説明

交通システム

【課題】傾斜地等における歩行者、車両、物資などのための自然共生型の交通システムを提供する。
【解決手段】傾斜地付近の道路に接してターミナルを設け、一般用駐車場及び業務用駐車場を設置する。前記ターミナルを起点に縦動線として乗客用斜行エレベーター及び車両・物資運搬用ケーブルを架空に設け、それぞれを前記一般用駐車場、業務用駐車場に動線的に接続する。横動線として等高線に沿うように歩行者及び車両用道路を架空または地盤上に設け、前記縦動線と立体交差させ、それぞれを前記乗客用斜行エレベーター、車両・物資運搬用ケーブルに動線的に接続することを特徴とする交通システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜地等における歩行者、車両、物資などのための交通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来傾斜地等において歩行者、車両、物資などのための交通システムがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
山野などの傾斜地に建造物を施工し、居住などするためには道路を必要とし、山野に切土、盛土、よう壁などの造成をしなくてはならず、これが山野の自然破壊になった。
【0004】
また、従来の斜行エレベーターは傾斜地を平坦に造成してからそのシャフトを据え付けるようにしているので、これも自然破壊を伴い、さらに斜行エレベーターの途中停止箇所に於いて、これと直交する歩道と容易に交差させることができない。
【0005】
本発明の目的は、特に山野、海浜のような傾斜地などに適した自然共生型の交通システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
傾斜地付近の道路に接してターミナルを設け、一般用駐車場及び業務用駐車場を設置し、前記ターミナルを起点に縦動線として乗客用斜行エレベーター及び車両・物資運搬用ケーブルを架空に設け、それぞれを前記一般用駐車場、業務用駐車場に動線的に接続し、横動線として等高線に沿うように歩行者及び車両用道路を架空または地盤上に設け、前記縦動線と立体交差させ、それぞれを前記乗客用斜行エレベーター、車両・物資運搬用ケーブルに動線的に接続することを特徴とする。
【0007】
前記縦動線と横動線の交差点付近に雨水池または雨水槽を設け、樹木伐採、切土、舗装によって発生する地すべり、土砂崩れを防ぐために前記交差点付近の雨水を集水することを特徴とする。
【0008】
前記縦動線と横動線に沿って設備配管を布設、架空とすることによって配管の埋設をなくし、配管の勾配も取れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の交通システムによって、傾斜地に縦動線として乗客用斜行エレベーター及び車両・物資運搬用ケーブルを設け、横動線として等高線に沿うように歩行者、車両用道路を設けることによって、軌道長及び道路長を最小にできる。さらにそれらを必要に応じて地盤上または高架にすることによって軌道、道路布設に切盛土、よう壁などの造成をほとんど必要とせず自然環境保全ができ、またそれらの立体交差も容易にできる
【0010】
本発明は、市街地などの平地に於いても利用できる。斜行エレベーター及び車両・物資運搬用ケーブルを水平移動の機構に替えることによって市街地などの平地、道路上、河川上等にも利用できる。歩行者、自動車の完全な交通分離が広範囲に渡って可能であるので、快適な歩行空間の創出ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明交通システム実施例の正面図、図2はターミナル及びその周辺施設の平面図、図3、図4、図5はそれぞれ同上平面図のA−A線断面図、B−B線断面矢視図、C−C線断面図である。傾斜地付近の道路160に接してターミナル161を設け、一般駐車場162及び業務用駐車場163を設置し、該ターミナルを起点に縦動線として乗客用斜行エレベーター164及び車両・物資運搬用ケーブル165を設け、それぞれを一般用駐車場、業務用駐車場に動線的に接続する。本実施例は該諸施設の他に交通ひろば170、バス停留場180、ペデストリアンデッキ168、荷揚げ降し場173、設備棟179を付加した実施例を示す。ターミナルに接する道路は山野の中腹または頂上付近にあっても良い。
【0012】
図6は該交通システムの縦動線と横動線の交差部分の平面図、図7、図8、図9はそれぞれ同上平面図のD−D線断面図、E−E線断面矢視図、F−F線断面図である。横動線として等高線に沿うように歩道195及び車道196を設け、縦動線と立体交差させ、それぞれを斜行エレベーター停留場191を介して前記乗客用エレベーター、荷揚げ降し場205を介して車両・物資運搬用ケーブルに接続する。該交通システムによって山野などの傾斜地に造成、自然破壊を最小限にして交通網を整備することができる。また、必要に応じて斜行エレベーター及び車両・物資運搬用ケーブルの替わりに歩行者、車両の為の幹線道路にすることもできる。その場合、幹線道路は前記横動線の間を適当な勾配になるように斜めにまたは直に布設する。
【0013】
以上の記述により、建造物の基礎の築造に切土、交通システムの縦動線と横動線の交差部分(図6、7、8に示されている)に樹木伐栽、切土、舗装、建造物の建つ範囲に樹木の伐栽が発生する。この人為を施した部分には雨水の流出により地すべり、土砂くずれが起こる可能性が生じる。しかし、建造物の建てる位置、交通システムの交差位置を選定し、該部分の雨水の流出を抑止することによって地すべり、土砂くずれの発生をなくすことができる。該部分の雨水を雨水池または雨水槽に集水する。
【0014】
図10は本発明の設備システムを構成する雨水から上水、上水から雑用水及び雑用水の循環実施例のフロー図である。雑用水を循環させ、その不足分の水を上水系の排水でまかない、上水系排水の過剰分は散水・防火水槽へ通し、さらにその過剰分は山野に散水または該地域内の河川、海へ放流する。他地域より上水を得る必要もなく、他地域へ排水を放流する必要も無い雨水利用、水循環システムである。
【0015】
図11はゴミ、汚泥から蒸気・温水、電力へ、風力、太陽光から電力へのフロー図である。地域内のゴミと排水処理からの汚泥を電気、蒸気・温水に還元、この電気と風力、太陽光による発電からの電気を供給、または、電気分解装置ヘ通電され燃料電池の燃料である水素ガスとしてストックされる。他地域へゴミ、汚泥の搬出の必要も無く、他地域より電力を得る必要も無い環境共生、自己完結型の設備システムである。燃料電池の燃料に天然ガス、または燃料電池の替わりに発電機を利用することもできる。
【0016】
図12は設備横引配管布設実施例の断面図である。設備配管213及び214を前記交通システム横動線のための主体道路207の裏面に布設している。該横動線は等高線に沿って設けられるので排水管の勾配は容易に取ることができる。また、横動線を架空にすることによって配管の埋設の必要が無く、配管の布設、増設、取替えを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】交通システム実施例の正面図。
【図2】ターミナル及びその周辺施設の平面図。
【図3】図107のA−A線断面図。
【図4】図107のB−B線断面矢視図。
【図5】図107のC−C線断面図。
【図6】該交通システムの縦動線と横動線の交差部分の平面図。
【図7】図111のD−D線断面図。
【図8】図111のE−E線断面図。
【図9】図111のF−F線断面図。
【図10】雨水から上水、上水から雑用水及び雑用水の循環実施例のフロー図。
【図11】ゴミ、汚泥から蒸気・温水、電力へ、風力、太陽光から電力へのフロー図。
【図12】設備横引配管布設実施例の断面図。
【符号の説明】
【0018】
160 道路
161 ターミナル
162 般駐車場
163 業務用駐車場
164 乗客用斜行エレベーター軌道
165 車両・物資運搬用ケーブル
166 階段
167 斜行エレベーター点検用階段
168 ペデストリアンデッキ
169、171、172、174、177、198──車道スロープ
170 交通ひろば
173、205 荷揚げ降し場
175 レール
176 内部道路
178 車寄せ
179 設備棟
180 バス停留場
181 樹木回避開口
182 エスカレーター
183、184、185、188──3角錐状単体架構
187 基礎立上り
190 斜行エレベーター
191 斜行エレベーター停留場
192 エスカレーター
194 ケーブルカー
195 歩道
196 車道
197 歩道スロープ
199、208 線状建造物構造骨組
200、201、202、204 建造物
206 駐車場
207 横動線のための立体道路
209 上弦材
210 傾斜部材
211 下弦材
212 床部材
213 配管
214 配管ダクト
215 吊りボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜地付近の道路に接してターミナルを設け、一般用駐車場及び業務用駐車場を設置し、前記ターミナルを起点に縦動線として乗客用斜行エレベーター及び車両・物資運搬用ケーブルを架空に設け、それぞれを前記一般用駐車場、業務用駐車場に動線的に接続し、横動線として等高線に沿うように歩行者及び車両用道路を架空または地盤上に設け、前記縦動線と立体交差させ、それぞれを前記乗客用斜行エレベーター、車両・物資運搬用ケーブルに動線的に接続することを特徴とする交通システム。
【請求項2】
前記縦動線と横動線の交差点付近に雨水池または雨水槽を設け、樹木伐採、切土、舗装によって発生する地すべり、土砂崩れを防ぐために前記交差点付近の雨水を集水することを特徴とする請求項1記載の交通システム。
【請求項3】
前記縦動線と横動線に沿って設備配管を布設、架空とすることによって配管の埋設をなくし、配管の勾配も取れることを特徴とする請求項1記載の交通システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−120299(P2007−120299A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7605(P2007−7605)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【分割の表示】特願2001−178723(P2001−178723)の分割
【原出願日】平成13年6月13日(2001.6.13)
【出願人】(301041450)株式会社小笠原設計 (21)
【Fターム(参考)】