説明

亜硝酸C1−C4アルキルの製造方法

【課題】亜硝酸C1-C4アルキルの高い選択性という利点を備えた、亜硝酸C1-C4アルキルの新規な製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂触媒層及び/または多孔質充填剤層を反応器に仕込む工程、向流、並流、または横流式に、酸化窒素、酸素、及びC1-C4アルコールを原料として前記樹脂触媒層及び/または多孔質充填剤層に通す工程、0乃至150℃の反応温度、-0.09乃至1.5MPaの反応圧力、1-100:1のC1-C4アルカノール/酸化窒素のモル比、及び4-50:1の酸化窒素/酸素のモル比を含む反応条件下で反応させて亜硝酸C1-C4アルキルを含む廃液を得る工程を含み、前記酸化窒素がNO、あるいはNOとN2O3及びNO2から選択される1つもしくは複数とを含む混合ガスである、亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法、特に、COカップリングによるシュウ酸エステルの製造に有用な亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シュウ酸エステルは重要な有機化学物質であり、様々な染料、医薬品、重要な溶媒、抽出剤、及び中間体の製造のためにファインケミカル分野において広く使用されている。21世紀には、分解性の環境保護タイプのエンジニアリングプラスチックモノマーとして、シュウ酸エステルは、国際的に且つ広範に認識されている。更に、常圧でのシュウ酸エステルの加水分解によればシュウ酸を産生することができ、常圧でのシュウ酸エステルのアミノ分解によれば高品質の持続放出性肥料−オキサミドを産生することができる。シュウ酸エステルは、医薬品の製造のための溶媒、染料中間体等としても使用することができる。例えば、様々な縮合反応が、シュウ酸エステルを脂肪酸エステル、シクロヘキシルアセトフェノン、アミノアルコール、及び多数の複素環化合物と共に使用することによって実行可能である。シュウ酸エステルは、また、医薬品中のホルモンとしてのチミンの合成のために使用可能である。シュウ酸エステルの低圧水素化は、非常に重要な化学品原材料であるエチレングリコールの製造のために利用可能である。現在では、エチレングリコールは、石油ルーチンによる製造への依存度が高く、多大な費用がかかる。中国は、毎年多量のエチレングリコールを輸入しており、2007年の重大な量は、およそ4800000トンであった。
【0003】
シュウ酸エステルの製造のための従来法には、シュウ酸とアルコールとのエステル化による調製が含まれるが、これは製造コストが高く、エネルギー消費が多く、汚染性が高く、更に原材料の利用が適切でない。低コストであり、且つ環境に優しい処理ルートが求められている。1960年代には、D.F. Fenton of Integrated Oil Company, U.S.A.は、ジアルキルシュウ酸エステルが、CO、アルコール、及び酸素から、酸化及びカルボニル化によって直接合成しうることを見出した。その後、UBE Industries Ltd., Japan及びARCO, U.S.A.がこの分野で引き続き研究開発を行っている。
【0004】
開発経過から分かるように、CO酸化−カップリング法によるシュウ酸エステルの合成は、液相法及び気相法に分割することができる。CO液相法によるシュウ酸エステルの合成は、より厳しい条件を要し、この反応は高圧で行われ、装置は液相系によって容易に腐食し、更に、触媒は反応中に容易に失われる。COカップリングによるシュウ酸エステルの製造のためには気相法が有利である。次いで、UBE Industries Ltd., Japan及びMontedison S.P.A, Italyもまた、1978年に気相法についての研究を行ったが、UBE Industries Ltd.によって開発された気相触媒作用によるシュウ酸エステルの合成方法は、0.5MPaの圧力及び80-150℃の温度で行われる。
【0005】
シュウ酸エステルの合成のための反応操作は、以下の通りである。
カップリング反応:2CO + 2RONO → 2NO+(COOR)2 (1)
再生反応:2ROH + 0.5O2 + 2NO → 2RONO + H2O (2)
【0006】
上記方法によれば、こうした系の技術的な要所は、前記二工程の反応操作における、NO、RONO、ROHの、高い選択性及び高い有効性での適切な利用であることが理解できる。
【0007】
しかしながら、主要生成物である亜硝酸アルキル以外に、副反応、特に副生成物である硝酸の産生が、工程(2)の反応操作中にしばしば起こり、これによって必然的により多くのNOガスが消費され、エネルギー消費及びコストを増大させると同時に装置を腐食させるのが事実である。亜硝酸アルキルを如何に製造するかに関して多くの文献があるにも関わらず、如何にして亜硝酸アルキルの選択性を効果的に増大させ、且つ如何にしてより優れた方法で硝酸の副反応が起こることを回避するかについては、報告がほとんどない。
【0008】
CN200710060003.4には、気相法を用い、亜硝酸エチルの存在下、二元金属支持型触媒で触媒することによってCOをカップリングさせ、シュウ酸ジエチルの粗製の生成物を産生することを含む、COカップリングによるシュウ酸ジエチルの調製方法が開示されている。この反応は、自己密閉性の循環方法である。COガスは、再生容器由来の亜硝酸エチルと混合され、予備加熱されてカップリング容器に供給される。反応後、前記気体を凝縮し、分離して、無色透明なシュウ酸ジエチルの凝縮物を得る。NOを含む非凝縮気体を再生容器に再供給してエタノール及び酸素と反応させ、亜硝酸エチルを産生させ、更に、生じた亜硝酸エチルは継続利用のためにカップリング容器に再循環される。亜硝酸エチルの選択性は、この発明においては言及されていない。
【0009】
CN95116136.9には、シュウ酸エステルを合成するための触媒が開示されており、ここではZrが、液浸法によって新規なPd-Zr/Al2O3を開発するための助剤として使用されている。こうした触媒は、CO及び亜硝酸エステルから、気相触媒作用によって、固定床反応装置中でシュウ酸エステルを合成するために使用される。この特許文献もまた、亜硝酸エステルの選択性及び硝酸の副反応に対する阻害を含んでいない。
【0010】
樹脂触媒は、活性基を含み、合成機能を有し、且つ架橋高分子コポリマーとは異なる特性を有するイオン交換基を導入することによって生成されるポリマー材料である。樹脂触媒は、現在では多くの分野、例えば、浄水、化学品の脱色、触媒反応、例えば、水素化、オレフィンの異性化反応等において広く応用されている。しかしながら、亜硝酸アルキルのアルキル化に樹脂触媒を応用することについては全く報告されていない。
【0011】
更にまた、亜硝酸アルキルのアルキル化に多孔質充填剤層を応用することについては全く報告されていない。
【0012】
Imperial Chemical Industries Ltd, ICIは、特許出願EP0023745A3を提唱した。この特許は、吸着、脱着、蒸留などの処理に回転床が使用可能なことに言及しているが、工業スケールでの如何なる応用技術も開示してはいない。CN1064338Aは、回転床を使用する、油田の水の注入及び脱酸素のための方法を開示している。CN1116146Aには、高重力場での超微細粒子の製造方法が開示されている。
【0013】
1980年代初頭には、高重力技術が出現した。その内部機構については、依然研究が続いており、この応用についての研究及びその発展は絶えず進行しており、新たな応用分野が途絶えることなく開発されている。現在のところ、亜硝酸C1-C4アルキルの製造における回転床の応用については全く報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】CN200710060003.4
【特許文献2】CN95116136.9
【特許文献3】EP0023745A3
【特許文献4】CN1064338A
【特許文献5】CN1116146A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明によって解決しようとする技術的課題は、従来の文献における亜硝酸C1-C4アルキルの選択性が低いこと、並びに、亜硝酸C1-C4アルキルの高い選択性という利点を備えた、亜硝酸C1-C4アルキルの新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の技術的課題を解決するために、本発明における技術的解決法は以下の通りである:樹脂触媒層及び/または多孔質充填剤層を反応器に仕込む工程、向流、並流、または横流式に、酸化窒素、酸素、及びC1-C4アルコールを原料として前記樹脂触媒層及び/または多孔質充填剤層に通す工程、0乃至150℃の反応温度、-0.09乃至1.5MPaの反応圧力、1-100:1のC1-C4アルカノール/酸化窒素のモル比、及び4-50:1の酸化窒素/酸素のモル比を含む反応条件下で反応させて亜硝酸C1-C4アルキルを含む廃液を得る工程を含み、前記酸化窒素がNO、あるいはNOとN2O3及びNO2から選択される1つもしくは複数とを含む混合ガスである、亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。多孔質充填剤層が反応器中で使用される場合には、この反応器は、好ましくは、回転式高重力反応器である。
【0017】
好ましい一実施態様では、反応器は回転式高重量反応器であり、ここでは多孔質充填剤層が、回転式高重力反応器のローターに固定されている。別の好ましい実施態様では、樹脂触媒が、回転式高重力反応器のローターに更に固定されている。
【0018】
好ましい一実施態様では、樹脂触媒が反応器に仕込まれ、ここで、前記樹脂触媒は、好ましくは酸性イオン交換樹脂触媒である。
【0019】
好ましい一実施態様では、多孔質充填剤層は、例えば、不活性充填剤ウェブ、多孔質ウェブ、ステント、または多孔質プレート(例えば、ステンレススチール、耐食性ポリマー材料)である。
【0020】
好ましい一実施態様では、前記酸化窒素中にNO2が存在するとしても、前記酸化窒素中のNOのモル数は前記NO2のモル数よりも大きい。
【0021】
好ましい一実施態様では、反応温度は10乃至60℃の範囲、より好ましくは10乃至60℃の範囲であり、反応圧力は-0.05乃至1.0MPaの範囲、好ましくは-0.05乃至0.8MPaの範囲であり、酸化窒素に対するC1-C4アルカノールのモル比は1-50:1、より好ましくは1-20:1であり、更に、酸素に対する酸化窒素のモル比は4-20:1、より好ましくは4-10:1である。
【0022】
好ましい一実施態様では、回転式高重力反応器のローターは100乃至5000rpm、より好ましくは300乃至3000rpmの回転速度を有する。
【0023】
好ましい一実施態様では、C1-C4アルカノールは、メタノール、エタノール、及びn-プロパノールから成る群より、さらに好ましくはメタノールかエタノールから選択される。
【0024】
樹脂触媒は、活性基を含み、合成機能を有し、且つ架橋高分子コポリマーとは異なる特性を有するイオン交換基を導入することによって生成されるポリマー材料である。樹脂触媒は、現在では多くの分野、例えば、浄水、化学品の脱色、触媒反応、例えば、水素化、オレフィンの異性化反応等において広く応用されている。
【0025】
地球上の全ての物質が、重力によって地球に引き寄せられていることは周知である。高重力場は、地球の重力場よりも格段に大きな強度を有する環境である。高重力場における物質が受ける力は高重力と呼称され、高重力の科学原理を利用して作り出される実践的な技術は高重力技術と呼称される。
【0026】
高重力技術は、多相流移送及び反応過程を技術的に強化する新技術であり、中国国内でも海外でも広く認識されており、更に前世紀に発表されたことから環境保護及び物質生物化学の分野に広い商業的応用展望を有する。しかしながら、高重力技術は、現在は応用開発段階にあり、高重力気固流動技術及び高重力気液物質移動技術において具現化されている。
【0027】
地球の重力の数百乃至数千倍である高重力環境においては、大きな剪断力が、液体を剪断して、マイクロメートルもしくはナノメートルのスケールの液体膜、液体フィラメント、及び液滴とし、且つ、巨大な、迅速に更新される相界面を作り出すが、これは、気体-液体-接触非表面積を非常に増大させ、相間物質移動速度を従来のカラム装置におけるよりも1-3桁分上昇させ、且つ、微視的混合及び物質移動過程を非常に促進する。然るに、装置体積1単位当たりの生産効率は、1乃至2桁分増大する。
【0028】
高重力場を作り出す装置として、回転式高重力反応器は、通常、気体及び液体の入口パイプ、ローター、並びに気体及び液体の出口からなり、一般的には、多孔質充填剤層を有する。その操作原理は、気相は気体入口パイプからローターの外部キャビティに接線方向に導入され、気体の作用下でローターの外縁から充填剤中に供給される。液体は、液体入口パイプからローターの内部キャビティに供給され、噴霧器でローターの内縁上に噴霧される。ローター中の充填剤(もしくは触媒)の作用下で、ローターに供給された液体は、増大する軸方向の速度を有しており、且つ、生じる遠心力によってローターの外縁の方に押される。こうした過程の間、液体は充填剤(もしくは触媒)によって分散され、粉砕されて非常に大きく且つ継続的に更新される表面積をもたらし、ここでは複雑な流路が液体表面の更新を増幅させる。このようにして、非常に優れた物質移動及び反応条件がローター内部で成される。液体は、ローターにより外殻に飛ばされ、回収され、液体出口パイプを通って高重力器から除去される。気体はローターの中央からローターを離れ、気体出口パイプを経て排出されて、物質移動及び反応過程が終了する。
【0029】
研究により、亜硝酸アルキルを形成するための、酸化窒素と酸素及びアルコールとの酸化-アルキル化の間に、反応温度、反応圧力、滞留時間、酸化窒素、酸素、及びアルコールなどの混合方法を含む反応条件が、全て亜硝酸エステルの選択性に著しい効果を有することが判明している。特に、硝酸生成の副反応が起きることは、原材料中の酸化窒素からN2O4が生成する反応に密接に関連しており、したがって、技術的な要所は、N2O4の生成を回避することである。研究により、亜硝酸アルキルを製造するための酸化窒素と酸素及びアルコールとの酸化-アルキル化反応が、硝酸生成等の副反応がより遅い一方で、迅速な反応であることがさらに判明している。NO酸化-アルキル化反応の反応速度は、気液物質移動抵抗によって主に影響される。気液物質移動効率が有効に改善されれば、N2O4が生成する可能性を有効に低減して、硝酸生成等の副反応が起こることを更に回避することができる。酸化窒素と酸素及びアルコールとの酸化-アルキル化反応の特徴についての十分な研究に基づいて、本発明の技術的解決策は、選択性を向上させるために、更に高度反応性樹脂触媒及び/または多孔質充填剤層を提案する。好ましい一実施態様では、回転式高重力反応器が反応器として使用され、ここでは多孔質充填剤層が回転式高重力反応器のローターに固定されている。別のより好ましい実施態様では、回転式高重力反応器の、多孔質充填剤層を有するローターは、前記高度反応性樹脂触媒を更に有し、これによって気液物質移動速度を幾何学的な桁で大幅に改善して、一時反応を更に有効に促進し、且つ副反応を阻害して、NO等の原材料の利用率を増大させ、且つ亜硝酸エステルの選択性を非常に増大させる。
【0030】
本発明の好ましい技術的解決策の一つによれば、窒素、酸化物、酸素、及びC1-C4アルカノール等の原材料は、回転式高重力反応器中で、反応温度が10乃至60℃、反応圧力が-0.05乃至0.8MPa、酸化窒素に対するC1-C4アルカノールのモル比が1-20:1、酸素に対する酸化窒素のモル比が4-10:1、更に回転式高重力反応器のローターの回転速度が300乃至3000rpmであることを含む条件の下で、にて接触し、反応して亜硝酸C1-C4アルキルを含む廃液を生成し、もたらされる亜硝酸C1-C4アルキルの選択性は99%超となりうる。
【0031】
特記のない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似もしくは同等の方法及び原料が、本発明の実践もしくは試行に使用することができるが、適切な方法及び原料は以下に記載される。矛盾のある場合には、定義を含む本明細書が優先する。更に、原料、方法、及び実施例は、詳説するのみであり、限定を企図するものではない。
【0032】
本明細書中に使用されるように、「含む」なる語は、最終結果に影響を及ぼさない別の工程及び成分を添加可能であることを意味する。この語は、「からなる」及び「本質的に〜からなる」という語を包含する。
【0033】
本明細書全般に亘って、本発明の様々な態様は、範囲形式で表わしてよい。範囲形式での記載が単に便宜及び簡便性を目的としており、本発明の範囲に対する不動の限定と解されるべきでないことは理解されるべきである。よって、範囲の記載は、あらゆる可能な部分的範囲並びにその範囲内の各数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、範囲の記載、例えば1乃至6(1-6)は、例えば1乃至3、1乃至4、1乃至5、2乃至4、2乃至6、3乃至6等の部分的範囲、並びにこの範囲内の個別の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示していると解されるべきである。これは、範囲の広さによらず適用される。
【0034】
操作例(実施例)及び比較例における以外、あるいは特記のない限り、原料の量または反応の条件、原料の物理特性、及び/または使用を示す、本明細書中の全ての数は、「約」なる語により修正されると解される。本明細書中に数値範囲が記載されている場合は必ず、表示範囲には(部分的または全体的な、記載されたあらゆる数が含まれることを意味する。第一の数と第二の数との間の「乃至」、及び第一の数乃至第二の数「の範囲」なる表現は、本明細書中では同意で用いられ、表示された第一及び第二の数並びにその間の部分的及び全体的な全ての数を含むことを意味する。
【0035】
本明細書中に用いられる通り、「1つの」、「一」、及び「前記」は、内容的に明らかに矛盾のない限りは複数形を含む。
【0036】
本発明は、以下の実施例によって更に詳説されるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
酸化窒素、酸素、及びメタノールを、並流方式で(HIGEE100型であり、Shanghai Research Institute of Petrochemical Technologyによって製造され、多孔質金属板がそのローターに固定されている)に供給した。酸化窒素は、NOとNO2とのモル比が2:1の混合物であり、酸素に対するNOのモル比は10:1であった。40℃の反応温度、0.2MPaの反応圧力、1.5:1のメタノール/NOのモル比、及び1000rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.67%であることを示した。
【0038】
(実施例2)
酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で、特許公報CN1895766Aの実施例1の回転式高重力反応器と同様の回転式高重力反応器に供給したが、ここでは、固定ステント及び多孔質ワイヤーウェブはローターに固定されていた(同一の反応器が、以下の実施例3乃至12においても使用された)。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は、6:1であった。10℃の反応温度、-0.08MPaの反応圧力、2:1のメタノール/NOのモル比、及び500rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、酸素の転換率が100%であったことを示し、亜硝酸メチルの選択性は99.25%であった。
【0039】
(実施例3)
Suqing brandのラベルのある002CR型の樹脂触媒(Jiangsu Suqing Water Treatment Engineering Group Co., Ltd.)を高重量反応器に仕込んだ。酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は、5:1であった。30℃の反応温度、-0.05MPaの反応圧力、1.5:1のメタノール/NOのモル比、及び1200rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.71%であることを示した。
【0040】
(実施例4)
酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で、回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は、8:1であった。50℃の反応温度、-0.02MPaの反応圧力、20:1のメタノール/NOのモル比、及び3000rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.43%であることを示した。
【0041】
(実施例5)
Suqing brandのラベルのある005CR型の樹脂触媒(Jiangsu Suqing Water Treatment Engineering Group Co., Ltd.)を高重量反応器に仕込んだ。酸化窒素、酸素、及びブタノールを、並流方式で回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は、20:1であった。30℃の反応温度、0.2MPaの反応圧力、5:1のブタノール/NOのモル比、及び1500rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸ブチルの選択性が99.88%であることを示した。
【0042】
(実施例6)
酸化窒素、酸素、及びブタノールを、並流方式で、回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOとNO2との、モル比が4:1の混合物であり、酸素に対するNOのモル比は4:1であった。100℃の反応温度、0.8MPaの反応圧力、3:1のブタノール/NOのモル比、及び2000rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸ブチルの選択性が99.18%であることを示した。
【0043】
(実施例7)
Suqing brandのラベルのある005CR型の樹脂触媒(Jiangsu Suqing Water Treatment Engineering Group Co., Ltd.)を高重量反応器に仕込んだ。酸化窒素、酸素、及びプロパノールを、横流方式で回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOとNO2との、モル比が3:1の混合物であり、酸素に対するNOのモル比は、4:1であった。40℃の反応温度、0.05MPaの反応圧力、10:1のプロパノール/NOのモル比、及び1000rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸プロピルの選択性が99.91%であることを示した。
【0044】
(実施例8)
酸化窒素、酸素、及びエタノールを、向流方式で、回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は4.5:1であった。40℃の反応温度、0.05MPaの反応圧力、1.2:1のエタノール/NOのモル比、及び4000rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸エチルの選択性が99.68%であることを示した。
【0045】
(実施例9)
酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で、回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOとNO2との、モル比が2:1の混合物であり、酸素に対するNOのモル比は10:1であった。50℃の反応温度、0.2MPaの反応圧力、1.5:1のメタノール/NOのモル比、及び3000rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.87%であることを示した。
【0046】
(実施例10)
Suqing brandのラベルのあるD002型の樹脂触媒(Jiangsu Suqing Water Treatment Engineering Group Co., Ltd.)を高重量反応器に仕込んだ。酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOとNO2との、モル比が2:1の混合物であり、酸素に対するNOのモル比は、20:1であった。30℃の反応温度、0.06MPaの反応圧力、10:1のメタノール/NOのモル比、及び1800rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.85%であることを示した。
【0047】
(実施例11)
酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で、回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は4.5:1であった。5℃の反応温度、-0.02MPaの反応圧力、1.5:1のメタノール/NOのモル比、及び800rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.49%であることを示した。
【0048】
(実施例12)
Suqing brandのラベルのあるD002-II型の樹脂触媒(Jiangsu Suqing Water Treatment Engineering Group Co., Ltd.)を高重量反応器に仕込んだ。酸化窒素、酸素、及びメタノールを、向流方式で回転式高重力反応器に供給した。酸化窒素はNOであり、酸素に対するNOのモル比は、5:1であった。40℃の反応温度、0.01MPaの反応圧力、1.5:1のメタノール/NOのモル比、及び2500rpmの回転式高重力反応器のローター回転速度を含む条件の下で、回転式高重力反応器中で原材料を接触させて反応させたところ、結果は、亜硝酸メチルの選択性が99.83%であることを示した。
【0049】
(実施例13)
条件及び反応物質は、固定床反応器(FBR25-800型、Shanghai Research Institute of Petrochemical Technology製)を用いたこと以外は実施例12のものと同様とした。亜硝酸メチルの選択性は、99.11%であった。
【0050】
(比較例1)
条件及び反応物質は、固定床反応器(FBR25-800型、Shanghai Research Institute of Petrochemical Technology製)を用いたこと以外は実施例1のものと同様とした。亜硝酸メチルの選択性は、98.05%であった。
【0051】
上述の例の技術的条件及び結果を、以下の表1にまとめる。
【0052】
【表1A】

【表1B】

【0053】
本発明が具体的な実施態様及び実施例を伴って詳説されている一方で、当業者には多数の代替案、変更、及び変形が明らかであろう。然るに、添付の特許請求の範囲の精神及び広義の範囲に入る、こうした全ての代替案、変更、及び変形を包含することが企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂触媒層及び/または多孔質充填剤層を反応器に仕込む工程、向流、並流、または横流式に、酸化窒素、酸素、及びC1-C4アルコールを原料として前記樹脂触媒層及び/または多孔質充填剤層に通す工程、0乃至150℃の反応温度、-0.09乃至1.5MPaの反応圧力、1-100:1のC1-C4アルカノール/酸化窒素のモル比、及び4-50:1の酸化窒素/酸素のモル比を含む反応条件下で反応させて亜硝酸C1-C4アルキルを含む廃液を得る工程を含み、前記酸化窒素がNO、あるいはNOとN2O3及びNO2から選択される1つもしくは複数とを含む混合ガスである、亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項2】
前記反応器が、回転式高重力反応器であり、前記多孔質充填剤層が前記回転式高重力反応器のローターに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂触媒が、前記回転式高重力反応器のローターに更に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂触媒を、前記反応器に仕込むことを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂触媒が、酸性イオン交換樹脂触媒であることを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項6】
前記酸化窒素中にNO2が存在するとしても、前記酸化窒素中のNOのモル数が、前記NO2のモル数よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項7】
前記反応温度が10乃至100℃の範囲であり、前記反応圧力が-0.05乃至1.0MPaの範囲であり、酸化窒素に対するC1-C4アルカノールの前記モル比が1-50:1であり、更に酸素に対する酸化窒素の前記モル比が4-20:1であることを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項8】
前記反応温度が10乃至60℃の範囲であり、前記反応圧力が-0.05乃至0.8MPaの範囲であり、酸化窒素に対するC1-C4アルカノールの前記モル比が1-20:1であり、更に酸素に対する酸化窒素の前記モル比が4-10:1であることを特徴とする、請求項7に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項9】
前記回転式高重力反応器のローターが、100乃至5000rpmの回転速度を有することを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項10】
前記回転式高重力反応器のローターが、300乃至3000rpmの回転速度を有することを特徴とする、請求項9に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項11】
C1-C4アルカノールが、メタノール、エタノール、及びn-プロパノールから成る群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項12】
C1-C4アルカノールが、メタノールまたはエタノールであることを特徴とする、請求項11に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。
【請求項13】
前記多孔質充填剤層が、不活性充填剤ウェブ、多孔質ウェブ、ステント、または多孔質プレートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の亜硝酸C1-C4アルキルの製造方法。

【公開番号】特開2011−236209(P2011−236209A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−90875(P2011−90875)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(503191287)中国石油化工股▲ふん▼有限公司 (35)
【出願人】(511095861)中國石油化工股▲フン▼有限公司上海石油化工研究院 (2)
【Fターム(参考)】