸化アンチモン微粒子分散液の濃度は特に制限はないが概ね1〜30重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲の分散液濃度であれば、生産性高く、また、粒子の凝集といった問題点もない。また、分散液の温度は特に制限はないが、通常常温で行う。
【0058】
リン酸の添加量は、得られるリン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子中のリン酸化物の含有量がP25として0.1〜15重量%となるように添加する。
【0059】
リン酸を添加した後、必要に応じて撹拌を継続することが好ましい。
【0060】
ついで、濾過し、分離し、乾燥または加熱処理し、リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子を得ることができる。
【0061】
乾燥、加熱処理方法は特に制限はなく、従来公知の方法で乾燥、加熱処理することができる。
【0062】
乾燥条件は、リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子中の付着水を除去でき、導電性を発現する結晶水を保持していればよく、概ね80〜110℃で0.5〜12時間である。
【0063】
加熱処理は概ね110〜250℃で概ね0.5〜2時間である。加熱処理温度が高温になりすぎると、リンが五酸化アンチモン微粒子の結晶にドーピングされるためか、得られるリン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子が黄色に変色する傾向があり、場合によっては体積抵抗値が低くならず、透明導電性被膜に用いるには不向きである。
【0064】
このようにして、前記した本発明に係る五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を製造することができる。
【0065】
得られた五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子分散液は、必要に応じて前記した有機珪素化合物による表面処理あるいは有機樹脂により被覆をして用いることができる。
【0066】
また、後述する塗料に用いるために所望の分散媒に溶媒置換して用いることができる。溶媒置換の方法としては、通常、限外濾過膜法が採用される。
【0067】
[透明被膜形成用塗布液]
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、前記五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子と有機樹脂マトリックス形成成分と分散媒とを含んでなることを特徴としている。
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子としては前記した五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が用いられる。
マトリックス形成成分
マトリックス形成成分としては、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分または有機樹脂マトリックス形成成分を用いることができるが、本発明では有機樹脂マトリックス形成成分が好適に用いられる。
【0068】
シリコーン系マトリックス形成成分としては、前記式(1)で表される有機ケイ素化合
物およびその加水分解・重縮合物が使用される。
【0069】
有機樹脂マトリックス形成成分として、具体的には塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のいずれも採用することができる。たとえば、従来から用いられているポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
【0070】
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
【0071】
本発明では電子線硬化型樹脂が好適に用いられる。
【0072】
なおマトリックス形成成分の種類に応じて、適宜、硬化触媒を含んでいても良い。
【0073】
分散媒
本発明に用いる分散媒としては前記マトリックス形成成分、必要に応じて用いる硬化触媒を溶解あるいは分散できるとともに前記した五酸化アンチモン微粒子を均一に分散することができれば特に制限はなく、従来公知の溶媒を用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用することもできる。
【0074】
透明膜形成用塗布液の濃度は、全固形分として1〜60重量%、さらには2〜40重量
%の範囲にあることが望ましい。固形分濃度がこの範囲にあれば、所望の透明被膜を効率よく作製できる。なお、固形分濃度が低すぎると、1回の塗布で厚膜の透明導電性被膜を得ることが困難な場合があり、繰り返し塗布、乾燥を繰り返すと、膜の強度が低下したり、経済性が低下する問題がある。また、固形分濃度が高すぎても、塗布液自体の粘度が高くなり、塗布性が低下したり、得られる透明被膜のヘーズが高くなったり、耐擦傷性が不充分となる場合がある。
【0075】
透明被膜形成用塗布液中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の濃度は固形分として0.5〜57重量%、さらには1〜45重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、目的とする五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子を配合する効果が十分に発現される。
【0076】
透明被膜形成用塗布液中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が少なすぎると、耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合があり、また、屈折率を高めることができず、基材の種類(屈折率)、マトリックス成分の種類(屈折率)によっては干渉縞を生じる場合があり、さらに、導電性が不充分となり、得られる透明被膜付基材の帯電防止性能が不充分となる場合がある。五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が多すぎても、マトリックス成分が少なくなるために透明被膜の耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合があり、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の屈折率によっては干渉縞を生じる場合がある。
【0077】
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は固形分として0.5〜57重量%、さらには1〜45重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、透明被膜と基材の密着性を高くでき、しかも透明被膜の耐擦傷性が高く、しかも導電性を阻害することもない。
【0078】
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分が少なすぎると、マトリックス形成成分が少なくなるために透明被膜の耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合がある。またマトリックス形成成分が多すぎても五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が少なくなるために導電性が不充分となり、得られる透明被膜付基材の帯電防止性能が不充分となる場合があり、また、耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合がある。また、基材の種類(屈折率)、マトリックス成分の種類(屈折率)によっては干渉縞を生じる場合がある。
【0079】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とマトリックス形成成分との重量比は、(五酸化アンチモン:マトリックス形成成分)=(1:99)〜(70:30)、好ましくは(5:95)〜(63:35)の範囲にあることが望ましい。この範囲にあれば、帯電防止性および耐擦傷性がバランスよく優れ、しかも密着性にもすぐれた透明被膜を形成できる。
【0080】
このような塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で前記した基材に塗布し、乾燥し、加熱処理、紫外線照射等によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
【0081】
[透明被膜付基材]
本発明に係る透明被膜付基材は、基材と、基材の一方の表面上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が前記五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とマトリックス成分とを含んでなることを特徴としている。
【0082】
基材
本発明に用いる基材としては、従来公知のガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
PP、PE、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等を用いることができる。
【0083】
なかでもPET等などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリエーテルスルフォン系樹脂基材などが好適に用いられる。
【0084】
本発明に用いる基材の屈折率(NS)は1.55〜1.75、さらには1.58〜17
0の範囲にあることが好ましい。この範囲の屈折率にある基材と、上記五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とを組合わせることによって、基材の屈折率(NS)との屈折率差が
小さいので透明被膜の屈折率の調整が容易となり干渉縞を抑制することができる。
【0085】
基材の屈折率(NS)が前記範囲にない場合は、本発明の五酸化アンチモン系複合酸化
物微粒子を用いても透明被膜の屈折率の調整が困難で、基材の屈折率(NS)との屈折率
差を小さくすることができず、干渉縞を抑制することができない場合がある。
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子としては前記した五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が用いられる。
【0086】
マトリックス成分
マトリックス成分としては、前記シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分の硬化物または前記有機樹脂マトリックス形成成分の硬化物が用いられる。
【0087】
本発明では前記した有機樹脂マトリックス形成成分の硬化物が好適に用いられる。なかでも、電子線硬化型樹脂が好適に用いられる。
【0088】
前記透明被膜中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の含有量が固形分として5〜95重量%の範囲にあり、マトリックス成分の含有量が5〜95重量%の範囲にあることが好ましい。
【0089】
透明被膜中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が少なすぎれば、前記したように、耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合があり、また、屈折率を高めることができず、基材の屈折率、マトリックス成分の屈折率によっては干渉縞を生じる場合があり、さらに、導電性が不充分となり、得られる透明被膜付基材の帯電防止性能が不充分となる場合がある。透明被膜中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子が多すぎても、マトリックス成分が少なくなるために透明被膜の耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合があり、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の屈折率によっては干渉縞を生じる場合がある。
【0090】
本発明では、透明被膜の屈折率(NH)は1.55〜1.75、さらには1.58〜1
.70の範囲にあることが好ましい。透明被膜の屈折率(NH)が前記範囲にない場合は
、本発明に好適に用いる基材の屈折率(NS)との屈折率差が大きく、干渉縞を生じる問
題がある。
【0091】
また、透明被膜の屈折率(NH)と基材の屈折率(NS)と透明被膜の屈折率(NH)の
屈折率差が0.01以下とすることが好ましい。
【0092】
なお、透明被膜はマトリックス成分と五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とから構成されており、マトリックス成分の屈折率、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の屈折率およびこれらの配合量を、基材の屈折率(NS)と透明被膜の屈折率(NH)の屈折率差が
0.01以下となるように調整する。この屈折率差が0.01以下であれば干渉縞のない透明被膜付基材を得ることができる。
【0093】
さらに、本発明の透明被膜は、表面抵抗値が106〜1013Ω/□、さらには106〜109Ω/□の範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば帯電防止性能に優れた透明被
膜が得られる。
【0094】
本発明によれば、五酸化アンチモン系微粒子を使用しているので、表面抵抗値を前記下限未満にすることは困難であり、得られたとしても耐擦傷性、基材との密着性が不充分となる場合がある。表面抵抗値が高すぎると、帯電防止性能が不充分となる場合がある。
【0095】
本発明の透明被膜の膜厚は、特に制限されないが、通常、0.1〜20μm、さらには0.2〜15μmの範囲にあることが好ましい。
【0096】
透明被膜の膜厚が薄すぎると、帯電防止性能が不充分となる場合があり、また、透明導電性被膜表面に加わる応力を充分吸収することがでないために、耐擦傷性が不充分となる。透明被膜を厚くしすぎると、膜の厚さが均一になるように塗布したり、均一に乾燥することが困難となり、さらに収縮が大きくなるので基材の種類によってはカーリング(透明被膜付基材が湾曲)が生じることがある。また、膜厚が厚すぎて透明性が不充分となることがある。
【0097】
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)分散液の調製
i)五酸化アンチモン微粒子の調製
純水800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85%)25gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(日本精鉱(株):PATOX-M、純度98.5%)50gを懸濁した。この
懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、濃度35重量%)15gを純水50gで希釈した水溶液を9時間で添加し、三酸化アンチモンを溶解し、その後、11時間熟成した。ついで、冷却後、得られた溶液から800gをとり、この溶液を純水4800gで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk−216)でpHが2.8になるまで脱イオン処理を行った。脱イオン処理して得られた溶液を温度70℃で10時間熟成してSb25として濃度1重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分
散液を得た。
【0098】
五酸化アンチモン微粒子(1)の平均粒子径は20nm、粒子の屈折率は1.65、体積
抵抗値は1000Ω・cmであった。
【0099】
ii)酸化チタン複合化
温度40℃に調製した濃度4重量%のアンモニア水溶液537.7gを撹拌しながら、TiO2として濃度15重量%の四塩化チタン水溶液173.3gを添加して中和して、TiO2ヒドロゲルスラリーを調製した。
【0100】
ついで、45℃で1時間熟成した後、濾過し、温水を充分掛け水して洗浄した。洗浄したゲルの濃度はTiO2として10重量%であった。
【0101】
得られたチタニアゲル100gを水でTiO2として2重量%に希釈した。ついで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、濃度35重量%)14gを添加し、室温で1時間攪拌し
てチタニアゲルを溶解し、70℃で5時間熟成して、濃度2重量%のペルオキソチタン酸水溶液を調製した。
【0102】
ついで、上記で調製した濃度1重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分散液1000g
に濃度2重量%のペルオキソチタン酸水溶液150gを添加し、155℃で10時間加熱処理して固形分濃度1.15重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)水分散液
を調製した。五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)の平均粒子径は22nm、粒子の
屈折率は1.772、体積抵抗値は3000Ω・cmであった。ついで、限外濾過膜で固形分として濃度14重量%まで濃縮した。
【0103】
iii)表面処理
次に、濃縮した五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)水分散液1000gにメタノ
ール1000gを添加して7%に希釈し、テトラエトキシシランを31.1g添加し、50℃で4時間攪拌した。ついで、限外濾過膜でメタノールに置換し、その後固形分濃度30.5重量%まで濃縮した。
【0104】
得られた固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)メタノ
ール分散液100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(
株)製:KBM−503、SiO2成分81.9重量%)1.1gを混合し、50℃で19時間攪拌する。その後、イソプロピルアルコールに溶剤置換して、固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)分散液を得た。
【0105】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)の平均粒子径は22nm、粒子の屈折率は1
.772、体積抵抗値は3000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(1)の調製
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)分散液4.92gに紫外線硬化樹脂(DIC(株)製:ユニデック17−824−9、固形分濃度79重量%)1.90gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリンTPO、プロピレングリコールモノメチル
エーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)0.90g及びPGME2.28gとを充分に混合して固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
透明被膜付基材(1)の製造
透明被膜形成用塗布液(1)をポリカーボネート(PC)フィルム(レキサンフィルム8010、旭硝子(株)製:屈折率1.580)にバーコーター法(♯12)で塗布し、80℃で
1分間乾燥した後、高圧水銀灯(600mJ/cm2)を照射して硬化させ、透明被膜付
基材(1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。
【0106】
この透明被膜付基材(1)の全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、密着性、鉛筆硬
度、耐擦傷性を表1に示す。全光線透過率およびヘーズは、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製)により、表面抵抗は表面抵抗計(三菱化学(株)製:HIRESTA)により
、反射率は反射率計(オリンパス(株)製:ORIMPAS USPM−RU)で測定し、結果を表1に示した。透明被膜の屈折率は以下のように測定し、結果を表1に示す。
屈折率
透明被膜形成用塗布液(1)をシリコーンウェハー上に塗布し、乾燥し、硬化して透明被
膜を形成し、透明被膜の屈折率をエリプソメーターで測定した。
【0107】
また、干渉縞、鉛筆硬度、密着性及び耐擦傷性を以下のように評価した。
鉛筆硬度
鉛筆硬度は、JIS K 5400に準じて、鉛筆硬度試験器で測定した。即ち、透明導電性被膜表面に対して45度の角度に鉛筆をセットし、所定の加重を負荷して一定速度で引っ張り、傷の有無を観察した。
耐擦傷性の測定
#0000スチールウールを用い、荷重1000g/cm2で20回摺動し、膜の表面
を目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
【0108】
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる :○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
密着性
透明被膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け1
00個の升目を作り、これにセロファンテープを接着し、次いで、セロファンテープを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の3段階に分類することによって密着性を評価した。結果を表1に示す。
【0109】
残存升目の数90個以上 :◎
残存升目の数85〜89個:○
残存升目の数84個以下 :△
干渉縞
透明被膜付基材(1)の干渉縞の有無を観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示
す。
【0110】
干渉縞は認められない : ◎
干渉縞は殆ど認められない : ○
干渉縞が僅かに認められる : △
干渉縞が明らかに認められる: ×
[実施例2]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(2)分散液の調製
i)水酸化ジルコニウム過酸化水素溶解溶液の調製
純水1,300gにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(ZrOCl2・8H2O)35gを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液123gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲルスラリー(ZrO2濃度1重量%)を調製した。ついで、限外濾過膜法で電導度が0.5
μS/cm以下になるまで洗浄した。
【0111】
ii)酸化ジルコニウム複合化
得られたジルコニアゲルスラリー10gを水でZrO2濃度2重量%に希釈した。つい
で、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、濃度35重量%)1.4gを添加し、室温で1時間攪拌してジルコニアゲルを溶解し、70℃で5時間熟成して、ZrO2濃度2重量%
の水酸化ジルコニウム過酸化水素溶解溶液を調製した。
【0112】
ついで、実施例1と同様にして調製した濃度1重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分
散液1000gに濃度2重量%の水酸化ジルコニウム過酸化水素溶解溶液150gを添加し、155℃で10時間加熱処理して固形分濃度1.15重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(2)水分散液を調製した。五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(2)の平均粒子径は22nm、粒子屈折率は1.737、体積抵抗値は3000Ω・cmであった。
【0113】
iii)表面処理
ついで、実施例1と同様にしてテトラエトキシシラン、ついでγ-メタアクリロオキシ
プロピルトリメトキシシラにより表面処理をし、イソプロピルアルコールに溶剤置換等して固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(2)分散液を得た。
【0114】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(2)の平均粒子径は22nm、粒子の屈折率は1
.737、体積抵抗値は3000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(2)の調製
実施例1において、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(2)分散液4.92gを用い
た以外は同様にして固形分濃度30重量%透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。
透明被膜付基材(2)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(2)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(2)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例3]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(3)分散液の調製
i)リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子の調製
実施例1と同様にして固形分濃度1重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分散液を調製
した。ついで、限外濾過膜で濃縮した固形分濃度14重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分散液2100gにリン酸水溶液(関東化学(株)製:濃度85重量%)を、常温で7
分かけて25g添加し、13分攪拌した。その後、バットへ取り出し90℃で18時間乾燥した。
【0115】
乾燥した粉末をメノウで解砕し、さらに110℃で12時間乾燥してリン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(3)を得た。リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(1)のリン酸の含有量はP25として5重量%、平均粒子径は20nm、粒子の屈折率は1.65、体積抵抗値は500Ω・cmであった。
【0116】
得られたリン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(3)を純水に分散させ、ガラスビーズ
628gを入れたビーズミルに充填し、分散処理をして固形分濃度30重量%のリン酸化物酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(3)分散液を調製した。
【0117】
ii)酸化チタン複合化
ついで、リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(3)分散液を10gを水で1%に希釈
して1000gにし、実施例1と同様にして調製した濃度2重量%のペルオキソチタン酸水溶液150gを添加し、155℃で10時間加熱処理して固形分濃度1.15重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(3)分散液を調製した。五酸化アンチモン系複合酸
化物微粒子(3)の平均粒子径は22nm、屈折率は1.772、体積抵抗値は1000Ω
・cmであった。
【0118】
iii)表面処理
ついで、実施例1と同様にしてテトラエトキシシラン、ついでγ-メタアクリロオキシ
プロピルトリメトキシシラにより表面処理をし、イソプロピルアルコールに溶剤置換等して固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(3)分散液を得た。
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(3)の平均粒子径は22nm、粒子の屈折率は1.
772、体積抵抗値は1000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(3)の調製
実施例1において、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(3)分散液4.92gを用い
た以外は同様にして固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(3)を調製した。
透明被膜付基材(3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(3)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(3)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、
耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例4]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(4)分散液の調製
実施例3と同様にして固形分濃度1重量%のリン含有五酸化アンチモン微粒子(3)分散
液を調製した。ついで、リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(3)分散液1000gに
、実施例2と同様にして調製した濃度2重量%の水酸化ジルコニウム過酸化水素溶解溶液150gを添加した以外は同様にして固形分濃度1.15重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(4)分散液を調製した。
【0119】
得られた五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(4)の平均粒子径は22nm、屈折率は
1.737、体積抵抗値は1000Ω・cmであった。
【0120】
ついで、実施例1と同様にしてテトラエトキシシラン、ついでγ-メタアクリロオキシ
プロピルトリメトキシシラにより表面処理をし、イソプロピルアルコールに溶剤置換等して固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(4)分散液を得た。
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(4)の平均粒子径は22nm、粒子の屈折率は1.
737、体積抵抗値は1000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(4)の調製
実施例1において、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(4)分散液4.92gを用い
た以外は同様にして固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(4)を調製した。
透明被膜付基材(4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(4)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(4)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例5]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(5)分散液の調製
i)鎖状リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子の調製
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(日本精鉱(株):PATOX-M、純度98.5%)111gを懸濁した
。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、濃度35重量%)32.8gを純水111gで希釈した水溶液を9時間で添加し、三酸化アンチモンを溶解し、その後、11時間熟成した。ついで、冷却後、得られた溶液から1000gを採り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂槽(三菱化学(株)製:pk−216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.1、伝導度は2.4mS/cmであった。
【0121】
ついで、陰イオン交換樹脂槽(三菱化学(株)製:SA−20A)に通してpHが2.5、伝導度が1.0mS/cmになるまで脱イオン処理を行った。
【0122】
脱イオン処理して得られた溶液を温度70℃で10時間熟成した後、限外膜で濃縮して固形分濃度14重量%の鎖状の五酸化アンチモン微粒子(5)分散液を調製した。この五酸
化アンチモン微粒子(5)分散液のpHは3.0、伝導度が0.1mS/cmであった。
【0123】
鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)の平均粒子径は15nm、連結数は5であった。
【0124】
ついで、固形分濃度14重量%の鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)分散液2100gに
リン酸水溶液(関東化学(株)製:濃度85重量%)を、常温で7分かけて25g添加し、13分攪拌した。その後、バットへ取り出し90℃で18時間乾燥した。乾燥粉末をメノウで解砕し、さらに110℃で12時間乾燥して鎖状リン酸化物含有五酸化アンチモン
微粒子(5)を得た。鎖状リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(5)のリン酸化物の含有量はP25として5重量%、体積抵抗値は10Ω・cmであった。得られた鎖状リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(5)を純水に分散させ、ガラスビーズ628gを入れたビー
ズミルに充填し、分散処理をして固形分濃度30重量%の鎖状リン含有五酸化アンチモン微粒子(5)分散液を調製した。
【0125】
ii)酸化チタン複合化
ついで、鎖状リン酸化物含有五酸化アンチモン微粒子(5)分散液1000gに、実施例
1と同様にして調製した濃度2重量%のペルオキソチタン酸水溶液150gを添加し、155℃で10時間加熱処理して固形分濃度1.15重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(5)分散液を調製した。
【0126】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(5)の平均粒子径は17nm、連結数は5であっ
た。
【0127】
また、粒子の屈折率は1.772で、体積抵抗値は500Ω・cmであった。
【0128】
ついで、実施例1と同様にしてテトラエトキシシラン、ついでγ-メタアクリロオキシ
プロピルトリメトキシシラにより表面処理をし、イソプロピルアルコールに溶剤置換等して固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(5)分散液を得た。
【0129】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(5)の平均粒子径は17nm、連結数は5であっ
た。
【0130】
また、屈折率は1.772で、体積抵抗値は500Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(5)の調製
実施例1において、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(5)分散液4.92gを用い
た以外は同様にして固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(5)を調製した。
透明被膜付基材(5)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(5)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(5)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(5)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
【0131】
[実施例6]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(6)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した濃度1重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分散液10
00gに濃度2重量%のペルオキソチタン酸水溶液50gを添加し、155℃で10時間加熱処理して濃度1重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(6)分散液を調製した

【0132】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(6)の平均粒子径は21nm、屈折率は1.69
7、体積抵抗値は2000Ω・cmであった。
【0133】
ついで、実施例1と同様にしてテトラエトキシシラン、ついでγ-メタアクリロオキシ
プロピルトリメトキシシラにより表面処理をし、イソプロピルアルコールに溶剤置換等して固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(6)分散液を得た。
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(6)の平均粒子径は21nm、屈折率は1.697
、体積抵抗値は2000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(6)の調製
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)分散液5.90gに紫外線硬化樹脂(DIC(株)製:ユニデック17−824−9、固形分濃度79重量%)1.52gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリンTPO、プロピレングリコールモノメチル
エーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)0.72g及びPGME1.86gとを充分に混合して固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(6)を調製した。
透明被膜付基材(6)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(6)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(6)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。
【0134】
透明被膜付基材(6)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干
渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例7]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(7)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した濃度1重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分散液10
00gに濃度2重量%のペルオキソチタン酸水溶液250gを添加し、155℃で10時間加熱処理して濃度1.7重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(7)分散液を調
製した。
【0135】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(7)の平均粒子径は24nm、屈折率は1.87
8、体積抵抗値は5000Ω・cmであった。
【0136】
ついで、実施例1と同様にしてテトラエトキシシラン、ついでγ-メタアクリロオキシ
プロピルトリメトキシシラにより表面処理をし、イソプロピルアルコールに溶剤置換等して固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(7)分散液を得た。
【0137】
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(7)の平均粒子径は24nm、屈折率は1.87
8、体積抵抗値は5000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(7)の調製
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(7)分散液6.39gに紫外線硬化樹脂(DIC(株)製:ユニデック17−824−9、固形分濃度79重量%)1.33gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリンTPO、プロピレングリコールモノメチル
エーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)0.63g及びPGME1.65gとを充分に混合して固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(7)を調製した。
透明被膜付基材(7)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(7)を、易接着層付PETフィルム(東洋紡績(株)製:コスモシャインA4300)上に塗布した以外は同様にして透明被膜付基材(7)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。
【0138】
透明被膜付基材(7)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干
渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例8]
透明被膜形成用塗布液(8)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)分散液3.9
3gに紫外線硬化樹脂(DIC(株)製:ユニデック17−824−9、固形分濃度79重
量%)2.28gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリンTPO、
プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)1.08g及びPGME2.71gとを充分に混合して固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(8)を調製した。
透明被膜付基材(8)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(8)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(8)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(8)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例9]
透明被膜形成用塗布液(9)の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(1)分散液3.6
0gに紫外線硬化樹脂(新中村化学(株)製:NKエステルATM−4E、固形分濃度10
0重量%)0.53gと(新中村化学(株)製:NKエステルA−GLY−9E、固形分濃
度100重量%)0.32gと(新中村化学(株)製:NKエステルA−200、固形分濃
度100重量%)0.21gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリ
ンTPO、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)1.26g及びPGME1.30gとを充分に混合して固形分濃度30.1重量%の透明被膜形成用塗布液(9)を調製した。
透明被膜付基材(9)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(9)を用いた以外は同様にして透明被膜付基
材(9)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(9)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[実施例10]
五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(10)分散液の調製
実施例1において、iii)の表面処理をしなかった以外は同様にして五酸化アンチモン系
複合酸化物微粒子(10)分散液を得た。
透明被膜形成用塗布液(10)の調製
実施例1において、五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子(10)分散液4.92gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(10)を調製した。
透明被膜付基材(10)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(10)を用いた以外は同様にして透明被膜付材(10)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。
【0139】
透明被膜付基材(10)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例1]
五酸化アンチモン微粒子(1)分散液の調製
実施例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子(1)分散液を限外濾過膜で固形
分として濃度14重量%まで濃縮した。
【0140】
次に、濃縮した五酸化アンチモン微粒子(1)水分散液1000gにメタノール1000
gを添加して7%に希釈し、テトラエトキシシランを31.1g添加し、50℃で4時間攪拌した。ついで、限外濾過膜でメタノールに置換し、その後固形分濃度30.5重量%まで濃縮した。
【0141】
ついで、固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)メタノール分散液1
00gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KB
M−503、SiO2成分81.9重量%)1.1gを混合し、50℃で19時間攪拌する。その後、イソプロピルアルコールに溶剤置換して、固形分濃度30.5重量%の五酸化アンチモン微粒子(1)分散液を得た。五酸化アンチモン微粒子(1)の平均粒子径は20nm、粒子の屈折率は1.65、体積抵抗値は1000Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(R1)の調製
実施例1において、五酸化アンチモン微粒子(1)分散液4.92gを用いた以外は同様
にして固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(R1)を調製した。
透明被膜付基材(R1)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R1)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(R1)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例2]
鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)分散液の調製
実施例5と同様にして固形分濃度14重量%の鎖状の五酸化アンチモン微粒子(5)分散
液を調製した。
【0142】
次に、濃縮した鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)水分散液1000gにメタノール10
00gを添加して7%に希釈し、テトラエトキシシランを31.1g添加し、50℃で4時間攪拌した。ついで、限外濾過膜でメタノールに置換し、その後固形分濃度30.5重量%まで濃縮した。
【0143】
ついで、固形分濃度30.5重量%の鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)メタノール分散
液100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:
KBM−503、SiO2成分81.9重量%)1.1gを混合し、50℃で19時間攪拌する。
【0144】
その後、イソプロピルアルコールに溶剤置換して、固形分濃度30.5重量%の鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)分散液を得た。
【0145】
鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)の平均粒子径は15nm、連結数は5、粒子の屈折率
は1.65、体積抵抗値は10Ω・cmであった。
透明被膜形成用塗布液(R2)の調製
実施例1において、鎖状の五酸化アンチモン微粒子(5)分散液4.92gを用いた以外
は同様にして固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(R2)を調製した。
透明被膜付基材(R2)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R2)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R2)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。
【0146】
透明被膜付基材(R2)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例3]
透明被膜形成用塗布液(R3)の調製
比較例1と同様にして調製した五酸化アンチモン微粒子(1)分散液6.89gに紫外線
硬化樹脂(DIC(株)製:ユニデック17−824−9、固形分濃度79重量%)1.1
4gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリンTPO、プロピレング
リコールモノメチルエーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)0.54g及びPGME1.44gとを充分に混合して固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(R3)を調製した。
透明被膜付基材(R3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R3)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(R3)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
[比較例4]
透明被膜形成用塗布液(R4)の調製
比較例2と同様にして調製した鎖状五酸化アンチモン微粒子(5)分散液6.89gに紫
外線硬化樹脂(DIC(株)製:ユニデック17−824−9、固形分濃度79重量%)1
.14gと光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン(株)製:ルシリンTPO、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル(PGME)で固形分濃度10%に溶解)0.54g及びPGME1.44gとを充分に混合して固形分濃度30重量%の透明被膜形成用塗布液(R4)を調製した。
透明被膜付基材(R4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(R4)を調製した。このときの透明被膜の厚さは3μmであった。透明被膜付基材(R4)について、全光線透過率、ヘーズ、表面抵抗、反射率、屈折率、干渉縞、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性を評価し、結果を表1に示す。
【0147】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子と、
該微粒子表面を被覆した酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム層とからなることを特徴とする五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
【請求項2】
平均粒子径が5〜50nmの範囲にある五酸化アンチモン微粒子が鎖状に連結し、平均連結数が2〜30個の範囲にある鎖状五酸化アンチモン微粒子と、
該微粒子表面を被覆した酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム層とからなることを特徴とする五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
【請求項3】
前記五酸化アンチモン微粒子がリン酸化物をP25として0.1〜15重量%の範囲で含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
【請求項4】
前記酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムの被覆量が、五酸化アンチモン微粒子100重量部に対して、TiO2、ZrO2として、0.5〜100重量部の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
【請求項5】
屈折率(NP)が1.66〜2.0の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいず
れかに記載の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子と有機樹脂マトリックス形成成分と分散媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
【請求項7】
塗布液中の前記五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の濃度が、固形分として0.5〜57重量%の範囲にあり、
前記有機樹脂マトリックス形成成分の濃度が固形分として0.5〜57重量%の範囲にあり、
全固形分の濃度が1〜60重量%の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の透明被膜形成用塗布液。
【請求項8】
前記有機樹脂マトリックス形成成分が電子線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載の透明被膜形成用塗布液。
【請求項9】
基材と、基材の一方の表面上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が請求項1〜5のいずれかに記載の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子とマトリックス成分とを含んでなることを特徴とする透明被膜付基材。
【請求項10】
前記透明被膜中の五酸化アンチモン系複合酸化物微粒子の含有量が固形分として5〜95重量%の範囲にあり、マトリックス成分の含有量が5〜95重量%の範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の透明被膜付基材。
【請求項11】
前記基材の屈折率(NS)が1.55〜1.75の範囲にあり、前記透明被膜の屈折率
(NH)が1.55〜1.75の範囲にあり、基材の屈折率(NS)と透明被膜の屈折率(NH)の屈折率差が0.01以下であることを特徴とする請求項9または10に記載の透
明被膜付基材。
【請求項12】
前記透明被膜の表面抵抗値が106〜1013Ω/□の範囲にあることを特徴とする請求
項9〜11のいずれかに記載の透明被膜付基材。

【公開番号】特開2011−93754(P2011−93754A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250637(P2009−250637)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】