説明

交流電圧調整装置

【課題】商用電源の入力電圧や負荷電力が大きく変動しても、その出力電圧を所定の範囲内に収まる低コストでメンテナンスフリーの交流電圧調整装置を提供する。
【解決手段】商用電源に接続される入力端子7と、入力端子7の一方に接続された出力端子8と、入力端子7の他方に接続される一次巻線と、複数のタップ端子t3−t7を備えて入力端子7の他方に接続された二次巻線と、を有する主変圧器1と、複数のタップ端子t3−t7の選択された一つを出力端子の一方に接続する切替回路5と、主変圧器1の出力端子8の電圧値を検出する出力電圧検出回路2と、この出力電圧検出回路2の出力値を予め設定された基準電圧Vrefと比較し、主変圧器1の出力電圧が所定の範囲内になるように切替回路5を駆動制御することにより主変圧器1の出力電圧を調整する制御回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用交流電源の電圧が大きく変動しても、所定の変動幅内に収まるように昇圧調整する交流電圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気事業法施行規則第44条は、電力会社等の電力事業者が電力需要者に対して供給する商用電源の電圧変動幅に関して、標準電圧「100V」については、AC101Vの上下6Vを超えない値(即ち、AC95乃至107V)、標準電圧「200V」については、AC202Vの上下20Vを超えない値(即ち、AC182乃至222V)と規定している。従って、商用電源を電力源として動作する電気機器類は、例えば標準電圧がAC100Vの機器の場合、電源電圧がAC95乃至107Vの範囲で変動しても、正常に動作をすることが求められることとなる。
【0003】
しかし、電力事業者に要求される商用電源の上記変動幅は、電力需要者における電力引込ポイントにおける電圧値を規定するものであって、電力需要者の施設内において当該電力引込ポイントからの電気機器類に至る屋内配線が長い場合には、施設内の設置された個々の電気機器に印加される商用電源の電圧値は、上記規定の電圧変動幅を下回ってしまう場合がある。
【0004】
特に、パチンコ機、スロットマシーン又は各種ゲーム機器等の遊技機を数多く設置する遊技場の多くは、元々施設面積が広く屋内配線経路が長くなることがあり、遊技機を増設した場合等に、遊技機に印加される商用電源の実際の電圧値が、上記変動幅の規定値の下限値を下回ってしまう場合があった。
【0005】
そこで、従来は、電力引込ポイントからの電気機器類に至る屋内配線が長くなる施設内において、商用電源の電圧を一律に昇圧する変圧器を設置することも行なわれていたが、施設内の総電力負荷が低下した場合には、逆に、電気機器への供給電圧が電源電圧の上記変動幅の上限値を超えてしまうことになる。
【0006】
このため、このような遊技機施設には、商用電源の電圧が低下した場合にのみ電圧を昇圧させて電源供給を行うようにした電源装置を使用することがあった(例えば、引用文献1参照)。
【0007】
引用文献1に記載の遊技機用安定化電源装置は、図1及び図4に示すように、主変圧器1の一次側巻線5を、固定巻数の第1巻線11と、有効巻数が選択可能な第2巻線12とによって構成し、第2巻線12を補助変圧器2の二次側巻線10に接続し、補助変圧器2の二次側巻線10に誘起された交流電圧によって磁界を発生させる。制御回路3は、入力電圧に応じてスイッチ回路14を制御し、第2巻線12の複数のタップの中から任意のタップを補助変圧器2の二次側巻線10に接続して対応するブロックを能動化し、能動化された第2巻線12のブロックからの磁界によって、主変圧器1の一次側巻線5の有効巻線数を可変し、入力電圧の変動に拘わらず一定電圧の駆動電源を供給しようとするものである。
【特許文献1】特開2003−33479
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、引用文献1に記載の電源装置は、商用電源の電圧変動を主変圧器の一次側から検出するものであり、主変圧器の出力電圧を無視するものであることから、負荷変動が大きい場合、交流出力電圧は大きく変動してしまうこととなる。また、商用電源の入力電圧値と出力電圧の許容最低値との差が大きくなるほど、制御回路(CPU)3は、より多くの第2巻線12のブロックを選択することになるので、第2巻線12の有効巻線数が増えて出力電圧に大きなバラツキを生じさせることとなる。
【0009】
このため、本願は、商用電源の入力電圧や負荷電力が大きく変動しても、その出力電圧が確実に所定の範囲内に収まる交流電圧調整装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本願の請求項1に記載の発明は、商用電源に接続される入力端子と、前記入力端子の一方に接続された出力端子と、前記入力端子の他方に接続される一次巻線と、複数のタップ端子を備えて前記入力端子の他方に接続された二次巻線と、を有する主変圧器と、前記複数のタップ端子の選択された一つを出力端子の一方に接続する切替回路と、前記主変圧器の出力端子の電圧値を検出する出力電圧検出回路と、前記出力電圧検出回路の出力値を予め設定された基準電圧と比較し、前記出力値が所定の範囲内になるように前記切替回路を駆動制御することにより前記主変圧器の出力電圧を調整する制御回路と、を備えたことを特徴とする交流電圧調整装置を提供するものである。
【0011】
このように、請求項1に記載の本交流電圧調整装置においては、主変圧器の出力端子側の電圧値を検出しそれが一定の範囲内に収まるように制御するので、商用電源の入力電圧や負荷電力が大きく変動しても、その出力電圧を所定の範囲内に収まるように制御することを可能にしたのである。また、本交流電圧調整装置においては、複数のタップ端子を有し前記入力端子の他方に接続された二次巻線を備えた主変圧器を使用するので、当該主変圧器を二次巻線が少ない簡易な構造にすることができ、装置全体の小型化軽量化を可能にしたのである。
【0012】
そして、請求項2に記載の発明は、前記出力電圧検出回路は、前記商用電圧に接続された絶縁変圧器と前記絶縁変圧器の出力電圧を整流する整流回路とを有し、前記制御回路は、前記平滑回路の出力電圧波形の極小値及び極大値を検出し、前記出力電圧検出回路の出力波形の極大値を前記基準電圧と比較するようにしている。このように、本交流電圧調整装置を構成する出力電圧検出回路は、一次側巻線と二次側巻線を電気的に遮断した絶縁変圧器の二次巻線側の電圧を検出することにより、出力電圧波形の極小値及び極大値の検出をしている。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記出力電圧検出回路は、前記整流回路で整流された出力電圧を平滑する平滑回路をさらに備えるようにしている。これにより絶縁変圧器の二次巻線側の負荷側から制御回路側へのノイズの回り込みを防止している。
【0014】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記制御回路が、前記平滑回路の出力電圧波形の極大値を前記基準電圧と比較するようにしているので、経年変化等により平滑回路の時定数(特に、コンデンサのキャパシタンス値)が変化しても、主変圧器の出力端子の電圧値を正確に検出することができるのである。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記制御回路が、前記商用電源の電圧波形のゼロクロス点に合わせて前記切替回路を駆動するので、前記複数のタップ端子に切り替え時に生じ得るノイズの発生を抑制しているのである。
【0016】
このために、請求項6に記載の発明は、前記制御回路が、前記平滑回路の出力電圧波形の極小値を前記ゼロクロス点とみなして、商用電源の電圧波形のゼロクロス点を検知するための回路を不要としているのである。
【0017】
また、請求項7に記載の発明において、前記制御回路が、前記切替回路を駆動制御するための出力信号をデコードする論理回路を備え、前記切替回路の駆動制御を前記論理回路を介して行うようにしている。これにより、制御回路から切替回路への制御線の本数を削減したのである。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記論理回路が、前記複数のタップ端子の選択された一つが選択されて前記出力端子に接続された場合に、他のタップ端子の前記出力端子への接続を排除する論理特性を有するので、ノイズ等による二次巻線の短絡事故を確実に排除するという作用効果を有するのである。
【0019】
そして、請求項9に記載の発明は、前記切替回路が、前記複数のタップ端子に接続された複数のスイッチング手段を有し、スイッチング手段の夫々は、トランジスタ及びダイオードにより構成されているので、接点等の劣化がなくメンテナンスフリーの交流電圧調整装置を可能にしたのである。
【0020】
ここで、請求項10に記載の発明は、前記スイッチング手段を構成するトランジスタを、前記商用電源の電圧波形のゼロクロス点を通過する毎に一方がオンして他方がオフすることを繰り返す2つの電界効果トランジスタにより構成するようにしたので、主変圧器にインダクタンス負荷が接続されていても、ノイズの発生がなく長寿命の交流電圧調整装置を可能にしたのである。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明に係る交流電圧調整装置は、商用電源の入力電圧や負荷電力が大きく変動しても、主変圧器の出力端子側の電圧値を検出しそれが一定の範囲内に収まるように制御しているので、その出力電圧を確実に所定の範囲内に確保することを可能にするのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る交流電圧調整装置の最適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は、本交流電圧調整装置の技術的構成を説明するためのブロック図を示す。本交流電圧調整装置は、入力端子7を介して商用電源(例えば、AC100V、50/60Hz)に接続される主変圧器1と、主変圧器1の二次巻線を切り替える切替回路5と、主変圧器1の出力端子8の電圧値を検出する出力電圧検出回路2と、出力電圧検出回路2の出力値が予め設定された基準電圧(プログラム等によって設定される基準電圧)と比較して、その出力値が所定の範囲内になるように切替回路5を駆動制御することにより主変圧器1の出力電圧を調整する制御回路3、4と、を備える。
【0024】
ここで、入力端子7に接続される商用電源の一方のラインVcomは、そのまま出力端子8にも接続される。そして、主変圧器1は、商用電源の他方のラインVinをタップ端子t1を介して接続する一次巻線と、巻線数を切り替えるための複数のタップ端子t3、t4、t5、t6及びt7を備えて商用電源の他方のラインVinに接続される二次巻線と、を有する。これにより、二次巻線に誘起される電圧は、商用電源にそのまま重畳されて出力されることとなるのである。
【0025】
従って、例えば、一次巻線に商用電源の定格値であるAC100Vが入力された時にタップ端子t3−t4間、t3−t5間、t3−t6及びt3−t7に、それぞれAC5V,AC11V、AC16V及びAC22Vが出力されるように二次巻線の巻数を設定していた場合、タップ端子t3が選択された時には、タップt3が一次巻線のVinに接続されているので、そのまま商用電源の電圧Vin(即ち、AC100V)を出力し、t4、t5、t6又はt7が選択された場合は、それぞれAC105V、AC111V,AC116V又はAC122Vが出力端子8に、Voutとして選択的に出力されることとなる。これにより、入力端子7に接続された商用電源の電圧が定格値よりも20%程度の範囲で低下しても、出力端子8からは、電気事業法施行規則第44条によって規定された商用電源の電圧変動許容範囲(AC95乃至107V)内の交流電圧を出力を確保することができるのである。
【0026】
図1に示すように本装置を構成する制御回路は、出力電圧検出回路2の出力値が予め設定された基準電圧と比較して、その出力値が所定の範囲内になるように切替回路5を駆動制御するものであるが、本制御回路は、出力電圧検出回路2と接続されるPIC回路3と切替回路5を駆動する論理回路4と、により構成される。
【0027】
ここで、論理回路4は、PIC回路3から出力される切替回路5を駆動制御するための出力信号をデコードするための回路であって、これにより、切替回路5へ接続される制御線の本数を削減することを可能にしたのである。
【0028】
尚、図1に示す制御電圧供給回路6は、制御回路を構成するPIC回路3、論理回路4及び切替回路5を動作させるための直流電圧(例えば、DC5V±5%)を供給するための回路である。制御電圧供給回路6については、図4において詳しく説明する。
【0029】
図2は、図1に示した出力電圧検出回路2の詳細と出力検出回路2内の電圧波形を説明するものである。
【0030】
図2(a)に示すように、出力電圧検出回路2は、図1に示した出力端子8に接続された主変圧器1からの出力電圧Voutと電源共通線Vcomがその一次巻線に接続される絶縁変圧器Tiと、当該絶縁変圧器Tiの出力電圧を整流する整流回路Dr1と、を少なくとも有する。さらに、この出力電圧検出回路2は、任意の構成要素として、当該整流回路Dr1で整流された出力電圧Vrを平滑化する平滑回路(抵抗R1、R2及びコンデンサC1により構成される)を備えるようにしても良い。ここで、絶縁変圧器Tiの一次巻線(巻数:n1)と二次巻線(巻数:n2)の巻数比N(n2/n1)は一定なので、絶縁変圧器Tiの二次巻線からは、Voutに比例した電圧(N・Vout)が出力されることとなる。また、絶縁変圧器Tiの二次巻線から出力されたVoutに比例した電圧(N・Vout)は、組ダイオードDr1により全波整流される。このように、絶縁変圧器Tiの一次側巻線と二次側巻線は電気的に遮断された状態で、絶縁変圧器Tiの二次巻線からは、Voutに比例した電圧(N・Vout)電圧(N・Vout)が出力され、主変圧器1の出力電圧Voutを、正確に検出できるのである。
【0031】
図2(b)は、平滑回路が接続されていない場合における全波整流された電圧Vrの波形を示す。これにより、主変圧器1の出力電圧Voutとその極大値及び極小値を検出することができるのである。そして、全波整流された電圧Vrを、図示する平滑回路(R1、R2及びC1)を用いて平滑化するようにした場合には、図2(c)は、平滑化された電圧Vdcの波形が現れるので、当該平滑波形によって、主変圧器1の出力電圧Voutとその極大値及び極小値を検出することができるのである。
【0032】
電圧Vdcの波形は、平滑回路を構成するR1、R2及びC1の定数によって変わる。抵抗R1は、コンデンサC1に流れ込む電流値を制限するものであって、その抵抗値は、1乃至数オーム以下である。抵抗R2とコンデンサC1は、図2(c)に示すVdcが示すリップル波形が明確になる定数のものを使用する。コンデンサC1の容量が大きくなるほど、Vdcのリップル波形の極大値と極小値の差は小さくなる。また、抵抗R2の抵抗値が小さくなるほど、Vdcのリップル波形の極大値と極小値の差は縮小する。
【0033】
このように、出力電圧検出回路2からの出力電圧Vdcの波形は、平滑回路を構成するR1、R2及びC1の定数によって変わるものの、これらの定数は一定であることから、出力電圧検出回路2からの出力電圧Vdcの極大値(リップル波形の頂上値)は、図1に示した出力端子8から出力される交流出力電圧に比例する。これにより、出力電圧検出回路2は、交流出力電圧に比例した箇所を有するリップル波形信号を制御回路を構成するPIC回路3(図1に示する)側に出力するのである。
【0034】
図3は、本交流電圧調整装置を構成する制御回路の例を示すものである。
図3に示すように、制御回路は、プログラム可能なICチップであるPIC12と抵抗等の周辺回路からなるPIC回路3と論理回路4と、から構成される。
【0035】
PIC12は、信号接続端子11を介してその入力端子に接続される外部のプログラム装置(図示せず)によって、定数の設定と所定のプログラムが行なわれる。出力電圧検出回路2からの出力電圧Vdcと比較される基準電圧Vrefは、信号接続端子11に接続されるプログラム機器(図示せず)によって設定される。また、出力電圧検出回路2からの出力電圧Vdcにおける極大値及び極小値の検出は、出力電圧検出回路2からの出力電圧Vdcを、例えば1ミリ秒間隔で測定し、その測定値が増加状態から複数回連続して減少状態になった変化点を極大値と認定し、その測定値が減少状態から複数回連続して増加状態になった変化点を極小値と認定する。このようにして、PIC12は、出力電圧検出回路2を構成する平滑回路からの出力電圧Vdcの極小値及び極大値を検出するのである。
【0036】
このように、PIC12は、出力電圧検出回路2を構成する平滑回路の出力電圧Vdcの波形の極大値を前記基準電圧Vrefと比較するようにしているので、経年変化等により平滑回路を構成するコンデンサC1のキャパシタンスが変化しても、主変圧器1の出力端子の電圧値を正確に検出することができるのである。
【0037】
尚、PIC12での極大値及び極小値の検出には、次式(1)の関係を利用して、このようにして求められた実効値である出力電圧Vdcを、基準電圧Vrefと比較し、この出力電圧Vdcを基準電圧Vrefと同じになるように切替回路5を駆動制御して、主変圧器1の出力電圧を調整する。

実効値=極大値÷√2 (1)

このようにして、PIC12は、出力電圧検出回路2の出力電圧Vdcを基準電圧Vrefと比較し、例えば、出力電圧Vdcが設定された基準電圧Vrefと同じになるように切替回路5を駆動制御して、主変圧器1の出力電圧を調整するのである。
【0038】
ところで、本交流電圧調整装置においては、PIC12は、直接的に切替回路5を駆動制御するのではなく、PIC12からの出力信号をデコードする論理回路4を介して切替回路5の駆動制御するようにしている。これにより、制御回路から切替回路5への制御線の本数を削減したのである。ここで、論理回路4は、切替回路5を介して主変圧器1の二次巻線に接続された複数のタップ端子の一つが選択された場合に、選択されなかった他のタップ端子の出力端子の接続を排除する論理特性を有するので、ノイズ等による二次巻線の短絡事故を確実に排除しているのである。
【0039】
図4は、上記した制御回路を構成するPIC回路3、論理回路4及び切替回路5を動作させるための直流電圧Vcc(例えば、DC5V±5%)を供給するための制御電圧供給回路6の例を示すものである。
【0040】
PIC回路3等を動作させるための直流電圧Vccは、出力電圧検出回路2を構成する絶縁変圧器Tiから電源供給を受けることも可能であるが、上記したように、本発明に係る交流電圧調整装置においては、出力電圧検出回路2の出力電圧Vdcを検出することにより主変圧器1の交流出力電圧を知るようにしているので、出力電圧検出回路2の出力電圧Vdcに影響を与える負荷変動は好ましくない。そのため、制御電圧供給回路6は、例えば、主変圧器1のタップt3及びt7からその電源供給を端子15において受けるようにし、これを組ダイオードDr2において全波整流し、全波整流された電圧波形を抵抗R3及びコンデンサC2により平滑にして、例えば電圧レギュレータ16を使用して安定化された直流電圧Vccを作るようにしている。尚、コンデンサC3、C4は、電圧レギュレータ16を安定的に動作させるものであり、ダイオードD1は、主変圧器1への商用電源の供給が断たれた際に、電圧レギュレータ16の出力端子側から入力端子側に逆電圧が印加されないようにして、電圧レギュレータ16を保護するためのものである。
【0041】
図5は、切替回路5の一例を示すものである。
図5に示すように、本交流電圧調整装置においては、切替回路5を、パワートランジスタ(電界効果トランジスタ)とダイオードにより構成されているので、リレースイッチ等による接点等の劣化がなくメンテナンスフリーの交流電圧調整装置を可能にしたのである。図5において、入力端子14bは、図3に示した制御回路の出力端子14aに接続されて、制御回路3を構成する論理回路4からのデコードされた出力信号を受け、出力端子16を介して図1に示したタップ端子t3、t4、t5、t6、t7の何れかを端子t8に接続することにより、主変圧器1からの交流出力電圧を調整するのである。
【0042】
図5に示すように、本交流電圧調整装置においては、タップ端子t3、t4、t5、t6、t7の何れかを端子t8に接続するスイッチング手段は、2組の2つのパワートランジスタ(FET)のオン(順方向特性)とオフ(逆方向特性)を利用して、商用電源の電圧波形のゼロクロス点を通過する毎に一方がオンして他方がオフする状態となるように構成するようにしたので、主変圧器1にインダクタンス負荷等が接続されていても、ノイズの発生がなく長寿命の交流電圧調整装置を可能にしたのである。
【0043】
ところで、上記のように、本交流電圧調整装置においては、切替回路5を構成するスイッチング手段を、パワートランジスタ(電界効果トランジスタ)とダイオードとの組み合わせにより構成したが、いわゆるサイリスタやトライアック等の半導体スイッチング素子を用いても可能であることは言うまでもない。
【0044】
以上詳しく説明したとおり、本発明に係る交流電圧調整装置は、商用電源に接続される入力端子7と、入力端子7の一方に接続された出力端子8と、入力端子7の他方に接続される一次巻線と、複数のタップ端子t3−t7を備えて入力端子7の他方に接続された二次巻線と、を有する主変圧器1と、複数のタップ端子t3−t7の選択された一つを出力端子の一方に接続する切替回路5と、主変圧器1の出力端子8の電圧値を検出する出力電圧検出回路2と、この出力電圧検出回路2の出力値を予め設定された基準電圧Vrefと比較し、主変圧器1の出力電圧が所定の範囲内になるように切替回路5を駆動制御することにより主変圧器1の出力電圧を調整する制御回路と、を備える。これにより、本交流電圧調整装置においては、主変圧器1の出力端子8の電圧値を検出しそれが一定の範囲内に収まるように制御するので、商用電源の入力電圧や負荷電力が大きく変動しても、その出力電圧を所定の範囲内に収まるように制御することを可能にしたのである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、商用交流電源の電圧が大きく変動しても、所定の変動幅内に収まるように昇圧調整する交流電圧調整装置に関するものであって、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本交流電圧調整装置の技術的構成を説明するためのブロック図を示す。
【図2】図1に示した出力電圧検出回路2の詳細と出力検出回路2内の電圧波形を説明するものである。
【図3】本交流電圧調整装置を構成する制御回路の例を示す。
【図4】制御電圧供給回路6の例を示す
【図5】切替回路を示すものであり、スイッチング手段を、FETとダイオードとの組み合わせにより構成した例を示す。
【符号の説明】
【0047】
1:主変圧器
2:出力電圧検出回路
3:PIC回路(制御回路を構成)
4:論理回路(制御回路を構成)
5:切替回路
6:制御電圧供給回路
7:入力端子
8:出力端子
12:PIC
16:電圧レギュレータ
Ti:絶縁変圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源に接続される入力端子と、
前記入力端子の一方に接続された出力端子と、
前記入力端子の他方に接続された一次巻線と、複数のタップ端子を備えて前記入力端子の他方に接続され二次巻線と、を有する主変圧器と、
前記複数のタップ端子の選択された一つを前記出力端子の他方に接続する切替回路と、
前記主変圧器の出力端子の電圧値を検出する出力電圧検出回路と、
前記出力電圧検出回路の出力値を予め設定された基準電圧と比較し、前記出力値が所定の範囲内になるように前記切替回路を駆動制御することにより前記主変圧器の出力電圧を調整する制御回路と、
を備えたことを特徴とする交流電圧調整装置。
【請求項2】
前記出力電圧検出回路は、前記商用電源に接続された絶縁変圧器と、前記絶縁変圧器の出力電圧を整流する整流回路と、を有し、
前記制御回路は、前記出力電圧波形の極小値及び極大値を検出することを特徴とする請求項1に記載の交流電圧調整装置。
【請求項3】
前記出力電圧検出回路は、前記整流回路で整流された出力電圧を平滑する平滑回路をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の交流電圧調整装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記平滑回路の出力電圧波形の極大値を前記基準電圧と比較することを特徴とする請求項3に記載の交流電圧調整装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記商用電源の電圧波形のゼロクロス点に合わせて前記切替回路を駆動することを特徴とする請求項4に記載の交流電圧調整装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記平滑回路の出力電圧波形の極小値を前記ゼロクロス点とする請求項5に記載の交流電圧調整装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記切替回路を駆動制御するための出力信号をデコードする論理回路を備え、前記切替回路の駆動制御を前記論理回路を介して行なうことを特徴とする請求項1に記載の交流電圧調整装置。
【請求項8】
前記論理回路は、前記複数のタップ端子の選択された一つが選択されて前記出力端子に接続された場合に、他のタップ端子の前記出力端子への接続を排除する論理特性を有することを特徴とする請求項7に記載の交流電圧調整回路。
【請求項9】
前記切替回路は、前記複数のタップ端子に接続された複数のスイッチング手段を有し、スイッチング手段の夫々は、トランジスタ及びダイオードにより構成されたことを特徴とする請求項1に記載の交流電圧調整装置。
【請求項10】
前記スイッチング手段を構成するトランジスタは、前記商用電源の電圧波形のゼロクロス点を通過する毎に一方がオンして他方がオフすることを繰り返す2つの電界効果トランジスタにより構成されたことを特徴とする請求項9に記載の交流電圧調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−264152(P2008−264152A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110219(P2007−110219)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】