説明

人の足用の緩衝パッド、そのパッドを含む中底および靴、ならびに、その中底を製造する方法

【課題】指小球領域を支えるための緩衝パッドを提供する。
【解決手段】靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッドは、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、前側表面および裏側表面を含む。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわちX軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、およびX軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、第2のゾーンは、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となり、第1および第2のゾーンはエラストマー材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域を支えるためのパッドに加えて、指小球領域(ball regions)を支えるための緩衝パッドに関する。本発明は、本発明のパッドを含む、中底および靴にさらに関する。さらに、本発明は、本発明による中底を準備する方法に関する。
【0002】
靴の中底は、快適さを改善するため、もしくは着用者の足の解剖学的構造に靴をより密接に適応させるために、しばしば用いられる。申し分なく設計された中底は、歩いているか、もしくは走っている間に、衝撃をより一様に分配するのに適しており、もはや足の特定のエリアのみが圧力を受ける必要がなくなる。このような中底は、緩衝効果を有するだけでなく、一歩一歩進む間に足を最適化された形態(optimized configuration)に導く。しかしながら、中底、特に着用者の足の解剖学的構造に適応した中底は、簡単に入手することができず、個別に製造されなければならない。また、中底は、そのサイズのために、ほとんどの場合、着用者の特定の靴にはまるにすぎず、他の靴と共に使用することができない。
【0003】
ドイツ実用新案第8512490 U1号によると、優れた緩衝特性を有し、かつ高い快適さを提供する中底は、40%のゆがみで少なくとも0.03N/mmの圧力抵抗を有する発泡材料の可撓性下層と、40%のゆがみで、下層の圧力抵抗よりも小さな圧力抵抗を有する発泡材料で作られた可撓性中間層と、織物から作られた上層と、を含まなくてはならない。下層は、0.24g/cmの密度を有する開放気泡スチレン‐ブタジエンラテックス(open-cell styrene-butadiene latex)から作られることができるのに対し、中間層は、0.19g/cmの密度を有する開放気泡スチレン‐ブタジエンラテックスから作られる。
【0004】
衝撃(shocks)および衝撃圧力(impulsive stresses)に最もさらされる足の領域が、かかとおよび指小球領域であることを考慮して、特異的に設計された中底により足全体にわたって圧力を均一に分配するために労力が費やされてきた。例えば、国際公開第2005/089580 A1号では、中足骨領域で使用者の足と相互作用するための前部と、かかと領域にわたって足と相互作用するための後部と、を有する、複合型な履物の中底であって、少なくとも後部は、平面サイズ(plane size)が後部の平面サイズと少なくともほぼ等しい、ゲル材料の少なくとも1つの層を有する、中底が記載されている。一実施形態では、中底の前部および後部は、ゲルインサートを備えていてよい。これらのゲルインサートは、中底に埋め込まれてよく、不連続性のない、ほぼ連続した上面が得られるようになっている。
【0005】
欧州特許第1166671 B1号は、かかと領域のためのゲルクッションに加えて、かかと領域のための安定化要素を利用する、中底に関するものである。この中底はまた、かかと領域に凹部を提供しており、この凹部に、ゲルクッションが体にぴったり合うように挿入されうる。親指の領域、および指小球領域にも、さらなるゲルクッションが挿入されてよい。
【0006】
しかしながら、中底は、ハイヒール、もしくは幾分狭い幅を有する他の靴など、いずれかのタイプの靴と組み合わせて着用されるのには適していない。このような場合、例えばかかと領域もしくは指小球領域用の、パッドが、中底よりもしばしば好まれる。
【0007】
ドイツ特許第10117981 A1号では、異なる剛性の2つもしくは3つの層を含まなければならない、ハイヒールで用いるための、多層ゲルパッドが開示されている。層の剛性は、上部から下部へと増大している。指小球領域では、パッドの厚さは約1cmでなければならないのに対し、足指の領域ではパッドの厚さは約2〜3mmである。ドイツ特許第10117981 A1号によるパッドの表面は、いわゆる「4方向に伸長する(4-way-stretch)」カバーを備えていなくてはならない。
【0008】
欧州特許第327930 B1号は、中足骨の頭部に対する外傷を低減するための、人の足用の中足骨パッドに関するものである。このパッドは、前面の縁の中間部で凸状に湾曲し、かつ、その前面の縁の少なくとも1つの側部において凹状に湾曲していなければならない。欧州特許第327930 B1号は、パッドが実質的に圧縮できない材料で作られ、かつ靴の中で、中足骨の頭部の位置のすぐ後ろ、すなわち指小球領域の後ろに置かれることを必要としている。このように、圧力は、はるかに大きなエリアにわたって均等に分配されることができ、これにより、中足骨の頭部にかかる体重負荷が効果的に減少する。しかしながら、幾分制限された範囲の靴のデザインのみが、このようなインサートを中足骨頭部の位置の後ろに置くことを可能にする。
【0009】
前記を考慮して、先行技術のパッドおよび中底システムの欠点を呈しないパッドを備えることが望ましい。
【0010】
ゆえに、パッドおよび中底であって、長い間繰り返して使用した際も足の指小球領域に対する十分な緩衝作用を保証し、ほとんどすべてのタイプの靴に適する、パッドおよび中底を提供することが、本発明の目的である。
【0011】
パッドおよび中底であって、使用中に靴の中の所定の場所にとどまり、着用するのに不連続である(discrete to wear)、パッドおよび中底を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0012】
緩衝パッドおよび中底であって、指小球領域を支えるために、特にハイヒールの靴において、着用されたときに高い快適さおよび優れた保護を示し、さらに足が抜ける(slip through)ことを防ぐ、緩衝パッドおよび中底を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0013】
本発明の根底にある問題は、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにより解決される。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち、X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および、X軸上でかかと方向に向かって位置する、第1のゾーンに隣接した少なくとも1つの第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、第2のゾーンは、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となっており、第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む。
【0014】
さらに、本発明の根底にある問題は、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および、下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにより解決される。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち、X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、およびX軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの第2のゾーンを含み、第1のゾーンの前側表面は、着用者の足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示しており、第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む。
【0015】
さらに、本発明の根底にある問題は、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および、下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにより解決される。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち、X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および、X軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、第2のゾーンは、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となっており、第1のゾーンの前側表面は、着用者の足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示しており、第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む。
【0016】
足の指小球領域が、エラストマー材料で作られた幾分柔らかな緩衝パッドを経験すると、また、パッドが、足指からかかとの方向に指小球領域を支えるゾーンの次のエリアに、Z寸法において先細となったゾーンをもたらすと、パッドが着用者の靴の中に置かれている場合に、非常にリラックスし、かつ安定する効果が足で観察されることが分かっている。これは、ハイヒールの靴について特に当てはまる。指小球領域を支える第1のゾーンが多くの突起要素を備えている場合に、同じ効果が生じる。緩衝効果を高めることに加えて、突起要素のこのパターンは、着用者が歩いているか、もしくは立っている間に指小球領域をマッサージし、靴の中で足の位置を安定させるのにも役立つ。好ましくは、突起要素は、本発明によるこのようなパッドの第1のゾーンの前側表面にのみ設けられ、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となる第2のゾーンに、平坦な前側表面を残す。突起要素の、基部から頂部への寸法は、好ましくは、0.5mm〜3mm、特に0.75mm〜2.5mm、最も好ましくは1.0mm〜2.0mmの範囲である。
【0017】
足の指小球領域用のパッドは、第1のゾーンが指小球領域の少なくとも一部、好ましくは本質的に指小球領域全体を支え、かつ第2のゾーンがかかとの方向に指小球領域に隣接して配列されるように、靴の中に置かれるのが好ましい。特定の足指に関連した1つの指小球領域ごとに別個の第1の領域を設けることが可能である。また、第1のゾーンは、2つ、3つ、もしくは4つの隣接する指小球領域のために設けられてもよい。好ましくは、本発明による指小球領域用のパッドは、第1のゾーンを備え、この第1のゾーンは、すべての足指に関連する指小球領域を支える。第2のゾーンが第1のゾーンに直接隣接し、これにより、足指からかかとの方向にかなりの寸法を有する別のゾーンにより妨げられなくなることもまた、好ましい。その結果、第2のゾーンは、たいてい、足指に関連する指小球領域に対するさらなる直接的な支持を直接もたらさない。
【0018】
さらに、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッドを用いることによって、足のかかと領域について同様の効果が達成されうることが分かっている。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち、X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足のかかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、およびX軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、第1のゾーンの前側表面は、着用者の足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示しており、第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む。
【0019】
足のかかと領域に関して、本発明の根底にある問題は、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドによって解決されることもできる。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち、X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足のかかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、およびX軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、第2のゾーンは、Z寸法においてかかとから足指の方向に先細となっており、第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む。
【0020】
さらに、足のかかと領域に関する問題は、靴の中で靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面および裏側表面を含む、パッドによって解決されることもできる。このパッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち、X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足のかかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、およびX軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、第2のゾーンは、Z寸法においてかかとから足指の方向に先細となっており、第1のゾーンの前側表面は、着用者の足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示しており、第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む。
【0021】
かかと領域用のパッドに関して、主軸がかかとから足指の方向に本質的に平行な状態で、パッドの第1のゾーンが本質的に円形もしくは本質的に長円形の形状を有することが好ましい。かかと領域におけるこの第1のゾーンは、2つの側縁に向かって、かつ/もしくは後縁に向かって、特にエラストマーの、リム部分により囲まれていてよい。かかと領域用のパッドの後部全体が、前述したような第1のゾーンの特性を呈することも可能である。
【0022】
前記の説明、ならびに以下の解説から明らかとなるように、指小球領域用のパッドの第1のゾーンは、足指の方を向いており、ゆえに、かかとから足指の方向において第2のゾーンの前に位置付けられているのに対し、かかと用のパッドのための第1のゾーンは、足の後部により接近しており、ゆえに、靴の中に置かれた際に足指からかかとの方向においてパッドの第2のゾーンの後ろに位置する。明確にするために、かかと領域用のパッドの第1のゾーンは、第3のゾーンとして指定されてもよく、かかと領域用のパッドの第2のゾーンは、第4のゾーンとして指定されてもよい。
【0023】
本発明による前述のパッドは、ウォーキングシューズ、ランニングシューズ、登山靴、もしくは登山用ブーツなど、あらゆるタイプの靴と共に用いられうる。本発明によるパッド、特に足の指小球領域用のパッドは、ハイヒールの靴に効果的に用いられることができる。これらのパッドは、着用の快適さを楽にするにすぎないが、また、抜ける(slipping through)リスクを確実に減少させる。
【0024】
本発明による別の実施形態では、下部領域用のパッドに関して、足指からかかとの方向におけるパッドの先細りが、もはや第2のゾーンだけに限定されず、それまでに第1のゾーンの後部にとどまることが可能である。この後部とは、靴の中に置かれたときに、第1のゾーンの前部よりも、かかとから足指の方向において足指からさらに離れている、第1のゾーンの部分である。この実施形態の、第2のゾーンの方向における第1のゾーンの後ろのこの先細りは、好ましくは第1のゾーンの後半部(back half)、より好ましくは第1のゾーンの最後の第3の部分にある。足裏領域(borer regions)用のパッドの第1のゾーンの後部のこの先細りは、第1のゾーンの全幅にわたるものであってもよく、あるいは、第1のゾーンの幅の一部にわたるのみであってもよい。同様に、本発明による別の実施形態では、かかと領域用のパッドの第1のゾーンも、このパッドの第2のゾーンに隣接した部分で先細になっていてもよく、この部分は、先細でない部分よりも、このパッドの後縁からさらに離れている。第1のゾーンの、前述した先細部分は、最も好ましくは、本明細書で説明されるような突起要素のパターンを示す。
【0025】
また本発明による別の実施形態では、第2のゾーンが第1のゾーンの全幅にわたって第1のゾーンに取り付けられるのが好ましいが、第1のゾーンが第2のゾーンに結合されずに少なくとも部分的に終端をなすように、第2のゾーンが第1のゾーンへの接合部における小さな幅、および第1のゾーンの幅を有することも可能であることが分かっている。言い換えれば、この実施形態について、第2のゾーンの一部が切除されている。好ましくは、この実施形態について、第2のゾーンの残りの部分は、第1のゾーンの外側部分を形成している、第1のゾーンの部分に連結される。この実施形態について、第2のゾーンは、靴の中の寸法に応じてパッドを置く場合、そして一方、靴からパッドを除去する場合に、取扱い補助具(handling aid)として特に有用である。
【0026】
好適な実施形態では、突起要素のパターンは、多数の隣接する隆起部、すなわち少なくとも2つの隣接する隆起部、好ましくは少なくとも3つの隣接する隆起部、を含む。当然、マッサージおよび安定化効果が達成される限り、突起要素のあらゆる他のパターンが選択されてもよい。突起要素のパターンは、形状が規則的でも不規則であってもよく、立方形、半球体、もしくは角錐などの幾何学的形態を含むことができる。好ましくは、突起要素は、Y寸法に本質的に平行に少なくとも部分的に方向付けられ、かつ/または、Y寸法に対して本質的に傾斜して少なくとも部分的に方向付けられる。
【0027】
本発明は、特にY軸に沿って内側から外側へ方向付けられた、X‐Y平面に波状の形態を有する、少なくとも2つの隣接する隆起部を提供することが好ましい。X‐Y平面は、平坦な水平面にある場合にパッドにより形成される前記の平面であり、すなわち、この平坦な面は、X‐Y平面に本質的に平行である。本質的にすべての隆起部が均一に、特に本質的に平行に、方向付けられていると、特に好ましい。
【0028】
一般的に、隆起部が波状パターンを示す場合、隆起部のサイズは、幾分大きな範囲内で選択されてよい。例えば、パッドを横切る波パターンであって、例えば外側から内側の方向のY寸法において、パッドを横切る波パターンは、ちょうど2つの波の頂点、および1つの中間の波の谷を有しうるか、または、2つの波の谷、および1つの中間の波の頂点を有しうる。このような波パターンは、中間の波の谷を備えた最大10個の波の頂点、もしくは中間の波の頂点を備えた最大10個の波の谷を含むこともできる。最も好ましくは、少なくとも1つの波状隆起部、特に隣接する2つの波状隆起部が、隣接する3つの波の谷を示す。
【0029】
一般的に、本発明のパッドは、第1および第2のゾーンで構成される。一実施形態では、本発明によるパッドは、1つだけの第1のゾーン、および1つだけの第2のゾーンから本質的に成ることができる。別の実施形態では、本発明によるパッドは、特に周辺の、リム部分をさらに含むことができる。このリム部分は、隣接する第1もしくは第2のゾーンの独特の表面特徴部を備えてもよく、または単独で特定の表面パターンを備えてもよい。リムの厚さが、少なくともリム部分が第1もしくは第2のゾーンに接する所で、第1もしくは第2のゾーンの隣接する部分の厚さに本質的に対応するように、リムの厚さ、すなわちZ寸法におけるリムの伸長部分を適応させることが有利であることが分かっている。好ましくは、リムは、例えば丸みを帯びるように、もしくはまっすぐな傾斜部を用いることにより、リムの周縁に向かって先細となる。
【0030】
先細となっている第2のゾーンは、第2のゾーンが第1のゾーンに連結されるエリアで、第1のゾーンと本質的に同じ厚さを有するのが好ましい。第1のゾーンと第2のゾーンとの間の境界線は、本発明の一実施形態では、わずかに突出したリムもしくは壁を含むことができ、または、最初の先細効果は別として、触覚による方法で知覚可能でなくてもよい。
【0031】
本発明は、第1のゾーンの裏側表面および/もしくは第2のゾーンの裏側表面が本質的に平坦である、パッドの実施形態をさらに提供する。好ましくは、第1のゾーンの裏側表面および第2のゾーンの裏側表面の双方、より詳細にはパッド全体の裏側表面が、幾分平坦に作られる。言い換えれば、この裏側表面は、裏側表面が平面上に平坦に置かれるのを妨げうる、実質的な突出部を有していない。しかしながら、本発明による代替的実施形態では、第1のゾーンの裏側表面は、特に前述したような、突起要素のパターンを備えている。この構造は、第1のゾーンの前側表面も、好ましくは波状隆起部の形の、このような突起要素のパターンを備えている場合に、特に好ましい。
【0032】
第2のゾーンは先細となるが、前述のように、第1のゾーンは、特定の方向に著しい先細効果を呈しないのが好ましい。好ましくは、第1のゾーンは、均一な平均厚さを示す。例えば、平坦な面に置かれた場合、支持面から最も離れている第1のゾーンの前側表面の部分が、本質的には、その支持面から同じ距離を有する必要がある。本発明によるかかとのパッドではかかとから足指の方向に、また指小球領域パッドでは足指からかかとの方向に、先細となっている、第2のゾーンは、特に第2のゾーンが第1のゾーンに接するパッドの部分において、第1のゾーンの厚さに本質的に同一である、第2のゾーンの最も厚い部分の厚さを有するのが好ましい。第1のゾーンの平均厚さは、1〜4mm、特に1.5〜3mmの範囲内であるのが好ましい。
【0033】
本発明は、パッドであって、第1のゾーンの外側部分が第1のゾーンの内側部分よりも、X寸法においてかかと方向に、より一層延びており、かつ/または第2のゾーンの内側部分が第2のゾーンの外側部分よりも、X寸法において足指方向に、より一層延びている、パッドをさらに提供する。興味深いことに、特に指小球領域に用いられるように構成されたパッドについて、足指からかかとの方向に内側部分よりもより一層延びるのが第1のゾーンの外側部分である場合、より快適な着用、およびはるかに増大された安定化効果が観察されることが分かっている。すなわち、第1のゾーンのより大きな支持エリアが設けられているのは小指の指小球領域であるが、この指小球領域は、最も小さい指小球領域である。前述のパッドの外側部分もしくは外側区域、また、第1のゾーンの外側部分もしくは外側区域は、パッドの外側要素(outside part)に向かって、かつ/もしくは外側要素に位置する、パッドもしくは第1のゾーンの領域として画定されうる。外側(Outside)とは、パッドが靴の中に置かれると第1のゾーンもしくはパッドの外側部分が靴の外側要素の方を向くか、もしくは外側要素に隣接することを意味している。同じことが、第1のゾーンの内側部分にも逆に当てはまる。外側部分は、例えば、足指からかかとの方向に(X寸法において)長さ方向の中軸によりパッドを分割することによって得られるエリアに、外側から内側の方向で(Y寸法において)広がることができる。外側部分は、あらゆる幾何学的形態で、例えば階段のように、もしくは連続的に曲がるように、足指からかかとの方向に延びることができ、連続的に曲がることのほうが好ましい。例えば、指小球領域用のパッドの外側部分は、例えば足指からかかとの方向(X寸法)において第1のゾーンの内側部分の長さの5〜50%の範囲内、好ましくは10〜30%の範囲内の長さで、足指からかかとの方向に延びることができる。
【0034】
さらに、本発明のパッド、特に指小球領域用のパッドが、少なくとも1つの隆起部であって、着用者の足の足指の方を向いている第1の側壁、および着用者の足のかかとの方を向いている、隆起部の頂点に隣接する第2の側壁を有し、第1の側壁の平均勾配が隆起部の第2の側壁の平均勾配よりも小さい、少なくとも1つの隆起部を備えていると有利であることが分かっている。このパッドの実施形態について、特に高められたマッサージ効果が観察されている。第1の側壁の最大長さは、例えば0.3〜15mmの範囲内、特に2〜10mmの範囲内であってよい。第2の側壁の好適な長さは、0.5〜4mm、特に0.5〜2mmの範囲内である。一実施形態では、第2の側壁は、パッドが平坦な水平面に置かれると、本質的に垂直な向きを有する。
【0035】
通常、隣接する隆起部の波状パターンは、随意に、第1のゾーンの前側表面に与えられうる。Y寸法に沿って内側から外側に方向付けられた波状隆起部を有するのが好ましいことが分かっている。X‐Y平面において隆起部のこの波状パターンを、例えば約90°もしくは180°、または任意の他の角度で回転させることも可能である。この波状パターンを180°にわたって回すことにより、前述した好適な実施形態における第1の側壁は、かかとの方を向き、隆起部の第2の側壁は、足指の方を向く。
【0036】
第1および第2のゾーン、特に、例えばリムも含む、パッド全体は、1つの部品に作られるのが好ましい。このことは、例えば、射出成形により達成されうる。第1および第2のゾーンは、エラストマー材料で作られるのに対して、リムは、熱可塑性材料もしくはエラストマー材料のいずれかで構成されうる。リムもまた、エラストマー材料で作られるのが好ましい。第1および第2のゾーン、ならびにリムに使用されうる好適なエラストマー材料は、天然ゴムもしくは合成ゴム、または熱可塑性エラストマー(TPE)である。
【0037】
適切な合成のエラストマーポリマー材料は、例えば、共役ジエン、例えばイソプレン、ブタジエン、もしくはクロロブタジエンから作られたポリマー、ならびに、共役ジエンおよびビニル誘導体、例えばスチレンおよびアクリロニトリルなどから作られたコポリマー材料から作られたポリマーを含む。例示的には、適切な合成ゴム材料は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリロ‐ブタジエンゴム(nitrilo-butadiene rubber)(NBR)、また、水素化形態において、エチレン‐プロピレン‐(ジエン)ゴム(EPM、EPBM)、エチレン酢酸ビニルゴム、液体シリコーンゴムも含むシリコーンゴム、を含む。
【0038】
適切な液体シリコーンは、通常、ポリオルガノシロキサンをベースとしている。これらのポリマーは、Si原子の自由原子価(free valances)が、水素、もしくは有機基、例えばメチル、フェニル、ビニルを使用することにより、またはヒドロキシル基を使用することにより、飽和する、シロキサン鎖(−Si−O−Si−O)を備えている。一般的に、液体シリコーンは、約1,000の反復単位を含むことができる。対照的に、固体のシリコーンゴムは、約6,000〜10,000の反復単位を含む。遷移金属で触媒作用を受けるヒドロシリル化(transition metal catalyzed hydrosilylation)により、シラン基(Si−H)とビニル基との間で加硫反応が通常起こる。液体シリコーンは、通常、一方では低粘度を有するビニルポリシロキサン(vinylpolysiloxanes)を、他方では水素で官能基化されたポリシロキサンもしくはシラン(hydrogen functionalized polysiloxanes or silanes)を、含む、二成分混合物をベースにしている。適切な触媒は、貴金属、特にプラチナをベースとしている。一般的に、必要な触媒の量は、ppmの範囲内である。通常はいかなる副生物ももたらさない付加反応により、ビニル基で官能基化されたポリシロキサンが、水素で官能基化されたシロキサンに結合する。好ましくは、二成分系では、既に触媒を含むのは、ビニル基で官能基化されたポリシロキサンである。特に適切な、水素で官能基化されたシロキサンもしくはシランは、1分子中に少なくとも3つのSiH基を含むのが好ましい、メチル水素シロキサン(methyl hydrogen siloxane)を含む。適切な液体シリコーンもしくはそれらのそれぞれの二成分系は、当業者には周知であり、また、例えば、Siloprene(登録商標)LSRの商品名でGE Bayer Siliconesから、もしくはElastosil(登録商標)LRの商品名でWacker Chemie社から、購入可能である。
【0039】
加硫速度は、触媒濃度により、かつ/もしくは抑制剤を添加することにより、制御されうる。適切な抑制剤は、高級アルコール、例えばn‐ブタノール、n‐ペンタノール、n‐ヘキサノール、および、好ましくは、1‐エチニル‐1‐シクロヘキサノールを含む。
【0040】
液体シリコーンを射出成形するための適切な射出成形機は、当業者に知られており、また、例えば、ドイツ特許公開第4014244 A1号、同第10145160 A1号、もしくは同第103027 A1号から得ることができる。加硫温度は、通常130〜230℃の範囲内、特に140〜220℃の範囲内、最も好ましくは145〜170℃である。
【0041】
適切なエラストマー材料は、熱可塑性エラストマーも含む。
【0042】
これらの熱可塑性エラストマーは、通常、本質的には互いに不適合である熱可塑性配列およびエラストマー配列(thermoplastic sequences and elastomeric sequences)を有するグラフトポリマーおよびコポリマーを表している。軟質のエラストマー配列は、通常、周辺温度より低いガラス転移温度を有するのに対して、より硬質の熱可塑性配列は、周辺温度よりも高いガラス転移温度を一様に(regularly)有する。熱可塑性エラストマーは、例えば、アミドエラストマー、コポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、およびポリウレタンエラストマーを含む。熱可塑性ポリアミドエラストマーは、通常、硬質のポリアミド配列および軟質のポリエーテルおよび/もしくはポリエステル配列を有するブロックコポリマーで作られる。熱可塑性コポリエステルエラストマーは、通常、ポリアルキレンエーテルジオール配列(および/もしくは長鎖脂肪族二炭酸エステル(long chained aliphatic dicarbonic esters))、ならびに部分的に結晶性のポリブチレンテレフタラート(polybutulene terephthalate)の配列をベースとしている。適切なポリオレフィンエラストマーは、概して、アイソタクチックのポリプロピレンおよびエチレン‐プロピレンゴムの混合物をベースとしている。熱可塑性ポリスチレンエラストマー(TPS)は、通常、アニオン重合により調製され、一方ではスチレン、他方ではブタジエンから、作られる配列を含む(SB、SBS)。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、通常、1,4‐ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、もしくはポリカーボネートジオールなどの長鎖ジオールの、HDIもしくはIPDIなどの脂肪族ジイソシアン酸エステルとの重付加反応により作られる。前述のエラストマー材料、ならびにそれらの調合物は、当業者には既知である。
【0043】
第1および第2のゾーン、特に第1のゾーンに用いられる材料は、幾分軟質で滑らない。パッド、特に第1のゾーンのショアA硬度は、好ましくは2〜15、特に3〜10、最も好ましくは5〜9の範囲内である(WSTM 1110による)。
【0044】
さらなる実施形態では、前述したようなパッドは、特に第1のゾーンにおいて、孔のパターンを含むこともできる。例えば2個、3個、4個、5個、6個、もしくはそれより多い、これらの孔は、第1のゾーンもしくはパッド全体にわたって規則的もしくは不規則なパターンに配列されてよい。一実施形態では、孔は、特に平行な、列で配列される。これらの列は、足指からかかとの方向に方向付けられるのが好ましい。有利なことに、これらの孔は、0.5〜3mmの範囲の直径を有する。これらの孔は、足裏からの汗を靴の中底に導くことを適切に可能にするのに役立つ。最も好適な実施形態では、少なくとも2つの孔が、隆起部の波の谷の領域に位置している。
【0045】
指小球領域用のパッドの第1のゾーンが、X寸法においてかかとから足指の方向で第2のゾーンの前に位置する要件は別として、第1および第2のゾーンの相対的な配列は、大いに変更されてよい。かかと領域用のパッドでは、この順番は逆にされる。これらのパッドは、対称的に、もしくは非対称的に成形されてよい。一実施形態では、第2のゾーンは、足指からかかとの方向にY軸上で非対称的に先細となっている。
【0046】
本発明の根底にある目的は、本発明による足の指小球領域用のパッド、および/もしくは本発明によるかかと領域用のパッドを含む、中底によっても解決される。これらの中底は、有利には、例えば2K射出成形技術を使用することにより、1つの部品に作られる。例えば、パッドがエラストマー材料で作られるのに対して、パッドが埋め込まれる中底の残りの部分は、熱可塑性材料もしくは発泡材料で作られる。
【0047】
本発明の別の態様によると、本発明による、足の指小球領域を支えるように構成されたパッド、および/もしくは本発明による、足のかかと領域を支えるパッドを含む、靴が提供される。本発明のパッドもしくは中底を大いに活用する靴は、例えば、ハイヒールの靴、および登山靴、特にフリークライマーにより用いられる登山靴である。
【0048】
本発明によるパッドの寸法は、大いに変更されてよい。指小球領域用のパッドに関して、(Y寸法において外側から内側に計測される)30〜80mm、特に63〜73mmの幅、および(X寸法においてかかとから足指の方向の)40〜95mm、特に60〜90mmの範囲の長さを利用することが有利であることが分かっている。かかと領域用のパッドに関して、45〜65mm、特に50〜60mmの範囲の幅、および45〜75mm、特に50〜70mmの範囲の長さを有することが好ましいことが分かっている。
【0049】
第1のゾーンの最大厚さは、好ましくは、1〜10mm、特に1.5〜8mm、より好ましくは1.75〜5mmの範囲内である。突起要素、特に隆起部の、基部から頂点までの高さは、好ましくは、0.75mmより高い、例えば0.75〜4mmの範囲、特に1mmより高い、例えば1〜3.5mm、最も好ましくは1.25mmより高い、例えば1.25〜2mmである。この高さは、1.5mmもしくは2.0mmより高くてもよい。
【0050】
本発明によるパッドは、乾燥状態および湿潤状態の双方において、非常に弱い耐摩耗性(EN 13516による)を示す。例えば、パッドから取られた円形の試験片が、リサジューの図形の形の周期的な平面運動により磨耗を生じる(abradant)場合、乾燥状態で約25,000サイクル、また湿潤状態下で約12,500サイクルでも、孔がまったく観察されない。さらに、本発明のパッドは、非常に良好な引き裂き強度(EN 13571による)を有する。本発明によるパッドの別の本質的な利益は、それらの顕著な耐洗濯性(ISO 105 C06およびEN ISO 25077による)から生じる。従来の洗濯機における90℃での5回の洗濯サイクルの後でも、本発明のパッドでは、色の変化、染色、および寸法の変化がまったく見られない。加えて、例えば1Hzに等しい振動数で60kgの荷重まで50,000回プレスされた場合に、本発明のパッドでは、本質的にいかなる機械的老化も見られない。衛生的な快適さの点から、本発明によるパッドは、幾分低い流体吸収、すなわち幾分低い水分吸収、および100%の水脱離(water desorption)を示すにすぎないことが有利であると分かっている。これらの結果は、いわゆるパーメオメオター(permeometer)Ballyに置かれた試験片により得ることができる。1分当たり、10cmの水が試験片に到達し、この試験片は、異なる着用強度(different strength of wear)を再現するために繰り返し収縮され、かつプレスされる(80N)。この処置は、試験片が水浸しになったら停止される。表面単位当たりで吸収される水の最大量は、好ましくは約0.8mg/cmではなく、より好ましくは約0.5mg/cmではない。脱離能力を判定するために、前述した試験片は、空気調節したエリア(conditioning area)(23℃、相対湿度50%)に16時間保持され、試験片の重量差により、脱離が示され、また、この重量差は%で表されてよい。パッドが50mmの直径のシリンダーで400Nまで圧縮され、その後弛緩される場合、本発明によるパッドの老化は、(CTC P04に従って)エネルギーの戻り(energy return)を計測することによっても判定されうる。この試験は、20mm/分の速度で動力計において実行されうる。得られた結果は、%で表される全体のエネルギーに対する粘弾性エネルギー(visco-elastic energy)の比率を表す。本発明によるパッドでは、この値は、一様に60%よりも大きいが、特に80%よりも大きい。さらに、本発明によるパッドは、十分な摩擦係数(CTC P17による)を有する。ここで、試験片は、スチールプレート上に置かれ、5kgの塊(mass of 5 kg)で処理される。動力計で100mm/分の速度率で試験片を引っ張ることにより、乾燥および湿潤状態下の双方で、摩擦力が判定されうる。本発明によるパッドでは、5を超える摩擦係数値、特に乾燥状態下では6を超える、そして湿潤状態下では約5daNの摩擦係数値が確実に得られる。
【0051】
本発明に関して、驚いたことに、指小球領域用のパッドおよびかかと領域用のパッドの双方により与えられる快適さおよび保護は、一方が先細となる2つの別個のゾーンを有し、かつ/もしくは、少なくとも一方が、靴の着用者の足をマッサージするように構成された、特に波状の、隆起部などの突起要素を示す、2つの別個のゾーンを有することにより、著しく増大されうることが分かった。この2つのゾーンは双方がエラストマー材料で構成されている。さらに、本発明のパッドについて、中底の中に組み込まれた場合もまた、依然として着用に対して配慮している(discreet to wear)ことにより、十分な緩衝効果が得られうる。さらに、本発明のパッドは、確実に靴の中で所定の場所にとどまり、数回の機械洗濯サイクルの後であっても長い間、再利用されうる。特に、ハイヒールの靴について、着用者は、圧力、または筋肉の緊張(tensioning)もしくは硬化をもはや経験しなくなる。対照的に、本発明によるパッド、特に指小球領域用のパッドもしくは前述したパッド双方の組み合わせ(指小球領域+かかと)がハイヒールの靴の中に置かれた場合、そのハイヒールの靴を着用すると幾分リラックスすることすら分かっている。特に指小球領域用のパッドについて、着用者は、非常に不連続な形で(in a very discrete manner)抜けるリスクをもはや経験しなくなる。
【0052】
さらに、本発明の特徴および利点は、本発明によるパッドの好適で非排他的な実施形態の詳細な説明から、より明らかとなるであろう。これらの実施形態は、添付の図面と共に非限定的な例として説明される。
【0053】
図面を詳しく参照して、様々な履物のタイプのために設計された、本発明によるパッドを説明する。図1に描かれたパッド1は、一対の靴の右側の靴と共に使用されるように構成されている。好適な実施形態では、パッド1の面対称の物体(mirror image)が、一対の靴の左側の靴に用いられることができる。本発明によるパッドの好適な実施形態であるパッド1は、液体シリコーンゴム(liquid silicon rubber)を射出成形することにより全体が作られている。パッド1は、半透明であり、5〜10の範囲、例えば約7のショアA硬度(WSTM 1110による)、1〜5MPa、特に1.5〜4MPaの範囲、例えば1.92MPaの引張強度(WSTM 1160)、および、400%〜1000%の範囲、例えば約460%もしくは800%の破損時の伸び(WSTM 1160による)を有する。パッド1は、X寸法において足指方向に向かって位置する第1のゾーン3、およびX寸法においてかかと方向に向かって位置する第2のゾーン5を備えており、周辺リム15を有する。リムも液体シリコーンゴム(liquid silicon rubber)で作られる。図1のパッド1は、1つの材料から1つの部品に作られている。図1は、着用者の足と接触する、パッド1の前側表面33を描いている。パッド1の前側33’の第1のゾーン3は、本質的に均一に分配された波状隆起部7のパターンを示す。隆起部7は、X寸法において足指の方に向けられている、幾分低い傾斜部(第1の側壁)を備えた延出領域17、および、領域19であって、幾分大きな傾斜部(第2の側壁)を有し、ゆえにはるかに小さい、すなわち領域17よりも前側33のより小さな表面に広がっている、領域19を有する。第1の隆起部7の大きな傾斜領域19、および隣接する隆起部7の低い傾斜領域17は、2つの隆起部間の湾曲した谷状境界線21において接する。これは、波状に湾曲した隆起部と同様である。
【0054】
第1のゾーン3は、軸A‐A(もしくはX軸)の左側に実質的に位置している内側部分23、および軸A‐Aの右側に実質的に位置している外側部分25を有し、これらの部分は、それらの異なる形状のために、非対称の第1のゾーンをもたらす。軸A‐Aは、X寸法に平行である。図1に描かれるようなパッド1の好適な実施形態では、第1のゾーン3の外側部分25は、足指からかかとの方向に、パッド1の内側部分23よりも著しく延びている。第2のゾーン5は、対応するように設計されている、すなわち、第2のゾーン5の内側部分27は、かかとから足指の方向に、第2のゾーン5の外側部分29よりも大きく延びている。この構成は、足の前方の指小球領域を適切に支えるのに最も適している。したがって、第1のゾーンと第2のゾーンとの間の境目11は湾曲している。第2のゾーン5の前側表面33”は、いかなる突起要素も示しておらず、ゆえに平坦である。図1に描かれるようなパッド1の実施形態は、第1のゾーン3に多数の孔13を備えている。これらの孔13は、好ましくは、隆起部7の波の谷領域31に位置し、約2mmの直径を有する。パッド1の裏側表面35は、平坦であり、いかなる靴の底にも容易に適応することができる。
【0055】
図2では、図1によるパッド1の概略上面図を見ることができる。Y寸法におけるパッド1の最大幅は、61〜70mmの範囲内である。X方向におけるパッド1の最大長さは、83〜85mmの範囲内である。図2は、隣接する隆起部間の境界線21が、幾分延出した低い傾斜領域17のために、幾分小さいことを確実としている。
【0056】
図3は、図1の軸A‐Aに沿ったパッド1の断面図を描いている。明らかに、第1のゾーン3は、幾分均一な厚さを有する。しかしながら、パッド1の厚さは、X寸法において足指からかかとの方向に見ると、第2のゾーン5において連続的に減少している。図3による断面図は、リム15もその縁に向かって先細となるが、丸みを帯びたデザインを活用していることも示している。
【0057】
図2の軸B‐Bに沿った断面図である図4は、図3と同様に、パッド1の裏側表面35が平坦であること、および第2のゾーン5の前側表面33”が平坦な構成を有することを示している。
【0058】
図5では、右足の指小球領域を支えるように構成された、本発明によるパッド1の別の実施形態の概略上面図が描かれている。図1に示されたような実施形態に対する唯一の違いは、第2のゾーン5がもはや(Y寸法において)第1のゾーン3の全幅にわたって延びていないことである。この場合、第2のゾーン5は、本質的に、図1のパッドの外側部分29と指定された部分に沿って延びるにすぎない。したがって、リム15は、X寸法に沿って足指からかかとの方向に見た場合、図5のパッドの第1のゾーン3の後部の一部に隣接している。図1のパッドと同様に、図5に示される実施形態でも、第1のゾーン3の外側部分25は、X寸法に沿って足指からかかとの方向に、パッド1の第1のゾーン3の内側部分23よりも大きく延びている。第2のゾーン5は、依然として、非常に不連続な着用感覚(very discrete wearing sensation)を与え、また、パッド1を靴の内側に置くこと、およびそのパッドを靴から除去することをも助ける。
【0059】
図6は、着用者の足のかかと領域の下に置かれるように構成された、本発明によるパッド1を表している。かかと領域用のこのパッドもまた、第1のゾーン3、および第2のゾーン5を含む。第1のゾーン3は、描かれた好適な実施形態では、円形状を有しており、靴の中に置かれると、X寸法に沿って足指からかかとの方向に、第2のゾーン5よりも足の後部に向かって位置している。例えば図1のパッド1について前述されたような、この第1のゾーン3は、隣接する隆起部7のパターン、および孔13のパターンを備えており、孔13は、本質的に平行な列に配列されており、これらの列はそれ自体、パッド1の長さ方向軸に本質的に平行である。第1のゾーン3は、本質的に均一の厚さを有する。第2のゾーン5は、Z寸法においてX軸に沿ってかかとから足指の方向に先細になる。言い換えれば、第2のゾーン5は、第1のゾーン3から離れるほど薄くなる。図6によるかかと領域用のパッドでは、リムが本質的に後部の周りに設けられている。図6によるパッド1は、エラストマー材料で全体が作られている。
【0060】
図7は、隆起部7ならびに孔13を示している、パッド1の第1のゾーン3の一部を描いている。孔13は、波の谷31の領域に位置する。図7は、波の形をした隆起部7であって、その頂点の片側に幾分緩やかな傾斜部を備えた第1の側壁17、および幾分大きな傾斜部を備えた、隣接する第2の側壁19を有する、隆起部7を明確に示している。第1の側壁17は、幾分大きな表面に広がっているが、第2の側壁19は、寸法が幾分小さい。第1の隆起部7の第1の側壁17は、隣接する隆起部7の第2の側壁19と共通の境界を有する。孔13は、着用者の足からの汗を靴の中底へ導くのに役立つ。好適な実施形態では、第1の側壁17は、かかとから足指の方向に向いているのに対して、第2の側壁は、足指からかかとの方向を向いている。
【0061】
図8は、孔31なしの、パッド1の第1のゾーン3の一部の実施形態を示す。隣接する隆起部の側壁間の移行要素45は別として、他の詳細はすべて、図7に示される実施形態と本質的に同一である。この移行要素45は、よりいっそう不連続な着用を可能にするものである。
【0062】
パッドが、添付の図面を特に参照して説明されたが、開示内容および特許請求の範囲で言及される符号は、本発明のよりよい理解度のために用いられたにすぎず、いかなる方法によっても特許請求の範囲を限定するよう意図されているものではない。
【0063】
〔実施の態様〕
(1) 靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面(33)、および裏側表面(35)を含む、パッド(1)において、
前記パッド(1)は、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する前記指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン(3)、および前記X軸上でかかと方向に向かって位置する、前記第1のゾーン(3)に隣接した少なくとも1つの第2のゾーン(5)を含み、
前記第1のゾーン(3)は、前記第2のゾーン(5)の平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーン(5)は、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となっており、
前記第1および第2のゾーン(3、5)は、エラストマー材料を含む、パッド。
(2) 靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面(33)、および裏側表面(35)を含む、パッド(1)において、
前記パッド(1)は、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する前記指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン(3)、および前記X軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの第2のゾーン(5)を含み、
前記第1のゾーン(3)の前記前側表面(33)は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素(7)のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーン(3、5)は、エラストマー材料を含む、パッド。
(3) 靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面(33)、および裏側表面(35)を含む、パッド(1)において、
前記パッド(1)は、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する前記指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン(3)、および前記X軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーン(5)を含み、
前記第1のゾーン(3)は、前記第2のゾーン(5)の平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーン(5)は、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となり、
前記第1のゾーン(3)の前記前側表面(33)は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素(7)のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーン(3、5)は、エラストマー材料を含む、パッド。
(4) 靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッド(1)において、
前記パッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足の前記かかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および前記X軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、
前記第1のゾーンの前記前側表面は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む、パッド。
(5) 靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにおいて、
前記パッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足の前記かかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および前記X軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーンは、Z寸法においてかかとから足指の方向に先細となり、
前記第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む、パッド。
【0064】
(6) 靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにおいて、
前記パッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足の前記かかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および前記X軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーンは、Z寸法においてかかとから足指の方向に先細となり、
前記第1のゾーンの前記前側表面は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む、パッド。
(7) 実施態様1〜6のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記突起要素のパターンは、多数の隣接する隆起部(7)を含む、パッド。
(8) 実施態様7に記載のパッド(1)において、
少なくとも2つの隣接する隆起部(7)が、特に前記Y軸に沿って内側から外側に方向付けられた、波状の形態をX‐Y平面において有する、パッド。
(9) 実施態様7または8に記載のパッド(1)において、
本質的にすべての隆起部(7)が、均一に、特に本質的に平行に、方向付けられている、パッド。
(10) 実施態様7〜9のいずれかに記載のパッド(1)において、
少なくとも1つの波状隆起部(7)、特に隣接する2つの波状隆起部(7)が、隣接する3つの波の谷(31)を示す、パッド。
【0065】
(11) 実施態様1〜10のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記パッドは、前記第1のゾーン(3)、および前記第2のゾーン(5)から本質的に成る、パッド。
(12) 実施態様1〜11のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記前記第1のゾーン(3)の裏側表面(35’)、および/もしくは前記第2のゾーンの裏側表面(35”)は、本質的に平坦である、パッド。
(13) 実施態様1〜12のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記第2のゾーン(5)の前側表面(33”)は、本質的に平坦である、パッド。
(14) 実施態様1〜13のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記第1および第2のゾーン(3、5)、特に前記パッド(1)は、1つの部品に作られる、パッド。
(15) 実施態様1〜14のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記第1のゾーン(3)の前記裏側表面(35’)は、突起要素(7)のパターンを備えている、パッド。
【0066】
(16) 実施態様1〜15のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記第1のゾーン(3)は、均一な平均厚さを示す、パッド。
(17) 実施態様1〜16のいずれかに記載のパッド(1)において、
特に周辺の、リム部分(15)、
をさらに含む、パッド。
(18) 実施態様17に記載のパッド(1)において、
前記リム(15)は、熱可塑性材料、もしくはエラストマー材料を含む、パッド。
(19) 実施態様17または18に記載のパッド(1)において、
前記リム(15)は、その周縁(37)に向かって先細となっている、パッド。
(20) 実施態様1〜19のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記エラストマー材料は、天然ゴム、もしくは合成ゴム、または熱可塑性エラストマー(TPE)である、パッド。
【0067】
(21) 実施態様1〜20のいずれかに記載のパッド(1)において、
特に前記第1のゾーン(3)において、孔(13)のパターン、
をさらに含む、パッド。
(22) 実施態様21に記載のパッド(1)において、
前記孔(13)は、0.5〜3.0mmの範囲の直径を有する、パッド。
(23) 実施態様21または22に記載のパッド(1)において、
少なくとも2つの孔(13)が、隆起部(7)の波の谷(31)の領域に位置する、パッド。
(24) 実施態様1〜23のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記第2のゾーン(5)は、前記Y軸上で前記足指からかかとの方向に非対称的に先細となっている、パッド。
(25) 実施態様1〜24のいずれかに記載のパッド(1)において、
前記第1のゾーン(3)の外側部分(23)は、前記第1のゾーン(3)の内側部分(25)よりも、X寸法において前記かかと方向に、より延びており、かつ/または、
前記第2のゾーン(5)の内側部分(27)は、前記第2のゾーン(5)の外側部分(29)よりも、前記X寸法において前記足指方向に、より延びている、パッド。
【0068】
(26) 実施態様1〜25のいずれかに記載のパッド(1)において、
少なくとも1つの隆起部(7)が、着用者の前記足の前記足指の方を向いている第1の側壁、および着用者の前記足の前記かかとの方を向いている、前記隆起部(7)の頂点に隣接する第2の側壁を有し、
前記第1の側壁の平均勾配は、前記隆起部の前記第2の側壁の平均勾配よりも小さい、パッド。
(27) 中底において、
実施態様1〜3、および実施態様1〜3のいずれかを参照する実施態様7〜26の範囲で実施態様7〜26、に記載のパッド、ならびに/または、
実施態様4〜6、および実施態様4〜6のいずれかを参照する実施態様7〜26の範囲で実施態様7〜26、に記載のパッド、
を含む、中底。
(28) 実施態様27に記載の中底において、
前記中底は、1つの部品に作られる、中底。
(29) 実施態様27または28に記載の中底を製造する方法において、
2K射出成形プロセスにより前記中底を準備するステップ、
を含む、方法。
(30) 靴において、
実施態様1〜3、および実施態様1〜3を参照する範囲で実施態様7〜26、に記載のパッド、ならびに/または、
実施態様4〜6、および実施態様4〜6を参照する範囲で実施態様7〜26、に記載のパッド、または、
実施態様27もしくは28に記載の中底、
を含む、靴。
【0069】
(31) 実施態様30に記載の靴において、
前記靴は、ハイヒールの靴、または登山靴である、靴。
(32) パッドを使用することにおいて、
靴の中に置くための、実施態様1〜26のいずれかに記載のパッドを使用すること。
(33) パッドを使用することにおいて、
ハイヒールの靴、もしくは登山靴に、実施態様1〜26のいずれかに記載のパッドを使用すること。
(34) パッドを使用することにおいて、
中底もしくは靴を準備するために、実施態様1〜26のいずれかに記載のパッドを使用すること。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、右足の前部のために使用されるように構成された、本発明によるパッドの斜視図である。
【図2】図2は、図1によるパッドの概略上面図である。
【図3】図3は、軸A‐Aに沿った、図2によるパッドの断面図である。
【図4】図4は、軸B‐Bに沿った、図2によるパッドの断面図である。
【図5】図5は、右足の前部のために使用されるように構成された、本発明によるパッドの別の実施形態の概略上面図である。
【図6】図6は、足のかかと領域のために使用されるように構成された、本発明によるパッドの概略上面図である。
【図7】図7は、本発明によるパッドの第1のゾーンの部分的な図である。
【図8】図8は、本発明によるパッドの別の部分の図である。
【符号の説明】
【0071】
〔参照符号リスト〕
1:パッド
3:第1のゾーン
5:第2のゾーン
7:隆起部
9:谷
11:境目
13:孔
15:リム
17:低い傾斜領域
19:大きな傾斜領域
21:境界線
23:第1のゾーンの外側部分
25:第1のゾーンの内側部分
27:第2のゾーンの内側部分
29:第2のゾーンの外側部分
31:波の谷領域
33:パッドの前側表面
33’:第1のゾーンの前側表面
35:パッドの裏側表面
35’:第1のゾーンの裏側表面
35”:第2のゾーンの裏側表面
37:リムの縁
45:隣接する隆起部間の移行要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面(33)、および裏側表面(35)を含む、パッド(1)において、
前記パッド(1)は、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する前記指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン(3)、および前記X軸上でかかと方向に向かって位置する、前記第1のゾーン(3)に隣接した少なくとも1つの第2のゾーン(5)を含み、
前記第1のゾーン(3)は、前記第2のゾーン(5)の平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーン(5)は、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となっており、
前記第1および第2のゾーン(3、5)は、エラストマー材料を含む、パッド。
【請求項2】
靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面(33)、および裏側表面(35)を含む、パッド(1)において、
前記パッド(1)は、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する前記指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン(3)、および前記X軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの第2のゾーン(5)を含み、
前記第1のゾーン(3)の前記前側表面(33)は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素(7)のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーン(3、5)は、エラストマー材料を含む、パッド。
【請求項3】
靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足の指小球領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面(33)、および裏側表面(35)を含む、パッド(1)において、
前記パッド(1)は、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上で足指方向に向かって位置しており、少なくとも3本の隣接する足指、特に人の足の5本の足指すべて、に関連する前記指小球領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン(3)、および前記X軸上でかかと方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーン(5)を含み、
前記第1のゾーン(3)は、前記第2のゾーン(5)の平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーン(5)は、Z寸法において足指からかかとの方向に先細となり、
前記第1のゾーン(3)の前記前側表面(33)は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素(7)のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーン(3、5)は、エラストマー材料を含む、パッド。
【請求項4】
靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッド(1)であって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッド(1)において、
前記パッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足の前記かかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および前記X軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、
前記第1のゾーンの前記前側表面は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む、パッド。
【請求項5】
靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにおいて、
前記パッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足の前記かかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および前記X軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーンは、Z寸法においてかかとから足指の方向に先細となり、
前記第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む、パッド。
【請求項6】
靴の中で前記靴の着用者の足の下に置かれるように構成された、人の足のかかと領域用のパッドであって、かかとから足指の方向(X軸)の寸法、外側から内側の方向(Y軸)の寸法、および下から上の方向(Z軸)の寸法を有し、かつ前側表面、および裏側表面を含む、パッドにおいて、
前記パッドは、少なくとも2つの異なるゾーン、すなわち前記X軸上でかかと方向に向かって位置しており、人の足の前記かかと領域を支えるように構成された、少なくとも1つの第1のゾーン、および前記X軸上で足指方向に向かって位置する、少なくとも1つの隣接する第2のゾーンを含み、
前記第1のゾーンは、前記第2のゾーンの平均厚さよりも大きな平均厚さを有し、
前記第2のゾーンは、Z寸法においてかかとから足指の方向に先細となり、
前記第1のゾーンの前記前側表面は、前記着用者の前記足をマッサージするように構成された突起要素のパターンを示し、
前記第1および第2のゾーンは、エラストマー材料を含む、パッド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記突起要素のパターンは、多数の隣接する隆起部(7)を含む、パッド。
【請求項8】
請求項7に記載のパッド(1)において、
少なくとも2つの隣接する隆起部(7)が、特に前記Y軸に沿って内側から外側に方向付けられた、波状の形態をX‐Y平面において有する、パッド。
【請求項9】
請求項7または8に記載のパッド(1)において、
本質的にすべての隆起部(7)が、均一に、特に本質的に平行に、方向付けられている、パッド。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
少なくとも1つの波状隆起部(7)、特に隣接する2つの波状隆起部(7)が、隣接する3つの波の谷(31)を示す、パッド。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記パッドは、前記第1のゾーン(3)、および前記第2のゾーン(5)から本質的に成る、パッド。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記前記第1のゾーン(3)の裏側表面(35’)、および/もしくは前記第2のゾーンの裏側表面(35”)は、本質的に平坦である、パッド。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記第2のゾーン(5)の前側表面(33”)は、本質的に平坦である、パッド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記第1および第2のゾーン(3、5)、特に前記パッド(1)は、1つの部品に作られる、パッド。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記第1のゾーン(3)の前記裏側表面(35’)は、突起要素(7)のパターンを備えている、パッド。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記第1のゾーン(3)は、均一な平均厚さを示す、パッド。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
特に周辺の、リム部分(15)、
をさらに含む、パッド。
【請求項18】
請求項17に記載のパッド(1)において、
前記リム(15)は、熱可塑性材料、もしくはエラストマー材料を含む、パッド。
【請求項19】
請求項17または18に記載のパッド(1)において、
前記リム(15)は、その周縁(37)に向かって先細となっている、パッド。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記エラストマー材料は、天然ゴム、もしくは合成ゴム、または熱可塑性エラストマー(TPE)である、パッド。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
特に前記第1のゾーン(3)において、孔(13)のパターン、
をさらに含む、パッド。
【請求項22】
請求項21に記載のパッド(1)において、
前記孔(13)は、0.5〜3.0mmの範囲の直径を有する、パッド。
【請求項23】
請求項21または22に記載のパッド(1)において、
少なくとも2つの孔(13)が、隆起部(7)の波の谷(31)の領域に位置する、パッド。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記第2のゾーン(5)は、前記Y軸上で前記足指からかかとの方向に非対称的に先細となっている、パッド。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
前記第1のゾーン(3)の外側部分(23)は、前記第1のゾーン(3)の内側部分(25)よりも、X寸法において前記かかと方向に、より延びており、かつ/または、
前記第2のゾーン(5)の内側部分(27)は、前記第2のゾーン(5)の外側部分(29)よりも、前記X寸法において前記足指方向に、より延びている、パッド。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項に記載のパッド(1)において、
少なくとも1つの隆起部(7)が、着用者の前記足の前記足指の方を向いている第1の側壁、および着用者の前記足の前記かかとの方を向いている、前記隆起部(7)の頂点に隣接する第2の側壁を有し、
前記第1の側壁の平均勾配は、前記隆起部の前記第2の側壁の平均勾配よりも小さい、パッド。
【請求項27】
中底において、
請求項1〜3、および請求項1〜3のいずれか1項を参照する請求項7〜26の範囲で請求項7〜26、に記載のパッド、ならびに/または、
請求項4〜6、および請求項4〜6のいずれか1項を参照する請求項7〜26の範囲で請求項7〜26、に記載のパッド、
を含む、中底。
【請求項28】
請求項27に記載の中底において、
前記中底は、1つの部品に作られる、中底。
【請求項29】
請求項27または28に記載の中底を製造する方法において、
2K射出成形プロセスにより前記中底を準備するステップ、
を含む、方法。
【請求項30】
靴において、
請求項1〜3、および請求項1〜3を参照する範囲で請求項7〜26、に記載のパッド、ならびに/または、
請求項4〜6、および請求項4〜6を参照する範囲で請求項7〜26、に記載のパッド、または、
請求項27もしくは28に記載の中底、
を含む、靴。
【請求項31】
請求項30に記載の靴において、
前記靴は、ハイヒールの靴、または登山靴である、靴。
【請求項32】
パッドを使用することにおいて、
靴の中に置くための、請求項1〜26のいずれか1項に記載のパッドを使用すること。
【請求項33】
パッドを使用することにおいて、
ハイヒールの靴、もしくは登山靴に、請求項1〜26のいずれか1項に記載のパッドを使用すること。
【請求項34】
パッドを使用することにおいて、
中底もしくは靴を準備するために、請求項1〜26のいずれか1項に記載のパッドを使用すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−539441(P2009−539441A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513593(P2009−513593)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005005
【国際公開番号】WO2007/141000
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(597046982)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ゲーエムベーハー (13)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Gmbh
【Fターム(参考)】