説明

交通量推定装置、コンピュータプログラム及び交通量推定方法

【課題】将来の交通量を精度良く推定することができる交通量推定装置、コンピュータプログラム及び交通量推定方法を提供する。
【解決手段】旅行時間算出部104は、各リンクの旅行時間の統計値を算出する。上流リンク決定部105は、道路網の情報に基づいて対象リンクまでの旅行時間が所定時間に略等しい1又は複数の上流リンクを決定する。割合算出部107は、決定された上流リンクを通過した複数の車両の目的地に基づいて、当該上流リンクを通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合を算出する。交通量推定部108は、上流リンクの交通量及び算出した割合を用いて、上流リンク毎に算出した対象リンクの交通量を合算して対象リンクの所定時間後の交通量を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の交差点と、隣り合う交差点を結ぶ道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の交通量を推定する交通量推定装置、該交通量推定装置を実現するためのコンピュータプログラム及び交通量推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通信号の信号制御方式を信号制御パラメータ(例えば、サイクル長、スプリット、オフセット等)の設定方式の視点で大別すると、時間帯に応じて信号制御パラメータを設定する定周期制御と、交通状況に応じて信号制御パラメータを設定する交通感応制御の2通りある。
【0003】
従来の定周期制御では、道路網の変化、周辺施設の変化等によって交通状況が変化した場合、交通状況の変化に追従した適切な信号制御を行うことができないという問題がある。そこで、現在から近い将来の交通状況の変動を予測して信号制御パラメータの最適化を行う方法が提案されている。
【0004】
例えば、交差点の上流の道路に備えられた感知器より交通情報を収集し、収集した交通情報に基づいて停止線到着プロファイル情報を正規化した流入交通量を推定して、信号制御パラメータを最適化する交通信号制御装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−134893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の交通信号制御装置は、信号制御の対象とする交差点と上流側の交差点との間の道路に備えられた感知器より得られた交通情報を用いるので、隣り合う交差点のさらに上流側の交通情報を得ることができないため、信号サイクルの数サイクル程度先の将来の交通量は予測することができるものの、さらなる先の交通量を予測することは困難である。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、将来の交通量を精度良く推定することができる交通量推定装置、該交通量推定装置を実現するためのコンピュータプログラム及び交通量推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る交通量推定装置は、複数の交差点と、隣り合う交差点間の道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の任意の時点から所定時間後の交通量を推定する交通量推定装置であって、前記道路網の情報を記憶する記憶手段と、前記道路網の情報に基づいて前記対象道路区間までの旅行時間が前記所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定する決定手段と、前記上流道路区間の交通量を取得する交通量取得手段と、前記上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象道路区間を通過する車両の割合を取得する割合取得手段と、前記上流道路区間の交通量及び前記割合に基づいて、前記対象道路区間の前記所定時間後の交通量を推定する推定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る交通量推定装置は、第1発明において、前記上流道路区間、前記目的地及び前記道路網の情報に基づいて、前記目的地のうち前記上流道路区間から前記対象道路区間を経由する対象目的地を特定する対象目的地特定手段を備え、前記割合取得手段は、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象目的地を目的地とする車両の割合を、前記対象道路区間を通過する車両の割合として取得するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る交通量推定装置は、第2発明において、車両の位置及び該位置を通過する時刻を含むプローブ情報を所定期間収集するプローブ情報収集手段と、前記対象目的地へ到達する経路が複数存在する場合に、前記対象道路区間を含む経路とは別に前記対象道路区間を含まない経路が存在するときは、前記プローブ情報に基づいて、前記対象目的地へ到達した車両に対する前記対象道路区間を通過した車両の比率の統計値を算出する統計値算出手段とを備え、前記割合取得手段は、前記統計値算出手段で算出した比率の統計値に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象目的地を目的地とする車両の割合を取得するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る交通量推定装置は、第3発明において、前記プローブ情報収集手段で収集したプローブ情報に基づいて前記上流道路区間を通過した車両の目的地を特定する目的地特定手段を備えることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る交通量推定装置は、第3発明又は第4発明において、前記プローブ情報収集手段で収集したプローブ情報に基づいて各道路区間の旅行時間の統計値を算出する旅行時間算出手段を備え、前記決定手段は、前記旅行時間の統計値を用いて前記上流道路区間を決定するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る交通量推定装置は、第1発明において、前記上流道路区間を前記任意の時点前の時点を含む所要時間帯に通過した車両から該車両の目的地を取得する目的地取得手段を備えることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る交通量推定装置は、第1発明乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記推定手段で推定した交通量を用いて、前記対象道路区間に対する交通信号を制御するための信号制御パラメータを設定する設定手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の交差点と、隣り合う交差点間の道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の任意の時点から所定時間後の交通量を推定させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、前記道路網の情報に基づいて前記対象道路区間までの旅行時間が前記所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定するステップと、前記上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象道路区間を通過する車両の割合を取得するステップと、前記上流道路区間の交通量及び前記割合に基づいて、前記対象道路区間の前記所定時間後の交通量を推定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る交通量推定方法は、複数の交差点と、隣り合う交差点間の道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の任意の時点から所定時間後の交通量を推定する交通量推定装置による交通量推定方法であって、前記道路網の情報を記憶しておき、前記道路網の情報に基づいて前記対象道路区間までの旅行時間が前記所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定するステップと、前記上流道路区間の交通量を取得するステップと、前記上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象道路区間を通過する車両の割合を取得するステップと、前記上流道路区間の交通量及び前記割合に基づいて、前記対象道路区間の前記所定時間後の交通量を推定するステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
第1発明、第8発明及び第9発明にあっては、道路網の情報に基づいて対象道路区間までの旅行時間が所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定する。旅行時間は、例えば、各道路区間を走行した車両それぞれの旅行時間を統計処理(例えば、平均値)して予め求めておくことができる。上流道路区間の決定は、対象道路区間を始点として、道路網の各道路区間を上流側に遡り、道路区間を遡る毎に当該旅行時間を加算して、加算した旅行時間が所定時間に略等しくなる道路区間を上流道路区間として決定する。なお、略等しいとは、例えば、所定時間の±10%ないし20%程度の範囲内とすることができる。
【0018】
決定した1又は複数の上流道路区間の交通量を取得する。交通量(例えば、単位時間当たりの通行台数)は、車両感知器などの計測データに基づいて取得することができる。また、交通量の取得時点は、任意の時点から所定時間後の対象道路区間の交通量を推定する場合、例えば、当該任意の時点より前の時間帯を含む任意の時間帯における交通量を取得することができる。また、決定した1又は複数の上流道路区間を通過した複数の車両の目的地を取得する。目的地の取得は、例えば、交通量を推定する処理前の任意の時間帯に上流道路区間を通過した車両から目的地を取得することができる。あるいは、目的地の取得は、道路網を走行した車両のプローブ情報を収集しておき、収集したプローブ情報から所要時間帯に上流道路区間を通過した車両の目的地を特定して得ることもできる。
【0019】
上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、当該上流道路区間を通過した車両のうち対象道路区間を通過する車両の割合を取得し、上流道路区間の交通量及び割合に基づいて、対象道路区間の所定時間後の交通量を推定する。具体的には、まず、上流道路区間毎に上流道路区間の交通量及び割合に基づいて、対象道路区間の交通量を算出する。例えば、決定された上流道路区間の一の上流道路区間の交通量をQ、当該上流道路区間を通過した車両のうち対象道路区間を通過する車両の割合をaとすると、対象道路区間の交通量はa×Qで求めることができる。そして、上流道路区間毎に算出した対象道路区間の交通量を合算して当該対象道路区間の所定時間後の交通量を推定する。例えば、決定された上流道路区間をL1、L2、L3とし、上流道路区間L1、L2、L3の交通量をQ1、Q2、Q3とし、上流道路区間L1、L2、L3を通過した車両のうち対象道路区間を通過する車両の割合をa1、a2、a3とすると、対象道路区間の所定時間後の交通量の推定値は(a1×Q1+a2×Q2+a3×Q3)で求めることができる。
【0020】
上流道路区間から対象道路区間に流入する車両の割合を取得する際に、車両の目的地を考慮することにより、道路網を走行する車両台数が交通状況に応じて変動する場合でも、道路網を走行する車両のうち、どの程度の車両が対象道路区間を通過するかを精度良く推定することができ、対象道路区間の交通量を精度良く推定することができる。また、任意の時点から所定時間後の交通量を推定する際に、当該所定時間に略等しい上流道路区間の交通量を考慮することにより、当該所定時間を長い時間に設定した場合には、信号の数サイクル先だけでなく、さらに長い時間経過後の交通量を精度良く推定することができる。
【0021】
第2発明にあっては、上流道路区間、目的地及び道路網の情報に基づいて、目的地のうち上流道路区間から対象道路区間を経由する目的地を対象目的地として特定する。例えば、道路網を走行した車両の位置及び位置を通過する時刻を含むプローブ情報を取得し、取得したプローブ情報から、上流道路区間を通過した車両の目的地のうち、対象道路区間を経由する目的地を対象目的地として特定する。そして、上流道路区間を通過した車両のうち対象目的地を目的地とする車両の割合を、対象道路区間を通過する車両の割合として取得する。例えば、上流道路区間L1を通過した車両の目的地がD1、D2、D3、D4、D5であり、目的地をD1、D2、D3、D4、D5とする車両の台数がN1、N2、N3、N4、N5であるとする。そして、対象道路区間を経由する対象目的地がD2、D4であるとすると、対象道路区間を通過する車両の割合は、(N2+N4)/(N1+N2+N3+N4+N5)により求めることができる。これにより、上流道路区間を通過した車両のうち対象道路区間を通過する車両の割合を精度良く求めることができる。
【0022】
第3発明にあっては、車両の位置及び当該位置を通過する時刻を含むプローブ情報を所定期間収集する。対象目的地へ到達する経路が複数存在する場合に、対象道路区間を含む経路とは別に対象道路区間を含まない経路が存在するときは、収集したプローブ情報に基づいて、対象目的地へ到達した車両に対する対象道路区間を通過した車両の比率の統計値を算出する。そして、算出した比率の統計値に基づいて、上流道路区間を通過した車両のうち対象目的地を目的地とする車両の割合を取得する。例えば、対象目的地D2へ到達した車両の台数(統計値)をN2とし、そのうち、対象道路区間を通過した車両の台数(統計値)がn2である場合、上流道路区間を通過した車両のうち対象目的地D2を目的地とする車両の割合を(n2/N2)により求める。これにより、対象道路区間を経由せずに対象目的地へ到達することができる他の道路区間が存在する場合であっても、対象道路区間を通過した車両をさらに精度よく求めることが可能となる。
【0023】
第4発明にあっては、収集したプローブ情報に基づいて上流道路区間を通過した車両の目的地を特定する。これにより、プローブ情報の取得頻度が少ない場合でも、上流道路区間を通過した車両の目的地を特定することができる。
【0024】
第5発明にあっては、収集したプローブ情報に基づいて各道路区間の旅行時間の統計値を算出し、旅行時間の統計値を用いて上流道路区間を決定する。旅行時間の統計値は、例えば、任意の時間帯毎、曜日又は日などに分けて求めておくことができる。そして、交通量を推定する時間帯、又は曜日若しくは日のうちの時間帯に合わせて、求めておいた統計値を用いることができる。これにより、時間帯、曜日又は日に応じて交通状況が変動する場合でも、かかる変動を考慮した旅行時間を用いることができ、対象道路区間の交通量の推定に最適な上流道路区間を決定することができる。
【0025】
第6発明にあっては、上流道路区間を任意の時点前の時点を含む所要時間帯に通過した車両から当該車両の目的地を取得する。これにより、最新の目的地を取得することができるので、対象道路区間を通過する車両を精度よく特定することができる。
【0026】
第7発明にあっては、推定した交通量を用いて、対象道路区間に対する交通信号を制御するための信号制御パラメータを設定する。対象道路区間の将来の交通量を精度良く推定することができるので、最適な信号制御を実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、将来の交通量を精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態の交通量推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】道路網の一例を示す模式図である。
【図3】各リンクの旅行時間の一例を示す説明図である。
【図4】上流リンクの決定方法の一例を示す説明図である。
【図5】対象リンクを通過する車両の割合を算出する方法の一例を示す説明図である。
【図6】対象リンクの交通量を算出する方法の一例を示す説明図である。
【図7】道路網の他の例を示す模式図である。
【図8】対象リンクとは別のリンクが存在する場合の対象目的地を目的地とする車両の割合を算出する一例を示す説明図である。
【図9】本実施の形態の交通量推定装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る交通量推定装置の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の交通量推定装置100の構成の一例を示すブロック図であり、図2は道路網の一例を示す模式図である。図1に示すように、交通量推定装置100は、制御部101、通信部102、記憶部103、旅行時間算出部104、上流リンク決定部105、目的地特定部106、割合算出部107、交通量推定部108、統計値算出部109、信号情報設定部110などを備える。
【0030】
図2に示すように、道路網は、複数の交差点と、隣り合う交差点を結ぶ道路区間とを含む。以下、道路区間をリンクとも称する。リンクは、一の交差点から隣り合う他の交差点への道路区間であって、車両の走行方向も特定する。図2の例では、リンクL1〜L18を例示しているが、リンクの数又は構成は、図2の例に限定されるものではない。また、以下の説明では、任意の時点から所定時間後(例えば、15分後、30分後など)の交通量を推定する対象となる対象リンクをL7(枠で囲んで例示)とする。すなわち、交通量推定装置100は、対象リンクL7の将来の交通量を推定する。
【0031】
通信部102は、携帯電話網による通信機能、あるいは局所通信の機能を備え、車両感知器などの路上装置、車両に搭載された車載装置、あるいは交通信号制御機(いずれも不図示)等との間で情報の送受信(通信)を行う。
【0032】
通信部102は、目的地取得手段としての機能を有し、車両から当該車両の目的地の情報を取得することができる。目的地は、道路網のリンクで特定することができる。
【0033】
通信部102は、プローブ情報収集手段としての機能を有し、車両からプローブ情報を収集することができる。プローブ情報は、所定の周期(例えば、1秒毎)での車両の位置、当該位置を通過する時刻、車両を識別する識別番号などの情報を含む。
【0034】
通信部102は、上流リンクの交通量を取得する交通量取得手段としての機能を有する。通信部102は、交差点の流入路(道路区間)の上流地点(例えば、交差点から数百m上流の地点、あるいは隣り合う交差点との間の道路の任意の地点など)に設置された車両感知器から計測データを取得する。車両感知器は、例えば、超音波式の車両感知器であり、単位時間当たりの交通量又は占有率などを計測することができる。
【0035】
記憶部103は、道路網の情報を記憶する。また、記憶部103は、通信部102を介して取得した車両の目的地、道路区間の計測データなどを記憶する。また、記憶部103は、収集したプローブ情報を記憶する。記憶部103は、後述の旅行時間算出部104で算出した旅行時間を記憶する。
【0036】
旅行時間算出部104は、各道路区間(リンク)の旅行時間の統計値を算出する旅行時間算出部としての機能を有する。旅行時間算出部104は、通信部102を介して収集したプローブ情報に基づいて各道路区間(リンク)の旅行時間の統計値(例えば、平均値)を算出する。旅行時間の統計値は、例えば、任意の時間帯毎、曜日又は日などに分けて求めておくことができる。そして、対象リンクの交通量を推定する時間帯、又は曜日若しくは日のうちの時間帯に合わせて、求めておいた統計値を用いることができる。これにより、時間帯、曜日又は日に応じて交通状況が変動する場合でも、かかる変動を考慮した旅行時間を用いることができる。
【0037】
図3は各リンクの旅行時間の一例を示す説明図である。図3のリンクは、図2のリンクに対応するものである。図3に示すように、リンクL1の旅行時間の統計値(例えば、平均値)はT1であり、リンクL2の旅行時間はT2である。他のリンクも同様である。なお、図3に例示するリンクと旅行時間との関係は、曜日、日又は任意の時間帯毎に分けて求めておくことができる。
【0038】
旅行時間算出部104は、収集されたプローブ情報に含まれる車両の位置及び当該位置での時刻に基づいて、各リンクの始点又はその近傍地点から当該リンクの終点又はその近傍地点まで通過するのに要した旅行時間を車両毎に算出し、旅行時間の合計値を車両台数で除算して旅行時間の平均値を求めることができる。なお、本実施の形態の交通量推定装置100とは別の装置で各リンクの旅行時間を算出しておき、算出された旅行時間を取得するようにしてもよい。この場合には、旅行時間算出部104を具備しなくてもよい。
【0039】
各リンクの旅行時間は、上述のようにプローブ情報を収集して求めた統計値を用いることができるが、これに限定されるものではなく、リアルタイムで取得したプローブ情報から、例えば、交通量推定時の直近の旅行時間を算出し、算出した旅行時間を用いることもできる。
【0040】
上流リンク決定部105は、1又は複数の上流道路区間(上流リンク)を決定する決定手段としての機能を有する。上流リンク決定部105は、道路網の情報に基づいて対象リンクまでの旅行時間が所定時間に略等しい1又は複数の上流リンクを決定する。
【0041】
上流リンクの決定は、対象リンクを始点として、道路網の各リンクを上流側に遡り、リンクを遡る毎に当該リンクの旅行時間を加算して、加算した旅行時間が所定時間に略等しくなるリンクを上流リンクとして決定する。なお、所定時間とは、任意の時点から将来に向かってどの程度先の時点の交通量を推定するかで決まる時間であり、信号の数サイクルを超える時間であり、例えば、15分、20分、30分などの時間とすることができる。また、略等しいとは、例えば、所定時間の±αの範囲内であり、αは、例えば、所定時間の10%ないし20%程度とすることができる。
【0042】
図4は上流リンクの決定方法の一例を示す説明図である。図4において、対象リンクはリンク7とする。また、各リンクの符号は図2の例に対応する。図4の例は、対象リンク7から上流に向かっての上流経路候補と、上流側のリンクまでの旅行時間との関係を示す。例えば、対象リンク7に到達することができる経路の候補は、図4に示すように、(1)L13からL7まで、(2)L2からL13経由L7まで、(3)L9からL2、L13経由L7まで、(4)L1からL2、L13経由L7まで、(5)L14からL7まで、(6)L6からL7まで、(7)L5からL6経由L7まで、(8)L10からL6経由L7まで、(9)L1からL10、L6経由L7まで、(10)L9からL10、L6経由L7まで、の如くである。
【0043】
そして、それぞれの経路の候補に対して、上流側のリンクから対象リンクL7までの旅行時間は、図3に例示の旅行時間を用いると、(1)T13、(2)T2+T13、(3)T9+T2+T13、(4)T1+T2+T13、(5)T14、(6)T6、(7)T5+T6、(8)T10+T6、(9)T1+T10+T6、(10)T9+T10+T6、となる。
【0044】
そして、上流リンクは、対象リンクまでの旅行時間が、所定時間±αの範囲内にあるのは、例えば、(3)L9からL2、L13経由L7まで、(4)L1からL2、L13経由L7まで、及び(7)L5からL6経由L7までの場合、上流リンクは、L9、L1、L5の3つであると決定することができる。
【0045】
目的地特定部106は、収集したプローブ情報に基づいて、上流リンク決定部105で決定した上流リンクを通過する車両の目的地を特定する目的地特定手段としての機能を有する。目的地特定部106は、図2に示す上流リンクL1を通過した車両の目的地が、例えば、リンクL4、リンクL8、リンクL14、リンクL17及びリンクL18であると特定することができる。これにより、プローブ情報の取得頻度が少ない場合でも、上流リンクを通過した車両の目的地を特定することができる。
【0046】
なお、目的地の取得は、道路網を走行した車両のプローブ情報を収集しておき、収集したプローブ情報から所要時間帯に上流リンクを通過した車両の目的地を特定して得ることができる。あるいは、目的地の取得は、交通量を推定する処理前の任意の時間帯に上流リンクを通過した車両から目的地を取得することができる。
【0047】
また、目的地特定部106は、上流リンク決定部105で決定した上流リンクから対象リンクを経由する目的地を対象目的地として特定する対象目的地特定手段としての機能を有する。目的地特定部106は、図2に示す上流リンクL1を通過した車両の目的地のうち、対象リンクL7を経由する対象目的地が、例えば、リンクL8及びリンクL17であると特定することができる。
【0048】
割合算出部107は、上流リンク決定部105で決定した上流リンクを通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合を取得する割合取得手段としての機能を有する。割合算出部107は、上流リンク決定部105で決定した上流リンクを通過した複数の車両の目的地に基づいて、当該上流リンクを通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合を算出する。なお、割合の取得は、割合の算出の他に別の装置で割合を求めておき、その割合を取得するようにしてもよい。
【0049】
例えば、上流リンクL1を通過した車両の目的地がD1、D2、D3、D4、D5であり、目的地をD1、D2、D3、D4、D5とする車両の台数がN1、N2、N3、N4、N5であるとする。そして、対象リンクを経由する対象目的地がD2、D4であるとすると、対象リンクを通過する車両の割合は、(N2+N4)/(N1+N2+N3+N4+N5)により求めることができる。これにより、上流リンクを通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合を精度良く求めることができる。
【0050】
図5は対象リンクを通過する車両の割合を算出する方法の一例を示す説明図である。図5は、上流リンクL1を通過した車両の目的地と、車両の台数を示す。図5に示すように、上流リンクL1を通過した車両の目的地は、それぞれリンクL4、リンクL8、リンクL14、リンクL17、リンクL18とし、それぞれの目的地へ向かう車両の台数が、5台、3台、2台、3台、1台であるとする。目的地のうち、対象リンクL7を経由する対象目的地は、図2からわかるように、リンクL8、リンクL17である。したがって、割合算出部107は、上流リンクL1を通過した車両のうち対象リンクL7を通過する車両の割合を、(3+3)/(5+3+2+3+1)、すなわち6/14であると算出する。
【0051】
なお、上流リンク決定部105で複数の上流リンクを決定した場合、例えば、図4の例では、割合算出部107は、上流リンクL1、L5及びL9、他の上流リンクについても同様に車両の割合を算出する。すなわち、割合算出部107は、上流リンク決定部105で決定した上流リンク毎に対象リンクを通過する車両の割合を算出する。
【0052】
交通量推定部108は、対象リンクの交通量を算出する交通量算出手段、及び上流リンク毎に算出した対象リンクの交通量を合算して対象リンクの所定時間後の交通量を推定する推定手段としての機能を有する。
【0053】
交通量推定部108は、上流リンクの交通量及び割合に基づいて、対象リンクの所定時間後の交通量を推定する。より具体的には、交通量推定部108は、上流リンク毎に上流リンクの交通量及び割合に基づいて、対象リンクの交通量を算出する。例えば、決定された上流リンクのうちの1つの上流リンクの交通量をQ、当該上流リンクを通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合をaとすると、対象リンクの交通量はa×Qで求めることができる。
【0054】
図6は対象リンクの交通量を算出する方法の一例を示す説明図である。上流リンクL1の交通量が、例えば、70台/5分とする。交通量の取得時点は、任意の時点から所定時間後の対象リンクの交通量を推定する場合、例えば、当該任意の時点より前の時間帯を含む任意の時間帯における交通量を取得することができる。すなわち、時刻tから所定時間後の対象リンクの交通量を推定する場合、時刻tを含む時間帯Ta(例えば、5分、10分など)、あるいは時刻tより前の時間帯Taにおける交通量を取得することができる。
【0055】
交通量推定部108は、割合算出部107で算出した、上流リンクL1を通過した車両のうち対象リンクL7を通過する車両の割合が、6/14(図5参照)であるから、対象リンクL7の交通量を30台/5分(70×6/14)であると算出する。
【0056】
交通量推定部108は、上流リンク毎に算出した対象リンクの交通量を合算して当該対象リンクの所定時間後の交通量を推定する。例えば、図4に示すように、決定された上流リンクをL1、L5、L9とし、上流リンクL1、L2、L3の交通量をQ1、Q2、Q3とし、上流リンクL1、L2、L3を通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合をa1、a2、a3とすると、対象リンクの所定時間後の交通量の推定値は(a1×Q1+a2×Q2+a3×Q3)で求めることができる。
【0057】
上述のように、上流リンクから対象リンクに流入する車両の割合を算出する際に、車両の目的地を考慮することにより、道路網を走行する車両台数が交通状況に応じて変動する場合でも、道路網を走行する車両のうち、どの程度の車両が対象リンクを通過するかを精度良く推定することができ、対象リンクの交通量を精度良く推定することができる。また、任意の時点から所定時間後の交通量を推定する際に、当該所定時間に略等しい上流リンクの交通量を考慮することにより、当該所定時間を長い時間に設定した場合には、信号の数サイクル先だけでなく、さらに長い時間経過後の交通量を精度良く推定することができる。
【0058】
上述の実施の形態では、収集したプローブ情報に基づいて各リンクの旅行時間の統計値を算出し、旅行時間の統計値を用いて上流リンクを決定する。旅行時間の統計値は、例えば、任意の時間帯毎、曜日又は日などに分けて求めておくことができる。そして、交通量を推定する時間帯、又は曜日若しくは日のうちの時間帯に合わせて、求めておいた統計値を用いることができる。これにより、時間帯、曜日又は日に応じて交通状況が変動する場合でも、かかる変動を考慮した旅行時間を用いることができ、対象リンクの交通量の推定に最適な上流リンクを決定することができる。
【0059】
また、上述の実施の形態において、上流リンクを任意の時点前の時点を含む所要時間帯に通過した車両から当該車両の目的地を取得することもできる。例えば、時刻tから所定時間後の対象リンクの交通量を推定する場合、時刻tより前の所要時間帯Tb(例えば、15分、20分など)に上流リンクを通過した車両、あるいは時刻tを含む所要時間帯Tbに上流リンクを通過した車両から当該車両の目的地を取得(受信)することができる。これにより、最新の目的地を取得することができるので、対象リンクを通過する車両を精度よく特定することができる。
【0060】
図2に例示した道路網の場合、対象目的地L8、L17へ到達するためには対象リンクL7を必ず通過しなければならない構成であったが、これに限定されるものではなく、対象リンクとは別のリンクを経由して対象目的地へ到達することができる場合でも、同様に車両の割合を算出することができる。
【0061】
図7は道路網の他の例を示す模式図である。図2の例との違いは、対象目的地L8、L17に到達する経路には、対象リンクL7の他にリンクL19が存在する点である。図7に示すように、対象目的地L8、L17へ到達する経路に対象リンクL7とは別に他のリンクL19が含まれる場合、すなわち、対象目的地へ到達する経路が複数存在する場合に、対象道路区間を含む経路とは別に対象道路区間を含まない経路が存在するときは、統計値算出部109は、収集したプローブ情報に基づいて、対象目的地へ到達した車両に対する対象リンクを通過した車両の比率の統計値を算出する。
【0062】
割合算出部107は、統計値算出部109で算出した比率の統計値に基づいて、上流リンクを通過した車両のうち対象目的地を目的地とする車両の割合を算出する。例えば、対象目的地D2へ到達した車両の台数(統計値)をN2とし、そのうち、対象リンクを通過した車両の台数(統計値)がn2である場合、上流リンクを通過した車両のうち対象目的地D2を目的地とする車両の割合を(n2/N2)により求める。
【0063】
図8は対象リンクとは別のリンクが存在する場合の対象目的地を目的地とする車両の割合を算出する一例を示す説明図である。図8に示すように、過去に取集したプローブ情報から、例えば、リンクL8を目的地とする車両のうち、リンクL19を経由してリンクL8へ到達した車両の台数が2台であり、対象リンクL7を経由してリンクL8へ到達した車両の台数が4台であるとする。
【0064】
そして、図5に示すように、上流リンクL1を通過した車両のうち、対象目的地をリンクL8とした車両が3台であるとすると、図5のように、3台をそのまま対象リンクL7を通過して対象目的地L8へ到達した車両とするのではなく、3×4/6=2台を、上流リンクL1を通過した車両のうちリンクL8を目的地とした車両の台数として求める。これにより、対象リンクを経由せずに対象目的地へ到達することができる他のリンクが存在する場合であっても、対象リンクを通過した車両をさらに精度よく求めることが可能となる。
【0065】
信号情報設定部110は、信号制御パラメータを設定する設定手段としての機能を有し、交通量推定部108で推定した交通量を用いて、対象リンクに対する交通信号を制御するための信号制御パラメータを設定する。対象リンクの将来の交通量を精度良く推定することができるので、最適な信号制御を実現することができる。
【0066】
次に、本実施の形態の交通量推定装置100の動作について説明する。図9は本実施の形態の交通量推定装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理では、主体を制御部101として説明する。制御部101は、交通量の推定を行う対象である対象リンクを選定し(S11)、道路網の各リンクの旅行時間を取得する(S12)。なお、旅行時間は、予め統計値として算出してもよく、あるいは直近に取得したプローブ情報に基づいて算出してもよい。
【0067】
制御部101は、対象リンクからの旅行時間が所定時間に略等しい値となる1又は複数の上流リンクを決定する(S13)。なお、所定時間は、任意の時点から、どの程度先の時点での交通量を推定するにより決まる時間であり、例えば、15分、20分、30分などである。
【0068】
制御部101は、決定した上流リンクを通過した車両の目的地を取得する(S14)。目的地は、上流リンクを通過した車両から当該車両の目的地を取得することができる。また、目的地を取得するタイミングは、交通量を推定する処理を行う時点の直近の時間帯(例えば、15分間など)とすることができる。また、過去に収集したプローブ情報から、同じ時間帯、曜日又は日に上流リンクを通過した車両の目的地を用いることもできる。
【0069】
制御部101は、上流リンクの交通量を取得し(S15)、上流リンクを通過した車両のうち対象リンクを通過する車両の割合を算出する(S16)。制御部101は、上流リンクの交通量に算出した割合を乗算して対象リンクの交通量を算出する(S17)。
【0070】
制御部101は、決定された上流リンクが他にあるか否かを判定し(S18)、他の上流リンクがある場合(S18でYES)、ステップS14以降の処理を繰り返す。他の上流リンクがない場合(S18でNO)、制御部101は、上流リンク毎に算出した対象リンクの交通量を合計して対象リンクの交通量の推定値を算出する(S19)。
【0071】
制御部101は、他の対象リンクがあるか否かを判定し(S20)、他の対象リンクがある場合(S20でYES)、ステップS11以降の処理を繰り返し、他の対象リンクがない場合(S20でNO)、処理を終了する。
【0072】
本実施の形態の交通量推定装置100は、CPU、RAMなどを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図9に示すような各処理手順を定めたコンピュータプログラムをコンピュータに備えられたRAMにロードし、コンピュータプログラムをCPUで実行することにより、コンピュータ上で交通量推定装置100を実現することができる。
【0073】
従来、交差点に流入する将来の交通量を予測する場合、上流側で隣り合う交差点との間の流入路に設けた感知器で車両を計測し、計測した結果に基づいて、交差点に流入してくる車両の台数などの交通量を予測していたが、感知器を設置する場所が上流側で隣り合う交差点との間の道路であるため、感知器が設置された場所から交差点に到達するまでの時間が、信号の数サイクルに相当する時間より短く、さらに先の時点での交通量を予測することができなかった。また、さらに先の時点での交通量を予測するためには、隣り合う交差点のさらに上流側の道路に感知器を設ける必要があるが、対象とする交差点までの間にいくつもの交差点が存在する場合、途中の交差点で流入する車両及び流出する車両が存在するので、交通量の誤差が多くなり、感知器で計測したデータでは、精度良く交通量を予測することができない。
【0074】
本実施の形態の交通量推定装置100では、対象リンクから上流側に複数の交差点だけ離れた道路(リンク)に設置した車両感知器で計測したデータから得られた交通量と、車両の目的地を考慮して求めた車両の割合(対象リンクを通過する車両の割合)とに基づいて対象リンクの交通量を算出するので、従来よりもさらに先の時点(例えば、信号の数サイクルを超える先の時点)の交通量を精度良く推定することができる。なお、本実施の形態は、従来のように数サイクル程度先の交通量の推定を排除するものではなく、車両の目的地を考慮することにより、数サイクル程度先の交通量であっても精度良く推定することが可能である。
【0075】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
101 制御部
102 通信部
103 記憶部
104 旅行時間算出部
105 上流リンク決定部
106 目的地特定部
107 割合算出部
108 交通量推定部
109 統計値算出部
110 信号情報設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交差点と、隣り合う交差点間の道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の任意の時点から所定時間後の交通量を推定する交通量推定装置であって、
前記道路網の情報を記憶する記憶手段と、
前記道路網の情報に基づいて前記対象道路区間までの旅行時間が前記所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定する決定手段と、
前記上流道路区間の交通量を取得する交通量取得手段と、
前記上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象道路区間を通過する車両の割合を取得する割合取得手段と、
前記上流道路区間の交通量及び前記割合に基づいて、前記対象道路区間の前記所定時間後の交通量を推定する推定手段と
を備えることを特徴とする交通量推定装置。
【請求項2】
前記上流道路区間、前記目的地及び前記道路網の情報に基づいて、前記目的地のうち前記上流道路区間から前記対象道路区間を経由する対象目的地を特定する対象目的地特定手段を備え、
前記割合取得手段は、
前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象目的地を目的地とする車両の割合を、前記対象道路区間を通過する車両の割合として取得するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の交通量推定装置。
【請求項3】
車両の位置及び該位置を通過する時刻を含むプローブ情報を所定期間収集するプローブ情報収集手段と、
前記対象目的地へ到達する経路が複数存在する場合に、前記対象道路区間を含む経路とは別に前記対象道路区間を含まない経路が存在するときは、前記プローブ情報に基づいて、前記対象目的地へ到達した車両に対する前記対象道路区間を通過した車両の比率の統計値を算出する統計値算出手段と
を備え、
前記割合取得手段は、
前記統計値算出手段で算出した比率の統計値に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象目的地を目的地とする車両の割合を取得するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の交通量推定装置。
【請求項4】
前記プローブ情報収集手段で収集したプローブ情報に基づいて前記上流道路区間を通過した車両の目的地を特定する目的地特定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の交通量推定装置。
【請求項5】
前記プローブ情報収集手段で収集したプローブ情報に基づいて各道路区間の旅行時間の統計値を算出する旅行時間算出手段を備え、
前記決定手段は、
前記旅行時間の統計値を用いて前記上流道路区間を決定するように構成してあることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の交通量推定装置。
【請求項6】
前記上流道路区間を前記任意の時点前の時点を含む所要時間帯に通過した車両から該車両の目的地を取得する目的地取得手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の交通量推定装置。
【請求項7】
前記推定手段で推定した交通量を用いて、前記対象道路区間に対する交通信号を制御するための信号制御パラメータを設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の交通量推定装置。
【請求項8】
コンピュータに、複数の交差点と、隣り合う交差点間の道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の任意の時点から所定時間後の交通量を推定させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
前記道路網の情報に基づいて前記対象道路区間までの旅行時間が前記所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定するステップと、
前記上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象道路区間を通過する車両の割合を取得するステップと、
前記上流道路区間の交通量及び前記割合に基づいて、前記対象道路区間の前記所定時間後の交通量を推定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
複数の交差点と、隣り合う交差点間の道路区間とを含む道路網の任意の対象道路区間の任意の時点から所定時間後の交通量を推定する交通量推定装置による交通量推定方法であって、
前記道路網の情報を記憶しておき、
前記道路網の情報に基づいて前記対象道路区間までの旅行時間が前記所定時間に略等しい1又は複数の上流道路区間を決定するステップと、
前記上流道路区間の交通量を取得するステップと、
前記上流道路区間を通過した複数の車両の目的地に基づいて、前記上流道路区間を通過した車両のうち前記対象道路区間を通過する車両の割合を取得するステップと、
前記上流道路区間の交通量及び前記割合に基づいて、前記対象道路区間の前記所定時間後の交通量を推定するステップと
を含むことを特徴とする交通量推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−190416(P2012−190416A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55698(P2011−55698)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】