説明

交換可能な乾燥剤カートリッジを有する、過酸化水素蒸気システム

【課題】新規過酸化物蒸気の処理技術を提供する。
【解決手段】過酸化物蒸気システムで使用される乾燥剤カートリッジ(40)であって、いずれかの端部に末端クロージャ(46)を有する乾燥剤チャンバ(44)を規定する管状要素、該チャンバ中の乾燥剤材料、一方の末端クロージャ内に規定された入口開口部(48)および反対側の末端クロージャ内に規定された出口開口部(48)、該末端クロージャの開口部を囲む管状ガスケット(56,56’)を含む。このカートリッジは、管状要素(44、44’)内に前記乾燥剤材料(52’)を保持するための各末端開口部のスクリーン要素(50、50’)、および前記シールが取り外される前に、湿気が前記乾燥剤乾燥器に入るのを防止するために前記末端開口部を閉鎖する取り外し可能なシール(54)をさらに備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化物蒸気の処理技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、過酸化物蒸気の処理技術に関する。より詳細には、本発明は、過酸化水素蒸気による殺菌および消毒に関する。本発明は、過酸化水素蒸気殺菌システム(このシステムにおいて、過酸化物蒸気は、乾燥剤で乾燥された乾燥空気中に飛沫同伴される)と組み合わせた特定の用途を見出し、それに対する特定の参照とともに記載されている。本発明は、消毒、衛生設備、および他の処理プロセスと組み合わせて、他の過酸化物蒸気とともに使用され得ることが、理解されるべきである。
【0003】
以前まで、過酸化水素および水の溶液は、乾燥空気中に蒸発および飛沫同伴される。その蒸気および空気は、殺菌チャンバまたは他の処理チャンバ内にポンピングされる。過酸化水素は、酸化反応において微生物汚染物質および他の汚染物質と反応し、この反応によって、これらの汚染物質は失活され、蒸気分子は過酸化物から水に転換される。チャンバ内で、予め選択した濃度の過酸化水素を維持するために、このチャンバからの空気および蒸気は、気化器に再循環される。回収された空気中の過酸化水素蒸気は、触媒によってまたは熱によって、水蒸気まで分解される。次いで、この水蒸気を空気から取り除き、気化器に再循環させるべき乾燥空気を残す。
【0004】
空気を乾燥させるための1つの技術は、凝縮であった。しかし、凝縮は、比較的高価なコンプレッサおよび遠心分離ユニットを必要とする。さらに、このような凝縮ユニットは、代表的に、空気を、一貫した湿度レベルまで乾燥することができない。
【0005】
一貫した湿度レベルおよび低い湿度レベルは、空気および水蒸気を乾燥剤に通すことによって達成される。乾燥剤は、一貫して空気を低い湿度まで乾燥させるが、代表的には、乾燥剤を飽和するよりも、乾燥剤を再生するのにより長時間が費やされる。これらの要求を満たすための1つの方法は、乾燥剤ホイールを使用することにある。空気および水蒸気を、そのセクションが実質的に飽和状態になるまで、乾燥剤ホイールの第一の部分または第一のセクションに通過させた。次いで、ホイールに指標を付し、空気および水蒸気の流路に、新たな乾燥剤部分または乾燥剤セクションを与えた。数個の指標を付した次のホイール位置にわたって、乾燥剤の飽和部分を再生処理に供した。乾燥剤を再生するためのこのような搭載型システムは、高価でかつ機械的に複雑であるだけでなく、有意な重量およびバルクを、携帯型過酸化水素発生システムに付与した。
【0006】
米国特許第5,173,258号(特許文献1)は、サイクルの間に再生される空気乾燥器を備えた、過酸化物蒸気発生用のシステムを開示している。
【0007】
米国特許第3,338,032号(特許文献2)は、一方端で流動バルブにねじ込みによって受容され、他方端に隣接したノックアウトを有する、乾燥剤カートリッジに関する。
【0008】
米国特許第4,828,589号(特許文献3)は、含水(hydroscopic)乾燥剤の顆粒状材料を充填した交換可能なカートリッジを有するフィルターユニットを開示する。管状包装は、開閉可能な末端ポートを通してアクセス可能な内部チャンバを有する。乾燥カートリッジは、この末端ポートを通して、この内部チャンバに選択的に収容される。
【0009】
本発明は、上記の問題点を克服した、新規の改善された乾燥剤の乾燥システムを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,173,258号明細書
【特許文献2】米国特許第3,338,032号明細書
【特許文献3】米国特許第4,828,589号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明の1つの局面によれば、過酸化物蒸気システムは、以下を備える:液体過酸化物溶液の供給源を受容するための液体過酸化物インターフェース、液体過酸化物溶液を蒸発させ、その蒸気を、使用点に送達するために乾燥空気中に飛沫同伴させるための蒸気発生ユニット、および発生した蒸気を乾燥空気中に飛沫同伴させる前に、蒸気の空気を乾燥させるための、蒸気発生システムと接続された乾燥剤乾燥器。一対のニップルが、乾燥器と蒸気発生ユニットと相互接続している。この乾燥器は、末端部品の間に接続された乾燥剤チャンバをさらに備え、これらの末端部品の各々は、流体気密関係でこれらのニップルのうちの1つを受容し、かつこの末端部品をニップルにラッチングするための少なくとも1つのラッチを受容する、ボアを備える。
【0013】
本発明の別の局面によれば、使い捨て可能な乾燥剤カートリッジが、このシステムに提供される。この使い捨て可能な乾燥剤カートリッジは、各端部にてエンドクロージャを有する管状チャンバを備え、末端部品の間で受容されかつこれらの末端部品によってクランピングアセンブリを係合するように寸法決めされている。乾燥剤材料は、この管状チャンバ内に受容される。入口開口部は、この管状部材の一方のエンドクロージャにおいて規定され、そして出口開口部は、他方のエンドクロージャにおいて規定される。管状シールが、これらのエンドクロージャの開口部を取り囲んでいる。各末端開口部のスクリーン要素は、この管状要素内の乾燥剤材料を拘束する。取り外し可能な蒸気遮断シールが、その末端開口部を閉鎖して、蒸気シールが取り外される前に、湿気が乾燥剤カートリッジに入るのを防止する。
【0014】
本発明の別の局面によれば、上記システムを使用する方法が提供される。液体過酸化物溶液の供給源は、気化器に対するインターフェースに接続される。液体過酸化物溶液は、蒸発され、そしてその蒸気は、乾燥空気中に飛沫同伴される。空気中に飛沫同伴された蒸気は、使用点に送達される。使用点からの空気および蒸気は、交換可能な乾燥剤乾燥器を通って戻される。交換可能な乾燥剤乾燥器が飽和状態になった場合または飽和状態になる前に、この乾燥剤乾燥器は交換される。
【0015】
本発明の1つの利点は、その単純性および低コストにある。
【0016】
本発明の別の利点は、乾燥剤乾燥器の適切な性能を保証することにある。
【0017】
本発明の別の利点は、予測可能な低湿度レベルを有する乾燥空気を保証することにある。
【0018】
本発明のなおさらなる利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な記載を読んで理解する際に、当業者によって明らかとなる。
【0019】
より特定すれば、本発明は以下に項目に関する。
【0020】
項目(1)
過酸化物蒸気システムであって、以下:液体過酸化物溶液の供給源(12)を受容するための液体過酸化物溶液インターフェース(20);該液体過酸化物溶液を気化し、使用点までの送達のために乾燥空気中に該蒸気を飛沫同伴するための蒸気発生ユニット(10);および該乾燥した空気中に該発生した蒸気を飛沫同伴する前に、蒸気の空気を乾燥させるための蒸気発生ユニットと接続した交換可能な乾燥剤乾燥器(14)を備え、該乾燥器(14)を該蒸気発生ユニット(10)と内部接続するための一対の端部片(60,62);端部片(60,62)間に接続した乾燥剤チャンバ(44);該端部片(60)のうちの一方に取り付けられたピストン(98)であって、カートリッジガスケット(56)をシーリング関係で係合するためのシーリング面(100)を有するピストン;他方の端部片(62)上の第2のガスケットシーリング面(80);飽和した乾燥剤カートリッジの取り外し、および飽和していない乾燥剤カートリッジの受容を容易にするための、該ピストン(98)を引き込むための手段(102)によって特徴付けられる、システム。
【0021】
項目(2)
項目(1)に記載のシステムにおける使用のための乾燥剤カートリッジ(40)であって:いずれかの端部に末端クロージャ(46)を有する乾燥剤チャンバ(44)を規定する管状要素;該チャンバ中の乾燥剤材料(52);一方の末端クロージャ内に規定された入口開口部(48)および反対側の末端クロージャ内に規定された出口開口部(48);該末端クロージャの開口部を囲む管状ガスケット(56,56’)を含む、乾燥剤カートリッジ。
【0022】
項目(3)
項目(2)に記載の乾燥剤カートリッジであって:管状要素(44、44’)内に前記乾燥剤材料(52’)を保持するための各末端開口部のスクリーン要素(50、50’);および前記シールが取り外される前に、湿気が前記乾燥剤乾燥器に入るのを防止するために前記末端開口部を閉鎖する取り外し可能なシール(54)によってさらに特徴付けられる、乾燥剤カートリッジ。
【0023】
項目(4)
項目(1)に記載のシステムであって、前記クランプアセンブリ(42)が:前記乾燥剤カートリッジガスケット(56)との接触に前記ピストン(98)を付勢するためのバネ(104)をさらに含み;そして前記引き込む手段が、前記ピストンを引き込むバネに対して該ピストンを移動させるように操作される手動操作可能なレバー(102)を含むことによってさらに特徴付けられる、システム。
【0024】
項目(5)
項目(1)および(4)のいずれかに記載のシステムであって:前記クランプアセンブリのガスケットシーリング面(80,100)と前記乾燥剤カートリッジガスケットを整列するための、各端部要素(60,62)と結合した整列ブラケット(82,106)によってさらに特徴付けられる、システム。
【0025】
項目(6)
項目(1)〜(5)のいずれかに記載のシステムであって:前記蒸気発生ユニット(10)から突出した一対のニップル(72,92)であって、各ニップルがラッチ係合面(76,95)を有する、一対の突出ニップル(72,92)によってさらに特徴付けられ;そして各端部片が、該ニップルの一方を流体密な関係で受容するためのボア、および該ニップルに前記端部片をラッチするためにニップルラッチ面を係合するラッチ(74,94;74’,94’)によってさらに特徴付けられる、システム。
【0026】
項目(7)
項目(1)〜(6)のいずれかに記載のシステムであって:前記液体過酸化物溶液を受容するインターフェース(20)内に受容される過酸化物溶液カートリッジ(12)中の液体の容量に適合した湿気吸収能力を有する乾燥剤チャンバ(44,44’)によってさらに特徴付けられる、システム。
【0027】
項目(8)
項目(1)〜(7)のいずれかに記載のシステムであって:飽和した乾燥器を再生するための再生オーブン(12)をさらに備える、システム。
【0028】
項目(9)
項目(1)〜(8)のいずれかに記載のシステムを使用する方法であって、以下:液体過酸化物溶液の供給源を、蒸発器のためのインターフェースと接続する工程;該液体過酸化物溶液を気化し、該蒸気を乾燥空気中に飛沫同伴させる工程;空気中の該飛沫同伴された蒸気を使用点に供給する工程;該使用点から、交換可能な乾燥剤乾燥器を通して、空気および蒸気を回収する工程;ならびに該乾燥剤乾燥器が飽和になったとき、または飽和になる前に、該乾燥剤乾燥器を交換する工程によってさらに特徴付けられる、方法。
【0029】
項目(10)
項目(9)に記載の方法であって、ここで、前記乾燥剤乾燥器は、カートリッジを備え、ここで、前記交換する工程が、以下:飽和した乾燥剤乾燥器カートリッジを、前記蒸発器につながる流路から抜き取る工程;および該飽和したカートリッジを交換するために、流路内に飽和していない乾燥剤乾燥器カートリッジを接続する工程を包含する、方法。
【0030】
項目(11)
項目(10)に記載の方法であって、前記過酸化物液体の供給源が所定の容量の過酸化物液体を含む密封容器を備え、該方法は、以下:該所定の容量を吸収するのに十分である量の乾燥剤を、該カートリッジ内に充填する工程をさらに包含する、方法。
【0031】
項目(12)
項目(10)および(11)のいずれかに記載の方法であって、以下:前記飽和した乾燥剤カートリッジを再生する工程;開口部に対する一時的なシールを該カートリッジに取り付け、該再生した乾燥剤が湿気を吸収するのを防止する工程;および該再生したカートリッジを接続する前に、該シールを開放する工程をさらに包含する、方法。
【0032】
項目(13)
乾燥剤チャンバ(44,44’)を規定する管状要素;該管状要素の端部に取り付けられた末端クロージャ(46、60’,62’);該チャンバ内の乾燥剤材料(52’);該端部クロージャの一方に規定された規定された入口開口部(48,70)、および該端部クロージャの他方に規定された出口開口部(48,90’);該入口開口部および出口開口部を囲む環状ガスケット(56,56’);および該入口開口部および出口開口部を閉鎖するための取り外し可能な湿気不透過性シール(54)であって、該シールが取り外される前に、湿気が該乾燥剤チャンバ入るのを防ぐシール、を含む乾燥剤カートリッジ。
【発明の効果】
【0033】
空気中に飛沫同伴された使用点からの過酸化物溶液蒸気が、交換可能な乾燥剤乾燥器を通って戻され、交換可能な乾燥剤乾燥器が飽和状態になった場合または飽和状態になる前に、この乾燥剤乾燥器は交換されるので、単純性かつ低コストの過酸化物蒸気システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明に従う過酸化水素蒸気汚染システムの概略図である。
【図2】図2は、過酸化物蒸気発生システムの側面図である。
【図3】図3は、図2のシステムの端面図である。
【図4】図4は、図2および図3の気化器ユニットおよび使い捨て可能な乾燥器カートリッジの実施形態の上面図である。
【図5】図5は、図2〜4の乾燥剤カートリッジの拡大図である。
【図6】図6は、図5のカートリッジの端部の拡大断面図である。
【図7】図7は、図2〜4の乾燥剤カートリッジ受容アセンブリの側方断面図である。
【図8】図8は、図7のアセンブリの上部の正面図である。
【図9】図9は、図7のアセンブリの上面図である。
【図10】図10は、代替の再使用可能な乾燥器を備えた、図2の気化器システムの側面図である。
【図11】図11は、図10の代替の実施形態の端面図である。
【図12】図12は、一部開放された、前方アクセスパネルドアを備えた、図10および図11の気化器ユニットおよび再使用可能な乾燥器カートリッジの実施形態の上面図である。
【図13】図13は、図10〜12の再使用可能な乾燥器カートリッジの側方断面図である。
【図14】図14は、図10〜13のカートリッジについての発生器ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、種々の構成部品およびそれらの構成部品の配置、ならびに種々の工程およびそれらの工程の配置を具体化し得る。図面は、好ましい実施形態を例示する目的のためのみであり、本発明を制限するようには解釈されるべきではない。
【0036】
図1、2、3、および4を参照すると、蒸気発生ユニット10は、溶液供給源12からのペルオキシ溶液を気化させ、そしてこの蒸気を、乾燥器14によって乾燥された乾燥空気に飛沫同伴させる。この乾燥空気および蒸気は、処理チャンバ(例えば、アイソレータ16)に運ばれる。
【0037】
好ましい実施形態において、ペルオキシ溶液供給源は、過酸化水素の水溶液の容器またはカートリッジであり、これは、カートリッジインターフェース20内に受容される。一旦、カートリッジインターフェースに入ると、このカートリッジは、この溶液を引き抜くためのディップチューブアセンブリと相互接続される。水蒸気中の過酸化水素の溶液が好ましいが、他の溶液(例えば、過酢酸および水、他のペルオキシ化合物および水、アルコールおよび水の中のペルオキシ化合物など)が企図される。好ましい実施形態において、過酸化水素および水の溶液は、35〜50%の過酸化水素である。
【0038】
気化器システムは、注入ポンプ22を備え、このポンプは、計量された量のペルオキシ溶液を、気化器24に注入する。好ましい実施形態において、この気化器は、加熱された表面(例えば、加熱されたプレートまたはボアの内側表面)であり、ここに、ペルオキシ溶液が噴霧または注入されて、ペルオキシおよび水の蒸気を形成する。乾燥器14からの乾燥空気は、予熱器26において予熱され、そしてこの気化器に供給され、過酸化水素または他のペルオキシ蒸気および水蒸気を飛沫同伴させる。この空気に飛沫同伴された蒸気は、処理チャンバ16に供給される。
【0039】
処理チャンバにおいて、過酸化水素蒸気は、酸化反応における微生物および他の夾雑物と相互作用して、この微生物材料を不活性化し、そして空気中に浮遊した水蒸気を残す。従って、時間がたつにつれて、処理チャンバ中の過酸化水素の濃度は低下する。過酸化水素蒸気の濃度を維持するために、この蒸気および空気の一部が取り出され、そして破壊器28(例えば、銅ペレット)を通して供給される。この銅ペレットは、残りの過酸化物蒸気を、水蒸気および酸素に触媒的に分解する。送風機30(これは、空気および蒸気を移動させるための動力を提供する)は、空気および水蒸気を乾燥器14にポンピングする。乾燥器中の乾燥剤が水蒸気を吸収し、その結果、正確に予測可能な低湿度の空気が、予熱器26に排出される。この様式で、既知の湿度の空気が気化器に供給され、この気化器が、過酸化物蒸気の濃度を、凝結することなく最適化することを可能にする。有意な量の予測されない水蒸気が気化器に戻される場合、飽和空気のさらなる蒸気含有量が、過酸化物蒸気および水蒸気のうちの一方または両方の全蒸気含有量を、凝結点を越えて押し得ることが注目される。
【0040】
好ましい実施形態において、乾燥器14は、使い捨て乾燥剤カートリッジ40を備え、このカートリッジは、クランプアセンブリ42内にクランプされている。
【0041】
図5および6を参照すると、乾燥剤カートリッジは、円筒形チューブ44を備え、このチューブは、いずれかの端部において、エンドキャップ46によって閉じられ、予め選択された長さのカートリッジを形成する。開口部48が、各エンドキャップの中心に規定されて、気体がカートリッジの内外に通過することを可能にする。これらの開口部は、スクリーニング材料のディスク50によって内側を覆われており、乾燥剤52を保持する。水蒸気非透過性のエンドシール54が、各開口部の外側を覆って接着剤で接着されており、カートリッジ内の乾燥剤が、クランプアセンブリ42に設置される前に水蒸気を吸収することを防止する。各端部における開口部は、弾性ガスケット56(例えば、過酸化水素または他の循環される気体に対して不活性な材料の、不連続気泡発泡体)によって囲まれている。
【0042】
図2および3を再度参照し、そして図7、8、および9をさらに参照すると、クランプアセンブリ42は、1対の端部要素60、62、および1対のタイアングル(tie angle)64を備え、これらのタイアングルは、端部ピース60、62を、予め選択され、固定され、間隔を空けられた関係で維持する。下端要素62は、蒸気発生器アセンブリ10の出口ニップル72との相互接続のための、入口接続ポートまたはボア70を備える。ラッチアセンブリ74は、出口ニップルの周りのリップ76と係合して、クランプアセンブリ42を蒸気発生器に取り付けて維持する。この入口ポートは、L字型の通路を備え、この通路は、カートリッジの入口に隣接する出口ポート78において終結する。下部アセンブリは、出口ポート78を囲む平滑なシーリング面80を備えて、下部ガスケット56との気密シールを提供する。下部アセンブリは、直立した半円形のガイド部分82を備え、この部分は、カートリッジの下端を受容し、そして出口ポート78に中心を合わせて配置する。
【0043】
上部要素60は、出口ポート90を備え、この出口ポートは、気化器ユニット10における乾燥気体のための入口ポートのニップル92と、流体密の関係で受容されるような寸法にされる。ラッチアセンブリ94は、上部要素をニップルアセンブリのリップ95にロックする。上部要素60は、入口ポート96で終結するL字型の通路を備える。入口ポート96は、乾燥剤カートリッジのガスケット56の直径より大きい直径のピストン98によって囲まれる。このピストンは、平滑な、研磨されたシーリング面100を規定し、この面は、乾燥剤カートリッジガスケットと密封関係を形成する。ピストン98は、ハンドル102を使用者の方へと引くことによって、気化器ユニット10から離れて引き込まれる。ばね104は、このピストンを、乾燥剤カートリッジのガスケットと係合する方に付勢する。乾燥剤カートリッジが挿入される場合、ハンドル102は、使用者から離れる方に押され、ピストンを収縮させる。これにより、ピストンと、取り外される使用される乾燥剤カートリッジのガスケットとの間のシールが緩む。新たな乾燥剤カートリッジの接着シール54が除去され、そしてこの乾燥剤カートリッジが、その後表面が下部要素62の整列表面84および上部要素60の適合整列表面106と係合するまで、ラッチユニット72に挿入される。ハンドル102は、角度の付いた位置に戻され、ばね104が、ピストン98のシーリング面100を、乾燥剤カートリッジの上部ガスケットとの流体密シールに付勢することを可能にする。ピストン98と上部要素60との間のOリング108は、蒸気がピストンと上端部要素との間を通過することを防止する。
【0044】
1つの好ましい実施形態において、乾燥剤カートリッジは、先行する過酸化水素消費に適合する大きさにされる。1つの実施形態において、乾燥器は、最悪の場合の条件下で最大のエンクロージャーの1サイクルからの水分に適合する大きさにされる。この実施形態において、乾燥剤カートリッジは、各サイクルの開始時に交換される。別の実施形態において、乾燥剤カートリッジは、過酸化水素カートリッジの内容物によって発生する全ての水蒸気を吸収する大きさにされる。この実施形態において、乾燥剤カートリッジは、過酸化水素カートリッジが交換されるごとに、交換される。別の実施形態において、乾燥剤カートリッジは、複数の過酸化水素カートリッジによって発生される水を保持し得るような大きさにされる。なお別の代替として、乾燥剤カートリッジは、カートリッジが飽和に近付いており、そして交換されるべきであることの視覚的な指標を提供する、インジケータを備える。なお別の代替として、気化ユニット10は、予熱機に入る空気の湿度を感知する水分センサを備える。湿度が上昇し始める場合、気化ユニットは、乾燥剤カートリッジ40が交換の期限であることを示す視覚的信号または聴覚的信号を提供する。
【0045】
別の代替として、整列表面82、106は、正確な整列を確実にするために、カートリッジ40における対応する凹部に受容される突出部を有する。別の代替において、下部要素62の嵌合表面80および下端キャップは、整列を保証するための、嵌合する突出部および凹部を、ガスケット56の周囲の外側に有する。ハンドル102が押されてピストンが引き込まれる場合、つめが、ピストン98を引き込まれた状態に保持する。上端キャップにおける突出部または要素は、このつめと、直接かあるいは接続リンク機構を介して相互作用して、このピストンを、カートリッジの頂部がピストンを解放するように適切に受容される場合にのみ解放する。別の選択肢として、カッターが、下部要素62およびピストン98に提供されて、カートリッジが適切に整列した場合に、端部シール54を開き得る。
【0046】
図10〜13を参照すると、別の実施形態において、乾燥器カートリッジ40’は、気化器ユニット10のニップル72、92に直接取り付けられる。この実施形態は、第一または頂部の要素60’および第二または下部の端部要素62’を備え、これらの要素は、乾燥剤シリンダー44’によって相互接続されている。上端部要素は、ボア90’を備え、ガスケットが、流体密の関係で、最上部のニップル92を受容するように構成される;そして下端部要素は、流体密のシールで下部ニップル72を受容するように構成された、下部壁70’およびガスケット56’を規定する。下部ラッチ74’は、下部ニップル72のラッチ表面と係合し、そして上部ラッチ94’は、上部ニップル92のラッチ表面と係合する。スクリーン要素50’は、カートリッジの上部および下部の出口に隣接して配置され、乾燥剤52’をこれらの間に収容する。ガラスのサイト(sight)110は、操作者が、1対の下部スクリーン50’の間に規定される下部乾燥剤チャンバ112を見ることを可能にする。乾燥剤の色は、乾燥器が再生されたか否かの、使用者に対する指標である。好ましい実施形態において、この乾燥剤は、乾燥器が使用に供された直後に透明に変わる。この乾燥剤は、再生後、色を変化させる(この場合、青色)。
【0047】
好ましくは、再使用可能な乾燥剤カートリッジの全ての構成要素は、金属、または150℃のオーダーの温度への繰り返しの曝露に耐え得る他の材料から構築される。あるいは、このカートリッジは、使用された後に処分される、単回使用カートリッジであり得る。
【0048】
乾燥剤カートリッジが飽和されるか、または実施されるべき次のサイクルによって発生する水分を保持し得ない場合、ラッチ74’、94’が解放され、そして乾燥カートリッジが取り外され、そして再生されたカートリッジと交換される。図14を参照すると、飽和したカートリッジは、再生ユニット120に配置される。この再生ユニットは、第二の実施形態におけるニップル72、92と同じ大きさおよび間隔のニップルを備え、これらのニップルは、通路70’、90’に差し込まれる。図5の実施形態のカートリッジについては、マニホルド128は、嵌合する頂部接続および底部接続を備える。再生ユニットは、フィルタ(好ましくは、HEPAフィルタ122)を備え、このフィルタは、空気に運ばれる夾雑物を除去する。送風機124は、濾過された空気を、加熱器126を通してマニホルド128へと吹き込む。このマニホルドは、再生されるべき1つ以上の乾燥剤カートリッジ40’に接続される。加熱された空気(約150℃に加熱された)は、乾燥剤を通って吹き込まれ、吸収された水を飛沫同伴され、そして大気に排出される。温度スイッチ130を用いて、排出された空気の温度を測定することによって、時間または他の要因に基づいて決定される場合に、乾燥剤が完全に再生された後に、乾燥剤を通る加熱された空気の循環が停止され、そして冷却ファン132が始動される。この冷却ファンは、カートリッジのポートが閉じている間に、乾燥剤カートリッジを冷却して室温に戻す。一旦、乾燥剤カートリッジが、取り扱いに安全な温度まで冷却されると、ロック可能なドア134が解放される。乾燥剤カートリッジは、冷却空気からの湿度が吸収される場合に冷却空気がチャンバに入ることを防止するために、マニホルドに接続されたままである。
【0049】
(要約)
過酸化水素蒸気発生ユニット(10)は、過酸化水素および水溶液をインターフェース(20)で受容し、そしてニップル(72、92)によって空気乾燥器(14)と連結される。1つの実施形態において、この乾燥器は、クランプアセンブリ(42)を備え、このクランプアセンブリは、ニップルとラッチされ(74、94)、そして使い捨て可能な乾燥剤カートリッジ(40)を受容する。代替の実施形態において、再利用可能な乾燥剤カートリッジ(40’)は、直接的にニップル(72、92)に連結される。乾燥剤カートリッジ(40、40’)が飽和されると、乾燥剤カートリッジは取り除かれ、再生ユニット(120)中に設置される。再生されたカートリッジは、それ自体の場所に設置される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
過酸化物蒸気の処理技術の分野に関する。
【符号の説明】
【0051】
10 蒸気発生ユニット
14 乾燥器
20 カートリッジインターフェース
40 乾燥剤カートリッジ
42 クランプアセンブリ
44 円筒形チューブ
46 エンドキャップ
50 ディスク
52 乾燥剤
54 エンドシール
56 ガスケット
60、62 端部要素
64 タイアングル
76 リップ
92 ニップル
94 ラッチ
98 ピストン
102 ハンドル
104 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥剤チャンバ(44,44’)を規定する管状要素;
該管状要素の端部に取り付けられた末端クロージャ(46、60’,62’);
該チャンバ内の乾燥剤材料(52’);
該端部クロージャの一方に規定された規定された入口開口部(48,70)、および該端部クロージャの他方に規定された出口開口部(48,90’);
該入口開口部および出口開口部を囲む環状ガスケット(56,56’);および
該入口開口部および出口開口部を閉鎖するための取り外し可能な湿気不透過性シール(54)であって、該シールが取り外される前に、湿気が該乾燥剤チャンバ入るのを防ぐシール、を含む乾燥剤カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−158677(P2010−158677A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48253(P2010−48253)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2006−310793(P2006−310793)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(502042506)ステリス インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】