説明

交流−直流変換回路

【課題】従来の昇圧形交流−直流変換回路では、電流が通過する半導体素子の数が多く、装置の変換効率の低下と冷却装置の大型化・高コスト化が問題であった。
【解決手段】単相交流電源と第1のダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、第1のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続したコンデンサ直列回路と、交流入力が第1のダイオードブリッジ回路の交流入力に接続された第2のダイオードブリッジ回路と、第2のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極間に接続したスイッチ素子直列回路と、を備え、前記コンデンサ直列回路内部の直列接続点と前記スイッチ素子直列回路内部の直列接続点とを接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相交流入力を直流出力に変換する交流−直流変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に、従来の技術を用いた交流−直流変換回路図を、図6にその動作図例を示す。この回路は、特許文献1の三相整流回路を単相交流入力に簡略化した構成としている。図5に示すように、交流電源1とダイオード23〜26で構成されたダイオードブリッジ回路の交流入力との間にはリアクトル2が、ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間にはスイッチ素子としてのMOSFET11と12の直列回路が、MOSFET11と並列にダイオード21とコンデンサ3との直列回路が、MOSFET12と並列にコンデンサ3とダイオード22との直列回路が、コンデンサ3と4の直列回路と並列に負荷5が、各々接続された構成である。
【0003】
この回路の動作を図6に基づいて順次説明する。交流電源1の電圧vinのピーク値より高い直流出力電圧を得る昇圧形の交流−直流変換回路で、高力率コンバータ回路とも呼ばれる。
交流電源1の電圧vinがvin>0(矢印方向が正、以下同様)かつvin<E(Eはコンデンサ3と4の各々の電圧)の時、MOSFET11と12を同時にオンすると、電流は、交流電源1→リアクトル2→ダイオード23→MOSFET11→MOSFET12→ダイオード26→交流電源1の経路で流れて増加する。この時、リアクトル2には交流電源1の電圧vinが印加されるが、vinが小さいためにリアクトル2に印加される電圧も小さくなる。ここで、リアクトル2にvinが印加されるため、リアクトル2の電流が増加し、入力電流も増加する。
【0004】
次に、MOSFET11がオフした場合、電流は、リアクトル2→ダイオード23→ダイオード21→コンデンサ3→MOSFET12→ダイオード26→交流電源1→リアクトル2の経路に転流する。一方、MOSFET12がオフした場合、電流はリアクトル2→ダイオード23→MOSFET11→コンデンサ4→ダイオード22→ダイオード26→交流電源1→リアクトル2の経路に転流する。ここで、ダイオード23〜26で構成したダイオードブリッジの交流入力電圧v1にはコンデンサ3の電圧(MOSFET11がオフした場合)又はコンデンサ4の電圧(MOSFET12がオフした場合)が発生する。コンデンサ3とコンデンサ4の電圧は同じ値に制御されるため、この時の電圧v1はEとなる。従って、リアクトル2に印加される電圧はvin−Eとなり、負の値(この時vin<Eであるため)となり、リアクトル2の電流は減少し、入力電流も減少する。ここで、電圧Eの値は出力電圧の半分であるため、リアクトル2に印加される電圧絶対値も小さな値となる。
【0005】
次に、vin>0かつvin>Eの場合、MOSFET11又は12がオンする。電流の経路は上述と同じであり、リアクトル2に印加される電圧も同様にvin−Eとなる。しかし、vin−Eは正の値になるため(このときvin>Eであるため)、リアクトル2に流れる電流は増加し、入力電流も増加する。この時電圧v1の値はEであり、零まで下がることはないので、リアクトル2に印加される電圧は小さくなる。
【0006】
次に、MOSFET11と12が同時にオフすると、電流はリアクトル2→ダイオード23→ダイオード21→コンデンサ3→コンデンサ4→ダイオード22→ダイオード26→交流電源1→リアクトル2の経路で流れる。ここで、ダイオード23、21、22及び26が導通するので、電圧v1の値はコンデンサ3の電圧とコンデンサ4の電圧の和の電圧2Eとなる。リアクトル2に印加される電圧はvin−2Eとなり、負の値となる。従って、リアクトル2に流れる電流は減少し、入力電流も減少する。この時vinは高い値となっているが、v1も高い値(2E)であるため、リアクトル2に印加される電圧絶対値は小さな値となる。
【0007】
ここではvin>0の場合の動作を説明したが、vin<0の場合にはダイオード23と26が導通する代わりにダイオード25と24が導通し、その他は同様な動作となる。
このようなスイッチング動作を繰り返すことで、入力電流を正弦波状に制御する。同時に、コンデンサ3と4への充電電流を制御し、コンデンサ3とコンデンサ4の電圧をバランスさせながら出力電圧を制御することができる。さらに、リアクトル2に印加される電圧が小さくなるので、リアクトル2に流れる電流リプルが小さくなり、リアクトル2の小形化、低損失化が図れる。さらに、入力電流に流れるリプルも小さくなるので、低ノイズ化やノイズフィルタの小形化も可能となる。
【0008】
次に、図7の従来回路について説明する。この回路は特許文献2に示された単相交流電圧のピーク値より高い直流出力電圧を得る交流−直流変換回路である。交流電源1とダイオード23〜26で構成されたダイオードブリッジ回路の交流入力との間にはリアクトル2が、ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極の間にはコンデンサ3と4が直列接続されたコンデンサ直列回路が、ダイオードブリッジ回路の交流入力端子の各々とコンデンサ直列回路内部の直列接続点との間には各々交流スイッチ15と16が接続される。
【0009】
このように構成された交流−直流変換回路の動作は図6と同様である。交流電源1の電圧vin>0かつvin<Eの時、交流スイッチ15と16を同時にオンすると、電流は、交流電源1→リアクトル2→交流スイッチ15→交流スイッチ16→交流電源1の経路で流れて増加する。この時、リアクトル2には交流電源1の電圧vinが印加されるが、vinが小さいためにリアクトル2にも低い電圧が印加される。ここで、リアクトル2にvinが印加されるため、リアクトル2の電流が増加し、入力電流も増加する。次に、交流スイッチ15がオフした場合、電流はリアクトル2→ダイオード23→コンデンサ3→交流スイッチ16→交流電源1→リアクトル2の経路に転流する。一方、交流スイッチ16がオフした場合、電流はリアクトル2→交流スイッチ15→コンデンサ4→ダイオード26→交流電源1→リアクトル2の経路に転流する。
【0010】
ここで、ダイオード23〜26で構成されたダイオードブリッジの交流入力電圧v1にはコンデンサ3の電圧(交流スイッチ15がオフした場合)又はコンデンサ4の電圧(交流スイッチ16がオフした場合)が発生する。コンデンサ3とコンデンサ4の電圧は同じ値に制御されるため、このときの電圧v1はEとなる。従って、リアクトル2に印加される電圧はvin−Eとなり、負の値(この時vin<Eであるため)となるので、リアクトル2の電流は減少し、入力電流も減少する。ここで、Eの値は出力電圧の半分であるため、リアクトル2に印加される電圧絶対値も小さな値となる。
【0011】
次に、vin>0かつvin>Eの場合、交流スイッチ15又は16がオンすると、電流の経路は上述と同じであり、リアクトル2に印加される電圧も同様にvin−Eとなる。しかし、vin−Eは正の値になるため(この時vin>Eであるため)、リアクトル2に流れる電流は増加し、入力電流も増加する。この時電圧v1の値はEであり、零まで下がることはないので、リアクトル2に印加される電圧は小さくなる。
次に、交流スイッチ15と16が同時にオフすると、電流はリアクトル2→ダイオード23→コンデンサ3→コンデンサ4→ダイオード26→交流電源1→リアクトル2の経路となる。ここで、ダイオード23と26が導通するので、電圧v1の値はコンデンサ3の電圧とコンデンサ4の電圧の和で2Eとなる。リアクトル2に印加される電圧はvin−2Eとなり、負の値となる。従って、リアクトル2に流れる電流は減少し、入力電流も減少する。この時vinは高い値となっているが、電圧v1も高い値2Eであるため、リアクトル2に印加される電圧絶対値は小さな値となる。
【0012】
ここではvin>0の場合の動作を説明したが、vin<0の場合にも回路の対称性から同様な動作となる。このようなスイッチング動作を繰り返すことで、入力電流を正弦波状に制御する。同時に、コンデンサ3と4への充電電流を制御し、コンデンサ3とコンデンサ4の電圧をバランスさせながら出力電圧を制御することができる。さらに、リアクトル2に印加される電圧が小さくなるので、リアクトル2に流れる電流リプルが小さくなり、リアクトル2の小形化、低損失化が図れる。さらに、入力電流に流れる電流リプルも小さくなるので、低ノイズ化やノイズフィルタの小形化も可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平6−253540号公報
【特許文献2】特開2008−22625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のように、図5に示す従来の交流−直流変換回路において、MOSFET11とMOSFET12が同時にオンしている期間では電流が通過する半導体素子数は4個となる。即ち、交流電源電圧vin>0の時は、ダイオード23、26、MOSFET11、12の4個で、交流電源電圧vin<0の時は、ダイオード24、25、MOSFET11、12の4個で、ある。
また、MOSFET11がオフしている期間は同様に4個である。即ち、交流電源電圧vin>0の時は、ダイオード23、26、21、MOSFET12の4個で、交流電源電圧vin<0の時は、ダイオード24、25、21、MOSFET12の4個である。
また、MOSFET12がオフしている期間は同様に4個である。即ち、交流電源電圧vin>0の時は、ダイオード23、26、22、MOSFET11の4個で、交流電源電圧vin<0の時は、ダイオード24、25、22、MOSFET11の4個である。
さらに、MOSFET11と12が同時にオフしている期間も同様に4個である。即ち、交流電源電圧vin>0の時は、ダイオード23、26、21、22の4個で、交流電源電圧vin<0の時は、ダイオード24、25、21、22の4個である。
【0015】
このように、図5に示す従来回路においては、電流が通過する半導体素子数は常に4個となり、大きな導通損失が発生してしまう。この結果、変換装置の変換効率が低下し、冷却部品の大形化とコストの増加を招くという問題がある。
【0016】
図7に示す従来の整流回路においては、交流スイッチ15と16が同時にオンしている期間では、電流が通過する半導体素子数は2個(交流スイッチ15と16)となる。同様に、交流スイッチ15又は16がオフしている期間では、ダイオード1個と交流スイッチ1個となる。また、交流スイッチ15と16が同時にオフしている期間では、ダイオード2個となる。リアクトル2の電流を増加させる時の電流の通過素子は交流スイッチ2個であり、交流スイッチをスイッチ素子とダイオードを組合せて実現する場合、発生損失が増加する。この結果、変換装置の変換効率が低下し、冷却部品の大形化とコストの増加を招くという問題がある。
【0017】
従って、本発明の課題は、電流が通過する素子数を減らすことができ、発生損失の低下により変換効率を向上させ、冷却部品の小型化と低コスト化を図れる交流−直流変換回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の課題を解決するために、第1の発明においては、単相交流電源電圧を整流して直流電圧を得る交流−直流変換回路において、前記単相交流電源と第1のダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、前記第1のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続した2個のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路と、交流入力が前記第1のダイオードブリッジ回路の交流入力に接続された第2のダイオードブリッジ回路と、前記第2のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極間に接続したスイッチ素子を2個直列接続したスイッチ素子直列回路と、を備え、前記コンデンサ直列回路内部の直列接続点と前記スイッチ素子直列回路内部の直列接続点とを接続し、前記コンデンサ直列回路の両端を直流出力とする。
【0019】
第2の発明においては、第1の発明における前記第1のダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に交流スイッチを接続する。
第3の発明においては、単相交流電源電圧を整流して直流電圧を得る交流−直流変換回路において、前記単相交流電源とダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に接続した交流スイッチと、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続したスイッチ素子を2個直列接続したスイッチ素子直列回路と、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続したアノードが前記正極に接続された第1のダイオードと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、カソードが前記負極に接続された第2のダイオードと、をこの順に直列接続したダイオード・コンデンサ直列回路と、を備え、前記スイッチ素子直列回路内部の直列接続点と前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点とを接続し、前記第1のダイオードと前記第1のコンデンサとの接続点及び前記第2のコンデンサと前記第2のダイオードとの接続点とを直流出力とする。
【0020】
第4の発明においては、単相交流電源電圧を整流して直流電圧を得る交流−直流変換回路において、前記単相交流電源とダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に接続した第1の交流スイッチと、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続した2個のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路と、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力端子の各々と前記コンデンサ直列回路内部の接続点との間に各々接続した第2及び第3の交流スイッチと、を備え、前記コンデンサ直列回路の両端を直流出力とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、リアクトルの電流を増加させるための回路と、リアクトルの電流をコンデンサに充電させるための回路の共通部分を減少させた回路構成としているため、各モードにおける電流が通過する半導体素子数を減少させている。その結果、発生損失の低減による変換効率向上と、冷却装置の小型化による装置の小型化と低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施例を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施例を示す回路図である。
【図5】従来の第1の実施例を示す回路図である。
【図6】図5の変換動作を示す動作波形図である。
【図7】従来の第2の実施例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の要点は、単相交流電源電圧を整流して交流電源電圧のピーク値より高い直流電圧に変換する交流−直流変換回路において、交流電源と変換回路との間に接続されたリアクトルの電流を増加させるための回路と、リアクトルの電流を直流出力コンデンサに充電させるための回路の共通部分を減少させた回路構成としているため、各モードにおける電流が通過する半導体素子数を減少させている点である。
【実施例1】
【0024】
図1に、本発明の第1の実施例を示す。スイッチ素子としてMOSFETを用いた時の実施例である。回路は、単相交流電源1とダイオード27〜30で構成された第1のダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトル2と、前記第1のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続した2個のコンデンサ3、4を直列接続したコンデンサ直列回路と、交流入力が前記第1のダイオードブリッジ回路の交流入力に接続されたダイオード23〜26で構成した第2のダイオードブリッジ回路と、前記第2のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極間に接続したMOSFET11、12を2個直列接続したMOSFET直列回路と、を備えた構成である。また、前記コンデンサ直列回路内部の直列接続点と前記MOSFET直列回路内部の直列接続点とを接続し、前記コンデンサ直列回路の両端には、負荷5を接続する。
【0025】
このような構成において、交流電源電圧vinが矢印の極性に正である時、リアクトル2の電流を増加させる時には、MOSFET11と12を同時にオンさせる。MOSFET11と12がオンすると、電流は交流電源1→リアクトル2→ダイオード23→MOSFET11→MOSFET12→ダイオード26→交流電源1の経路で増加する。次にMOSFET12をオフすると、リアクトル2の電流は、ダイオード23→MOSFET11→コンデンサ4→ダイオード30→交流電源1→リアクトル2の経路となり、コンデンサ4を充電する経路に転流し、減少する。また、MOSFET11と12がオンの状態から、MOSFET11をオフすると、リアクトルの電流は、ダイオード27→コンデンサ3→MOSFET12→ダイオード26→交流電源1→リアクトル2の経路となり、コンデンサ3を充電する経路に転流し、減少する。また、MOSFET11と12がオンの状態から、MOSFET11と12を同時にオフすると、リアクトル2の電流は、ダイオード27→コンデンサ3→コンデンサ4→ダイオード30→交流電源1→リアクトル2の経路となり、コンデンサ3と4の直列回路を充電して、減少する。
【0026】
このような動作を組合せることにより、交流電源1の電流が正弦波状になるようにしつつ、コンデンサ3と4の電圧が均等になるように、制御する。このように、リアクトル2の電流を増加させる時に電流が通過する素子数はダイオード2個とMOSFET2個、リアクトル2の電流でコンデンサ3又は4を充電する時はダイオード2個とMOSFET1個、リアクトル2の電流でコンデンサ3及び4を充電する時はダイオード2個となる。
また、交流入力電圧の極性が負である時には、ダイオード27の動作がダイオード29に、ダイオード30の動作がダイオード28に、ダイオード23の動作がダイオード25に、ダイオード26の動作がダイオード24に、各々置き換わることになる。
以上の説明から判るように、従来技術で説明した図5の回路構成に比べると、リアクトル2の電流を増加させる時の電流の通過素子数は同じであるが、リアクトル2の電流でコンデンサ3、4を充電する時の電流の通過素子数は減少する。
【実施例2】
【0027】
図2に、本発明の第2の実施例を示す。図1に示した第1の実施例の第1及び第2のダイオードブリッジ整流回路の交流入力端子間に交流スイッチ17を接続した構成である。リアクトル2の電流を増加させる時にはこの交流スイッチ17をオンさせる。また、リアクトル2の電流でコンデンサ3、4を充電する時には、実施例1と同様にMOSFET11、12を制御する。この結果、第1の実施例に比べて、リアクトル2の電流を増加させる時の電流の通過素子数を減少させることができる。即ち、実施例1がダイオード2個とMOSFET2個であるのに対して、本実施例では交流スイッチ1個となる。
【実施例3】
【0028】
図3に、本発明の第3の実施例を示す。図5に示した従来例の回路に交流スイッチ17を追加した構成である。即ち、ダイオード23〜26で構成されたダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に交流スイッチ17が接続される。この構成においては、リアクトル2の電流を増加させる時には交流スイッチ17をオンさせる。コンデンサ3、4を充電する時の動作は従来例図5と同じである。この結果、リアクトル2の電流を増加させる時に電流が通過する半導体素子数は交流スイッチ17だけとなり、従来例の図5に比べて減少する。即ち、従来例の図5がダイオード2個とMOSFET2個であるのに対し、本実施例では交流スイッチ1個となる。
【実施例4】
【0029】
図4に、本発明の第4の実施例を示す。図7に示した従来例の回路に交流スイッチ17を追加した構成である。即ち、ダイオード23〜26で構成されたダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に交流スイッチ17が接続される。この構成においては、リアクトル2の電流を増加させる時には交流スイッチ17をオンさせる。コンデンサ3、4を充電する時の動作は、交流スイッチ17をオフすると共に交流スイッチ15、16を制御するがこの動作は従来例図7と同じである。この結果、リアクトル2の電流を増加させる時に電流が通過する半導体素子数は交流スイッチ17だけとなり、従来例の図7に比べて減少する。即ち、従来例の図7が交流スイッチ2個であるのに対し、本実施例では交流スイッチ1個となる。
【0030】
尚、上記実施例には、交流電源1の一方とダイオードブリッジ回路の交流入力端子の一方との間に、リアクトル2が接続された例を示したが、交流入力電源1の他方の端子とダイオードブリッジ回路の交流入力端子の他方との間にリアクトルを追加接続しても同様の動作と効果が得られる。
また、交流スイッチとしては、逆阻止形のスイッチ素子を逆並列接続する構成や、ダイオードと逆阻止能力の無いスイッチ素子を組合せる構成があることは周知である。
さらに、直流出力の正極と負極との間に負荷を接続する構成を示したが、直流出力の中間点を用いて、正電圧出力や負電圧出力としても使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、交流電源から3レベルの直流電圧を出力する交流−直流変換回路であり、スイッチング電源、無停電電源装置(UPS)、電動機駆動用インバータなどへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・単相交流電源 2・・・リアクトル
3、4・・・コンデンサ 5・・・負荷
15〜17・・・交流スイッチ
11、12・・・MOSFET 21〜30・・・ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単相交流電源電圧を整流して直流電圧を得る交流−直流変換回路において、前記単相交流電源と第1のダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、前記第1のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続した2個のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路と、交流入力が前記第1のダイオードブリッジ回路の交流入力に接続された第2のダイオードブリッジ回路と、前記第2のダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極間に接続したスイッチ素子を2個直列接続したスイッチ素子直列回路と、を備え、前記コンデンサ直列回路内部の直列接続点と前記スイッチ素子直列回路内部の直列接続点とを接続し、前記コンデンサ直列回路の両端を直流出力としたことを特徴とする交流−直流変換回路。
【請求項2】
前記第1のダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に交流スイッチを接続したことを特徴とする請求項1に記載の交流−直流変換回路。
【請求項3】
単相交流電源電圧を整流して直流電圧を得る交流−直流変換回路において、前記単相交流電源とダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に接続した交流スイッチと、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続したスイッチ素子を2個直列接続したスイッチ素子直列回路と、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続したアノードが前記正極に接続された第1のダイオードと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、カソードが前記負極に接続された第2のダイオードと、をこの順に直列接続したダイオード・コンデンサ直列回路と、を備え、前記スイッチ素子直列回路内部の直列接続点と前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの接続点とを接続し、前記第1のダイオードと前記第1のコンデンサとの接続点及び前記第2のコンデンサと前記第2のダイオードとの接続点とを直流出力としたことを特徴とする交流−直流変換回路。
【請求項4】
単相交流電源電圧を整流して直流電圧を得る交流−直流変換回路において、前記単相交流電源とダイオードブリッジ回路の交流入力との間に接続したリアクトルと、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力端子間に接続した第1の交流スイッチと、前記ダイオードブリッジ回路の直流出力の正極と負極との間に接続した2個のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路と、前記ダイオードブリッジ回路の交流入力端子の各々と前記コンデンサ直列回路内部の接続点との間に各々接続した第2及び第3の交流スイッチと、を備え、前記コンデンサ直列回路の両端を直流出力としたことを特徴とする交流−直流変換回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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