説明

交換システム及び着信制御方法、交換機

【課題】グループ着信中に次の呼が該当グループに着信した場合であっても、最初の呼をグループ着信中のPHS端末等の無線端末が応答した後、瞬時に次の呼の発信者情報を応答した無線端末以外の無線端末に表示する。
【解決手段】電話交換機1に着信した着信呼がグループ着信であった場合に、その着信呼を記憶する着信キューリスト161と、当該グループ着信時に呼出し端末を記憶する着信グループリスト162を備え、着信呼が複数あった場合に、最初の呼の応答後、次の呼に対し着信中のPHS端末5、6を切断せずとも付加情報メッセージを送出する制御装置15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換システム及び着信制御方法、交換機に係る。本発明は、特に、社団法人電波産業会(ARIB)標準「第二世代コードレス電話システム標準規格」(RCR STD78)等の規定に従い、PHS(Personal Handy Phone System)等の無線端末のサービス若しくは機能を提供する、構内電話交換機(PBX)やボタン電話装置(キーテレホン)等の電話交換機、特に電話交換機からこの電話交換機に接続されるデジタルコードレス電話機(PHS端末)等の無線端末への電話交換システム及び着信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からPHSを用いて、発信者からの発信要求によりグループ分けされている複数PHS端末へ着信を知らせる方式が種々提案されている。
例えば特許文献1の特開平3−234196ではシステムのサービスエリアを複数のゾーンで構成し、それらのゾーンに対し無線基地局を配置し、そのゾーンに対応させてグループ分けした着信グループに所属する無線端末を順次呼び出しし、グループ着信を行う提案がされている。
また特許文献2の特許公開2003−333180では1つの無線基地局に収容される複数の移動局(PHS端末)が存在し、それらの各移動局(PHS端末)は特定の着信グループに所属しており、着呼の際に、無線基地局から着信グループに所属する移動局に対しPCH(Paging channel:一斉呼び出しチャネル)で着信があること一斉に知らせる提案がされている。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−234196号公報
【特許文献2】特開2003−333180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述どちらの従来技術においても、無線基地局から着信グループ内の各移動局(PHS端末)に対して送出された着信信号を1台の移動局が受け付けると、他の移動局に対して着信停止信号を送出して着信状態を解除する。移動局が着信を受け付ける前に連続した複数の着信があった場合、着信を受け付けた端末以外の端末は一旦着信状態が解除され、その後再度着信状態へと移行するが、社団法人電波産業会(ARIB)標準「第二世代コードレス電話システム標準規格」(RCR STD78)等の規定により、着信を受け付けていない移動端末が再度着信状態になるまでにタイムラグが発生する場合があるという課題があった。

本発明は、以上の点に鑑み、グループ着信中に次の呼が該当グループに着信した場合であっても、最初の呼をグループ着信中のPHS端末等の無線端末が応答した後、瞬時に次の呼の発信者情報を応答した無線端末以外の無線端末に表示することを可能とすることを、ひとつの目的とする。さらに、本発明は、次の呼の発信者情報を通知する前に着信音オフを送出し、再度発信者情報及び着信音オンを送出することにより、再度着信があったことを使用者に分かりやすくさせることを、他の目的とする。さらに、本発明は、グループ着信に最初に応答した後の無線端末は任意の時間中応答を拒否することでグループ着信中に複数の呼が着信している状態でも、無線端末の操作者が意図しない相手との誤接続を防止することを、他の目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、PHS基地局等の基地局を接続する電話交換装置と、PHS端末等の無線端末を含み、第二世代コードレス電話システム標準規格に準拠してPHS通信を可能とする電話交換システムの着信通知方法において、前述の電話交換装置は、発信者からの発信要求により予めグループ分けされている複数無線端末へ通知する情報をUSCCH(User specific control channel)等の制御チャネルに格納して、該当PCH等の一斉呼出しチャネルを前述の基地局から送出させてグループ着信を通知し、更に電話交換機より無線端末に表示させる表示情報をACCH(Associated control channel)等の制御チャネルに格納して送出し、無線端末は前述のACCH等の制御チャネルを受信し、受信した制御チャネル内に設定されている発信者の情報を表示部に表示を行い、前述の無線端末より応答操作が行われた場合、無線制御チャネルを利用し着信応答し通話できることを、ひとつの特徴とする。
【0006】
本発明の第1の解決手段によれば、
交換機と、無線端末と通信する基地局とを備えた交換システムにおいて、
前記交換機は、
各々の着信グループに対して、着信呼のキュー毎に、表示情報、呼出し中状態・呼出し待ち状態・空き状態かを表すキュー状態、該キュー毎に予め定められた応答ガード時間を記憶する着信キューリストと、
前記着信キューリストを参照してデータを読み出し及び書き込み、着信制御を行う制御装置と、
を備え、
第1の着信が前記交換機に通知されると、前記交換機の前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第1の着信、第1の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し中のキュー状態を含むキューを登録し、登録したキューに対する予め記憶されている応答ガード時間を読みだし、応答ガードタイマーを起動し、
さらに、第2の着信が前記交換機に通知されると、前記制御装置は、前記交換機では前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第2の着信、第2の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し待ちのキュー状態を含むキューを登録し、
前記着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、第1の着信に第1の無線端末が応答した場合、前記制御装置は、第1の着信に対して前記第1の無線端末を通話中とし、さらに、前記制御装置は、着信キューリストの表示情報を含めた付加情報メッセージを作成し、前記付加情報メッセージを、第1の着信に応答した前記第1の無線端末以外のひとつ又は複数の第2の無線端末に送出し、
前記ひとつ又は複数の第2の無線端末は、着信鳴動中の状態まま受け付けた前記付加情報メッセージ中の表示情報により第2の無線端末の表示を切り替え表示する
交換システムが提供される。
【0007】
本発明の第2の解決手段によれば、
交換機と、無線端末と通信する基地局とを備えた交換システムにおいて、
前記交換機は、
各々の着信グループに対して、着信呼のキュー毎に、表示情報、呼出し中状態・呼出し待ち状態・空き状態かを表すキュー状態、該キュー毎に予め定められた応答ガード時間を記憶する着信キューリストと、
前記着信キューリストを参照してデータを読み出し及び書き込み、着信制御を行う制御装置と、
を備えた、前記交換システムにおける着信制御方法であって、

第1の着信が前記交換機に通知されると、前記交換機の前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第1の着信、第1の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し中のキュー状態を含むキューを登録し、登録したキューに対する予め記憶されている応答ガード時間を読みだし、応答ガードタイマーを起動し、
さらに、第2の着信が前記交換機に通知されると、前記制御装置は、前記交換機では前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第2の着信、第2の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し待ちのキュー状態を含むキューを登録し、
前記着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、第1の着信に第1の無線端末が応答した場合、前記制御装置は、第1の着信に対して前記第1の無線端末を通話中とし、さらに、前記制御装置は、着信キューリストの表示情報を含めた付加情報メッセージを作成し、前記付加情報メッセージを、第1の着信に応答した前記第1の無線端末以外のひとつ又は複数の第2の無線端末に送出し、
前記ひとつ又は複数の第2の無線端末は、着信鳴動中の状態まま受け付けた前記付加情報メッセージ中の表示情報により第2の無線端末の表示を切り替え表示する
着信制御方法が提供される。
【0008】
本発明の第3の解決手段によれば、
交換機と、無線端末と通信する基地局とを備えた交換システムにおける前記交換機であって、
各々の着信グループに対して、着信呼のキュー毎に、表示情報、呼出し中状態・呼出し待ち状態・空き状態かを表すキュー状態、該キュー毎に予め定められた応答ガード時間を記憶する着信キューリストと、
前記着信キューリストを参照してデータを読み出し及び書き込み、着信制御を行う制御装置と、
を備え、
第1の着信が前記交換機に通知されると、前記交換機の前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第1の着信、第1の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し中のキュー状態を含むキューを登録し、登録したキューに対する予め記憶されている応答ガード時間を読みだし、応答ガードタイマーを起動し、
さらに、第2の着信が前記交換機に通知されると、前記制御装置は、前記交換機では前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第2の着信、第2の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し待ちのキュー状態を含むキューを登録し、
前記着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、第1の着信に第1の無線端末が応答した場合、前記制御装置は、第1の着信に対して前記第1の無線端末を通話中とし、さらに、前記制御装置は、着信キューリストの表示情報を含めた付加情報メッセージを作成し、前記付加情報メッセージを、第1の着信に応答した前記第1の無線端末以外のひとつ又は複数の第2の無線端末に送出し、
前記ひとつ又は複数の第2の無線端末は、着信鳴動中の状態まま受け付けた前記付加情報メッセージ中の表示情報により第2の無線端末の表示を切り替え表示する
交換機が提供される。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電話交換装置は、ARIB標準「第二世代コードレス電話システム標準規格」(RCR STD78)等の規定に準拠した手順もしくは方法によって、グループ着信中に次の呼が該当グループに着信した場合であっても、最初の呼をグループ着信中のPHS端末等の無線端末が応答した後、瞬時に次の呼の発信者情報を応答した無線端末以外の無線端末に表示することを可能とすることが出来る。さらに、本発明によれば、次の呼の発信者情報を通知する前に着信音オフを送出し、再度発信者情報及び着信音オンを送出することにより、再度着信があったことを使用者に分かりやすくさせることが出来る。さらに、本発明によれば、グループ着信に最初に応答した後の無線端末は任意の時間中応答を拒否することでグループ着信中に複数の呼が着信している状態でも、無線端末の操作者が意図しない相手との誤接続を防止することが出来る。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電話交換システムを示すシステム構成図である。
【図2】PHS通信に用いるARIB標準 RCR STD−28に準拠したスーパーフレームの構成を示す図である。
【図3】PHS通信に用いるARIB標準 RCR STD−28に準拠した着呼メッセージの構成を示す図である。
【図4】PHS通信に用いるARIB標準 RCR STD−28に準拠した付加情報メッセージの構成を示す図である。
【図5】PHS通信に用いるARIB標準 RCR STD−28に準拠した表示メッセージの構成を示す図である。
【図6】PHS通信に用いるARIB標準 RCR STD−28に準拠したシグナルメッセージの構成を示す図である。
【図7】構内電話交換機に設定記憶される着信キューリストの説明図である。
【図8】構内電話交換機に設定記憶される着信グループリストの説明図である。
【図9】従来グループ着信動作シーケンスの説明図である。
【図10】着信動作シーケンスの説明図である。
【図11】グループ着信動作シーケンス応用例の説明図である。
【図12】着呼メッセージを送出するための着信動作フローチャートの説明図である。
【図13】着呼メッセージを送出するための着信起動管理周期プログラム動作フローチャートの説明図である。
【図14】付加情報メッセージを送出するための応答動作フローチャートの説明図である。
【図15】応答ガードタイマー満了時の動作フローチャートの説明図である。
【図16】図10のS10−23に使用した付加情報(表示)メッセージに使用するメッセージ内容の具体例である。
【図17】図11のS11−22に使用した付加情報(表示+着信音オフ)に使用するメッセージ内容の具体例である。
【図18】図11のS11−26に使用した付加情報(表示+着信音オン)に使用するメッセージ内容の具体例である。
【図19】着信グループ判定テーブルの説明図である。
【図20】応答ガードタイマーについての説明図である。
【図21】S11−18における構内電話交換機の応答動作の詳細を示したフローチャート図である。
【図22】鳴動停止タイマー満了時の動作フローチャートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。

1.システム

本実施の形態では、特に、PHS端末、PHS基地局、構内電話交換機(PBX)等を例に説明するが、本発明は、これらに限らず、それぞれ、無線端末、基地局、交換機等に適用することができる。また、標準規格として、ARIB標準 RCR STD78、RCR STD−28等を採用した場合を例に説明するが、本発明は、これらに限らず、適宜の規格に適用することができる。

図1は、本実施の形態の電話交換システムを示すシステム構成図である。この電話交換システムは、電話交換装置である構内電話交換機(PBX)1と、複数台の内線電話機(TEL)2と、複数台のデジタル多機能電話機(MFT)3と、PHS基地局(BS)4−1〜4−nと、PHS端末(PS)5−1〜5−n、6−1、6−2と、メンテナンスパネル(MP)9とを含んで構成している。
また、構内電話交換機(PBX)1は、電話端末(電話機やデジタル多機能電話機やPHS端末等)や回線(公衆電話網7の局線等)の回線交換を行う通話路スイッチ(SW)10を備えており、この通話路スイッチ10には、内線回路(LIN)11、デジタル内線回路(DLIN)12、コードレス電話トランク(DRIF)14−1〜14−n、局線トランク(COT)14が接続収容されている。
内線回路11は、複数台の内線電話機(TEL)2を接続し、これらを制御(発信/着信制御等)して、構内電話交換機1とのインターフェースを行うものである。
デジタル内線回路12は、複数台のデジタル多機能電話機(MFT)3を接続し、これらを制御(発信/着信制御等)して、構内電話交換機1とのインターフェースを行うものである。
コードレス電話トランク(DRIF)14−1〜14−nは、PHS基地局(BS)4−1〜4−nをそれぞれ接続し、これを制御(発信/着信制御等)して、構内電話交換機1とのインターフェースを行うものである。
局線トランク13は、公衆電話網7からの局線回線を接続し、これを制御(発信/着信制御等)して、構内電話交換機1とのインターフェースを行うものである。
また、構内電話交換機1は制御装置15を備えており、この制御装置15は、構内電話交換機1の全体を統制・制御して呼接続制御を行っており、本実施の形態のスーパーフレーム生成の制御を行っている。制御バス18を介して、制御装置15には、記憶装置16が接続されている。記憶装置16には、本実施の形態の着信キューリスト161や着信グループリスト162、着信グループ判定テーブル163等の各種テーブルを格納しているものである。更に、制御バス18には、構内電話交換機1の動作に必要な前述の局データを設定するために用いられる端末装置であるメンテナンスパネル(MP)9を接続する入出力装置16が接続されている。そして、構内電話交換機1の使用にあたって、使用条件等に応じてメンテナンスパネル9から記憶装置17に対して局データを設定できるようにしている。図1の例では、記憶装置17に登録されたデータにより、PHS端末(PS)5−1〜5−nを着信グループ1、6−1,6−2を着信グループ2として定義している。
さらに、構内電話交換機1は、PHSサービスを提供する機能を有しており、複数台のPHS端末(PS)5−1〜5−n、6−1,6−2を内線電話機として利用できるように収容している。そして、このPHSサービスは、例えばARIB標準「第二世代コードレス電話システム標準規格」(RCR STD78)等の規定に準拠した手順若しくは方法によって行われるものである。従って、呼設定、通話、その他の電話交換動作に関する、PHS基地局4−1〜4−nと、PHS端末(PS)5−1〜5−n、6−1,6−2との間の無線通信は、ARIB標準 RCR STD−28の規定に準拠して行われるものである。
【0012】
図2は、本実施の形態のPHS通信に用いるARIB標準 RCR STD−28に準拠したスーパーフレームの構成を示す図である。スーパーフレームは制御用物理スロットを使用し定常的間欠送信される。スーパーフレームの構成は、ARIB標準 RCR STD−28に準拠して構成されており、PHS基地局4−1〜4nからPHS端末5−1〜5−n、6−1、6−2へ送信される方向の無線通信チャネルは、図2に示すデータフレームによって伝送されている。PHSシステムのPHS基地局とPHS端末間における無線区間のデータ伝送方式は、TDMA−TDD(Time Division Multi Access−Time Division Duplex)方式が採用されている。このTDMA−TDD方式は、所定の時間長を有するデータフレームを伝送データの一単位として、論理制御チャネル(Logical Control Channel(LCCH))スーパーフレーム(以下、「スーパーフレーム」と称する。)を構成する。そして、このスーパーフレームを所定周期(例えば1.2秒周期)で繰り返し、繰り返し伝送することにより各種制御データの伝送を行う。また、このスーパーフレームは複数のタイムスロットに分割されており、各々のタイムスロット毎に異なる種類の制御データが所定のビットパターンに変換され重畳される。図2において、スーパーフレームは、PHS基地局からPHS端末に制御情報を報知するチャネルであって、チャネル構造に関する情報や、システム情報等を転送する報知チャネル(Broadcast Control Channel)(以下、「BCCH(A)」と称する。)、PHS基地局とPHS端末の間で呼接続に必要な情報を転送するチャネルであって、セル毎に独立の情報を転送する個別セル用チャネル(Sinaling Control Channel)(以下、「SCCH」と称する。)、及び、PHS基地局からPHS端末に対して、単一セルあるいは複数のセルの広いエリア(一斉呼出エリア)に同一の情報を一斉に転送するポイント−マルチポイントの一斉呼出チャネル(Paging Channel)(以下、「PCH」と称する。)を含む。本実施の形態では、SCCHが5つ、PCHが2つ(PCH1及びPCH2)があり、図2に示すように、「BCCH(A)」2−1、「SCCH」2−2、「SCCH」2−3、「PCH1」2−4、「SCCH」2−5、「SCCH」2−6、「SCCH」2−7、「PCH2」2−8を含む。また制御用物理スロット以外に通信用物理スロットがあり各PHS端末が通信のために専用使用し、個別の呼設定制御に必要な制御チャネルや情報チャネルが設定される。通信用物理スロットを使用する情報としてSACCH(Slow Associated control channelやFACCH(Fast Associated control channel)がある。
【0013】
図3は、ARIB標準 RCR STD−28に準拠して構成されたPCHで送出される着呼メッセージの構成を示した図である。構内電話交換機がPHS端末に呼設定を送出した時にPHS基地局からPHS端末にむけて着呼情報が送出される。着呼情報には発番号が含まれ、これを受けたPHS端末はPHS端末の表示部に発信者番号を表示することが出来る。
図4は、ARIB標準 RCR STD−28に準拠して構成されたSACCHで送出される付加情報メッセージの構成を示した図である。また、図5は、ARIB標準 RCR STD−28に準拠した表示メッセージの構成を示す図、図6は、ARIB標準 RCR STD−28に準拠したシグナルメッセージの構成を示す図である。
付加情報メッセージには図5に示す表示メッセージや図6に示すシグナルメッセージなどを送出することができ、また各情報を連結して送出することも可能である。SACCHはPHS基地局からPHS端末またはその逆から必要時に送出することが可能である。
図5の表示情報は、例えば、オクテット1に「表示」を示す「00101000」が設定される。オクテット2の表示内容長はオクテット3以降のデータ長を示し、オクテット3以降の表示情報はIA5キャラクターセットを使用して表示内容を通知する。たとえば「0」は「01000000」、「1」は「01000001」といった内容になる。
図6のシグナル情報は、例えば、オクテット1に「シグナル」を示す「00110100」が設定される。オクテット2のシグナル内容長はオクテット3以降のデータ長となるが、シグナルのデータは1固定であるためこの場合は「00000001」となる。オクテット3のシグナル内容値はたとえば呼出音オンの場合は「00000001」、呼出音オフの場合は「01001111」となる。
【0014】
次に、記憶装置に記憶されるリスト及びテーブルについて説明する。
図7は、着信キューリストの説明図である。着信キューリストD7は着信グループD7−a毎に複数のキューを保有する。着信D7−bは着信呼を管理し、着信グループへの着信があった場合、その着信が着信D7−bへ制御装置が記憶し、それと同時に発信者番号を通知している場合はD7−cへ発信者番号を記憶する。状態D7−dはキューに登録された着信呼が呼出し中状態であるか、呼出し待ち状態であるか、空き状態であるかを記憶している。応答ガード時間D7−e及び鳴動停止時間D7−fは図1メンテナンスパネル9より入力され記憶装置に予め記憶登録される。応答ガード時間D7−eはグループ着信した複数のPHS端末が同時に応答した場合の、2つ目以降の応答を拒否する時間に用い、2個目以降の応答はこの時間以内は全て応答が拒否される。例えば、図7の着信グループ1の先頭キューにおいては、グループ着信に対して、あるPHS端末による最初の応答後、応答ガード時間である500ms以内のグループ内の他のPHS端末による応答は全てその応答が拒否されることを意味する。鳴動停止時間D7−eはグループ着信中にPHS端末が応答した際、次の着信をPHS端末に通知する時にPHS端末の鳴動を停止する時間を決定するために用い、構内電話交換機は鳴動停止からこの時間が経過後PHS端末に再度鳴動開始を指示する。例えば、図7の着信グループ1の先頭キューにおいては、グループ着信に対してあるPHS端末が応答してから鳴動停止時間である800ms間、グループ内の他のPHS端末の鳴動を停止し、その後再度鳴動を開始することを意味する。
図8は、着信グループリストの説明図である。着信グループリストD8は着信グループD8−a、着信先内線D8−b,状態D8−cを含み、着信グループに着信した際に呼出し先内線を特定するために用いられる。着信グループD8−a、着信先内線D8−bは図1のメンテナンスパネル9らの入力により記憶装置に予め記憶される。また状態D8−cは着信先内線の端末状態を表し、空き状態と使用中状態であるかを記憶している。登録されている着信先内線が通話中や受話器を上げているときなど内線の操作を行っている時には「使用中」になり、それ以外は「空き」となる。図5においては着信グループ1には着信先内線1000〜1009が属しており、着信グループ2には着信先内線2000、2001が属している。
図19は、着信グループ判定テーブルの説明図である。着信グループ判定テーブルは、局線番号D19−aに対して、着信グループD19−bが予め記憶されている。
【0015】
2.動作

図9は、本発明の関連技術でのグループ着信シーケンス説明図である。
図1の電話端末2やデジタル多機能電話機3、公衆網7、PHS端末などから着信1(S9−1)が構内電話交換機に通知されると、構内電話交換機は制御装置15がグループ着信か否かを判断する。着信時おける動作は図12の着信時フローチャート図により説明する。
図12は、着呼メッセージを送出するための着信動作フローチャートの説明図である。着信が構内電話交換機に通知された時、構内電話交換機の制御装置は、その着信がグループ着信かそれ以外かを、図19の着信グループ判定テーブルを利用し判断し、グループ着信であれば、着信呼がどの着信グループに属するか判断する。たとえば図1の公衆網から局線トランク1へ着信した場合は、制御装置は、着信グループ判定テーブルを参照して、「着信グループ1」と判断し、グループ着信の対象とする(S12−1)。また、局線トランク2へ着信した場合は、制御装置は、グループ着信ではない(「なし」)と判断し、個別の着信などグループ着信以外の動作(S12−3)を行う。例えば着信が着信グループ1への着信である時、制御装置は、着信呼がどの着信グループに属するか判断し、該当する着信キューリスト(図7)に登録する(S12−2)。このとき、呼設定情報等の着呼情報に発信者番号が含まれていれば、それも着信キューリストに記憶する。その後、制御装置は、該当着信グループが既に呼出し中か判断(S12−4)する。例えば、着信キューリストの状態D7−dを参照することで、「呼出し中」のキューがあるか否かにより、呼出し中かどうかの判断をすることができる。呼出し中である場合は、制御装置は、呼出し処理を実施せずに図7の着信キューリストの状態D7−dに「呼出し待ち」を登録する(S12−5)。S12−4において着信キューリストの状態D7−dが全て「空き」である場合又は「呼出し中」のキューがない場合、制御装置は、状態D7−dに「呼出し中」を登録し着信起動監視周期プログラムを起動する(S12−7)。
【0016】
図13は、着信起動監視周期プログラムの処理フローチャート図である。図13のフローチャートは図9のS9−2〜S9−7に相当する。
着信起動監視周期プログラムでは、制御装置は、図8の着信グループリストからエントリを読み出し、状態D8−cにより呼出しする着信グループに登録されている着信先内線の状態を判断(S13−1)し、使用中である場合は着信グループリストの全部を確認したか判断(S13−5)し、未完了であればS13−1の処理を再度実施、完了している場合はS13−6で次の起動タイミングが来るまで待機する。S13−1で着信先内線状態が空きの場合は、制御装置は、対象内線を呼び出す。これは図9のS9−2に相当する。呼設定情報には図3の着呼情報が含まれ、着呼情報の発番号は図7−cの発信者番号から読み取られて送出される。制御装置は、呼出した内線が正常に呼び出されたか図9のS9−3〜S9−7により確認(S13−3)後、正常に呼出しが出来ない場合は、S13−5以降を実施し、正常に呼出し出来た場合は図8の状態D8−cを「使用中」にセットする。次周期以降での処理では、制御装置により、状態D8−cが「使用中」の着信先内線は呼出しの対象から外され、また呼び出そうとした内線が通話等で使用中の場合から空きの状態になった場合、本着信起動監視周期プログラムにより必ず着信が行われるように制御される。なおS9−3の着呼及びS9−4、S9−7はPCHによりPHS基地局とPHS端末1間で無線情報の伝送がとりおこなわれる。
図9で、PHS端末2への着信においてもS9−2〜S9−7と同じ手順によりPHS端末2が着信状態となる。2台以上のPHS端末が着信状態となった後に呼出し中の例えばこの場合着信グループ1への新たな着信2が構内電話交換機に通知された場合、図12の着信動作フローチャートにより(S12−1、12−2、12−4、12−6)、着信2は着信キューリストに登録され、「呼出し待ち」の状態となり呼出し動作を保留している。
着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、着信中の例えばPHS端末1がオフフック応答(S9−16)した場合、PHS端末1からPCHで応答(S9−17)をPHS基地局へ通知、PHS基地局は構内電話交換機に応答(S9−18)を通知する。その応答確認通知を構内電話交換機からPHS基地局(S9−19)、PHS基地局からPHS端末1(S9−20)へ通知して着信1とPHS端末1が通話中となる。応答したPHS端末以外には構内電話交換機から切断(S9−21)をPHS基地局に通知、PHS基地局からSACCHで切断(S9−22)をPHS端末2に通知し、以降ARIB標準 RCR STD−28等の規格による切断シーケンスに従いS9−26までを実施し、PHS端末2を空き状態へと移行させる。
空き状態になったPHS端末2は、図12の動作フローチャートにより着信キューリストに登録されている「呼出し待ち」の着信を、S9−2〜S9−7と同じ手順により着信状態と移行させる。しかし、着信が複数呼ある場合、PHS端末が着信鳴動停止状態S9−27から再度着信状態S9−35の状態に移行するには図2で説明したRCR STD−28のスーパーフレーム等のPCH伝送時間の制限があるため、例えば1.2秒以上の時間がかかってしまう。PHS端末が2台程度である場合は少しの遅延時間ではあるが、着信グループに例えば10台のPHS端末が存在する場合は、最後のPHS端末を再度呼び出すまでに例えば10.8s以上の着信遅延時間となり最初の表示を切り替えたPHS端末との差が大きくなってしまい使用者の利便性に欠けてしまう場合が想定される。
【0017】
この再度着信時のタイムラグを軽減することを目的としている以下の動作について説明する。
図10は、グループ着信動作シーケンス図である。着信1が構内電話交換機へ通知され(S10−1)PHS端末1が応答する(S10−20)までは、前述した本発明の関連技術と同様のため説明を割愛する。
ここで、構内電話交換機は、着信に対してPHS端末1による最初の応答を処理した時点で応答ガードタイマーを起動する。タイマー値は、着信キューリストを参照し、該当する着信グループのキューリストから応答ガード時間を読み取り設定する。
S10−21において図7の着信キューリストに「呼出し待ち」のキューが存在する場合、構内電話交換機は、応答したPHS端末以外に付加情報(表示)メッセージを送出するようにPHS基地局に送出する(S10−22)。付加情報(表示)メッセージは該当する着信キューの発信者番号を元に表示情報を制御装置が作成し、PHS基地局に送出後、PHS基地局はSACCH等の付加情報(表示)メッセージを、この場合はPHS端末2に送出する。これを受け付けたPHS端末2は、着信鳴動中の状態のまま受け付けた付加情報の中の表示情報により表示のみを切り替え、新しい着信呼の例えば発信者番号などを表示することが出来る。付加情報メッセージを送出するSACC等の制御チャネルは前述した通りARIB標準 RCR STD−28等の規定上、必要時に送出することが可能であるため、PCHのような例えば1.2s間の待ち時間がなく複数の端末に付加情報(表示)情報メッセージを即座に送出し、PHS端末の表示を更新することが可能であるため、前述の本発明の関連技術に記載した着信鳴動停止から再度着信するまでのタイムラグを軽減するとともに、着信グループに複数台のPHS端末が存在する場合でも、最初のPHS端末の表示切り替えから最後のPHS端末の表示切り替えまでのタイムラグを軽減することが出来る。
【0018】
図11は、本実施の形態でのグループ着信動作シーケンスの応用例である。
図11は、図10の再着信時の付加情報(表示)メッセージ(S10−22)を送出する際に着信鳴動を一時停止させる場合のシーケンス図である。S11−20までは前述した本発明の関連技術のS9−20までと同一であるため説明を割愛する。
ここで、構内電話交換機は、着信に対してPHS端末1による最初の応答を処理した時点で応答ガードタイマーを起動する。タイマー値は、着信キューリストを参照し、該当する着信グループのキューリストから応答ガード時間を読み取り設定する。
構内電話交換機は、グループ着信した着信呼に応答したPHS端末以外の端末へは付加情報(表示+着信音オフ)メッセージをPHS基地局へ送出(S11−22)する。PHS基地局は、受けた付加情報(表示+着信音オフ)メッセージをSACCH等の制御チャネルでPHS端末に送出(S11−23)することによりPHS端末の表示情報を書き換えるとともに着信音オフにより鳴動を停止する。構内電話交換機は前述の付加情報(表示+着信音オフ)メッセージを送出後、例えば図7の着信キューリストに鳴動停止時間D7−fを設け、その設定値時間監視後PHS基地局へ付加情報(表示+着信音オン)を送出(S11−26)する。PHS基地局は、受けた付加情報(表示+着信音オン)メッセージをSACCH等の制御チャネルでPHS端末に送出(S11−27)することで表示を更新するとともに、鳴動音オン情報によりPHS端末の着信音鳴動を開始する(S6−28)。
本応用例を用いることにより、2つ目以降の着信呼を再着信させる際に、最初のPHS端末が着信鳴動を開始後、最後のPHS端末の鳴動が開始するまでのタイムラグが軽減された着信鳴動のオフから着信鳴動音オンを制御することが可能となり、本発明の関連技術での動作のように着信先PHS端末の操作者に対し新たな着信であることをPHS端末の画面表示を見なくても知らせることが可能であり操作者の利便性を向上させることが出来る。
【0019】
図14は、S10−18における構内電話交換機の応答動作の詳細を示したフローチャート図である。また、図20は、応答ガードタイマーについての説明図である。
図14のフローチャートは、制御装置により、各PHS端末の応答動作に対して個々に起動し並列処理される。まず、制御装置は、応答ガードタイマーが起動しているか判断(S14−1)し、起動している場合は応答を拒否し、拒否されたPHS端末は空き状態へと移行する。応答ガードタイマーは図20のように、制御装置が、着信に対して最初の応答、応答1が処理された時点で応答ガードタイマーを起動する。タイマー値は、該当する着信グループの着信キューリストから、制御装置が応答ガード時間を読み取り設定する。たとえば着信グループ1の着信1の場合は、制御装置は、図7の着信キューリストより、応答ガード時間である500msを読み取り設定する。応答ガードタイマーのガード時間中に応答2が来た場合は、制御装置は、図14のフローチャートにより応答ガードタイマー起動中と判定し、その応答が拒否される。また応答ガードタイマーのガード時間が終了後の応答3については、制御装置は、図14のフローチャートにより応答ガードタイマー未起動と判断し、応答処理を実施する。
この応答ガードタイマーでの応答ガードは、本実施の形態では1つのPHS端末が応答した後でも、他の端末は着信中状態のままであるため、複数の着信があるときに複数のPHS端末が同時に応答した場合、PHS端末の表示情報を見て応答した応答者が応答処理順で2番目以降となった場合、操作者が意図しない着信呼と通話させないため着信状態を解除し空き状態へ移行させるためのものである。
また、図15は、応答ガードタイマー満了時の動作フローチャートの説明図である。図15により応答ガードタイマー満了時は応答ガードタイマーを停止(S15−1)しその後の応答を受け付けるようにしている。
図14のS14−1で応答ガードタイマーが起動していない場合、応答ガードタイマーを図7の応答ガード時間D7−eから制御装置が読み取り、タイマー停止時間を設定後、応答ガードタイマーを起動する(S14−2)。そして、制御装置は、応答したPHS端末と着信呼を通話状態へするための接続処理を実施(S14−3)し、その後通話状態となった着信呼を着信キューリストから削除する(S14−4)。なお、このとき制御装置は、例えば、該当着信キューの着信D7−b、発信者番号D7−c、状態D7−dの情報を削除し、応答ガード時間D7−e及び鳴動停止時間D7−fはそのまま残し、次の着信キューの着信D7−b、発信者番号D7−c、状態D7−d情報をそれぞれシフトすることができる。制御装置は、通話状態の着信キューを削除した後、応答内線以外の内線に対して図8の着信グループリストの状態D8cを「使用中」から「空き」に設定する(S14−5)。その後、制御装置は、再度着信キューリストを検索し(S14−5)残りのキューがある場合は、付加情報(表示)メッセージを送出(S14−7)することで、着信中鳴動中状態のPHS端末に付加情報(表示)メッセージを送付することを可能としている。尚、着信キューリストに残キューが無い場合は応答したPHS以外のPHSをすべて切断し空き状態とする(S14−8)
【0020】
図21は、S11−18における構内電話交換機の応答動作の詳細を示したフローチャート図である。図21のフローチャートは、制御装置により、各PHS端末の応答動作に対して個々に起動し並列処理される。まず、制御装置は、応答ガードタイマーが起動しているか判断(S21−1)し、起動している場合は応答を拒否し(S21−13)、拒否されたPHS端末は空き状態へと移行する。さらに制御装置は、鳴動停止タイマーが起動しているかも判断(S21−2)し、起動している場合は応答を拒否し(S21−13)、拒否されたPHS端末は空き状態へと移行する。鳴動停止中の応答に対する応答拒否に関しては、本実施の形態では鳴動停止状態でも着信中状態のままであるため着信中端末の誤応答を防止することを目的としている。
その後S21−3からS21−9は、図14と同様の処理となるため説明を割愛する(S14−2〜S14−6、S14−8参照)。
着信キューリストに残りキューがある場合、制御装置は、S21−7により応答内線以外の内線へ付加情報(表示+着信音オフ)を送出する。このとき、制御装置は、着信キューリストから鳴動停止時間D7−fを読み取り、鳴動停止タイマーを起動する。
【0021】
図22は、鳴動停止タイマー満了時の動作フローチャートの説明図である。鳴動停止タイマーで指定された時間後の処理として、制御装置は、図22のS22−1により着信グループリストの空き内線に対して付加情報(表示+着信音オン)を送出して着信端末の鳴動を再開させる。また、制御装置は、鳴動停止ターマーを停止する(S22−2)。

図16は、図10のS10−23に使用した付加情報(表示)メッセージに使用するメッセージ内容の具体例である。付加情報(表示)は図5の表示情報が図4の付加情報に連結した形で制御装置により生成される。図16のオクテット1からオクテット5までは付加情報を示し、本例では付加情報のオクテット5メッセージ種別に「表示(01111011)」を設定しオクテット8からの表示情報に「0312345678」を設定することで、本情報が通知されたPHS端末は着信鳴動中にPHS端末の表示内容を「0312345678」に書き換えることが出来る。
図17は、図11のS11−22に使用した付加情報(表示+着信音オフ)に使用するメッセージ内容の具体例である。本例では表示情報に全てスペースを設定することによりPHS端末の表示情報を消去し、更に付加情報にメッセージ種別「シグナル」を連結し着信音のオフ(オクテット20)を指定することで着信鳴動中状態のPHS端末の表示内容を消去し、着信音を停止させることでPHS端末操作者にあたかも空き状態であるかのように意識させることを可能としている。なお、本具体例では表示情報を全てスペースに設定しているが、表示内容部を「NEW CALL」などのように設定することでPHS端末操作者に意識的に新しい着信があることを示すことも可能である。
図18は、図11のS11−26に使用した付加情報(表示+着信音オン)に使用するメッセージ内容の具体例である。本例では表示情報に新たな着信の発信者番号「0312341111」と着信音オンを指定することでPHS端末の表示情報を「0312341111」に更新し、鳴動停止中の着信中PHS端末の鳴動を再開させることが可能である。

【産業上の利用可能性】
【0022】
本実施の形態では、特に、PHS端末、PHS基地局、構内電話交換機(PBX)等を例に説明したが、本発明は、これらに限らず、無線端末、基地局、交換機等に適用することができる。また、標準規格として、ARIB標準 RCR STD78、RCR STD−28等を採用した場合を例に説明したが、本発明は、これらに限らず、適宜の規格に適用することができる。
また、表示情報として、特に発信者番号(発番号)について説明したが、本発明は、これに限らず、発信元番号、発信者名・発信元名、発信者識別情報・発信元識別情報、着信者番号・宛先番号、着信者名・宛先名、着信者識別情報・宛先識別情報、グループ着信内の着信番号若しくは着信数、等のひとつ又は複数の適宜の表示情報とすることができる。

【符号の説明】
【0023】
1 ・・・構内電話交換機(PBX)
11・・・通話路スイッチ(SW)
12・・・内線回路(LIN)
13・・・デジタル内線回路(DLIN)
14−1〜14−m・・・コードレス電話トランク(DRIF)
15−1〜15−n・・・局線トランク(COT)
17・・・制御装置
18・・・記憶装置
19・・・入出力装置
20・・・制御バス
2 ・・・内線電話機
3 ・・・デジタル多機能電話機
4−1〜4−m・・・PHS基地局(BS)
5−1〜5−p・・・PHS端末(PS)
6−1、6−2・・・PHS端末(PS)
7 ・・・公衆電話網
8 ・・・公衆一般電話機
9 ・・・メンテナンスパネル(MP)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機と、無線端末と通信する基地局とを備えた交換システムにおいて、
前記交換機は、
各々の着信グループに対して、着信呼のキュー毎に、表示情報、呼出し中状態・呼出し待ち状態・空き状態かを表すキュー状態、該キュー毎に予め定められた応答ガード時間を記憶する着信キューリストと、
前記着信キューリストを参照してデータを読み出し及び書き込み、着信制御を行う制御装置と、
を備え、
第1の着信が前記交換機に通知されると、前記交換機の前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第1の着信、第1の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し中のキュー状態を含むキューを登録し、登録したキューに対する予め記憶されている応答ガード時間を読みだし、応答ガードタイマーを起動し、
さらに、第2の着信が前記交換機に通知されると、前記制御装置は、前記交換機では前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第2の着信、第2の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し待ちのキュー状態を含むキューを登録し、
前記着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、第1の着信に第1の無線端末が応答した場合、前記制御装置は、第1の着信に対して前記第1の無線端末を通話中とし、さらに、前記制御装置は、着信キューリストの表示情報を含めた付加情報メッセージを作成し、前記付加情報メッセージを、第1の着信に応答した前記第1の無線端末以外のひとつ又は複数の第2の無線端末に送出し、
前記ひとつ又は複数の第2の無線端末は、着信鳴動中の状態まま受け付けた前記付加情報メッセージ中の表示情報により第2の無線端末の表示を切り替え表示する
交換システム。

【請求項2】
請求項1に記載の交換システムにおいて、
着信グループに対して、予め定められた着信先の無線端末、使用中・空きを表す端末状態を記憶する着信グループリスト
をさらに備え、
前記制御装置は、前記着信グループリストを参照し、呼出しする着信グループに登録されている着信先の無線端末の状態を判断し、着信先の無線端末の端末状態が空きの場合は、該無線端末を呼び出し、端末状態を使用中にセットすることを特徴とする交換システム。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の交換システムにおいて、
前記制御装置は、前記無線端末の応答動作に対して、応答ガードタイマーが起動しているか判断し、
前記制御装置は、応答ガードタイマーの起動中に応答を検出した場合は、該応答を拒否し、
前記制御装置は、応答ガードタイマーが起動していないときに応答を検出した場合は、応答ガード時間を前記着信キューリストから読み取り、設定された応答ガード時間で応答ガードタイマーを起動し、応答した前記無線端末と着信呼を通話状態へ接続処理した後、通話状態となった着信呼を前記着信キューリストから削除し、
前記制御装置は、再度前記着信キューリストを検索し、残りのキューがある場合は、着信中鳴動中状態の前記無線端末に付加情報メッセージを送付する
ことを特徴とする交換システム。

【請求項4】
請求項1に記載の交換システムにおいて、
前記付加情報メッセージは、表示情報と着信音オフ制御情報を含み、
前記基地局の前記制御装置は、表示情報と着信音オフ制御情報を含む前記付加情報メッセージを前記無線端末に送出することにより、前記無線端末の表示情報を書き換えるとともに、着信音オフ制御情報により鳴動を停止することを特徴とする交換システム。

【請求項5】
請求項4に記載の交換システムにおいて、
前記着信キューリストは、着信呼のキュー毎に、さらに、予め設定された定められた鳴動停止時間を含み、
前記基地局の前記制御装置は、前記着信キューリストを参照し、着信に対応する鳴動停止時間を読み取り、
前記制御装置は、表示情報と着信音オフ制御情報を含む前記付加情報メッセージを送出し、鳴動停止タイマーによる前記鳴動停止時間の経過後、表示情報と着信音オン制御情報を含む付加情報メッセージを送出することにより、前記無線端末の表示情報を更新するとともに、着信音オン制御情報により着信音鳴動を開始する
ことを特徴とする交換システム。

【請求項6】
請求項4又は5に記載の交換システムにおいて、
前記制御装置は、前記無線端末の応答動作に対して、応答ガードタイマーが起動しているか判断し、
前記制御装置は、応答ガードタイマーの起動中に応答を検出した場合は、該応答を拒否し、
前記制御装置は、応答ガードタイマーが起動していないときに応答を検出した場合は、さらに鳴動停止タイマーが起動しているかを判断し、
前記制御装置は、鳴動停止タイマーが起動している場合は応答を拒否し、
前記制御装置は、鳴動停止タイマーが起動していないときに応答を検出した場合は、応答ガード時間を前記着信キューリストから読み取り、設定された応答ガード時間で応答ガードタイマーを起動し、応答した前記無線端末と着信呼を通話状態へ接続処理した後、通話状態となった着信呼を前記着信キューリストから削除し、
前記制御装置は、前記着信キューリストを検索し、残りキューがある場合、着信応答した前記無線端末以外の無線端末へ表示情報と着信音オフ制御情報を含む付加情報メッセージを送出し、前記着信キューリストから鳴動停止時間を読み取り、鳴動停止タイマーを起動する
ことを特徴とする交換システム。

【請求項7】
請求項6に記載の交換システムにおいて、
前記制御装置は、前記鳴動停止タイマーの満了後、空きの無線端末に対して、表示情報と着信音オン制御情報を含む付加情報を送出して、着信端末の鳴動を再開させる

【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の交換システムにおいて、
前記表示情報は、発信者番号・発信元番号、発信者名・発信元名、発信者識別情報・発信元識別情報、着信者番号・宛先番号、着信者名・宛先名、着信者識別情報・宛先識別情報、グループ着信内の着信番号若しくは着信数、のいずれかひとつ又は複数であることを特徴とする交換システム。

【請求項9】
交換機と、無線端末と通信する基地局とを備えた交換システムにおいて、
前記交換機は、
各々の着信グループに対して、着信呼のキュー毎に、表示情報、呼出し中状態・呼出し待ち状態・空き状態かを表すキュー状態、該キュー毎に予め定められた応答ガード時間を記憶する着信キューリストと、
前記着信キューリストを参照してデータを読み出し及び書き込み、着信制御を行う制御装置と、
を備えた、前記交換システムにおける着信制御方法であって、

第1の着信が前記交換機に通知されると、前記交換機の前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第1の着信、第1の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し中のキュー状態を含むキューを登録し、登録したキューに対する予め記憶されている応答ガード時間を読みだし、応答ガードタイマーを起動し、
さらに、第2の着信が前記交換機に通知されると、前記制御装置は、前記交換機では前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第2の着信、第2の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し待ちのキュー状態を含むキューを登録し、
前記着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、第1の着信に第1の無線端末が応答した場合、前記制御装置は、第1の着信に対して前記第1の無線端末を通話中とし、さらに、前記制御装置は、着信キューリストの表示情報を含めた付加情報メッセージを作成し、前記付加情報メッセージを、第1の着信に応答した前記第1の無線端末以外のひとつ又は複数の第2の無線端末に送出し、
前記ひとつ又は複数の第2の無線端末は、着信鳴動中の状態まま受け付けた前記付加情報メッセージ中の表示情報により第2の無線端末の表示を切り替え表示する
着信制御方法。

【請求項10】
交換機と、無線端末と通信する基地局とを備えた交換システムにおける前記交換機であって、
各々の着信グループに対して、着信呼のキュー毎に、表示情報、呼出し中状態・呼出し待ち状態・空き状態かを表すキュー状態、該キュー毎に予め定められた応答ガード時間を記憶する着信キューリストと、
前記着信キューリストを参照してデータを読み出し及び書き込み、着信制御を行う制御装置と、
を備え、
第1の着信が前記交換機に通知されると、前記交換機の前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第1の着信、第1の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し中のキュー状態を含むキューを登録し、登録したキューに対する予め記憶されている応答ガード時間を読みだし、応答ガードタイマーを起動し、
さらに、第2の着信が前記交換機に通知されると、前記制御装置は、前記交換機では前記制御装置は、第1の着信がグループ着信かを判断し、第1の着信グループへのグループ着信であると判断した場合、該当する前記着信キューリストに、第2の着信、第2の着信の着信呼情報に含まれる表示情報、呼出し待ちのキュー状態を含むキューを登録し、
前記着信キューリストに呼出し待ち状態の着信が1つ以上ある状態で、第1の着信に第1の無線端末が応答した場合、前記制御装置は、第1の着信に対して前記第1の無線端末を通話中とし、さらに、前記制御装置は、着信キューリストの表示情報を含めた付加情報メッセージを作成し、前記付加情報メッセージを、第1の着信に応答した前記第1の無線端末以外のひとつ又は複数の第2の無線端末に送出し、
前記ひとつ又は複数の第2の無線端末は、着信鳴動中の状態まま受け付けた前記付加情報メッセージ中の表示情報により第2の無線端末の表示を切り替え表示する
交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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